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2018年4月21日 (土)

対称性の自発的破れと南部-Goldostone粒子(18)

対称性の自発的破れと南部-Goldostone粒子(17) 

から§6.7 Weinberg-Salam模型の続きです。
 

※レプトンとの結合 

弱い相互作用の電荷の変化する部分に関しては(V-A) 

の相互作用であることから,レプトン場は左手型成分: 

ψ((1-γ5)/2}ψのみがSU(2)-2重項で,右手型成分: 

ψ((1+γ5)/2}ψはSU(2)-1重項を取らねばなりません。
 

現在ではe.μ以外に,より重いレプトン:τ粒子の存在が 

知られているので, 

[ν,], μ[νμ,μ],τ[ντ,τ] 

(Y=-1/2),=e. μ=μ. τ=τ(Y=-1) 

と定義します。ここで超弱電荷:Yの値は,Q=T3+Yによって 

決まるものです。
 

こうすれば,. μ.τに対応するニュートリノ:ν.νμ.ντ 

の右手型成分が現われない,ことは注目に値します。
 

零質量?のニュートリノは謂わゆるWeyl場であり 右手型成分 

は元々無いからです。
 

τ粒子の存在が未知であった昔から,質量の違いを除けば全く 

同一の性質を持つ,電子eとμ粒子が何故,存在するのか?という 

ことが謎であり,これは「e-μパズル」と呼ばれていました。
 

現在では,τ粒子まで加わっているため,「e-μパズル」は 

「自然は,何故3度も同じことを繰り返すのか?」という問い 

に直されます。
 

今では,[ν,], μ[νμ,μ],τ[ντ,τ] 

(Y=-1/2),=e. μ=μ. τ=τ(Y=-1) 

に現われる,,μ,τの多重項の繰り返しを.3世代構造 

(3-generation structure)と呼んでいます。
 

これらを用いてレプトン部分のLagrangian:では, 

-2重項がY=-1/2,-1重項がY=-1に対応して,演算子 

Yを,それぞれの固有値に置き換えます。また,(j=e,μ,τ) 

については,1重項なのでT=0です。
 

そこで,Dirac運動項は 

kinlepton=Σj=e,μ,τ[~iγμ{μ(i/2)g'Bμ 

(i/2)(τAμ)}L+R~iγμ(μig'Bμ)], 

nmasslepton=Σj=e,μ,τ(-fj){(~Φ)+R~(Φ)} 

と書けるはずです。
 

(18-1):何故なら、仮にRjもニュートリノを上成分に持つ 

2重項と仮定すれば, 

Dirac質量項=-Σj=e,μ,τ{(~+R~)ij(+R)} 

ですが,~,~に比例する項は恒等的にゼロなので, 

Dirac質量項=-Σj=e,μ,τ{(~ij)+R~ij} 

なります。
 

そして,質量行列:ijはMij=-fiδijと書くことができ,しかも 

この質量も2重項場(Higgs)Φに起因するとして,jを1重項 

に戻し,Hermite性を保持しながら,湯川型を仮定すると, 

質量項=Σj=e,μ,τ(-fj){(~Φ)+R~(Φ)} 

と書けます。  (18-1終わり※)
 

レプトンのDirac質量項は,Higgs-2重項Φとの湯川相互作用 

から,真空期待値:0|Φ()|0>=[0,/2]を得た後に 

初めて現われます。
 

例えば,電子項;j=eの部分は, 

-f{[ν~,~][0,/2]+h,} 

=-(/2)~e=-m~e と解釈されます。 

(※mは電子質量,.cはHermite共役項の意です。)
 

したがって,レプトンの,Higgs-2重項の湯川結合定数: 

,treeレベルで,それぞれの質量に比例し,v=2/gと 

いう以前の評価から,=√2/v=gm/(2) 

書けることになります。
 

そこで,湯川結合定数f,通常,(/)~ m/(2) 

