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2018年4月 1日 (日)

対称性の自発的破れと南部-Goldostone粒子(16)

「対称性の自発的破れと南部-Goldostone粒子(15) 

からの続きです。 

Higgs現象の項の続きです。 

カラー閉じ込めの論議に入ります。
 

※カラー閉じ込め
 

既述のようにQCDにおいて,クォークやグルオンなど全て 

カラーを持った粒子(大局的ゲージ対称性群Gの1重項で 

ないもの)は最終的には物理的粒子として現われないと 

予想されており,これを「カラー閉じ込め」と呼びました。
 

既述のHiggs現象逆定理でおいた条件det(+u)0 

が成立しない場合,つまり,det(+u)0の場合,という 

のは,実は大変重要な場合で.正にこのカラー閉じ込めを 

実現する1つの十分条件を与えます。
 

以下,簡単のため,∝ δの場合のみを考えると, 

次の定理が成立します。 

(※この場合,det(+u)0,=-δと同値)
 

[定理]:u=-,つまり,=-δが成立するならば, 

カラー対称性は自発的に破れておらず,かつ,カラー閉じ込め 

が実現している。
 

すなわち,物理的粒子(BRS1重項)は全てカラー1重項で 

あり,カラーを持つ粒子は全てBRS4重項表現に属する。
 

(証明):ここまでの論議から,大局的カラー対称性変換の 

Noeter保存カレント:μ()について,Maxwell方程式; 

gJμ()=∂ννμ(){,μ~()} 

が成立し, そして,0 → ±∞の極限において 

μ() → vμβ().., 

μ~() (+u)μγ~().., 

ννμ() → wμβ()..  

なる漸近的性質があることがわかっています。
 

ここで.BRS4重項漸近場として, 

{i,γ~()}iβ()が成立するため, 

{,μ~} (+u)μβ()..  

ですから,Maxwell方程式は,gv=w-(+u) 

を意味します。
 

そこで,+u=0なら,gv=wb です。 

b==vδ,=wδと書けば,gv=wです。
 

修正NoetherカレントをJμ()-ω∂ννμ(), 

ω=v/w=g-1という組み合わせで作ると,これは 

危険な零質量1粒子項:μβa()を含まないので 

カラー電荷:=∫d3{0()-g-10()} 

は無矛盾(Well-defined)な演算子となります。
 

よって,カレントが零質量1粒子状態を含まないので, 

カラー対称性は全チャネルで自発的に破れていません。

ところが,gJμ()=∂ννμ(){,μ~()} 

ですから,0()-g-10()=-g-1{,0~} 

より,=-g-1∫d3{,0~()}です。
 

それ故,任意の物理的状態:|f>,|g>∈physに対して,  

|f>=0, |g>=0より,<f||g>=0  

得ます。
 

特に,|f>,|g>∈physをBRS1重項の任意の物理的 

粒子状態:i|0,i|0>に取れば, 

0|ij|0>=0 ですが,これらがカラー対称性の 

生成子:の表現行列:(a)ijの表現空間に属する基底 

を成す粒子状態であれば,[,i](a)jiiです。
 

(※ 何故なら,[,i]=-(a)ijj,であり,カラー電荷 

Hermite(実数)なので,aHermite行列です。 

すなわち,(a)ji(a)ijだからです。)

  ここで,[i,j]=δijを用いれば.  

<0|ij|0>=<0|i[,]|0 

<0|i(a)kj|0>=(a)jiですから,結局,  

(a)ji0 を得ます。

この,全てのaについて表現行列がゼロということは, 

BRS1重項粒子:k|0>は全て,カラー1重項状態 

でもあることを意味します。 (証明終わり) ※)
 

ここで,いくつかのコメントを与えておきます。
 

()u=-1の条件は上述のようにカラー閉じ込めの1つの 

十分条件です。しかし,この条件が必要条件でもある?という 

ことについての論議もいくつかあります。
 

つまり,「カラー対称性が自発的破れを起こしていなければ 

u=-1である。」という命題ですが,これは未だ証明 

されていません。
 

() u=-のとき,もしクォーク場:ψi(),ゲージ場: 

μ()に漸近場が存在したとすると,それらはカラーを持つ 

ので,それらはBRS4重項でなければなりません。
 

例えばψi()のBRS変換は,[iλQ,ψi()] 

=-iλgc()()ijψ()ですが, 

これはクォーク場:ψi()が漸近場:ψasi()を持てば,必ず, 

右辺のクォ-クとFPゴーストの複合Heisenberg:  

()()ijψ(),結合状態(共鳴状態,または 

束縛状態):asψi()が形成されて, 

[iλQ,ψasi()]=-iλCasψi()を満たすBRS 

2重項:(ψasi,asψi)となる必要があることを意味します。
 

ゲージ場の場合も,[iλQ,μ()]=λDμ() 

より,μにベクトル漸近場が存在すれば,右辺の 

μ=∂μ-g(μ×),ゲージ場とFPゴースト 

の結合状態が現われることになります、
 

すなわち,u=-で実現されているカラー閉じ込めは, 

クォークやグルオンの漸近場が現われないこと,を主張するの 

ではなく,むしろ,それらの漸近場がQEDや摂動ゲージ理論の 

縦波・スカラーモードや素FPモードと全く同様に,BRS 

4重項機構によって閉じ込められる,ことを意味します。
 

() u=-の条件は,実は,非物理的セクターで,既に多くの 

結合状態が存在することを意味しています。

まず,前記事でも書いたように, 20182/23 

「ゲージ場の量子論(31)」では,ゲージ理論では 

常にゲージ群の添字aの各々で,必ず,零質量BRS 

4重項=素4重項が存在し,Heisenberg:μ,, 

μ,~の中に,0 → ±∞ において, 

μ() → ∂μχ()..,() → β().., 

μ() → ∂μγ().., 

~() → γ~()..,なる漸近場: 

