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2019年8月26日 (月)

光の量子論1

※今回は,長年の糖尿病の末に心臓病となり,

2007年4月に心臓手術を受けて,私が心不全

の障害者になった頃より,約1年前のまだ普通

に仕事をしていて,ブログを始めた2ヶ月後の

2006年5/28頃の読書ノートからです。

 

2019年の今は新しく継続的に本を読んでノート

にまとめる,という作業は,視力の関係で困難と

なってきていますが,本を読める程度の視力が

あった2016年頃までは新しいノートも続々と

できていました。(※ 私の本格的に読んで理解

しようとする行為は,まさに写経ですから。※)

 

ブログを始めた56歳の2006年3月以前に作成

したノートたちの回顧録だけじゃなく,それ以後に

好奇心で,さらに読み学んだことも書いてきました。

 

まだ,命があって,機会があればこれはと思うモノ

については,またブログで回顧したいと思います。

 

第1章Planckの放射法則とEinstein係数

  • 1.1 空洞内の場のモードの密度

電磁放射は,空洞内に閉じ込められているものと

考えると好都合です。

すなわち,理論的な扱いでは,対象空間を有限範囲

に制限することが役に立ちます。

ただし,これは方便です。一般に,計算結果が空洞

の大きさ,形,性質に依存することはないからです。

 

そこで,対象を一辺がLの立方体空洞に選んでいい

です。そして,空洞の壁は完全な導体であるとすると,

電場の接線成分はゼロというk境界条件を満たす

べきです。(さもないと壁に電流が流れてしまう

からです。)

 

Planckの法則は,温度Tで熱平衡になっている

空洞内部の電磁放射のスペクトル分布を表わした

ものです。

この放射は黒体放射(黒対輻射)と呼ばれています。

 

さて,真空中の電場は,光速をcとすると,

それは,

波動方程式:∇2=(1/c2)(∂2E/∂t2)(1.1)

とMaxwell方程式,および,横波条件:

==0.(1.2)を満たします。

 

境界条件を満たす上記方程式の解を,

(,t)

=(E(,t),E(,t),E(,t))

と書くと,成分は次のように表わされます。

(,t)

=E(t)cos(kx)sin(ky)sin(kz)

(,t)

=E(t)sin(kx)cos(ky)sin(kz)

(,t)

=E(t)sin(kx)sin(ky)cos(kz)

(1.3) です。

 

ただし,

(t)=(E(t),E(t),E(t))

は,位置には無関係な時間依存ベクトルです。

そして,波動ベクトル:=(k,k,k)

は,境界条件故に次の成分を持ちます。

=πν/L,k=πν/L,

=πν/L.(1.4)

;ν=0,1,2,..(1.5) です。

 

そして,整数=(ν)の成分は

3つのうちの2つがゼロだと無意味なゼロ解

となるので,1つの成分しかゼロになることが

できない,という制限を持ちます。

 

さらに,∇==0.(1.2)という条件は,

解に,kE(t)=0.(1.6)という束縛条件

を与えます。これは(t)がに垂直である

という条件であり,それ故,が決まると,

これに対して(t)には特別な方向が存在する

ということになります。

(kに垂直な2つの偏り方向です。)

 

整数の組:(ν)の各々は,空洞内

の放射場の1つのモードと定義されるモノを

定めますが,2つの偏りを考慮すると,この1つ

のモードには2つの自由度が対応します。

 

電磁場の励起は全て,これらのモードの場の

線型和で表わすことができます。

 

ここで,求めたいのは,波動ベクトルの大きさ

がkとk+dkの間にある場のモード数を

与える式です。

 

これは丁度半径kとk+dkで囲まれた

8分球殻内の格子点の数に等しいはずです。

そこで,求める個数は,

(1/8)(4πk2dk)×(π/L)-3×2  .(1.7)

と書けます。

場のモードの密度:ρdkは,上述の範囲内

に,その波動ベクトルを持つ空洞の単位体積当り

のモード数として定義されます。

よって,(1.7)から,ρdk=(k22)dk.(1.8)

