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2019年7月29日 (月)

再掲記事の続き「黒体輻射とキルヒホッフの法則」

再掲のつづきで2006年6/20の「黒体輻射(キルヒホッフの法則)」

を追加します。

※ 以下,過去記事丸写しと追加の(注)です。これも電球,電灯の原理説明に必要

※ ブログネタが枯渇してるので物理ネタばかりで恐縮

ですが,今日は黒体輻射関連の話題について書きます。

 

「プランク(Planck)の黒体輻射の法則」は,

「レーリー・ジーンズ(Raileigh-Jeans)の法則」と

「ウィーン(Wien)の法則」の両方を説明するものと

して与えられ,ここに作用量子hの概念が導入されて

量子力学の曙が訪れることになったのは有名な話です。

 

プランクの法則のは.絶対温度Tの下での黒体からの

輻射エネルギ-密度uの波長λに対する関係を,波長λ

と温度Tの関数:u(λ,T)とした表現したもので,その

グラフはをTの値ごとに,縦軸uの横軸λに対するu-λ

曲線の族として与えることができます。

 

 ところで,黒体(black body)とは何か?というと,これ

は完全放射体とも呼ばれ.入ってくる全ての波長の電磁波

を反射することなく完全に吸収する理想的な物体のこと

を意味します。

 

それ故,上記の黒体輻射の法則とは,この理想的な物体

の吸収と放射がバランスして熱平衡になり絶対温度一定

となったときに,この黒体から放射(輻射)される電磁波

のエネルギーの周波数分布を与える法則です。

 

※(注1):(2019年追記):この記事を書いた2006年の

頃は.まだブログ上で細かい数式を記述するスキルが

乏しかったので.陽な式による表現を避けて文章だけ

の説明が中心だったのでした。

 

そこで,量子論の歴史的背景なども書かれている参考書:

「量子物理学入門」(東京電機大学出版局)や,(岩波講座:

現代物理学物理学の基礎)の「量子力学Ⅰ」などから得た

式などを,注として追記しておくこよにします。

 

 

これらによると,ν(/sec)を電磁波の周波数(振動数),

c(m/sec)を光速(電磁波の速さ)とするとき黒体輻射

で.νとν+dνの間にある輻射電磁波のエネルギー:

U(ν,T)dνを与える輻射エネルギ-密度:U(ν,T)

に対し,Raileigh-Jeans)の法則のスペクトル分布は,

U(ν,T)=8πν2T/c3 で与えられます。

 

これは,内部が真空の有限体積Vの空洞輻射を1辺

Lの立方体の箱内での輻射とし,x座標だけの1次元

だけで考えると,平面波:exp{i(kx-ωt)}の周波数

ν,or 波長λの満たすべき条件として,箱の端点x=0

x=Lが壁であり波が閉じ込められて出られないこと

を.上記平面波のxでの周期がLであること.つまり.

kLが2πの倍数であること(周期的境界条件)で表現

して要求することから得られます。

 

すなわち.まず,kL=2πN,または, k=2πN/L

(N=0,1,2,)となることを要求します。これは電磁波

が壁で反射されるか.途切れて定在波になるという条件

で物理的にも理にかなった境界条件です。

 

3次元に移行すると,V=L3であり波数ベクトルは,

=(kz)=(2π/L)(Nx y z)=(2π/L)

になると考えられるので,波数ベクトルの空間の体積

は,モードベクトル=(Nx y z)の空間の体積の

{(2π)3/V}倍ですが,実は,この関係は体積Vの空洞なら

その形が立方体か否か?などには無関係であることが

わかります。

 

そこで,この波の単位体積当りのモード数をn=N/V

として,3次元で考えると,空間の体積要素の関係では,

3=(2π)--33 なる式で書けます。

 

ところで,この波(電磁波)の位相速度は光速cであり,

これから,c=ω/k=2πν/k,かつ,c=νλなので

k=2π/λ=2πν/cと表わせます。

このため,d3=(2π)--33はd3=(2π)-33

=c-33ν なる関係に同等です。

 

それ故,半径がνで厚さdνの周波数の球殻:4πν2dν

には(4πν2/c3)dν個の波のモードがあることになり

ますが,電磁波は横波であり偏光の自由度2があるので

総自由度としては(8πν2/c3)dνです。

 