<<1なので,SU(2)の結合定数gに比べてかなり小さい 

ことがわかります。
 

次に,kinlepton=Σj=e,μ,τ[~iγμ{μ(i/2)g'Bμ 

(i/2)(τAμ)}+R~iγμ(μig'Bμ)]μ, 

μ,μ,μ,μ,μに書き換えます。
 

結果,int=-{/(22)}(μμ+Wμμ+) 

-eAμemμ(/cosθ)μμ が得られます。
 

ただし,μ4-Fermi相互作用の荷電カレントのレプトン  

部分:leptonμ2(1i2)leptonμであり  

leptonμ=e~γμ(1-γ5)ν+μ~γμ(1-γ5)νμ 

+τ~γμ(1-γ5)ντ で与えられます。
 

emμは電磁相互作用カレントで,これは  

leptonemμ=-(~γμe+μ~γμμ+τ~γμτ)の意味です。
 

また,μはZボソンの結合する中性カレントで 

Zμ(3)leptonμsin2θleptonemμであり 

(3)leptonμ=Σj=e,μ,τ{~γμ(τ3/2)}です。
 

(18-2):Dirac相互作用における電子項;j=eの部分のみ 

に着目し,1μ(1/2)(μ+Wμ),

2μ(i/2)(μ-Wμ), 

3μcosθμsinθμ,

μ=-sinθμcosθμ を代入します。

特に,τAμ=τ11μ+τ22μ+τ33μ 

(1/2){(τ1iτ2)μ(τ1iτ2)+μ} 

τ3(cosθμsinθμ) です。
 

~iγμ{μ(i/2)g'Bμ(i/2)(τAμ)} 

+R~iγμ(μig'Bμ) 

=e~iγμμe+νeL~iγμμνeL 

(g'/2)(~γμ+e~γμ+νeL~γμνeL) 

(sinθμcpsθμ) 

(/2)}[νeL~,~]γμ 

×[(1/2){(τ1iτ2)μ(τ1iτ2)+μ} 

+τ3(cosθμsinθμ)][νeL,]
 

=e~iγμμe+νeL~iγμμνeL(~γμ)(eAμ) 

(~γμ)(’sinθμ) 

+(1/2)(~γμ-νeL~γμνeL)gZμ/cosθ 

(/2)}(νeL~γμ )μ(νe~γμνeL )+μ} 
 

(※※ここで,紛らわしいのですが,(eAμ)の係数eは素電荷 

でe=gsinθ=g’cosθW 0 であり, 

cosθ=g/(2+g'2)1/2,sinθ=g'/(2+g'2)1/2 

より,g'sinθW +gcosθW (2+g'2)/(2+g'2)1/2 

(2+g'2)1/2=g/cosθ,っです。それ故 

g'sinθμ=g'2μ/(2+g'2)1/2 

=gsin2θμ/cosθを用いました。)
 

μ粒子部分,τ粒子部分についても同様です。
 

(18-2終わり※)
 

電磁相互作用項:-eAμemμ,丁度,荷電レプトンの 

運動項:Σj=e,μ,τψ~iγμμψの∂μを共変微分の形の 

極小相互作:iμ(iμ-eAμ),or μ(μieAμ) 

にすることに相当しています。
 

Wボソンの荷電カレントのレプトン項: 

{/(22)}(μμ+Wμμ+)を用いて前掲の図6.12 

の型no]Feynmanグラフの寄与を計算すれば,Wボソンの質量 

に比して低エネルギーの領域(2<<M2)では実質上 

4-Fermi相互作用:Fermi=-(/2)μμ を再現します。
 

つまり,2<<M2)では,(2-M2)~ -M2より, 

{i/(22)}2μ(iμν)(2-M2)-1μ  

~-i(/2)μμ  なる対応です。
 

よって./2=g2/(82)より,Wの質量は, 

{22/(8)}1/2{22/(8sin2θ)}1/2 

(37.3/|sinθ|)GeVと評価されます。
 

2(2+g'2)2/4=M2/cos2θを用いると 

=M/|cosθ|~(74.6/|sinθ|)GeV, 

/2=√2/g={2/(4)}1/2 174 GeV,
 

こうして, /2がパラメータ無しで決まったことに 

着目します。これはSU(2)×U(1)→ U(1). 