となります。これは一般に成立する式であり,これ

を導く際に用いた特殊な空洞の実体とは無関係です。

 

一方,角周波数ω=2πνは,波数k=2π/λ,

および,光速c=νλと合わせてω=ck.(1.9)

なる関係があります。

 

それ故,ωとω+dωの間にあるモードの密度

ρωdωを,(1.8)のρdk=(k22)dkから

求めると,ρωdω={ω2/(π22)}dω.(1.10)

と変換されます。

 

こうして,体積Vの中のモードの総和,Σ

を積分:∫(Vk22)dk,あるいは,

∫{Vω2/(π22)}dω.(1.11)に置換して

いいことになります。

 

  • 1.2 場のエネルギーの量子化

次に,第2段階として,温度Tの各々の場の

モードに蓄えられたエネルギー量を決定します。

 

電場の時間依存性は,(1.1)の波動方程式:

2=(1/c2)(∂2E/∂t2)に,(1.3)の

モード解を代入し.ω=ckを用いることで得られ,

2(t)/dt2=-ω2E(t).(1.12)となります。

これの各周波数ωが正と限定した解は次の形です。

E(t)=E0exp(-iωt) .(1.13)

 

※(注:1.1):(1.13)は数学的で形式的な複素表現の

解です。これとは独立にE0exp(iωt)なる解も

あります。

しかし,もちろん,現実の電場は実数であるべき

ですから.E0exp(-iωt),E0exp(iωt)という

独立解の代わりに,それらの線型和で実数となる

独立解:E0cos(ωt),E0sin(ωt)を採用すべき

とも考えられますが,必要なら適宜実部を取ると

して,この形のまま,複素電場ということで議論

を先に進めます。(注:1.1終わり※)

 

ところで,古典電磁気学によれば,

時刻tに空洞内の電磁場が持つエネルギー

は,(1/2)∫(空洞)0220)dV (1.14)

で与えられることがわかっています。

 

ただし,,はそれぞれ実電場,実磁場であり,

ε00は,それぞれ,真空の誘電率,透磁率です。

そして,これら真空の誘電率,透磁率は,光速cと,

c=1/(ε0μ0)1/2>(1.15)なる関係にあります。

 

今,考えている場のモードについての複素電場

はモード解(1.3)において,その時間依存の係数

が,(1.13)の]複素解E(t)=E0exp(-iωt)と

いう形で与えられる,とします。

 

振動の1サイクル:T=2π/ωの間のエネルギー

の変化は,一般に測定には影響されないので,便宜上,

振動の1サイクルについて場のエネルギーを平均

したものを,場のエネルギーrとして採用すること

にします。

 

ここで,必要な次の定理を与え,証明しておきます。

※[サイクル平均定理]:

exp(-iωt)の形で時間変動する2つの複素数

をA,Bとすると,A,Bの実部の積を振動の

1サイクルについて平均したものは.この平均

を記号:< >で表わすと,

<(ReA)(ReB)>=(1/2)Re(AB)(1.16)

である。

 

(証明):A0,B0を実数として,

A=A0exp(-iωt),B=B0exp(-iωt)と

おくと,ReA=A0cos(ωt),ReB=B0cos(ωt)

なので,(ReA)(ReB)=A00cos2(ωt)です。

 

故に,1周期:T=ω/(2π)についての平均は,

<(ReA)(ReB)>

=(1/T)∫0[(ReA)(ReB)]dt

=(A00/T)∫0[{1+cos(2ωt)}/2]dt

=(A00/T) [t/2+sin(2ωt)/(4ω)]0

=A00/2 となります。

一方,AB=A00ですから,結局,

<(ReA)(ReB)>=AB/2 を得ます。

(証明終わり)

 

さて,真空中の磁場は,電場と次の

関係式:∇×=-∂/∂t.(1.17)を

満たします。

 

そして,モード解(1.3)を再掲すると,

電場:=(E,E,E)の陽な形は,

=E(t)cos(kx)sin(ky)sin(kz)

