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2018年3月28日 (水)

「星の銀貨」グリム童話 無料名作紹介1(楠山正雄訳)

また思い付きで,もう著作権が無く無料公開されているものを 

他のHPから転載しました。 

「星の銀貨」 テーマは無償の慈愛です。

むかし、むかし、小さい女の子がありました。 

この子には、おとうさんもおかあさんもありませんでした。 

たいへんびんぼうでしたから、しまいには、もう住むにも 

へやはないし、もうねるにも寝床がないようになって、とうとう 

おしまいには、からだにつけたもののほかは、手にもったパン 

ひとかけきりで、それもなさけぶかい人がめぐんでくれたものでした。

 
 でも、この子は、心のすなおな、信心のあつい子でありました。 

それでも、こんなにして世の中からまるで見すてられてしまって 

いるので、この子は、やさしい神さまのお力にだけすがって、 

ひとりぼっち、野原の上をあるいて行きました。

  すると、そこへ、びんぼうらしい男が出て来て、 

 「ねえ、なにかたべるものをおくれ。おなかがすいてたまらないよ。」 

と、いいました。女の子は、もっていたパンひとかけのこらず、 

その男にやってしまいました。そして、 

 「どうぞ神さまのおめぐみのありますように。」と、いのってやって、 

またあるきだしました。

  すると、こんどは、こどもがひとり泣きながらやって来て、 

 「あたい、あたまがさむくて、こおりそうなの。なにかかぶるもの 

ちょうだい。」と、いいました。  そこで、女の子は、かぶっていた 

ずきんをぬいで、子どもにやりました。

 
 それから、女の子がまたすこし行くと、こんど出て来たこどもは、 

着物一枚着ずにふるえていました。そこで、じぶんの上着を 

ぬいで着せてやりました。

  それからまたすこし行くと、こんど出てきたこどもは、スカート 

がほしいというので、女の子はそれもぬいで、やりました。

 
 そのうち、女の子はある森にたどり着きました。もうくらくなって 

いましたが、また、もうひとりこどもが出て来て、肌着をねだりました。 

あくまで心のすなおな女の子は、 

(もうまっくらになっているからだれにもみられやしないでしょう。 

いいわ、肌着もぬいであげることにしましょう。)と、おもって、 

とうとう肌着までぬいで、やってしまいました。

 
  さて、それまでしてやって、それこそ、ないといって、きれいさっぱり 

なくなってしまったとき、たちまち、たかい空の上から、お星さまが  

ばらばらおちて来ました。  

しかも、それがまったくの、ちかちかと白銀色をした、ターレル銀貨  

でありました。そのうえ、ついいましがた、肌着をぬいでやってしまった  

ばかりなのに、女の子は、いつのまにか新しい肌着をきていて、 

しかもそれは、この上なくしなやかな麻の肌着でありました。

  女の子は、銀貨をひろいあつめて、それで一しょうゆたかにくらしました。
 

※ 底本:「世界おとぎ文庫(グリム篇)森の小人」小峰書店
   1949(昭和24)年220日初版発行

 
   1949(昭和24)年12304版発行
「旧字、旧仮名で書かれた作品を、現代表記にあらためる際の作業指針」に基づいて、底本の表記をあらためました。
 
入力:大久保ゆう
 
校正:浅原庸子
2004
616日作成
2005
1112日修正
 
青空文庫作成ファイル:
 
このファイルは、インターネットの図書館、青空文庫(http://www.aozora.gr.jp/で作られました。入力、校正、制作にあたったのは、ボランティアの皆さんです。

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