光の量子論12
※「光の量子論11」からの続きです。
(※余談):いとしのエリカ様,薬物疑惑で逮捕ですか?
真実だとしても誰かを傷つけたワケじゃなくカワイイもんです。
またも,政権スキャンダルと偶然?一致のタイミングですか。
(※ 氾文雀以来のカワイサ,。。草冠のハンが出てこない。)
まあ,昔,タオルで顔隠してヘルメットにゲバ棒でパクられて
ウソの情報聞かされながら聴取されたりした身には,マスコミと
いう名で無節操に垂れ流す,大方の世論に迎合しないとモノが
売れないスポンサー様イノチの「大本営発表」,逆らえば仕事
も干される方々のフェイクか否かも判断せず,本音に歯にキヌ
着せたコメントなどは,鵜呑みにできないタチのヘソマガリて,
命は残り少ないが,映画同様,最後は抹殺される運命の
アウトサイダーを気取っても,何の力もないクソジジイ
の無駄な抵抗故,ハナも引っかけられない遠吠えですが。
(余談終わり※)
さて本題です。
前回は第2章 原子・放射相互作用の量子力学の§2.10
(放射減衰を伴なうRabi振動)の項で,自発放出の減衰項を
加えた光学Bloch方程式から,まず,ビーム照射の長時間
極限の定常状態について考察し論じました。
その後,逆にビーム照射時間が短かい場合,一般解が
複雑なので.解の特徴を見るため,特殊な2つの例のみ扱い,
まず,(ⅰ)ω=ω0で初期条件がρ22=ρ12=0 で,|Ω|>γ
の場合のρ22(t)=|C2(t)|2の解として,(2.126)の
ρ22(t)={(|Ω|2/2)/(2γ2+|Ω|2)}
×[1-{cos(λt)+(3/2)(γ/λ)sin(λt)}exp(-3γt/2)]
(ただし,λ=(|Ω|2-γ2/4)1/2.(2.127))を導出したところ
で終わりました。
今回はその続きです。
放射減衰がない(γ=0)のときには,上記の式(2.126)は,
ρ22(t)=(1/2)[1-cos(|Ω|2t)}=sin2(|Ω|t)となり,
これば,純粋な原子の2準位間の振動=Rabi振動の表式
ρ22(t)=(|Ω|2/Ω12)sin2(|Ω|t)(2.87);ただし,Ω1
={(ω0-ω)2+|Ω|2}1/2の,離調{ω0-ω)がゼロの場合
に一致します。
他方,γ≠0の場合は,(2.126)はtが大きくなると
(2.119)のρ22=(|Ω|2/4)/{(ω0-ω)2+γ2+|Ω|2/2}の
離調がゼロの定常極限値:ρ22=(|Ω|2/4)/(γ2+|Ω|2/2)
に近づきます。
この場合,因子:exp(-3γt/2)があるので,γの増加と
共に振動の減衰が急速になり,γ=|Ω|/3では極大が1つ
しか残りません。
※(注12-1):(2.126)式を,.
ρ22(t)={(|Ω|2/2)/(2γ2+|Ω|2)}
-{(|Ω|2/2)/(2γ2+|Ω|2)}exp(-3γt/2)
×{cos(λt)+(3/2)(γ/λ)sin(λt)}
(λ=(|Ω|2-γ2/4)1/2)と書いて,tで微分すると,
dρ22/dt={(|Ω|2/2)/(2γ2+|Ω|2)}exp(-3γt/2)
×[(3γ/2){cos(λt)+(3γ/2)(1/λ)sin(λt)}
+λsin(λt)-(3γ/2)cos(λt)}
={|Ω|2/(2λ)}{(λ2+9γ2/4)/(2γ2+|Ω|2)}sin(λt)
×exp(-3γt/2)={|Ω|2/(2λ)}sin(λt)exp(-3γt/2)
です。
それ故,dρ22/dt=0となるのはsin(λt)=0の
とき,つまり,t=nπ/λ(n=0,1,2,..),のときです。
このとき,対応して,cos(λt)=cos(nπ)=(-1)nと
なります。
したがって,t=0では確かにρ22(t)=0ですが,
t=nπ/λ(n=1.2…)では,nが奇数なら,
ρ22(t)={(|Ω|2/2)/(2γ2+|Ω|2)}[1+exp{-3nπ/(2λ)}]
で,これらは極大値となり,他方,nが偶数なら,
ρ22(t)={(|Ω|2/2)/(2γ2+|Ω|2)}[1-exp{-3nπ/(2λ)}]
で,「これらは極小値です。
そもそもγ>2|Ω{(|Ω|<γ/2)ならλ2<0なのでλは虚数
になるので三角関数で表わされる振動解ではないです。
γ<2|Ω|で特にγ=|Ω|/3,ではλ=(11/12)1/2|Ω|,
(|Ω|2/2)/(2γ2+|Ω|2)}=9/22, exp{-3γt/2)=exp(-|Ω|t/2)
となり,t=π/λで最大で,それ以後減少しますが,極大値が1つだけ
残るという意味は不明です。???
