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2018年3月17日 (土)

対称性の自発的破れと南部-Goldostone粒子(13)

「対称性の自発的破れと南部-Goldostone粒子(12) 

からの続きです。
 

Higgs現象の共変ゲージでの理解 

まず,GF+FP=-iδ[~(μμ(1/2)αB)]

=B∂μμ(1/2)αB2i~□c 

という普通の共変ゲージの場合を見てみます。
 

(1/4)μν2(1/2)2{μ-M-1(μχ)}2 

(1/2)|(μψ)2-m2ψ2}eμ(χ∂μψ-ψ∂μχ) 

+eMAμ2ψ+(1/2)2μ2(ψ2+χ2) 

(1/2)m√λψ(ψ2+χ2)(λ/8)(ψ2+χ2)2 

-V0[/2]   

+B∂μμ(1/2)αB2i~□c です。
 

これのe~√λでの展開に対する摂動の0 

Lagrangian;0.M=evも0次とみなして, 

0(1/4)μν2(1/2)2{μ-M-1(μχ)}2 

(1/2)|(μψ)2-m2ψ2}  

+B∂μμ(1/2)αB2i~□c です。
 

ここで,μ=Aμ-M-1(μχ)-M-2(μ) 

とおけば,μν=∂μν-∂νμ=∂μν-∂νμ 

であり,(1/2)2μ2+B∂μμ 

(1/2)2|μ-M-1(μχ)}2 

(μ)|μ-M-1(μχ)}(1/2)-2(μ)2 

+B∂μμ ですが,
 

(μ)μ+B∂μμ=-∂μ(BAμ) 

(μ)(μχ)+B□χ=∂μ(B∂μχ) 

 (μ)2+B□B=∂μ(B∂μ).より, 

4次元発散項の寄与はゼロと見なして
 

(μ)μ+B∂μμ0 

-1(μ)(μχ)=-M-1B□χ 

(1/2)-2(μ)2=-(1/2)-2B□B 

とできます。
 

そこで,0(1/4)(μν-∂νμ)2(1/2)2μ2 

(1/2)|(μψ)2-m2ψ2}-M-1B□χ-(1/2)-2B□B 

(1/2)αB2i~□c と書けます。
 

Euler-Lagrange方程式を羅列すると: 

まず,μ{0/(μν)}-∂0/∂Uν0 から, 

-□Uν+∂ν(μμ)-M2ν0を得ますが,この 

両辺に左から∂νを掛けると∂νν0を得るため,
 

μ,(□+M2)μ0,かつ,μμ0を満たす 

モードの,質量MのProca場となります。
 

また,μ{0/(μψ)}-∂0/∂ψ=0 

から,ψは,(□+m2)ψ=0に従う質量:mの実スカラー場 

です。∂μ{0/(μ)}-∂0/∂B=0 からは, 

-1□χ+M-2□B-αB=0, 

μ{0/(μχ)}-∂0/∂χ=0 からは 

-1□B=0 を得ます。
 

同様にして,□c=□c~0 を得ます。
 

よって,Bとχのセクターの運動方程式は, 

□χ-αMB=0,かつ,□B=0 で与えられます。
 

それ故,Landauゲージ:α=0ではχもBも零質量 

スカラー場となります。このχがNG定理で要求される 

1自由度のNGボソンです、
 

これらB,χは自由場なのでそれ自身,くり込み定数を除いて 

漸近場に一致します。つまり,()=Z1/2as() 

χ()=Zπ1/2χas()です。
 

そして,Lagrangian0にM-1B□χの項:非物理的 

スカラー波モード:Bとχの交差項があることは,B粒子 

とχ粒子の計量が反対角であることを示しています。
 

(13-1):0にM-1B□χ=-M-1(μ)(μχ) 

あるので,χの正準共役は,πχ=∂0/(0χ)=M-10 

で与えらます。
 

それ故.[d(,),χ(,)]=Mδ3()であり,故に 

[as(),χas()]0,または,0|{as()χas()}|0 

0 を得ます。これはB,χが反対角計量のBRS2重項である 

ことを意味します。
 

Landauゲージ以外では,□χ≠0,2χ=0より,χは 

零質量のdipole場になります。この場合でも適当にχ 

の粒子モードが定義できて,単なる□χ=0 の粒子モード 

と本質的に変わらないことが示されます。 

(13-1終わり※)
 

また,FPゴースト:,|は零質量です。
 

摂動論においては,これらが漸近場の全てであり, 

高次項を考えてもくり込みの効果があるのみです。
 

すなわち,0→±∞において, 

μ() → Z31/2asμ()+M-1a∂μχas+M-2b∂μas 

ψ() → Z21/2ψas(),()→Z1/2as() 

