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2019年4月

2019年4月25日 (木)

くりこみ理論(次元正則化)(5)

「くりこみ理論(次元正則化)」の続きです。

 

※平成最後かな?きわどい時期に女子陸上の

小出義雄監督が亡くなられましたが,

私は何とか,昭和,平成,令和の3代を生きられ

そうです。

 

※3点頂点関数

粒子の自己エネルギー,2点Green関数(伝播関数)

を評価したのに続いて,FermionとBosonの3点

頂点関数:Γψ~ψφ(3)を計算してみます。

 

これは,1-loopまでの近似で

Γjψ~ψφ(3)(p2.p1)=-gτj+Γjψ~ψφ(1-loop)(p2.p1)

+O(hc2)..(29) と書けます。

これの右辺第1項はtreeレベルの寄与であり,第2項

は,下図7.5の1-loppグラフの寄与です。

 

そして,この1-loopの寄与を書き下すと,

Γjψ~ψφ(1-loop)(p2.p1)

=∫dnk(2π)-n[(-igτj)i{(2)-m}-1

(-igτi)i{(1)-m}-1(-igτj)

i(k2-μ2)-1]..(30) となります。

 

これに,Feynmanパラメータ公式:1/(a12..an)

=(n-1)!∫01dx101dx2..∫01dxn

δ(1-x1-x2-..-xn)

×[1/(a11+a22+..+ann)]

を適用します。

 

※(注5-1):

上記Feynmanパラメータ公式を証明します。

(証明):まず,1/A=∫0dxexo(-Ax)

が成立するので.明らかに,n項の積では,

1/(a12..an)=∫0dy10dy2..∫0dyn

{exp(-a11-a22-..-ann)} 書けます。

 

さらに,1=∫0dtδ(t-y1-y2-..-yn)を

挿入すると,1/(a12..an)

=∫0dt∫0dy10dy2..∫0dyn

δ(t-y1-y2-..-yn)

×{exp({-(a11-a22-..-ann)} です。

 

ここで,yj=txj(j=1,2,..,n)と積分変数を

置換すれば,1/(a12..an)

=∫0dt∫0dx10dx2..∫0dxn

×δ(t(1-A)

{exp({-t(a11-a22-..-ann)}

となります。

ただし,A=x1+x2+..+xn=Σi=1ni

と置きました。:

さらに,B=ax1+ax2+..+ann=Σi=1nii

と置くと,1/(a12..an)

=∫0dx10dx2..∫0dxn

×∫0dt[δ[t(1-A)]texp(-tB)]

です。

 

右辺の最後のt積分の因子のみ着目すれば,

0dt[δ[t(1-A)]texp(-tB)]

=δ(1-A)∫0dt[tn-1exp(-tB)]

=δ(1-A)Γ(n)B-n を得ます。

 

したがって,1/(a12..an)

=∫0dx10dx2..∫0dxnδ(1-A)Γ(n)B-n,

つまり,1/(a12..an)

=∫01dx101dx2..∫01dxn[(n-1)!

δ(1-x1-x2-..-xn)

×[1/(ax1+ax2+..+ann)]

が得られました。(証明終わり)

※※この公式は帰納法でも簡単に示せますが,演繹法

で証明した方が美しいですね。

なお,昔,nifty物理フォーラムで懐かしい,あもんさん

の「あもんノート」を見つけて参照させてもらいました。

(注5-1終わり※)

※(注5-2):

既に,前記事で,n=2の場合の公式:1/(ab)

=∫01dx101dx2{δ(1-x1-x2)/(ax1+bx2)2]

=∫01dx[1/{ax+b(1-x)}2]を使用しています。

この両辺を,さらにパラメータaで微分すれば,

1/(a2b)=∫01dx(2x)/{ax+b(1-x)}3]

が得られます。

 

それ故,1/[{ax+b(1-x)}2c]

=∫01dy(2y)/[{ax+b(1-x)}y+c(1-y)]3]

より,1/(abc)=∫01dx∫01dy

(2y)/[{ax+b(1-x)}y+c(1-y)]3]

が成立することがいえます。

 

また,1/(ab)の表式をaで微分して得た上記,

1/(a2b)=∫01(2x)dx/{ax+b(1-x)}3]

を,さらにbで微分すると,1/(a22)

=∫01{6x(1-x)}dx/{ax+b(1-x)}4]