自発的破れの特徴的スケ-ルが100 GeV程度であること 

を示しています。
 

さらに電荷を持たないZボソンと中性カレントJμ 

相互作用項があり,Zボソンを媒介とする図6.12,旧来 

4-Fermi相互作用では知られてなかった,中性カレント 

相互作用:(1/2!)(/cosθ)2Zμ(μν)(2-M2)-1μ  

~ -(4/2) Zμμ が存在することを予言します。
 

これの存在は,実際,()ニュートリノと電子(陽子)の弾性散乱 

ν~e→ν~, νμ~e→νμ~,νμe→νμ, 

ν~p→ν~, νp→ν..などで観測され,それらの 

データからWeinberg角因子:sin2θが決定されました。
 

最近の値は,sin2θ0.2325±0.0008です。
 

これを用いれば,,Zボソンの質量は, 

77.GeV, 88.3GeVと予言されます。
 

果たして1968,CERNRubbiaらによって,遂に発見 

されたW,Zボソンはその質量の観測値が 

(80.26±0.026)GeV,(91.17±0.02)GeVでした。
 

上述の予言値は,これとよく一致していますが,ループグラフ 

の補正計算では,予言値が23%大きい方に修正されて 

80GeV, 91GeVとなり,理論と実験の一致は驚く 

ほど良いです。
 

※ここまで得た結果と,まだ詳しく考察してない部分を

要約します。 

前回記事では,ゲージ場とHiggs場のLagrangian 

ゲージ場Higgsと書くと, 

ゲージ場=-(1/4){μν-∂νμ-g(μ×ν)}2 

(1/4)(μν-∂νμ)2 

=-(1/4)μνAμν(1/4)μνZμν 

(1/2)(μννμ)(μννμ) 

i(||μν+gcosθZμν)μ+ν 

(2/2){|μμ|2(μμ)2}であり,
 

Higgs|μΦ|2+μ2ΦΦ-(λ/2)(ΦΦ)2, 

μ=∂μ(i/2)μ(i/2)(τAμ) 

であることを見ました。
 

今回,レプトンのDirac運動項: 

kinlepton=Σj=e,μ,τ[~iγμ{μ(i/2)g'Bμ 

(i/2)(τAμ)+R~iγμ(μig'Bμ)], 

の計算から,
 

kinlepton=Σj=e,μ,τ[~iγμμ+R~iγμμ] 

intであってレプトンとゲージ場の相互作用項:int 

,int=-{/(22)}(μμ+Wμμ+) 

-eAμemμ(/cosθ)μμ で与えられる 

こと,そして,
 

また,レプトンのDirac質量項は, 

nmasslepton==-Σj=e,μ,τ{(~ij)+R~ij} 

=Σj=e,μ,τ(-fj){(~Φ)+R~(Φ)} 

で与えられることを見ました。
 

残るHiggs2重項場:ΦのセクターのLagrangian, 

Higgs|μΦ|2+μ2ΦΦ-(λ/2)(ΦΦ)2 ですが, 

Higgs|{μ(i/2)g'Bμ(i/2)(τAμ)}Φ|2 

+μ2ΦΦ-(λ/2)(ΦΦ)2 ,g'→ 0 の極限で 

Higgs-Kibble模型と同じものに帰着する,と書きました。
 

SU(2)Higgs-Kibble模型での考察と同じく, 

Higgs2重項Φは,Φ()[φ1,φ2] 

(1/2){v+ψ()iχ()τ}[0,1] 

(1/2)[-χ2()-iχ1(),v+ψ()iχ3()] 

(ψ,χ[χ1,χ2,χ3]は実スカラー場) 