χ() → Zπ1/2χas(),  

() → cas(),~() → c~as() です。
 

ただし,3,2,πはくり込み定数,,bも適切な定数です。
 

摂動の0次の0におけるM,mの値を予め全Green関数の 

運動量表示の極の位置にとっておき,ゲージパラメータαの値 

も適当なくり込まれたものとしておけば,漸近場:asμ,ψas,as, 

χas,全て,先述の自由場の運動方程式に従う規格化された場 

となります。
 

第5章のゲージ場の量子化で詳述したように,これら漸近場の  

BRS変換則は,Heisenberg場の変換則:[iλQ,Φ()] 

=λδΦ()のx0 → ±∞の極限を取って求めることが  

できます。
 

[i,μ()]=∂μ(), 0 → ±∞で 

[i,31/2asμ()+M-1a∂μχas+M-2b∂μas] 

=∂μas() ですが 

asμは質量MのProca場で,右辺の零質量FPゴーストcas 

とは1粒子極位置が異なるため,[i,asμ()]0 です。
 

また,[i,as()]0 ですから,[i,χas()]0  

が必要です。
 

そして,χasとcasは共に零質量ですから, 

[i,asμ()]0, 

[i,χas()]=Ma-1as(), 

[i,as()]0 と結論されます。
 

この結果,asμはBRS不変な物理的粒子となります。
 

最後の式は,Heisenberg場の段階で∂μ20 により 

()がQと可換だからです。
 

同様に, φ(){v+ψ()iχ()}/2, 

ゲージ変換は,δφ()=-ieθ()φ()より, 

δψ()=-eθ()χ(),δχ()=eθ(){v+ψ()} 

ですが。これのBRS版:θ()→c() ⇔ δ→δから,
 

[i,ψ()]=-ec()χ() [i,ψas()]0,  

そして,[i,χ()]=ec(){v+ψ()} 

[i,χas()](定数)×cas() を得ます。
 

[i,ψas()]0 は,複合場:()χ()のチャネル 

,摂動論の範囲では漸近場(1粒子極)がないからです。 

(※c()χ()は荷電共役偶で,ゴースト数:1という  

量子数を持ちますがそうした粒子は0には存在しません。
 

今の場合,()が自由場で相互作用しないので,これは  

自明です。)

したがって,ψasは物理的粒子であり,(物理的)Higgs粒子 

と呼ばれています。このψas(),前のユニタリゲージ 

ではρ()と記した場の漸近場と同じものです。
 

[i,χas()](定数)×cas() の定数はツリーレベル 

では,ev=Mですがループ効果の補正を受けて,既述の 

[i,χas()]=Ma-1as()のMa-1に一致するものです。
 

最後に. [i,()]0 [i,as()]0, 

 [iλQ,~()]=-iλB() 

 [i,~as()]=-iλZ1/2as()です。
 

以上のBRS変換則により,有質量のUasμ,ψasはBRS1重項 

の物理的粒子で,零質量の(χas,as)(~as,as),それぞれ, 

BRS2重項,合わせてBRS4重項の非物理的モードになる 

ことがわかりました。
 

結局,普通の共変ゲージではNG定理(南部Goldstoneの定理) 

の予言通り,零質量のNGボソン:χasが現われますがBRS 

4重項に属します。そこで,これは,前に一般的に証明した 

4重項機構により,|Phys>=0 で定義される物理的状態 

空間:physには有限な確率で現われることができません。
 

次に,ξゲージの場合を手短かに考察します。
 

この場合のゲージ固定項は,M=evで 

RξGF+FP=-iδ[~(μμ+αMχ+(1/2)αB)] 

=B(μμ+αMχ)(α/2)2 

i~(□+αM2+eαMψ)c です。
 

このとき,運動方程式:/∂B=0 から, 

μμ+αMχ+αB=0 より, 

αB=-(μμ+αMχ)です。
 

この場合,自由項Lagrangian, 

0Rξ(1/4)μν2(1/2)2{μ-M-1(μχ)}2 

(1/2)|(μψ)2-m2ψ2}   

+B(μμ+αMχ)(α/2)2 

i~(□+αM2)+eαMψ)c 
 

(1/4)μν2(1/2)2μ2(1/2)(μχ)2 

-MAμ(μχ)(1/2)|(μψ)2-m2ψ2} 

{1/(2α)}(μμ+αMχ)2i~(□+αM2)cより,
 

0Rξ(1/4)μν2(1/2)2μ2{1/(2α)}(μμ)2 

(1/2){(μχ)2-αM2χ2}(1/2)|(μψ)2-m2ψ2} 

i~(□+αM2)c と書けます。
 

ここで,MAμ(μχ)+M(μμ)=M∂μ(μχ) 