も得られます。

そこで,1/(aαβ)

={Γ(α)Γ(β)/Γ(α+β)}∫01dx

{xα-1(1-x)β-1}/{ax+b(1-x)}(α+β)]

=Β(α,β)(α,β=1,2,..)なる一般公式

が帰納的に得られます。

 

ここで.係数:Β(α,β)はベータ関数で,

Β(α,β)=∫01dt{tα-1(1-t)β-1}

で定義されます。

これは,Gaussのガンマ関数によって,Β(α,β)

=Γ(α)Γ(β)/Γ(α+β)=Β(β,α)

とも表わされます。

 

:先に証明した,

一般的Feynmanパラメータ公式:

1/(a12..an)

=∫01dx101dx2..∫01dxn

[(n-1)!δ(1-x1-x2-..-xn)

/(ax1+ax2+..+ann)] についても,

これをパラメータaiで複数回偏微分する

ことで,1/(a1α12α2..anαn)

に対する積分表式を得ることができます。

そして,1/[{ax+b(1-x)}2c]

=∫01dy(2y)

[1/{ax+b(1-x)}y+c(1-y)]3]

から,1/(abc)=∫01dx∫01dy

(2y)/[{ax+b(1-x)}y+c(1-y)]3]

を得たのと同様にして

 

一般化された別表現の公式:1/(a12..an)

=∫01dx101dx2..∫01dxn-1

[(n-1)!x232..xn-1(n-2

)/{(a1-a2)x12..xn-1+(a2-a3)x2..xn-1

+..(an-1-an)xn+an}]

をも示すことができます。(注5-2終わり※)

 

※(注5-3):余談ですがベータ関数:

Β(x,y)=∫01dt{tx-1(1-t)y-1}

=Β(y,x)を見るとき,

伝統的場理論では別のグラフとしてカウント

される散乱のsチャネルとtチャネルの過程;,

これは例えばQEDなら電子(e)と陽電子(e)

の電磁相互作用(光子の交換)による散乱グラフを,

sチャネルとすると,eとeが対消滅して光子

(γ)になり,再び対生成してeとeの対になる

過程が,tチャネルであり,これらはeとe

散乱振幅には独立な和として寄与します。

 

ところが,ハドロンの強い相互作用による散乱

ではsチャネルとtチャネルの過程は実は同一の

過程で別扱いをして和の寄与があるとすると重複

でダブルカウントになる.という性質:双対性

(そうついせい:duality)が存在することが観測

されていました。そして,この性質を体現する

Venetsiano(ベネツィアノ)模型というものが提議

され,これは上記ベータ関数の性質を利用したもの

であった,という歴史的経緯を想起したわけです。

 

この模型はハドロン散乱でsとtの関数としての

散乱振幅Aが,A(s,t)

=Γ(-α(s))Γ(-α(t))/Γ(-α(s)-α(t))

=Β(-α(s)x,^-α(t)) の形である

というもので.こう仮定すれば,確かに双対性:

A(t,s)=A(s,t)が成立するわけです。

ただし,αはRegge軌跡における極の粒子の

角運動量を意味します。

 

そして,双対共鳴模型は強い相互作用では,あまり

評価されませんでしたが,これを強い相互作用で

なく素粒子の2次元のヒモ:超弦模型の基礎式と

して量子化すればBose弦のみ存在する場合は,

背景時空が26次元,Fermi弦の存在する場合は10

次元のときにのみ,負のノルム(負の確率)のゴースト

が出現しない。という,

弦理論では有名な「no-ghost定理」

が示されたことなども思い出されます。

(以上,余談終わり)(注5-3終わり※)

 

さて, 3点頂点関数:の(29)式

Γjψ~ψφ(3)(p2.p1)

=-gτj+Γjψ~ψφ(1-loop)(p2.p1)+O(hc2)

において,右辺第2項の1-loopの寄与:,,

Γjψ~ψφ(1-loop)(p2.p1)

=∫dnk(2π)-n[(-igτj)i{(2)-m}-1

(-igτi)i{(1)-m}-1

(-igτj)i(k2-μ2)-1]

を評価するという主題に戻ります。

 

n=3のFeynmanパラメータ公式;

1/(abc)=∫01dx∫01dy(2y)

/[{ax+b(1-x)}y+c(1-y)]3]

を用いることにより,

Γjψ~ψφ(1-loop)(p2.p1)

