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2019年10月

2019年10月28日 (月)

光の量子論9

※[光の量子論8」の第2章 原子・放射相互作用の量子力学

の続きです。

※(余談)今回の記事では,最後に(注)として長い計算

をしました。

私は上京してきた1977年以来,コンピュータ歴ウン

十年といっても,数式などは紙に書かないと,ちゃんと

は計算できない,という性分でしたが,近年,いつの頃

からか?ワードの上でタイプして計算し,紙(ノート)

やペンが無くても長い計算が可能な頭になりました。

これだと,紙は節約になるし,眼が悪くても字が拡大

できるのは,いいのですが,やはり紙とペンでやるより.

間違う件数が多くなったかもしれません。

さて,日本代表のラグビーは終わりました。

去年夏サッカーのW杯のときも思いましたが,次頑張る

とかいわれても,私には4年後の次なんかは無いのでね。

(余談終わり※)

さて,本題です。

まず,§2.5のDiracのデルタ関数の項の続きです。

δ関数は次の基本的性質を持っています。

(ⅰ)δ(ω-ω0)=δ(ω0-ω).(2.67)(δは偶関数)

(ⅱ)δ(ω0-bω)=(1/|b|)δ(ω0/b-ω)(2.68)

(ⅲ)δ[(ω1-ω)(ω2-ω)]

={δ(ω1-ω)+δ(ω2-ω)}/|ω1-ω2|.(2.69)

の3つです。

※(注9-1):上記のδ関数の性質を証明します。

[証明]:(ⅰ)∫ω1ω2f(ω)δ(ω0-ω)dω=f(ω0)

ですが,ω’=-ωと置けばf(ω)=f(-ω’),

dω’=-dωで.ωのω1→ω2の移動に対して.

ω’は(-ω1)→(-ω2)と移動します。

故に,∫ω1ω2f(ω)δ(ω0-ω)dω

=∫-ω2-ω1f(-ω’)δ(ω0+ω’)dω’

f(ω0)=f(-(-ω0))=[f(-ω’)]ω’=-ω0

です。そこで,δ(ω0+ω’)=δ(-ω0―ω’)

よって,ω’=-ωに戻すと,δ(ω0-ω0)

=δ(-ω0+ω)=δ(ω-ω0)を得ます。

(ⅱ) ∫ω1ω2f(ω)δ(ω0-bω)dωを考えます。

これにおいて,x=bωと置くと,dω=dx/bであり,

ωのω1→ω2の移動に対してxの移動は,bω1→bω2

です。

故に,与式=(1/b)∫bω1bω2f(x/b)δ(ω0-x)dx

ω2>ω1ですからb>0ならbω2>bω1より,右辺

=(1/b)f(ω0/b)ですが,b<0ならbω2<bω1

なので,与式=-(1/b)∫bω2bω1f(x/b)δ(ω0-x)dx

=-(1/b)f(ω0/b)です。

したがって,δ(ω0-bω)=(1/|b|)δ(ω0/b-ω)

を得ました。

(ⅲ)∫ω1ω2f(ω)δ[(ω1-ω)(ω2-ω)]d ω

=∫ω1ω2f(ω)δ[ω2-(ω1+ω2)ω+ω1ω2]d ω

=∫ω1ω2f(ω)δ[{ω-(ω1+ω2)/2}2-{(ω1-ω2)/2}2]

d ωですが,ここでx={ω-(ω1+ω2)/2}2と置きます。

dx=2{ω-(ω1+ω2)/2}dω=±2x1/2dωであり,

ω<(ω1+ω2)/2なら,x1/2=-ω+(ω1+ω2)/2

(x1/2:(ω2-ω1)/2→0)で,ω=-x1/2+(ω1+ω2)/2,

dω=-(1/2)x-1/2dxです。

一方,ω>(ω1+ω2)/2なら,x1/2=ω-(ω1+ω2)/2

で(x1/2:0 →(ω2-ω1)/2),ω=x1/2+(ω1+ω2)/2,

dω=(1/2)x-1/2dxです。

そうして,ωのω1→(ω1+ω2)/2 →ω2の移動に対し,

xは,{(ω1-ω2)/2}2 → 0 → {(ω1-ω2)/2}2tと,ωの

2次曲線上を最小値0を通って往復します。

ω1ω2dω=∫ω1(ω1+ω2)/2dω+∫ω1(ω1+ω2)/2dω

=-(1/2)∫{(ω1-ω2)/2}2 0-1/2dx+(1/2)∫0 {(ω1-ω2)/2}

-1/2dx となります。

それ故,∫ω1ω2f(ω)δ[(ω1-ω)(ω2-ω)]d ω

=∫ω1ω2f(ω)δ[{ω-(ω1+ω2)/2}2-{(ω1-ω2)/2}2]

dω=(1/2)∫0 {(ω1-ω2)/2}[δ[x-{(ω1-ω2)/2}2]x-1/2

×{f(-x1/2+(ω1+ω2)/2)+f(x1/2+(ω1+ω2)/2)}]

dx なる等式を得ます。

 

ω2>ω1で,x={(ω1-ω2)/2}2のときは,常に

1/2=≧0より,x1/2=(ω2-ω1)/2 なので.上式

の右辺={f(ω1)+f(ω2)}/(ω2-ω1)が得られます。

したがって,ω2>ω1または,ω1>ω1の一般の場合,

δ[(ω1-ω)(ω2-ω)]

={δ(ω1-ω)+δ(ω2-ω)}/|ω1-ω2|を得ます。

(証明終わり)   (注9-1終わり※)

 

さて,B係数を導く際に,遷移の時間tが(1/ω0)や

(1/Δω)に比べて長い場合に成立する式:(2.48)から

得られる解を採用しました。

すなわち,前々回の記事「光の量子論7」では,光の

ビーム:W(ω)の存在下で時間tの間の1→2の遷移確率

が.|C2(t)|2={2e2|X12|2/(ε0c2)}W(ω)(Int)(2.45)

で与えられるという一般解を得ました。ただし,(Int)は

積分因子で,Int=∫ω0-Δω/2ω0+Δω/2[sin2{(ω-ω0)t/2}

/(ω-ω0)2]dω(2.46)で与えられます。

この式で,tΔω>>1(t>>1/Δω)の場合には,

Int~∫-∞dω1[sin21t/2)/ω12]=πt/2.(2.48)

なる近似が成立する,と書きましたが,その際,

この解をB係数の評価式として採用しました。

ところで,|C2(t)|2={2e2|X12|2/(ε0c2)}W(ω)

×(Int)(2.45)なる表式は,元々確定値ω0における表式

(2.42)|C2(t)|2~|Ω|2sin2{(ω-ω0)t/2}/(ω-ω0)2

に,原子は広帯域照射を受けているというアインシュタイン

理論の基礎仮定を採用しω0の不確定さΔωを考慮して,

この表式をω0を遷移周波数の中心とするωのある範囲

にわたって積分したものです。

つまり,|C2(t)|2=|Ω|2sin2{(ω-ω0)t/2}/(ω-ω0)2

において,Ω­=eE012/hcと,(1/2)ε002=∫W(ω)dω

を利用して,|C2(t)|2={2e2{X12|2/(ε0c2)}

×∫ω0-Δω/2ω0+Δω/2[W(ω)sin2{(ω-ω0)t/2}

/(ω-ω0)2]dω としたものです。

 

 

(1/ω0),(1/Δω)は,光の吸収を実験的に観測するとき,

それを制御する特有の時間です。

これがゼロに近づくtの長時間極限では,(2.59)のδ関数

という記号:δ(ω0-ω)

=(2/π)limt→∞sin2{(ω0-ω)t/2}/{(ω0-ω)2t}

を用いると,t→∞の長時間極限で.元の(2.42)式の

|C2(t)|2=|Ω|2sin2{(ω-ω0)t/2}/(ω-ω0)2

を,|C2(t)|2=(π/2)|Ω|2tδ(ω0-ω)

(2.70)という形に書くのが適切ということになります。

 

※(注9-2);上でDiracのδ関数を記号と呼んだのは,

その性質の証明などでは,これを普通の積分可能な関数の

ように,置換積分法などが適用可能として扱いましたが,,

これは,数学的には関数の範疇には入らず,積分記号無し

では意味のない記号のようなものという意味です。

現代的には,Schwartzのdistributionと呼ばれるもの,

または,佐藤の超関数(hyperfunction)と呼ばれるものに

代表される汎関数として定義される超関数の一種です。

(注9-2終わり※)

 

さて,(2.70):|C2(t)|2=(π/2)|Ω|2tδ(ω0-ω)の

結果は,Hamiltonianの時間に依存する部分がcos(ωt)

に比例し,周波数ωがω0のまわりに連続的分布する如何

なる遷移過程にも適用できて,行列要素Ωだけが過程に

よって異なります。そして,δ関数は積分の中にある

ときに限って意味を持ちます。

 

  • 2.6 光学Bloch方程式

(2.31),(2.32)の方程式:

Ωcos(ωt)exp(-iω0t)C2=i(dC1/dt),

Ωcos(ωt)exp(iω0t)C1=i(dC2/dt)

は,(2.8)の波動関数の表現:Ψ(,t)

=C1(t)Ψ1(,t)+C2(t)Ψ2(,t)における

両係数C1,C2の定義と合わせて,振動電場と相互

作用する2準位原子の状態の厳密な記述を与えます。

しかし,すぐ前の§2.3では周波数ωの分布がω0

の付近で滑らかな解を場合の(2.31),(2.32)の解を

問題としていました。

そして,解はΩ or E0についての低次項だけを

拾ったという意味で近似解であり,(2.42)の表式:

|C2(t)|2=|Ω|2sin2{(ω-ω0)t/2}/(ω-ω0)2は,

回転近似と呼ばれる近似式です。

 

