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2020年5月

2020年5月31日 (日)

くりこみ理論(次元正則化)(14)

「くりこみ理論(次元正則化)」の続きです。

前々回まででは,大局的ゲージ不変性と

いう対称性を持った系の有効作用Γを示す

Feynmanグラフがくりこみ可能であること

を証明するために,この有効作用Γ(orΓ~)

を,Γ=Γ(0)+hcΓ(1)+..+hΓ(n)

+hc(n+1)Γ(n+1)+,,と摂動展開し,初項

Γ(0)は作用S(orS~)に等しく有限なので

続くΓ(1)(2)(n)がくりこみで全て有限

にできたと仮定してΓ(n+1)も有限になると

いうことを示す,という帰納法に頼りました。

結局,この証明はΓ(n+1)の発散部分Γdiv(n+1)

を取り出すと,それが謂わゆるくりこみ方程式:

S~*Γdiv(n+1)=0を満たすことを示すことに

帰着することが導かれました。

そして,このくりこみ方程式に対しては,次の

命題が成立します。

これは,「大局が的ゲージ不変でFPゴースト

数ゼロ,次元が4以下の局所項から成る,ΦI,c,

K~I,Kの汎関数:Xがくりこみ方程式:

S~*­X=0を満たすとする。このとき解Xは

裸の作用積分:S0=S[Z31/2μ,.,Z~31/2μ

13-3/2,..]において,Zやviをずらせて

得られる変化分:ΔS

=δZ(ΔS)+δviviS)

=δZ[∂S~/∂Z] Z=1Vi=0+δvi[∂S/∂vi]Z=1Vi=0

(41)の形で与えられる。」 という命題です。

これが証明されればΓ(n+1)が有限になること

を示すことができて帰納法の証明が完結します。

そこで,この命題証明すればいいのですが,

これに関して.次の定理の成立が知られています。

[定理]:「ΦI,c,K~I,KのFPゴースト数

がゼロの局所多項式から成る汎関数Xでくりこみ

方程式S~*­X=0.を満たすものは,必ず,

X=Fゲージ不変[ΦI+S~*M[ΦI,c,K~I,K]

の形に書ける。

ここで.Fゲージ不変はΦI=(Aμi)のみで

書かれたゲージ不変な関数であり,一方,Mは

FPゴースト数が(-1)の任意の汎関数である。」

という定理です。

そして,この形で書かれる汎関数Xが.くりこみ

方程式:S~*X=0を満たすこと(解の十分性)の

成立はほぼ自明で,実際,容易に証明できました。 

しかし,証明が自明でないのは,逆の解となる

ための必要性の方でした。

このXがS~*X=0の解となるための必要性

  の一般的証明は,かなり面倒なので割愛する,と

述べました。ここまでが前々回の記事です。

前回は,当面必要なXが,次元4以下の局所項

から成る大局的ゲージ不変という特別な場合に

限れば必要性が証明できるというので,これを示す

途中での中断でした。結局,くりこみ方程式:

S~*X=0の解Xは­X=∫d4x[fゲージ不変I)

+β{K~I(δΦI)+Ka(δ)}

+(β-γ){Aμ(∂GI/∂Aμ)

-K~μ(∂μ)}

+γφ(d)ijj{∂(GI+K~iδφi)/∂φj}].

(63)と書けます。ただし,次元が4以下である

という条件からfゲージ不変I)の一般形は,

ゲージ不変I)

=α{(-1/4)Fμνaμν}

+αφ{(Dμφi)μφi}-α2φiφi)

-αλ{(λ/2)(φiφi)2}.(62)なる形で

与えられます。と書いたところで,前回記事

を終えました。

さて,今回はその続きです。

既述のように,作用S~は,(47)で与えた

S~=∫d4x[GII)+K~I(δΦI)

+K)].の形をしています。

ただし,δΦI=DIであり,

δ=(g/2)(×)です。

また,*演算は定義(31)によれば任意

  のΦI,c,K~I,Kの汎関数:F.Gに

対して,F*G=(δF/δΦI)(δG/δK~)

+(δF/δc)(δG/δK)

+(-)|F|{(δF/δK~I)(δG/δΦ)

+(δF/δK)(δG/δc)

ですから,S~*(K~μμ)

=(δS~/δAμ)Aμ+(δμ)K~μ

=(Aμ(∂GI/∂Aμ)

+K~μ{∂(Dμ)/∂Aμ}

+(Dμa)K~μです。

故に,証明に必要な第1式:

S~*(K~μμ)=Aμ(∂GI/∂Aμ)

-Kμ(∂μ).(64)を得ます。

次に,S~*(K)

=(δS~/δc)c+(δ)K

=-c(δS~/δc) +K(δS~/δK)

(65)です。

ところが,場(粒子)のFPゴースト数をNFP

  とすると,S~はNFP=0,cはNFP=1,K~I

FP=-1,KはNFP=-2のゴースト数を

持つため.{c(δ/δc)-K~I(δ/δK~I)

-2K(δ/δK)}S~=0(.66)

が成立します。

※(注14-1):何故なら,まず,S~をc,K~I

の関数と見て,ベキ級数展開したもの

を,S~=Σν1,v2,ν3{a(ν123)

×cν1(K~I)ν2×(K)ν3}と表わすと,

{c(δ/δc)-K~I(δ/δK~I)

-2K(δ/δK)}S~

=Σν1,v2,ν3{(ν1-ν2-2ν3)a(ν123)

×cν1(K~I)ν2(K)ν3} となります。

元のS~の展開の各項のベキ次数ν123

は,それぞれ,ゴースト場c;外場K~I,K

に対応する粒子の個数を示しています。

故に,(ν1-ν2-2ν3)は項のFPゴースト

  数を意味します。

一方,左辺のS~のゴースト数はNFP=0

ですが,これは右辺の展開の各項で満たされる

べきと考えられるので,全ての項において

ν1-ν2-2ν3=0が成立すべきで,その結果

としてl{c(δ/δc)-K~I(δ/δK~I)

-2K(δ/δK)}S~=0が得られます。

(注14-1終わり※)

したがって,(65)のS~*(K)

-c(δS~/δc) +K(δS~/δK)

は,S~*(K)=-K~I(δS~/δK~I)

-K(δS~/δK) と書き直せます。

故に,必要な第2式として,

S~*(K)

=-K~I(δΦI) -K(δ).(67)

を得ました。

最後に,S~*K~i=δS~/δφi

=δ{(GI+K~(δφj))/δφiです。

以上から,再掲(63)式:

X=∫d4x[fゲージ不変I)

+βA【K~I(δΦI)+Ka(δ)}

+(β-γ){Aμ(∂GI/∂Aμ)

-K~μ(∂μ)}+γφ(d)ijj

{δ(GI+K~jδφj)/δφj}](63)

の被積分関数は,fゲージ不変I)

-βS~*(K)+

-γ)S~*Kμaμ)

+γφ(d)ijjS~*K~j]と書けます。

すなわち,Xは,X=∫d1x[fゲージ不変I)

+S~*{(β-γ)Kμaμ -β

+γφ(d)ijjK~j}].(68)の形となり,

これは,定理が主張する(44)の形の解:

X=Fゲージ不変[ΦI+S~*M[ΦI,c,K~I,K]

に合致する,ことがわかり定理の必要性が証明

されました。つまり,これで.次元4以下で大局的

ゲージ不変な場合に,先の定理が証明されたわけ

です。(※大局的ゲージ不変性について,S~の

K~i(δφi),XのK~i~φi)の部分は疑問

ですが,これは議論の本質には無関係のようです。

要するに,追加の外場K~iの問題なので?※)

さて,まだ,直接,必要とされる先の命題の

結論となる形に書けること,つまり,解Xが作用

積分:S0=S[Z31/2μ,..Z~31/2μ

13-3/2,..]で,Zやviをずらせて得られる

変化分:δZ(ΔS)+δvi(ΔviS)(41)の形

で与えられる。ということを透明する仕事が

残っています。

これを証明するにはXの表式:(63)(再々掲)

X=∫d4x[fゲージ不変I)

+β{K~I(δΦI)+Ka(δ)}

+(β-γ){Aμ(∂GI/∂Aμ)

-K~μ(∂μ)}

+γφ(d)ijj{∂(GI+K~iδφi)/∂φj}].

を出発点とする方が早道です。

まず,唐突ですが,次式:

{Aμ(∂/∂Aμ)-g(∂/∂g)}GII)

=2{(-1/4)Fμν2}.(69)が成立することに

注意します。(※ただし,(-1/4)Fμνaμν

を,(-1/4)Fμν2と略記しました。※)

これは,)で(gAμ)をAμ

変数変換すれば,物質場:ΦIのLagrangianの部分

は,gに依らなくなる。ということから従います。

※(注14-2):実際,(gAμ)の1次の項は,

μ(∂/∂Aμ)の作用で(gAμ)となり,

g(∂/∂g)に対しても同じ(gAμ)になる

ため,これに比例した項は演算の結果として

消えます。すなわち,

{Aμ(∂/∂Aμ)-g(∂/∂g)}GII)

{(g,Aに独立な比例係数)(gAμ)}=0です

。残るのはFμν内の(gfabcμν)

のように,Aμの2次以上の項の場合で,

{Aμ(∂/∂Aμ)-g(∂/∂g)}

(gfabcμν)

=gfabcμν ですから.Fμν2

への演算の場合,この項から因子2が出ます。

gを含まないAのみの項ではAμ(∂/∂Aμ)

の作用は,各項で時空微分に関係なく元の項の

Aの次数倍を与えるので,(∂μν-∂νμ)2

に作用させると,2((∂μν-∂νμ)2です。

結局,{Aμ(∂/∂Aμ)-g(∂/∂g)}

(Fμν2)=2Fμν2)が得られます。

(注14-2終わり※)

次に,K~(δΦI)+K)では,

K~(δΦI)=(Dμ)の中の項:

K~μ(∂μ)が,gの0次項である以外,

全てgの1次の項ばかりなので,

{g(∂/∂g)-1}{K~(δΦI)+K)}

=-K~μ(∂μ).(70)となります。

これと先の(69)の

{Aμ(∂/∂Aμ)-g(∂/∂g)}GII)

=2{(-1/4)Fμν2}から

∫d4x{Aμ(∂GI/∂Aμ)-K~μ(∂μ)}

=gδS~/δg)+∫d4x[2{(-1/4)Fμν2}

-{K~(δΦI)+K)}].(71)です。

そこで,これらを(63)に代入します。fゲージ不変I)

については,(62)の具体的で陽な表式を代入すると,,

X=∫d4x[(α+2β-2γ){(-1/4)Fμν2}

+αφ|Dμφi|2-αμ2i|2-αλ{(λ/2)|φi|4}

+γ{K~(δΦI)+K)}]

+γφ(d)ijj(δS~/δφj)

+(β-γ)g(δS~/δg)].(72)という

解Xの表式を得ます。

一方,作用積分S~の引数の物質場,外場に,

0μ=Z31/2μ0i=Zi1/2i,+vi)

=Zi1/2φ~i,(c0,c0~)=Z~31/2(c,c~)

(15),K0μ=Z3-1/2μ,

0i=(Z~31/231/2/Zi1/2)Ki(18)

0c=Z31/2(19),g0=Zi3-3/2g.(20)

で指定されるZ,やviを含んだ裸の量:Φ0II,K0I,

0c,g0を入れたものを求めると,次のように

なります。

S~[Z31/2μ,..Z3-1/2μ,..Zi3-3/2g...]

=∫d4x[Z3(-1/4){∂μν-∂νμ

-Z13-1g(μ×ν)}2

+Zi|∂μφ~i+Z13-1g(T)ijμφ~j|2

-Ziμ2|φi|2-Zλi2(λ/2)|φ~i|4

+Z~3μ{∂μ-Z1-1g(μ×)}

-Z3K~iiZZ3-1g(T)ijφ~j

+Z~3(Zi3-1g/2)(×)].(73)

ただしZとZλは,今,陽に考えている物質場

の質量と,λφ4相互作用の結合定数λのくりこみ

因子として定義されています。

つまり,μ02=Zμ20=Zλλ.(74)です。

さて,Z因子やvをずらしたときのS~の

変化分は,(73)のS~の表式を微分して,

ΔS~=δZ(ΔS~)+δviS~)

=∫d4x[(-1/4){δZ3(F~μν(0))2

-Z3(0)(2δg~)(μ×ν)Fμν(0)

+δZi|D~μφ~i(0)|2

+Zi(0)(2iδg~)(T)ijμφ~jD~μφ~i(0)

+2(δvi)Zi(0)(ig(0))(T)ijaμD~μφ~i(0)

-{(δZ)Zi(0)+Z0)(δZi)}μ2|φ~i|2

-Z(0)i(0)(δvi)(∂/∂φ~i)(λμ2|φ~i|2)

-{(δZλ)Zi(0)2+Zλ0)(2δZi)}(λ/2)|φ~i|4

-Zλ(0)i(0)2(δvi)(∂/∂φ~i)(λ|φ~i|4/2)

+K~μ{(δZ~3)(Dμa(0))}

+Z~3(0)(δg~)(μ×)}

-{(δZ~3)g~(0)+Z~3(0)(δg~)}

×K~ii(T)ijφ~j(0)

-Z~3(0)K~iig~(0)(T)ij(δvl)

+(i/2){(δZ~3)g~(0)+Z~3(0)(δg~)}

(×)] と書けます。

ただし,0次近似では,Z(0)は全て1,vi(0),

j(0)は.全て0,g~(0)=gとします。

また,F~μμ=∂μν-∂νμ

-Z13-1(μ×ν),g~=Z13-1g,

D~μφ~i=∂μφ~i-ig~(T)ijμφ~j.

D~μc=∂μc-g~(μ×)としています。

そして,δZ,δvはZ(0)=1,v(0)=0から

  の変化分と考えます。

それ故,結局,δZ(ΔS~)+δviS~)

=∫d4x[δZ3{(-1.4)Fμν2}+δZi|Dμφi|2

-(δZ+δZi2i|2

-(δZ+δZλ)(λ/2)|φi|4

+δZ~3{K~I(δΦI)+K(δ)}]

+δvi(δS~/δφi)

+(δZ1-δZ3)g(δS~/δg)(75)

となります。

この形は,丁度,(72)で与えたくりこみ方程式

  の一般解:Xの表式にピッタリ一致します。

すなわち,くりこみ因子のずれ:δZ,δvは

(72)のパラメータ:α,β,γから次のように

決まります。

δZ3=-(α+2β-2γ),δZ~3=γ,

δZi=-αφ,δZ=-α+αφ,

δZλ=-αλ+2αφ,δvi=γφ(d)ijj,

δZ1=-(α+3β-3γ).(76)です。

(※符号が逆になっているのが多いのは,Xの

表式をΓの発散項としたとき,それがS~の

変化分で相殺されると考えるからです。※)

以上で,命題の証明,すなわち,ゲージ理論

のくりこみ可能性の証明が完了しました。

※(注14-3):ここまで,一貫して,大局的ゲージ

不変な理論がくりこみ可能であることを示して

きたわけですが,そもそも局所ゲージ不変理論

(第2種のゲージ変換)に対して不)な理論)なら,

時空点ごとに異なるゲージ変換のパラメータ

(位相)を,全ての時空点で同じ定数とした特別

な場合でも不変性は維持されるので,局所的

ゲージ不変なら,必ず,大局的ゲージ不変

(第1種ゲージ変換に対して不変)なので,

局所ゲージ不変な理論もくりこみ可能で

あることが示されたわけです。

逆の大局的ゲージ不変なら局所ゲージ不変

というのは必ずしも成り立ちませんがね。

(注14-3終わり※)

  • 7-4の目的であったゲージ理論のくりこみ

可能性の証明問題が完了して一段落です。

今日,これのアップは2020年5/31ですが,実際に

この原稿をつj作ったのは10日くらい前で,既に

新しい項の原稿(15)を書いている途中です。

米印参照ノートは「ゲージ場の量子論(5)」と題名

の付いたノートで,日付けがあるのは1ページ目の

(通算467ページ目)の1997年3/20(47歳)と最後

の通算573ページ目の1999年5/24(49歳)のみで

今日の原稿の内容を書いたのは,その間であろう

としか,わかりません。

そして,この題名のノートの全ては,今部屋の

どこにあるのかは真剣に探してみないと不明

ですが,確か,「ゲージ場の量子論(6)」が最後

で,2000年2/1(50歳)の前には読了して終了

したはずです。※

いずれにしろ,今回はここで終わります。

(参考文献):九後汰一郎著「ゲージ場の量子論Ⅱ」

(培風館)

 

 

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くり込み理論(次元正則化)(13)

くりこみ理論(次元正則化)」の続きです。

前回は,大局的ゲージ不変という対称性を

持った系の作用積分Sと,その有効作用Γを

裸の場を変数として構成した裸のS0とΓ0

において変数の裸の場を,くりこんだ場と

くりこみ定数Z,viで表わしたものに置換

する,という操作によって,くりこんだ有効

作用Γが有限になる,という手法で理論が

ゲージ不変性を保持したままの正則化に

よって,くりこみ可能となることの証明を

志向しました。

以下,これまでの手順の要約を記述します。

まず,上記の証明ため,Γ0の変数の裸の量に,

くりこんだ量による表式を代入して,計算

すべきΓを,Γ=Γ(0)+hcΓ(1)+hc2Γ(2)

+...+hcΓ(n)+hc(n+1)Γ(n+1)+...と

摂動展開します。

初項のΓ(0)はΓ(0)=Sにより明らかに有限

なので,以下のΓ(1)(2),..,Γ(n)が全て有限

にできた,という仮定の下で次のΓ(n+1)も有限

になることを示す,という帰納法に頼って証明

する手法を取りました。 

S,Γには有限な寄与が自明なNL場:B

反ゴーストc~を含む項があり.これらを除き

S~.Γ~とすると,満たされるべき基本的なWT

恒等式はΓ~*Γ~=0という式で与えられる

ことがわかりました。

SとS~.ΓとΓ~は,今の証明では本質的に

同じなので同一視してもよく Γ~の代わりに

Γの展開式:Γ=Γ(0)+hcΓ(1)+hc2Γ(2)+..

+hcΓ(n)+hc(n+1)Γ(n+1)+..をΓ~*Γ~

=0に代入して,Γ(n+1)の発散部分:Γdiv(n+1)

を取り出すと,くりこみ方程式:S~*Γdiv(n+1)

=0に帰着することが導かれました。

そして,このくりこみ方程式に対しては,

次の命題が成立することが証明できます。

※[命題]:「大局が的ゲージ不変でFP

ゴースト数がゼロ,次元が4以下の局所項から

成る,ΦI,c,K~I,Kの汎関数:Xが

くりこみ方程式:S~*­X=0.を満たすとする。

このときXは,裸の作用積分:

0=S[Z31/2μ,..,Z~31/2μ

13-3/2,..]で,Zやviをずらせて得られる

変化分ΔS=δZ(ΔS)+δvi(ΔviS)

=δZ[∂S/∂Z] Z=1Vi=0+δvi[∂S/∂vi]Z=1Vi=0

の形で与えられる。」

仮に,この命題が証明されたとすると,Xが

S~*Γdiv(n+1)=0を満たすΓdiv(n+1)である場合,

この発散が適切な相殺項で吸収され,有効作用Γ

がhc(n+1)のオーダーのΓ(n+1)まで有限となり,

帰納法によるくりこみ可能性の証明が完結する

ことになります。

実際の[命題の証明]においては,結局,

くりこみ可能性の証明はS~*X=0の一般解

Xが,X=δZ(ΔS)+δvi(ΔviS)の形で

与えられる,という純粋に代数的な命題の証明

に帰着することがわかりました。

そうして,くりこみ方程式:S~*X=0の解

  Xに関して.次の定理が成立することが

知られています。

※[定理] 「ΦI,c,K~I,KのFPゴースト数

がゼロの局所多項式から成る汎関数Xで,くりこみ

方程式S~*­X=0.を満たすものは,必ず,

X=Fゲージ不変[ΦI+S~*M[ΦI,c,K~I,K]

の形に書ける。

ここで,Fゲージ不変はΦI=(Aμi)のみで

書かれたゲージ不変な関数で,MはFPゴースト

数が(-1)の任意の汎関数である。」

この形で書かれる汎関数Xがくりこみ方程式:

S~*X=0を満たすこと(解の十分条件)の証明

は,S~のBRS不変性,S~*S~=0,および,

Jacobi恒等式から従う,演算:(S~*)のベキ零性:

つまり,∀Xに対しS~*(S~*X)

=-((1/2)X*(S~*S^)=0.から,容易に

証明できました。 

しかし,証明が自明でない,のは,逆の解と

なるための必要性の方です。

この定理は大変有用なものですが,一般的証明

  は,かなり面倒なので,この必要性の詳細証明は,

既存の文献に譲って,ここでの記述は割愛します。

と書いて,前回までの記事は終わりました。

 

さて,ここからは,今回のその続きです。

XがS~*X=0の解となるための必要要性の

一般的証明は,かなり面倒なので割愛する,と述べ

ましたが,今,必要なのはXが,次元4以下の局所

項から成る大局的ゲージ不変な場合で,この場合

に限れば,次のようにして,解の必要性も容易に

証明できます。以下は,この証明手順です。

※[必要性の証明]:話を明確にするために物質場

φiとしては,ゲージ群:Gのある既約表現に属する

スカラー場のみが存在する系の場合を考えます。

(※もっとも,可約表現の場合や,スピノル場が存在

する場合でも本質的には同じように証明可能です。)

系のゲージ不変なLagrangian密度GIが,

GII)=-(1/4)Fμνaμν

+(Dμφi)μφi-μφiφi-(λ/2)(φiφi)2.

(46)で与えられる場合を考察します。

このとき,外場を付加した作用積分:S~は,S~

=∫d4x[GII)+K~I(δΦI)+K(δ)]

(47)という形に書くことができます。

,ただし,δΦI=DI,δ=(g/2)(×)

です。一方,問題のXは,次元が4以下の局所項から成る

FPゴースト数:NFPが0の大局的ゲージ不変な汎関数

である,と仮定されています。

ところで,外場K:~Iは,NFP=-1で次元は2,

外場:Kaは,NFP=-2で次元は2です。

(※何故なら,dim(L)=4ですが,dim­(c)=1,

dim(g)=0なので,dim(δΦI)=dim(DI)

=2であり,dim(δ)=dim{(g/2)(×)}

=2でぁるからです。

また,一般線形ゲージ中の係数fIはNFP=0

  で次元が1の量であることから,BRS変換:δ

に似たG群に属する変換の演算子δ~を導入して

S~と同様,Xが次のように書けるとします。

つまり,X=∫d4x[~(ΦI)+K~I(δ~ΦI)

+K(δ~)],(48)とします。

未知の演算子δ~は,δ~ΦIが,δ~μ

=∂μ-βabcμ

-γgdabcμ,(49-1),および,δ~φi

=-βφ(ig)c(T)ijφj

-γφ(ig)c(dab)ijj(49-2)

の組で与えられ,ゴースト項の変換がδ~

=β(g/2)(×)=β(g/2)fabcc.

(49-3)と書ける一般形で与えられる,とします。

一見,δ~φiには,δaiのような項が

あってもよいように見えますが,系がφi→ -φi,

ai→ -faiなる変換の下での不変性を持つので,

こうした項の存在は許されません。

(※つまりδ~(-φi)=-δiが成り立つ必要

があるので,δaiのような項は存在不可能です。)

ここで,~(ΦI)は,ΦI=(Aμ,φi)のみの次元

が4以下の関数,γdφφは任意の

係数,dabcはTr(T)に比例する対称不変

テンソル,(dab)ijは,φiの表現行列:(T)ij

abcなどのゲージ群Gの不変テンソルで構成

される(存在すれば)添字が(abij)の不変テンソル

です。

そしてXがくりこみ方程式:S~*X=0を

満たすべき,という要請は,先に(49)で場に対する

変換性を具体的に示したBRS変換に類似した

変換::δ~を,(δX/δK~I)(δ/δΦI)

+(δX/δK)(δ/δc)

=(δ~ΦI)(δ/δΦI)+(δ~)(δ/δc)

δ~B.(50)を満たす演算子と見れば,

XとS~がδX+δ~S~=0,なる式を

満たすべき,ことを意味するとわかります。

※(注13-1):何故なら「くりこみ理論11)」での

任意のF,Gに対するF*Gの定義:(31):

F*G=(δF/δΦI)(δG/δK~I)

+(δF/δc)(δG/δK)

+(-)|F|{(δF/δK~I)(δG/δΦI)

+(δF/δK)(δG/δc)}により,

S~*X=,(δS~/δΦI)(δX/δK~I)

+(δS~/δc)(δX/δKc)

+(-)|S~|{(δS~/δK~I)(δX/δΦI)

+(δS/δK)(δX/δc)}です。

ところが,Xはゴースト数:NFPがゼロ

なので,Grassman偶であり,S~もそうです。

さらに,ΦIもGrassmann偶です。

しかし,cはGrassman奇で外場K~I

FP=-1なのでGrassman奇です。

最後に外場Kは,NFP=-2で,Grassman

  偶です。そして,Grassman数の微分は,右微分

か左微分かの違いがあるため,どちらかに統一

する必要がありますが,偶を奇で微分したり,

奇を偶で微分すると奇で,それ以外の量間で

の微分は偶です。そして奇と奇が反可換で

ある以外は,全て可換です。

それ故,(δS~/δφI)(δX/δK~I)

+(δS~/δc)(δX/δK)

=(δX/K~I)(δS~/δK~I)

+(δX/δK)(δS~/δKca)

=(δ~ΦI)(δS~/δΦI)

+(δ~)(δS~/δc)=δ~S~

が,Grassman数に対する式として

成立します。

また,(-)|S~|{(δS~/δK~I)(δX/δΦI)

+(δS~/δK)(δX/δc)}

=(δΦI)(δX/δΦI)+(δ)(δX/δc)

=δX となりまず。

以上から,S*X=δ~S~+δXであり,

S*X=0は,δ~S~+δX=0と同値

であることがわかりました。

(注13-1終わり※)

このδX+δ~S~=0に,S~の表式:

S~=∫d4x[GII)+K~I(δΦI)

+K(δ)],(47),および,Xの表式:

X=∫d4x[~(ΦI)+K~I(δ~ΦI)

+K(δ~)],(48)を代入すれば,

次の方程式を得ます。

すなわち,δ~(ΦI)-K~Iδ(δ~ΦI)

+Kcaδ(δ~)+δ~GII)

-K~Iδ~(δΦI)+Kcaδ~(δ)

=0.(51)です。

この方程式は,任意のK~I,Kcaについて

成立しなければならない恒等式なので,

δ~(ΦI)+δ~GII)=0,(52)

δδ~δ~δ={δ,δ~}=0.(53)

なる2つの独立な等式が従います。

(53)は,BRS変換δと(47)で定義された

BRSの類似変換δ~が反可換であるという

要請ですが,これはcの上では(49-3)の

δ~=β(g/2)(×)と.δ

=(g/2)(×)から,δ~=βδとなり,

δδ~δ~δ=βcδ2=0となるため,

自動的に満足されます。

しかし,Aμの上では,δ~μ=∂μ

-βabcμ-γgdabcμ,

(49-1)であり,δμ=Dμ=∂μ

-fabcμなので,

δδ~μδ(∂μ-βabcμ

-γgdabcμ)

=(g/2)∂μ(c×c)-βabc{(Dμ)c

+(g/2)μ(c×c)}-γgdabc{Dμ}c

+(g/2)Aμ(×)}であり,

一方では,δ~δμ=δ~(Dμ)

=βc(g/2)Dμ(c×c)a ですから,反可換で

要求される,δδ~μδ~δμ=0.

