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2018年3月22日 (木)

対称性の自発的破れと南部-Goldostone粒子(14)

「対称性の自発的破れと南部-Goldostone粒子(13) 

からの続きです。
 

対称性の自発的破れと共に出現する零質量のNGボソンが, 

零質量のゲージ場と共に,Higgs粒子を伴なって有限質量を  

獲得する,というHiggs現象の続きです。

   宇宙ができたとき,1点からビッグバン開始した頃,宇宙を  

構成する全ての粒子は零質量であり,高温で高密度の火の玉, 

あるいはブラックホールのような点,といっても質量がない  

ので質量と等価な巨大なエネルギーの密度という形態です。

膨張と共に温度が下がってゆき、現在のように絶対約3度 

になるまでのいつかの時点で,空間に不均等性ができて, 

対称性が破れます。
 

高温の溶鉄が冷えて,偶然,ある不均等な方向にスピンが 

揃って磁気が生じるような固体金属中の自発的対称性の破れ 

に類似した作用で,宇宙にエントロピー増大に逆らう意味の 

特性が生まれますが。Higgsメカニズムもその一環です。
 

膨張で宇宙が冷えてゆく過程で質量を持つ粒子が出現し, 

宇宙の中に存在する物体質量の起源となったのでしょう。
 

人を含む生命の発生,進化もまた,完全に無秩序で対称な状態 

へと向かおうとする自然なエントロピー増大に逆らう対称性 

の破れ,部分的エントロピーの減少効果です。

  さて,本題です。

※SU(2) Higgs-Kibble模型 

ゲージ群が可換群U(1)の場合でなくとも本質的に同じ 

現象が起こります。ここでは最も簡単な非可換群の場合 

の例としてSU(2) Higgs-Kibble模型を見ておきます。
 

そのLagrangian,元のHiggs模型のφがSU(2)2重項 

の複素場:Φ=[φ1,φ2],電磁場;μがSU(2)3重項 

Yang-Mills:μ=Σ=13aμ(τa/2)(τa:Pauli行列) 

,それぞれ置き換えられたもので与えられます。
 

(1/4)μνaμν(μΦ)μΦ+μ2ΦΦ 

(λ/2)(ΦΦ)2 です。 

ただし,μν=∂μν-∂νμ-gfabcμν 

μΦ={μigAaμ(τa/2)}Φ です。
 

ΦはHiggs2重項と呼ばれます。 

Φ()[φ1,φ2] 

(1/2){v+ψ()iχ()τ}[0,1] 

(1/2)[-χ2()-iχ1(),v+ψ()+iχ3()] 

と置きます。ψ,χ[χ1,χ2,χ3]は実スカラー場とします。 

(※τ[τ1,τ2,τ3]Pauli行列です。 

ττ=δabiεabcτ0でが成立します。)
 

真空期待値は,0|ψ()|0>=<0|χ()|0>=0, 

であり,0|Φ()|0>=[0,/2]です。
 

 ΦΦ=(1/2)[-χ2+iχ1,v+ψ-iχ3] 

×[-χ2-iχ1,v+ψ+iχ3] 

(1/2){χ2+(v+ψ)2}
 

故に,μ2ΦΦ-(λ/2)(ΦΦ)2  

(μ2/2){2+ψ22vψ+χ2}

(λ/8){2+ψ22vψ+χ2}2 

=-(λ/8)(ψ+χ2)2(1/2)m√λ)ψ(ψ+χ2) 

(1/2)2ψ2+V0[/2)]です。
 

ただし,22μ2であり,0|Φ()|0>=[0,/2] 

でv/2(μ2/λ)1/2より,2λ=2μ2=m2なので 

μ2/2(λ/8)220,μ2/2(λ/8)42=-(1/2)2,  

かつ,vλ/2(2λ)1/2/2(1/2)m√λ です。
 

また.-V0[/2](1/2)μ22(λ/8)4 

です。
 

Φ=(1/2)(v+ψ-iχτ)[0,1]より, 

μΦ={μigAaμ(τa/2)}Φ 

(1/2){μψ-i(μχ)τ}[0,1] 

(1/2)(i/2)gτaaμ(v+ψ-iχτ)}[0,1]
 

故に,μΦ 

(1/2)[μψ-i(μχ)τ 

(1/2){gAaμ(v+ψ)τ}(1/2)gAaμχ 

(1/2)gεabcaμχτ][0,1]
 

(μΦ)μΦ=(1/2)(μψ)2(2/8)(μχ)2 

(1/2)(μχ)(μψ) 