nが奇数の極大値:ρ22={(|Ω|2/2)/(2γ2+|Ω|2)}
×[1+exp{-3nπ/(2λ)}]が,n>1では,飽和値の1/2を
越えてしまうのかな? (注12-1終わり※)
さて,こういうわけで,占位数に顕著な振動が現われるため
には,|Ω|が3γより,ずっと大きくなければなりません。
こうした原子の振動的挙動は「光章動」と呼ばれています。
章動周波数は,一般に,Rabi周波数:|Ω|,離調:ω0-ω,
および,放射減衰;γに依存します。
(2.84)のΩ1={(ω0-ω)2+|Ω|2}1/2と,(2.127)の
λ=(|Ω|2-γ2/4)1/2は,それぞれ,γ=0とω0-ω=0の場合の
章動周波数に相当しますが,一般の場合のそれに対する簡単な
解析的表式はありません。
※(注12.2):つまり,γ=0の放射減衰が考慮されないときは,
「光の量子論9」の§2.7(Rabi振動)の項でha,初期条件
が,ρ22=ρ12=0の場合の光学Bloch方程式のρ22の解が,
次の(2.87);ρ22(t)=(|Ω|2/Ω12)sin2(Ω1t/2)
(Ω1={(ω0-ω)2+|Ω|2}1/2)で与えられ,続く「光の量子論10」
では特に,離調;ω0-ωがゼロ,つまり,ω=ω0の特別な場合
には,Ω12=|Ω|2となるため,解はρ22=sin2(|Ω|t/2)(2.89),
と簡単になり,この場合,原子は基底状態1と励起状態2
との間を対称的に振動しますが,これをRabi振動と呼び,,|Ω|
をRabi周波数と呼ぶ,と書きました。(※ 離調;ω0-ωがゼロで
ないならΩ1がRabi周波数ですね。)
そして,本記事ではγ≠0で放射減衰があるとき,離調;ω0-ωが
ゼロなら,初期条件がρ22=ρ12=0 で,|Ω|>γの場合のρ22の解
は(2.126)のρ22(t)={(|Ω|2/2)/(2γ2+|Ω|2)}
×[1-{cos(λt)+(3/2)(γ/λ)sin(λt)}exp(-3γt/2)]
(λ=(|Ω|2-γ2/4)1/2))で与えられる:Rabi周波数はλになる,
ことを述べましたが離調がゼロでない一般の場合の解は,未だ不明
です。(注12-2終わり※)
しかし,実情としては|Ω|がγより,ずっと大きくないなら目立った
振動は見られません。それ故,光章動を観測するためには,レーザー
光源が用いられています。
そこで,次に,ビームが強い場合,原子励起度が光の励起ビームに
及ぼす効果を考えます。
原子が初め基底状態にある場合は,初めのうちはエネルギーが
原子に移るにつれてビームは減衰してゆきます。
しかし,ビームが十分強いため,|Ω|が離調ω0-ωより大きく,
減衰γよりずっと大きい場合は,原子波動関数の励起状態の成分が
いつかは基底状態の成分を上回るので,原子のエネルギーの一部
は放射によって光ビームに戻り,ビーム強度が最初の値より大きく
なります。
したがって,原子の光章動に伴なって,それに対応した透過強度の
振動が現われます。実際の実験での透過光の時間依存性の詳しい理論
では,光学的振幅への他の寄与も考慮すべきですが,基本的には,この
現象は原子励起の示す振動的挙動の1つの結果と考えられます。
さて,Bloch方程式が容易に解ける第2の特別な場合は,(ⅱ)|Ω|が放射
減衰のγより,ずっと小さい場合,つまり,入射ビームが弱い場合です。
結論から言うと,C1については修正せず,C2については自然放出
の項を付加して修正した方程式:Ω*cos(ωt)exp(iω0t)C1-iγC2
=i(dC2/dt)を,密度行列の式:dρij/dt=Ci(dCj*/dt)
+Cj*(dCi/dt)に代入した後,cos(ωt)を指数関数表示して,
ω0~ωの回転波近似を施した方程式:(2.114),(2.115)
dρ22/dt=(-iΩ*/2)exp{i(ω0-ω)t}ρ12
+(iΩ/2)exp{-i(ω0-ω)t}ρ21-2γρ22.