を満たすには,β=βc,0,かつ,γ=0.(54)

が必要十分です。

さらに,スカラー場:φlの上で成立するため

には,βφ=β(55)の条件の他,不変テンソル:

(dab)ijが,(T)ij(dbd)jk=(T)ij(dad)jk

=fabc(dcd)jk.(56)を満たすことが必要

となります。

※(注13-2):何故なら,(49-2)から,

δ~φi=-βφ(ig)c(T)ijφj

-γφ(ig)c(dab)ijj であり,

一方,δφi=-(ig)c(T)ijφjです。

そして,δ,δ~は,ゴースト場:cとは

反可換である,と考えられるので,

δ(cφi)=(δ-cδφj,

δ~(cφi)=(δ~-cδ~φj

です。それ故,δδ~φl

=-βφ(ig)(δ)(T)ijφj

+βφ(ig)(T)ij(δφj)

-γφ(ig)(δ)(dab)ijj

=(-ig2/2)βφ(×c)(T)ijφj

-(ig)2βφ(T)ij(T)jkφk

-(ig2/2)γφ(c×c)(dab)ijj

他方,δ~δφi

δ~|(-ig)c(T)ijφj}

=-ig{(δ~)(T)ijφj-c(T)ij

×(δ~φj)

=-(ig2/2)βc(c×c)(T)ijφj

-(ig)2βφ(T)ij(T)jkφk

-γφ(ig)2(T)ij(dbd)jkk)

ですから,δ~δφiδδ~φi=0

となるには,cがFPゴーストで,スピンゼロ

なのにFermionという,奇妙な反交換する場

で,c=-cであることを考慮

すると,δ~δφiδδ~φi

=(-ig2/2)(βc+βφ)(×c)(T)ijφj

-βφ(ig)2[T.T]ijφj

-(ig2/2)γφ(c×c)(dab)ijj

-(ig)2γφ((T)ij(dbd)jkk

と書けます。

ところが.[T,T]=ifabccであり,

定義により,(×)=fabcなので,

[T,T]ijφj

=ifabc(T)ijφj

=i(×)(Ta)ijφjです。

故に,β=βφであれば,右辺の第1項と

第2項は相殺して消えます。

第3項については,

γφ(-ig2/2]fabc(dad)ikj

-γφ(ig)2(T)ij(dcd)jkk}

=-(γφ2)[(i/2)fabc(dcd)ik

-(T)ij(dbd)jk](ck)=0

であればいいのですが,(ck)

がfabcと同じくa,bの交換について

反対称なのでこれらは独立でなく恒等式

の未定係数法を使うため,1つの独立な組

(a,b)の係数を取ってゼロとして,

{(i/2)fabc(dcd)ik-(T)ij(dbd)jk]

-{(i/2)fbac(dcd)ik-(T)ij(dad)jk]

=0 が得られます。

結局,(T)ij(dbd)jk -(T)ij(dad)jk

=,ifabc(dcd)jk となるべきであること

がわかりました。

しかし,この結論は,

(T)ij(dbd)jk=(T)ij(dad)jk

=fabc(dcd)jk.(56)を,満たす必要がある,

とされていた,参考文献の内容と違います。(?)

(注13-2終わり※)

いずれにしろ,(dab)ijは,さらに分解されて

(dab)ik=(T)ij(d)jk.(57)のようにできる

ことが示唆されています。(※ここで,同じ記号

dを使いましたが(57)両辺のdは別定義です。)

こうして,得られた(56),(57)および,βφ=β

=β,かつγ=0が,δδ~が反可換で

あることから得られたδ~の表現係数に関する

全情報です。

次に,δ~(ΦI)+δ~GII)=0,(52)を

  解いて.~(ΦI)の形を決める必要があります。

まず,(49)で具体的に与えたδ~の変換は,元

のBRS変換:δに係数;β=β=βφで比例

する部分を抜き出して.その他との和に分割すると,

δ~=βδ+(γ-β)(∂μ)(δ/δAμ)

-γφ{igc(T)ij(d)jk}(δ/δφi)

(58)となります。

そして,これの右辺第2項,第3項の微分演算

  は(∂μ)(δ/δAμ)

=[(Dμ)(δ/δAμ),Aν(δ/δAν)]

=[δ,Aμ(δ/δAμ)].(59-1)

{igc(T)ij(d)jk}(δ/δφi)

=[igc(T)ijφj(δ/δφi).

(d)jkk(δ/δφi)]

=[δ,(d)ijj(δ/δφi)].(59-2)

のように,BRS変換:δと何らかの交換関係

の形に書けます。

それ故,δ~=βδ

  +[δ,(γ-β)Aμ(δ/δAμ)

-γφ(d)ijj(δ/δφi)] となります。

したがって,δ~(ΦI)+δ~GII)

=0は,δGII)=0なので,δ~(ΦI)

δ{(β-γ)Aμ(∂GI/∂Aμ)

+γφ(d)ijj}(∂GI/∂φi)}.(60)

を意味します。

それ故,明らかに。右辺の括弧:{ }の中は(52)

を満たす~(ΦI)を与える1つの特殊解です。

(52)に対する~(ΦI)の一般解を得るには,

斉次(同次)方程式δ~(ΦI)=0の一般解を得る

必要がありますが.δが,ΦI=(Aμ,φi)の上

ではゲージ変換に過ぎないので,同次方程式の

一般解はゲージ不変な一般関数です。

結局,δ~(ΦI)+δ~GII)=0(52)を

満たす~(ΦI)の一般解は,~(ΦI)

=fゲージ不変I)+β-γ)Aμ(∂GI/∂Aμ)

+γφ(d)jk}(∂GI/∂φi).(61)

で与えられる,ことがわかります。

ところで,~(ΦI)には次元が4以下である,

という条件があったのでfゲージ不変I)の一般形

は,fゲージ不変I)=α{(-1/4)Fμνaμν}

+αφ{(Dμφi)μφi}-α2φiφi)

-αλ{(λ/2)(φiφi)2}.(62)で与えられます。

結局,くりこみ方程式:S~*X=0の解Xは,

­X=∫d4x[~(ΦI)+K~I(δ~ΦI)

+K(δ~)](48)である,としていたので,

X=∫d4x[fゲージ不変I)

+β{K~I(δΦI)+Ka(δ)}

+(β-γ){Aμ(∂GI/∂Aμ)

-K~μ(∂μ)}

+γφ(d)ijj{∂(GI+K~iδφi)/∂φj}].

(63) と書けることがわかりました。

 

途中ですが長くなったので,今回はここで

終わります。

(参考文献):九後汰一郎著「ゲージ場の量子論Ⅱ」

(培風館)

 

くりこみ理論(次元正則化)(13)

「くりこみ理論(次元正則化)」の続きです。

前回は,大局的ゲージ不変という対称性を

持った系の作用積分Sと,その有効作用Γを

裸の場を変数として構成した裸のS0とΓ0

において変数の裸の場を,くりこんだ場と

くりこみ定数Z,viで表わしたものに置換

する,という操作によって,くりこんだ有効

作用Γが有限になる,という手法で理論が

ゲージ不変性を保持したままの正則化に

よって,くりこみ可能となることの証明を

志向しました。

以下,これまでの手順の要約を記述します。

まず,上記の証明ため,Γ0の変数の裸の量に,

くりこんだ量による表式を代入して,計算

すべきΓを,Γ=Γ(0)+hcΓ(1)+hc2Γ(2)

+...+hcΓ(n)+hc(n+1)Γ(n+1)+...と

摂動展開します。

初項のΓ(0)はΓ(0)=Sにより明らかに有限

なので,以下のΓ(1)(2),..,Γ(n)が全て有限

にできた,という仮定の下で次のΓ(n+1)も有限

になることを示す,という帰納法に頼って証明

する手法を取りました。 

S,Γには有限な寄与が自明なNL場:B

反ゴーストc~を含む項があり.これらを除き

S~.Γ~とすると,満たされるべき基本的なWT

恒等式はΓ~*Γ~=0という式で与えられる

ことがわかりました。

SとS~.ΓとΓ~は,今の証明では本質的に

同じなので同一視してもよく Γ~の代わりに

Γの展開式:Γ=Γ(0)+hcΓ(1)+hc2Γ(2)+..

+hcΓ(n)+hc(n+1)Γ(n+1)+..をΓ~*Γ~

=0に代入して,Γ(n+1)の発散部分:Γdiv(n*1)

を取り出すと,くりこみ方程式:S~*Γdiv(n*1)

=0に帰着することが導かれました。

そして,このくりこみ方程式に対しては,

次の命題が成立することが証明できます。

※[命題]:「大局が的ゲージ不変でFP

ゴースト数がゼロ,次元が4以下の局所項から

成る,ΦI,c,K~I,Kの汎関数:Xが

くりこみ方程式:S~*­X=0.を満たすとする。

このときXは,裸の作用積分:

0=S[Z31/2μ,..,Z~31/2μ

13-3/2,..]で,Zやviをずらせて得られる

変化分ΔS=δZ(ΔS)+δvi(ΔviS)

=δZ[∂S/∂Z] Z=1Vi=0+δvi[∂S/∂vi]Z=1Vi=0

の形で与えられる。」

仮に,この命題が証明されたとすると,Xが

S~*Γdiv(n+1)=0を満たすΓdiv(n+1)である場合,

この発散が適切な相殺項で吸収され,有効作用Γ

がhc(n+1)のオーダーのΓ(n+1)まで有限となり,

帰納法によるくりこみ可能性の証明が完結する

ことになります。

実際の[命題の証明]においては,結局,

くりこみ可能性の証明はS~*X=0の一般解

Xが,X=δZ(ΔS)+δvi(ΔviS)の形で

与えられる,という純粋に代数的な命題の証明

に帰着することがわかりました。

そうして,くりこみ方程式:S~*X=0の解

  Xに関して.次の定理が成立することが

知られています。

※[定理] 「ΦI,c,K~I,KのFPゴースト数

がゼロの局所多項式から成る汎関数Xで,くりこみ

方程式S~*­X=0.を満たすものは,必ず,

X=Fゲージ不変[ΦI+S~*M[ΦI,c,K~I,K]

の形に書ける。

ここで,Fゲージ不変はΦI=(Aμi)のみで

書かれたゲージ不変な関数で,MはFPゴースト

数が(-1)の任意の汎関数である。」

この形で書かれる汎関数Xがくりこみ方程式:

S~*X=0を満たすこと(解の十分条件)の証明

は,S~のBRS不変性,S~*S~=0,および,

Jacobi恒等式から従う,演算:(S~*)のベキ零性:

つまり,∀Xに対しS~*(S~*X)

=-((1/2)X*(S~*S^)=0.から,容易に

証明できました。 

しかし,証明が自明でない,のは,逆の解と

なるための必要性の方です。

この定理は大変有用なものですが,一般的証明

  は,かなり面倒なので,この必要性の詳細証明は,

既存の文献に譲って,ここでの記述は割愛します。

と書いて,前回までの記事は終わりました。

 

さて,ここからは,今回のその続きです。

XがS~*X=0の解となるための必要要性の

一般的証明は,かなり面倒なので割愛する,と述べ

ましたが,今,必要なのはXが,次元4以下の局所

項から成る大局的ゲージ不変な場合で,この場合

に限れば,次のようにして,解の必要性も容易に

証明できます。以下は,この証明手順です。

※[必要性の証明]:話を明確にするために物質場

φiとしては,ゲージ群:Gのある既約表現に属する

スカラー場のみが存在する系の場合を考えます。

(※もっとも,可約表現の場合や,スピノル場が存在

する場合でも本質的には同じように証明可能です。)

系のゲージ不変なLagrangian密度GIが,

GII)=-(1/4)Fμνaμν

+(Dμφi)μφi-μφiφi-(λ/2)(φiφi)2.

(46)で与えられる場合を考察します。

このとき,外場を付加した作用積分:S~は,S~

=∫d4x[GII)+K~I(δΦI)+K(δ)]

(47)という形に書くことができます。

,ただし,δΦI=DI,δ=(g/2)(×)

です。一方,問題のXは,次元が4以下の局所項から成る

FPゴースト数:NFPが0の大局的ゲージ不変な汎関数

である,と仮定されています。

ところで,外場K:~Iは,NFP=-1で次元は2,

外場:Kaは,NFP=-2で次元は2です。

(※何故なら,dim(L)=4ですが,dim­(c)=1,

dim(g)=0なので,dim(δΦI)=dim(DI)

=2であり,dim(δ)=dim{(g/2)(×)}

=2でぁるからです。

また,一般線形ゲージ中の係数fIはNFP=0

  で次元が1の量であることから,BRS変換:δ

に似たG群に属する変換の演算子δ~を導入して

S~と同様,Xが次のように書けるとします。

つまり,X=∫d4x[~(ΦI)+K~I(δ~ΦI)

+K(δ~)],(48)とします。

未知の演算子δ~は,δ~ΦIが,δ~μ

=∂μ-βabcμ

-γgdabcμ,(49-1),および,δ~φi

=-βφ(ig)c(T)ijφj

-γφ(ig)c(dab)ijj(49-2)

の組で与えられ,ゴースト項の変換がδ~

=β(g/2)(×)=β(g/2)fabcc.

(49-3)と書ける一般形で与えられる,とします。

一見,δ~φiには,δaiのような項が

あってもよいように見えますが,系がφi→ -φi,

ai→ -faiなる変換の下での不変性を持つので,

こうした項の存在は許されません。

(※つまりδ~(-φi)=-δiが成り立つ必要

があるので,δaiのような項は存在不可能です。)

ここで,~(ΦI)は,ΦI=(Aμ,φi)のみの次元

が4以下の関数,γdφφは任意の

係数,dabcはTr(T)に比例する対称不変

テンソル,(dab)ijは,φiの表現行列:(T)ij

abcなどのゲージ群Gの不変テンソルで構成

される(存在すれば)添字が(abij)の不変テンソル

です。

そしてXがくりこみ方程式:S~*X=0を

満たすべき,という要請は,先に(49)で場に対する

変換性を具体的に示したBRS変換に類似した

変換::δ~を,(δX/δK~I)(δ/δΦI)

+(δX/δK)(δ/δc)

=(δ~ΦI)(δ/δΦI)+(δ~)(δ/δc)

δ~B.(50)を満たす演算子と見れば,

XとS~がδX+δ~S~=0,なる式を

満たすべき,ことを意味するとわかります。

※(注13-1):何故なら「くりこみ理論11)」での

任意のF,Gに対するF*Gの定義:(31):

F*G=(δF/δΦI)(δG/δK~I)

+(δF/δc)(δG/δK)

+(-)|F|{(δF/δK~I)(δG/δΦI)

+(δF/δK)(δG/δc)}により,

S~*X=,(δS~/δΦI)(δX/δK~I)

+(δS~/δc)(δX/δKc)

+(-)|S~|{(δS~/δK~I)(δX/δΦI)

+(δS/δK)(δX/δc)}です。

ところが,Xはゴースト数:NFPがゼロ

なので,Grassman偶であり,S~もそうです。

さらに,ΦIもGrassmann偶です。

しかし,cはGrassman奇で外場K~I

FP=-1なのでGrassman奇です。

最後に外場Kは,NFP=-2で,Grassman

  偶です。そして,Grassman数の微分は,右微分

か左微分かの違いがあるため,どちらかに統一

する必要がありますが,偶を奇で微分したり,

奇を偶で微分すると奇で,それ以外の量間で

の微分は偶です。そして奇と奇が反可換で

ある以外は,全て可換です。

それ故,(δS~/δφI)(δX/δK~I)

+(δS~/δc)(δX/δK)

=(δX/K~I)(δS~/δK~I)

+(δX/δK)(δS~/δKca)

=(δ~ΦI)(δS~/δΦI)

+(δ~)(δS~/δc)=δ~S~

が,Grassman数に対する式として

成立します。

また,(-)|S~|{(δS~/δK~I)(δX/δΦI)

+(δS~/δK)(δX/δc)}

=(δΦI)(δX/δΦI)+(δ)(δX/δc)

=δX となりまず。

以上から,S*X=δ~S~+δXであり,

S*X=0は,δ~S~+δX=0と同値

であることがわかりました。

(注13-1終わり※)

このδX+δ~S~=0に,S~の表式:

S~=∫d4x[GII)+K~I(δΦI)

+K(δ)],(47),および,Xの表式:

X=∫d4x[~(ΦI)+K~I(δ~ΦI)

+K(δ~)],(48)を代入すれば,

次の方程式を得ます。

すなわち,δ~(ΦI)-K~Iδ(δ~ΦI)

+Kcaδ(δ~)+δ~GII)

-K~Iδ~(δΦI)+Kcaδ~(δ)

=0.(51)です。

この方程式は,任意のK~I,Kcaについて

成立しなければならない恒等式なので,

δ~(ΦI)+δ~GII)=0,(52)

δδ~δ~δ={δ,δ~}=0.(53)

なる2つの独立な等式が従います。

(53)は,BRS変換δと(47)で定義された

BRSの類似変換δ~が反可換であるという

要請ですが,これはcの上では(49-3)の

δ~=β(g/2)(×)と.δ

=(g/2)(×)から,δ~=βδとなり,

δδ~δ~δ=βcδ2=0となるため,

自動的に満足されます。

しかし,Aμの上では,δ~μ=∂μ

-βabcμ-γgdabcμ,

(49-1)であり,δμ=Dμ=∂μ

-fabcμなので,

δδ~μδ(∂μ-βabcμ

-γgdabcμ)

=(g/2)∂μ(c×c)-βabc{(Dμ)c

+(g/2)μ(c×c)}-γgdabc{Dμ}c

+(g/2)Aμ(×)}であり,

一方では,δ~δμ=δ~(Dμ)

=βc(g/2)Dμ(c×c)a ですから,反可換で

要求される,δδ~μδ~δμ=0.

を満たすには,β=βc,0,かつ,γ=0.(54)

が必要十分です。

さらに,スカラー場:φlの上で成立するため

には,βφ=β(55)の条件の他,不変テンソル:

(dab)ijが,(T)ij(dbd)jk=(T)ij(dad)jk

=fabc(dcd)jk.(56)を満たすことが必要

となります。

※(注13-2):何故なら,(49-2)から,

δ~φi=-βφ(ig)c(T)ijφj

-γφ(ig)c(dab)ijj であり,

一方,δφi=-(ig)c(T)ijφjです。

そして,δ,δ~は,ゴースト場:cとは

反可換である,と考えられるので,

δ(cφi)=(δ-cδφj,

δ~(cφi)=(δ~-cδ~φj

です。それ故,δδ~φl

=-βφ(ig)(δ)(T)ijφj

+βφ(ig)(T)ij(δφj)

-γφ(ig)(δ)(dab)ijj

=(-ig2/2)βφ(×c)(T)ijφj

-(ig)2βφ(T)ij(T)jkφk

-(ig2/2)γφ(c×c)(dab)ijj

他方,δ~δφi

δ~|(-ig)c(T)ijφj}

=-ig{(δ~)(T)ijφj-c(T)ij

×(δ~φj)

=-(ig2/2)βc(c×c)(T)ijφj

-(ig)2βφ(T)ij(T)jkφk

-γφ(ig)2(T)ij(dbd)jkk)

ですから,δ~δφiδδ~φi=0

となるには,cがFPゴーストで,スピンゼロ

なのにFermionという,奇妙な反交換する場

で,c=-cであることを考慮

すると,δ~δφiδδ~φi

=(-ig2/2)(βc+βφ)(×c)(T)ijφj

-βφ(ig)2[T.T]ijφj

-(ig2/2)γφ(c×c)(dab)ijj

-(ig)2γφ((T)ij(dbd)jkk

と書けます。

ところが.[T,T]=ifabccであり,

定義により,(×)=fabcなので,

[T,T]ijφj

=ifabc(T)ijφj

=i(×)(Ta)ijφjです。

故に,β=βφであれば,右辺の第1項と

第2項は相殺して消えます。

第3項については,

γφ(-ig2/2]fabc(dad)ikj

-γφ(ig)2(T)ij(dcd)jkk}

=-(γφ2)[(i/2)fabc(dcd)ik

-(T)ij(dbd)jk](ck)=0

であればいいのですが,(ck)

がfabcと同じくa,bの交換について

反対称なのでこれらは独立でなく恒等式

の未定係数法を使うため,1つの独立な組

(a,b)の係数を取ってゼロとして,

{(i/2)fabc(dcd)ik-(T)ij(dbd)jk]

-{(i/2)fbac(dcd)ik-(T)ij(dad)jk]

=0 が得られます。

結局,(T)ij(dbd)jk -(T)ij(dad)jk

=,ifabc(dcd)jk となるべきであること

がわかりました。

しかし,この結論は,

(T)ij(dbd)jk=(T)ij(dad)jk

=fabc(dcd)jk.(56)を,満たす必要がある,

とされていた,参考文献の内容と違います。(?)

(注13-2終わり※)

いずれにしろ,(dab)ijは,さらに分解されて

(dab)ik=(T)ij(d)jk.(57)のようにできる

ことが示唆されています。(※ここで,同じ記号

dを使いましたが(57)両辺のdは別定義です。)

こうして,得られた(56),(57)および,βφ=β

=β,かつγ=0が,δδ~が反可換で

あることから得られたδ~の表現係数に関する

全情報です。

次に,δ~(ΦI)+δ~GII)=0,(52)を

  解いて.~(ΦI)の形を決める必要があります。

まず,(49)で具体的に与えたδ~の変換は,元

のBRS変換:δに係数;β=β=βφで比例

する部分を抜き出して.その他との和に分割すると,

δ~=βδ+(γ-β)(∂μ)(δ/δAμ)

-γφ{igc(T)ij(d)jk}(δ/δφi)

(58)となります。

そして,これの右辺第2項,第3項の微分演算

  は(∂μ)(δ/δAμ)

=[(Dμ)(δ/δAμ),Aν(δ/δAν)]

=[δ,Aμ(δ/δAμ)].(59-1)

{igc(T)ij(d)jk}(δ/δφi)

=[igc(T)ijφj(δ/δφi).

(d)jkk(δ/δφi)]

=[δ,(d)ijj(δ/δφi)].(59-2)

のように,BRS変換:δと何らかの交換関係

の形に書けます。

それ故,δ~=βδ

  +[δ,(γ-β)Aμ(δ/δAμ)

-γφ(d)ijj(δ/δφi)] となります。

したがって,δ~(ΦI)+δ~GII)

=0は,δGII)=0なので,δ~(ΦI)

δ{(β-γ)Aμ(∂GI/∂Aμ)

+γφ(d)ijj}(∂GI/∂φi)}.(60)

を意味します。

それ故,明らかに。右辺の括弧:{ }の中は(52)

を満たす~(ΦI)を与える1つの特殊解です。

(52)に対する~(ΦI)の一般解を得るには,

斉次(同次)方程式δ~(ΦI)=0の一般解を得る

必要がありますが.δが,ΦI=(Aμ,φi)の上

ではゲージ変換に過ぎないので,同次方程式の

一般解はゲージ不変な一般関数です。

結局,δ~(ΦI)+δ~GII)=0(52)を

満たす~(ΦI)の一般解は,~(ΦI)

=fゲージ不変I)+β-γ)Aμ(∂GI/∂Aμ)

+γφ(d)jk}(∂GI/∂φi).(61)

で与えられる,ことがわかります。

ところで,~(ΦI)には次元が4以下である,

という条件があったのでfゲージ不変I)の一般形

は,fゲージ不変I)=α{(-1/4)Fμνaμν}

+αφ{(Dμφi)μφi}-α2φiφi)

-αλ{(λ/2)(φiφi)2}.(62)で与えられます。

結局,くりこみ方程式:S~*X=0の解Xは,

­X=∫d4x[~(ΦI)+K~I(δ~ΦI)

+K(δ~)](48)である,としていたので,

X=∫d4x[fゲージ不変I)

+β{K~I(δΦI)+Ka(δ)}

+(β-γ){Aμ(∂GI/∂Aμ)

-K~μ(∂μ)}

+γφ(d)ijj{∂(GI+K~iδφi)/∂φj}].

(63) と書けることがわかりました。

 

途中ですが長くなったので,今回はここで

終わります。

(参考文献):九後汰一郎著「ゲージ場の量子論Ⅱ」

(培風館)

 

 

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2020年5月30日 (土)

くりこみ理論(次元正則化)(12)

「くりこみ理論(次元正則化)」の続きです。

前回は,第7章BPHZくりこみで,

(対称性とくりこみ)の項において,大局的

ゲージ不変性を有する理論が,その対称性

を保持したまま,次元正則化で,くりこみ

可能であることを示すことを目的に考察

しました。

そのため,系のLagrangianに外場を付加

した作用積分Sとその有効作用Γを裸の場で

構成した裸の作用:S0と裸の有効作用Γ0

おける.裸の場をくりこんだ場とくりこみ定数

Zとviで表わしたものを代入して置き換える,

という操作で,これらが,くりこまれた有限なS

とΓに帰着する.ことを摂動論的に証明するため

に導入したPoisson括弧に類似した演算*を

用いて,有効作用ΓからBとc~への自明な

依存性を除いた部分:Γ~が満足すべき基本的

WT方程式が.Γ~*Γ~=0.(34)という式の形

で与えられることを見たところで,記事を

終えました。

今回は,その続きです。

前回で準備が整ったので,以下,本題の

有効作用Γ(実は,裸のΓ0 に同じ)のhcによる

摂動ベキ展開:Γ=Γ(0)+hcΓ(1)+hc2Γ(2)+.

(25)の各項:hcΓ(n)が有限になる,ということ

を,先のWT恒等式:Γ~*Γ~=0(34)に基づいて,

帰納法で証明します。

(ⅰ)まず,n=0のtreeレベルでの有効作用

Γ(0)ですが,これは,Planck定数hcを含む量子

効果が全くない古典的な作用積分の

(0)S[Φ~,K;g,,α]=S.(24)に等しく,

それ故,明らかに有限です。

しかも,ΓとΓ~の違いは,(27)のΓ=Γ~

+∫d4x[BΦ+(α/2)B]という

Γ~の定義式にあるように,treeレベルの寄与を

与える項のみですから,初項Γ(0)ではΓ~をΓ

の代わりに用いて論じてもよいということに

なります。さらに,Γ(0)=S(0)=S,Γ~(0)=S~

より,Γ-Γ~=Γ(0)-Γ~(0)=S-S~であり,

この差はtreeレベルと考えられるので.n≧1

のloop積分を含む項ではΓ~(n)=Γ(n)です。 

(ⅱ)次に,n≧1のhcのオーダーまで,

くりこみ定数Z,および,viを,それらをベキ

展開した.(Z)n=1+hc(1)+hc2(2) +..

+hc(n),および,(vi)=0+hci(1)

c2i(2) +..+hci(n).(35)に置き換えて

Γ(0)(1)(2),..Γ(n)が全て有限にできた,

と仮定します。そこで.Zやviに,上記の(35)

式,つまり,((n+1)次以降のZ(n+k),vi(n+k)

(k≧1)を全てゼロとしたもの.に置換して

(23)のS0S[Φ0~,K0;g0,0,α0]

=S[Z31/2μ,..,Z~31/2μ;Z13-3/2,..]

に,Zとして(Z)を.viとして(vi)を代入

した作用積分:(0)S[(Z3)1/μ,....,

(Z~3)1/2μ;(Z1)(Z3)-3/2,.]

=S(0)+hc(1)+..+hc(n)

+hc(n+1)(S(n+1))+hc(n+2)(S((n+2))

+… (36)に基づき,hc(n+1)のオーダーの

有効作用Γ(n+1)を計算します。

(※上記の(36)の展開において,hの(n次以下

のS(m)(m≦n)を.(S(m))としなかった理由

は,Zやviの(n+1)次以降の値:Z(n+k)

i(n+k)(k≧1)を,どう取っても,それらに影響

しないからです。※)

 一方,(n+1)次以降のS(n+k)(k≧1)は,

それらZ(n+k),vi(n+k)(k≧1)に依存します。

しかし,(S(n+k))(k≧1)の方は,Z(n+k)=0,

i(n+k)=0(k≧1)と取ったときの相殺項に相当

するものです。

特に,(S(n+1))はhcのn次以下のZ(m),vi(m)

(m≦n)の積で表わされる,hcの(n+1)次の相殺項

となるもの.を意味します。

(※例えば,Aμの4次項:-(1/4)g02(×)2

=-(1/4)Z123-12(μ×ν)2からは,

1(m)Zi(k)(Z3(l))(ただし,m+k+pl

=n+1,0≦m,k,l,p≦n)の係数を持つ,,,

(n+1)次の相殺項が現われます。

何故なら,例えばZ3-1=(1+hc3(1)+hc23(2)

+..)-1=1-hc3(1)+(hc2/2)Z3(2)-.etc.

