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2019年7月29日 (月)

再掲記事「黒体輻射記事の補足」

 前再掲記事の短かい数学的補足で,2006年7/22の

「黒体輻射(空洞輻射)と空洞の形状」を追加します。

※ 以下再掲記事です。

以前の記事で「空洞輻射の波数の分布が空洞の形状

には依らない。」と述べたことがありましたが,このこと

を証明してみようと思います。

 

一般に,自由電磁波の電場Eに着目すると,それは横波

であり,真空中のマクスウェル(Maxwell)方程式」を満足

します。

 

そして,まずは空洞を導体と考えて,その形が一辺がL

の立方体である,と理想化しておきます。

 

その境界条件は,境界での接線成分が 0 である必要

がありますから電場=(Exyz)は,sinやcos関数

を用いてEx=Ex(t)cos(kxx)sin(kyy)sin(kzz) etc.

と表わされ,波数ベクトル:=((kx ky kz)の成分は,

x=mπ/L,ky=nπ/L,kz=pπ/L

(m,n,p=0,1,2,3...) となります。

 

つまり波数ベクトルkは(π/L)を格子定数とする

格子点のみを許容値とするので,そのkの分布と

しては負でない整数m,n,pのみをとる8分球を

とり,kを連続化して横波の2つの自由度を考慮

すると,半径kとk+dkの間の波数kの個数が,

(1/8){(4πk2dk)/(π/L)3}×2

=(πk2dk)(V/π3) となります。

 

そして,この最終形では立方体であったという仮定

は必要なく,容積Vが有限でありさえすればいいと

いう形になっています。しかし,本当に立方体という

形状は関係ないのでしょうか?

 

簡単のために,3次元でなく2次元の空洞なるもの

を仮定し立方体を正方形に変更しても同様であると

すると,kx=mπ/L,ky=nπ/L(m,n=0,1,2,.)

であり,半径kとk+dkの間の波数kの個数は.

(1/4){(2πkdk)/(π/L)2}×2

=(πkdk)(S/π2)と体積Vの代わりに面積Sで

表わした形になります。

 

そうして,正方形ではなくて一般の単連結な閉曲線

で囲まれた任意の領域を“空洞”と考え,その面積がS

の場合も,波数の分布がやはり,(πkdk)(S/π2)と

なることを証明したい,と考えるわけです。

 

まず.この閉曲線を(f(t).g(t))(0 ≦t≦1)

(f(0),g(0)=(f(1),g(1))で定義します。

f,gは微分可能でtによる微分係数を,

f’=df/dt、g’=dg/dtとすると,

これらはtの連続関数であるとします。

 

この閉曲線を,

「一辺Lの正方形を反時計回りに1回転する閉曲線」

に変換する写像を汎関数:F,Gによって.

(u,v)=(F(f,g ),G(f,g ))とします。

 

微小変換はF,Gのヤコービ行列を,

J=(∂(F,G)/∂(f,g)) とすれば

(du,dv)=J(df,dg )となりますから,

外微分を使って,dS=df∧dg

=(1/|J|)du∧dvを得ます。

(※|J|はJの行列式です。)

 

電場の波数ベクトルkの境界条件はの閉曲線上

の接線成分がゼロ,=kxdf+kdg=0

ですから,これは(kx,ky)(df,dg)= 0 と

書けます。

したがって,(kx,ky)J-1(du,dv)=0 である

ことから,(kx’,ky’)=(kx,ky)J-1とおけば.

(kx’,ky’)は一辺Lの正方形のu-v空間の波数

ベクトル:k’の分布をするので.先の考察によって,

dkx’∧ dky’=(π/L)2dm∧dnの分布形

となるはずです。dm,dnは個数空間の微分で

dm∧dnを1つの格子,つまり1と同一視します。

 

よって,dkx∧dky=|J|dkx’∧ dky

=|J|(π/L)2dm∧dnです。

(kx’,ky’)の空間は格子間隔(π/L)のu-v

空間の逆格子空間としてよいわけで.この式は(kx,ky)

の空間が,f-g空間の逆格子空間でその格子定数の

平方が(π/L)2|J|=π2/(L2|J|-1) である

と考えるべきことを示しています。

ところでL2=∫du∧dvであり,

∫|J|-1du∧dv=∫df∧dg=Sですから

Lの任意性を考慮して,

dkx∧dky=(π2/S)dm∧dn,

 

すなわち,半径kとk+dkの間の波数kの個数は

(πkdk)(S/π2)となって,Sだけに依存し形状には

依らない形になります。

 

このように,黒体輻射,あるいは,空洞輻射では,

空洞の「壁面の形状の多様性や面の乱雑さ」などが

あれば,無限に多様な乱反射のモードを持つであろう

という予測は誤りであり,そのモードの個数分布は

空洞の体積のみで決まり,それが離散的であるのは,

大きさ=体積が有限であるためであるということが

確かに云える,ことが証明できたと考える次第で

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