そこで,以下では(2.31),(2.32)のより一般的な解

を探すことにします。

しかし,やはり回転波近似を行ないますが.Ω or E0

の全ての次数の項を拾います。さらに,入射光は,単一

周波数ωの振動電場を持った単色光であると仮定します。

ビーム周波数ωに分布があれば,その効果は,単色光

に対する結果を平均すれば得られます。

ここで,原子密度行列:(ρij)の4つの要素を,

ρ11=|C1|2=N1/N,ρ22=|C2|2=N2/N.(2.71)

ρ12=C1221=C21.(2.72)で定義します。

対角要素:ρ1122は明らかに実数であり,規格化

の条件:|C1|2+|C2|2=1の要求は,ρ11+ρ22=1

(2.73)となります。(※ ρij=Cij;i,j=1,2)

原子集団ではN1=N|C1|2,N2=N|C2|2によって,

これらは,2準位内の平均数と結び付いています。

 非対角要素は複素数であり,ρ21=ρ12(2.74)

を満たします。

そして,密度行列が従う方程式は,

dρij/dt=Ci(dCj/dt)+Cj(dCi/dt)

(2.75)です。

故に,dρ22/dt=-dρ11/dt

=-C1(dC1/dt)-C1(dC1/dt)

=-iΩcos(ωt)exp(iω0t)ρ12

+iΩcos(ωt)exp(-iω0t)ρ21

=-icos(ωt){Ωexp(iω0t)ρ12

+iΩexp(-iω0t)ρ21}.(2.76) と書けます。

同様にして,dρ12/dt=-dρ21/dt

=iΩcos(ωt)exp(-iω0t)(ρ11-ρ22).(2.77)

を得ます。

これらは,密度行列に対する厳密な方程式ですが,

ここで回転波近似を施します。すなわち,cos(ωt)

=(1/2){exp(iωt)+exp(-iωt)}を代入し,

結果.ω~ω0より,exp{±i(ω0-ω)t}の項だけを

残しexp{±i(ω0+ω)t}の項を無視する近似をして,

dρ22/dt=-dρ11/dt

=(-i/2)Ωexp{i(ω0-ω)t}ρ12

+(i/2)Ωexp{-i(ω0-ω)t}ρ21.(2.78)

dρ12/dt=dρ21/dt

=(i/2)Ωexp{-i(ω0-ω)t}(ρ11-ρ22)(2.79)

が得られるわけです。

これは,「光学Bloch方程式」と呼ばれるもの

として知られており,振動磁場内のスピンの運動を

記述するためにBlochが導出したものと同類のもの

です。それは,ここで考察した2準位原子の量子力学

が,形式の上では同じ2自由度のスピン:1/2の系の

ものに全く等しい,からです。

 

  • 2.7 Rabi振動

上記最後の方程式(2.78),(2.79)は,これ以上の近似

無しで解くことができます。これらは,原子密度行列の

4つの要素に対する4つの連立方程式系を成しています。

試行解として,ρ11(t)=ρ11(0)exp(λt)(2.80a),

ρ22(t)=ρ22(0)exp(λt)(2.80b),

ρ12(t)=ρ12(0)exp{-i(ω0-ω)t}exp(λt)(2.80c),

ρ21(t)=ρ21(0)exp{i(ω0-ω)t}exp(λt)(2.80d)

を代入すると,4成分の縦ベクトル:

ρ^(0)=[ρ11(0)22(0)12(0), ρ21(0)]に対し,

[-λ,0,(i/2)Ω,(-i/2)Ω]ρ^(0)=0.(2.81a),

[0,-λ,(-i/2)Ω,(i/2)Ω]ρ^(0)=0.(2.81b),

[(i/2)Ω,(-i/2)Ω,i(ω0-ω)-λ,0]ρ^(0)

=0 .(2.81c),

[(-i/2)Ω,(i/2)Ω,0,-i(ω0-ω)-λ]ρ^(0)

=0 .(2.81d)

なる(4×4行列)×ρ^(00の方程式を得ます。

このとき,λの取り得る値は,これがρ^(00という

自明な解以外の解を持つという条件から決まります。

そこで,方程式の係数行列の行列式=0から,

λ22+(ω0-ω)2+|Ω|2}=0.(2.82)なる

特性方程式を得ます。(※ 上式の導出=行列式の計算

の過程は省略そます。)

 この方程式の相異なる3根は,

λ1=0,λ2=iΩ13=-iΩ1.(2.83)で与えられます。

ただし,Ω1={(ω0-ω)2+|Ω|2}1/2.(2.84)です。

(※Ωは複素数ですがΩ1は実数であることに注意)

したがって,密度行列要素に対する最も一般的な解は,

ρij(t)=ρij(1)+ρij(2)exp(iΩ1t)+ρij(3)exp(-iΩ1t)

(2.85)で与えられるはずです。

ところが,この一般形は(2.80)で仮定した形の

ρ11(t)=ρ11(0)exp(λt),ρ22(t)=ρ22(0)exp(λt),

ρ12(t)=ρ12(0)exp{-i(ω0-ω)t}exp(λt),

ρ21(t)=ρ21(0)exp{i(ω0-ω)t}exp(λt)

についてのλが満たすべき方程式が上記特性方程式

なので,実は非対角要素には,さらに振動的な指数関数

因子が加わります。

つまり,対角要素は,(2.85)そのままの形で,

ρ11(t)=ρ11(1)+ρ11(2)exp(iΩ1t)+ρ11(3)exp(-iΩ1t),

ρ22(t)=ρ22(1)+ρ22(2)exp(iΩ1t)+ρ22(3)exp(-iΩ1t)

ですが,非対角要素は,上記の仮定:(2.80)により

ρ12(t)=exp{-i(ω0-ω)t}

×[ρ12(1)+ρ12(2)exp(iΩ1t)+ρ12(3)exp(-iΩ1t)]

ρ21(t)=exp{i(ω0-ω)t}

×[ρ21(1)+ρ21(2)exp(iΩ1t)+ρ21(3)exp(-iΩ1t)]

となります。

 

※(注9-3):特性方程式の解が重根の場合,

それがλ=α≠0なら,それに属する独立な2つの解

としては,exp(αt)の他に,texp(αt)をとることが

できます。この重根がα=0なら,独立解は1とtです。

しかし,今の場合,ρ21(t)=ρ12(t)を考慮すると,

4つの成分のうち独立なのは,ρ11(t),ρ22(t),ρ12(t)

の3つだけと考えられますから,係数行列は3×3で十分

と考えて,λ=λ1=0は真の重根ではなく単根であり1

(定数)のみが,それに属する独立解です。

さらにρ11(t)+ρ22(t),=1の条件をも考慮すれば,

実は独立成分は2つだけです。

しかし,取り合えず,4つの成分全てについて対角要素は

ρ11(t)=ρ11(1)+ρ11(2)exp(iΩ1t)+ρ11(3)exp(-iΩ1t),

ρ22(t)=ρ22(1)+ρ22(2)exp(iΩ1t)+ρ22(3)exp(-iΩ1t)

となり,非対角要素は,

ρ12(t)=exp{-i(ω0-ω)t}

×[ρ12(1)+ρ12(2)exp(iΩ1t)+ρ12(3)exp(-iΩ1t)]

ρ21(t)=exp{i(ω0-ω)t}

×[ρ21(1)+ρ21(2)exp(iΩ1t)+ρ21(3)exp(-iΩ1t)]

となるとしておきます。(注9-3終わり※)

 

さて,λ=λ1=0に対応する定数項は解を光学Bloch

方程式に代入し返せば決まるはずです。

また,λ2=iΩ13=-iΩ1で,Ω1={(ω0-ω)2+|Ω|2}1/2.

ですから,|Ω|2の存在のため原子と光ビーム結合系での

周波数Ω1は,結合がないときの,それぞれの値:ω0やωとは

異なります。

そして,|Ω|2はビームの振動電場の振幅:|E0|の2乗に

比例するので,この結合系の周波数のシフトと分裂は,静電場

を印加したときの原子のエネルギー準位のシフトと分裂から

の類推により,動的シュタルク(Stark)効果と呼ばれています。

これは後の第8章で述べる予定の「共鳴蛍光スペクトル」

の観測にかかる重要な効果をもたらすものです。

 

光学Bloch方程式の解は,任意の初期条件の場合は,

甚だしく長くなるので,以下の議論は特別な場合に限る

ことにします。

※(注9-4);密度行列に対する厳密な方程式:(2.78),(2.79)

の解は.初期条件がρ22=0,ρ12=0(※C2=0)(2.86)の場合,

ρ22=(|Ω|212)sin21t/2).(2.87)

ρ12=exp{-i(ω0-ω)t}(Ω/Ω12)sin(Ω1t/2)

×{-(ω0-ω)sin(Ω1t/2)+iΩ1cos(Ω1t/2)}.(2.88)

となることを証明します。

[証明]:まず,ρ22の一般解:

ρ22(t)=ρ22(1)+ρ22(2)exp(iΩ1t)

+ρ22(3)exp(-iΩ1t)において,初期条件;

ρ22(0)=0より,ρ22(1)+ρ22(2)+ρ22(3)=0です。

また,ρ12の一般解:ρ12(t)=exp{-i(ω0-ω)t}

×[ρ12(1)+ρ12(2)exp(iΩ1t)+ρ12(3)exp(-iΩ1t)]

において,初期条件;ρ12(0)=0より

ρ12(1)+ρ12(2)+ρ12(3)=0です。

ここで,Bloch方程式に,これらの一般解を代入して,

それに,条件:ρ11=1-ρ22より,ρ11-ρ22=1-2ρ22,

および,ρ21=ρ12を適用します。

 

まず,(2.78)のdρ22/dt=-dρ11/dt

=(-i/2)Ωexp{i(ω0-ω)t}ρ12

+(i/2)Ωexp{-i(ω0-ω)t}ρ21は.