dρ12/dt=(iΩ/2)exp{-i(ω0-ω)t}(ρ11-ρ22)-γρ12(
の,|Ω|<<γの極限での|Ω|について最低次のρ22の解は,
前の例(ⅰ)と同じ初期条件のρ22=ρ12=0の下で,
に対して,ρ22(t)=[(|Ω|2/4)/{(ω0-ω)2+γ2}]
×[1+exp(-2γt)-2cos{(ω0-ω)t}exp(-γt)](2.128)
となります。
※(注12-2);上記を証明します。
[証明]:ρ~12=exp{i(ω0-ω)t}ρ12,
ρ~21=exp{-i(ω0-ω)t}ρ21,とおくと,
dρ22/dt=(-iΩ*/2)ρ~12+(iΩ/2)ρ~21-2γρ22.,
dρ~12/dt=(iΩ/2)(1-2ρ22)-γρ~12-i(ω0-ω)ρ~12,
となります。
dρ~21/dtは,これの複素共役で与えられ,dρ~21/dt
=(-iΩ*/2)(1-2ρ22)-γρ~21+i(ω0-ω)ρ~21.と
なります。
そこで,x=ρ22,y=(-iΩ*/2)ρ~12,y*=(iΩ/2)ρ~21,
と置くと,これらは,dx/dt=y+y*-2γx,
dy/dt=(|Ω|2/4)(1-2x)+{-γ+i(ω0-ω)}y
dy*/dt=(|Ω|2/4)(1-2x)+{-γ-i(ω0-ω)}y*
と書けます。
整理すると,dx/dt=-2γx+y+y*,
dy/dt=-(|Ω|2/2)x+{-γ+i(ω0-ω)}y+|Ω|2/4,
dy*/dt=-(|Ω|2/2)x+{-γ-i(ω0-ω)}y*+|Ω|2/4
です。そこで,これを3次元の列ベクトル:X=[x,y,y*]T
に対する線形非同次の行列方程式の形で3×3係数行列をA^
として,dX/dt=A^X+b,と書きます。
ただし,定数項bはb=[0,|Ω|2/4.|Ω|2/4]Tです。
これの初期条件がt=0でX=0の解は,既に何度か示した
ように,X(t)={exp(A^t)-1}A^-1bで与えられます。
逆行列:A^-1は,その要素が,
(detA^)(A^-1)11=γ2+i(ω0-ω)2
(detA^)(A^-1)12=-{-γ-i(ω0-ω)},
(detA^)(A^-1)13=-{-γ+i(ω0-ω)}
(detA^)(A^-1)21=-(|Ω|2/2),
(detA^)(A^-1)22=-2γ{-γ-i(ω0-ω)}+|Ω|2/2,
(detA^)(A^-1)23=-(|Ω|2/2),
(detA^)(A^-1)31=(|Ω|2/2){-γ-i(ω0-ω)},
(detA^)(A^-1)32=-|Ω|2/2,
(detA^)(A^-1)33=―2γ{-γ+i(ω0-ω)}+|Ω|2/2,
で与えられます。
ただし,detA^=-2γ{γ2+i(ω0-ω)2}
-(|Ω|2/2){γ-i(ω0-ω)}-(|Ω|2/2){γ+i(ω0-ω)}
=-2γ{γ2+i(ω0-ω)2+|Ω|2/2}です。
また,A^X=αX(X≠0)を満たす固有値αを求める
方程式は,det(A^-αI^)=0ですが,これは,
(-2γ-α){(-γ-α)2+(ω0-ω)2}
-(|Ω|2/2){(-γ-α)-i(ω0-ω)}