で与えられる,とします。
 

SU(2)対称性が破れる原因となる真空期待値は, 

0|Φ()|0>=[0,/2]であり, 

0|ψ()|0>=<0|χ()|0>=0 です。
 

明らかに,対称性の破れにより生じた零質量のNG 

ボソンがχ[χ1,χ2 ,χ3]ですが,粒子の電荷Qは, 

Q=T3+Yを満たします。
 

Φの弱超電荷をY=1/2として,Φ()[φ1,φ2] 

(1/2)[-χ2()iχ1(),v+ψ()iχ3()] 

Φの下成分(3=-1/2)の電荷がQ=0となるように 

このYを設定したのでした。
 

したがって,上成分(31/2),電荷Q=+1を持つはず 

です。
 

まず,χ[χ1,χ2 ,χ3],SU(2)のベクトルなので 

T=1であり,ψはスカラーなのでT=0です。 

これらは,3|χ3>=|χ3,|χ3>=χ3|0,3|ψ>=0, 

|ψ>=ψ|0>より,[3,χ3]=χ3,[3,ψ]0 

意味します。
 

故に,[3,φ2][3,ψiχ3]iχ3です。 

そこで, [,φ2][,ψiχ3}[3+Y,ψiχ3] 

0 であれば,[,ψiχ3]=-iχ3 

でなければなりません。
 

そこで,ψについての弱超電荷はY=0 [,ψ]0 

と仮定すれば,[, χ3]=-χ3となることが必要です。
 

それ故,NGボソン:χ[χ1,χ2 ,χ3]の弱超電荷は 

Y=-1,[,χa+]=-χa+(a=1,2,3)であると 

します。
 

こうすれば,Φ()[φ1,φ2]において, 

[,φ2}0,[,φ1}=φ1となり,上述したように 

Φの下成分がQ=0,上成分がQ=+1を持ち,質量mの 

Higgs粒子ψは如何なる量子数も持たない,ということで 

全て辻褄が合います。
 

Higgs-Kibble模型の共変微分は,Weinberg-Salam模型の 

μΦ={μ(i/2)g'Bμ(i/2)(τAμ)}Φ 

において,g'=0としたDμΦ={μ(i/2)(τAμ)}Φ 

です。
 

Higgs-Kibble模型においては, 

|μΦ|2(μΦ)μΦ=(1/2)(μψ)2 

(/2)μ{χ(μψ)-ψ(μχ)χ×(μχ)} 

(1/2)(μχ-Mμ)2(/2)MAμ2ψ 

(2/8)μ2ψ2(2/8)μ2χ2でした。
 

μの獲得する質量はM=gv/2|μ|(2/2λ)1/2 

でした。
 

これはWeinberg-Salam模型では, 

|μΦ|2|{μ(i/2)g'Bμ(i/2)(τAμ)}Φ|2 

であり,このうちゲージ場の質量項は(ゲージ場質量項) 

|(i/2){g'Bμ+g(τμ)}[0,/2]|2 

(22/8){(1μ)2(2μ)2} 

(2/8)(μ-gA3μ)2
 

=M2μμ(1/2) 2μμ 

で与えられることを見ました。
 

Higgs機構により,元々零質量のゲージ場:μ,μが獲得 

する質量M,,2=g22/4,2(2+g'2)2/4 

=M2/cos2θW です。
 

g'に無関係な項は,Higgs-Kibble模型と同じで, 

μ2ΦΦ-(λ/2)(ΦΦ)2  

=-(1/2)2ψ2+V0[/2)] (λ/8)(ψ+χ2)2 

(1/2)m√λ)ψ(ψ+χ2) です。
 

ただし,ψの獲得する質量mは,22μ2,/2(μ2/λ)1/2 

で与えられ,-V0[/2](1/2)μ22(λ/8)4です。
 

今回はここまでにし次回からはハドロン(クォーク)との 

結合等について考察します。
 

(参考文献):九後汰一郎 著「ゲージ場の量子論() 

(培風館)

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