1ρ22(2)exp(iΩ1t)-iΩ1ρ22(3)exp(-iΩ1t)

=(-i/2)Ω

×{ρ12(1)+ρ12(2)exp(iΩ1t)+ρ12(3)exp(-iΩ1t)]

+(i/2)Ω

×{ρ12(1)*+ρ12(2)*exp(-iΩ1t)+ρ12(3)*exp(iΩ1t)]

(A1)と書けます。

次に,(2.79)の,dρ12/dt=dρ21/dt

=(i/2)Ωexp{-i(ω0-ω)t}(ρ11-ρ22)は.

-i(ω0-ω)exp{-i(ω0-ω)t}ρ12(1)

+i{Ω1-(ω0-ω)}exp[i{Ω1-(ω0-ω)}t].

-i{Ω1+(ω0-ω)}exp[-i{Ω1+(ω0-ω)}t]ρ12(3)

=(i/2)Ωexp{-i(ω0-ω)t}

×[1-2{ρ22(1)+ρ22(2)exp(iΩ1t)+ρ22(3)exp(-iΩ1t)}],

すなわち,-i(ω0-ω)ρ12(1)

+i{Ω1-(ω0-ω)}exp(iΩ1t)ρ12(2)

-i{Ω1+(ω0-ω)}exp(-iΩ1t)ρ12(3)

=(i/2)Ω

[1-2{ρ22(1)+ρ22(2)exp(iΩ1t)+ρ22(3)exp(-iΩ1t)}]

(A2)と書けます。

そして,(A1)からは,まず,Ωρ12(1)-Ωρ12(1)*=0.(A3),

つまり,Ωρ12(1)は実数である,という結果を得ます。

また,Ω1ρ22(2)=-(1/2)(Ωρ12(2)-Ωρ12(3)*)(A4),

かつ,Ω1ρ22(3)=(1/2)(Ωρ12(3)-Ωρ12(2)*).(A5)を

得ます。

一方,(A2)からは,まず,

-(ω0-ω)ρ12(1)=(1/2)Ω(1-2ρ22(1))より,

ρ22(1)=1/2+{(ω0-ω)/Ω}ρ12(1)(A6)を得ます。

次に,{Ω1-(ω0-ω)}ρ12(2)=-Ωρ22(2)(A7),

かつ,{Ω1+(ω0-ω)}ρ12(3)=Ωρ22(3)(A8)

も得られます。

さて,Ωρ22(2)=-{Ω1-(ω0-ω)}ρ12(2)(A5),

および.Ωρ22(3)={Ω1+(ω0-ω)}ρ12(3)(A6)

を得ます。と書きました。

ところが,ρ22(2)+ρ22(3)=-ρ22(1)

かつ,ρ12(2)+ρ12(3)=-ρ12(1)なので,これは,

Ωρ22(1)=(ω0-ω)ρ12(1)+Ω112(2)-ρ12(3))

を意味します。

一方,Ωρ22(1)=Ω/2+(ω0-ω)ρ12(1)

ですから,(ω0-ω)ρ12(1)+Ω112(2)-ρ12(3))

=Ω/2+(ω0-ω)ρ12(1),つまり,ρ12(2)-ρ12(3)

=(1/2)(Ω/Ω1)が得られます。

以上から,Ωρ22(1)=(ω0-ω)ρ12(1)

+Ω112(2)-ρ12(3))=(ω0-ω)ρ12(1)+Ω/2です。

これと,ρ12(2)+ρ12(3)=-ρ12(1)から,辺々加えて

12(2)=(1/2)(Ω/Ω1)-ρ12(1)(A7),また後の式から

前の式を引いて,2ρ12(3)=-(1/2)(Ω/Ω1)-ρ12(1)(A8)

です。しかし,これらは,これ以上,何も新しい式を生まない

ことがわかりました。これ以上の変形をしてもトートロジー

なので,この手順は,ここで停止です。

そこで,次策として,取り合えず,

ρ22=ρ22(1)+ρ22(2)exp(iΩ1t)+ρ22(3)exp(-iΩ1t)

に戻って,このρ22=|C2|2が実数であることに着目します。

つまり,ρ22=ρ22なので,

ρ22(1)+ρ22(2)exp(iΩ1t)+ρ22(3)exp(-iΩ1t)

=ρ22(1)*+ρ22(2)*exp(-iΩ1t)+ρ22(3)*exp(iΩ1t)

です。

それ故,ρ22(1) =ρ22(1) *は実数であること,および,,

ρ22(2)=ρ22(3),かつ,ρ22(3)=ρ22(2)*であることが

わかります。故に,ρ22(2)=a+ib(a,bは実数)と置けば,

ρ22(3)=a-ibです。そして,さらに.Ωρ12(1)=c(実数)

と置きます。

すると,まず, ρ22(1)=-(ρ22(2)+ρ22(3))=-2a

(実数)と書けます。

また,前に得た式:Ωρ22(1)=(ω0-ω)ρ12(1)+Ω/2

により,|Ω|2ρ22(1)=c(ω0-ω)+|Ω|2/2なので,

-2a=c(ω0-ω)/|Ω|2+1/2,

あるいは,a=-1/4-(c/2)(ω0-ω)/|Ω|2という

aとcの関係式が得られます。

他方.Ω12(2)+ρ12(3))=-Ωρ12(1)=-c

Ω12(2)-ρ12(3))=(1/2)(|Ω|21)ですから,

Ωρ122) =(1/4)(|Ω|21)-c/2(実数)(A7)

Ωρ12(3) =-{(1/4)(|Ω|21)+c/2}(実数)

(A8)です。

また,先の(A5),(A6)は,,

|Ω|2ρ22(2)=-{Ω1-(ω0-ω)}Ωρ12(2).

|Ω|2ρ22(3)={Ω1+(ω0-ω)}Ωρ12(3)です。

 

そこで,結局,cかaの一方の具体的な値がわかれば,

ρ12(1)=c/Ωとρ22(1)=-2aだけでなく,(A7)(A8)

から,Ωρ122)ρ122)がわかり,それから芋づる式に,

(A5),(A6)から|Ω|2ρ22(2),|Ω|2ρ22(3)もわかるので,

ρ12とρ22の全ての定係数が決まるので,解が定まって

問題は完全に解決します。

 

それ故,以下,これら以外の式からaまたはcを導出

することを試みます。

まず,2ib=ρ22(2)-ρ22(3)ですから,

2ib|Ω|2=|Ω|222(2)-ρ22(3))

=-{Ω1-(ω0-ω)}Ωρ12(2)-{Ω1+(ω0-ω)}Ωρ12(3)

=-Ω1Ω12(2)+ρ12(3))+(ω0-ω)Ω12(2)-ρ12(3))

です。つまり,cΩ1+(ω0-ω)Ω12(2)-ρ12(3))

=2ib|Ω|2ですが,Ω12(2)-ρ12(3))=(1/2)(|Ω|21)

であり,これは実数なのでcΩ1+(1/2)(ω0-ω)(|Ω|21)

=2ib|Ω|2(となり(実数)=(純虚数)と書けることになります。

これが成立するには両辺ともゼロであることが必要十分であり,

特にb=0です。

左辺=0からは,c=-(1/2)(ω0-ω)(|Ω|212)を得ます。

かくして,cの値が決定されました。

 

したがって,まず,aをcで表わす関係式;

a=-1/4-(c/2)(ω0-ω)/|Ω|2により,

a=-1/4+(1/4)(ω0-ω)212

={1/(4Ω12)}{(ω0-ω)2-Ω12}を得ます。

ところが,(2.84)のΩ1の定義:Ω1={(ω0-ω)2+|Ω|2}1/2

によれば.(ω0-ω)2-Ω12=-|Ω|2です。

そこで,結局,b=0より,ρ22(2)=ρ22(3)=a=-|Ω|2/(4Ω12)

を得ます。さらに,ρ22(1)=-2a=|Ω|2/(2Ω12)も得られます。

 

一方,Ωρ12(2)=(1/4)(|Ω|21)-c/2

=(1/4)(|Ω|212){(ω0-ω)+Ω1}によって,

ρ12(2)=(1/4)(Ω/Ω12){(ω0-ω)+Ω1}であり,,

Ωρ12(3)=-{(1/4)(|Ω|21)+c/2}

=(1/4)(|Ω|212){(ω0-ω)-Ω1}によって,

ρ12(3)=(1/4)(Ω/Ω12){(ω0-ω)-Ω1}を得ます。

最後に,ρ12(1)=c/Ω=-(1/2)(Ω/Ω12)(ω0-ω)

です。

以上から,

ρ22=ρ22(1)+ρ22(2)exp(iΩ1t)+ρ22(3)exp(-iΩ1t)