です。※)

さて,Γ(n+1)の計算は,帰納法の仮定により,

Γ(m)(m≦n)が全て有限ですから,それらに効く

各々のFeynmanグラフにおいて全ての内部グラフ

は既に有限になっており,出現する可能な発散は,

最後の一番外側のloop積分を実行したとき初めて

現われるもの,つまり,「overallの発散」のみで

ある,と,考えられます。

そして,hc(n+1)のオーダーでoverallの発散

が現われるグラフは,もちろん,loop積分が1個

以上はあるので,その内部にはn次以下の相殺項

のS(m)(m≦n)しか,含むことはできず,そこで

Zやviの(n+1)次以上の項;Z(n+k)やvi(n+k)

(k≧1)の取り方には依存しません。

それ故,このoverallの寄与の総和を

Γoverall(n+1)m=0n(m)]と記すことにすれば,

n次の作用積分:(0)S[(Z3)1/μ,

....,(Z~3)1/2μ;(Z1)(Z3)-3/2,.]

に基づく(n+1)次のΓ(n+1)項の発散部分

は,Γdiv(n+1)= Γoverall(n+1)m=0n(m)]

+(S(n+1))(37)と表わせます。

ただし,右辺の(S(n+1))は,n次以下の,

(m),vi(m)(m≦n)の積のみで作られる

(n+1)次の相殺項です。

ここで,重要な点はoverallの発散:

Γdiv(n+1)は,以前「BPHZくりこみ」の

項で述べたように,外線運動量に関して有限次

までで,場の次元数を数えると,4次以下の局所

的項しか現われない。ということです。

※(注12-1):過去記事「くりこみ理論(7)では,

クラフ:Γの見掛けの発散次数ω(Γ)を与える

公式:ω(Γ)=4-E-(3/2)E+Σniδi(7)

により,ω(Γ)≧0となって発散するグラフΓ

は,E+(3/2)E(外線場の次元)≦4.(8)の

場合のみです。と記述しました。

それ故,今のdim(iint)≦4の場合にω(Γ)≧0

で発散する条件は,E+(3/2)E≦4です。

(注12-1終わり※)

さて,(37)の(S(n+1))も,もちろん相殺項で

発散項ですから,系の裸のLagrangianの作用積分:

0と同様,上記の性質を持つので,(37)のΓdiv(n+1)

も次元4以下の局所的項のみから成っています。

このような局所的項の積分形で与えられる

汎関数を一般に,局所的汎関数と呼びます。

一方,WT恒等式:Γ~*Γ~=0 (34)は,hcの値

に依らず(Zやviの値にも依らず)成立する式です。

つまり,これはhcについての恒等式ですから,Γ~を

cのベキで摂動展開して,左辺のΓ~*Γ~に代入し

c(n+1)の項を取り出すとき,その係数はゼロです。

つまり,Γ~(0)*Γ~(n+1)+Γ~(1)*Γ~(n)

+Γ~(2)*Γ~(n-1)+..=0.(38) が成立します。

先述のようにΓ~()=Γ(m)(m≧1)であり,

そして,左辺の第2項以下は,帰納法の仮定により

有限です。したがって,この式の発散部分のみを

取り出せば,それは左辺のΓ~(0)*Γdiv(n+1)であり

右辺の0の中には,もちろん発散部分はありません。

(※この発散部分は,今の次元正則化の場合,

時空の次元をdとすると,(d-4)-(k≧1)の形

の極の項であり,1つのloop積分で1/(d-4)の

特異性は1次ずつしか出ないのでΓ(n+1)の特異性

は1/(d-4),1/(d-4)2,..1/(d-4)(n+1)まで

です。※)

そして,Γ~(0)=S~(0)=S~ですから,結局,

S~*Γdiv(n+1)=0.(39)なる式を得ます。

この式は,Γ(n+1)にどのような発散が現われ

得るか?を規定する方程式であり,一般に,

「くりこみ方程式(renormalization equation)」

と呼ばれています。

このくりこみ方程式に対しては,次の命題が

成立することを証明できます。

※[命題]:「大局的ゲージ不変でFPゴースト数が

ゼロ,次元が4以下の局所項から成る,ΦI,c,K~I,

の汎関数:Xがくりこみ方程式:S~*­X=0.

(40)を満たすとする。このときXは,(23) の裸の

作用積分:S0=S[Z31/2μ,..,Z~31/2μ

13-3/2,..]で,Zやviをずらせて得られる

変化分;ΔS=δZ(ΔS)+δvi(ΔviS)

=δZ[∂S/∂Z] Z=1Vi=0+δvi[∂S/∂vi]Z=1Vi=0

(41)の形で与えられる。

ただし,SとS~の差はtreeレベルで,その

差は,Zやviには依らないので上記の(41)では

SをS~に置き換えて同一視してもよい。」

 

そして,仮に,この命題が証明されたとすると

今のXが,S~*Γdiv(n+1)=0を満たすΓdiv(n+1)

である場合,これがΓdiv(n+1)=α(n+1)(ΔS)

+βi(n+1)viS)の形に書けることを意味します。

ところが,この形の発散項は,Zやviを(35)

のn次までの(Z)や,(vi)から次に定義する値:

(Z)n+1=(Z)+hc(n+1)(n+1),および,(vi)n+1

=(vi),+hc(n+1)i(n+1).(42)へとずらした

ときに生じるhc(n+1)のオーダーの新たな相殺項:

(n+1)-(S(n+1))=Z(n+1)S)

+vi(n+1)viS)(43)により,Z(n+1)=-α(n+1),

かつ,vi(n+1)=-βi(n+1)と選べば,丁度. Γdiv(n+1)

が吸収されます。

それ故,(42)の(Z)n+1,および,(vi)n+1を(23)

の作用:S0に代入した作用:(S0)n+1に基づいた

有効作用Γは,hc(n+1)のオーダーのΓ(n+1)まで

有限となり,帰納法によるくりこみ可能性の証明

が完結したことになります。

では,以下,実際に[命題の証明]です。

[証明]:結局,くりこみ可能性の証明は

くりこみ方程式:S~*X=0(40)の一般解X

が,X=δZ(ΔS)+δvi(ΔviS)(41),

の形で与えられる,という純粋に代数的な命題

の証明に帰着することがわかりました。

くりこみ方程式:S~*X=0の解Xに関しては.

次元が4以下,大局的ゲージ不変という制限の

ない,次の定理が成立することが知られています。

[定理] 「ΦI,c,K~I,KのFPゴースト数

がゼロの局所多項式から成る汎関数Xで,くりこみ

方程式S~*­X=0.(40)を満たすものは,必ず,

X=Fゲージ不変[ΦI+S~*M[ΦI,c,K~I,K]

(44)の形に書ける。

ここで,Fゲージ不変はΦI=(Aμi)のみで書かれた

ゲージ不変な関数で,MはFPゴースト数が(-1)

の任意の汎関数である。

(44)の形で書かれる汎関数Xがくりこみ方程式:

S~*X=0を満たすこと(解の十分条件)は,S~の

BRS不変性,S~*S~=0,および,Jacobi恒等式

から従う,演算:(S~*)のベキ零性:つまり,

∀Xに対しS~*(S~*X)=-((1/2)X*(S~*S^)

=0.(45)から,自明です。

すなわち,∀F,GについてF*G~

=(-)(|F|+1)G*Fという*演算の対称性から,

GがFに等しいならF*F=-F*Fとなり,,

F*F=0が成立するので,S~*S~=0は自明

です。

一方,Jacobi恒等式から,S~*(S~*X)

+(-)|X|S~(X*S~)

+(-)2(|X|+1)X*(S~*S~)=0ですが,

S~はGrassmann偶なので,X*S~=-S~*Xであり,

XはFPゴースト数-1)でGrassman奇ですから,

2S~*(S~*X)=-X*(S~*S~)=0

が得られます。

それ故,特にS~*(S~*M)=0です。

また,FがΦIのみの関数であれば,

S~*F=(δS~/δK~I)(δF/δΦI)

+(δS~/δK)(δF/δc)

+(-)|S~|{(δF/δK~I)(δS~/δΦI)

+(δF/δK)(δS~/δc)}

=(δΦI)(δF/δΦI)=δFです。

そこで,Fがゲージ不変な関数:Fゲージ不変

なら,それは,BRS不変なので右辺はゼロです。

つまり,S~*Fゲージ不変=0です。

したがって,X=Fゲージ不変+S~*Mの形なら,

S~*X=S~*Fゲージ不変+S~*(S~*M)=0

となります。

以上から,(44)の形のXがくりこみ方程式

S~*X=0の解となるための十分条件を満たす

ことが証明されました。

しかし,証明が自明でない,のは逆の解となる

ための必要条件の方です。

この定理は過去記事「ゲージ場の理論(33)」

で記述した,第5章の§5-10で述べた観測可能量

の一般形に関する定理:§5-10(23)を,外場項:K~I,

を含む場合に拡張したものに相当し,大変有用

なものですが,一般的証明はかなり面倒なので,この

必要性の詳細証明は,観測可能量の定理の場合と同様,

既存の文献に譲って,ここでの記述は割愛します。

 

(※(注12-2):載)過去記事「ゲージ場の量子論(33)」

から,必要参照部分を抜粋して再掲します。

(※再掲開始)[定理]:「Heisenberg場の多項式で

与えられる局所的観測可能量=BRS不変な局所

演算子:Aは次の形を持つ。

(ⅰ)Aの持つFPゴースト数:NFPが負ならば,

Aは零演算子である。すなわち,このとき,ある

演算子Mにより.A=[Q,M]と書ける。

(ⅱ)Aの持つFPゴースト数がゼロならば,

A=Fゲージ不変(Aμ, φi)+[Q,M]と書ける。

ただし,Fゲージ不変は,ゲージ場;Aμと物質場:φi

のみから成る局所ゲージ不変な多項式である。

(ⅲ)Aの持つ.FPゴースト数が正ならば,

A=P[Ii(c);Fゲージ不変[Aμ, φi]+[Q,M]

と書ける。ただし,Pは.局所ゲージ不変関数:

ゲージ不変を係数とするIi(c)の多項式である。

そして,Ii(c)は同一時空点上のゴースト場:

のみの,微分を含まない,カラー1重項の多項式

であり,各時空点ごとに有限個しかない。」

という,今の有効作用:Γdiv(n++1)=Xの一般形に

関する定理に,類似した観測可能量:Aの一般形に

課する定理が.証明抜きで与えられています。

(再掲終了子※)(注12-2終わり※)

さて,途中ですが,長くなったので今回は,ここで

一旦終わります。

(参考文献):九後汰一郎著「ゲージ場の量子論Ⅱ」

(培風館)

くりこみ理論(次元正則化)(12)

「くりこみ理論(次元正則化)」の続きです。

前回は,第7章BPHZくりこみで,

(対称性とくりこみ)の項において,大局的

ゲージ不変性を有する理論が,その対称性

を保持したまま,次元正則化で,くりこみ

可能であることを示すことを目的に考察

しました。

そのため,系のLagrangianに外場を付加

した作用積分Sとその有効作用Γを裸の場で

構成した裸の作用:S0と裸の有効作用Γ0

おける.裸の場をくりこんだ場とくりこみ定数

Z,vで表わしたものを代入して置き換える,

という操作で,これらが,くりこまれた有限なS

とΓに帰着する.ことを摂動論的に証明するため

に導入したPoisson括弧に類似した演算*を

用いて,有効作用ΓからBとc~への自明な

依存性を除いた部分:Γ~が満足すべき基本的

WT方程式が.Γ~*Γ~=0.(34)という式の形

で与えられることを見たところで,記事を

終えました。

今回は,その続きです。

前回で準備が整ったので,以下,本題の

有効作用Γ(実は,裸のΓ0 に同じ)のhcによる

摂動ベキ展開:Γ=Γ(0)+hcΓ(1)+hc2Γ(2)+.

(25)の各項:hcΓ(n)が有限になる,ということ

を,先のWT恒等式:Γ~*Γ~=0(34)に基づいて,

帰納法で証明します。

(ⅰ)まず,n=0のtreeレベルでの有効作用

Γ(0)ですが,これは,Planck定数hcを含む量子

効果が全くない古典的な作用積分の

(0)S[Φ~,K;g,,α]=S.(24)に等しく,

それ故,明らかに有限です。

しかも,ΓとΓ~の違いは,(27)のΓ=Γ~

+∫d4x[BΦ+(α/2)B]という

Γ~の定義式にあるように,treeレベルの寄与を

与える項のみですから,初項Γ(0)ではΓ~をΓ

の代わりに用いて論じてもよいということに

なります。さらに,Γ(0)=S(0)=S,Γ~(0)=S~

より,Γ-Γ~=Γ(0)-Γ~(0)=S-S~であり,

この差はtreeレベルと考えられるので.n≧1

のloop積分を含む項ではΓ~(n)=Γ(n)です。 

(ⅱ)次に,n≧1のhcのオーダーまで,

くりこみ定数Z,および,viを,それらをベキ

展開した.(Z)n=1+hc(1)+hc2(2) +..

+hc(n),および,(vi)=0+hci(1)

c2i(2) +..+hci(n).(35)に置き換えて

Γ(0)(1)(2),..Γ(n)が全て有限にできた,

と仮定します。そこで.Zやviに,上記の(35)

式,つまり,((n+1)次以降のZ(n+k),vi(n+k)

(k≧1)を全てゼロとしたもの.に置換して

(23)のS0S[Φ0~,K0;g0,0,α0]

=S[Z31/2μ,..,Z~31/2μ;Z13-3/2,..]

に,Zとして(Z)を.viとして(vi)を代入

した作用積分:(0)S[(Z3)1/μ,....,

(Z~3)1/2μ;(Z1)(Z3)-3/2,.]

=S(0)+hc(1)+..+hc(n)

+hc(n+1)(S(n+1))+hc(n+2)(S((n+2))

+… (36)に基づき,hc(n+1)のオーダーの

有効作用Γ(n+1)を計算します。

(※上記の(36)の展開において,hの(n次以下

のS(m)(m≦n)を.(S(m))としなかった理由

は,Zやviの(n+1)次以降の値:Z(n+k)

i(n+k)(k≧1)を,どう取っても,それらに影響

しないからです。※)

 一方,(n+1)次以降のS(n+k)(k≧1)は,

それらZ(n+k),vi(n+k)(k≧1)に依存します。

しかし,(S(n+k))(k≧1)の方は,Z(n+k)=0,

i(n+k)=0(k≧1)と取ったときの相殺項に相当

するものです。

特に,(S(n+1))はhcのn次以下のZ(m),vi(m)

(m≦n)の積で表わされる,hcの(n+1)次の相殺項

となるもの.を意味します。

(※例えば,Aμの4次項:-(1/4)g02(×)2

=-(1/4)Z123-12(μ×ν)2からは,

1(m)Zi(k)(Z3(l))(ただし,m+k+pl

=n+1,0≦m,k,l,p≦n)の係数を持つ,,,

(n+1)次の相殺項が現われます。

何故なら,例えばZ3-1=(1+hc3(1)+hc23(2)

+..)-1=1-hc3(1)+(hc2/2)Z3(2)-.etc.

です。※)

さて,Γ(n+1)の計算は,帰納法の仮定により,

Γ(m)(m≦n)が全て有限ですから,それらに効く

各々のFeynmanグラフにおいて全ての内部グラフ

は既に有限になっており,出現する可能な発散は,

最後の一番外側のloop積分を実行したとき初めて

現われるもの,つまり,「overallの発散」のみで

ある,と,考えられます。

そして,hc(n+1)のオーダーでoverallの発散

が現われるグラフは,もちろん,loop積分が1個

以上はあるので,その内部にはn次以下の相殺項

のS(m)(m≦n)しか,含むことはできず,そこで

Zやviの(n+1)次以上の項;Z(n+k)やvi(n+k)

(k≧1)の取り方には依存しません。

それ故,このoverallの寄与の総和を

Γoverall(n+1)m=0n(m)]と記すことにすれば,

n次の作用積分:(0)S[(Z3)1/μ,

....,(Z~3)1/2μ;(Z1)(Z3)-3/2,.]

に基づく(n+1)次のΓ(n+1)項の発散部分

は,Γdiv(n+1)= Γoverall(n+1)m=0n(m)]

+(S(n+1))(37)と表わせます。

ただし,右辺の(S(n+1))は,n次以下の,

(m),vi(m)(m≦n)の積のみで作られる

(n+1)次の相殺項です。

ここで,重要な点はoverallの発散:

Γdiv(n+1)は,以前「BPHZくりこみ」の

項で述べたように,外線運動量に関して有限次

までで,場の次元数を数えると,4次以下の局所

的項しか現われない。ということです。

※(注12-1):過去記事「くりこみ理論(7)では,

クラフ:Γの見掛けの発散次数ω(Γ)を与える

公式:ω(Γ)=4-E-(3/2)E+Σniδi(7)

により,ω(Γ)≧0となって発散するグラフΓ

は,E+(3/2)E(外線場の次元)≦4.(8)の

場合のみです。と記述しました。

それ故,今のdim(iint)≦4の場合にω(Γ)≧0

で発散する条件は,E+(3/2)E≦4です。

(注12-1終わり※)

さて,(37)の(S(n+1))も,もちろん相殺項で

発散項ですから,系の裸のLagrangianの作用積分:

0と同様,上記の性質を持つので,(37)のΓdiv(n+1)

も次元4以下の局所的項のみから成っています。

このような局所的項の積分形で与えられる

汎関数を一般に,局所的汎関数と呼びます。

一方,WT恒等式:Γ~*Γ~=0 (34)は,hcの値

に依らず(Zやviの値にも依らず)成立する式です。

つまり,これはhcについての恒等式ですから,Γ~を

cのベキで摂動展開して,左辺のΓ~*Γ~に代入し

c(n+1)の項を取り出すとき,その係数はゼロです。

つまり,Γ~(0)*Γ~(n+1)+Γ~(1)*Γ~(n)

+Γ~(2)*Γ~(n-1)+..=0.(38) が成立します。

先述のようにΓ~()=Γ(m)(m≧1)であり,

そして,左辺の第2項以下は,帰納法の仮定により

有限です。したがって,この式の発散部分のみを

取り出せば,それは左辺のΓ~(0)*Γdiv(n+1)であり

右辺の0の中には,もちろん発散部分はありません。

(※この発散部分は,今の次元正則化の場合,

時空の次元をdとすると,(d-4)-(k≧1)の形

の極の項であり,1つのloop積分で1/(d-4)の

特異性は1次ずつしか出ないのでΓ(n+1)の特異性

は1/(d-4),1/(d-4)2,..1/(d-4)(n+1)まで

です。※)

そして,Γ~(0)=S~(0)=S~ですから,結局,

S~*Γdiv(n+1)=0.(39)なる式を得ます。

この式は,Γ(n+1)にどのような発散が現われ

得るか?を規定する方程式であり,一般に,

「くりこみ方程式(renormalization equation)」

と呼ばれています。

このくりこみ方程式に対しては,次の命題が

成立することを証明できます。

※[命題]:「大局的ゲージ不変でFPゴースト数が

ゼロ,次元が4以下の局所項から成る,ΦI,c,K~I,

の汎関数:Xがくりこみ方程式:S~*­X=0.

(40)を満たすとする。このときXは,(23) の裸の

作用積分:S0=S[Z31/2μ,..,Z~31/2μ

13-3/2,..]で,Zやviをずらせて得られる

変化分;ΔS=δZ(ΔS)+δvi(ΔviS)

=δZ[∂S/∂Z] Z=1Vi=0+δvi[∂S/∂vi]Z=1Vi=0

(41)の形で与えられる。

ただし,SとS~の差はtreeレベルで,その

差は,Zやviには依らないので上記の(41)では

SをS~に置き換えて同一視してもよい。」

 

そして,仮に,この命題が証明されたとすると

今のXが,S~*Γdiv(n+1)=0を満たすΓdiv(n+1)

である場合,これがΓdiv(n+1)=α(n+1)(ΔS)

+βi(n+1)viS)の形に書けることを意味します。

ところが,この形の発散項は,Zやviを(35)

のn次までの(Z)や,(vi)から次に定義する値:

(Z)n+1=(Z)+hc(n+1)(n+1),および,(vi)n+1

=(vi),+hc(n+1)i(n+1).(42)へとずらした

ときに生じるhc(n+1)のオーダーの新たな相殺項:

(n+1)-(S(n+1))=Z(n+1)S)

+vi(n+1)viS)(43)により,Z(n+1)=-α(n+1),

かつ,vi(n+1)=-βi(n+1)と選べば,丁度. Γdiv(n+1)

が吸収されます。

それ故,(42)の(Z)n+1,および,(vi)n+1を(23)

の作用:S0に代入した作用:(S0)n+1に基づいた

有効作用Γは,hc(n+1)のオーダーのΓ(n+1)まで

有限となり,帰納法によるくりこみ可能性の証明

が完結したことになります。

では,以下,実際に[命題の証明]です。

[証明]:結局,くりこみ可能性の証明は

くりこみ方程式:S~*X=0(40)の一般解X

が,X=δZ(ΔS)+δvi(ΔviS)(41),

の形で与えられる,という純粋に代数的な命題

の証明に帰着することがわかりました。

くりこみ方程式:S~*X=0の解Xに関しては.

次元が4以下,大局的ゲージ不変という制限の

ない,次の定理が成立することが知られています。

[定理] 「ΦI,c,K~I,KのFPゴースト数

がゼロの局所多項式から成る汎関数Xで,くりこみ

方程式S~*­X=0.(40)を満たすものは,必ず,

X=Fゲージ不変[ΦI+S~*M[ΦI,c,K~I,K]

(44)の形に書ける。

ここで,Fゲージ不変はΦI=(Aμi)のみで書かれた

ゲージ不変な関数で,MはFPゴースト数が(-1)

の任意の汎関数である。

(44)の形で書かれる汎関数Xがくりこみ方程式:

S~*X=0を満たすこと(解の十分条件)は,S~の

BRS不変性,S~*S~=0,および,Jacobi恒等式

から従う,演算:(S~*)のベキ零性:つまり,

∀Xに対しS~*(S~*X)=-((1/2)X*(S~*S^)

=0.(45)から,自明です。

すなわち,∀F,GについてF*G~

=(-)(|F|+1)G*Fという*演算の対称性から,

GがFに等しいならF*F=-F*Fとなり,,

F*F=0が成立するので,S~*S~=0は自明

です。

一方,Jacobi恒等式から,S~*(S~*X)

+(-)|X|S~(X*S~)

+(-)2(|X|+1)X*(S~*S~)=0ですが,

S~はGrassmann偶なので,X*S~=-S~*Xであり,

XはFPゴースト数-1)でGrassman奇ですから,

2S~*(S~*X)=-X*(S~*S~)=0

が得られます。

それ故,特にS~*(S~*M)=0です。

また,FがΦIのみの関数であれば,

S~*F=(δS~/δK~I)(δF/δΦI)

+(δS~/δK)(δF/δc)

+(-)|S~|{(δF/δK~I)(δS~/δΦI)

+(δF/δK)(δS~/δc)}

=(δΦI)(δF/δΦI)=δFです。

そこで,Fがゲージ不変な関数:Fゲージ不変

なら,それは,BRS不変なので右辺はゼロです。

つまり,S~*Fゲージ不変=0です。

したがって,X=Fゲージ不変+S~*Mの形なら,

S~*X=S~*Fゲージ不変+S~*(S~*M)=0

となります。

以上から,(44)の形のXがくりこみ方程式

S~*X=0の解となるための十分条件を満たす

ことが証明されました。

しかし,証明が自明でない,のは逆の解となる

ための必要条件の方です。

この定理は過去記事「ゲージ場の理論(33)」

で記述した,第5章の§5-10で述べた観測可能量

の一般形に関する定理:§5-10(23)を,外場項:K~I,

を含む場合に拡張したものに相当し,大変有用

なものですが,一般的証明はかなり面倒なので,この

必要性の詳細証明は,観測可能量の定理の場合と同様,

既存の文献に譲って,ここでの記述は割愛します。

 

(※(注12-2):載)過去記事「ゲージ場の量子論(33)」

から,必要参照部分を抜粋して再掲します。

(※再掲開始)[定理]:「Heisenberg場の多項式で

与えられる局所的観測可能量=BRS不変な局所

演算子:Aは次の形を持つ。

(ⅰ)Aの持つFPゴースト数:NFPが負ならば,

Aは零演算子である。すなわち,このとき,ある

演算子Mにより.A=[Q,M]と書ける。

(ⅱ)Aの持つFPゴースト数がゼロならば,

A=Fゲージ不変(Aμ, φi)+[Q,M]と書ける。

ただし,Fゲージ不変は,ゲージ場;Aμと物質場:φi

のみから成る局所ゲージ不変な多項式である。

(ⅲ)Aの持つ.FPゴースト数が正ならば,

A=P[Ii(c);Fゲージ不変[Aμ, φi]+[Q,M]

と書ける。ただし,Pは.局所ゲージ不変関数:

ゲージ不変を係数とするIi(c)の多項式である。

そして,Ii(c)は同一時空点上のゴースト場:

のみの,微分を含まない,カラー1重項の多項式

であり,各時空点ごとに有限個しかない。」

という,今の有効作用:Γdiv(n++1)=Xの一般形に

関する定理に,類似した観測可能量:Aの一般形に

課する定理が.証明抜きで与えられています。

(再掲終了子※)(注12-2終わり※)

さて,途中ですが,長くなったので今回は,ここで

一旦終わります。

(参考文献):九後汰一郎著「ゲージ場の量子論Ⅱ」

(培風館)

 

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くりこみ理論(次元正則化)(11)

「くりこみ理論(次元正則化)」の続きです。

前回は,第7章の「BPHZくりこみ」

の(対称性とくりこみ)の項目に入り,まず,

BPHZくりこみと,その収束定理から

従ういくつかの重要な命題を与え説明しました。

 系のLagrangianは,種々の内部対称性を持って

いますが,通常の線形で「明白な」対称性は全て

BPHZ手続きの各段階で保持されます。

それらは対称性を満たす制限された相殺項を

追加することでくりこみ可能です。

対称性が自発的に破れた真空の上で摂動計算

を行なう場合は,場の変換が非線形になり

「明白な」対称性ではなくなりますが,非線形

の「明白でない」対称性であっても,多くの場合,

Lagrangianを対称性を満たすものに限っても,

くりこみ可能です。

ただし,それら非自明な個々の場合に,それぞれ

くりこみ可能なことを証明する必要があります。

ゲージ理論のくりこみの問題も,基本的なBRS

対称性が非線形であり,この範疇の問題の1つです。

一般的なゲージ理論の系で,ゲージ不変性を保持

したままでの,くりこみ可能性を示すことが当面の

目的です。

そのため,まず,ゲージ理論の系で,ゲージを固定

したLagrangianに外場Kを付加した作用Sと

有効作用Γについて,裸の場に対する議論を考察

しました。

裸の量は一般に発散量なので,これらが意味を

持つためには,何らかの正則化が必要です。

ゲージ不変な正則化が存在し,これが次元正則化

で満たされることを主張します。裸の量で書かれた

有効作用:Γ0を,くりこまれた量で書き直せば,有限

な汎関数:Γになる,という主張です。

裸の場や外場をくり込み因子=(Z1,Z3,Z~3,Zi),

および,場φのシフトvlを与えて,くりこまれた場に

より定義して,Zやviの値の選び方如何に依らず,

常に基本的なWard-高橋恒等式(WT恒等式)が,裸

の量だけでなく,くりこまれた量でも同じ形で成立

することを要求します。

結局,くりこみ可能性の主張である,

Γ0[Φ~0,K0;g0,00]=Γ[Φ~,K;g,f,α].

は,パラメータ:やviを「正しく選んだとき」,

くりこまれた有効作用:ΓがΦ~,K;g,f,αの

有限な汎関数になることを意味します。

それ故.これを示すのが目的です。などと書いた

ところて終わりました。

今回はその続きから始めます。

さて,実際に有効作用:Γを計算するには,loop

展開.つまり,自然単位なので1として意識して

いないですが,実はPlanck定数:hcのベキ展開に

よる摂動で行なうので,Zやviもh摂動でベキ

展開します。

すなわち,Z=1+hc(1)+hc2(2)+,,,(21),

および,vi=0+hci(1)+hc2i(2)+,,,.(22)

です。これらを,(9)の裸の作用積分:

0=S[Φ0~,K0]=∫d4

[0GI0(GF+FP)+KI0I0

+(g0/2)K0c(0×0)]に代入して,摂動ベキ

に展開します。

つまり,S0S[Φ0~,K0;g0,0,α0]

=S[Z31/2μ,..,Z~31/2aμ;Z13-3/2,..]