ゼロとして消去しました。また,自由項Lagrangianということ 

から,ゲージ固定項の中の相互作用項:ieαMc~cψを除外 

しました。
 

今度の形では,NGボソン場:χはαM2の2乗質量を持つ 

ようになったことに注意します。
 

つまり,α≠0 では零質量のNGボソンは出現しません。 

しかし,これはNG定理に反しているわけではありません。
 

何故なら,ξゲージはゲージ固定項の中に複素場:φの特定 

成分χをαMχの形で含むため,既に固定項を加えただけの 

段階で(大局的)(1)対称性は破れているからです。
 

そして,このRξゲージの場合の0Rξでも, 

[i,χ()]=ec(){v+ψ()} 

[i,χas()](定数)×cas(), および 

[iλQ,~()]=-iλB() 

 [i,~as()]=-iλZ1/2as()はゲージ 

によらず,前と同じなので,χas,as,~as,as 

共通の2乗質量:αM2を持ったBRS4重項となります。
 

Bを消去した形なのに,asというのは. 

B=-(1/α)(μμ+αMχ)の右辺の含む漸近場 

という意味です。
 

実際,μが2乗質量:αM2のBasやχasを含むことは 

0から決まるAμの伝播関数を計算してみれば,わかります。

 つまり,.T <0|(μν)|0 

[μν(2-M2)-pμν(1-α-1)] -1  

{μν(1-α)μν/(2-αM2)}/(2-M2)  

(μν-pμν/2)/(2-M2) 

(μν/2)/(2-αM2)  

です。

(13-2):0Rξの上でのAμの運動方程式は 

μ{0Rξ/(μν)}-∂0Rξ/∂Aν0 より 

(□+M2)ν(1-α-1)ν(νν)0 です。
 

iΔFμν()=<0|{μ()ν(0)}|0>と置けば2 

Green関数の定義から,これは方程式; 

{(□+M2)gμρ(1-α-1)νρ}ΔFρν()=gμνδ4() 

を満たすべきです。
 

この方程式を運動量p空間にFourier変換すれば 

{(-p2+M2)gμρ(1-α-1)νρ}ΔFρν()=gμν=δμν 

ΔFμν()=-{(2-M2)gμν(1-α-1)νν}-1です。
 

それ故, . i0|(μν)|0>=-ΔFμν() 

{μν(2-M2)-pμν(1-α-1)} -1です。
 

右辺={μν-K(2)μν}/(2-M2)と置けると 

仮定して,こうしてみると 

{μρ(2-M2)-pμρ(1-α-1)} 

[{ρν-K(2)ρν}/(2-M2)] =gμν
 

故に,μν-K(2)μν 

-pμν(1-α-1)/(2-M2) 

+pμν{2(2)(1-α-1)}/(2-M2) 

=gμνです。
 

-K(2)(2-M2)(1-α-1){2(2)(1-α-1)} 

0, 故に,(2-p2α-1)(2)(1-α-1) 

したがって,(2)(1-α)/(2-αM2) です。
 

. i0|(μν)|0 

{μν(2-M2)-pμν(1-α-1)} -1 

{μν-K(2)μν}/(2-M2) 

{μν(1-α)μν/(2-αM2)}/(2-M2)
 

結局,. i0|(μν)|0 

(μν-pμν/2)/(2-M2)

(μν/2)/(2-αM2) 

を得ます。(13-2終わり※)
 

最後の表式:. i0|(μν)|0 

(μν-pμν/2)/(2-M2) 

(μν/2)/(2-αM2) を見れば,右辺第1項が 

質量MのProca場の伝播関数で,それと共に,確かに 

スカラー部分:(νν)に相当して,μνに比例する項 

があり,これにはp2の極:αM2が現われています。
 

したがって,ξゲージでも,通常の共変ゲージと同じく, 

χas,as,~as,asがBRS4重項となって観測されず, 

質量MのProca:asμと質量mのHiggs粒子:ψasのみが 

物理的粒子となりことがわかります。
 

もしも,ξゲージでゲージパラメータ:αを無限に大きく 

するとBRS4重項とに属するの場:χas,as,~as,as 

無限大質量を持つことになって,形式的には全てのFeynman 

グラフから抜け落ちます。
 

この形式的極限:χas,as,~as,as0,ξゲージの 

Lagrangian密度が初め論じたユニタリゲージのLagrangian 

に帰着することは注意に値します。
 

実際の摂動計算はα=1のRξゲージが最も簡単で, 

その場合,ゲージ場の伝播関数は 

.T <0|(μν)|0>=(i)μν/(2-M2) 

となります。
 

これはRξゲージ以前に,t'Hooftにより,初めて 

与えられたので,t'Hooft-Feynman ゲージと呼ばれて 

います。
 

今日は,ここまでにします。 

次回はHiggs-Kibble模型から入る予定です。
 

(参考文献):九後汰一郎 著「ゲージ場の量子論() 

(培風館)

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