=|Ω|2/(2Ω12)[1-(1/2)|exp(iΩ1t)+exp(-iΩ1t){}

=||Ω|2/(2Ω12)}{1-cos(Ω1t)}です。

すなわち,ρ22(t)=(|Ω|212)sin21t/2)

を得ました。

また, ρ12exp{i(ω0-ω)t}

=ρ12(1)+ρ12(2)exp(iΩ1t)+ρ12(3)exp(-iΩ1t)

=-(1/2)(Ω/Ω12)(ω0-ω)

+(1/4)(Ω/Ω12){(ω0-ω)+Ω1}exp(iΩ1t)

+(1/4)(Ω/Ω12){(ω0-ω)-Ω1}exp(-iΩ1t)

=-{Ω/(2Ω12)}(ω0-ω){1-cos(Ω1t)}

+{Ω/(4Ω1)}{2isin(Ω1t)}

=-(Ω/Ω12)}(ω0-ω)sin21t/2)

+{Ω/Ω1)isin(Ω1t)cos(Ω1t/2)

故に,ρ12(t)=(Ω/Ω12)exp{-i(ω0-ω)t}

sin(Ω1t/2)[-(ω0-ω)sin(Ω1t/2)+iΩ1cos(Ω1t/2)]

が得られます。(証明終わり)  (注9-4終わり※)

 今回は計算が長くなったので,ここまでにします。(つづく)

(参考文献):Rodney Loudon 著

(小島忠宣・小島和子 共訳)

「光の量子論第2版」(内田老鶴舗)

 

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2019年10月20日 (日)

雑感(つづき)

10/8に最近の雑感を箇条書きで書きました。

(1)2020東京オリンピック

何故,無理してまで,アスリートだけでなく観客

も含め,熱中症など危険が予測される,特に近年の

日本の夏=灼熱と多湿の季節にあえて屋外競技を

強行するのか?疑問です。単純な解決策は1964年の

ときと同じく開催を秋にすることです。主だった欧米

諸国の希望?バカンス時期に合わせたとか,いろいろな

都合もあるのでしょうが。。健康第一です。

と書きましたが,まさか,時期でなく場所の方を札幌

に変えろと一方的に決められるとは?驚きました。

東京オリンピックなのに札幌で,この時期で,そこまで

の変更の余地があるなら,スポンサーである米放映権など

無視して,時期の方を台風も終わる10月末頃に変えた方

現実的な策だと思います。

東京周辺の夏が暑くて,選手も観客も危険だ,というなら

トライアスロンやゴルフ,サッカーなど,長時間の屋外競技

は全てそうですし,マラソンと競歩だけ場所変更というのも

変な話です。

一方,経済効果を無視して場所じゃなく時期を延期すれば.

健康面や施設の準備も含めて.ほぼ全て解決です。それでダメ

というなら,いまどきは前と違ってオリンピック立候補をやめる

都市も続出のようですから,返上すると脅迫するのもいいかも。。

日本だって8月は高校野球やインターハイにプロ野球(ナイター)

などの最盛期だし,10月末頃ならシーズンオフで,適切なのでは?

極端な話.冬だって水泳ができて,逆に夏だってスキーやアイス

スケートでも可能な時代だし,どうしても米の都合に合わせるのが

必要なら,もう,これからは南半球での開催しかないでしょう。

 

(2)太陽光発電の勧め,を書いていたら,丁度30年くらいも前の

リチウム電池の開発で,吉野さんがノーベル化学賞をもらうという

タイムリーな出来事がありました。

コスト削減,かつ大量蓄電可能なモノを最先端の技術者が

本気で研究すれば,化石燃料も放射性核も不要で十分な電力の

供給を可能にできる道が開けるのでは?と改めて思いました。

 

最後に,台風,大雨洪水の警報ですが,地震刑法も含め,本当に

人命のため避難が必要で,避難所に移動するのも命に危険な

可能性がある場合,本気で助ける気があるのなら,歩けない人

でも何でも窓口に来るのを待ってるという,お役所仕事的対応

じゃなく,人も車も大いに不足なのは承知なのですが,何とか

各戸をまわって,直接避難の必要性を説き,避難所までの移動

の手助けまで,しないと,犠牲者はなくならないと思います。

情報を耳や目に伝えても,人が実際に行動に出る,というのとは

雲泥の差があるので,自己責任が基本とはいっても,後からヘリ

などで救助するよりも,予め誰かが手を引っ張ってでも助ける,と

いう行為があってもいいと思うのですが。。。

まあ,こんなこと言いながらも自らが歩行困難で,天災に逢あったら

半分以上は諦める,他人任せの無責任ジジイです。

実際は,ヨソの被害は「対岸の火事」で,目下の興味はラグビー

いうような罰当たりなのですが。。。

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2019年10月12日 (土)

光の量子論8

※第2章 原子・放射相互作用の量子力学

の続きです。

※(余談)このブログをアップする時点で10/12に入った

真夜中です。まもなく,関東に大きい台風が来るらしい

ですが,ほぼ寝たきり生活の死に損ないジジイなので,

自分のことダケであれば,あまり気にしません。

15日に2ヶ月分の年金が入る予定で.まだ今月の家賃

も払っていません。ここ西巣鴨に引っ越してきたのは,

6年間住んでいた,巣鴨駅から健康な足で徒歩10分の

アパートの建てかえ,立ちのきのせいで,やむなく

2016年の10月に移ってきたので,ほぼ3年経ちました

が.以来,偶数月の家賃は僅かながら年金が入るまで常に

未払いですが,家主も管理会社も優しいのか,前に住んで

いたときの管理のエイブルと違って,義務的であろう家賃

の催促のクレームもないので助かっています。まあ,催促

されてもギリギリで暮らしていて,無いソデは振れません

が。。その代わり,次の奇数月は前月の残りの金で期限通り

に払っています。ときどき入院していても,支払いはネット

バンクからしているので,幸い半月以上の滞納はゼロです。

というわけで,年金前の今頃が最も金欠で食べ物も食事用

のモノくらいしかなく,好きな間食もできず,仕方なくブログ

書きなどに集中するしか,他に能動的なことはできないため,

入院中を除いて,大体2ヶ月ごとの金欠時期にブログ記事アップ

が増えるわけです。

村上春樹さん,また,ノーベル賞ダメでしたね。

まあ,アインシュタインもノーベル賞をもらったけど,

「相対性理論」にじゃなく,光量子論でしたかね。

大体,賞を選ぶ側が選ばれる側を正しく評価できるほど

優秀とは限らないので,お金が欲しいなら別ですが,ガッカリ

することもないような。ノーベル賞より上だから選ばれない

とかね。。(余談終わり※)

さて,本論に入ります。

  • 2.4 B係数の表式

多数存在する同種の原子数をNとし,それらに

同時に相互作用H1が加わったとします。

これらの原子は,時刻tで,ψ1に見出される確率

|C1|2と,ψ2に見出される確率:|C2|2を持ちます。

それ故,2つの状態にある平均粒子数は,それぞれ,

1=N|C1|2N,N2=N|C2|2.(2.50)となります。

同種の原子,または分子から成る気体であっても,

対応する電子状態の空間的配向は,原子(分子)から,

次の原子(分子)へと不規則に変化します。

前にx軸の正の向きにとった電磁波の電場の向き

の単位ベクトルをεとします。

すると,行列要素X12はX12εD12.(2.51)と,

書けます。ただし,12=∫ψ1ψ2dV(2.52)です。

与えられた1対の状態ψ1とψ2に対して,D12は,

空間的に,ある方向を向きますが,原子(分子)の配向が

乱雑なため,それは気体中では不規則な運動をします。

12と電場の単位ベクトルεのなす角をθとすると,

|X12|2を求めるための配向による平均は,<cos2θ>

=1/3.(2.53)で与えられる,cos2θの平均値を含んで

います。

※(注8-1):実際,具体的に計算すると,<cos2θ>

=∫-11d(cosθ)cos2θ/∫-11d(cosθ)=(2/3)/2

=1/3 です。(注8-1終わり※)

こうして,前記事の,|C2(t)|2=πe2{X12|2

×W(ω)t/(ε0c2)(2.49)の因子:|X12|2を,

<|X12|2>=(1/3)|12|2.(2.54)に置換する必要

があることがわかります。

そこで,前記事で得たB係数の評価式:(2.49)

のB12=πe2{X12|2/(ε0c2)と上の(2.54)から,

12=πe2{12|2/(3ε0c2).(2.55)という,

アインシュタイン係数に対する量子力学による

結果が得られます。

 

入射電磁波を遮断すると,H1は無くなるので,

ψ12はHだけから成る全Hamiltonianの定常

状態に戻ります。

(※H=T+V:原子のHamiltonianです。)

仮に,状態2が状態1よりエネルギーが低くても,

本章の議論では,入射ビ-ム照射が無いと1から2

への遷移は起こることが無いと結論されます。

何故なら,本章の「半古典的方法」では自発放出の

過程を含まないからです。

その過程を含む満足な扱いをするには,量子力学に

よる「放射場(量子化された輻射場)」を用いる必要

があります。ですが,そうした扱いは第5章までは

Pendingとします。

 

しかしながら,自発放出のA係数の正しい表式は,

既に,第1章の§1.6 (本ブログでは光の量子論2)

で,熱平衡の場合のアインシュタインの現象論を空洞

放射のPlanckの法則と比較することから,

21={hcω3/(π23)}B21(1.51),および,

(g1/g2)B12=B21.(1.50)なる式として得ています。

 

これに,上の(2.55)のB12=πe2|12|2/(3ε0c2)