=S(0)+hcS(1)+hc2(2)+… (23)です。

ただし,初項のS(0)は.くりこまれた有限な作用

Sです。つまり,S(0)S[Φ~,K;g,,α]=S

(24)です。初項:S(0)Sを摂動の第0次の作用,

第2項以降のS(n)を(n≧1)相殺項として用いて

全ての1PIグラフを計算します。

そうすれば,有効作用Γも,hcの各次数で逐次

得られます。Γ=Γ(0)+hcΓ(1)+hc2Γ(2)+… 

(25)です。

本節では,大局的ゲージ対称性が自発的に破れない

場合を考察することにしているので,(22)のvi

展開では,初項vi(0)は0であるとして,おきました。

(4)の一般的線形ゲージの場合,fiφiの項の

存在が大局的ゲージ不変性を破ることは,既に

述べました。しかし,係数fiを添字に応じて共変的

に変換する量と見なせば形式的に,この不変性は保持

される,と考えることができます。

以下,大局的ゲージ不変量というときには上記の

ことを了解済みのことしておきます。

※「くりこみ可能性の証明」

以下では,Zやviを摂動のhcのベキの各次数で

次々に適切に選んでゆけば,くりこまれたΓも展開

の任意の次数まで有限にできることを示します。

 まず,NL場:Baへの依存性は自明であることに

注意します。

すなわち,恒等式(12)の裸の式である(16)式の

δΓ00=∂μ0μ0iφ0i+w+α00.

または,くりこんだ量での(12)の表式,そのものの

δΓ/δ,=fIΦI+w+αB)においてw

をゼロとしたものから,ΓのBへの依存性が陽に

決まります。すなわち,(16)から,Γ=Γ~

+∫d4x[B0(f0iφi0+w)+(α0/2)B00]

(26)(裸の式でΓ=Γ0としたもの),および

Γ=Γ~+∫d4x[BΦ+(α/2)B](27)

です。ここで,残りの項として定義したΓ~はBには

全く依存しない量です。しかも,上記のくりこみ方法

から,裸の(26)と,くりこまれた(27)は全く等しいので,

Zやviを,以下でどのように決めようと,B依存部分

は,くりこんだ量で書いて有限な式になっています。

 

※(注11-1):何故なら,前記事で書いた通り,,

ΦIはΦI=(Aμi)のセットを意味します。

そして,A0μ=Z31/2μ0i=Zi1/2i+vi),

かつ,B0=Z3-1/2,f0i=Z31/2i-1/2i

とし,さらにα0=Z3α,w=-Z31/2ii

として裸の量を全てくりこんだ量で表わして

代入するのが我々のくりこみ手法です。

そこで,(26)の裸の被積分関数に,これらの

関係式を代入すると,B0(f0iφi0+w)

+(α0/2)B00=Z3-1/2[(Z31/2i-1/2i)

×{Zi1/2i+vi)-Z31/2ii,}

+(Z3α/2)Z3-1

=BΦ+(α/2)B]となって,

これは,(27)のくりこまれた式の被積分関数

に一致します。

くりこまれた場は有限と,仮定されているため

(26)のB0依存部分も,(27)のB依存部分と一致

して有限である,と結論されます。(注10-1終わり※)

 

したがって,以下ではBを忘れて,Γ~部分のみ

を考えればよい,ということになります。

さらに,反ゴースト場c~への依存性も,同様に,

ほとんど自明です。

すなわち,くりこまれたΓは,WT恒等式(13)

I(δΓ/δKI)+i(δΓ/δc~)=0を

満たします。

故に,Γ,または,Γ~のc~への依存は,

K~I=K+ic~aI,つまり,K~μ=Kμ

+c~μ,および,K~i=Ki+c~i(28)

と置くと,この変数K~を通じてのみ現われる

ことがわかります。

それ故,汎関数:Γ~[ΦI,c,c~;K]に

おいて,引数をΓ~[ΦI,c,c~;K~]の

ように,取り直せば,(13)のfI(δΓ/δKI)

+i(δΓ/δc~)=0は,

I(∂K~J/∂KI)(δΓ~/δK~J)c~

+i(δK~J/δc~)δΓ~/δK~J)c~

i(∂Γ/∂c~)K~=fI(δΓ~/δK~I)c~

-fIδ(δΓ~/δK~I)c~i(∂Γ~/∂c~)K~

=i(∂Γ~/∂c~)K~=0 となります。

そこで.Γ~[ΦI,c,c~;K~]は,c~

には依存しない,ことがわかります。

この点も,Zやviの値の具体的選び方には

依らないので,以下,KIの代わりに変数:K~I

を常に採用すれば,c~もB同様,忘れてよい,

ことになります。

以上から,結局,Γの代わりにΦI,c,;K~,

c(および,g,α)のみの汎関数,Γ~を,考えれば

いいです。

そして,残るWT恒等式(11)は,ΓをΓ~に

置き換えると,(δΓ~/δΦI)(δΓ~/δKI)

+(δΓ~/δc)(δΓ~/δK)

+(δΓ~/δc~)B=0 ですが,これは.

(δΓ~/δΦI)(δΓ~/δK~I)c~

+(δΓ~/δc)(δΓ~/δKc)=0.(30)

という式になります。

さて,ここでPoisson括弧に似た.次の演算を

定義します。

すなわち,F,Gを,任意のΦI,c,;K~,Kc

の,Grassman偶,または,奇の汎関数とするとき,,

演算*を,F*G=(δF/δΦI)(δG/δK~I)

+(δF/δc)(δG/δKc)

+(-)|F|{(δF/δK~I)(δG/δΦI)

+(δF/δKc)(δG/δc)}

=(δF/δQA)(δG/δPA)

+(-)|F|(δF/δPA)(δG/δQA).(31)

で定義します。

ここで.Qは座標類似変数,PAは運動量

類似変数と呼ばれるものです。

ここでは,Q=(ΦI,Kac)(32-1)としました

が,これはGrassman偶変数,また,P=(K~I,c)

(32-2)とし,こちらはGrassman奇変数です。

実際,(31)のF*Gは,Poisson括弧に似た性質

を持っています。

例えば,次の対称性や,Jacobi恒等式などが,成立

します。

すなわち,まず,F*G=-(-)F1G1G*F.(33-1)

です。ただし,∀Fに対し,F1=|F|+1)です。

そして,F*(G*H)+(-)F1(G1+H1)G*(H*F)

+(-)H1(F1+G1)H*(F*H)=0.(33-2)です。

(※以下,参照中の私の読書覚書きノートでは,

これらの性質の地道な証明が,延々と書いて

ありましたが,これらの性質が成立するという

証明は間違いなく完了した,という報告のみで,

内容は煩雑なので省略します。※)

さて、このPoisson括弧に似た演算記号*を

用いると,(30)のWT恒等式:

(δΓ~/δΦI)(δΓ~/δK~I)c~+(δΓ~/δc)

(δΓ/δKc)=0.は,とても,簡明な表式になり,

Γ~*Γ~=0.(34)と書けます。

途中ですが長くなったので,今回はここで終わります。

(参考文献):九後汰一郎著「ゲージ場の量子論Ⅱ」

(培風館)

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くりこみ理論(次元正則化)(10の2)補遺

「くりこみ理論(次元正則化)(10)」で注釈

を,いくつか付加していたら,またもや長く

なり過ぎになったので3つ目の注釈40-3を

(10)の補遺として分けました。

以下本文です。

※(注10-3):記事を書いているうち,急に過去

の知見の記憶が気になり,自信がないままで

安易には先に進めない,と感じたので,ここで

有効作用の意味などについて,おさらいをする

ことします。

(※このブログ自体が自己満足のための思考体験

の私的回顧録のつもりですから,まあ,70歳で海馬

の衰えもあって,ときにはこういう脱線もします。)

 

そもそも,Γという記号は,作用ではなく頂点関数

に割り当てられるのが慣例なのに,何故,それを有効

作用という作用;Sに関連する記号として用いるのか?

などの疑問を,過去記事,特に最近も.これについて

書いたばかりという記憶はあるけれど,既に忘れて,

はっきりしなくなった「くりこみ理論要約(2)」から

抜粋して再掲載します。

(以下再掲載):「有効作用と有効ポテンシャル」

 簡単のため,スカラー場φのみの系で考えます。

 まず,Green関数の生成汎関数は,

Z[J]=<0|Texp(iJ・φ)]|0>

=<exp[i∫dx{int(φ)+J・φ}]>0

/<exp[i∫d4{int(φ)}>0

=N∫φexp[i{S[φ]+Jφ}]と表現される。

ということから出発します。

(※J(x)はφに対応する外場です。)

このとき,Z[J]=exp{iW[J]}によって別の

Jの汎関数:W[]を定義します。

ここで,を,properな連結グラフ(固有連結

グラフ:つまり,1本の内線や外線ではこれ以上

分離不可能な個々のFeynmanグラフ)の全体,

とすると,明らかに,Z[J]=expと表わせる

ので,iW[J]は連結固有Green関数の生成

汎関数ということになります。

 一方,W[]=S[φ]+J・φと表わされて

いますが.具体的には,J・φ

∫d4xΣiiφi(x)であり,S[φ]は,作用積分

の形になっています。

つまり,S[φ]=∫d4(φ(x),∂φ(x))です。

ここで,φの汎関数である有効作用;Γ[φ]という

量を,このW[J]から,汎関数のLegebdre

(ルジャンドル)変換:Γ[Φ]=W[J]-Jφに

よって定義します。。

ところで,δZ/δi=(iδW/δi)

=i<0|φi(x)Texp(iJ*φ)]|0> より,

φ~i(x)=(δW/δJi)

<0|φi(x)Texp(iJ・φ)]|0>/Zと

おくと,φ~i(x)=(δW/δi)なる量は,

(x)という外場が存在するときの,場

φi(x)の期待値を意味する,ことがわかります。

そこで,Γ[φ]をJi(x)を通じたφの関数でなく,

上記のφの期待値:φ~i(x)の関数,つまり,

Γ[φ~]の形であると考えると,

i(x)=δΓ[φ~]/δφ~i(x)です。

(※何故なら.WはJの関数と見ると,Wのφ~i

よる微分は,δW/δφ~i=Σk(δJk/δφ~i)

(δW/δJk)=Σk (δJ/δφ~i)φ~kで,一方,

δ(Jφ)/δφ~i=(δJk/δφ~i)φ~k+Jなので,

δΓ/δφiδW/δφ~i-δ(Jφ)/δφ~i=-Ji

となるからです。)

有効作用:Γ[φ~]が重要な理由の1つは,これ

が実は1PI(1粒子既約な)頂点関数:Γ(n)の生成

汎関数になっている点です。

つまり,Γ[φ~]=Σn=0(1/n!)∫d41..d4n

φ~i1(x1)..φ~in(xn(n)i1..in(x1,..xn)

となっている点です。

ここで,W[]に効くグラフで伝播関数の線

を1本切ってグラフが2つの部分に分離できる

とき,その線を関節線と呼びます。

伝播関数の線が外線のそれであれば,常に関節線

ですが,外線以外に関節線を持たないグラフを1PI

(1粒子既約な)グラフ,内線にも関節線があるそれ

を1粒子可約なグラフと呼んだのでした。

結局,Γ[φ~]は,量子効果であるloopグラフを除く

単純なTreeレベルでは,hcをPlanck定数としたとき

O(hc)を除く近似で,古典的作用積分:S[φ~]

=∫d4(φ~,∂φ~)に一致します。

この有効作用の物理歴意味をさらによく理解すべく

より特殊な場合を考えます。

外場Jと期待値φ~が共に時間x0=tに依存しない

場合を考えると,この場合時間並進不変性があるので

W[]やΓ[φ~]の∫d4xという表現から,無限大

の時間因子:T=∫dx0がをくくり出して除去

できます。すなわち,W[J(x)=J(x)]

=-w[J()]∫dx0Γ[φ~(x)=φ~(x)]

=-E[φ~()]∫dx0 です。 

さらに,Jとφ~が時空座標xに完全に依存しない

定数の場合.W[J(x)=J]=-w[J]∫d4x,

Γ[φ~(x)=φ~]=-V[φ~]∫d4x です。

最後の,V[φ~]は,φ~の関数であり,これを

「有効ポテンシャル」と呼びます。

また,3次元空間のの関数:φ~()の汎関数:

E[φ~()]には決まった呼称がなかったので,

V[φ~]にならって「有効エネルギー」と呼びます。

Jとφ~がt=x0に依存しないときを考えると,

このとき,Z[J]=exp{iW[J]}=exp{-iw[J]T}

=<0| exp{-i[J]T}|0> です。

ただし,H[J]=-∫d3J()φ~()で,

このHは,エネルギーを意味するHamiltonianです。

つまり,期待値φ~の関数としては,

=∫d3{π~φ~-(φ~,∂φ~)}

=-∫d3(φ~,∂φ~)=-Lです。

(※LはLagrangianで,はLagrangian密度)

何故なら,φ~がt=x0に依存しないため,共役:

π~=∂L/∂(∂0φ~)=∂0φ~がゼロだからです。

そして,真空:|0>はエネルギーHの最低固有値状態

(基底状態)でしたが,ここでも断熱処理:(-iε)処法

を採用しているとすれば,T=∫dx0=∞ の極限では,

事実上,[J]=-∫d3J()φ~()の

基底状態:|0>のみがexp{-iw[J]T}

=<0| exp{-i[J]T}0>の|0>に効きます。

それ故,T → ∞ではw[J]は[J]の基底状態

のエネルギー固有値です。

つまり,H[J] |0>=w[J] |0>です。

他方,この)固有値問題は,量子力学の変分原理

の問題と同じく,<Ψ|Ψ>=1,<Ψ|φ()|Ψ>

=φ~()の下で,<Ψ||Ψ>を停留値にする

停留解:|Ψ>を求める停留問題と見なすことが

できます。

すなわち,この,H|Ψ>=E|Ψ>の解

が,|Ψ>=|0>,E=w[J]を与えます。

したがって,場の理論で真空を探す問題では,

予め並進不変性を考慮して,E[φ()]の

依存しないφ~の関数である有効ポテンシャル

V[φi~]の停留点を,∂V[φ~]/∂φi~=0 から

求めればいいことになります。

結局,有効ポテンシャル:V[φ~]は,場φi(x)

の期待値がφi~(定数)である条件下での基底状態

のエネルギー密度と解釈され,その最低の固有値

に対応する状態が真空です。 

※※有効作用:Γ[φ~]が1粒子既約な頂点関数

Γ(n)の生成汎関数であったことから従う,有効

ポテンシャル:V[φ~]のもう1つの側面に注目

します。頂点関数:Γ(n)の運動量表示Γ~(n)

運動量保存のδ関数を外して定義します。

つまり,∫d41..d4n

exp{ip11..+ipnn(n)i1/..in(x1,...xn)

=Γ~(n) i1..in( (p1,..pn)(2π)4δ4(p1+..+pn)

と展開されるとします。

そして,Γ[φ]=Σn=0(1/n!)∫d41..d4n

φi1(x1)..φin(xn(n)i1..in(1,..xn)において

φi(x)=φ~i(定数)とし,V[Φ]の定義式,および,

(2π)4δ4(p=0)=∫d4x exp(ipx)|p=0を考慮

して,V[φ~]=-Σn=0(1/n!)φ~i1..φ~in

Γ~(n)i1..in(0...,0)を得ます。すなわち,

有効ポテンシャル:V[φ~]は運動量piが全て

ゼロのときのn点頂点関数の生成関数という意味

を持っています。

W[J]の経路積分表式:

Z[J]=exp(iW[])­­

=N∫φexp[i{S[φ]+Jφ}]を,

Γ[φ~]=W[])­­-Jφ=に代入して,

自然単位から,Planck定数hcを復活させると

Γ[φ~]=(-ihc)ln[∫φexp{(i/hc){S[φ]

(φφ~)}]ですが,

経路積分φの積分変数を,φからφ+φ~へと

変数置換して,-Ji(x)=δΓ/δφi

代入すれば,Γ[φ~]=(-ihc)ln[∫φexp{(i/hc)

{∫d4x([φφ~]-(δΓ/δφ)φ)}]となります。

ここで,[φφ~]をc-数:φ~のまわりで

量子場:φ(x)で展開すると,

[φφ~]=[φ~]+(∂/∂φii

+(1/2)φi|(iDF)-1φ~}ijφjint[φ;φ~]です。

ここに,|(iDF)-1φ~}ijは,|(iDF)-1φ~}ij

=(∂2[φφ~]/∂φi∂φj)|φ=0

=(∂2[φ~]/∂φ~i∂φ~j)で与えられます。

これは,場φの期待値がφ~であるような真空

の上でのFeynman伝播関数の逆数であり,

int[φ;φ~]はφについて3次以上のφ~における

相互作用項です

この[φφ~]の展開をΓ[φ~]の表式に代入

すると,Γ[φ~]=∫d4[φ~]+Γ~[φ~]で,:

Γ~[φ~]=(-ihc)ln∫φexp[(i/hc)

{∫d4x[(1/2)φi|(iDF)-1φ~}ijφjint[φ;φ~]

-(δΓ/δφ)φ}]です。 

これで,うまい具合に有効作用Γ[φ~]から,

古典的作用積分:S[φ~]=∫d4[φ~]が分離

されました。

(以上,有効作用,有効ポテンシャルの説明について

の再掲記事を終了します。)(注10-1終わり※)

 

※(注10-2):引き続き,以下,過去記事;

「ゲージ場の量子論(24)」の第5章§5-6の関連

する部分も再掲載します。

その前に,そもそも,元の素朴なWard-高橋恒等式

とは,2点Green関数と頂点関数の同等性を意味

する式と,理解しています。

単純な恒等式:S(p1)-1-S(p2)-1

=(1-m)-(2-m)=(12)

=-(p2-p1)μγμから,

自由伝播関数:Sと頂点γμに相互作用の着物

を着せて,輻射補正をすると,摂動論的には自己

エネルギーの発散がありますが,くりこんだ伝播

関数と頂点関数をそれぞれS~,Γ~μと書いて

拡張すると,S~(p1)-1-S~(p2)-

1=-(p2-p1)μΓ~μ(p2,p1)となります。

 または,Wardの恒等式:Γ~μ(p~,p)|p~=

=-(∂/∂pμ)S~(p)-1を得るわけです。

2点頂点関数は,伝播関数の逆数の差という意味

を持つことがわかります。

ここからは「ゲージ場の量子論(24)」の再掲載

です。

(再掲開始:※)Ward-高橋恒等式について,

一般にゲージ不変性に限らず,ある対称性が存在

すると,種々のGreen関数,頂点関数等の間に種々

の関係式が成立します。このような関係式を一般

にWard-高橋恒等式,略してWT恒等式と呼びます。

ゲージ不変性に関わるGreen関数についてのWT

恒等式は,全てBRS演算子:Qを用いて,次のように

簡単に与えることができます。

すなわち,Ok(x)を任意の場(または,その多項式)

の演算子として,真空のBRS不変性: Q{0>=0

を用いると,

0=<0|{Q,T(Ok(x1),Ok(x2),..,Om(x))}|0>

=Σk=1n(-)Sk<0|T(Ok(x1),Ok(x2)

,..δ(xk),..Om(x)|0> なる恒等式を得ます。

ただし,S=Σi=1k-1|i|,(|i|はOの統計指数)

1粒子既約な(1PI)頂点関数,または,その生成汎関数

に対するWT恒等式を得るには,次のようにします。

まず,全ての場:ΦIとそのBRS変換;δΦ

対して外場を導入します。すなわち,作用積分:

S[J,K]=∫d4x[Jaμμ+Jiφi+J~

+J~c~+J+Kaμμ

-iKig(T)ijφj+(1/2)Kg(×)]

を考えます。

ここで,場は全てHeisenberg場であり, J~,

c~,KaμはGrassmann奇数,Jaμ,Ji,K

は普通の数(Grassman偶数)です。

物質場については,φがBosonなら,Ki

Grassmann奇数,Jiは普通の数で,φiがFermion

なら,逆です。

BRS変換された量:δΦIは既にBRS不変

なので,{iQ,Dμ}={iQ,cg(T)ijφj}

={iQ,(×)}=0 です。

そこで,0=<0|{iQ, TexpiS[J,K]|0>

=i∫d4x<0|T[Jaμμ

-(-)|i|ig(T)ijφj-(1/2)J~(×)

-iJc~]TexpiS[J,K]|0> が成立します。

(※|i|は(Jiの統計指数)=(φiの統計指数)です。)

摂動論の項目では,外場:Jを与えてGteem関数の

生成汎関数をZ[J]とし,Z[J]=exp(iW[J])に

よって得られる,連結Green関数の生成汎関数:

W[J,K],および,頂点関数に対する生成汎関数:

Γ[Φ,K]を考察しましたが,同様に,

exp(iW[J,K]=<0|TexpiS[J,K]|0>,

Γ[Φ,K]=W[J,K]-JI・ΦI,

ΦI(x)=(δ/δJI(x))W[J,K]

=<0|T{ΦI(x)expiS[J,K]}|0>

/<0|TexpiS[J,K]|0>,によって.

これらを定義します。

ただし,ここではJIは,(Jaμ,Ji,J~,

c~,)の全てを意味します。

一般的記号として,ΦI(x)

=<0|T{ΦI(x)expiS[J,K]}|0>

/<0|TexpiS[J,K]|0>で定義されるΓの

引数のΦは,c-数(期待値)であり,対応する

Heusenberg場:Φ=Aμi:,c~,B

同じ記号で表わしますが.混同しないよう注意

を要します。

上のΓ[Φ,K]=W[J,K]-JI・ΦIの右辺,

および,,以下においてドット(dot)・は,積分記号

∫d4xの省略を意味します。

そうすれば,恒等式:

0=<0|{iQ,TexpiS[J,K]|0>

=i∫d4x<0|T[Jaμμ

-(-)|i|ig(T)ijφj

-(1/2)J~(×)

-iJ~]TexpiS[J,K]|0>は,

[Jaμ({δ/δKμ)+(-){i{l(δ/δKi)

-J~(δ/δK)-Jc~(δ/δJ)}W[J,K]

=0 と書き直せます。

Γ[Φ,K]=W[J,K]-JI・ΦI,のLegendre変換

から.従う,ΦI(x)=(δ/δJI(x))W[J,K]

=<0|T{ΦI(x)expiS[J,K]}|0>

/<0|TexpiS[J,K]|0>,に双対な関係式

(δ/δΦI(x))Γ[Φ,K]=-(-)|I|I(x),

および,(δ/δKI(x))ΓW[Φ,K]

=(δ/δKI(x))Γ[Φ,K]を用いると,先の

恒等式は次のように書き直されます。

すなわち,(δΓ/δAμ)(δΓ/δKμ)

+(δΓ/δφi)(δΓ/δKi)

-(δΓ/δc)(δΓ/δK)

+i(δΓ/δc~)B=0.(11)と書けます。

これが,(1PI)頂点関数の生成汎関数:Γに

対するWT恒等式です。ただし,Grassmann数

による微分は全て左微分です。

ΓのNL場:Bや反ゴースト場:c~への依存性

は特殊で運動方程式:∂μμ+αB=0,

μμ=Dμμc~=0より従う次の恒等式

を満たします。

 なわち.δΓ/δB=∂μμ+αB,(12)

および,/δKμ)+iδΓ/δc~=0.13) です。

(再掲載終了) (注10-3終了※)

 

これでやっと,うっかり消えたWord文書の

原稿の書き直しとアップが終わりホッとして

います。

(参考文献):九後汰一郎著「ゲ゙―ジ゙場の量子論Ⅱ」

(培風館)

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くりこみ理論(次元正則化)(10)

くりこみ理論(次元正則化)」の続きです。

このシリーズ記事で,うっかり紛失した

(9)を書き直したものが前より長くなり過ぎて

急遽,記事を分割し,改めて(9)をアップした後

の残りを,この(10)で記述します。

なので,余談抜きで本題の続きに入ります。

§7-4(ゲージ理論の乗法的くりこみ)において,,

ゲージ系の場合,BRS対称性が非線形であるため,

ゲージ対称性を保持したままの「くりこみ可能性」

は自明ではなく,これの肯定的回答(くりこみ可能

であることの証明)を与えるのが本節の目的です。

と書いたところで,前回記事は終わりました。

ここからは,今回のその続きです。

  • 7-4の中の(Ward-高橋恒等式)の項からです。

こでは,まず,第5章で論じた一般的なゲージ

理論の系を改めて考えること,から始めます。

系のLagrangean:は,GIGF+FP

与えられ,物質場をφiと記すと,ゲージに依らない

部分:GI=-(1/4)Fμνaμν

matter(φi,Dμφi).(2)で与えられる,とします。

ここで,Fμν=∂μν-∂νμ

-gfabcμν.(2)であり,Dμφi

=∂μφi+igAμ(T)ijφj.(3) です。

そして,ゲージ固定項(gauge fix)

+ファデエフ・ポポフ(Fadeev-Popov)項の部分

:GF+FPは,関数:F(A,φ,B)

=∂μμ+fiφi+(α/2)B

+w (fi,wは定数)(4)を一般的な線形

ゲージ固定関数として採用すれば,ゲージ固定

関数の定義からGF+FP=-iδ(c~)

なので,GF+FP=B(∂μμ+fiφi+w)

+(α/2)Ba

+ic~{∂μμ-igfi(T)ijφj}(5)

と書けます。

ここで,ゲージ場と物質場をまとめて記述した

方が便利な場合は,ΦI=(Aμl)という

記号を用いることにします。そして,このΦI

のBRS変換も,δμ=Dμと,

δφi=-igc(T)ijφjをまとめて,

δΦI=DI(6)と記すことにします。

さらに,∂μμ+fiφi=fIΦI.(7)

と略述する,つまり,ΦI(Aμl)(列ベクトル)

に対し,その係数をまとめて,fI=(∂μ,fi)

(行ベクトル)で表わします。

すると,(5)はGF+FP=B(fIΦI+w)

+(α/2)B+ic~II.(8)

と簡単になります。

ここで,第5章の§5-6(※本ブログでは過去記事

「ゲージ場の量子論(24)」)で記述したように,場

(Aμi,c)=(Φ,c)のBRS変換:

(DI,(g/2)(×))の外場:(K)項を加えた

作用積分S,つまり,

S[Φ~,K]=∫d4x[GIGF+FP

+KII+(g/2)K(×)](9)

ただし,Φ~=(Aμi,c,c~,B),

IIΦI=Kμμ

-Ki(ig)(T))ijφj.(10)を持つ系を

考え,その系の有効作用:Γ[Φ~,K]

=Γ[ΦI,c,c~,B,KI.K]

に対するWard-高橋恒等式(WT恒等式)

を導けば,汎関数微分を用いて,§5-6の(11)

と同じく.(δΓ/δΦI)(δΓ/δKI)

+(δΓ/δc)(δΓ/δK)

+i(δΓ/δc~)B=0.(11)を得ます。

ここでも,以下でも§5-6同様,式から∫d4

の積分記号を省略した記法を用いています。

さらに,NL場(中西-Lautrap)場:B

反ゴースト場:c~の運動方程式から従う,

  • 5-6の(12),(13)は.今の一般線形ゲージに

対するものとしてha,次の,

δΓ/δB=fIΦI+w+αB.(12),

および,fI(δΓ/δKI)+i(δΓ/δc~)

=0.(13)と読み変えた式になります。

次に(くりこみ可能性の主張)という項

に入ります。

作用:S[Φ~,K]=∫d4x[GI

GF+FP+KII

+(g/2)K(×)](9) や,(11)~(13)

における有効作用Γ[Φ~,K]の引数は,本当

は皆,裸の場:Φ~0=(Φ0I,c0,c~0,B0),

裸の外場:K0=(K0I.K0),裸の結合定数

(g0,f0I0)で元々,書かれている量であり,

故に(11)~(13)のWT恒等式に現われるΓ,Φ.