=-∫01dx∫01dy∫dnk(2π)-n(2y)

(g2(gτj){(2)+m}{(1)+m}

[k2-2y{(1-x)(p1k)+x(p2k)}

+y{(1-x)p12+xp22}-m2y-μ2(1-y)]-3

と書けます。

 

ここで,p~=(1-x)p1+xp2,かつ,

q=p2-p1と置くと,p~2=(1-x)212

222+2x(1-x)(p12),q2=p22+p12

-2(p12) なのでp~2+q2x(1-x)

=(1-x)p12+xp22より

2-2y{(1-x)(p1k)+x(p2k)}

+y{(1-x)p12+xp22}-m2y-μ2(1-y)

=k2-2y(p~k)+y{p~2+q2x(1-x)}

-m2y-μ2(1-y) となります。

 

これから,D(x,y)

=(1-y)μ2+y{m2-q2(1-x)}

-y(1-y)p~2と置けば,

Γjψ~ψφ(1-loop)(p2.p1)

=∫01dx∫01dy

{2yg2(gτj)(4π)-n/2/Γ(3)}

{(2+m)(1+m)

-y{~(1+m)+(1+m)~}Γ(3-n/2)

D(x,y)-(3-n/2)+∫01dx∫01(2y)dy

[{g2(gτj)(4π)-n/2/Γ(2)}

×{Γ(3-n/2)p~23D(x,y)-(3-n/2)

-Γ(2-n/2)(n/2)yD(x,y)-(2-n/2)}]

を得ます。

 

時空の次元nが,n=4-2ε(ε=+0)の場合,

発散はΓ(2-n/2)(n/2)D(x,y)-(2-n/2)

=(1/ε-γ)(2-ε)(1-εlnD)

=2(1/ε-γ-lnD)-1のみから生じると

考えられます。

 

ε~-1=1/ε-γ+ln(4π).および,

01dx=1,∫01ydy=1/2を用いて

Γjψ~ψφ(1-loop)(p2.p1)

=-gτi{g2/(16π2)}

[-ε~-1+1/2+2∫01dx∫01ydylnD(x,y)

+∫01dx∫01dy

{(p2+m-yp~)(p1+m-yp~)D(x,y)-1}

…(31) が得られます。

 

※(注5-4):何故なら,前記事では

∫dk(2π)-n[1/{k2-2(pk)-m2+iε}α]

=∫dk(2π)-n[1/{(k-p)2-(p2+m2)}α]

={(-1)α+1/2(4π)-n/2Γ(α-n/2)/Γ(α)} 

×{1/(p2+m2)(α-n/2) なる表式を得ました。

 

この被積分関数において,p→ (yp~),

2 → y{m2-q2x(1-x)}-y(1-y)p~2

+μ2(1-y) という置き換えを実行すれば,

2-2(pk)-m2=(k-p)2-(p2+m2)が

(k-2yp~)2-[y2p~2-y{m2-q2x(1-x)}

+y(1-y)p~2+μ2(1-y)]

=(k-yp~)2-D(x,y) 

に置き換わまりす。ただし,Dは前に与えた関数

でD(x,y)=(1-y)μ2+y{m2-q2(1-x)}

-y(1-y)p~2 です。

 

それ故,∫dk(2π)-n

{(k-p)2-(p2+m2)+iε}-α

={(-1)α+1/2(4π)-n/2Γ(α-n/2)/Γ(α)} 

×(p2+m2)-(α-n/2) という表式から,

∫dk(2π)-n[k2-2y{(1-x)(p1k)

+x(p2k)}+y{(1-x)p12+xp22}

-m2y-μ2(1-y)]-α

=∫dk(2π)-n{(k-yp~)2-D(x,y)]-α

={(-1)1/2(4π)-n/2Γ(α-n/2)/Γ(α)}

D(xy)-(α-n/2) を得ます。

 

これを(∂/∂p~μ)で微分すると

∫dk(2π)-n){(2kμ-2yp~μ)(-α)}

{(k-yp~)2-D(x,y)]-(α+1)

=(-1)1/2(4π)-n/2{Γ(α+1-n/2)/Γ(α)}

(-2y(1-y)p~μ)D(xy)-(α+1-n/2) です。

それ故,∫dk(2π)-n

[kμ{(k-yp~)2-D(x,y)}-(α+1)]

=-(-1)1/2(4π)-n/

{Γ(α+1-n/2)/Γ(α+1)}

yp~μD(xy)-(α+1-n/2)  です。

 

これを,さらに,(∂/∂p~ν)で微分すると.

