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2019年2月

2019年2月 7日 (木)

くりこみ理論(次元正則化)

※昨年は,私の勉強ノートからの覚書きシリーズ記事として 

「自発的対称性の破れと南部-Goldston粒子(20)」を入院中の病院 

からアップしたのを最後に,1990年代に九後汰一郎著(培風館) 

「ゲージ場の量子論」を詳読した内容の紹介・解説記事を中断し 

てましたが,新年(2019)に入り,9月の退院後に壊れたため新調 

してた中古PCで記事を作るツールのMS-Wordの環境が復活 

したので,これの続きを終えてから棺桶に入らないと永眠 

するにも寝覚めが悪そうです。
 

そこで,この書の第7章「くりこみ」の項目から記事を再開 

します。今回のノートは開始日が1997年3月20(47) 

なっています。以下,本文です。※ 

 

7章くりこみ(Renormalization) 

これまでは量子補正,すなわち,loopグラフの計算を行なわず, 

理論が整合的に存在するものとして議論を進めてきました。

 

しかし具体的にloopグラフを計算すると,とたんに紫外発散 

(ultraviolet-divergence)という問題が生じます。 

つまり,loop運動量の大きいところでの積分が発散するという困難 

に遭遇します。

 

この問題を処理するには,まず無限大というモノは直接扱う 

ことができないので,正則化(regularization)という手続きで, 

とにかくFeynmanグラフの積分が収束してwell-defined(無矛盾) 

になるようにします。

 

その次には,諸量を物理的粒子の質量や結合定数で書き直すという 

操作:くりこみ(renormarization)を行ない,くりこんだ後の量が 

正則化をはずした極限でも有限で無矛盾な量になること。。 

を証明します。
 

まず,正則化,特に次元正則化(dimensional-rgurarization)を 

説明します。
 

Pauli-Villar正則化  

Feynmanグラフのloop積分を有限にする方法としてわかりやすい

1つの例は被積分関数中の伝播関数(propagator)を次のように置き 

換えるものです。
 

すなわち,質量がmのBose(運動量k)については 

i/(2-m2iε)i/(2-m2iε)i/(2-Λ2iε)  

i(2-Λ2)/{(2-m2iε)(2-Λ2iε)} … () 

とします。ただしΛ2は十分大きくとっておきます。

 

これを行なうと伝播関数は,2>>Λ21/4のように挙動し, 

元の~1/2より急激に落ちるので積分の収束性が良くなります。

 

(1) の第2項の引き算項は,丁度質量Λを持った負計量粒子の 

伝播関数と見ることもできて,そのように見たときこの粒子 

の場をregulatorと呼びます。regulatorの質量Λは切断(cutoff) 

パラメータとも呼ばれます。

 

(1) の操作でも収束性が足りないときは,さらにregulatorを入れて 

2→∞でもっと速く落ちるようにします。

 

Fermionの場に対しても同様にやれます。 

このような正則化をPauli-Viller正則化といいます。

 

Guptaはこれを改良して可換ゲージ理論の場合のゲージ不変性を 

保つべく、荷電フェルミオンの質量mをloop内で一斉にΛに置き 

換えたモノを引くという方法を提案しました。 

これは「Bose統計に従うスピノルregulator」を導入することに 

相当します。

 

※次元正則化 

Pauli-Viller-Gupta正則化は直観的で計算も簡単でいいのですが 

難点は,非可換ゲージ理論のベクトル場に適用したとき,それ 

がゲージ不変性を壊すことにあります。
 

そこで,ここでは’tHooftVolteraにより提案された次元正則化 

を採用することにし,これを説明します。
 

次元正則化は時空の次元をnとし,解析接続によりこれを複素数に 

拡張します。この正則化の利点はゲージ不変性が次元に依らず 

成立するため,ゲージ不変性を壊さないことです。しかも被積分 

関数の伝播関数の数を増やさず,一般的な積分公式が得られるので 

具体的計算法としても有用なものです。

 

一般にFeynmanグラフの任意のloop積分は,通常の相互作用の場合 

1- loopで頂点(vertex)と伝播関数の数は同じで,それぞれ,(±i)

iが因子なので(±1)が掛かり,Fermionループなら全体として  

(-1)が掛かり,結局Feynmanパラメータ公式を適用すれば,  

∫dn(2π)-n[(μ,μν,..)/(22kp-m2iε)α](2)  

という形のものに帰着させることができます。
 

そこで,まず,最も簡単な式である

I=∫dn(2π)-n[/2-m2iε)α]..(3) 