(1/2){μχ(/2)μ(v+ψ)}2 

(/2)εabc(μχ)μτ 

(2/8){μ2χ2(μχ)2}
 

つまり,(μΦ)μΦ=(1/2)(μψ)2 

(/2)μ{χ(μψ)-ψ(μχ)χ×(μχ)} 

(1/2)(μχ-Mμ)2(/2)MAμ2ψ 

(2/8)μ2ψ2(2/8)μ2χ2です。
 

故に, 

=-(1/4)μνaμν(1/2)2(μ―M-1μχ)2 

(1/2){(μψ)2-m2ψ2} 

(/2)μ{χ(μψ)-ψ(μχ)χ×(μχ)} 

(1/2)m√λ)ψ(ψ+χ2)(/2)MAμ2ψ 

(2/8)μ2(ψ2χ2)(λ/8)(ψ+χ2)2 

+V0[/2)] です。
 

ただし,M=gv/2|μ|(g2/2λ)1/2 

としています。
 

このの表式は,/2をeと読みかえれば前のHiggs 

模型のそれと,ほぼ完全に類似しています。
 

類似が壊される唯一の項:(/2)μ{χ×(μχ)}, 

χの運動項:(1/2)(μχ)2と一緒にすれば, 

(1/2)(μχ)(μχ-gμ×χ)(1/2)(μχ)(μχ) 

と書けます。
 

この形は下のFPゴースト運動項との対応で興味深いです。
 

すなわち,Φのゲージ変換はδΦ=-igθ(τ/2)Φなので 

Φ=[φ1,φ2] (1/2)[-χ2-iχ1,v+ψ+iχ3] 

より,δΦ=[δφ1,δφ2]  

(1/2)[-δχ2-iδχ1,δψ+iδχ3]です。
 

そこで,δφ1=-(1/2)(δχ2+iδχ1) 

=-(1/2)(/2)[(v+ψ)θ2(χ3θ1-χ1θ3) 

i{(v+ψ)θ1(χ2θ3-χ3θ2)}]
 

δφ2(1/2)(δψ+iδχ3) 

=-(1/2)(/2)[χ1θ1+χ2θ2χ3θ3 

i{(v+ψ)θ3(χ1θ2-χ2θ1)}] となります。
 

つまり, 

δψ=(-g/2)χθ,δχ(/2){(v+ψ)θχ×θ} 

です。
 

ここで,θをθ()とした局所ゲージ変換; 

δΦ=-igθ()(τ/2)Φでθ()をFPゴースト場: 

()に置き換えることにより, 

δψ=[l,ψ](-g/2)χc, 

δχ[l,χ](/2){(v+ψ)χ×}を得ます。
 

そこでHiggs模型のRξゲージに対応するHiggs-Kibble 

模型でのRξゲージのGF+FPのlagrangian, 

RξGF+FP=-iδ[~{μμαχ(1/2)α}] 

(μμχ)(1/2)α2 

i~{μμ+αM2(/2)αMψ} 

i(/2)αM~(χ×) とします。
 

ただし,μ=∂μ-gμ× です。
 

この局所ゲージ固定段階では,大局的SU(2)ゲージ 

対称性を壊さない,普通の共変ゲージのGF+FP, 

上のRξGF+FPでM=0 としたもの: 

GF+FP=-iδ[~{μμ(1/2)α}] 

(μμ)(1/2)α2i~μμ 

となります。
 

共変ゲージのHiggs-Kibble模型では,真空期待値が 

0|Φ|0>=(/2)[0.1]となることで,大局的ゲージ 

変換群:G=SU(2)対称性が完全に破られることになり, 

dimG=3個のNGボソンが出現します。
 

そして,これが零質量のχ(χ1,χ2,χ3)場に対応します。
 

ψ,χのBRS変換性:δψ=[l,ψ](-g/2)χc, 

δχ[l,χ](/2){(v+ψ)χ×} 

はゲージ固定条件に依らず成立します。
 

さらに,δ~[l,~]iBも加えて,0→±∞ 

の極限をとれば, [l,ψas()]0, 

[l,χas()]=Ma-1as(), 

[l,~as()](3~-1)1/2as() 

となります。
 

何故なら,0→±∞で,~() → Z3~1/2~as(), 

() → Z1/2as() です。
 

そこでU(1)Higgs模型と同じく,(χas,as,~as,as) 

(3組の)BRS4重項となり,物理的空間:physでは 

有限確率で観測されない非物理的モードとなります。
 

物理的モードは質量MのProca:μμ-M-1χ-M-2 

の漸近場:asμと質量mのHiggs粒子場:ψasです。 

これらは,先のHiggs模型のケースと形式的に同じです。
 

元の大局的SU(2)不変性が完全に壊れているのに,壊れた後 

Lagrangian,まだゲージ場:AμやBRS4重項: 