K,f,αは.本来は裸の量を示す添字0を付ける

べきものです。

ゲージ結合定数:g以外にも物質場間の湯川

結合定数や,λφ4の結合定数λ,それに物質場の

質量についても,もし存在すれば同様に裸の量と

して考慮します。

しかしながら,裸の量は,本来,発散量ですから,

裸の量を用いた議論が意味を持つためには,

何らかの正則化を実行しておく必要があり,しかも

裸の量に対し(11)のWT恒等式を導けるためには

この正則化は「ゲージ不変性を尊重するもの」で

ある必要があります、

ゲージ不変な正則化が存在するかどうか?は,

理論に依りますが,この節で考察する理論では

「ゲージ不変な正則化の方法が存在する。」

と仮定します。これは重要な仮定です。

話を明確にするため,ここでは次元正則化を

採用しておくことにします。

以前の節で述べたように.カイラルFermionの

ある場合,すなわち,γ5行列の現われる場合は,

次元正則化でもゲージ不変性を壊します。

しかし,そのような場合は,実際,他にもゲージ

不変な正則化は存在せず,後章で述べるように,

一般に,アノマリー(量子異常)が現われ.くりこみ

可能性が壊れることになります。

本節で証明したい最終的主張は裸の量で書いた

有効作用Γ0を次に定義するくりこまれた諸量で

書き直せば,有限な汎関数:Γ(くりこまれた有効

作用)になる。ということです。すなわち,

Γ[Φ~0,K0,g0,f00]=Γ[Φ~,K,g,f,α].

(14)が証明すべき式です。

くりこまれた場:Φ~=(Φ,c,c~,0)は,

裸の場:Φ~0=(Φ0I,c0,c~0,B0)とは,

それぞれ,A0μ=Z31/2μ.(15-1),

φ0i=Zi1/2i+vi.(15-2)

(c0,c~0)=Z~31/2(c,c~).(15-3)

の関係でつながっているとします。

物質場部分の定数viは,一般的線形ゲージ

GF+FP=-iδ(c~);F(A,φ,B)

=∂μμ+fiφi+(α/2)B+wで,

の右辺がfφi項を含むことに起因し

(対称性の自発的破れがない場合でも必要な)

場φiの定数シフトです。

NL場:Bや,外場:Kのくりこみは,

(11)~(13)の恒等式がくりこまれた量で

書いても同じ形になるように行ないます。

これは,まず,(12)の裸の式:

δΓ0/δB0=∂μ0μ+f0iφ0i+w

+α00.(16)に,Γ0=Γ,A0μ=Z31/2μ,

φ0i=Zi1/2i+vi)を代入し,くりこんだ量

で書いても同じ形になる(しかし,定数項:w

はゼロとなって消える)ように

0=Z3-1/2,f0i=Z31/2i-1/2i,

α0=Z3α,wa­=-Z31/2ii.(17)とします。

(※Bやゲージパラメータαの上記の関係式

は§5-6の議論で得た(63),(58)に一致して

います。

また,(4)のゲージ固定関数に定数項w

必要であった理由はφiの定数シフト:vi

(発散量)を相殺するためでした。

(※裸のLagrangianの場では大局的ゲージが

破れていて,くりこまれた場では破れていない

とすると,φ0i=Zi1/2i+vi)によって有効

作用では,0次で.Zi=1,場の真空期待値はφ~i

=0,で,くりこむ前は破れによるシフトvi

現われていると考えられます。

くりこまれた場ではfiが共変に変換する

量と見なせば大局的ゲージを破りません。)

次に,(13)の裸の式:

0I(δΓ0/δK0I)+i(δΓ0/δc~0)=0.

が,くりこまれた量で同じ形に留まるために,

0μ=Z~31/2μ,K0i=(Z~31/231/2/Zi1/2)Ki.

(18)とすべきこと,さらに,(11)の裸の式:

δΓ0/δΦ0I)(δΓ0/δK0I)

+(δΓ0/δc0)(δΓ0/δK0c)

+i(δΓ0/δc~0)B0=0.が同じ形

に留まるために,K0c=Z31/2c.(19)

とすべきことが従います。

最後に,結合定数:gは,g0=Z13-3/2g.

(20)でくりこむとします。

以上,(15),(17)~(20)の置き換えでくりこみ

を実施すれば,くりこみ因子:=(Z1,Z3,Z~3,Zi),

および,φi場のシフトviの値の選び方に依らず,

常に,裸の量と同じく(11)~(13)のWT恒等式

((12)ではw=0としたもの)がくりこまれた量

でも成立するという点に特に着目しておきます。

そして,くりこみ可能性の主張である(14)式:

Γ[Φ~0,K0,g0,f00]=Γ[Φ~,K,g,f,α].

は,やviを正しく選んだときに,くりこまれた

有効作用ΓがΦ~,K,g,f,αの有限な汎関数に

なる。ということです。

※上記記事の参考として注尺を列記します。

※(注10-1):一般線形ゲージの設定がfi

を含むので,totalのLagrabgian:が大局的

ゲージ不変性(global gauge symmetry)を

破っています。

つまり,裸のゲージ固定関数は,F0

=∂μ0μ+f0iφ0i+(α0/2)B0+w

=Z31/2{∂μμ+fii+vi)+αB

-fii}

=Z31/2{∂μμ+fiφi+αB}

と,くり込まれた量の定数培に書けます。

ゲージ固定の意味についてはGF+FP

分けて,GF=-i(δc~)=B

FP=ic~(δ)と書くとゲージ

条件は.Euler-Lagrabge方程式:∂/∂B

=∂GF/∂B=0 から,

+B(∂F/∂B)=0です。

今の線形固定関数(4)の場合は,裸では

μ0μ+αB0+f0iφ0i+w=0,

であり,くりこんだ量では,

μμ+αB+fiφi,=0です。

スカラー場:φiのゲージ変換(位相変換)

の無限小変換:φi → φi+θ(T)ijφj

で,微小パラメータ:θが時空座標xに依存

するなら局所ゲージ変換ですが,これがxに

無関係な定数なら,大局的ゲージ変換です。

そもそも,大局的変換は局所変換の特別な

場合ですからが(局所)ゲージ変換の下で

不変なら大局的ゲージ変換の下でも不変です。

大局的変換であれば,元々ゲージ場:Aμ

必要ないです。

実際,Aμのゲージ変換はBRS変換:δμ

=Dμのゴースト場:cが,ただのc-数の

パラメータ:θである場合ですから,だらに

大局的変換でθがGrassmann偶の普通の定数

なら,∂μθ=0より.Dμθ=(g/2)fabc

θθ=0で,やはりゲージ場:Aμは不変で

あっても無くてもいい存在です。

今.考察中の系ではLagrangian密度

GIGF+FP,で与えられ,

GI=-(1/4)Fμνaμν

matter(φi,Dμφi)および,.GF+FP

=B(∂μμ+fiφi+w)+(α/2)Ba

+ic~{∂μμ-igfi(T)ijφj

ですが.これはφiが,θが定数の次の位相変換

φi →φi+θ(T)ijφjを受けて,μが不変

の大局的ゲージ変換の下でも,不変であるはず

なのですが,実際には(fiφi+w)の項

が怪しいです。wは定数だから不変でいいとして

iφi項においては.fiが(φi)のようにφi

と逆位相に変換される量である,としないと,大局的

不変性が成立しません。fiが定数なら破れています。

よって,fiφiの項は余分で,これがあると既に

破れています。

この余分な項はくりこみのためにワザワザ付加した

もので,裸の0GF=B0(∂μ0μ+f0iφ0i+w)

+(α0/2)B0a0の段階では,眞空期待値がφ~0i≠0

であったのに,くりこむと,GF=B(∂μμ

iφi)+(α/2)Baとなって眞空期待値が

φ~i=0という合理的な値になるように付加した項

と考えられます。

この破れによって有効ポテンシャル:V[φ~i]

の最小値を与えていたφ~ii場の期待値)が

真空で,φ~0i=vi≠0から,φ~i=0へとシフト

を起こします。

より詳細には,裸のV0[φ~0i]は破れていた

のでV0の最小値を与える真空での場の期待値

はφ~0i=vi≠0であったのに,くりこんだ結果

のそれは,φ~i=0になったと解釈します。

つまり,V0 min=V0[φ~0i]=V0[Zi1/2(φ~i+vi)]

であり,最右辺をV[φ~i]と書けば,V0が最小値

をとる真空では,期待値がφ~i0=vi≠0であり,

くりこまれた量φ~では,場の真空期待値がゼロ

である,ということを示しています。

(注10-1終わり※)

※(注10-2):以下,過去記事;

「ゲージ場の量子論(24)」の第5章の§5-6

Ward-高橋恒等式の関連する部分を再掲載

しようと思います。

ただ,その前に,そもそも,元の素朴な

Ward-高橋恒等式とは,2点Green関数と

頂点関数の同等性を意味する式と,私が理解

している内容を述べておきます。すなわち,

単純な恒等式:S(p1)-1-S(p2)-1

=(1-m)-(2-m)

=(12)=-(p2-p1)μγμの成立は

自明ですが,この自由伝播関数:Sと自由頂点

γμに,相互作用の着物を着せて輻射補正をする

と,摂動論的には,自己エネルギーの発散があります

が,それをくりこんだ伝播関数と頂点関数を,それぞれ,

S~,Γ~μと書いて,先の単純な恒等式を拡張すると,

~(p1)-1-S~(p2)-

1=-(p2-p1)μΓ~μ(p2,p1) となります。

 または,Wardの恒等式:Γ~μ(p~,p)|p~=

=-(∂/∂pμ)S~(p)-1を得ます。

こうして,2点頂点関数は,伝播関数の逆数の差

という意味を持つことを示している,と考えています。

さて,ここからは「ゲージ場の量子論(24)」

の再掲載記事です。

(再掲開始:※)Ward-高橋恒等式について,

一般にゲージ不変性に限らず,ある対称性が存在

すると,種々のGreen関数,頂点関数等の間に種々

の関係式が成立します。このような関係式を一般

にWard-高橋恒等式,略してWT恒等式と呼びます。

ゲージ不変性に関わるGreen関数についてのWT

恒等式は,全てBRS演算子:Qを用いて,次のように

簡単に与えることができます。

すなわち,Ok(x)を任意の場(または,その多項式)

の演算子として,真空のBRS不変性: Q{0>=0

を用いると,

0=<0|{Q,T(Ok(x1),Ok(x2),..,Om(x))}|0>

=Σk=1n(-)Sk<0|T(Ok(x1),Ok(x2)

,..δ(xk),..Om(x)|0> なる恒等式を得ます。

ただし,S=Σi=1k-1|i|,(|i|はOの統計指数)

1粒子既約な(1PI)頂点関数,または,その生成汎関数

に対するWT恒等式を得るには,次のようにします。

まず,全ての場:ΦIとそのBRS変換;δΦ

対して外場を導入します。すなわち,作用積分:

S[J,K]=∫d4x[Jaμμ+Jiφi+J~

+J~c~+J+Kaμμ

-iKig(T)ijφj+(1/2)Kg(×)]

を考えます。

ここで,場は全てHeisenberg場であり,J~,

c~,KaμはGrassmann奇数,Jaμ,Ji,K

は普通の数(Grassman偶数)です。

物質場については,φがBosonなら,Ki

Grassmann奇数,Jiは普通の数で,φiがFermion

なら,逆です。

BRS変換された量:δΦIは既にBRS不変

なので,{iQ,Dμ}={iQ,cg(T)ijφj}

={iQ,(×)}=0 です。

そこで,0=<0|{iQ, TexpiS[J,K]|0>

=i∫d4x<0|T[Jaμμ

-(-)|i|ig(T)ijφj-(1/2)J~(×)

-iJc~]TexpiS[J,K]|0> が成立します。

(※|i|は(Jiの統計指数)=(φiの統計指数)です。)

摂動論の項目では,外場:Jを与えてGteem関数の

生成汎関数をZ[J]とし,Z[J]=exp(iW[J])に

よって得られる,連結Green関数の生成汎関数:

W[J,K],および,頂点関数に対する生成汎関数:

Γ[Φ,K]を考察しましたが,同様に,

exp(iW[J,K]=<0|TexpiS[J,K]|0>,

Γ[Φ,K]=W[J,K]-JI・ΦI,

ΦI(x)=(δ/δJI(x))W[J,K]

=<0|T{ΦI(x)expiS[J,K]}|0>

/<0|TexpiS[J,K]|0>,によって.

これらを定義します。

ただし,ここではJIは,(Jaμ,Ji,J~,

c~,)の全てを意味します。

一般的記号として,ΦI(x)

=<0|T{ΦI(x)expiS[J,K]}|0>

/<0|TexpiS[J,K]|0>で定義されるΓの

引数のΦは,c-数(期待値)であり,対応する

Heusenberg場:Φ=Aμi:,c~,B

同じ記号で表わしますが.混同しないよう注意

を要します。

上のΓ[Φ,K]=W[J,K]-JI・ΦIの右辺,

および,,以下においてドット(dot)・は,積分記号

∫d4xの省略とします。

そうすれば,恒等式:

0=<0|{iQ,TexpiS[J,K]|0>

=i∫d4x<0|T[Jaμμ

-(-)|i|ig(T)ijφj-(1/2)J~(×)

-iJ~]TexpiS[J,K]|0>は,

[Jaμ({δ/δKμ)+(-){i{l(δ/δKi)

-J~(δ/δK)-Jc~(δ/δJ)}W[J,K]

=0 と書き直せます。

Γ[Φ,K]=W[J,K]-JI・ΦI,のLegendre変換

から.従う,ΦI(x)=(δ/δJI(x))W[J,K]

=<0|T{ΦI(x)expiS[J,K]}|0>

/<0|TexpiS[J,K]|0>,に双対な関係式

(δ/δΦI(x))Γ[Φ,K]=-(-)|I|I(x),

および,(δ/δKI(x))ΓW[Φ,K]

=(δ/δKI(x))Γ[Φ,K]を用いると,先の

恒等式は次のように書き直されます。

すなわち,(δΓ/δAμ)(δΓ/δKμ)

+(δΓ/δφi)(δΓ/δKi)

-(δΓ/δc)(δΓ/δK)

+i(δΓ/δc~)B=0.(11)と書けます。

これが,(1PI)頂点関数の生成汎関数:Γに

対するWT恒等式です。ただし,Grassmann数に

よる微分は全て左微分です。

ΓのNL場:Bや反ゴースト場:c~への依存性

は特殊で運動方程式:∂μμ+αB=0,

μμ=Dμμc~=0より従う次の恒等式

を満たします。

 なわち.δΓ/δB=∂μμ+αB,(12)

および,/δKμ)+iδΓ/δc~=0.13)です。

(再掲載終了) (注10-2終了※)

 

今回はここで終わります。

(参考文献):九後汰一郎著「ゲ゙―ジ゙場の量子論Ⅱ」

(培風館)

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2020年5月26日 (火)

くりこみ理論(次元正則化)(9)

くりこみ理論(次元正則化)」の続きです。

(※これを書いている実際の日付は,4月に

入ったところです。):

(※余談)実は,2020年5/23に(8)までアップ

して,翌24日にこれをアップしようとして原稿

が消えてしまい,バックアッもプ取ってなかった

ので,A4で約10ページそっくり消えて,何日も

苦労したのに,と落胆しました。

思い直して,何とか最初から書き直して今まで

かかりました。

自分で書いた種ノートがあるとはいえ,今の視力

でギリギリ読める字の大きさで(参考書の方はもはや

ルーペでもないと無理ですが),しかも20年以上も

前に書いたものなので,判読できても意味不明なこと

も多々あり,その都度熟考して注釈など追加している

うち,前は10ぺージほどだった原稿が長くなり過ぎて

途中で分割して次にまわしました。

思えば,その昔,勤務していた会社に.30代後半の頃

「オアシス」と「文豪」というワープロが1台ずつ

入り,薄い5.25インチのフロッピーに保存しながら

文書を書いた,というのが,私のワープロ初体験でした。

それでも,2台しかないし,しばらくは前と同様,手書き

か,製本時に印刷屋に出すことが多かったのですが,それ

から,シャープの「書院」というのが複数台入った,40歳

のとき,その会社をやめて,初めて自宅でNECのPC98という

パソコンを購入した頃は,OSはMS-DOSでワープロ・ソフト

は「一太郎」を使っていました。

今のTB(テラバイト)仕様のものから見るとゴミのような

僅か80MB程度のハードでィスクもありましたが,まだ,3.5

インチのフロッピーが主流でした。

結局1995年(45歳)のころ.Windows95の時代になりPC98

の全盛時代も終わり,私も最初はCompaqのマシンを買い,世

に習ってMS-officeのWordを使うようになりました。

それから12年ぶり52歳で最初の会社にアルバイトで4

年間勤務した頃は,もう文書はWordで作るのが常識の時代

で,会社でも自宅でも長時間で作ったものを消して

悔しかった。という失敗は,山ほどありました。

まあ,機械相手に腹を立てても仕方ないです。

(余談終わり※)

以下,本題に入ります。

 

  • 7-3のBPHZくりこみの中で,

「対称性とくりこみ」の項目に入ります。

 

, BPHZくりこみとその「収束定理」から

直ちに従う,いくつかの重要な命題を与えます。

さて,今,考察中の問題では,Lagrangian が,

free+Σiiint.(1)の形を持つ,全く一般的

な,Boson:{φ}とFermion:{ψ}の系を考えている

ことを,思い出す必要があります。

そして,先の収束定理は,そうした系での紫外

発散が,任意のグラフΓにおいて,そのくりこみ

部分γの各々に対し,見かけの発散次数:ω(γ)

分だけのTayler項の引き算:(-tω(γ)γ)Rγ

行なえば除去される,ということを述べています。

γの見掛けの次数ω(γ)が,Γに対する公式:

ω(Γ)=Σni{(di+bi+(3/2)fi-4}

=4-E-(3/2)E+Σniδi.(7)によって,

内部グラフ:γのBoson,とFermionの外線数

を.それぞれ,Eγ,Eγとするとき,

ω(γ)=4-Eγ-(3/2)Eγ+Σniδi.(28)

(niはグラフγ中のi-頂点の数)と書けること

から,(271のTayler展開のpのω(γ)次まで

の各項の引き算は,次の形をした局所相殺項:

ountγ=(定数)×(∂)(φ)EBγ(ψ or ψ~)EFγ(29)

(d=0,1,..ω(γ))を挿入すること,に相当して

いることがわかります。

この相殺項:countγの次元,または(3)でi-頂点

に対して定義した指標:

δi=bi+(3/2)fi+di-4=dim(iint)-4

のグラフγの相殺項に対応する指標δは,

(28),(29)から,dim(countγ)

=d-Eγ-(3/2)Eγ

=4+Σniδi-{ω(γ)-d}(30),または.

δ(countγ)=4-dim(cohntγ)

=Σniδi-{ω(γ)-d}.(31)

で与えられます。

ところが,(29)により,ω(γ)-d≧0

ですから,(31)より,次の命題1を得ます。

※[命題1]「あるくりこみ部分のグラフ:γ

の発散から要求される相殺項:countγは,

その指標:δがγ内の相互作用頂点の指標

の総和以下のものに限られる。」

先に,指標がδi≦0である相互作用項:iのみ

から成る理論をくりこみ可能な理論と名付け

ましたが,くりこみが,前節の乗法的くりこみで

やったように,場の規格化や,質量,結合定数の

書き換えと解釈できるためには,もっと強い条件

が必要です。(※ 湯川相補作用系におけるλφ4項は

その例でした。)

この強い条件を満たす理論の方が通常,くりこみ可能

と言われるものなので,ここでもそれに従います。

そうすれば,命題1から,次の命題2を得ます。

※[命題2]「(1)で定義した意味のBosonとFermion

が与えられたとき,その全ての場とその微分から構成

される次元が1,2,3,4の(つまりδ=4-dim(cohntγ)

より,指標δがδ≦0を満たす)可能な単項式の全て

を含む(裸の)Lagrangianを持つ系は,くりこみ可能

である。」

実際の系では,Lorentz不変性を別にしても,種々

の内部対称性を持っています。例えば,最も単純な

λφ4理論でも,φ→(-φ)で不変という対称性が

あり,φの奇数次の頂点関数:Γ(2k+1)は摂動の任意

次数でゼロであり,したがって,裸のLagrangianも

φの偶数次の項だけを用意しておけば,くりこみ可能

ということになるはずです。

前節の湯川相互作用系は,さらにアイソスピンSU(2)

対称性を持ち,SU(2)不変な項のみから成るLagrangian

で,くりこみ可能です。

これらの内部対称性は,どれもBPHZ手続きの,

どの段階でも明白に保持されている対称性なので,

その対称性を破るTaylor引き算項は現われず,相殺項

は,対称性を持つもののみで十分です。

(※例えば,Tr(τiττ)=0によりφの奇数次項は

湯川相互作用では許されません。そこで,その相殺項

もφの偶数次の項のみがあれば十分です。)

そこで,次の命題3が従います。

※[命題3]「BPHZ手続きで明白に保たれる線形内部

対称性を持つ系の場合は,命題2のLagrangianを,その

対称性を満たす項のみに制限しても,くりこみ可能である。」

Lorentz不変性,SU(n),カイラル対称性,荷電共役

不変性,パリティ不変性等々は,皆,このような明白な対称性

の例です。しかし,対称性が場に関して非線形な変換の場合

は,もはや,ここでいう明白な対称性ではありません。

また,線形な対称性でも,自発的に破れた真空の上で,摂動

計算を行なう場合は,場の変換が非線形になり,「明白な」

対称性ではなくなります。

とはいえ,非線形な「明白でない」対称性でも,多くの

場合は,Lagrangianを,その対称性を満たすものに限っても,

くりこみ可能であることがわかります。

ただ,これら非自明な対称性の系の場合には,個々別々に

くりこみ可能性の証明が必要です。

この,すぐ後に議論する予定のゲージ理論のくりこみの

問題も基本的なBRS対称性が非線形であり,この範疇の

問題の1つです。

さて,ある対称性を破る項が次元3以下,(d次元時空なら

(d-1)以下)の場合,これをソフト(soft)な破れ項と呼びます。

次の定理は,対称性を破るソフトな項を系に付け加えた場合

への命題3の拡張として,Symanzikが初めて与えたものです。

※[定理]:「命題3の仮定を満たす系に,その対称性を破る次元

がd(≦3)のソフトな項を加えたとき,d以下の次元の対称性を

破る項の全てをLagrangianに加えれば,くりこみ可能である。」

[証明]:Lagrangianにおける対称な項は,皆,指標δ≦0を

持っているはずです。

一方,対称性を破る項は,仮定からd以下の次元ですから,

その指標δはδ=dim(γ)-4≦(d-4)を満たします。

対称性を破る相殺項は,対称性を破る項を少なくとも

1つの頂点に含むグラフ:γの発散から要求されます。

そのようなグラフγ内の相互作用頂点の指標の総和:

Σniδiは,(d-4)以下です:

それ故,命題1より要求される相殺項の指標は(d-4)

以下に限られます。故に,その次元は,dim(γ)=δ+4

なのでd以下のものに限られます。[証明終わり]

この定理は,例えば理論の赤外発散を正則化する技巧

としてBosonの質量項を手で付け加えるなどというとき,

たとえ,それが系の対称性を破る場合でも,次元3以上の

相互作用項は,対称なものから変更する必要がないこと

を保証しており,有用なものです。

もっとも,この定理で述べているのは無限大の相殺項に

関する話であって,有限部分に関していえば,もちろん,

次元がdを越える項にも対称性を破る効果が現われる

ことに注意あうる必要があります。

  • 7.4 ゲージ理論の乗法的くりこみ

前節の乗法的くりこみの一般論により,特に命題2

によって,Lagrangianとして次元が4以下のあらゆる

相互作用項を用意しておけば,系は一般にくりこみ

可能であることが,わかりました。

したがって,そのBoson場としてベクトル場が入って

きても,その伝播関数が運動量kの大きいとき,k-2

挙動するタイプのものであれば,くりこみ可能性に

関して特に問題があるわけではありません。

しかしながら,べクトル場を含む場合,そのような

一般的な系では,物理的な意味がないです。というのは

第5章で述べたように,ベクトル場は負計量のモードを

含んでいて,これが物理的な確率解釈を壊すからです。.

そのような負計量モードが,物理的空間には有限な

確率で出てこないように制御するためには,系はゲージ

不変性,または,量子系でより正確に言えばBRS不変性

を持たねばなりません。このゲージ不変性のために,系

のLagrangianは,次元が4以下の全ての勝手な項を持つ

ことはできません。

例えば,ゲージ場の質量項:(1/2)m2μaμは存在

しないし,(A)3項の係数g(結合定数)と,(A)4項の係数

2は独立ではありません。すなわち,相殺項として用意

できる項は,かなり制限されています。

このような制限された相殺項だけで,現われる発散の

全てを実際に除去できるのか?という問題がゲージ理論

における(乗法的)くりこみ可能性のっ問題なのです。

この点は対称性を持つ系では常に存在する問題ですが,

先の命題3のところで見たようにゲージ系の場合,BRS

対称性が非線形であるため,これは自明ではありません。

これに対する肯定的回答(くりこみ可能であること

の証明)を与えるのが本節(§7-4)の目的です。

 

途中で短かいですが,続き全部を書くと長くなり過ぎる

し,キリもいいので,今回はここで一旦終わります。

(参考文献):九後汰一郎著「ゲ゙―ジ゙場の量子論Ⅱ」

(培風館)

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2020年5月23日 (土)

くりこみ理論(次元正則化)(8)

i「くりこみ理論(次元正則化)」の続きです。

i(※余談):今日は2020年3月30日です。

昨日,「志村けん」さんが,コロナ肺炎で亡く

なられたそうです。惜しい人を亡くしました。

私も彼と同じ70歳だし,私も最近ときどき

37度台の微熱と咳が多いので,病気という意味では

とてもヒトゴトではありません。

先月,PCをOSがWin10の中古マシンに変えて,

から,マウス右クリックでのコピペやRealPlayer

によるYoutubeなどの動画の無料ダウンロード

など,うまくできなくなったことが多くなり

不自由してる状態です。

ブログも,オン書き以外じゃ,原稿を書いても,当面

アップが簡単でなく原稿がどんどん溜まるばかりなので

ときどき,実際に原稿を書いた日の日付けを追加する

ようにしています。

別に記事をサボっていたわけじゃないのですがね。

そのうちWin10にも慣れるのか,それとも,これまで

IEだったプラウザを変えるべきか?とにかく,不自由

な体で他にやることもないし,やはり,今更だけど,科学

記事だけでもPDF化しようかなぁ?

