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2018年10月27日 (土)

記事リバイバル③(一筆書き(トポロジー)入門)

※再掲載 第3弾!!2008年7/18の過去記事です。

今日は,また,頭の体操です。

 昔,ケーニヒベルクの橋(Königsberg bridge=seven bridge)という数学の問題がありました。

 「大きな河が流れていて,その中に中州のような島が一つあり,そこから少し下流で2本の河に枝分かれして,その間は陸地になっている。

 その島には両岸から2つずつと,枝分かれした2本の河の間の陸地から1つの合計5つの橋がかかっており,分かれた2本の河にもそれぞれ陸地と岸との間に1つずつ橋があって,合計7つの橋がかかっている。

 この7つの橋をちょうど一回ずつわたる道筋があるのかどうだろうか?」という問題でした。(下図)

           

 これはスイスのオイラー(Euler)によってはじめて解かれた問題で,これがトポロジー(位相幾何学)という幾何学の始まりであるとされています。

 まあ,「平たく言えばある図形について一筆書きができるかどうか?」という問題です。

 一般に連結した図形,つまりどこかで必ず線でつながっていてところどころ交差した頂点になっているような図形についてのこうした問題はオイラーによって既に結論が出されています。

 こうした図形のどの頂点にも必ず,それにつながる線が何本かあるわけですが,対象としている図形が一筆書きできるものなら,着目した頂点が出発点でも終点でもない場合,それに"つながっている線=連結線"の数は必ず偶数になります。

 こうした連結線が偶数の頂点を偶頂点と呼びます。

 なぜなら,一筆書きの途中の頂点では必ず,入ってくる線と出ていく線があって,それぞれ1回ずつしか通れない線ですから,それらは同じ本数だけなければならないため,その頂点につながる連結線の合計本数は偶数になるしかないわけです。

 しかし,出発点と終点では,それらがもしも同じ頂点でないなら,必ず入ってくる線か出て行く線かのどちらかが他方より1本多いわけですから,その頂点につながっている連結線の合計本数は奇数になります。

 これは連結線が奇数の頂点="奇頂点"です。

 そこで,出発点とか終点であるような頂点(奇頂点)は2つあるか? またはそれらが一致する場合,つまり1つだけあるか?のどちらかです。

 もしも,1つだけしかない場合は,その頂点でも入ってくる線と出て行く線の数は同数ですから,つながっている連結線の本数は偶数となり,このときは連結線の本数が奇数の頂点の数は まったくないことになります。

 というわけで,一筆書きができるかどうかは,"図に「連結線の本数が奇数である頂点=奇頂点」の個数がゼロであるか,2であるかのいずれかである。"ということになります。

 今得たのは,この条件が一筆書きができるための必要条件であることの証明ですが,これが十分条件であることもほぼ自明です。

 これでケーニヒスベルクの橋の場合は,奇頂点が4つ,偶頂点がゼロなので一筆書きできないということがわかりました。

 これはオイラーがはじめて証明したことです。(下右図はケーニヒスベルクの橋を模式図にしたものです。)

                         

 これから,オイラー数の公式などに始まるトポロジーという幾何学が生まれ,フランスのポアンカレ(Poincare')などによって発展させられてゆきました。

 解決したとかいうニュースもあったと思うのですが,そうなのかどうかはっきりしないポアンカレ予想(Poincare' conjecture)という問題などが有名なトポロジーの問題として残っています。

 ポアンカレ予想とは「単連結な3次元閉多様体は3次元球面に同相である。」というものです。

 多様体というのは通常のわれわれのユークリッド世界の点,曲線,曲面,立体とかいうものを一般次元でかつ非ユークリッドなものに拡張したものの総称です。もちろん,われわれの目に見える形あるものも多様体の一種です。

 同相あるいは同位相というのは,一方から他方へとある連続写像でお互いに完全に1対1で重なって移すことが可能である,という意味で,合同という概念とは異なり,形や大きさにはこだわらないという特殊な幾何学的概念です。

 単連結なとは,言ってみれば穴が開いていないという意味ですね。また閉多様体であるとはいわゆる閉曲面のように閉じているという意味です。

 われわれの世界の球面は3次元空間の中に埋め込まれた2次元球面であり,3次元球面というのは4次元以上の「空間=多様体」の中に抽象概念として仮想したものです。

 われわれの単連結な2次元閉曲面が普通の2次元球面と同相なのは一見して明らかなことなので,3次元だと何故むずかしいのかは数学の専門家ではないのでよくわかりません。

参考文献:瀬山士郎 著「トポロジー(柔らかい幾何学)」(日本評論社)

PS:「ポアンカレ予想」はロシアの数学者グレゴリー・ペレルマン(Grigory.Y.Perelman)氏によって2003年に提出されていた証明論文が2006年7月に査読を通過した,ということで解決されました。

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