-∫dk(2π)-n)

{kμ(2kν-2ypν)(α+1)}

{(k-yp~)2-D(x,y)]-(α+2)

=(-1)1/2(4π)-n/2Γ(α+2-n/2)/Γ(α)}

(-yp~μ2y(1-y)p~ν)D(x,y)-(α+1-n/2)

-(-1)1/2(4π)-n/2Γ(α+1-n/2)/Γ(α)}

ygμνD(xy)-(α+1-n/2) なので,

 

∫dk(2π)-n

[(kμν){(k-yp~)2-D(x,y)}-(α-2)]

=(-1)1/2(4π)-n/2Γ(α+2-n/2)/Γ(α+2)}

(y2p~μp~ν)D(x,y)-(α+2-n/2)

-(-1)1/2(4π)-n/2Γ(α+1-n/2)/Γ(α+2)}

ygμνD(x.y)-(α+1-n/2)  です。

 

したがって,iΓjψ~ψφ(1-loop)(p2.p1)

=-∫01dx∫01dy∫dnk(2π)-n

(2yg2(gτj){(2)+m}{(1)+m}

{(k-yp~)2-D(x,y)] -3 

の右辺を,次のように書き下します。

,

まず.-∫01dx∫01dy{2yg2(gτj)}

∫dnk(2π)-n{(2+m)(1+m)}

{(k-yp~)2-D(x,y)] -3

=-∫01dx∫01dy{2yg2(gτj)}

(2+m)(1+m)(-1)1/2(4π)-n/2

{Γ(3-n/2)/Γ(3)}D(xy)-(3-n/2)

 

次に,+∫01dx∫01dy{2yg2(gτj)}

∫dnk(2π)-n((1+m)(2+m))

{(k-yp~)2-D(x,y)] -3

=∫01dx∫01dy{2yg2(gτj)}

{yp~(1+m)+(2+m)yp~}(-1)1/2(4π)-n/2

{Γ(3-n/2)/Γ(2)}D(x,y)-(3-n/2) 

 

さらに,∫01dx∫01dy{2yg2(gτj)}

-∫dnk(2π)-n2{(k-yp~)2-D(x,y)] -3

=-∫01dx∫01dy{2yg2(gτj)}

(-1)1/2(4π)-n/2{[Γ(3-n/2)y2p~2D(xy)-(3-n/2) 

-Γ(2-n/2) (n/2)yD(xy)-(2-n/2)]

と書けるからです。

ここでΓ(3)=2,Γ(2)=Γ(1)=1.を用いました。

(注5-4終わり※)

 

3点頂点関数を発散部分と有限部分の和で表わした

再表示(31)式:Γjψ~ψφ(1-loop)(p2.p1)

=-gτi{g2/(16π2)}

[-ε~-1+1/2+2∫01dx∫01ydylnD(x,y)

+∫01dx∫01dy

{(p2+m-yp~)(p1+m-yp~)D(x,y)-1} 

は今の場合,

Γjψ~ψφ(1-loop)(p2.p1)

=∫dnk(2π)-n[(-igτj)i{(2)-m}-1

(-igτi)i{(1)-m}-1

(-igτj)i(k2-μ2)-1]

のdk(n~4)積分をする被積分関数がkの(-4)

次なので対数発散であり,外線運動量p1かp2で微分

すると収束するので,発散はこれらに依存しない定数

項にのみ現われています。

 

一般に3点頂点関数の量子補正項:

Γψ~ψφ(補正)(p2.p1)を,関与する3粒子の質量殻:

12=m,q2=(p2-p1)2=μ2のまわりで,展開

したとき,Γψ~ψφ(補正)(p2.p1)

=τ[c+O(1-m,2-m,q2-μ2)]

の形をとります。

初項の定数項cがゼロでない値を取ったとすると,

これからΓψ~ψφ,~ -(g-c)τとなるため,

物理的な質量殻上のFermionとBosonの湯川結合定数

が量子補正で,gから(g-c)に変化することを意味

します。

 

物理的に観測される湯川結合定数はgでなく(g-c)

というのが真なのです。湯川結合定数に限らず,φ4

頂点の結合定数λなど,一般に結合定数は質量や場

の規格化定数と同様,相互作用の影響でずれます。

 

