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2019年8月 8日 (木)

光源(電球・蛍光灯・LED)(1)(電球)

前回は素朴な疑問としてエアコン,冷蔵庫などの

主要システムである熱交換器に関わる話をしました。

 

今回は,まず,世間ではエジソンが創ったと思われている

けれど,最初に発明したのはスワンという人物でエジソンは

フィラメントとして適切な物質の竹などを用いて実用化した

とされている電灯,白熱電球の話から始めて,蛍光管からLED

(発光ダイオード;ight emitting diode)まで,回路の電流に

より光(可視周波数帯の電磁波)が発生する原理を考察します。

 

今回の第1弾は,単純な電灯,電球です。

全体のストーリーは,次の通りです。

 

電気が流れて回転して戻ってくる回路という

モノを考えます。電気の通り道の役割をする導線

で回路をつくり,途中にロスに対抗して恒常的に

電流を流す電流源としてエネルギーを供給する

電池のような,「起電力」を持つ機器を挿入した

電気回路を想定して考察します。

 

 ただの電気の通り道として,は銅のように電気抵抗

が小さくエネルギーロスの少ない材質の金属導線を

使用し,逆に「ジュール熱」の発生を促して,それを

有用な機器として利用したい部分には,その用途に

応じて,ニクロムやタングステンなど抵抗が大きい

材質の導線をつなぎます。

 

発生した熱は,それを完全断熱の理想的保温容器

に閉じ込めない限り,伝導,対流.放射(輻射)によって

次第に逃散してゆきます。

特に,熱を得て有限な温度を持つどんな物体からも,

黒体輻射のプランク分布に比例した,波長-強度対応

で,多かれ少なかれ,あらゆる波長(周波数)の電磁波

を放射します。

この色-温度関係が黒体でない一般物質でも黒体

輻射のそれに形としては比例する,という性質が

「キルヒホッフの法則」として知られています。

 

放射される電磁波(光子)は波長が短かい方から

(周波数が高い=エネルギー大きい方から)順に

γ線,X線,紫外線,可視光線,赤外線.etc.という

名称が付いていますが,そのうち灯りとしての

使用目的で,可視光線が多く放射されることが

期待される抵抗導線部分を,外から見えるように

透明な壁で内部が真空な容器や希ガスの入った

容器を被せたモノが,(白熱)電球というわけです。

 

抵抗導線を閉じ込めても電磁波は内壁で完全反射

れない限り,透過して出てきますからね。

 

これだけのストーリーを説明するために,本ブログ

過去記事を再編集して「電気伝導まとめ(1),(2)」では.

「オームの法則」と「ジュール熱」発生のメカニズム

の詳細を,そして「黒体輻射(キルヒホッフの法則)」など

の過去記事を修正,再掲載して羅列しました。

これで全体説明の準備が完了したというわけです。

 

最終的には,平衡が保持されない放置の状態では

高温の物体からは(低温の物体でも)熱が逃げていくの

ですが,熱が失われてゆく手段には伝導,対流,放射しか

なくて,真空中や気体中に接触しないで逃げていく形態

は熱輻射(電磁波放射)の形だけです。

 

そして,それは先にも述べたように振動数(波長)に

よっては,赤外線,可視光,紫外線,X線と呼ばれる光線

を全て分布として含んでいるため,可視光も出ています

から,後は便利で効率よく利用できる機器に整えるだけ

です。

 

 

(※ 余談ですが空気や水の中で対流が起きるのは,

地球の重力(引力)のせいですね。一般に空気も水

も温度が高い方が軽く,低いほうが重いので,重力

落下で混合されるのは,高度が上の温度よりも下

の温度が高いとき,(気圧で言えば上空が高気圧で

低空の地上付近が低気圧のとき)でないと,対流は

生じません。

 

しかも,上の温度が低く,下の温度が高くても

温度差が小さい場合は,空気や水自体は静止して

いて,熱伝導だけの熱移動で,平衡状態を保つのに十分

なので対流は起きず,気象の意味では大気が安定した

状態にあるといわれます。

 逆に,地上が熱せられたりして,上下の温度差が大きく

なると,熱伝導だけでは熱移動が不十分になり,熱を持つ

空気や水自身も移動する必要性が生じて対流が起きると

いうわけです。

 