とω~ω0を代入すれば,A21={hcω03/(π23)}

×(g1/g2){πe2|12|2/(3ε0c2)},すなわち,

21={g12ω03|12|2|/(3πε02c3)}.(2.56)

 

これからA係数の値は水素原子の場合には容易に

計算できます。

状態1を1s,状態2を2p状態として1と2の間

の遷移を考えます。1s状態と遷移速度が等しい3つ

の2p状態があり,それらを合成したB12係数は(2.55)

で与えられた,B12=πe2{12|2/(3ε0c2)の3倍の値

を有し,その場合のD12は1s状態と2p状態のどれか

1つの間の行列要素を意味します。

1=1,g2=3とし,前々記事で求めたボーア半径

の値:a0=4πε0c2/(me2)~ 5×10-11m(2.16)

や,Ω=215/2eE00/(35c)(2.27)の表式,そして,

ω0=(3/4)ω(2.28),hcω=me4/(32π2ε02c2)

(2.29).および,Ω­=eE012/hc(2.23)を用いて,

(2.56)の3倍のA21=e2ω03|12|2/(3πε0c3)

を計算します。|12|2=3|X12|2ですから,まず,

12を計算します。

定義によって,X12=∫ψ1()xψ2()d3

です。ただし,r|r|とおけばxrcosθです。

 

量子力学の初等的教科書によれば,

水素原子の1s(n=1,l=0)の状態の波動関数は

ψ1()=π-1/20-3/2exp(-r/a0)です。

また,2p(n=2,l=1)の状態でm=0の状態の

波動関数は,ψ2()=(2a0)-3/2(2-r/a0)

exp{-r/(2a0)}{3/(8π)}1/2cosθ です。

それ故,X12=π-1/20-3/2{3/(8π)}1/2(2a0)-3/2

×(2π)∫-11d(cosθ)cos2θ

×∫0[r3(2-r/a0)exp{-3r/(2a0)}dr

=(2-3/2/31/2)a0-3

×∫0[r3(2-r/a0)exp{-3r/(2a0)}dr

と書けます。

ここで,u=3r/(2a0)⇔r=(2a0/3)uと,

動径部分の積分変数をrからuに置換すると,

0[r3(2-r/a0)exp{-3r/(2a0)}dr

=(25/34)a040[(u3-u4/3)exp(-u)du

=(25/34)a04{Γ(4)-Γ(5)/3}=-(29/34)a04

です。

故に,X12=-(2-3/2/31/2)a0-3×(29/34)a04

=-(215/2/39/2)a0を得ます。そこで,|X12|2

=21502/39です。

したがって,|12|2=3|X12|2より.

21=e2ω03|12|2/(3πε0c3)

=e2ω03|X12|2/(πε0c3)}

=e2ω0321502/(39πε0c3)

となりますが.この右辺に,

ω0=(3/4)me4/(32π2ε02c3)

=3me4/(27π2ε02c3),および,

0=4πε0c2/(me2)を代入します。

ω03=33312/(221π6ε06c9),および,

02=24π2ε02c4/(m24) なので,

21=e2ω0321502/(39πε0c3)

=me10/(2236π5ε05c63)を得ます。

最後に,具体的な現在の観測値:

m~ 3.1×10-31kg,e~ 1.6×10-19C,

ε0~ 8.85×10-12F/m,c~ 3×108m/s.

c ~ 1.254×10-34Js,π=3.1415..

を代入して長い計算をすると,A21の分子

=me10~3.4×1021910kgであり,分母

=2236π5ε05c63~ 5.07×10-2285-263

ですから,結局,A21~ 6.7×108-1.(2.57)

を得ました。(※ 参考の教科書の(2.57)と

僅かに違うので,計算違いがあるかも

知れません。しかし,オーダー的には両者は

一致しました。)

 

※(注8-2):単位のチェックをします。

SI単位系での静電気力のCoulombの法則:

F=(4πε0)-12/r2から,誘電率の単位は,

0]=[e2/r2]/[F]を満たすはずです。

つまり,F/m=C2-2-1ですから,

F=C2-1-1です。ただし,誘電率の単位:

F/mのFはファラッド(Farad)です。また,

Nは力の単位:Newtonで,N=kgms-2でも

あります。

21の表式の分子の単位は,[me10]=C10kg

でしたが,分母の単位は,[2236π5ε05c63]

=F5―263=(C2-1-1)5-2(Nm)63

=C10-1Ns3=C10-1(kgms-2)s3

=C10 kgsです。

したがって,[A21]=[me10/2236π5ε05c63]

=s-1を得ました。(注8-2終わり※)

さて,前に,「光の量子論3」では,Aの逆数:I,

つまり,A=1/I(1.78)で与えられるIは,対象と

する遷移の「蛍光寿命」,または「放射寿命」として

知られています。 と書きました。

そこで,(2.57)のA21~ 6.7×108-1から,水素原子の

2p状態の放射寿命は,およそ,1.5×10-9sであることが

わかります。

このA21~ 6.7×108-1で示される自然放出の速さ

と比較して,これと同じ遷移の誘導放出の速さは,W(ω)

~ 108(W/m2)の強度と,dω~ 2π×1010-1程度の幅

を持ったビームの場合:B21W(ω)dω~3×107-1(2.59)

くらいで,自然放出の速さの100分の1以下です。

 

  • 2.5 Diracのデルタ関数

アインシュタインの係数を計算する上述の方法は広い

使い道があるので.この結果を他の問題にも適用しやすい

形に直しておきます。

まず,Diracのデルタ関数:δを次式で定義します。

すなわち,δ(ω0-ω)

=(2/π)limt→∞sin2{(ω0-ω)t/2}/{(ω0-ω)2t}

(2.59)です。

前記事では,積分因子:IntをInt

=∫ω0-Δω/2ω0+Δω/2dω[sin2{(ω-ω0)t/2}/{(ω-ω0)2]

(2.46)と定義し,これについて,Δω>>1なら,ω1=ω-ω0

として.Int~∫dω1[sin21t/2)/ω12]=πt/2.(2.48)

となることを,記述しました。

 それ故,∫δ(ω0-ω)dω=1.(2.60)です。

デルタ関数δ(ω0-ω)は,ω=ω0では無限大であり,

ω≠ω0では至るところゼロです。

したがって,もっと一般的に.ω1<ω0<ω2の場合

は,∫ω1ω2δ(ω0-ω)dω=1,その他の場合(ω0<ω1

またはω0>ω2)には.∫ω1ω2δ(ω0-ω)dω=0.(2.61)

と書けます。

そして(2.59)のデルタ関数δの定義:δ(ω0-ω)

=(2/π)limt→∞sin2{(ω0-ω)t/2}/{(ω0-ω)2t}

を利用すると,δ-関数の性質を証明することができます。

まず,ω=ω0を特異点としないωの任意関数をf(ω)

として,∫ω1ω2f(ω)δ(ω0-ω)dω

=(2/π)limt→∞ω1ω2dωf(ω)sin2{(ω0-ω)t/2}

/{(ω0-ω)2t}(2.62)を考えます。

(※左辺の積分が,右辺の積分の極限値によって定義

される,と解釈します。)

右辺の積分変数をx=(ω-ω0)tに置換すると

ω1<ω0<ω2の場合は,∫ω1ω2f(ω)δ(ω0-ω0)dω

=(2/π)limt→∞(ω1-ω0)t(ω2-ω0)tf(x/t+ω0)

|sin2(x/2)/x2}dx=(2/π)f(ω0)

-∞|sin2(x/2)/x2}dx=f(ω0)(2.63)であり,

その他の場合は,∫ω1ω2f(ω)δ(ω0-ω)dω=0 

という妹性質が得られます。

※(注8.3):(2.63)を証明します。

ω=ω0を特異点としない関数fでは,たとえ

ω=ω0で連続な関数でなくても被積分関数因子と

しては,limt→∞f(x/t+ω0)=f(ω0)と挙動し,

ω1<ω0<ω2の場合は,limt→∞(ω1-ω0)t(ω2-ω0)t

=∫-∞です。そして,∫-∞|sin2(x/2)/x2}dx

=π/2なる公式を用いると,右辺=f(ω0)です。

 その他のω0の場合には,limt→∞(ω1-ω0)t(ω2-ω0)t

=∫ or ∫-∞-∞=0ですから,(2.63)とその後の

言明の成立は明らかです。(注8.3終わり※)

 

さて,δ(ω0-ω)

=(2/π)limt→∞sin2{(ω0-ω)t/2}/{(ω0-ω)2t}

(2.59)で与えた特殊な極限,以外にも,これと等価な

δ関数の別の表わし方が多々あります。

それがδ関数である,という基準は,

ω1ω2f(ω)δ(ω0-ω)dω=f(ω0)(ω1<ω0<ω2)

(2.63),および,∫ω1ω2f(ω)δ(ω0-ω)dω

(それ以外)を満たすことです。

※(注8.4):次の式がDiracのδ関数を表わすこと。

つまり,δ(ω0-ω)

={1/(2π)}limT1,T2→∞-T1T2exp{i(ω0-ω)t}dt

=limT1,T2→∞[exp{i(ω0-ω)T2}-exp{-i(ω0-ω)T1}

/|2πi(ω0-ω)].(2.64)であること,を証明します。

これの特別な場合:T=T1=T2である場合には,,

δ(ω0-ω)=limT→∞[sin{(ω0-ω)T}/{π(ω0-ω)}]