途中ですが長くなったので今回はここで終わります。

 

※参考文献:

九後汰一郎著「ゲージ場の量子論Ⅱ」(培風館)

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2019年4月14日 (日)

くりこみ理論(次元正則化(4))

「くりこみ理論(次元正則化)」の続きです。

 

※Bosonの自己エネルギー

前回はFermionの自己エネルギー:Σ(p))を考察しました。

Bosonφの自己エネルギーをΠ(p2)とすると2点関数は,

Fij(p2)=iδij{p2-μ2-Π(p2)}-1

=i[Γφ(2)(p2)]-1..(22)

 

※(注4-1):Fermionの場合の1粒子既約な自己エネルギー

部分:-iΣ(p)と同じくBosonのそれを-iΠ(p2)と

書くと,iΔF’(p2)は初項がa=i(p2-μ2)-1,公比が

r=(p2-μ2)-1Π(p2)の等比級数なので和として,

F’(p2)=a/(1-r)=i{p2-μ2-Π(p2)}-1

を得ます。  (注4-1終わり※)

 

これに効く1PIグラフは図7.4の(a),(b),および,Lcountfree

の相殺項からの寄与です。

したがって,最低次のオーダーで.

Π(1)(p2)=Π(-loop1)(p2)+-Πcount(1)(p2..)

ただし,

-iδijΠ(-loop1)(p2)

=∫dnk(2π)-4(-)Tr[(―igτi)i(-m)-1

(-igτj)i{(k-)-m{-1]  …(23-a)

+∫dnk(2π)-4(-iλ/8)4×3+8)δiji/(k2-μ2)(23-b)

-iΠcount(1)(p2)=i{Z3(1)(p2-μ2)+δμ2(1)} ..(23-c)

 

※(注4-2):(23-b)は,項:λφ4/8のtadpoleの寄与ですが,

φ2=(φ12+φ22+φ32) より

φ4=φ14+φ24+φ34+2φ12φ22+2φ22φ32+2φ32φ12

となります。

アイソスピンの保存によりこのtadpoleに入って出て行く

2本の内線i,jではi=jでなければなりません。

仮にi=j=1なら寄与するのはφ14, 2φ12φ22,2φ32φ12

のみです。

φ14については統計因子(対称性因子)は42=4×3です。

残る2つについては因子は2ですから合計8です。

(注4-2終わり※)

 

Tr(τiτj)=2δij,Tr[(+m){()+m}]

=4k(k-p)+4m2 より,式(23)の

-iδijΠ(-loop1)(p2)

=∫dnk(2π)-4(-)Tr[(―igτi)i(-m)-1

(-igτj)i{(k-)-m{-1] 

+∫dnk(2π)-4(-iλ/8)4×3+8)δiji/(k2-μ2)

において,

第1項=∫01dx∫dnk(2π)-4(-)2・4g2δij

[{k(k-p)+m2}/{k2-2x(pk)-x22+m2)}2]

=(-i)2・4g2δij(4π)-n/2

01dx[{Γ(2-n/2)|(x2-x)p2+m2}

/{m2-x(1-x)p2}(2-n/2)-Γ(1-n/2)(1/2)gμμ}

/{m2-x(1-x)p2}(1-n/2)]

 

=(-i)2・4g2δij(4π)-n/201dx

[{Γ(2-n/2)-Γ(1-n/2)(n/2)}

/{m2-x(1-x)p2}(1-n/2)] です。

 

そして,,Γ(2-n/2)=Γ(ε)=1/ε-γ+O(ε)

Γ(1-n/2)=Γ(ε-1)=Γ(ε)/(ε-1)

=-Γ(ε){1-ε+O(ε2)}

=-1/ε-γ-1+O(ε).:ただし,ε=(4-n)/2

故に,Γ(2-n/2)-Γ(1-n/2)(n/2)

=3(1/ε-γ)+1+O(ε) です。

 

他方,{1/m2-x(1-x)p2}(1-n/2)

={m2-x(1-x)p2}-(ε-1)

={m2-x(1-x)p2}{m2-x(1-x)p2}-ε

={m2-x(1-x)p21}[1-εln{m2-x(1-x)p2}]

01{m2-x(1-x)p21}dx=m2-p2/6

 

よって,与式={(-i)2・4g2/(16π2)}

[(3ε~-1+1)(m2-p2/6)