=E(t)sin(kx)cos(ky)sin(kz)

=E(t)sin(kx)sin(ky)cos(kz)

です。

 

また,Bの時間依存部分:B(t)は,Eと同じ

モードでは,B(t)=B0exp(-iωt)の形である

はずなので,∂/∂t=-iωB を満たします。

 

それ故,このの具体的な形から,∇=0は,

x(t)+ky(t)+k(t)=0

を意味します。

一方,∇×E=-∂/∂tのx成分は,

∂E/∂y-∂E/∂z=-∂B/∂t

ですが,これは,

(k(t)-k(t))

×{sin(kx)cos(ky)cos(kz)}

=-∂B/∂t を意味します。

 

そこで,電場,磁場の時間係数部分:E(t),

(t)のみに着目すれば,∇=0,

および,∇×=-∂/∂tは,

それぞれ,kE(t)=0,および,

k×E(t)=-∂(t)/∂t と読み換

えられます。これらについては前にも指摘

していますが,具体的に検証しました。

 

ここで,k0=0より,kとE0は直交して

いるため,|k×0|=kE0です。

また電場と磁場の時間依存性の具体形:

(t)=0exp(-iωt),および,

(t)=0exp(-iωt)を考慮します。

 

 

すると,k×E(t)=kE0exp(-iωt),

=-∂(t)/∂t=iωB0exp(-iωt)

となりますが,この等式の実電場,実磁場

の意味での対応を書き下すと,,

kE0cos(ωt)=ωB0cos(ωt),および,

-ikE0sin(ωt)=iωB0sin(ωt)

です。

 

したがって,振幅の比較では,

kE0=ωB0なる関係式を得ます。

それ故,B0=(k/ω)E0

=E0/c=(ε0μ0)1/20.(1.18)です。

 

すなわち,振幅についてB020=ε002

なので,20=ε02と結論されます。

つまり,場のエネルギーへの電場と磁場の

寄与は全く同じです。

 

以上から,場のサイクル平均エネルギーは,

<(1/2)∫(空洞)0220)dV>

=(1/2)∫(空洞)ε0|(r,t)2|dV.(1.19)

となることがわかります。

ただし,ここでの(r,t)は実電場ではなく

複素電場を意味します。

 

※ここでPlanckの量子仮説を導入します。

(1.13)の(t)=0exp(iωt)の0は,どの

ような大きさでもいいので,古典論では(1.19)

で与えられる場のエネルギーは,正でありさえ

すれば,どんな値でも取ることができます。

しかし,電場E(t)は調和振動子の方程式:

2(t)/dt2=-ω2E(t)を満たしていて,

これは,量子論では調和振動子のエネルギーは,

=(n+1/2)hcω(n=0,1,2.).(1.20)

という離散的値しか取ることができません。

 

そこで,電磁場を各モードが調和振動子であり

電磁場全体は振動子の集合体であると見なして

量子化すると,(1/2)∫(空洞)ε0|(r,t)2|dV

=(n+1/2)hcω.(1.21)と書けます。

 

この条件は,Eの振幅E0が取り得る大きさを

制限します。しかし,当分は電磁場は量子化せず,

半古典的に扱い,後の第4章から全体を量子力学

の系として扱いに戻ることにします。

 

ここでは,Planckの法則の説明に必要なので,

量子論的議論を続けます。

 

n=0のときの基底状態でのエネルギー:hcω/2

は,零点エネルギーといわれます。

また,モードの電磁エネルギーが.n番目の

n=(n+1/2)hcωにあるときには,第n励起

状態にあるといいます。

 

量子化された場理論では,量子数nが1だけ

増加(減少)したときには光子が1個生成(消滅)

したといわれます。

 

  • 1.3 Planckの法則

温度がTで熱平衡にあるときに.モードの振動子が

第n励起状態に熱的に励起されている確率をP

すると,これは,通常のBoltzmann(ボルツマン)因子

を用いて,P=exp{-E/(kT)}

/[Σexp{-E/(kT)}].(1.22)で与えられる

と考えられます。

 

これにEn=(n+1/2)hcωを代入して.