でも,書く方のソフトは有料で高いし,お金も人生の

残り時間もないしね。

なぜか,医者に処方してもらった心臓やカゼの薬では

なく,置き薬の,鼻,のど,熱の対症療法の薬だけが,よく

効いているようで,何とか命をつないでいます。

私は2007年4月に心臓バイパス手術を受けて以来

長年のタバコはやめたし,手術後の退院前に肺炎とか

インフルエンザにかかったら100%死ぬ,ただのカゼ

でも死亡率3割くらいと注意されてたので,コロナ

にかかってるんじゃ,もう死んでいるから,普通の

カゼのたぐいでしょう。

2016年に形成外科主治医に「右足を切断しないと

1年以内に死ぬ。」とか,2018年春にも「足を切らない

と半年持たない。」とか余命宣告されても拒否して,

足など切らず,結局,今も足も体も一応大丈夫ですが,心は

イツモ死と隣り合わせ気分ですね。(余談終わり※)

以下本題に入ります。

  • 7.3「BPHZくりこみ」の項の続きです。

前回の記事は,BZくりこみの構成に入る前に,

その準備としてFeynmanグラフΓ,および,その1P1

部分グラフγに対し見掛け上の発散次数ω(Γ),

および,ω(γ)を定義して,それに基づき摂動論

の枠内で,くりこみ可能な理論とくりこみ不可能

な理論のタイプの分類,そして,これらグラフの振

幅の収束,発散の判定条件として「次数勘定定理」

を述べたところまででした。

さて,今回は,こうした準備の下で,本節の本題で

ある「BPHZのくりこみ」の構成に入ります。

 一般に,あるFeynmanグラフ:Γの振幅:FΓは,

Feynman則により,Γに対応して構成された伝播関数

と頂点因子の積で与えられる表式:IΓをloop運動量

kについて積分した形で与えられます。,

すなわち,FΓ∫d41..d4m(IΓ).(9)なる

表式です。そうして,BPHZくりこみの特徴的な点

はグラフの1個1個に対して,その被積分関数IΓに,

ある引き算操作を行ない,一般には発散を含む(9)の

表式を有限なものF~Γに帰着させるところです。

すなわち,F~Γ∫d41..d4m(RΓ).(10)のように

操作します。ここで,IΓからRΓを得る手続きをR演算

(R-operation)と呼びますが,この演算手法をを具体的

に与える前に,いくつか必要な用語を定義します。

(a)くりこみ部分(rewnormalization part)γとは1P1

グラフで,その見掛けの発散次数;ω(γ)が.ω(γ)≧0

を満たすもの,を指します。 

例えば.前節の湯川相互作用系の2-loopグラフの

1つのloopを取れば,そのくりこみ部分は,図7.13に

示す,Γ(全体),γ12の3つです。

(b) 任意の2つのグラフ:γ1とγ2は,互いに共有する

線,または頂点が1つも無いとき,互いに素(disjoint)

であるといわれ,γ1∩γ2=φ(空集合)と表わします。

また,γ1に属する線が全てγ2に属するとき,γ1はγ2

の部分グラフである,または,γ1はγ2に含まれている

といわれ,γ1⊂γ2,または,γ3⊃γ1と表わします。

そして,γ1∩γ2=φか,γ1⊂γ2,または,γ1⊃γ2

どれか1つが成立しているとき,γ1とγ2は重複してない

といわれ,さもないときは重複している(overlapping)と

いわれます。例えば,図7.13のくりこみ部分:γ1とγ2

重複しているくりこみ部分のグラフの例となっています。

(c)γ12,..,γcを,あるグラフ;Γの中の、どの2つも

互いに素な,くりこみ部分とするとき,このΓの中で

γ12....γcのそれぞれを1点につぶして得られる,

謂わゆ「「縮約グラフ」を作り.これをΓ/{γ12..,.γc}

と,記すことにします。

このとき,Feynman積分;(9)の被積分関数IΓは,

Γ=IΓ/{γ1,γ2..,.γc}Πτ(Iγτ) (11)の形を持ちます。

ここで,Iγτは,IΓと同様,Feynman則により,グラフγτ

に対応して構成された被積分関数です。

(d)くりこみ部分γの外線運動量をp1,..pnととすると,

運動量保存則により,そのうちの(n-1)個だけが独立です

から,fをあるp1,,pnの関数として,Iγ=f(p1,,.pn^1)

=f().(12)と書けるはずです。

γはI内線運動量kj,にも依存しますが,それらのkj

固定しておいて,(p1,,.,pn)のみの関数と見なすわけです。

そして,グラフγに対するα次のTaylor演算子:tγα

関数f()のp=0のまわりのTaylor展開ののα次まで

を取り出す演算子,として定義します。

つまり,tγαは,関数f()の0のまわりのTalor

展開;f()=f(0)+Σj=1n-1μ(∂f/∂pμ){p=0+..

+(1/α!)Σ(pμ1..pμα)(∂αf/∂pμ1.∂pμα)|p=0

+..(13)の,最初の(α+1)項を切り取る演算です。

特に.この演算の次数αをくりこみ部分:γの見掛け

の発散次数:ω(γに等しく取るとき,tγαのαを省略して

γと書きます。すなわち,tγ=tγω(γ)..(14)とします。

(e):グラフ:Γのくりこみ部分γiの集合をU={γ1,.}

とするとき,Uの,どの2元:γij重複しない場合には.

Uを森(forest),またはΓ森(Γ-forest)と呼びます。

このとき,森Uとして,空集合φのみの集合{φ}(空な森)

も含まれます。また,Γ自体がくりこみ部分の場合は,Uの

1つの元γiとして,Γ自身を含む場合もあります。

例えば,先の図7.13のグラフの場合は,森Uとして,次の

6つの森があります。すなわち,{φ},{γ1},{γ2,},{Γ},

{Γ,γ1},{Γ,γ2}.(15)の6つです。

 

さて,準備が整ったので,R演算の定義を与えます。

 Bogoliubov自身によるR演算は,loop積分(9)を遂行

した後の(正則化した)量FΓに対する演算として定義

されていますが,ここでは,Zimmermannによる被積分関数

Γに対する演算としての.それの言い換えとして,以下に

定義を与えます。

 ΓのFeynman積分(9)FΓ∫d41..d4m(IΓ)に

おける被積分関数IΓから(10)F~Γ∫d41..d4m(RΓ)

における,くりこまれた被積分関数:RΓを得る手続きは,

次の回帰的(recursive)な定義で与えられます。

まず,Γ自身がくりこみ部分:(ω(Γ)≧0)のときは,

Γ=(1-tΓ)R~Γとし,それ以外:(ω(Γ)<0)のとき

は,RΓ=R~Γ ..(16)と定義します。

そして,一般に,ɤ=Γも含め,Γの任意のくりこみ部分

γに対して,R~γ=Iγ+Σ{γ1,..,γc}[(Iγ/{γ1,,..γc})

×{Πτ=1c(-tγτ)R~γτ}].(17) と定義します。

この(17)の右辺における和(Σ)は.グラフɤの中の互い

に素なくりこみ部分γii≠φ)の組{γ12,..γc}の.

あらゆる可能な取り方についての和を意味します。

そして,(17)のR~γの定義は回帰的ですが,右辺のR~γτ

のグラフγτは,必ずγよりloop数が下がっており,γ自身

が1-loopであれば定義(17)自身により,R~γ=Iγですから

帰納的に定義は完結して(閉じて)います。

 例えば,先の例の図7.13のグラフについて(17)の操作を

施してみれば,この場合,γ1とγ2は互いに素ではないので,

(17)の右辺でΣを取る組{γ1,..,γc}としては{γ1}か,

2}しかないため,

Γ(図7.13)=(1-tΓ)[IΓ+IΓ/{γ1}(-tγ1)Iγ1

+IΓ/{γ2}(-tγ2)Iγ2](18)となります。

さらに,(11)のIΓ=IΓ/{γ1,γ2..,.γc}Πτ(Iγτ)により

Γ=(IΓ/{γ1)(Iγ1)+(IΓ/{γ2})(Iγ2)なので,

Γ(図7.13)=(1-tΓ)(1-t11-tγ2)(IΓ)(19)と

書けます。

故に,RΓ(図7.13)=(1-t11-tγ2-tΓ+tΓγ1

+tΓγ2)(IΓ)..(20)とも表わせます。

ところが,一般式(16),(17)をよく見れば,このR演算

の手続きは,実質的に前節の最後に述べた乗法的くりこみ

のうち,p0での「中間的くりこみ」の手続きと全く

同じであることがわかります。

例えば,図7.13の例の表式(18),or(19)を見ると,

ω(γ1)=ω(γ2)=0なので,tγi(i=1,2)は.部分グラフ:

γiのIγi,つまり,1-loop湯川頂点関数の被積分関数:f()

の外線運動量がゼロでの値=定数項f(0)を取り出す演算で

あり,故に,(19)Γ(図7.13)=(1-tΓ)(1-t11-tγ2)

×(IΓ)の第1段階である(1-t11-tγ2)(IΓ)の3項は,

丁度,図7.8の括弧内第3行目の6つのグラフのそれぞれ

に対応しています。

実際,p=0の中間的くりこみの場合,乗法的くりこみ

では頂点相殺項である:-g(Z1-1)ψ~τψφは,各loop

次数で,3点頂点関数のp=0での量子補正(発散項)を相殺

するよう決められているのでp=0のまわりのTaylor演算子

の引き算項;-tγ1Γ,-tγ2Γが,それぞれ,丁度.γ1部分,

γ2部分に頂点相殺項を用いたグラフに対応しているのです。

したがって,R~Γ=(1-tγ1-tγ2)IΓからは,内部発散

が除かれています。

Γそのものは被積分関数なので,元々有限量ですが,loop

積分をすれば発散すると思われる量を発散と呼んでいます。

同様に(19)の第2段階のRΓ=(1-tΓ)R~Γの演算から

は,ω(Γ)=1なので,R~Γのpの1次までの項を引く演算で,

相殺項:Z2(2)ψ~iγψ+δm(2)ψ~ψを用いたグラフの寄与:

-Z2(2)ψ-δm(2)を加えることに相当しています。

 この例からわかるように,BPHZでの(-tγ)の演算は

外線運動量pの多項式を引く演算ですから,その項の1つ

1つを,x空間での局所的演算子の相殺項として理解し直す

ことができます。

また,(17)のRΓを得る手続きは,,グラフ内部の発散を

全て取り除くこと,そして,I16)の最後の操作は,ω(Γ)≧0

のときに現われる最終的な発散を取り除くことと解釈

できます。Taylor演算子を簡単な=0のまわりでの

展開で定義したことが,BPHZくりこみが§7.2の

(47)の「=0でのくりこみ条件」を設定した

「中間的くりこみ」に相当する理由です。

もっと複雑に,グラフごとに異なるTaylor演算子tγ

を定義すれば,このBPHZくりこみが,直接,質量殻上

のくりこみに一致するようにすることもできるはずです。

以上に示した「乗法的くり込みとの同等性」は,しかし,

くりこみ可能理論の場合に限ることも,また明らかです。

何故なら,くりこみ不可能な理論の場合は.摂動の高次

に行けば行くほど発散次数ω(γ)のどんどん大きいもの

が現われ,対応する(-tγ)の演算は,x空間の微分や場

の次数のより大きい相殺項を勝手に次々に加えていく

ことを意味するからです。つまり,そのような高次の相殺項

は乗法的くりこみでは,予め用意されてはいないためです。

上記で,定義したR演算の定義式(16),(17)自体この

ように,摂動論における乗法的くりこみとの対応が

見やすい形をしていますが.その回帰的な表式は,この

方法を複合演算子のくりこみ等の場合に応用する際には

あまり便利な形式ではありません。

そこで,Zimmermannは,次の表式

「Zimmermannの森公式」を見出しました。

すなわち,RΓ=Σ(Γ)γ∈U(-tγ)(IΓ).(21)

なる表式です。ただし,(Γ)は,あらゆる可能なΓ-森

の全体であり,γはΓ-森の元:Uに属するくりこみ部分

です。そして.Uのいくつかの元が,γ1⊂γ2⊂..,のような

包含関係にあるときは,その小さい方のγから順に(-tγ)

を施すことにします。

この(21)の表式は,実は図7.13のグラフの具体例の場合

に既に遭遇しています。

それは図7.13に対する(20)式:RΓ(図7.13)

(1-t11-tγ2-tΓ+tΓγ1+tΓγ2)(IΓ)の

表式です。

この(20)式の因子(1-t11-tγ2..+tΓγ2)の各項は,

丁度,(15)で与えたΓの6つの森:{φ},γ1},{γ2,},{Γ},

{Γ,γ1},{Γ,γ2}の,それぞれに対応した,Πγ∈U(-tγ)

の演算です。

 

さて,(21)RΓ=ΣU∈(Γ)γ∈U(-tγ)(IΓ)の一般的

証明を与えておきます。

[証明]:まず,用語の定義として,Γ-森:UでΓ自身を含む

ものを満杯(full),Γを含まないものを正規(normal)と呼ぶ

ことにします。Γがくりこみ部分であれば満杯のΓ-森は

正規なΓ森のそれぞれに,Γを元として追加すると得られる

ので.満杯のΓ森は正規なΓ森と1対1に対応します。

まず,γ森で正規なものの全体を~(γ)と記し,Rγ

=ΣU∈~γ)λ∈U(-tλ)(Iγ)] (22)で定義されたRγ

が,(17)で定義された,R~γ:つまり,

R~γ=Iγ+Σ{γ1,..,γc}(Iγ/{γ1,,..γc})[Πτ=1c(-tγτ)R~γτ}

に一致することを、以下で示します。

これには(22)のRγが,上の回帰的方程式(17)において,

R~γ=Rγとしたときに,これが満足されることを示せば

いいです。

正規なγ-森Uは,空集合の森(空な森){φ}でない限りは,

必ず,いくつかの最大元:{γ1,..,γc}(すなわち,そのグラフ

の中に互いに素ないくつかのくり込み部分を含むが,自身

は他の元に含まれない,くりこみ部分γi)の組を持ちます。

そこで,(22)の全ての正規なγ-森にわたる和(Σ)は,ある

互いに素なくりこみ部分の組:{γ1,...,γc}を,その最大元

の組として持つようなγ森全体について,まず和を取り,次に

1,...,γc}のあらゆる可能な取り方について和を取ること

と同じです。

そして,{γ1,..,γc}を最大元として持つγ-森全体にわたる

和は,それぞれの最大元:γτ(τ=1,.,c)ごとに満杯のγτ-森

が対応するため,それらγτ-森全ての和を取ることに同等です。

 つまり,演算子として,ΣU∈~(γλ∈U(-tλ)

=1+Σ{γ1,..,γc}Πτ=1c(-tγτ)

×[ΣUτ∈~(γτ)λτ∈Uτ(-tλτ)]} (23)を得ます。

そこで,この(23)式の演算子を,(11)の縮約展開:

Γ={IΓ/{γ1,γ2..,.γc}Πτ=1(Iγτ)}で,Γをγとして

γ={Iγ/{γ1,γ2..,.γc}Πτ=1c(Iγτ)(24)に書き直した

ものに,辺々作用させると(22)の,Rγの定義から,

左辺=ΣU∈~(γλ∈U(-tλ)(Iγ)=Rγでを得ます。

一方,,右辺={Iγ/{γ1,γ2..,.γc}Πτ=1c(Iγτ)}

+{Σ{γ1,..,γc}Πτ=1(-tγτ)}

×[ΣUτ∈~(γτ)λτ∈Uτ(-tλτ)]}

[ΣUτ∈~(γτ)λτ∈Uτ(-tλτ)]}

×{Iγ/{γ1,γ2..,.γc}Πτ=1c(Iγτ)}となります。

この右辺の因子に(22)でγ→γτとした式:

γτ=ΣU∈~(γτλτ∈U(-tλτ)(Iγτ)

をうまく挿入すると,

右辺=Iγ+{Σ{γ1,..,γc}Πτ=1(-tγτ)}

×[Iγ/{γ1,γ2..,.γc{}{Πτ=1c(Rγτ)}} 

と書けます。

したがって。左辺=右辺から,

γ=Iγ+{Σ{γ1,..,γc}Πτ=1(-tγτ)}

×[Iγ/{γ1,γ2..,.γc{}{Πτ=1c(Rγτ)}}(25)

を得ます。

これは回帰的定義(17)式の、

R~γ=Iγ+Σ{γ1,..,γc}(Iγ/{γ1,,..γc})

×{Πτ=1c(-tγτ)(R~γτ)}において

R~γをRγに置き換えたものに一致しています。

方程式(17)の解は一意的(定義はwell-defined)で

ある,と考えられるため,RγはR~γに一致すると

結論されます。

もしも,Γ自身が,くり込み部分でなければ,Γ森と

しては正規なものしかないため,(Γ)=~(Γ)です

から,Rγ=ΣU∈~γ)λ∈U(-tλ)(Iγ)](22)の右辺

で,γ=Γとしたものは,(21)のRΓの表式:

Γ=ΣU∈(Γ)γ∈U(-tγ)(IΓ)の右辺に一致する

ため,RΓはRΓに一致しますが定義(16)により.この

場合,Γがくりこみ部分でないなら,RΓ=R~Γですから,

Γ=RΓ=R~Γです。

一方,もしもΓがくりこみ部分なら,どの満杯のΓ-森

も正規のΓ-森にΓを付加して得られるので,定義(16)

によってRΓ=(1-tΓ)R~Γですが,

Γ=ΣU∈F~(Γ)γ∈U(-tγ)(IΓ)なので,

Γ=ΣU∈F~(Γ)(1-tΓ)[Πγ∈U(-tγ)(IΓ

なります。つまり.RΓ=(1-tΓ)RΓが成立して

いますから,RΓ=R~Γより.この場合も

Γ=ΣU∈(Γ)γ∈U(-tγ)(IΓ)なる(21)式が

(16),(17)の回帰的定義に一致します。

[証明終わり]

※[くりこまれたFeynman積分の収束定理]

以上で,かなり詳しくBPHZくりこみの手続き

を見てきましたが,もちろん,最も重要なことは,

このR演算で得られた,くりこまれた被積分関数

ΓのFeynman積分:F~Γ=∫d41...d4n(RΓ)

(10)が,果たして収束するかどうか?という点です。

R演算は上述のように,与えられたグラフΓの全て

の内部の部分グラフの発散を順次Taylor展開で取り

除いていく操作に相当しており,直感的には,収束する

のは,当然のように思えます。

しかし,実際に一般のグラフに対して,これを証明

しようとすると,かなり大変で,事実,Bogoliubovと

Parasiukによる1957年の最初の証明が,Heppによって,

完全で厳密な証明として完成されたのは,やっと1966年

になってからでした。その後も多くの研究者により証明

の改善,完成化が行なわれているほどです。

 

そこで,こでは証明抜きで以下の定理を与えます。

[※収束定理]:「任意のグラフΓに対して,RΓ

Feynman積分:F~Γ=∫d41..d4n(RΓ)(10)は

伝播関数のiε処法で,ε>0を固定するとき,

絶対収束する。」

そして,この定理はくりこみ可能理論か,くりこみ

不可能理論かを問わず成立します。最後にもう1点,

BPHZくりこみに関して,強調しておくべきことが

あります。

それは,BPHZのR演算がFeynman積分の被積分

関数IΓに対して直接,行なわれる点です。

そして,R演算後のRΓの積分は収束します。

それ故,BPHZくりこみには正則化は不要です。

そのため,BPHZのくりこみは,しばしば正則化

に依らない(regularization -independent)と

言われます。

 

次は「対称性とくりこみ」の項目ですが,

キリもいいので,今回はここで終わります。

 

(参考文献):九後汰一郎著「ゲ゙―ジ゙場の量子論Ⅱ」

(培風館)

 

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くりこみ理論(次元正則化)(7)

「くりこみ理論(次元正則化)」の続きです。

(※余談)トイレトペーパーもティッシュ

も自宅に無くなり,近くに買いにいった

のですが,入手できませんでした。

デマって恐ろしいですね。

ウソだとわかっても,みんが争って買い占めると

行列があるとつい並ぶ習性と同じく,ハマって

簡単には収まらない群集心理が,多くの日本人の

共通な特徴らしいです。

私,恐らくコロナとかの肺炎には,かかってないと

思うけれど,慢性心不全の障害者で,ときには肺に

水が溜まったりで,鼻水や咳,淡が多い病気持ち

ですから,ティッシュは,特に必需品なのですがね。。

昨夜も電気を消して就寝中,急に咳の発作が起きて

鼻水と淡を拭うティッシュ代わりのタオルしか

ない状態だったのですが,そのタオルをベッド脇

の暗闇の中で見失ってしまい,しばらく,鼻も口も

呼吸できず,七転八倒,死にそうでした。

こういうのはとても困りますね。

不要不急の方の紙類の買占めはご遠慮願いたい

と思います。品不足というのは,既にデマと判って

いますからね。)(余談終わり※)

(↑これは3月中旬に書いたのかな?と推測)

 

さて,以下は本題です。

前回で乗法的くりこみの項を終わり

次の節に入ります。

  • 7.3 BPHZくりこみ

以下では,一般的な理論で組織的な

くりこみ手続きを与えます。これは

Bogoliubov-Parasiuk-Hepp-Zimmermann

(ボゴリュウボフ・パラジウク・ヘップ・

チンマーマン)によるいわゆる「BPHZ

くりこみ」と呼ばれているものです。

BPHZくり込みの処法は,くりこみ

可能な理論に対しては,前節の乗法的

くりこみと同等であることがわかりますが.

これの適用は必ずしも,くりこみ可能性の

議論に限定されないし,さらに,その系統性

は後に議論する複合演算子(composite operator)

のくりこみや,演算子積展開

(operator product expansion)の証明

に強力な方法を与えることになります。

 

さて,まずは見かけの発散次数の論議から

です。種々なBoson場とFermion場から成る

一般の系を想定します。

 そのLagrangianは,次の形を取るとします。

すなわち,free+Σint.(1)です。

freeは,系を構成する場の自由項で,それらの

Feynman伝播関数:Δ(k)はkが大きいときに

-2で挙動するものと,k-1で挙動するものが

あるとします。

ここでは.統計性は重要ではないので,便宜上,

統計性とは無関係に前者の挙動をする場をBoson

場,後者の挙動をする場をFermion場と呼ぶこと

にします。

一方,intは,種々のタイプの相互作用項

(場の単項式)で,その項の中のBoson場の個数

がbi,Fermion場の個数がfi.それらの場に

かかる微分の合計階数がdiであるとします。

つまり,標記的に微分を∂,Boson場をφ,

Fermion場をψ,ψ^と書くと,相互作用は,

iint=gi(∂)diφbi(ψ,またはψ~)fi..(2)

の形をしているとします。

このとき,この相互作用:iintに対応する

Feynmanグラフの頂点(i^頂点と呼ぶ)に対し,

δi=bi+(3/2)fi+di-4=dim(iint)-4.(3)

なる整数δiを付与し,これをi-頂点の指標

(index)と呼びます。

ただし,今の,時空次元が4ではなく一般

のn次元と仮定している場合は,指標δi

(3)ではなく,δi=dim(iint)-n

={(n-2)/2}bi+{(n-1)/2}fi+di-n

(4)で与えられるもの定義します。

※(注7-1):何故なら,i-頂点の数を,ni

とするとき,Boson内線がI個,外線がE

個,Fermion内線がI個.外線がE

あって,そのFeynmanグラフのloopの個数

がκであったとすると.トポロジーの観点

(多角形の頂点と辺の数の関係)から,

κ=I+I-ni+1が成立します。

そして,ni個の頂点に連結ける総ての

Ferumionの数は2I+E=fii,総ての

Bosonの数は2I+E=biiを満たします。

(※何故なら,内線は両端に2個の頂点を

持ち,外線には1個の端点しかないからです。)

そうして.Feynman図の発散次数Dは.

  • loopに∫dkが掛かるので,

G=nκ-2I-I+dii

=ρni-{(n-1)/2}E

-{(n-2)/2}E+nで与えられる

と考えられます。

ただし,ρは,ρ={(n-1)/2}fi

+{(n-2)/2}bi+di-nです。

何故なら,ρni={(n-1)/2}fii

+{(n-2)/2}bini+(di-n)ni

={(n-1)/2}(2I+E)

+{(n-2)/2}(2I+E)-nni

+dliであって,κ=I+I-ni

+1なので,ρni=nκ-I-2I+dii

-n+{(n-1)/2}E+{(n-2)/2}E

より,ρni+n-{(n-1)/2}E

-{(n-2)/2}E=nκ-2I-I

+dii=D が,確か成立するからです。

ところで,光速:c=1かつ,Planck定数;hc

=h/(2π=1の自然単位系では,[c]=LT-1

=1なのでT=Lと同定され,hの単位=作用,

つまり,(エネルギー)×(時間)の単位も1

なので,[hc]=[E]T=MT=1より,質量M

もエネルギーEも単位はT-1=L-1,つまり,

長さLの逆数単位に同定され,全ての物理量

の次元(単位)は長さLの単位で表わすことが

できます。

すると,Lagrangian密度は.エネルギ-密度

と同じ単位で,これを∫dxと,時空で積分すると

Planck定数と同じ無次元の作用Sになるので,

結局,[(=Lagrangian密度)]=L-nです。

そして,その自由項部分:freeは,

質量項;μ2φ2や,および,mψ~ψと同じ次元

を持っていますから,Boson場:φ,および,

Fermion場:ψが持つ次元は,それぞれ,

[φ]=L-(n-2)/2,および,[ψ]=L-(n-1)/2

と解釈されます。

それ故,[Lllnt]=L--n=[gi

[di-(n-2)bi/2-(n-1)fi/2]の両辺のLによる

次元を等置して比較すれば,結合定数:gi

の次元が,[gi}=Lρであることがわかります。

そして,この量:ρは,元々,i-頂点の指標

δiに一致するよう定義されています。

(注7-1終わり※)

さて,前節の1-loopの計算でも出てきた

ように,あるFeynmanグラフのloopp積分が

紫外発散を含むかどうかは,伝播関数,および,

頂点因子の積で与えられる被積分関数の運動量

に関する次数とloop積分の次数の和を計算して

判定されます。

 あるグラフΓが,i-頂点をni個,Boson内線を

個.Fermion内線をI個含み,E個のBoson

外線と,E個のFermion外線につながっていた,

とします。このとき,内線運動量が全て大きく

なる場合の運動量の次数を勘定して判定します。

まず,各i-頂点は微分をdi階含むので次数:di

だけ効き,各Boson内線は,上の仮定により(-2),

そして,各Fermion内線は,(-1)だけの寄与

をします。

また,普通の4次元時空での,運動量表示

でのFeynman規則に従えば,内線伝播関数

ごとに運動量僚積分d4kがあり,頂点ごとに

運動量保存のδ関数;δ4(Σk)がありますから,

実質的運動量の次数として,各内線ごとに(+4),

各頂点ごとに(-4)の寄与が加わることに

なります。ただし,頂点に関わるδ関数の中に

全ての外線運動量の保存に相当するδ関数が

1個だけ含まれており,その1個は内線運動量

積分を減らすのには使えないので,それは次数

(-4)の寄与をしません。

したがって,このFeynmanグラフΓは,

ω(Γ)=Σnii+(4-2)I+(4-1)I

-4(Σni―1)..(4)の実質運動量次数を

持つはずです。

このω(Γ)を,Γの,[見掛け上の発散次数

(superficial degrees of divergence)]と

呼ばれます。

この(4)の次数の表式を,もっと簡単化する

ために、次の関係式に注意します。

i-頂点には,bi個のBoson線の端点が

付いており,一方,各Boson内線は,頂点に付く

2つの端点を,各Boson外線は,1つの端点を

持つため,Σnii=2I+E.(5)を得ます。

同様に,Fermion線の端点数の関係から

Σnii=2I+E.(6)も成立します。

(5),(6)を用いて,(4)のI,I

消去すると.

ω(Γ)=Σni{(di+bi+(3/2)fi-4}

-E-(3/2)E+4

=4-E-(3/2)E+Σniδi(.(7)

となります。

ここで,δi=di+bi+(3/2)fi-4

は,i-頂点の指標です。

 

前節で見たように1PI(1粒子既約な)

頂点関数の1-loopグラフ:Γの場合は,

先の(4):ω(Γ)=Σnii+(4-2)I

+(4-1)I-4(Σni―1).で定義された

見掛け上の発散次数:ω(Γ)は確かに,真実

の発散次数でした。

つまり,ω(Γ)が2なら,2次の発散,ゼロ

なら対数発散,負なら収束でした。

しかし,loopの数が2つ以上あるときは,

個々のそれぞれのloop積分に,そのグラフ

の全ての伝播関数や頂点がかかわっている

わけではないので,ω(Γ)<0は,必ずしも,

グラフΓが発散を含まないことを保証

しません。

例えば,λφ4理論で,図7.10に示したグラフ

ではE=6,δ=0により,ω(Γ)=-2ですが,

明らかに,下側の部分グラフのloop積分は

対数発散します。

このことから,Γのグラフ全体ばかり

でなく,その部分グラフγについて見掛け

上の発散次数:ω(γ)を計算し,それらが

全て,ω(γ)<0を満たせば,Γは発散を

含まないのではないか?と予想されます。

実は,この予想は,正に,次の「次数勘定定理

(power-counting theorem)」と呼ばれる有名な

定理の内容として一般的に証明されます。

※[次数勘定定理]:「あるFeynmanグラフΓ

のFeynman積分は,もし,Γ自身も含めてΓの任意

の1PI部分グラフ:γの見掛けの発散次数:ω(γ)

が全て負ならば(伝播関数中のiε処法のε>0

を固定したとき)有限値に絶対収束する。

ただし.ここで1PI部分グラフ:γと呼んで

いるのは,単にΓの部分グラフの中で.1粒子

既約なグラフであるだけでなく,その外線を

もぎ取ったモノを指す。」

しかし,この定理の証明は,一般のグラフ

に対するFeynmanパラメータ表示に基づいて,

なされる,かなり技術的に込み入ったものです。

そこで,ここで,は先人の証明を信じて,証明

の詳細に立ち入ることはせせず,単に認めて,

次に進むことにします。

定理の仮定とは逆に,見掛け上の発散:ω(Γ)

が正,または,ゼロであれば,一般に対称性など

の特別な事情(例えばゲージ不変性)が無い限り,

ΓのFeynman積分は発散します。

それ故,(7)で与えた公式:

ω(Γ)=4-E-(3/2)E+Σniδiから,

理論のタイプを,次のように分類できること

がわかります。

すなわち,次の3つに分類されま・

(ⅰ)頂点指標のδiが負,つまりdim(iint)<4

の相互作用項iintしかない理論;

この場合は(7)の項:Σniδiは常に負に

効くので,相互作用頂点の数niが少ない

グラフしか発散しません。

例えばスカラーφ3理論では,φ3頂点の

指標はδ=-1であり,外線の付いてない

(E=0)の真空グラフを除外するなら,

ω(Γ)≧0となるのは,図7.11に描いた

=1で頂点数がni=1または3の

tadpoleグラフ,E=2でni=2の自己

エネルギーグラフの合計3つしかありません。

すなわち,摂動の全次数で考えても,発散が

起こるのは,低次の特定の有限個のグラフのみ

です。

この指標δiが負の相互作用項:

iintしかない(ⅰ)のタイプの理論

を,超くりこみ可能な理論

(supr\errenormalizable Theory)

といいます。

(ⅱ)指標δiが非正(dim(iint)≦4)

の相互作用項:iintのみを含み,かつ

δi=0(dim(iint)=4)のiintが,

少なくとも1つはあるような理論:

この場合はδi=0のi-頂点は何回

含まれていてもω(Γ)の値は変わり

ませんから,発散するグラフは,摂動

のいくら高次でも存在し,無限個ある

ことになります。

しかし,見掛けの発散次数の公式(7)の

ω(Γ)=4-E-(3/2)E+Σniδi

により,ω(Γ)≧0となって発散する

グラフΓは,E+E(外線場の次元)≦4

(8)の場合のみです。

例えば,λφ4理論の場合は,真空グラフ

を別にすると,E=2の自己エネルギー型

グラフと.E=4の4点頂点方グラフの

2種のみです。(※E=1やE=3の

グラフはλφ4理論ではφ⇔-φに対する

不変性のため.存在しません。ただ,相互

作用がφ4とφ3の両方ある理論では,それら

も発散相グラフとして現われます。)

結局,(ⅱ)のdim(iint)≦4のみの相互作用項

から成るこのタイプの理論では,出てくる発散も

外線場の次元が4以下の有限種類のグラフのみ

です。実際,以下でわかるように,このタイプの理論

は,次元が4以下の相殺項で全ての発散が除去できて,

「くりこみ可能な理論(renormalizable theory)」

と呼ばれます。

(ⅲ)δi>0(dim(iint)>4)の相互作用:iint

を含む理論:

この場合,δi>0のiを含めが含むほど.