(χas,as,~as,as)のそれぞれを,SU(2)3重項.つまり, 

a=1,2,3の3次元ベクトルとするようなSU(2)対称性を 

持つのは疑問に感じるかもしれません。
 

しかし,確かにこの対称性は存在しますが,これは元の大局的 

SU(2)対称性とは別物であることに注意。。。 

例えばχ=[χ1,χ2,χ3]と書いてO(3)=SU(2)のベクトル 

扱いができても,これはの大局的SU(2)不変性とは無関係 

です。
 

SU(2) Higgs-Kibble模型は,この点でかなり特殊で,実は 

元の大局的SU(2)以外に,もう1つの隠れたSU(2)対称性: 

SU(2)'を持っています。
 

まず,SU(2)の2表現は2表現と同値であり,Φ~iτ2Φ 

が元の2重項場:Φと同じSU(2)変換性を持ちます。 

そこで,SU(2)の基本2表現(2重項場):Φに対し,Φ~ 

SU(2)'の基本2表現(2重項場)とみなすことができます。
 

(14-1):Φ → {1igθ(τ/2)}Φ  

⇒ Φ {1igθ(τa*/2)}Φ* より, 

Φ~ iτ2{1igθ(τa*/2)}Φ 

iτ2Φigθ(τ2τa*τ2/2)iτ2Φです。 

結局,Φ~ {1igθ(τ/2)}Φ~ です。
 

何故なら.τ2τ2.1であり,τ1=τ1. 

τ2=-τ2.τ3=τ3より,τ2τa*τ2=-τ, 

であるからです。  (14-1終わり※)
 

この特殊性のため,Φ2×2行列のスカラー場: 

Φ[Φ~,Φ]を定義すれば,元のHiggs-Kibble 

Lagrangian:(1/4)μνaμν(μΦ)μΦ 

+μ2ΦΦ-(λ/2)(ΦΦ)2 は次のように書けます。
 

すなわち, 

=-(1/4)μνμν+Tr{(μΦ)μΦ+μ2ΦΦ} 

(λ/2){(1/2)r(ΦΦ)}2 です。
 

この形では,行列表現の場:Φ(), 

Φ() → Φ'()=UΦ()-1, 

(ただし,U∈SU(2),-1SU(2)') 

のSU(2)×SU(2)'変換に対して不変であること 

が明白です。
 

この隠れた方のSU(2)',custcdial symmetry 

呼ばれています。
 

Φが真空期待値:0|Φ|0>=(/2)[0.1]を持つ 

とき,0|Φ|0>=(/2)1となり,SU(2)もSU(2)' 

も共に自発的に破れますが,両者で等しい角度の変換を 

行うSU(2)対角は破れずに残ります。
 

先に見出した,残っているSU(2)対称性はこのSU(2)対角 

であると考えられます。
 

すなわちこの模型では, 

「大局的対称性は,G=SU(2)×SU(2)’~SO(4). 

そのうちのSU(2)がゲージ化されており,GがSU(2)対角 

へと自発的に破れている。」 

という命題の成立を示しています。
 

※一般の場合 

大局的対称性群がG=G1×G2×..(iは単純群,またはU(1)) 

となる一般の場合,その因子群Giのいくつかの直積で与えられる 

部分群:I=Gi1×Gi2×..だけが,ゲージ化されて(局所対称性を 

持って)いても,それはGの対称性とは矛盾しません。
 

この場合.Gが,ある部分群:Hに自発的に破れた,とすると, 

一般に,その包含関係は図6.10のようになると考えられ 

ます。このとき,今までの話から次のことが明らかです。


  「G-(I∩H)の部分の生成子に対応したNGボソンは 

物理的零質量粒子になり,I-(I∩H)の部分の生成子に 

対応したNGボソンは非物理的粒子となる。また,少なくとも 

摂動論の範囲ではI-(I∩H)のゲージボソンはNGボソン 

を吸収して有質量ベクトル場となり,(I∩H)のゲージボソン 

は零質量に留まる。」 
 (199932日読了)
 

(※ホーキングじゃないが,49歳から1968歳になっても 

ノートをひっくり返さなきゃわからないほど,頭が耄碌 

してないのは有り難いことです。)
 

途中ですが,今日は,ここまでにします。
 

(参考文献):九後汰一郎 著「ゲージ場の量子論() 

(培風館)

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