(χ,β,γ,γ~)が存在する,という形で含まれる 

ことを示しました。
 

この常に存在する素4重項の漸近性を,μ → ∂μχ, 

→ β,μ → ∂μγ,~ → γ~a により 

簡明に表記することにします。
 

ところが,前に注意したように,Landauゲージ:α=0では, 

FP共役変換;FPが存在して,このFP変換から, 

~=-Bi(c×c)→ β~, 

μ~→ ∂μΓ~,→ Γ 

を満たす漸近場:(β~,Γ~, Γ) 

FP(β,γ,-γ~)FP-1 

が存在することもいえます。
 

(16-1):過去記事「ゲージ場の理論(24)」では, 

次のように書いています。
 

※FP共役変換と反BRS対称性 

ゲージ固定条件:∂μμ+αB0Landauゲージ: 

α=0 を採用した場合,μμ 0ですから,FPゴースト 

と反ゴーストの運動方程式:μμ=Dμμ~0 

は同じ形:μμ=∂μμ~0 になります。
 

(※何故なら,μμ 0 なので, 

μ~=∂μ~-gfabcμ~ 

より,μμ~=∂μμ~-gfabcμμ~ 

=Dμμ~となり.μとDμが交換するからです。)
 

そこで,とc~の入れ換えに対する対称性がある 

と予想されます。
 

実際α=0の場合,GFFP  

=-∂μμi(μ~)μa  

=∂μ~μi(μ)μ~a  と書けます。
 

ここで,~,+B~=-i(c×c)で定義 

されます。
 

それ故,LandauゲージのLagrangian, 

FP:→ c~,~→ c,→ B~ 

という変換に対して明らかに不変です。
 

ただし,ゲージ場:μと物質場:φlは変換されない 

とします。この変換をFP共役変換と呼びます。
 

そしてBRS電荷QのFP共役変換:FPFP-1 

をQ~と記し,反BRS電荷と呼びます。
 

~の引き起こす変換を,[iλQ~,Φ]=λδ~Φと 

すると,[iλQ~,μ]FP[iλQ,μ]FP-1 

=λFP(μ)FP-1=λDμ~=λδ~μ 

と書けます。
 

そして,このδ~を反BRS変換と呼びます。 

δ~μ=Dμ~, δ~φi=-igc~()ijφj , 

δ~i~, δ~~(/2)(~×c~)a , 

となります。δ~~0 も明らかです。
 

Landauゲージの場合,この反BRS変換が 

Lagrangian:~の不変性を与えることは明らかです。
 

(16-1終わり※)
 

もちろん,摂動論においては,係数を除いて,-β~=β, 

Γ=γ,Γ~=γ~であり,新たな漸近場ではないとも 

考えられます。
 

しかし,u=-の場合は,行列uの定義でもある 

μ~ (+u)μγ~..,から, 

μ~の中の∂μγ~は無くなってしまいます。それ故, 

Γ~=γ~であれば矛盾するため,Γ~はγ~とは別物 

であり,そのFP変換であるγとΓも別物です。
 

また,γ~はBRS2重項の親粒子でしたが,Γ~は子供粒子 

でなければなりません。すなわち,{,Γ~}0 です。
 

何故なら,WT恒等式: 

0=<0|{,μ~()ν()}|0 

=<0|[{,μ~()}ν()]|0 

+<0|{μ~()ν()}|0,および, 

.. 0|[{,μ~()}ν()]|0 

=-(μν/2)δab{μν(μν/2)}ab(2)
 

より,ab(2)=-δabなら,左辺=-gμνδab 

=-F..0|{μ~()ν()}|0>です。
 

よって,このGrren関数:  

0|[{,μ~()}ν()]|0, 

0|{μ~()ν()}|0>の双方にp20 

極は存在しません。
 

ゲージ場:νはBRS子供演算子ではない一般のベクトル 

演算子ですから,これは{,μ~}が零質量スカラーも 

零質量ベクトルも含まないことを意味します。
 

(※もちろん,全く形式的には,{,μ~}にp20 の極 

があるが,ゲージ場:νを相手にしたときのみ,たまたま 

20 の極の留数がゼロになるという可能性を完全に除外 

することはできませんが,。。。)
 

したがってDμ~の零質量漸近場:Γ~,{,Γ~}0 

を満たすBRS子供粒子であるといえます。
 

このことは,カラー電荷:=-g-1∫d3{,μ~()} 

の無矛盾な存在にとっても,必要なことでした。 

(※つまり,「カラーカレント:μが零質量1粒子状態を 

含まない=カラー対称性が自発的に破れていない。」 

ことを意味しています。)
 

ここでは,これ以上,深入りする余裕はありませんが, 

このような性質を持った漸近場は,BRS変換,反BRS 

変換を含む拡張されたBRS代数を考察することにより 

(最小個数の場合),さらに(×),および,(~×~) 

のチャネルに形成されるFPゴースト数が,2,2の結合 

状態と共に,6.11に描いたような全部で8個から成る 

()BRS多重項となることが示されます。
 

図中の直線矢印:→は,BRS変換,波線矢印は反BRS 

変換を意味します。
 

すなわち,()BRS2重項は4組現われます。 

なお,χ,~→βと同一視されます。
 

今回は短いですが,本節が終わりなので,ここまでに 

します。次回は,対称性の自発的破れ,Higgs現象の具体例 

であるWeinberg-Salam模型の紹介に入る予定です。
 

(参考文献):九後汰一郎 著「ゲージ場の量子論() 

(培風館)

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