ω(Γ)は大きくなります。

すなわち,摂動の次数を上げるにつれて,

より多くの外線を持つ発散グラフが発散する

ようになり,結局,無限種類)の発散グラフが

現われることになります。

 これは無限個(無限種類)の相殺項,あるいは,

同じことですが,無限個の結合定数の指定

が必要なことを意味します。

この(ⅲ)のタイプの理論は「くりこみ不可能

な理論(non-renormalizable theory)」と

呼ばれます。

このタイプの理論はδi>0の相互作用Liの

結合定数giが.負の質量次元:M-δiを持つこと

で特徴付けられる重力相互作用が,その最も重要

な例です。

※(注7-2):(ⅲ)は,くりこみ不可能な理論

と呼ばれますが,これは「摂動論の枠内で」

無限個の結合定数を,どう指定すればよいか?

について.物理的論拠のある方法がわからない

という意味であるに過ぎません。

それ故,「非摂動論的方法では」,この無限個

の結合定数の指定が,有限個に帰着させられて,

くりこみ可能になるという可能性が排除される

わけではありません。そして,また「超対称性」

のような高い対称性があって,そもそも相殺項が

存在しないような理論でも,非摂動論的には,

あってかまわないのです。(注7-2終わり※)

次は,この準備の下で「BPHZのくりこみ」

の構成に入りますが,これは次回に回すという

ことで今回は一旦,ここで終わります。

(参考文献):九後汰一郎著「ゲ゙―ジ゙場の量子論Ⅱ」

(培風館)

 

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くりこみ理論(次元正則化)(6)

さて,「くりこみ理論(次元正則化)」の続き

を再開します。

このシリーズは(5)をアップしてから長期間

が経過したので,前回までで,記憶を呼び覚ます

ためのまとめとして,「くり込み理論要約」の

(1)~(5)をアップしました。

※今回からまた本題の続きに戻ります。

3点頂点関数の項目からの続きです。

前回最後では,3点頂点関数の最低次近似

が.発散部分と有限部分の和で,(31)式:

Γjψ~ψφ(1-loop)(p2.p1)

=-gτi{g2/(16π2)}

[-ε~-1+1/2+2∫01dx∫01ydylnD(x,y)

+∫01dx∫01dy

{(p2+m-yp~)(p1+m-yp~)D(x,y)-1} 

で与えられることを見ました。

そして,一般に3点頂点関数の量子補正項:

Γψ~ψφ(補正)(p2.p1)を,関与する3粒子の

質量殻:12=m,q2=(p2-p1)2=μ2

のまわりで展開したとき,

これは,Γψ~ψφ(補正)(p2.p1)

=τ[c+O(1-m,2-m,q2-μ2)]

の形をとり,初項の定数項cがゼロでない

値を取ったとすると,これから,Γψ~ψφ,

~ -(g-c)τとなるため,

物理的な質量殻上のFermionとBosonの

湯川結合定数が,量子補正でgから(g-c)

に変化することを意味します。と書きました。

つまり,物理的に観測される湯川結合定数は

gではなく,(g-c)である,というのが真です。

湯川結合定数に限らず,φ4頂点の結合定数:

λなど,一般に結合定数は,質量や場の規格化

定数と同様,相互作用の影響でずれる,という

わけです。と,これらのことを述べて前記事

(本論(5),および,要約(5))は終わりました。

そこで,先の自己エネルギーの場合と

同様.元々は,裸の結合定数:g00

用いて,相互作用Lagrangian密度が,

0int=-g0ψ0ψ0φ0-(λ0/8)(φ02)2

(34)で与えられていた,と考えます。

そして,物理的粒子の観測される真の

結合定数=「くりこまれた結合定数」を

g,λとし,それらの裸の量:g0を,

0=Z1(Z233/2)-1g,λ0を,

λ0=Zλ(Z32)-1λ.(35)と書いて,(34)

の裸の0intを,この(35)式と,前に(13)で

与えたψ0=Z21/2ψ,および,φ031/2φ

代入して.全てくりこまれた量で表わし,

2つに分けます。

すなわち.0intintintcount .(36),

int=-gψψφ-(λ/8)(φ2)2(37),

かつ,intcount=-g(Z1-1)ψψφ

-(λ/8)(Zλ-1)(φ2)2 (38)とします。

この前者Lintが,最初に(1)式で与えた摂動

の第0次のLagrangianの相互作用部分であり.

後者は,ψ~ψφやφ4の頂点関数の発散に対する

相殺項を与えている,と考えるわけです。

1,および,Zλは,Planck定数hc=h/(2π)

のベキで摂動展開されると考えて,

1=1+hc1(1)+hc21(2)+..

λ=1+hcλ(1)+hc2λ(2)+..(39)

とします。

この係数は摂動(loop展開)の各次数でψ~ψφ,

および,φ4頂点関数の「結合定数」:g,λへの

補正部分が,常にゼロになるように決めます。

それは,treeレベルのg,λ値が予め,観測値

のg,λによるものとして採っていたからです。

したがって,湯川頂点関数:Γψ~ψφの場合は,

O(hc)で,式(30):Γjψ~ψφ(1-loop)(p2.p1)

=∫dnk(2π)-n[(-igτj)i{(2)-m}-1

(-igτi)i{(1)-m}-1(-igτj)

i(k2-μ2)-1]のΓψ~ψφ(1-loop)に加えて,

(38)のintcountの相殺項:-gZ1(1)ψψφ

を用いた図7.6のグラフの寄与:-gτi1(1)

があり,質量殻:1=p2=m,q2=μ2の上の

湯川結合定数gが量子補正を受けない。

という条件で,Z1(1)

=-[Γjψ~ψφ(1-loop)/(-gτj)]1=p2=m,q2=μ2

=-{g2/(16π2)ε~-1+(有限定数)..(40)

と決まることになります。

※4点頂点関数

Bosonの4点頂点関数:Γ(4)φ1φ2φ3φ4に寄与

する1-loopグラフは図7.7の(a),(b)の2種

があります。

もはや,基本的計算は,実行しませんが,これら

のグラフが対数発散すること,したがって,外線

運動量で展開したとき,その初項の定数項にのみ

発散が現われることは明らかです。

実際,図7.7(a)ではloop積分:d4kの被積分

関数はFermion伝播関数4つですから,kの(-4)

次であり,図7.7(b)はBoson伝播関数2つで

同じくkの(-4)次です。

それ故,この場合も,(38)のintcount.中の

相殺項;-(λ/8)Zλ(1)(φ2)2の寄与:つまり,

具体的には,-λZλ(1)ijδkl+δikδjl+δilδkj)

でもって発散を相殺できて,「質量殻上」での

結合定数λが補正を受けないように.Zλ(1)を調整

できます。

ここで,「質量殻上」と述べましたが,スカラー

の4点頂点関数:Γ(4)(p1,p2,p34)は,4粒子

共,質量殻pj2=μ2上においても,そして,また,

s=(p1+p2)2,t=(p1+p3)2,=(p1+p4)2

のうち,これらはs+t+u=4μ2を満たすので

2つの変数が決まりません。そこで,「質量殻上」

として,しばしば用いられるのは,物理的領域の外

ではありますが,形式上便利な,s=t=u=4μ2/3

の点を取ります。

これは対称点と呼ばれています。対称点は詳しくは,

i=μ2δij-(μ2/3)(1-δij)(i,j=1,2,3,4)

(41)で与えられます。

もう1つ注意すべき点は,裸のLagrangian:0

の中に,λ0φ04の相互作用項が入っていないなら,

そもそも,1つの湯川相互作用項だけでは,発散を

くりこむことができなかったであろう。という

事情です。実際,相互作用項:λ0φ04が無ければ

相殺項;-(λ/8)Z4-12)2が存在しませんが,

一方,図7.7(a)のグラフは必ず存在して発散

するからです。

※さて,乗法的くりこみの項に入ります。

1-loopのレベルで紫外発散を含むグラフが,

以上で全てであることはloop内の伝播関数のk

の次数を考えれば明らかです。

それ故,少なくとも,1-loopの範囲内では紫外

発散を全て場の規格化因子Z2.3(波動関数の

くりこみ因子),質量のシフトδm,δμ2,および,

相互作用の結合定数g,λのくりこみ因子Z1.λ

に吸収できること,が具体的なグラフの上で

示されたわけです。

このくりこみ操作で行なったことを,もう一度

整理して,系統的に言い直してみます。

以下,記号の簡単さのため,スカラー場1種類の

純粋なλφ4理論の言葉で,述べることにします。

まず,元の裸のLagrangian:0002,λ0)を

(13)~(17)と(35)~(38)でやったように.裸の場

φ0,裸の質量μ0,裸の結合定数λ0の代わりに

φ0=Z31/2φ,μ02=μ2-δμ20=Zλ3-2λ

(42)の形で関係付けされた.くりこまれた量:

φ,μ,λで書き直します。

すなわち,これは.0002,λ0)

(φ,μ2,λ)

count(φ,μ2,λ:Z3,Zλ,δμ2)(43)です。

そして,countで計算したφの全ての

n点頂点関数:Γ(n),それ故,生成汎関数or

有効作用:Γ[φ;μ2,λ]は,紫外発散の無い

Well@definedな量になります。

ところが,右辺のcount自体は全体

として,左辺の裸のLageangian:0と同じ

ものであるという点が重要です。

それ故,直接0に基づいてφ0の有効作用

Γ0を計算しても,結果,Γと同じ量に到達する

はずです。

つまり,Γ00020;Λ]=Γ[φ;μ2,λ]

(44)です。ここで,左辺に切断パラメータΛ

(または時空次元:n)が入るのは,左辺は実際

には裸の量の単純な汎関数としては発散し,

正則化の手続きを経た後でないと無矛盾

(well-defined)ではないからです。

そこで,(44)式の等号は,Λ→∞(または

n→4)の極限で消えるような項の違いを

除いて等しい.という意味に解釈されます。

(42)φ0=Z31/2φ,μ02=μ2-δμ2,

λ0=Zλ3-2λと(44)Γ00020;Λ]

=Γ[φ;μ2,λ].の意味するのは.Λが十分

大きい(または(n-4)<<1の)ときは,

有効作用Γ0のΛ(または(n-4)-1)への依存性

は,全てZ31/2,δμ2,Zλに押し込められて,Γ0

と同じ量のΓ[φ,μ2,λ]が有限な汎関数に

なる,ということになります。

すなわち,くりこまれた有効作用:Γは,

Λ(またはn)に依らないくりこまれた量:

φ,μ2,λの.Λに依らない汎関数となります。

これに対して,Z31/2,δμ2,ZλはΛに依存

しているので,裸の量:φ0020はΛに依存

します。

逆に言えば,Λ>>1(n-4<<1)のところで,

Λ(またはn)を動かしたとき,φ0(Λ),μ02(Λ)

λ0(Λ)をΛにつれて,うまく変化させれば,(44)

式の右辺のΓ[φ,μ2,λ]がΛに依存しない有限量

にできる.といえるのです。

 

 (44)の左右両辺をφ0=Z31/2φのベキで展開

すると,裸のn点頂点関数Γ0(n)と.くりこまれた

それ:Γ(n)の間の関係式:

3n/2Γ0(n)(020;Λ)

=Γ(n)(2,λ)(45),ただし,

=(1,p2,,..,n-1) が得られます。

このことから,ここで述べたくりこみ手法は,

,乗法的くりこみ(multiple renormalization)

と名付けられています。

本節では,乗法的くりこみがうまくいくことを,

摂動のO(h1)でしか示していませんが,より

高次の項を議論するときは低次の摂動で決まる

相殺項も「相互作用項」として含めたグラフを

全て考える必要があります。

例えば,先の湯川相互作用系の例でO(hc2)

のFermion自己エネルギ0に効くグラフは図7.8

に示した2個です。

O(h1)の相殺項を含むグラフは,丁度図7.8

の括弧内の第1列に描いたグラフがそれぞれ含む

  • loop内部グラフ(subdiagram)の発散を相殺
  • する形で現われていることに注意されたい。

実際,全ての内部グラフの発散をきっちりと

相殺しておかないと,「1番外側のloopの最終

的積分を行なったときに現われる発散(overall

l-divergence)が外線運動量に関して高々多項式

であること:すなわち,Γ(n)の場合は,φの1次

までである.etc.という重要な性質が成立しなく

なってしまいます。

この重要な性質が成り立って初めてcount

用意した相殺項で,発散が消せる,のであり,この

性質は,この後に示す「くりこみ可能性」の一般的

証明の核心をなす点です

。この一般的証明はかなり面倒で,ここで直ちに

与えることはせず。次節以降で定理のみを述べます。

しかし,何故,内部グラフの発散を消しておかない

と最終的な答で発散が外線運動量の多項式に

留まらなくなるか?を1つの例で説明して

おきます。

(※1つでも存在することを示せば,それで証明

になりますからね。。※)

すなわち,自己エネルギーの図7.8における

1つの2-looグラフである図7.9を取ってみます。

グラフの各伝播関数の運動量を図7.9左辺に示す

ように取ることにして,外線運動量の例えば2回微分:

(∂2/∂pμ∂pν)してみます。

すると,被積分関数中の3つのFermion伝播関数

のどれが微分を受けるかで,2つの微分の位置を☑

で示して,右辺の6つの場合があります。微分を

1回受けるごとに伝播関数の分母の運動量の次数

が1つずつ上がることに注意すれば,次数の勘定

から右辺の(b),(c).(d).(e)のグラフは,

確かにl1,l2のloop積分がともに収束している

ことがわかります。

しかし,(a)はl1積分の収束性は十分良くなって

いますが,l2積分の方は改善されずに対数発散の

ままです。この事情は何回微分しえも同じで発散

する内部ブラフが入っていると,外側から外線運動量

で,いくら微分しても,発散が改善されずに残り項が

必ず存在します。

これが,内部グラフの発散を全て消しておかねば

ならない理由です。

最後に,次の点に注意しておきたいです。

本節のくりこみの手続きでは,くりこみの

物理的側面を強調するため,「頂点関数:Γ(n)

質量殻上の値が量子補正を受けない。」という

観点を強調しました。

すなわち,単純なλφ4理論の例でいうと,Γ(2),

Γ(4)の「質量殻上の値」が,摂動の任意の次数で

treeレベルでの値に留まるべき,という条件:

Γ(2)(p2=μ22,λ)=0,

∂/∂p2(2)(p22,λ){p2=μ2=1

Γ(4)(p22,λ){[pipj=μ2δij-(1/3)μ2(1^δi)]

=-λ..(46) 

を置いたことに相当します。

このような条件は,一般にくりこみ条件と

呼ばれます。

特に(46)のような質量殻上のくりこみ条件

を設定して行なうくりこみを質量殻上くり込み

(on-massshell renormalization)と呼びます。

しかし,質量殻上でくりこむか?,例えば,

jμ=0の点でくりこむか?というのは,発散の

処理という意味では,どちらでもいいことです。

重要な点は摂動の任意の次数で,(内部グラフ

の発散を消してある限り)Γ(n)の発散が外線

運動量に関して有限次数の部分にのみ現われる

ところにあり,そのpに関するTaylor展開を

2=μ2のところでやるか,p=0のところ

でやるか,は問題ではなく,どうやっても,その

次数までしか,発散はないということです。

それ故.例えば(46)の代わりに,

Γ(2)(p2=0:μ2,λ)=-μ2,,

∂/∂p2(2)(p22,λ,){p2=0=1

Γ(4)(=0:μ2,λ)=-λ..(47) 

のように,pj=0で.くりこみ条件を設定

して,くりこみを行なうこともできます。

これはpj=0での中間的くりこみ

(intermediate reormalization)と呼ばれて

います。

形式的なくりこみ可能性の議論などでは,

この(47)の条件で行なう方が便利です。

ただし,条件(47)の場合は,μ2やλは,もはや

物理的質量でも質量殻上の結合定数でもないし,

場φも質量殻上で1に規格化されてもいません。

この場合は,計算されたΓ(2)の零点から

物理的質量:μ2physを求め,.その点でのp2の係数

である{∂Γ(2)/∂p2}(p2=μ2phys)=Z3-1を読み

取り,Z32Γ(4)の物理的質量殻の値から,物理的

結合定数としてλphysを求める必要があります。

そうして,逆に(47)のパラメータ:μ2,λを,

それらのμ2phys,,λphysで表わすことができる

ので,Z3n/2Γ(n)も,μ2physphysを使って書き

直せて,それらは,質量殻上のくりこみで求めた

n点頂点関数に一致します。

この=0での中間的くりこみのΓ(n)から

質量殻上くりこみのΓ(n)に書き直す手続きは,

発散を含みませんが,(45)に与えたくりこみと

本質的には同じ手続きであり「有限くりこみ

(finite renormalization)」と呼ばれます。

これで「乗法くりこみ」の項は終わり,次の節

に移るので,今回はここで終わりにします。

(参考文献):九後汰一郎著「ゲージ場の量子論Ⅱ」

(培風館)

 

 

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くりこみ理論要約(5)

 記事要約の続き,「くりこみ理論(次元正則化)(5)」

から内容要約です。

※「3点頂点関数」の項目からです。

粒子の自己エネルギー,2点Green関数

(伝播関数)を評価したのに続いて,Fermion

とBosonの3点頂点関数:Γψ~ψφ(3)を計算

してみます。

これは,1-loopまでの近似で

Γjψ~ψφ(3)(p2.p1)=-gτj+Γjψ~ψφ(1-loop)(p2.p1)

+O(hc2)と書けます。

これの右辺第1項はtreeレベルの寄与であり,

第2項は,下図7.5の1-loppグラフの寄与です。

そして,この1-loopの寄与を書き下すと,

Γjψ~ψφ(1-loop)(p2.p1)

=∫dnk(2π)-n[(-igτj)i{(2)-m}-1

(-igτi)i{(1)-m}-1(-igτj)

i(k2-μ2)-1].となります。

これに,Feynmanパラメータ公式:1/(a12..an)

=(n-1)!∫01dx101dx2..∫01dxn

δ(1-x1-x2-..-xn)

×[1/(a11+a22+..+ann)]

を適用します。

 

※(注5-1):上記Feynmanパラメータ公式を

証明します。

(証明):まず,1/A=∫0dxexo(-Ax)

が成立するので.明らかに,n項の積では,

1/(a12..an)=∫0dy10dy2..∫0dyn

{exp(-a11-a22-..-ann)}と書けます。

さらに,1=∫0dtδ(t-y1-y2-..-yn)

を挿入すると,1/(a12..an)

=∫0dt∫0dy10dy2..∫0dyn

δ(t-y1-y2-..-yn)

×{exp({-(a11-a22-..-ann)} です。

ここで,yj=txj(j=1,2,..,n)と積分変数

を置換すれば,1/(a12..an)

=∫0dt∫0dx10dx2..∫0dxn

×δ(t(1-A)

{exp({-t(a11-a22-..-ann)}

となります。

ただし,A=x1+x2+..+xn=Σi=1ni

と置きました。:

さらに,B=a11+a22+..+ann

=Σi=1niiと置くと,1/(a12..an)

=∫0dx102..∫0dxn

×∫0dt[δ[t(1-A)]texp(-tB)]

です。

右辺の最後のt積分の因子のみ着目すれば,

0dt[δ[t(1-A)]texp(-tB)]

=δ(1-A)∫0dt[t-1exp(-tB)]

=δ(1-A)Γ(n)B-n を得ます。

したがって,1/(a12..an)

=∫0dx10dx2..∫0dxn

δ(1-A)Γ(n)B-n,

つまり,1/(a12..an)

=∫01dx101dx2..∫01dxn[(n-1)!

δ(1-x1-x2-..-xn)

×[1/(ax1+ax2+..+ann)]

が得られました。(証明終わり)

※※この公式は帰納法でも簡単に示せます

が演繹法で証明した方が美しいですね。

(注5-1終わり※)

※(注5-2):既に,前記事で,n=2の場合の

公式:1/(ab)

=∫01dx101dx2{δ(1-x1-x2)

/(ax1+bx2)2]

=∫01dx[1/{ax+b(1-x)}2]

は使用しています。

この両辺を,さらにパラメータaで微分

すれば,1/(a2b)

=∫01dx(2x)/{ax+b(1-x)}3]

が得られます。

それ故,1/[{ax+b(1-x)}2c]

=∫01dy(2y)

/[{ax+b(1-x)}y+c(1-y)]3]より,

1/(abc)=∫01dx∫01dy

(2y)/[{ax+b(1-x)}y+c(1-y)]3]

が成立することも.いえます。

また,1/(ab)の表式をaで微分して得た上記,

1/(a2b)=∫01(2x)dx/{ax+b(1-x)}3]

を,さらにbで微分すると,1/(a22)

=∫01{6x(1-x)}dx/{ax+b(1-x)}4]

も得られます。

そこで,1/(aαβ)

={Γ(α)Γ(β)/Γ(α+β)}∫01dx

{xα-1(1-x)β-1}/{ax+b(1-x)}(α+β)]

=Β(α,β)(α,β=1,2,..)なる一般公式

が帰納的に得られます。

ここで.係数:Β(α,β)はベータ関数と

呼ばれるもので,Β(α,β)

=∫01dt{tα-1(1-t)β-1}で定義されます。

これは,Gaussのガンマ関数によって,

Β(α,β)=Γ(α)Γ(β)/Γ(α+β)=Β(β,α)

とも表わされます。

先に証明した,一般的Feynmanパラメータ

の公式:1/(a12..an)

=∫01dx101dx2..∫01dxn

[(n-1)!δ(1-x1-x2-..-xn)

(ax1+ax2+..+ann)]についても,

これをパラメータaiで複数回偏微分する

ことで,1/(a1α12α2..anαn)

に対する積分表式を得ることができます。

そして,1/[{ax+b(1-x)}2c]

=∫01dy(2y)

[1/{ax+b(1-x)}y+c(1-y)]3]

から,1/(abc)=∫01dx∫01dy

(2y)/[{ax+b(1-x)}y+c(1-y)]3]

を得たのと同様にして,

一般化された別表現の公式:1/(a12..an)

=∫01dx101dx2..∫01dxn-1

[(n-1)!x232..xn-1(n-2

)/{(a1-a2)x12..xn-1+(a2-a3)x2..xn-1

+..(an-1-an)xn+an}]

をも示すことができます。(注5-2終わり※)

※(注5-3):余談ですがベータ関数:

Β(x,y)=∫01dt{tx-1(1-t)y-1}

=Β(y,x)を見るとき,

伝統的場理論では別のグラフとしてカウント

される散乱のsチャネルとtチャネルの過程;,

例えばQEDなら電子(e)と陽電子(e)の電磁

相互作用(光子の交換)による散乱グラフを,

sチャネルとすると,eとeが対消滅して光子(γ)

になり,再び対生成してeとeの対になる過程が

tチャネルであり,これらはeとeの散乱振幅には

独立過程で,それらが和として寄与します。

ところが,ハドロンの強い相互作用による散乱過程

ではsチャネルとtチャネルの過程は実は同一の過程

の側面の違いで,別扱いをして和の寄与があるとすると

重複でダブルカウントになる.という性質:「双対性

(そうついせい:duality)」が存在することが,観測

されていました。

そして,この事実を体現するVenetsiano(ベネツィアノ)

模型というものが提議されましたが,これは上記ベータ関数

の対称性の性質を利用したものであった,という歴史的経緯

を想起しました。

この模型はハドロン散乱において,sとtの関数と

しての散乱振幅Aが,A(s,t)

=Γ(-α(s))Γ(-α(t))/Γ(-α(s)-α(t))

=Β(-α(s)x,^-α(t))なる形であるという模型で

こう仮定すると,確かに双対性:A(t,s)=A(s,t)

が成立するというわけです。

ただし,αはRegge軌跡における極の粒子の角運動量

を意味しています。

しかし,この双対共鳴模型は,結局,強い相互作用

の理論では,あまり評価されませんでしたが,これを

強い相互作用だけでなく,素粒子を2次元のヒモ:

特にBosonとFermionの超対称性を有する超弦と仮定

する模型の基礎式としての,量子化に適用すればBose

弦のみ存在する場合は,背景時空が26次元,Fermi弦

も存在する場合は,10次元のときにのみ,

負の計量(負の確率)を持つゴースト粒子の存在と

いう矛盾が,出現しない。という弦理論では有名な

「no-ghost定理」が示される基になったことなど

という「素粒子の超弦模型「」の話なども懐かしく

思い出しました。(以上,余談終わり)(注5-3終わり※)

さて, 3点頂点関数:の)式

Γjψ~ψφ(3)(p2.p1)

=-gτj+Γjψ~ψφ(1-loop)(p2.p1)+O(hc2)

において,右辺第2項の1-loopの寄与:,,

Γjψ~ψφ(1-loop)(p2.p1)

=∫dnk(2π)-n[(-igτj)i{(2)-m}-1

(-igτi)i{(1)-m}-1

(-igτj)i(k2-μ2)-1]を評価するという主題

に戻ります。

n=3のFeynmanパラメータ公式;

1/(abc)=∫01dx∫01y(2y)

/[{ax+b(1-x)}y+c(1-y)]3]を用いる

ことにより,

Γjψ~ψφ(1-loop)(p2.p1)

=-∫01dx∫01dy∫dnk(2π)-n(2y)

2(gτj){(2)+m}{(1)+m}

[k2-2y{(1-x)(p1k)+x(p2k)}

+y{(1-x)p12+xp22}-m2y-μ2(1-y)]-3

と書けます。

ここで,p~=(1-x)p1+xp2,かつ,

q=p2-p1と置くと,p~2=(1-x)212

222+2x(1-x)(p12),

2=p22+p12-2(p12) なので,

p~2+q2x(1-x)=(1-x)p12+xp22より

2-2y{(1-x)(p1k)+x(p2k)}

+y{(1-x)p12+xp22}-m2y-μ2(1-y)

=k2-2y(p~k)+y{p~2+q2x(1-x)}

-m2y-μ2(1-y) となります。

これから,D(x,y)

=(1-y)μ2+y{m2-q2(1-x)}

-y(1-y)p~2と置けば,

Γjψ~ψφ(1-loop)(p2.p1)