を評価することから始めます。
 

ガンマ関数の積分表示: 

Γ(α)-α0exp(-st)α-1dt..(4) 

を用います。(0Reα<1

 

(※注1-1);ガンマ関数の定義はReα>0なるαに対して 

Γ(α)=∫0exp(-t)α-1dtです。そこで積分変数を 

t→t=stと置換すれば(4)が得られます。

 

ただしRes>0です。また,0Reα<1でなければならない 

のは,exp(-st)α-1exp{(Re)t} 

×tα-1[cos{(Im)t}isin{(Im)t}の∫0dtの積分が 

収束するために必要です。(1-1終わり※)
 

この(4)の表示自体は,Res>0,かつ,0Reα<1でのみ妥当な式 

ですが,この値域でさらにIms>0ならばtの積分路を複素平面上 

で時計回りに90度回転して虚軸に持っていくことができて, 

-α{iα/Γ(α)}0exp(ist)α-1dt..(5) 

と書き直せます。この表式になればRes>0の必要はなく 

Ims<0,Reα>0の領域で妥当な式となります。

 

そこでs=2-k2iεとおけば,Ims=-ε<0 の条件 

が成立するので,  

I=∫dn(2π)-n[/(22iε)α] 

∫dn(2π)-n(-s)-α 

{(i)α/Γ(α)}0dt 

[α-1∫dn(2π)-nexp{i(2-k2iε)}](6)  

です。
 

以前の第4章経路積分の項で用いたGaiss-Fresnelの積分公式: 

-∞dxexp(iax2/2){2π/(i)}1/2から, 

∫dkexp(itkj2){π/(i)}1/2, 

∫d0exp(itk02){π/(i)}1/2{π/(i)}1/2より 

∫dn(2π) -nexp(itk2)(1)1/2n/2(4πi)n/2です。
 

故に,{(i)α(1)1/2(4πi)n/2/Γ(α)} 

×∫dt[(α-n/21) exp{i(2iε)}]..(7)より, 

結局,I={(i)α+1/2(4π)n/2Γ(α-n/2)/Γ(α)} 

×(2iε)(α-n/2) …(8)  を得ます。
 

ただし,収束にはRe(α-n/2)0が必要です。 

しかし,一旦(8)の表式が得られれば,これはnについての解析関数 

なので,任意の複素数次元nに拡張できる形です。
 

このとき元の運動量積分が発散していたという事情が解析接続(8) 

においては,次元nに関する極として表現されます。 

これが次元正則化の特徴です。
 

実際,ガンマ関数:Γ()はz=0,1,2,..に極を持ち, 

Γ()=Γ(z+1)/z …(9)ですから, 

Γ(ε)1/ε-γ+O(ε)(γはEuler定数~0.5772..)(10) 

が成立します。
 

(1-2):(10)式を証明します。 

まず,Γ(z+1)=Γ(1){Γ’()}w=1+O(2) 

=zΓ()であり,Γ(1)1です。

 

そして,Γ()=∫0{exp(-t)z1}dtより、 

Γ’()0{exp(-t)w-1(ln)}dtですから, 

{Γ’()}w=1=∫0{exp(-t)(ln)}dt=-γです。
 

何故なら,本ブログの2003年の過去記事: 

「ガンマ関数とスターリングの公式」でも示したように, 

ガウスの公式: 

Γ()limn→∞[!/{(z+1)..(z+n)}] 

limn→∞[!/{Πk=0(z+k)}]が成立します。
 

そこで,lnΓ() 

limn→∞[lnn-ln(!)Σk=0ln(z+k)]です。
 

それ故,{lnΓ()}/dz=Γ’()/Γ() 

limn→∞[lnn-Σ{1/(z+k)}]と書けます。

 

それ故,Γ’()=∫0exp(-t)z-1(ln)dt 

limn→∞[lnn-Σk=0{1/(z+k){]Γ() 

ですから,{Γ’()}z=1=∫0exp(-t)(ln)dt 

limn→∞[11/21/3+・・+1/nln]を得ます。
 

ところが,limn→∞[11/21/3+・・+1/nln] 

は有限値に収束して,その極限値がオイラー(Eule)rの定数: 

γであることは,よく知られていますから上式の右辺は丁度 

(-γ)に一致するからです。
 

したがって,Γ(1+ε)=εΓ(ε)1-γε+O(ε2) 