-3∫01dx{m2-x(1-x)p21}ln{m2-x(1-x)p2}],

また,∫dnk(2π)-n(k2-μ2)-1

=-i(4π)-n/2Γ(1-n/2)μ-(1-n/2)

=-i(4π)-n/2(-ε-1+γ-1)(1-εlnμ22

={-iμ2/(16π2)}(-ε~-1-1+lnμ2) です。

ただし,ε~-1=ε-1-γ+ln(4π) です。

 

それ故,

-iΠ(1-loop)(p2)={(-i)2・4g2/(16π2)}

×[(3ε~-1+1)(m2-p2/6)-3∫01dx

{m2-x(1-x)p21}ln{m2-x(1-x)p2}]

+{-5λ/(32π2)}μ2(-ε~-1-1+lnμ2)..(24)

を得ます。

 

ここでも,次元正則化の代わりにPaulli^Villers正則化

を用いるとどうなるか?を見ておきます。

 

この場合,図7-4(a)の寄与をg(m2)と書くとき,これに

1回引き算をしてg(m2)-g(Λ2)としたものは,まだ

有限にはなりません。そこで,さらに引き算して,

{g(m2)-g(Λ2)}-{g(Λ2+m2)-g(2Λ2)}

とします。

 

同様に,図7-4(b)の寄与:f(μ2)に対しても,

{f(μ2)-f(Λ2)}-{f(Λ2+μ2)-f(2Λ2)}

とします。

 

次元正則化の上の式(24)の結果:

-iΠ(1-loop)(p2)={(-i)2・4g2/(16π2)}

×[(3ε~-1+1)(m2-p2/6)-3∫01dx

{m2-x(1-x)p21}ln{m2-x(1-x)p2}]

+{-5λ/(32π2)}μ2(-ε~-1-1+lnμ2)

において,この引き算の操作を行えば,

 

消える項を除いて,Π(1-loop)(p2)

={3g2/(2π2)}[{-(2ln2)Λ2+m2(lnΛ2+1)

-(p2/6)(lnΛ2-ln2)}

-∫01dx{m2-x(1-x)p21}ln{m2-x(1-x)p2}]

+{5λ/(32π2)}(2ln2)Λ2-μ2(lnΛ2+1-lnμ2)}.(25)

を得ます。

(※↑詳細なチェックは省略して結果を信用します。)

この形には明らかに,Λ2に比例するΛの2次発散の項と

(m22,p2)×lnΛ2に比例する対数発散の項があること

がわかります。

 

この場合,これは自己エネルギー部分の式(23)

の再掲(ただし,n=4):-iδijΠ(-loop1)(p2)

=∫d4k(2π)-4(-)Tr[(―igτi)i(-m)-1

(-igτj)i{(k-)-m{-1]

+∫d4k(2π)-4(-iλ/8)4×3+8)δiji/(k2-μ2)

において,

被積分関数がkの(-2)次で,積分が∫d4kの4次である

こと,および, (m22,p2)の次元2を持った量で展開

すると,発散の次数が2ずつ下がることから理解できます。

 

いずれにしても, Π(-loop1)(p2)は外線運動量:p2の関数

として,p2の0次と1次の項しか含まず,それ故,丁度,

相殺項(23-c):-iΠcount(1)(p2)

=i{Z3(1)(p2-μ2)+δμ2(1)}で相殺できる形です。

 

特に, δμ2(1)=Π(-loop1)(p2=μ2)

=Λ2{5λ/(16π2)-3g22}ln2

+[{3g2/(2π2)}(m2-μ2/6)-5λμ2/(32π2)]

×(ε~-1 or lnΛ2)+(有限定数)//(26),

3(1)=[∂Π(-loop1)/∂p2]p2=μ2

={g2/(4π2)}×(ε~-1 or lnΛ2)+(有限定数).(27)

とおけばΠ(-loop1)+Πcount(1)は有限で,(p2-μ2)

の2次以上の項は無くなり,伝播関数は,p2=μ2

近傍で,iΔFij(p2)=iδij/(p2-μ2)..(28) の形

を物理的質量である,という要請が確かに満たされる

ことになります。

 

途中ですが,今回はこれで終わります。

次回は3点頂点関数から記述する予定です。

 

※参考文献:九後汰一郎著「ゲージ場の量子論Ⅱ」(培風館)

 

 

 

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