-(|Ω|2/2){(-γ-α)+i(ω0-ω)}=0となります。
つまり,(-2γ-α){(-γ-α)2+(ω0-ω)2}
-|Ω|2{(-γ-α)=0です。
さらに,書き下すと,α3+{γ2+(ω0-ω)2-|Ω|2}α
+2γ{γ2+(ω0-ω)2+(|Ω|2/2)}=0 です。
しかし,今は|Ω|の最低次近似を求めればいいので,
因子:|Ω|2を含む講を無視する近似では,
固有値方程式は(α+2γ){(α+γ)2+(ω0-ω)2}=0
となり,異なる3つの固有値として,α0=-2γ,
α±=-γ±i((ω0-ω)(複号同順)を得ます。
それ故,特に,α++α-=-2γ=α0,および,
α+α-=γ2+(ω0-ω)2なる関係が成立します。
そして,この近似で,α0,α+,α-に属する固有ベクトル
を,それぞれ,Y0,Y+Y-と書けば,定数倍の任意性を除き,
Y0=[1,0,0]T,Y+=[-α--1,1,0]T,Y-=[-α+-1,0,1]T
と書けることがわかります。
これらを3列に並べた行列をP^=(Y0,Y+,Y-)と書いて
定義し,その逆行列P^-1をP^-1=(Z0,Z+,Z-)と表わすと,
det(P^)=1なので,Z0=[1,0,0]T,Z+=[α--1,1,0]T,
Z-=[α+-10,1]Tとなります。
こうすると,対角要素が固有値:α0,α+,α-の対角行列
Λ^は,Λ^=P^-1A^P^で与えられます。
そこで,exp(Λ^t)=P^-1exp(A^t)P^が成立します。
それ故,前に与えた初期値が0のdX/dt=A^X+b
の解:X(t)={exp(A^t)-1}A^-1bにおいて,|Ω|の最低
次近似の解としてのX(t)は,左からP^-1を掛けて,
P^-1X(t)={exp(Λ^t)-1}P^-1A^-1bを満たします。
これから,結局.X(t)=P^{exp(Λ^t)-1}P^-1A^-1b
が得られます。
ところで,A^の逆行列A^-1の要素の近似を書き下すと,
1行目は変更無しで,(detA^)(A^-1)11=α+α-,
(detA^)(A^-1)12=-α-,(detA^)(A^-1)13=-α+です。
また,2行目の近似は,(A^-1)21=(A^-1)23=0,および,
(detA^)(A^-1)22=-2γ{-γ-i(ω0-ω)}=α0α-です。
3行目は,(A^-1)31=(A^-1)32=0,(detA^)(A^-1)33
=-2γ{-γ+i(ω0-ω)} =α0α+となります。
さらに,detA^=-2γ{γ2+i(ω0-ω)2}=α0α+α-
と書けます。
それ故,b=[0,|Ω|2/4.|Ω|2/4]Tに=(|Ω|2/4)[0,1,1]T
に対してA^-1b={|Ω|2/(4α+α-)}[-(α-+α+)/α0,α-,α+]T
={|Ω|2/(4α+α-)}[-1,α-,α+]Tです。
( ※bについては,|Ω|2を無視するとゼロとなって無意味なので,
|Ω|2を因子として残します。)
さらに,左からP^-1=(Z0,Z+,Z-),Z0=[1,0,0]T,
Z+=[α--1,1,0]T,Z-=[α+-1,0,1]Tを掛けると.