温度差がかなり大きいと急激な下降気流が起きます。

しかし,一方的に下降し続けるということはないので,下降

気流と上昇気流は,必ずセットで起こり,これが大気不安定

なときの対流現象です。

(※本ブログ過去記事「ベナール対流」参照)

 

水の場合,昔は岡山県の田舎の実家では五右衛門風呂

をマキで炊いて沸かしていたのですが,偶の一番風呂だと

上面が熱くても,その下は水のまま,ということもあって

まず,かき回して人工対流を起こしてから入ったのが昭和

30年頃のなつかしい思い出です。(以上,余談終わり※),

 

さて,全体のストーリーよりも少しだけ詳しく本題

を要約します。

 

まず,電気回路に電気を流すと,一般に導線部分には,

それが超伝導体でない限り,ゼロでない電気抵抗という

ものがあり,その大きさをオーム(Ω)という単位でRと

書くとき,回路に挿入した直流起電力,または,抵抗を

挿入した部分の端子間電圧(電位差)をV(ボルト)とし

そこを流れる電流をI(アンペア)とすればV=IR

という関係式が成立する,という「オームの法則」が

あります。

 

「電気伝導まとめ(1),(2)」では2006年6月の一連

の電気伝導の過去記事:「電気伝導(オームの法則)」

「電気伝導(つづき1)(ジュール熱)」,および,

「電気伝導(つづき2)(衝突の正体)」を再整理して,

アップし直しました。

 

「オームの法則」では,ブラウン運動などを規定する

確率過程で現われる,ラン・ジュバン(Langevin)方程式

m(d/dt)=-γ(t)という方程式が

ありますが,これのアナロジー的理論を展開しました。

 

この方程式は,水中で花粉が複雑な運動をする

のを,花粉の質量をm,速度をとして運動方程式

を立てたものです。

 

(-γv)は水の粘性抵抗を表わしたものですが

これは,水などの流体中に,ある半径aの小球がある

と仮定すると,巨視的に連続体と見なされた流体の

流れが遅いときには,これを変形速度が応力に比例

する,というNewton流体で近似して,接線応力のため

ηを粘性率として,小球は6πηaという値で評価

されるに比例した抵抗力を受けるという,

「ストークス(Stokes)の法則」の表現です。

(※ ↑2007年7/27,7/28の本ブログの過去記事:

「遅い粘性流(1),(2)(Stokes近似)」参照※)

 

また,水とは独立に花粉だけが受ける外力があれば,

それをFとします。

 

そして,普通量の水は微視的には莫大な個数の水分子

の集まりですから,花粉がそれらの水分子と絶えず

衝突することで受けると考えられる,我々には

確率的にしか評価できないと思われる乱雑な水の

分子運動由来の力をR(t)と書くとき,Newtonの

運動方程式は,巨視的見地,微視的見地を折衷した形

で,先述のLangevin方程式:

m(d/dt)=―γ(t)

で与えられると考えたわけです。

 

これは花粉に限らず,流体分子と比較できる

サイズの微粒子が水や空気などの流体中で複雑

なジグザグ運動をするのを,発見した人物の名を

とって「ブラウン運動」と呼びますが,これは

時間的に確率が変動する確率過程という現象の

解析に用いられる方程式です。

 

今の電荷の運動では,対象媒体の金属は常温では固体

であり,流体ではないですが,微視的には格子状に並ぶ

金属原子の集まりですから,金属原子の束縛から解放

された電子たちが陽イオンの海を流れるという描像で

流体中の微粒子のアナロジーとして考えます。,

 

電場がある場合の金属固体中の電荷eの電子

なら,金属格子の運動に起因するランダムな力は

平均的にはゼロで(t)=0であり,また,=e

です。(※Eは電場です。)

 

そして,巨視的な変形速度が応力に比例する粘生抵抗:

-γは,原子の束縛から解放された電子が古典論的

には陽イオンのイオン芯と衝突するとされ,量子論的

にはイオンの格子振動波のフォノンと衝突して,その

過程での電子の平均の自由運動時間を緩和時間;τと

定義して導入すれば.(-γv)は(-mv/τ)に

置き換えられて,先のLangevin方程式は

md/dt=eE-m/τと変更されるわけです。

 