U=exp{-hcω/(kT)}.(1.23)とおけば,

分子,分母でhcω/2に関わる項は相殺されて

=U/(Σn=0) (1.24)と書けます。

 

ω>0で,U=exp{-hcω/(kT)}<1なので、

Σn=0=1/(1-U).(1.25)となりますから,

=(1-U)U.(1.26)を得ます。

 

そこで,温度Tにおける平均光子数(励起準位数)

<n>は,<n>=Σn(nPn)=(1-U)Σn(nU)

=(1-U)U・(∂/∂U)[Σn]

=U/(1-U).(1.27)です。

これに,U=exp{-hcω/(kT)}.を代入して,

<n>=1/[ exp{hcω/(kT)}-1](1.28)

を得ます。この注目すべき結果が,

「Planckの熱励起関数」と呼ばれるものです。

 

ここで,(1.18)式のωに対するモードの密度:

ρωdω=ω2dω/(π23)と,上記の(1.28)から

零点エネルギーを無視して,温度Tでの平均の

電磁エネルギーは<n>hωであるとすると,

温度Tでの平均の電磁エネルギー密度を,

(ω)dωと定書くとき,これは,

(ω)dω=<n>hcωρωdω

=<n>hcω3dω/(π23)であり,

 

結局,,

(ω)dω={hcω3/(π23)}dω

/[exp{hcω/(kT)}-1].(1.29).

となります。

これが放射エネルギー密度: W(ω)に

対する有名な「Planckの法則」です。

 

Planckの法則は高温と低温では少し簡単な

形になります。

まず,(kT)>>hcωのときは,

(ω)~ ω2T/(π23).(1.30)です。

これは,1900年にRaylei(レーリー)によって

導かれた放送であり,h→ 0 の極限です。

 

一方,(kT)≦hcωのような低温では,

(ω)

~{hcω3/(π23)}exp{-hcω/(kT)}

(1.31)となります。これはWienの公式です。

 

(1.29)をωで微分してゼロと置きます。

0={hc/(π23)}

(-{hcω3/(kT)}exp{hcω/(kT)}

+3ω2[exp{hcω/(kT)}-1])

/[exp{hcω/(kT)}-1]2.です。

故に,{3-hcω/(kT)}exp{hcω/(kT)}

=3で,これが成立します。

よって,これはhcω/(kT)~2.8で成立します。

 

それ故,hcωmax~2.8kT.(1.32)を満たすωmax

で,エネルギー密度分布が最大になります。

これをWienの変位則といいます。

 

空洞内の光子(放射電磁波)の全エネルギー密度

(単位時間,単位面積当りの放射エネルギー)は,

0(ω)dω=∫0dω({hcω3/(π23)}

/[exp{hcω/(kT)}-1])

={k44/(π23c3)}

×∫0[x3/{exp(x)-1}]dx

=π244/(15c3c3).(1.33)となります。

※ここで,ゼータ関数の考察から,

0[x3/{exp(x)-1}]dx=π4/15となる

ことを用いました。

 

放射の全エネルギー密度がT4に比例する

というのは1879年に定式化された,

Stephan^Boltzmann(ステファン・ボルツマン)

の放射法則です。

 

(,t)を空洞内の放射場の全てのモード

から成る温度Tの全電場とすると,

0(ω)dω

={1/(2V)}∫(空洞)ε0|(,t)|2dV

(1.34)が成立しています。

 

(参考文献):Rodney.Loudon著

(小島忠宣・小島和子共訳)「光の量子論第2版」

(内田老鶴舗)

 

※例によって参考文献とか言いながら,元の著書

そのままの丸写しじゃないか。との批判がある

かも知れませんが,まあ,私自身の自己満足の

ウェブ日記でもあり,それでも,この種の専門書,

はそのまま読んでも浅学者には意味不明の不親切

な箇所がありがちで,私としては,そこを自分なりに,

わかりやすく書き下したつもりです。

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