=(2/π)limT→∞[sin{(ω0-ω)T/2}/(ω0-ω)}](2.65)

です。

また,別の表式;δ(ω0-ω)

=(1/π)limε→0[ε/{(ω0-ω)2+ε2}](2.66)

をも証明します。

[証明]:まず,{1/(2π)}limT1,T2→∞ω1ω2dω

-T1T2exp{i(ω0-ω)t}dtを計算します。

与式=(1/π)[∫-∞dt[exp{i(ω0-ω2)t}/(-2it)

-∫-∞dtexp{i(ω0-ω1)t}/(-2it)]です。

ところが,数学公式:

a>0なら∫-∞{sin(ax)/x}dx=πより,

-∞[{exp(iax)-exp(-iax)}/(2ix)]dx=π

です。そしてy=-xと置けば,

-∞{exp(iax)/x}dx=-∫-∞{exp(-iay)/(-y}dy

=-∫-∞{exp(-iay)/y}dy

故に,∫-∞exp(iax)/x)}dx

=-∫-∞{exp(-iax)/x}dxです。

それ故,a>0なら,

-∞[{exp(-iax)}/(-ix)]dx=πであり,

他方a<0なら,

-∞[{exp(-iax)}/(-ix)]dx=-πです。,

故に,ω1<ω0<ω2の場合,

-∞dtexp{i(ω0-ω1)t}/(-2it)]=π/2,。

-∞dtexp{i(ω0-ω2)t}/(-2it)]=-π/2,

したがって,(1/π)[∫-∞dt[exp{i(ω0-ω2)t}/(-2it)

-∫-∞dtexp{i(ω0-ω1)t}/(-2it)]=1を得ます。

一方,ω01,またはω0>ω2の場合は

-∞dtexp{i(ω0-ω1)t}/(-2it)]

=∫-∞dtexp{i(ω0-ω2)t}/(-2it)]となるため,

(1/π)[∫-∞dt[exp{i(ω0-ω2)t}/(-2it)

-∫-∞dtexp{i(ω0-ω1)t}/(-2it)]=0です。

以上から,δ(ω0-ω)

={1/(2π)}limT1,T2→∞-T1T2exp{i(ω0-ω)t}dt

が証明されました。

 

次に,(1/π)limε→0ω1ω22/{(ω0-ω)2+ε2}]dω

を計算します。

ε/(x2+ε2)={1/(2i)}{1/(x-iε)-1/(x+iε)}

と書けることを利用します。

複素z平面上での閉路:C1を(実軸)+(右回り下半円周)

にとれば.原点Oを通る虚数上の点z=-iεは,C1

囲まれた領域内の極であり,z=iεは極ではないので,

Cauchyの留数定理から.∫C1{1/(z-iε)}dz=0,

C1{1/(z+iε)}dz=-2πiです。

故に,∫C1[ε/(z2+ε2)]dz=πとなります。

他方,閉路:C2を(実軸)+(左回り上半円周)にとれば

z=iεの方がC2内の極ですから,

C2{1/(z-iε)}dz=2πi,∫C2{1/(z+iε)}dz=0

です。故に,やはり,∫C2[ε/(z2+ε2)]dz=πという

結果を得ます。

しかし,いずれの閉路でも,半円周の半径Rを∞の極限に

とると,ε→+0のとき,[ε/(z2+ε2)]dzは(1/R)の

オーダーで減衰するため,半円周上の積分の寄与はゼロです。

そこで,∫(実軸)dz[ε/(z2+ε2)]dz

=∫x1x2[ε/(x2+ε2)]dxは,実軸上の区間:[x1,x2]

が区間内に原点Oを含めばπに等しく,さもないとゼロです。

あるいは,関数論に頼らず,x=εtanθ,

dx=εsec2θdθと変数置換すれば,

x1x2[ε/(x2+ε2)]dx=∫θ1θ2dθ=θ2-θ1

=Tan-1(x2/ε)-Tan-1(x1/ε)を得ますから,x2>0 ,x1<0

の場合は,ε→+0の極限で右辺=π/2-(-π/2)=πであり,

1とx2が同符号の場合なら右辺=0 です。

以上から,(1/π)limε→0ω1ω22/{(ω0-ω)2+ε2}]dω

は.ω1<ω0<ω2なら1の等しく,さもないときはゼロです。

したがって,δ(ω0-ω)

=(1/π)limε→0[ε/{(ω0-ω)2+ε2}]が示されました。

(証明終わり)  (注8-4終わり※)

 

 途中ですが今回はここまでです。(つづく)

(参考文献):Rodney Loudon 著

(小島忠宣・小島和子 共訳)

「光の量子論第2版」(内田老鶴舗)

 

PS:最近は韓国のKPOPアイドルの方に魅かれます。

女子ゴルファーも美しいのは,私にはどちらかというと韓国人。

昔も女子フィギュアは,浅田真央の時代も非国民といわれながらも

キム:ヨナが好きで応援してた。好き嫌いは理屈じゃない。。

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2019年10月 8日 (火)

雑感(最近注目していること)

 以前から主張していることと,新たに着目して

いることなどをつらつらと羅列してみます。

(1)2020東京オリンピック

何故,無理してまで,アスリートだけでなく観客

も含め,熱中症など危険が予測される,特に近年の

日本の夏=灼熱と多湿の季節にあえて屋外競技を

強行するのか?疑問です。単純な解決策は1964年の

ときと同じく開催を秋にすることです。主だった欧米

諸国の希望?バカンス時期に合わせたとか,いろいろな

都合もあるのでしょうが。。健康第一です。

暑さ対策の工事などの予算削減にもなるだろうし,

前倒しなら競技施設工事など間に合わない,ということ

なども有り得ますが延期ならそういう問題はないです。

チケットも,まだ完全な日程が決まってないので,それ

に合った販売はやり直してもいいでしょう。

確かカタールのドーハでの次期サッカーワールド杯

は,ヨーロッパのオフシーズンではないけど,冬開催に

変更した,と聞いています。

(2)太陽光発電

最近の千葉などの停電被害で思いついたわけじゃなく,

前から「電気代は一生払わなきゃいけないのか?」と

いうCMに対して,自分で発電すれば,むしろ売るほど

の電気が作れてメンテナンス以外に料金は不要になる

と主張していました。

かつての減反政策で,まだかなりの農閑地があると

思います。太陽光パネルが設置できない場所でも僅かな

送電線で近くの空き地から屋内に電気を引き込めばいい

だけです。売電のためならともかく自給自足のためだけ

なら,東電,関電など大手から送電線を借りる必要もなく

電信柱や大掛かりな変圧器も不要,交流を直流に変換する

必要さえなく,何より災害があっても太陽は無くならない

し,電気代は太陽光発電のメンテナンス程度でこれまで

の1割もいらないでしょう。

日本の電気代は,今は少しは競争原理が働くようになって

きてはいますが,元々独占の大手電力会社が勝手に決めら

れるようだし,石油価格と連動してるように

見えません。数年前ネットで調べたときは,そのときの

レートで先進国で第8位くらいの値段だと見ました。

 

私が10年くらい前まで,住んでいた中古マンション

では入居時に約25万円で電気温水器を新調して夜間電力

を風呂などに利用していました。

電力量が小さいとか,蓄電能力が足りない,とかいわれて

ますが,そもそも日本の科学力を本格的につぎ込めば,家庭

の電気程度でのネックは簡単にクリアできて,需要が全家庭

ともなれば,経済的にも安価になるでしょう。

効率が悪いとか,すぐには無理だとかブツブツ反対意見が

多いのは,電力会社の利権に群らがる方たちと,その宣伝活動

に毒されているのみです。

現在,高齢で独身一人暮らしのアパートでの私の生活は,

心不全なので貧乏でも冷暖房で適温で生活しないと,これ

をケチっては命が危ないので,ほとんど電気に頼ってます

が電気代はせいぜい月1万円強程度で年12万程度です。

同じペースなら10年で120万,20年で240万ですね。

初期投資200万もあれば太陽光で自給自足できると思うの

ですが,それ以後,一切電気代は払わなくていいわけです。

いっぺんに200万払うのは貧乏人には,きついですが,

例えば,今日本の人口1億2千万くらいですが.おそらく

独立生計の家庭数は5000万世帯くらいとすれば.全部で

約10兆円で総太陽光化ができる計算になります。

そうすると家庭については,以後,電気代は払わなくて

よくなります。

日本の国債は今1300兆円くらいですか? 金利は小さい

ので,国の予算のうち,国債金利1%としても1.3兆円も

払ってるのかどうか知りませんが,そんな無駄金の10年分

程度をまわして10年計画で全て補助してもらって総家庭

を太陽光化してもらえれば,企業向け電力は,いざ知らず,

家庭には東電も関電も火力発電所.原子力発電所も不要

です。石油も石炭も必要ないし,車も電気自動車なら

ガソリンもLPGも不要です。

そもそも,地球上のエネルギーは化石燃料も含め全て

太陽の恵みで一応タダなんですから。

(3)プラスチック分解酵素

英米の研究チームが,偶然プラスチックを食べて

分解し無害化する微生物,バクテリア,または酵素を

発見したと聞いています。

一方,日本の技術は,かつてはヘドロだらけだった海

や富栄養化したりして魚の住めなくなった川や池の水

を浄化したりする技術,薬品を開発したりしています。

プラスチックについても,より大掛かりに進めて全世界

の海水からそれを一挙に除去するプロジェクトを組んで

ほしいものです。

(4)人工光合成について

地球温暖化,それに伴なう異常気象は,アメリカのゴア氏

の著書「不都合な真実」から注目されるようになりました

が,近年の異常気象が温暖化ガスとしての二酸化炭素増加

が主因かどうかはともかく,少なくともアマゾン密林火災

などの森林減少の放置,昔からの焼畑農法や伐採で,多くの

森林や草原が砂漠と化して,雨雪も降らず,結局,ヤギや牛

などの草食も含め,主に人間の生命活動が原因で気象が

オカシクなってきているのは紛れもない事実です。

 