であり,故に,Γ(ε)1/ε-γ+O(ε)が得られます。 

(証明終わり)(注1-2終わり※)
 

例えば,I=∫dn(2π)-n[/2-m2iε)α] 

がα=2のときn=4の次元では対数発散するという事情に 

対しα=2ですが時空の次元はn=42δ,δ=α-n/20 

であると仮定すれば, 

(8)の表式:{(i)α+1/2(4π)n/2Γ(α-n/2)/Γ(α)} 

×(2iε)(α-n/2) において,Γ(α)=Γ(2)1であり, 

Γα-n/2)=Γ(δ)1/δ-γ+O(δ) 

2/(4-n) -γ+O(4-n) ですから, 

Γ(α-n/2)/Γ(α)2/(4-n) -γ+O(4-n)です。
 

さらに,εexp(εln)1+εln+O(ε2)より, 

(2iε)(α-n/2) (2iε)-δ  

1{(4-n)/2}ln(2-ε)+O(δ2) 

また,(4π)n/2(4π)2(4π)-δ 

(4π)2[1{(4-n)/2}ln(4π)+O(δ2)} 

と書けます。
 

よって,(8),I=(i)α+1/2(4π)2{1/δ-γ+O(δ)} 

{1-δln(4π)+O(δ2)}{1-δln(2-ε)+O(δ2) 

(i)α+1/2(4π)2{1/δ-γ+ln(4π)ln(2-ε)+O(δ)} 

を意味します。
 

結局,時空の次元がnで,α=2の場合には, 

I=(i)α+1/2(4π)2 

{2/(4-n)-γ+ln(4π)ln(2-ε)+O(n-4)}(11) 

なる評価式を得ます。
 

これは,(,α),n=42αに1/(4-n)の型の極を持つ 

ことを示していますが,γやln(4π)の定数は常に.この極の部分 

に付随して現われるため,ε~-12/(4-n)-γ+ln(4π).(12) 

として,この全体を無限大部分とみなすのが便利です。
 

※上はα=2を例として計算した結果ですが,くりこみ可能な 

積分式はゲージ対称性を考慮すると,結局,発散が高々対数発散 

である場合なのがわかっているため,次元正則化で現われる 

おける無限大は,すべてこの形で出現します。※
 

さて,(3),(8)のI=∫dn(2π)-n[/(2-m2iε)α] 

{(i)α+1/2(4π)n/2Γ(α-n/2)/Γ(α)} 

×(2iε)(α-n/2) なる表現式において,

 

積分変数:kを(k-p)に置換し,かつ,2(2+m2) 

変更すると,(2-m2iε){(k-p)2(2+m2)iε} 

(22kp+m2iε)となります。
 

したがって,伝播関数分母の無限小虚部iεを略して 

∫dn(2π)-n[/(22kp-m2iε)α] 

{(i)α+1/2(4π)n/2Γ(α-n/2)/Γ(α)} 

×(2+m2)(α-n/2)..(13) 

という,より一般的な式が得られます。
 

この(13)の両辺を(/∂pμ)微分することにより(2) 

∫dn(2π)-n[(μ,μν,..)/(22kp-m2iε)α] 

なる形の積分の公式を得ることができます。
 

途中ですが,新項目記事の導入部ということで今回は 

ここまでにします。

  ブログのテンプレートへのオン書きでない文書を投稿 

するのは久しぶりなので,うまくアップできるかな?
 

(参考文献)九後太一郎著「ゲージ場の量子論Ⅱ」

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2019年2月 1日 (金)

ハッピー・バースディ to me 誕生日です。

何とか69歳の誕生日を迎えました。 

1950年2月1日生まれ,新暦では五黄の寅ですが旧暦では正月前なので六白の丑,です。つまり,丑寅(ウシトラ)年=鬼年ですね。節分では豆をぶつけられる側です。 

数え年では元旦に古希(70歳)を迎えました。古来より希な年齢というわけですが,現在は70歳は全然希じゃないですがネ。 

若い頃はゲバラもキルケゴ-ルも40歳になる前に死んでるし,自分も神に愛された子なので40歳までには死ぬだろう。などと思い上がってましたが。。

ここまで生きると逆にまだまだ死にたく。ない。。と,しょっちゅう入院していても凡人らしく命が惜しくなってきましたが。。。

予告もなく死は突然来るんだろうなァ。。。

「冥土の旅の一里塚,めでたくもありめでたくもなし」(by 休和尚)ですかね。。

「憎まれっ子。。ヨルにハバカリ。。。」

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