P^-1A^-1b={|Ω|2/(4α+α-)}=[1,α-,α+]T
ですから,P^-1X(t)={exp(Λ^t)-1}P^-1A^-1b
={|Ω|2/(4α+α-)}
[exp(α0t)-1,α-{exp(α+t)―1},α+{exp(α-t)-1}]T
を得ます。
最後に,両辺の左からP^=(Y0,Y+,Y-),
Y0=[1,0,0]T,Y+=[-α--1,1,0]T,Y-=[-α+-11,0]T
を掛けて,近似解:X(t)=[x(t),y(t),y*(t)]Tの成分
x(t)を求めます。
第1成分は,x(t)={|Ω|2/(4α+α-)}
×[exp(α0t)-1-exp(α+t)+1-exp(α+t)+1}
={|Ω|2/(4α+α-)}
[1+exp(α0t)-exp(α+t)-exp(α-t)}]
={(|Ω|2/(4α+α-)}
×[1-exp(-2γt)-exp{i(ω0-ω)t}exp(-γt)
-exp{ーi(ω0-ω)t}exp(-γt)}]となりますから,
結局,ρ22(t)=[(|Ω|2/4)/{(ω0-ω)2+γ2}]
×[1+exp(-2γt)-2cos{(ω0-ω)t}exp(-γt)]
が得られます。[証明終わり] (注12-2終わり※)
(※ うーん。1つの証明が長過ぎるね。こりゃ疲れるわ。)
この(2.128)の,ρ22(t)=[(|Ω|2/4)/{(ω0-ω)2+γ2}]
×[1+exp(-2γt)-2cos{(ω0-ω)t}exp(-γt)]の結果
は,放射減衰:γがゼロの極限で,ω~ω0の場合,ω0t>>1の
遷移時間tに対する「光の量子論7」のρ22(t)=|C2(t)|2
=|Ω|2sin2{(ω-ω0)t/2}/(ω-ω0)2.(2.42)に一致します。
|Ω|t<<1におけるρ22のtに対する曲線は,いずれも
時間tの2次の時間依存性を示します。この性質は,光学Bloch
方程式の解を時間について展開すれば証明できます。
すなわち,(2.114),(2.115)の解の|Ω|の最低次の項は,
|Ω|t<<1,および,t=0での初期条件:ρ22=ρ12=0に対し,
離調:ω0-ω,や減衰γに無関係に,ρ22=(1/4)|Ω|2t2(2.129)
となります。
※(注12-3):上記を証明します。
[証明];t<<1,|Ω|<<1.γt<<1で,(2.128)は,
ρ22(t)=[(|Ω|2/4)/{(ω0-ω)2+γ2}]
×[1+exp(-2γt)-2cos{(ω0-ω)t}exp(-γt)]
~[(|Ω|2/4)/{(ω0-ω)2+γ2}]
×[1+(1-2γt+2γ2t2)
-2(1-(ω0-ω)2t2/2)(1-γt+γ2t2/2)
=[(|Ω|2/4)/{(ω0-ω)2+γ2}]{(ω0-ω)2t2+γ2t2}
=(1/4)|Ω|2t2を得ます。[証明終わり] (注12-3終わり※)
この,初めのうちは,励起度が時間tの2乗に比例して増加
するという挙動は,「光の量子論7」で述べたような,
tΔω>>1を満たす広帯域の入射光に対し,(2.49)で
与えたρ22(t)=|C2(t)|2=πe2|X12|2W(ω)t/(ε0.hc2)
の,励起度が時間tに比例する,という挙動とは対照的です。
しかし,放射広がりがある場合は,単色の式(2.128)を吸収線
のωの広がりにわたって積分することで,広帯域の場合の結果を
復元することができます。つまり,簡単な複素平面上の外周積分
により,∫ρ22dω={π|Ω|2/(4γ)}{1-exp(-2γt)}(2.130)
が得られ,γt<<1では,{1-exp(-2γt)} ~2γtより左辺
はtに比例します。
※(注12-4):上記(2.130)を証明します。
[証明] ρ22(t)=[(|Ω|2/4)/{(ω0-ω)2+γ2}]
×[1+exp(-2γt)-2cos{(ω0-ω)t}exp(-γt)]
∫ρ22(t)dω=(|Ω|2/4)[∫dω/{(ω0-ω)2+γ2}]
{1+exp(-2γt)}-(|Ω|2/4)[∫dω[2cos{(ω0-ω)t}
/{(ω0-ω)2+γ2)}]×exp(-γt) です。
ところが,まず,∫-∞∞dω/{(ω0-ω)2+γ2}
=(1/γ)[Tan-1{(ω0-ω)/γ]] -∞∞=π/γです。
一方,∫dω[2cos{(ω0-ω)t}/{(ω0-ω)2+γ2)}
=∫-∞∞dω([exp{i(ω0-ω)t}+exp{-i(ω0-ω)t}]
/[{(ω0-ω)-iγ}{(ω0-ω)+iγ}])です。