 これを防ぐには,唯一,光合成で二酸化炭素を吸って酸素

を吐き出すことが生命活動の植物を増加させる,植林など

で砂漠を再緑化する事業などの推進を考えていました。

飢えた民の抵抗活動はともかく,侵略戦争や権力闘争を

している場合じゃない。

地球滅亡が近づいているのです。

地震はともかく氷河期や恐竜を滅ぼしたらしい地磁気逆転

などは恐らく人類滅亡より後のことだろうし今の問題では

ないでしょう。

無駄な抵抗と知りつつ,個人的に70億総植林運動など

で地球生命の滅亡を遅らせられるなど考えてましたが,

ここにきてプラスチックの分解バクテリアと同じく人工的

に光合成を起こさせる道もあるらしい,ということを知り,

啓蒙書などを読んでいますが,そもそも眼が悪くてあまり読め

ません。前なら,この程度2日もかからず読めたはずなのに。

歯がゆい毎日です。

 

死に損ないの貧相なクソジジイが.エラソーに何,言ってん

だか。子も孫も家族もいないんだから,あと10年もない死後

の地球の心配なんか関係ないじゃんねェ。。。

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2019年10月 4日 (金)

光の量子論7

※第2章 原子・放射相互作用の量子力学

の続きです。

余談抜きで本論に入ります。

  • 2.3 遷移速度

前の記事で,(2.13),(2.14)の方程式が,

2 exp(-iω0t)I12=i(dC1/dt),

1 exp(iω0t)I12=i(dC2/dt)

と簡単になる,と書きましたが,

これに,さらに,I12=Ωcos(ωt)を代入

すれば,それぞれの式から,

Ωcos(ωt)exp(-iω0t)C2=i(dC1/dt)(2.31),

Ωcos(ωt)exp(iω0t)C1=i(dC2/dt)(2.32)

を得ます。

※(注7-1):|C1|2+|C2{2が時間的に一定不変であり,

(2.31),(2.32)が規格化条件と矛盾しない,ことを証明

します。

(証明):(d/dt){|C1|2+|C2{2}

=C1(dC1*/dt)+(dC1/dt)C1

+C2(dC2*/dt)+(dC2/dt)C2

です。

これに,上記の(2.31),(2.32)を代入すると,

(d/dt){|C1|2+|C2{2}

=iC1*cos(ωt)exp(iω0t)C2}

+(-i){Ωcos(ωt)exp(-iω0t)C2}C1

+iC2{Ωcos(ωt)exp(-iω0t)C1}

+(-i){Ωcos(ωt)exp(iω0t)C1}C2

=0 が得られました。(証明終わり)

(注7-1終わり※)

 

※(注7-2):原子に作用する電場が時間的に一定

である特別な場合,つまりω=0の場合,について

(2.31).(2.32)を解き,まず,解のC2が,

22/dt2-iω0(dC2/dt)+|Ω|22=0

(2.33)を満たすことを示します。

そして,これから,ω=0では,

|C2|2={4|Ω|2/(ω02+4|Ω|2)}

×sin2{(1/2)(ω02+4|Ω|2)1/2t}(2.34)

となることを証明します。

そして,|C1|2は,規格化条件|C1|2+|C2|2=1

から決まります。

(証明);ω=0では,(2.31),()2.32)の

Ωcosωtexp(-iω0t)C2=i(dC1/dt)と

Ωcosωtexp(iω0t)C1=i(dC2/dt)は,

dC1/dt=(-i)Ωexp(-iω0t)C2,および,

dC2/dt=(-i)Ωexp(iω0t)C1です。

2番目の式をtで微分すれば,

22/dt2=(-i)Ωexp(iω0t)(dC1/dt)

+ω0Ωexp(iω0t)C1となります。

右辺の(dC1/dt)に(-i)Ωexp(-iω0t)C2

を,Ωexp(iω0t)C1に{i(dC2/dt)}を代入

すると,d22/dt2=-ΩΩC2+iω0dC2/dt

となります。よって,

22/dt2-iω0dC2/dt+|Ω|22=0

が得られました。

これは定数係数の2階線形常微分方程式です。

特性方程式は,λ2-iω0λ+|Ω|2λ=0で

解として,λ={iω0±(-ω02-4|Ω|2)1/2}/2

=(i/2){ω0±(ω02+4|Ω|2)1/}を得ます。

λ±=(1/2){ω0±(ω02+4|Ω|2)1/}(複号同順)

と置けば,C2=Aexp(iλt)+Bexp(iλt)}

ですが,t=0でC2=0ですからB=-Aです。

故に,C2=2Aexp(iω0t/2)

×sin{(1/2)(ω02+4|Ω|2)1/2t},となります。

これを,dC2/dt=(-i)Ωexp(iω0t)C1

に代入します。

(-i)Ωexp(iω0t)C1=2Aexp(iω0t/2)

×[(iω0/2)sin{(ω02+4|Ω|2)1/t/2}

+(1/2)(ω02+4|Ω|2)1/

2cos{(1/2)(ω02+4|Ω|2)1/2t}]より,

1=iA(Ω)-1exp(-iω0t/2)

×[iω0sin{(ω02+4|Ω|2)1/2t/2}

+(ω02+4|Ω|2)1/2cos{(1/2)(ω02+4|Ω|2)1/2t}]

ですが,t=0でC1=1なので,

iA(Ω)-102+4|Ω|2)1/2=1より.

Ω=iA(ω02+4|Ω|2)1/2 を得ます。

故に,A=(-i)Ω/(ω02+4|Ω|2)1/2

です。

結局,C2=(-i){2Ω/(ω02+4|Ω|2)1/2}

exp(iω0t/2)×sin{(ω02+4|Ω|2)1/t/2},

となります。

したがって,|C2|2=4|Ω|2/(ω02+4|Ω|2)

×sin2{(1/2)(ω02+4|Ω|2)1/t}が得られました。

(証明終わり)  (注7-2終わり※)

 

アインシュタインB係数の計算は,原理的に上

の(注)のω=0の例題に似ていますが,この場合は

ω0に近いωに対する(2.31),(2.32)の解を求める

必要があります。

解の満たすべき初期条件は,やはりC1(0)=1,

2(0)=0.(2.35)です。

この場合も,|C2(t)|2が,時刻tにψ2に原子

を見出す確率であり,|C2(t)|2/tが量子力学的

遷移速度と定義されるものを与えます。

これをアインシュタイン理論のB12の定義と比較

すると,B12W(ω)={C2(t){2/t(2.36)が成立

すべきである,ことがわかります。

しかし,(2.31),(2.32)の方程式:

Ωcos(ωt)exp(-iω0t)C2=i(dC1/dt),

Ωcos(ωt)exp(iω0t)C1=i(dC2/dt)

は,形は簡単ですが,これを一般のωに対して解く

のは,かなり困難なので.とりあえず,近似解を探す

必要があります。

ところで,前記事の最後では,「大抵の光ビーム

では,Ω<<<ω0.(2.30)が成立しています。」

と書きました。そこで,Ω<<<ω0を想定すると,

これはC1,C2をΩのベキ級数として求めるのが

有効ではないか?ということを示唆しています。

そこで,このベキ展開を次のように,逐次近似の

反復法で試行してみます。すまわち,まず,

初期値:C1=1,C2=0を,(2.31),(2.32)の.

Ωcos(ωt)exp(-iω0t)C2=i(dC1/dt),

Ωcos(ωt)exp(iω0t)C1=i(dC2/dt)

の左辺に代入すると,dC1/dt=0.,および,

dC2/dt=(-i)Ωcos(ωt)exp(iω0t)

=(-i/2)Ω

×[exp{i(ω+ω0)t}+exp{i(ω-ω0)t}]

を得ます。そこで第1近似値として.