ここで,古典統計力学の「エネルギー等分配の法則」;,

「絶対温度がTのとき,熱平衡系を構成する1粒子の平均

エネルギーは1自由度につき(kT/2)である。」という

法則を用います。

 

電磁波は偏光として2つの独立な向きに振動し各々を

自由度2の1次元調和振動子と見なすことができて,調和

振動子にはエネルギー(kT)が割り当てられるため,

結局,電磁波の古典的描像ではありますが,

U(ν,T)dν={8πν2T/c3}dνなる関係を得ます。

これが輻射のRayleigh-Jeansの法則です。

(※独立な振動の2自由度は既に偏光として組み込み済み)

 

また,Wienは,実験データから(ν/T)の関数として

U(ν,T)=f(ν/T)=(α/c3)exp(-βν/T)

なるスペクトル分布式(Wienの分布則)を19世紀末頃に

発見しました。(※ただし,これらの法則で両辺の単位

はいずれも(W(ワット)/m2)です。※)

 

, 一方,Plankは,後にPlanck定数と呼ばれる作用量子

hを導入して.次のスペクトル分布を見出しました。

U(ν,T)=(8πhν3/c3) /[exp{hν/(kT)}-1]

(Planckの法則)です。

 

Wienの経験式:U(ν,T)=(α/c3)exp(-βν/T)で,

α=8πhν3,β=h/kを代入すれば,これは丁度,

Planckの分布式で,νが大きいときに,分母の

[exp{hν/(kT)}-1]の1を無視した式に一致

します。また,νが小さいときには,指数関数を近似

して,exp{hν/(kT)}-1 ~ hν/(kT)と

すると.Rayleigh^Jeansの式:

U(ν,T)={8πν2T/c3}に一致します。

 

こうしてPlankの法則は,両者を見事につなぐ式

となっています。

 

さらに,Plankの式をc=νλを用いて波長

λの式に変換します。

uとUは,u(λ,T)dλ=-u(λ,T)ν-2dν

=U(ν,T)dνで対応すると考えられます。

符号の違いは積分の向きで相殺されるので(-)を

はずして.U(ν,T)=cu(λ,T)ν-2

または,u(ν,T)=U(ν,T)ν2/c です。

 

したがって,u(λ,T)

=(8πhc/λ5)/[exp{(hc/λ)/(kT)-1]

が得られます。 (注1終わり※)

 

しかし,例えば,太陽などは黒体ではないし,しかも内部

に熱源を持っていて正確には熱平衡状態にはないですが

その場合でも,放射される主な光の波長(色)が物体の温度

に依存して決まる,という「色温度」の概念があります。

 

太陽の場合は,その表面温度がT=6500Kくらいで輻射

される電磁波のエネルギーが分布曲線上でピークになる

放射スペクトルの波長域が可視光線域に一致しています。

 

(※,むしろ,可視光(見える光)というのは,地球上の生物

(動物)の光を感じる器官(眼)の方が,太陽からの電磁波の

強度が最大の波長域を感知するような器官として創造され

ていると考えた方が合理的かも?※)

 

そして,そうした太陽のようなものでも,温度Tと放出光

の周波数(振動数)ν(or波長λ)の対応関係が上述の,

「熱平衡でのPlanck分布(黒体輻射分布)における絶対温度

とその温度での輻射エネルギー強度uが最大になる周波数の

関係」:すなわち,「Wienの変位則」と大してずれることなく

近似的に成り立つことが,よく知られています。

 

※(注2): Wienの変位則とは温度がTのときに電磁波の

輻射エネルギー強度が最大になる波長をλmaxとすると,

λmaxT ~ b(一定)になるという法則です。ただし,

b=hc/(5k) ~ 2.87×10-3(mK)=0.287(cmK)

です。

 

これを導くには,再掲.Plank分布式:

u(λ,T)=(8πhcλ-5)/[exp{(hc/λ)/(kT)-1]

が,λ=λmaxで∂u/∂λ=0を満たすことを使います。

 

,上記のu=u(λ,T)に対して,∂u/∂λ= 0は

-(40πhcλ-6)/[exp{(hc/λ)/(kT)-1]

+(8πhcλ-5){(hcλ-2)/(kT)}

×exp{(hc/λ)/(kT)}

/[exp{(hc/λ)/(kT)-1]2=0 となります。

 

これから,5λ[exp{(hc/λ)/(kT)-1]