ここで,次の公式が成立することを利用します。すなわち,
∫-∞∞dω[exp(±iωt)/{(ω-iγ)(ω+iγ)}]
=(π/γ)exp(-γt)です。
何故なら,複素ω平面でωを半径がRの大円:
つまり,ω=Rexp(iθ)=R(dosθ+isinθ)とすると,
dω=iRexp(iθ)dθでありR~∞では,
exp(±iωt) /{(ω-iγ)(ω+iγ)}
=exp(±itcosθ)exp{±(-tRsinθ)
/[{Rexp(iθ)-iγ}{Rexp(iθ)-iγ]
~exp{±(-Rsinθ)/R2ですから,分子がexp(iωt)
なら,θが0→πの反時計回りの上半円周,分子がexp(-iωt)
なら,θが0→(-π)の時計回りの下半円周を取れば,tが正
では,共に,半円周上の寄与はゼロとなり,積分の極は上半円周
ではω=iγ,下半円周ではω=-iγ,なので留数は,
±2πi/(±2iγ)exp(-γt)ですから,
∫-∞∞dω[exp(±iωt) /{(ω-iγ)(ω+iγ)}]
=(π/γ)exp(-γt)を得ます。
以上から,∫dω[2cos{(ω0-ω)t}/{(ω0-ω)2+γ2)}
=∫-∞∞dω([exp{i(ω0-ω)t}+exp{-i(ω0-ω)t}]
/[{(ω0-ω)-iγ}{(ω0-ω)+iγ}])
=(2π/γ)exp(-γt)です。
したがって,∫ρ22(t)dω=(|Ω|2/4)
[(π/γ){1+exp(-2γt)}
-(2π/γ)exp(-γt)exp(-γt)]
={π|Ω|2/(4γ)}{1-exp(-2γt)}が得られました。
[証明終わり] (注12-4終わり※)
この(2.130)の表式:
∫ρ22dω={π|Ω|2/(4γ)}{1-exp(-2γt)}には,
t→∞の極限の定常状態で∫ρ22dω={π|Ω|2/(4γ)}
になるという(2.124)の結果が,既に含まれています。
他方,(2.130)は,(2.125)の,∫BWdω=|Ω|2/2,
および,A=2γをも援用すると,π∫(BW/A)dω
=∫ρ22dω={π(∫BWdω)/A}{1-exp(-At)}
となり,第1章で,吸収と放出のアインシュタインの理論
で導かれ広帯域の結果(1.70):N2={NBW/(A+2BW)}
[1-exp{-(A+2BW)t}]の弱ビーム:BW<<Aの極限
のケースの表式と正確に一致することがわかります。
ただし,本節で導いた明快な結果はゼロ離調と弱ビームの
極限における励起度:ρ22=N2/Nの時間依存性を表わしている
に過ぎません。
より一般的ケースの解を求めるには光学Bloch方程式を数値
積分するのが,最も便利で有効な道です。
今回は,本節がここで終わるので,ここまでにします。(つづく)
(参考文献):Rodney Loudon 著
(小島忠宣・小島和子 共訳)
「光の量子論第2版」(内田老鶴舗)
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コメント
思うところがあって、ヤングの実験についてQEDでどのように扱うかを知りたいと思い、貴ブログに至りました。
よろしくお願い遺体増す
さて、
「ホイヘンスの原理の正当性」
http://maldoror-ducasse.cocolog-nifty.com/blog/2006/10/huygens_8c9a.html
のところで、
最後の表示式でn'を-n'に変更した後,…
ψ(x,t)={A/(4π)}∫SdS'[{(x'n')/r'2+(Rn')/R2}
+(iω/c){(x'n')/r'+(Rn')/R}]
×(1/Rr')exp[-iω{t-(r'+R)/c}]
となっていますが、
∇’ψ(x',t')=∇’(A/r')exp{-iω(t'-r'/c}
=(Ax'/r')(-1/r'+iω/c)exp{-iω(t'-r'/c}
なので、+(Rn')/R → -(Rn')/R
ではないでしょうか?
ψ(x,t)={A/(4π)}∫SdS'[{(x'n')/r'2+(Rn')/R2}
+(iω/c){(x'n')/r'-(Rn')/R}]
×(1/Rr')exp[-iω{t-(r'+R)/c}]
この式は「ヤングの干渉実験(1)(古典論)」
http://maldoror-ducasse.cocolog-nifty.com/blog/2007/12/young1_b95b.html
でも使われています。
投稿: バク | 2019年12月 2日 (月) 04時32分