1(t)=1,および,C2(t)

=(-Ω/2)[1-exp{i(ω+ω0)t}]/(ω+ω0)

+(-Ω/2)[1-exp{i(ω-ω0)t}/(ω-ω0)

(2.37)が得られました。

次に.これを,さらに,(2.31)の左辺に代入します。

すると,dC1/dt

=(i|Ω|2/2)cos(ωt)exp(-iω0t)

×[1-exp{i(ω+ω0)t}]/(ω+ω0)

+(i|Ω|2/2)cos(ωt)exp(-iω0t)

×[1-exp{i(ω-ω0)t}/(ω-ω0) です。

ここで,cos(ωt)exp(-iω0t)

=(1/2)[exp{i(ω-ω0)t}+exp{-i(ω+ω0)t}]

を代入すれば,

右辺=(i|Ω|2/4)[exp{i(ω-ω0)t}-exp(2iωt)

+exp{-i(ω+ω0)t}+1]/(ω+ω0)

+(i|Ω|2/4)[exp{i(ω-ω0)t}+exp{-2i(ω-ω0)t}]

+exp{-i(ω+ω0)t}-exp(-2iω0t}]/(ω-ω0)

となります。

したがって,長い式ですが,C1の第2近似値

として,C1(t)=∫01(dC1/dt)+C1(0)

=1+(|Ω|2/4)

×[-exp{i(ω-ω0)t}/(ω2-ω02)

+exp(2iωt)/{2ω(ω+ω0)}

+exp{-i(ω+ω0)t}/(ω+ω0)2+1/(ω+ω0)

-exp{i(ω-ω0)t}/(ω-ω0)2

+exp{-2i(ω-ω0)t}/{2(ω-ω0)2}

+exp{-i(ω+ω0)t}/(ω2-ω02)

-exp(-2iω0t}{2ω0(ω-ω0)}が得られます。

つまり,C1(t)=+(|Ω|2/4)×(tの関数)

(2.38)の形の第2近似値を得ます。

第3近似値も同様に求めることができて,

以下,同様に反復するわけです。

そして,

dC2/dt=(―i)Ωcos(ωt)exp(iω0t)C1

であり,C2(t)=∫01(dC2/dt)ですから,C1

|Ω|の偶数ベキ,C2はΩ,またはΩの奇数ベキに

展開されることはわかります。

Ωは,Ω=eE012/hc.(2.23)と定義されていた

ことを思い出すと,これら2つの級数は電場の強さ:

0のベキに展開したものと見なすこともできます。

 

 さて,前章で既に論じたことですが,電磁波の電場

が.E(,t)0cos(kr-ωt),磁場がB(,t)

0cos(kr-ωt)と表わされる場合,1サイクル

の周期はT=2π/ωですから,cos2(kr-ωt)の

サイクル平均は,<cos2(kr-ωt)>

=(1/T)∫0cos2(kr-ωt)=1/2です。

それ故,電磁場のエネルギー:

(1/2)∫(ε02+μ0-12)dVのサイクル平均が,

<(1/2)∫(ε02+μ0-12)dV>

=(1/4)∫(ε002+μ0-102)dVで与えられます。

 

ところが,Maxwellの方程式:∇×E=-∂B/∂t

より,k×E0=ωB0であり,kの向きをz軸正の向き

に取り,E0がxの正の向き,B0がyの正の向きに偏光

しているとして,kE0=ωB0を得ます。

そして,真空(自由空間)中では(k/ω)=c-1

=(ε0μ0)1/2ですから,結局,μ0-102=ε002が成立

します。したがって,この電磁波の総エネルギーの

サイクル平均は,(1/2)∫(ε02+μ0-12)dV>

=(1/2)∫ε002dVとなり,サイクル平均のエネルギー

密度は,(1/2)ε002で与えられることがわかります。

すなわち.周波数ωの光のサイクル平均の

エネルギー密度がW(ω)の定義ですから,

結局,W(ω)=(1/2)ε002です。

これは,第1章の(1.34)で与えた∫0W(ω)dω

={1/(2V)}∫ε0|(,t)|2dVに似ていますが.

今のW(ω)=(1/2)ε002の式では,既に,体積積分

が実行済みです。

Ωが小さいのでC2(t)の表式を,E0,または,Ω

or Ωの1次までのオーダーまで取り,(2.36)の等式

12W(ω)={C2(t){2/tの両辺のE0のベキを比較

すればBが求められるはずです。

アインシュタインB係数を計算すべき周波数

ω~ω0においては,(2.37)の第1近似解:C2(t)

=(-Ω/2)[1-exp{i(ω+ω0)t}]/(ω+ω0)

+(-Ω/2)[1-exp{i(ω-ω0)t}/(ω-ω0)は,

既に,この比較の目的にかなっています。

元々,アインシュタイン理論では,E0の高次

の項が重要という状況には対応していません。

ω~ω0の光を考えると,Ω<<<ω0より,

ω>>Ωであり,Ωの1次までとるのが良い近似です。

そして,(2.37)のC2(t)の第2項は第1項より

はるかに大きいことがわかります。

ω → ω0の極限では,C2(t)の第1項は,

(-Ω/2)[1-exp{i(ω+ω0)t}]/(ω+ω0)

→ {-Ω/(4ω0)}{1-exp(2iω0t)}

={iΩ/(2ω0)}exp{(iω0t)sin(ω0t)

となり,他方,第2項は,

(-Ω/2)[1-exp{i(ω-ω0)t}/(ω-ω0)

→ (iΩ/2)(ω-ω0)t/(ω-ω0)

=(iΩ/2)t となります。

したがって,ω~ω0では,C2(t)

~ (iΩ/2ω0)[exp{(iω0t)sin(ω0t)+ω0t}

を得ます。

後述するように,原子遷移が起こる特有の時間

間隔tは10-7sec程度か,それよりやや長いくらい

ですが,(2.65)より.ω0は1015Hz程度なので,

こうした対象では,ω0t>>1.(2.41)が極めて良く

成立しています。

それ故,(2.37)の第1項を無視するのが良い近似

になると考えられます。

そこで,ω→ω0とする前の元の式で第1項を無視

すれば,C2(t)~(-Ω/2)[1-exp{i(ω-ω0)t}

/(ω-ω0)=(iΩ)exp{i(ω-ω0)t/2}

×sin{(ω-ω0)t/2}/(ω-ω0) であり,

|C2(t)|2~|Ω|2sin2{(ω-ω0)t/2}/(ω-ω0)2

(2.42)なる近似を得ます。

そこで,ω~ω0のときは,

|C2(t)|2~(1/4)|Ω|22(2.43)が得られます。

これは,時間tの2乗に比例して増加しますが,(2.42)

からわかるようにωがω0と少しでも異なるなら時間的

に振動します。

このように,(2.37)の第1項を無視する近似は,

回転波近似と呼ばれています。

 

さて,これまでは遷移周波数ω0を厳密な数値を持った

確定値と見なしてきました。これは,ω0の数値には常に

若干の不安定さが伴なう,という実際の実験の際の事情

には合致しません。

如何なる分光器でも測定スペクトル線が,あるΔωと

いう量だけ,ぼやけているような有限の分解能を持ちます。

もしも,完全な周波数分解能を備えた理想的な実験装置

を目論んだとしても,スペクトル線の本来の幅には,より

根本的な限界が存在します。(※ ちまり,量子力学の基礎

を成す,Heisenbergの不確定性原理に根ざす限界です。)

ω0の不確定さを考慮に入れるには,|C2(t)|2の表式

をωのある範囲にわたって積分すればいいだけです。

そこで,ω0を遷移周波数の中心とすると,

|C2(t)|2=|Ω|2sin2{(ω-ω0)t/2}/(ω-ω0)2は.

Ω­=eE012/hcと,(1/2)ε002=∫W(ω)dωを

利用して,|C2(t)|2={2e2|X12|2/(ε0c2)}

ω0-Δω/2ω0+Δω/2[W(ω)sin2{(ω-ω0)t/2}

/(ω-ω0)2]dω.(2.44)とすれば得られます。

ここで,原子は広帯域の照射を受けているという

アインシュタイ理論の基礎となる仮定を採用し,Δω

の範囲にわたって放射エネルギー密度が一定値:W(ω0)

であるとします。

このとき,(2.44)は,|C2(t)|2

={2e2|X12|2/(ε0c2)} W(ω)(Int)(2.45)

と書けます。

ただし,Int=∫ω0-Δω/2ω0+Δω/2dω

[sin2{(ω-ω0)t/2}/(ω-ω0)2].(2.46)です。

 

この積分:Intは2つの極限で解析的に表わすこと

ができます。まず,tΔω<<1のときは,

Int=∫ω0-Δω/2ω0+Δω/2dω

[sin2{(ω-ω0)t/2}/(ω-ω0)2].

~[sin2{(Δωt/4}/(Δω/2)2]Δω,

つまり,Int~(1/4)t2Δω.(2.47)となります。

一方,tΔω>>」1なら,∫ω0-Δω/2ω0+Δω/2dω

~∫-∞dω11=ω-ω0) ですから,

公式:∫0[sin2(ax)/x2dx=πa/2より,

-∞[sin2(ax)/x2dx=πa なので,

Int~∫-∞dω1[sin21t/2)/ω12]=πt/2

(2.48)を得ます。

アインシュタインB係数は(2.36)のB12W(ω)

=|C2(t)|2/tにより,原子遷移確率が経過時間t

に比例する理論と結びついています。

そこで,|C2(t)|2={2e2|X12|2/(ε0c2)}

×W(ω)(Int)(2.45)なる式にtΔω>>1のとき

の近似値Int=πt/2(2.48)を代入した式:

|C2(t)|2=πe2|X12|2W(ω)t/(ε0c2)(2.49)

から,B12=|C2(t)|2/{W(ω)t}(2.36)によって,

12=πe2|X12|2/(ε0c2)が得られます。

 

(2.49)の近似は規格化条件:|C1|2+|C2|2=1に

反するような|C2(t)|2が1を超える大きいtに

対しては破綻します。しかし,一旦,Bの大きさが計算

されると,原子の励起度の長時間挙動は,先の記事:

「光の量子論3」の第1章(§1.9原子励起)の

項で与えた,(1.70)のN2の評価式:

2={NBW/(A+2BW)}

×[1-exp{-(A+2BW)t}]において,

(A+2BW)t>>1.(1.73)

の長時間が過ぎると,定常状態の値:

2=NBW/(A+2BW)(1.74)に近づく,

と述べた方法で,決定することはできます。

今回はここまでにします。(つづく)

(参考文献):Rodney Loudon 著

(小島忠宣・小島和子 共訳)

「光の量子論第2版」(内田老鶴舗)

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