これを満たすイオンと電子流の系が十分時間が

経って平衡に達し,電流が一定:d/dt=0と

なった場合には,e=τe2E/mとなり抵抗部分

の全体積:(LS)(断面積S,長さL)の中にN個の

可動電子が電荷eで存在すれば,数密度:

n=N/(LS)を用いて.電流密度は=nev

=nτe2/m.であり,これをJ=σE,

σ=ne2τ/mと書けば,σは電気伝導率です。

電流Iは,S=σSEですから.R=L/(σS)

と置けば,V=ELで,I=V/R,つまり,V=IRとなり,

σ=ne2τ/mからR=mL/(nSe2τ)と,電気抵抗:

Rの値が評価されます。

こうした形でオームの法則:V=IRが成立

することが説明されます。

 

そして,次の「ジュール熱」の項では,

まず,ポテンシャル(電位)V()(ボルト)を導入

して,電気力をeE=-∇(eV) と書きます。

 

「オームの法則」の項で与えた運動方程式は,

md/dt+∇(eV)=-m/τとなり,両辺

を乗じた結果,エネルギーの時間発展方程式:

(d/dt){(m2/2)+eV}=-m2/τを

得ます。これは,つまり,力学的エネルギー:

{(m2/2)+eV}が抵抗の存在のために保存

されず,単位時間に電子1個当り,(m2/τ)の

率で損失(ロス:散逸)があることを意味します。

 

これは,電流が一定の平衡に達してd/dt=0

となってもd(eV)/dt=-m2/τという形で

位置エネルギーの損失という形で残ります。

 

力学的エネルギー損失率の(m2/τ)は,N個の

電子では,Nm2/τですが,電場が一定でその方向

がx軸正なら,V()=-Ex+(定数)ですから抵抗

端子間の電位差を単にV(定数)とすればV=ELです。

 

また,前と同様,数密度;n=N/(LS)で電流密度J

=nev=σE(σ=ne2τ/m)と書くことが

できて,電流は,I=JS=nSev=σSE,Vです。

 

それ故,IV=(nSev)(EL)=NevEですが,

=τe2/mより,逆に,E=mv/(eτ)なので

IV=NevE=Nmv2/τを得ます。

 

右辺は,丁度先に評価した単位時間当りの

全エネルギー損失に一致していますから,結局,

このP=IVが.単位時間に抵抗部分から散逸

してゆくエネルギーを意味します。

 

これは,もちろん,力学的エネルギーではなく,

熱というモノを発生させるエネルギーですから,

「ジュール熱」と呼ばれるものです。また,

いわゆる「消費電力(Power)」とも呼ばれるモノで

単位はワット(W=J/sec)です。

 

そして,次の「衝突の正体」の項目では,古典的には

電気抵抗の原因となる緩和時間τを生じさせる衝突

散乱が,キャリアである金属内の自由電子近似の電子

が陽イオン芯と衝突であろうと推測されたモノが,

 

実は,格子状に並ぶ陽イオンの周期的ポテンシャルに

弱く束縛された「ブロッホ電子」が,静止したイオンの

格子群ではなく,量子的にはフォノンと呼ばれる運動

する格子:格子振動波にり進路を曲げられる散乱の結果

であることを述べました。

 

 その過程で,固体物理学では,こちらの方がより重要

かも知れない,格子ポテンシャルの周期性が原因で,

ブロッホ電子の取りえるエネルギー準位がバンド構造

を持ち,結果,固体が絶縁体,半導体,導体の電気的性質

をとるメカニズムを説いた「バンド理論」の概略に

ついても記述しました。

 

そして,また,超流動,超伝導現象の主因となるらしい

「ボーズ・アインシュタイン凝縮」の話や緩和時間の

定義を与える「ボルツマン方程式」についての過去記事

を復習しました。

 

「黒体輻射とキルヒホッフの法則」では,有限な空洞

(箱)の中にある絶対温度Tの物体からは,熱平衡では強度

の周波数(波長)への対応が,黒体輻射のプランクの分布に

比例した形で電磁波が放射(輻射)されることを述べました。

熱平衡になくても,温度が安定していれば,ほぼ同じです。

 

今回はこれで終わりです。

 

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コメント

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投稿: trollpdjfjkjdlkf | 2019年8月20日 (火) 22時51分

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