-(hc)/(kT)}exp{(hc/λ)/(kT)}=0,

ですから,λ=λmaxとして,

λmax=|(hc)/(5kT)}exp{(hc/λmax)/(kT)}

/[exp{(hc/λmax)/(kT)-1]2 ~(hc)/(5kT)

あるいは,λmaxT ~(hc)/(5k) を得ます。

これがWienの変位則です。

そこで,h=6.6×10-34(Jsec),

c=3.0×108(m/sec),k=1.38×10-23(J/K)を

用いれば,λmaxT ~hc/(5k)~2.87×10-3(mK)

です。※ちなみに太陽表面のT=6500Kならその色

の波長はλmax~ 4.57×10-7m=457nm程度です。

可視光の波長は360nm~830nmくらいらしい

ですが,これは別に温度が太陽表面ほどの数千度K

もなければ可視光は放出されない,というわけでは

なく,これが強度がピークになる温度というだけで

どんな温度でも,多かれ少なかれ,あらゆる波長の

電磁波が放射されるのは言うまでもないことです。

(注2終わり※)

 

このように,輻射平衡のエネルギー分布が物質に依らない

ことは,実は19世紀にキルヒホッフ(Kirchhoff)が発見

したことです。以下では,この法則を説明します。

 

さて,温度Tで空洞の壁に向かって単位時間,単位面積当り

に投射される周波数がνとν+dνの間にある電磁波(光)

の輻射エネルギーをI(T,ν)dνとします。

 

そして,ある物質から構成された空洞の吸収率をa(T,ν)とし

同じ壁の表面から,単位時間,単位面積当り放出される温度T,

周波数νの輻射エネルギーをe(T,ν)dνとします。

 

Kirchhoffは.平衡状態では吸収と放出のバランスによって,

I(T,ν)a(T,ν)dν=e(T,ν)dνが成立するはずで

ある,という発想から「比:e(T,ν)/a(T,ν)=I(T,ν)

が物質の種類によらず,温度Tとνだけの関数である。」こと

を発見したのです。

 

そして,特に吸収率が100%,つまり,a(T,ν)=1が全ての

T,νについて成立する理想的な物体を黒体と呼ぶわけです。

一般の物体は黒体ではないのでa(T,ν)<1ですが,それでも

a(T,ν)がT,νに依らず一定であることが多いので輻射強度

e(T,ν)=I(T,ν)a(T,ν)は,Planckの黒体輻射の分布式

で与えられるI(T,ν)=U(ν,T)にほぼ比例します。

 

それ故,物体が黒体でなくても,色と温度の関係,つまり,最大

エネルギー:umaxをe与える色(波長λ,周波数ν)の関係はその

まま成立すると考えてよいわけです。

 

太陽とか生存中の人体のように発熱源があるとき,必ずしも

熱平衡でがない場合もありますが,それでも近似的に色温度の

関係は成立しているようです。   (再掲記事終わり※)

 

※PS:本ブログの科学記事では私のオリジナルというの

はほとんどなく,大抵は何らかの参考書で読んだのを一応

ノートにまとめ,それからブログ原稿を書いてアップして

おり,その場合,参考にした書物,文献を書くのが常ですが,

12.13年前のブログ初期の頃は参考文献を書いてないもの

もあります。

(※私の場合はブルーバックスのような啓蒙書ではなく曲がり

なりにも専門書を参考にしていることが多いです.※)

 

もっとも,蓄積した記憶。知識と計算力だけで書いたもの

も少しはあり,まあ恐らくは誰かのマネ,パクリでしょうが

参考書不明なので,それらは参考文献がブランクです。

 

この「キルヒホッフの法則」の記事も,追加の注を除き参考

文献を書いてませんが,これが記憶だけで書けるワケもなく

何を参考にしたのだとうか?と探しましたが不明でした。

 

数行でしたが,中村伝著「統計力学」(岩波全書)にほぼ同じ

記号を用いた記述があったのでこれかなぁ?

 

統計力学は初学には敷居が高く,良書というか,私の認識

能力でも理解可能なモノを求めて10冊以上,遍歴し購入した

はずなのですが部屋には数冊しか残ってません。

最近10年くらいは食べるカネにも不自由で,また視力劣化で

読めなくて持ち腐れになり本当は惜しい気持はあるけれど

古書店経由で私の胃袋に消えたモノ多々あり,探しても,

「アレは何でないの?」というの多いですね。※

 

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103. 電磁気学・光学」カテゴリの記事

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