=∫01dx∫01dy

{2yg2(gτj)(4π)-n/2/Γ(3)}

{(2+m)(1+m)

-y{~(1+m)+(1+m)~}Γ(3-n/2)

D(x,y)-(3-n/2)+∫01dx∫01(2y)dy

[{g2(gτj)(4π)-n/2/Γ(2)}

×{Γ(3-n/2)p~23D(x,y)-(3-n/2)

-Γ(2-n/2)(n/2)yD(x,y)-(2-n/2)}]

を得ます。

時空の次元nが,n=4-2ε(ε=+0)の

場合,発散は,

Γ(2-n/2)(n/2)D(x,y)-(2-n/2)

=(1/ε-γ)(2-ε)(1-εlnD)

=2(1/ε-γ-lnD)-1のみから生じると

考えられます。

ε~-1=1/ε-γ+ln(4π).および,

01dx=1,∫01ydy=1/2を用いて

Γjψ~ψφ(1-loop)(p2.p1)

=-gτi{g2/(16π2)}

[-ε~-1+1/2+2∫01dx∫01ydylnD(x,y)

+∫01dx∫01dy

{(p2+m-yp~)(p1+m-yp~)D(x,y)-1}

が得られます。

※(注5-4):何故なら,前記事では

∫dk(2π)-n[1/{k2-2(pk)-m2+iε}α]

=∫dk(2π)-n[1/{(k-p)2-(p2+m2)}α]

={(-1)α+1/2(4π)-n/2Γ(α-n/2)/Γ(α)} 

×{1/(p2+m2)(α-n/2) なる表式を得ました。

この被積分関数において,p→ (yp~),

2 → y{m2-q2x(1-x)}-y(1-y)p~2

+μ2(1-y) という置き換えを実行すれば,

2-2(pk)-m2=(k-p)2-(p2+m2)が

(k-2yp~)2-[y2p~2-y{m2-q2x(1-x)}

+y(1-y)p~2+μ2(1-y)]

=(k-yp~)2-D(x,y) 

に置き換わります。

ただし,Dは前に与えた関数で,

D(x,y)=(1-y)μ2+y{m2-q2(1-x)}

-y(1-y)p~2 です。

それ故,∫dk(2π)-n

{(k-p)2-(p2+m2)+iε}-α

={(-1)α+1/2(4π)-n/2Γ(α-n/2)/Γ(α)}

×(p2+m2)-(α-n/2) という表式から,

∫dk(2π)-n[k2-2y{(1-x)(p1k)

+x(p2k)}+y{(1-x)p12+xp22}

-m2y-μ2(1-y)]-α

=∫dk(2π)-n{(k-yp~)2-D(x,y)]-α

={(-1)1/2(4π)-n/2Γ(α-n/2)/Γ(α)}

D(xy)-(α-n/2) を得ます。

これを(∂/∂p~μ)で微分すると,

∫dk(2π)-n){(2kμ-2yp~μ)(-α)}

{(k-yp~)2-D(x,y)]-(α+1)

=(-1)1/2(4π)-n/2{Γ(α+1-n/2)/Γ(α)}

(-2y(1-y)p~μ)D(xy)-(α+1-n/2) です。

それ故,∫dk(2π)-n

[kμ{(k-yp~)2-D(x,y)}-(α+1)]

=-(-1)1/2(4π)-n{Γ(α+1-n/2)/Γ(α+1)}

yp~μD(xy)-(α+1-n/2) です。

これを,さらに,(∂/∂p~ν)で微分すると,

-∫dk(2π)-n){kμ(2kν-2ypν)(α+1)}

{(k-yp~)2-D(x,y)]-(α+2)

=(-1)1/2(4π)-n/2Γ(α+2-n/2)/Γ(α)}

(-yp~μ2y(1-y)p~ν)D(x,y)-(α+1-n/2)

-(-1)1/2(4π)-n/2Γ(α+1-n/2)/Γ(α)}

ygμνD(xy)-(α+1-n/2) なので,

∫dk(2π)-n

[(kμν){(k-yp~)2-D(x,y)}-(α-2)]

=(-1)1/2(4π)-n/2Γ(α+2-n/2)/Γ(α+2)}

(y2p~μp~ν)D(x,y)-(α+2-n/2)

-(-1)1/2(4π)-n/2Γ(α+1-n/2)/Γ(α+2)}

ygμνD(x.y)-(α+1-n/2)  です。

したがって,iΓjψ~ψφ(1-loop)(p2.p1)

=-∫01dx∫01dy∫dnk(2π)-n

(2yg2(gτj){(2)+m}{(1)+m}

{(k-yp~)2-D(x,y)] -3 の右辺を,次のように

書き下します。

まず.-∫01dx∫01dy{2yg2(gτj)}

∫dnk(2π)-n{(2+m)(1+m)}

{(k-yp~)2-D(x,y)] -3

=-∫01dx∫01dy{2yg2(gτj)}

(2+m)(1+m)(-1)1/2(4π)-n/2

{Γ(3-n/2)/Γ(3)}D(xy)-(3-n/2)

次に,+∫01dx∫01dy{2yg2(gτj)}

∫dnk(2π)-n((1+m)(2+m))

{(k-yp~)2-D(x,y)] -3

=∫01dx∫01dy{2yg2(gτj)}

{yp~(1+m)+(2+m)yp~}(-1)1/2(4π)-n/2

{Γ(3-n/2)/Γ(2)}D(x,y)-(3-n/2) 

さらに,∫01dx∫01dy{2yg2(gτj)}

-∫dnk(2π)-n2{(k-yp~)2-D(x,y)] -3

=-∫01dx∫01dy{2yg2(gτj)}

(-1)1/2(4π)-n/2{[Γ(3-n/2)y2p~2D(xy)-(3-n/2)

-Γ(2-n/2) (n/2)yD(xy)-(2-n/2)]

と書けるからです。

ここでΓ(3)=2,Γ(2)=Γ(1)=1.を用いました。

(注5-4終わり※)

3点頂点関数を発散部分と有限部分の和で

表わした再表示式:Γjψ~ψφ(1-loop)(p2.p1)

=-gτi{g2/(16π2)}

[-ε~-1+1/2+2∫01dx∫01ydylnD(x,y)

+∫01dx∫01dy

{(p2+m-yp~)(p1+m-yp~)D(x,y)-1}

は今の場合,

Γjψ~ψφ(1-loop)(p2.p1)

=∫dnk(2π)-n[(-igτj)i{(2)-m}-1

(-igτi)i{(1)-m}-1

(-igτj)i(k2-μ2)-1]のdk(n~4)積分を

する被積分関数がkの(-4)次なので対数発散で

あり,外線運動量p1かp2で微分すると収束する

ので,発散はこれらに依存しない定数項にのみ

現われています。

一般に3点頂点関数の量子補正項:

Γψ~ψφ(補正)(p2.p1)を,関与する3粒子の質量殻:

12=m,q2=(p2-p1)2=μ2のまわりで,

展開したとき,Γψ~ψφ(補正)(p2.p1)

=τ[c+O(1-m,2-m,q2-μ2)]

の形をとります。

初項の定数項cがゼロでない値を取ったとすると,

これからΓψ~ψφ,~ -(g-c)τとなるため,

物理的な質量殻上のFermionとBosonの湯川結合定数

が量子補正で,gから(g-c)に変化することを意味

します。

物理的に観測される湯川結合定数はgでなく(g-c)

というのが真なのです。湯川結合定数に限らず,φ4頂点

の結合定数λなど,一般に結合定数は質量や場の規格化

定数と同様,相互作用の影響でずれます。

※以上、(5)の内容は,要約というよりほぼ全文でした。

(参考文献):九後汰一郎著「ゲージ場の量子論Ⅱ」

(培風館)

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くりこみ理論要約(4)

過去記事の要約編の続きで,

「くりこみ理論(次元正則化)(4)」の

内容要約です。

※今回は「Bosonの自己エネルギー」の項目

からです。前回はFermionの自己エネルギー:

Σ(p)を考察しましたが,今度はBosonφの

自己エネルギーをΠ(p2)とすると2点関数は,

Fij(p2)=iδij{p2-μ2-Π(p2)}-1

=i[Γφ(2)(p2)]-1となります。

何故なら,前のFermionの場合の1粒子既約な

自己エネルギー部分:-iΣ(p)と同じくBosonのそれ

を-iΠ(p2)と書けば,iΔF’(p2)は.初項が

a=i(p2-μ2)-1,公比がr=(p2-μ2)-1Π(p2)の

無限等比級数となるため,和として,公式から,

F’(p2)=a/(1-r)=i{p2-μ2-Π(p2)}-1

が得られるからです。

これに効く1PIグラフは図7.4の(a),(b),

および,Lcountfreeの相殺項からの寄与です。

したがって,最低次のオーダーで.Π(1)(p2)

=Π(1-loop1)(p2)+Πcount(1)(p2)です。.

ただし,-iδijΠ(1-loop1)(p2)

=∫dnk(2π)-4(-)Tr[(―igτi)i(-m)-1

(-igτj)i{(k-)-m}-1]+∫dnk(2π)-4

(-iλ/8)4×3+8)δiji/(k2-μ2)-iΠcount(1)(p2)

=i{Z3(1)(2-μ2)+δμ2(1)}です。

※(注4-1):第2の積分は,項:λφ4/8のtadpole

の寄与です。

φ2=(φ12+φ22+φ32) より,φ4=φ14+φ24+φ34

+2φ12φ22+2φ22φ32+2φ32φ12となりますが,

アイソスピンの保存により,このtadpoleに入って出て

行く2本の内線i,jではi=jでなければなりません。

仮にi=j=1なら寄与するのはφ14, 2φ12φ22,

32φ12のみです。

φ14については統計因子(対称性因子)は42=4×3です。

残る2つについては因子は2ですから合計因子は8です。

(注4-1終わり※)

そして,Tr(τiτj)=2δij,

Tr[(+m){()+m}]=4k(k-p)+4m2 

より,表式:-iδijΠ(1-loop)(2)

=∫dnk(2π)-4(-)Tr[(―igτi)i(-m)-1

(-igτj)i{(k-)-m}-1]+∫dnk(2π)-4

(-iλ/8)4×3+8)δii/(k2-μ2)において,第1項

=∫01dx∫dnk(2π)-4(-)2・4g2δij

[{k(k-p)+m2}/{k2-2x(pk)-x22+m2)}2]

=(-i)2・4g2δij(4π)-n/2

01dx[{Γ(2-n/2)|(x2-x)p2+m2}

/{m2-x(1-x)p2}(2-n/2)-Γ(1-n/2)(1/2)gμμ}

/{m2-x(1-x)p2}(1-n/2)]

=(-i)2・4g2δij(4π)-n/201dx

[{Γ(2-n/2)-Γ(1-n/2)(n/2)}

/{m2-x(1-x)p2}(1-n/2)]です。

そして,発散部分は,Γ(2-n/2)=Γ(ε)

=1/ε-γ+O(ε),Γ(1-n/2)=Γ(ε-1)

=Γ(ε)/(ε-1)=-Γ(ε){1-ε+O(ε2)}

=-1/ε-γ-1+O(ε)と評価されます。.

ただし,ε=(4-n)/2です。

故に,Γ(2-n/2)-Γ(1-n/2)(n/2)

=3(1/ε-γ)+1+O(ε)であり,

他方,{1/m2-x(1-x)p2}(1-n/2)

={m2-x(1-x)p2}-(ε-1)

={m2-x(1-x)p2}{m2-x(1-x)p2}-ε

={m2-x(1-x)p21}[1-εln{m2-x(1-x)p2}]

01{m2-x(1-x)p21}dx=m2-p2/6 です。

与式={(-i)2・4g2/(16π2)}[(3ε~-1+1)(m2-p2/6)

-3∫01dx{m2-x(1-x)p21}ln{m2-x(1-x)p2}],

であり,また,∫dnk(2π)-n(k2-μ2)-1

=-i(4π)-n/2Γ(1-n/2)μ-(1-n/2)

=-i(4π)-n/2(-ε-1+γ-1)(1-εlnμ22

={-iμ2/(16π2)}(-ε~-1-1+lnμ2) です。

ただし,先述のようにε~-1は発散部分であり,

ε~-1=ε-1-γ+ln(4π)と定義されています。

それ故,-iΠ(1-loop)(p2)={(-i)2・4g2/(16π2)}

×[(3ε~-1+1)(m2-p2/6)-3∫01dx

{m2-x(1-x)p21}ln{m2-x(1-x)p2}]

+{-5λ/(32π2)}μ2(-ε~-1-1+lnμ2)

を得ます。

ここでも,次元正則化の代わりにPaulli-Villers

正則化を用いるとどうなるか?を見ておきます。

この場合,図7-4(a)の寄与をg(m2)と書くとき,

これに1回引き算をして,g(m2)-g(Λ2)としたものは,

まだ有限にはなりません。

そこで,さらに引き算して,{g(m2)-g(Λ2)}

-{g(Λ2+m2)-g(2Λ2)}とします。

同様に,図7-4(b)の寄与:f(μ2)に対しても,

{f(μ2)-f(Λ2)}-{f(Λ2+μ2)-f(2Λ2)}

とします。次元正則化の上の式の結果:

-iΠ(1-loop)(p2)={(-i)2・4g2/(16π2)}

×[(3ε~-1+1)(m2-p2/6)-3∫01dx

{m2-x(1-x)p21}ln{m2-x(1-x)p2}]

+{-5λ/(32π2)}μ2(-ε~-1-1+lnμ2)

において,この引き算操作を行えば,

消える項を除いて,Π(1-loop)(p2)

={3g2/(2π2)}[{-(2ln2)Λ2+m2(lnΛ2+1)

-(p2/6)(lnΛ2-ln2)}-∫01dx

{m2-x(1-x)p21}ln{m2-x(1-x)p2}]

+{5λ/(32π2)}(2ln2)Λ2-μ2(lnΛ2+1-lnμ2)}.

を得ます。(※↑詳細なチェックは省略します。)

この形には明らかに,Λ2に比例するΛの2次発散

の項と(m22,p2)×lnΛ2に比例する対数発散

の項があることがわかります。

この場合,これは自己エネルギー部分の式の再掲

(ただし,n=4):-iδijΠ(1-loop)(p2)

=∫d4k(2π)-4(-)Tr[(―igτi)i(-m)-1

(-igτj)i{(k-)-m}-1]

+∫d4k(2π)-4(-iλ/8)4×3+8)δiji/(k2-μ2)

において,被積分関数がkの(-2)次で,積分が∫d4

の4次であること,および, (m22,2)の次元2を

持った量で展開すると,発散の次数が2ずつ下がること

から理解できます。

いずれにしても, Π(1-loop)(p2)は,外線運動量:

2の関数として,p2の0次と1次の項しか含まず,

それ故,丁度,相殺項:-iΠcount(1)(p2)

=i{Z3(1)(p2-μ2)+δμ2(1)}で相殺できる形です。

特に,δμ2(1)=Π(1-loop)(p2=μ2)

=Λ2{5λ/(16π2)-3g22}ln2

+[{3g2/(2π2)}(m2-μ2/6)-5λμ2/(32π2)]

×ε~-1 or lnΛ2)+(有限定数),

3(1)=[∂Π(-loop1)/∂p2]2=μ2={g2/(4π2)}

×(ε~-1 or lnΛ2)+(有限定数).とおけば,

Π(1-loop1)+Πcount(1)は有限で,(p2-μ2)の2次以上

の項は無くなり,伝播関数は,p2=μ2の近傍では,

Fij(p2)=iδij/(p2-μ2)の形になり,μが物理的

質量である,という要請が確かに満たされることに

なります。

※ここまでが(4)の内容要約です。

(参考文献):九後汰一郎著「ゲージ場の量子論Ⅱ」

(培風館)

 

 

 

くりこみ理論要約(4)

※過去記事の要約編の続きで,

「くりこみ理論(次元正則化)(4)」の

内容要約です。

※今回は「Bosonの自己エネルギー」の項目

からです。前回はFermionの自己エネルギー:

Σ(p)を考察しましたが,今度はBosonφの

自己エネルギーをΠ(p2)とすると2点関数は,

Fij(p2)=iδij{p2-μ2-Π(p2)}-1

=i[Γφ(2)(p2)]-1となります。

何故なら,前のFermionの場合の1粒子既約な

自己エネルギー部分:-iΣ(p)と同じくBosonのそれ

を-iΠ(p2)と書けば,iΔF’(p2)は.初項が

a=i(p2-μ2)-1,公比がr=(p2-μ2)-1Π(p2)の

無限等比級数となるため,和として,公式から,

F’(p2)=a/(1-r)=i{p2-μ2-Π(p2)}-1

が得られるからです。

これに効く1PIグラフは図7.4の(a),(b),

および,Lcountfreeの相殺項からの寄与です。

したがって,最低次のオーダーで.Π(1)(p2)

=Π(1-loop1)(p2)+Πcount(1)(p2)です。.

ただし,-iδijΠ(1-loop1)(p2)

=∫dnk(2π)-4(-)Tr[(―igτi)i(-m)-1

(-igτj)i{(k-)-m}-1]+∫dnk(2π)-4

(-iλ/8)4×3+8)δiji/(k2-μ2)-iΠcount(1)(p2)

=i{Z3(1)(2-μ2)+δμ2(1)}です。

※(注4-1):第2の積分は,項:λφ4/8のtadpole

の寄与です。

φ2=(φ12+φ22+φ32) より,φ4=φ14+φ24+φ34

+2φ12φ22+2φ22φ32+2φ32φ12となりますが,

アイソスピンの保存により,このtadpoleに入って出て

行く2本の内線i,jではi=jでなければなりません。

仮にi=j=1なら寄与するのはφ14, 2φ12φ22,

32φ12のみです。

φ14については統計因子(対称性因子)は42=4×3です。

残る2つについては因子は2ですから合計因子は8です。

(注4-1終わり※)

そして,Tr(τiτj)=2δij,

Tr[(+m){()+m}]=4k(k-p)+4m2 

より,表式:-iδijΠ(1-loop)(2)

=∫dnk(2π)-4(-)Tr[(―igτi)i(-m)-1

(-igτj)i{(k-)-m}-1]+∫dnk(2π)-4

(-iλ/8)4×3+8)δii/(k2-μ2)において,第1項

=∫01dx∫dnk(2π)-4(-)2・4g2δij

[{k(k-p)+m2}/{k2-2x(pk)-x22+m2)}2]

=(-i)2・4g2δij(4π)-n/2

01dx[{Γ(2-n/2)|(x2-x)p2+m2}

/{m2-x(1-x)p2}(2-n/2)-Γ(1-n/2)(1/2)gμμ}

/{m2-x(1-x)p2}(1-n/2)]

=(-i)2・4g2δij(4π)-n/201dx

[{Γ(2-n/2)-Γ(1-n/2)(n/2)}

/{m2-x(1-x)p2}(1-n/2)]です。

そして,発散部分は,Γ(2-n/2)=Γ(ε)

=1/ε-γ+O(ε),Γ(1-n/2)=Γ(ε-1)

=Γ(ε)/(ε-1)=-Γ(ε){1-ε+O(ε2)}

=-1/ε-γ-1+O(ε)と評価されます。.

ただし,ε=(4-n)/2です。

故に,Γ(2-n/2)-Γ(1-n/2)(n/2)

=3(1/ε-γ)+1+O(ε)であり,

他方,{1/m2-x(1-x)p2}(1-n/2)

={m2-x(1-x)p2}-(ε-1)

={m2-x(1-x)p2}{m2-x(1-x)p2}-ε

={m2-x(1-x)p21}[1-εln{m2-x(1-x)p2}]

01{m2-x(1-x)p21}dx=m2-p2/6 です。

与式={(-i)2・4g2/(16π2)}[(3ε~-1+1)(m2-p2/6)

-3∫01dx{m2-x(1-x)p21}ln{m2-x(1-x)p2}],

であり,また,∫dnk(2π)-n(k2-μ2)-1

=-i(4π)-n/2Γ(1-n/2)μ-(1-n/2)

=-i(4π)-n/2(-ε-1+γ-1)(1-εlnμ22

={-iμ2/(16π2)}(-ε~-1-1+lnμ2) です。

ただし,先述のようにε~-1は発散部分であり,

ε~-1=ε-1-γ+ln(4π)と定義されています。

それ故,-iΠ(1-loop)(p2)={(-i)2・4g2/(16π2)}

×[(3ε~-1+1)(m2-p2/6)-3∫01dx

{m2-x(1-x)p21}ln{m2-x(1-x)p2}]

+{-5λ/(32π2)}μ2(-ε~-1-1+lnμ2)

を得ます。

ここでも,次元正則化の代わりにPaulli^Villers

正則化を用いるとどうなるか?を見ておきます。

この場合,図7^4(a)の寄与をg(m2)と書くとき,

これに1回引き算をして,g(m2)-g(Λ2)としたものは,

まだ有限にはなりません。

そこで,さらに引き算して,{g(m2)-g(Λ2)}

-{g(Λ2+m2)-g(2Λ2)}とします。

同様に,図7^4(b)の寄与:f(μ2)に対しても,

{f(μ2)-f(Λ2)}-{f(Λ2+μ2)-f(2Λ2)}

とします。次元正則化の上の式の結果:

-iΠ(1-loop)(p2)={(-i)2・4g2/(16π2)}

×[(3ε~-1+1)(m2-p2/6)-3∫01dx

{m2-x(1-x)p21}ln{m2-x(1-x)p2}]

+{-5λ/(32π2)}μ2(-ε~-1-1+lnμ2)

において,この引き算操作を行えば,

消える項を除いて,Π(1-loop)(p2)

={3g2/(2π2)}[{-(2ln2)Λ2+m2(lnΛ2+1)

-(p2/6)(lnΛ2-ln2)}-∫01dx

{m2-x(1-x)p21}ln{m2-x(1-x)p2}]

+{5λ/(32π2)}(2ln2)Λ2-μ2(lnΛ2+1-lnμ2)}.

を得ます。(※↑詳細なチェックは省略します。)

この形には明らかに,Λ2に比例するΛの2次発散

の項と(m22,p2)×lnΛ2に比例する対数発散

の項があることがわかります。

この場合,これは自己エネルギー部分の式の再掲

(ただし,n=4):-iδijΠ(1-loop)(p2)

=∫d4k(2π)-4(-)Tr[(―igτi)i(-m)-1

(-igτj)i{(k-)-m}-1]

+∫d4k(2π)-4(-iλ/8)4×3+8)δiji/(k2-μ2)

において,被積分関数がkの(-2)次で,積分が∫d4

の4次であること,および, (m22,2)の次元2を

持った量で展開すると,発散の次数が2ずつ下がること

から理解できます。

いずれにしても, Π(1-loop)(p2)は,外線運動量:

2の関数として,p2の0次と1次の項しか含まず,

それ故,丁度,相殺項:-iΠcount(1)(p2)

=i{Z3(1)(p2-μ2)+δμ2(1)}で相殺できる形です。

特に,δμ2(1)=Π(1-loop)(p2=μ2)

=Λ2{5λ/(16π2)-3g22}ln2

+[{3g2/(2π2)}(m2-μ2/6)-5λμ2/(32π2)]

×ε~-1 or lnΛ2)+(有限定数),

3(1)=[∂Π(-loop1)/∂p2]2=μ2={g2/(4π2)}

×(ε~-1 or lnΛ2)+(有限定数).とおけば,

Π(1-loop1)+Πcount(1)は有限で,(p2-μ2)の2次以上

の項は無くなり,伝播関数は,p2=μ2の近傍では,

Fij(p2)=iδij/(p2-μ2)の形になり,μが物理的

質量である,という要請が確かに満たされることに

なります。

※ここまでが(4)の内容要約です。

(参考文献):九後汰一郎著「ゲージ場の量子論Ⅱ」

(培風館)

 

 

 

 

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くりこみ理論要約(3)

 

次に「くりこみ理論(次元正則化)(3)」

の内容要約です。

※先の要約(2)の「第4章摂動論」の記事

注釈で見たように,一般にn点Green関数

(n)は1PI(1粒子既約な)m点頂点関数

Γ(m)(m=n)で表わされるので,全ての Γ(n)

を有限にすることができればG(n)は有限になる

はずです。

それ故.今後くりこみの議論においては,もっぱら

1粒子既約な(1PI)頂点関数Γ(n)のみを考察すること

にします。

そして,特に,2点関数:Γ(2)のtreeグラフ以外

の寄与を一般に自己エネルギー(self-energy)部分

と呼びます。

Fermionの自己エネルギー部分(-iΣ(p))に寄与

するグラフは今の湯川相互作用のみの場合,先の

図7.1で与えられるので,ここで,その最初のグラフ

に対応する最低次loop)の寄与:(-iΣ(1-loop)(p)を

評価してみます。

-iΣ(1-loop)(p)

=∫d4k(2π)-4(-igτi){i/(-m)}

(-igτj)[iδij/{(p-k)2-μ2}].です。

この1-loop積分は被積分関数がkの(-3)次

で積分d4kがkの4次なので,明らかに(4-3)

=1次発散量になります。

(※しかし,実際には,すぐ後でわかる運動学的理由

から1次下がった対数発散になります。※)

 

そして,Feynmanパラメータ公式:

1/(ab)=∫01dx[1/{ax-b(1-x)}2]

により,-iΣ(1-loop)(p)

=3g201dx∫dk(2π)-

[(+m)/{k2-2x(pk)+x(p2-μ2)

-(1-x)m2}2]となるため,結局,

-iΣ(1-loop)(p)=(-1)1/23g2Γ(2-n/2)

(4π)-n01dx

[(x+m)/{(1-x)m2+xμ2-x(1-x)p2}2-n/2]

が得られます。

(何故なら,「くりこみ理論要約(1)」の最後で得た

公式:∫dnk(2π)-n[1/(k2-2kp-m2+iε)α]

={(-1)α+1/2(4π)-n/2Γ(α-n/2)/Γ(α)} 

×(p2+m2)-(α-n/2)において,両辺を,

μで微分すると,(-α)∫dk(2π)-

[-kμ/(k2-2kp-m2+iε)α+1]

={(-1)α+1/2(4π)-n/2Γ(α-n/2)/Γ(α)}

×(-2pμ)(p2+m2)-(α-n/2+1)となり,故に,

∫dk(2π)-[kμ/(k2-2kp-m2+iε)α+1]

={(-1)α+1/2(4π)-n/2Γ(α-n/2)/Γ(α+1)} 

×(2pμ)/(p2+m2)(α-n/2+1) を得ますが,

そこで,p→(xp),m2→ (1-x)m2-x(p2-μ2),

α→2なる置換を実行すれば,

∫dk(2π)-

[/{2-2x(pk)+x(p2-μ2)-(1-x)m2}2]

={(-1)1/2(4π)-n/2Γ(2-n/2)/Γ(3)}(x) 

/{(1-x)m2+xμ2-x(1-x)p2}2-n/2] となり,

また,∫dnk(2π)-n

[m/{k2-2x(pk)+x(p2-μ2)-(1-x)m2}2]

={(-1)+1/2(4π)-n/2Γ(2-n/2)/Γ(2)}

となるからです。 

一方,∫dnk(2π)-n[1/(k2-2kp-m2+iε)α]

={(-1)α+1/2(4π)-n/2Γ(α-n/2)/Γ(α)} 

×(p2+m2)-(α-n/2) なる一般式は,

I=∫dnk(2π)-n[1/(k2-m2+iε)α]

={(-i)α+1/2(4π)-n/2Γ(α-n/2)/Γ(α)}

×(m2-iε)-(α-n/2) において,

k→(k-p),m2→(m2+p2)と置換した

ものです。α=2,ε=(4-n)/2=α-n/2

と置くとΓ(ε)=1/ε-γ+O(ε)ですから,

∫dnk(2π)-n[1/(k2-2kp-m2+iε)α]

={(-1)α+1/2(4π)-n/2Γ(α-n/2)/Γ(α)} 

×(p2+m2)-(α-n/2)

={(-1)α+1/2(4π)-2

[2/(4-n)-γ+ln(4π)-ln(p2+m2)+O(4-n)]

={(-1)α+1/2(4π)-2[ε~-1-ln(p2+m2)]+O(4-n)

と書けることも前記事で導きました。

ただし,ε~-1=2/(4-n)-γ+ln(4π)であり,

これは「無限大部分」を意味する記号です。

 

同様な手順で,-iΣ(1-loop)(p)から,n=4の極部分

を分離すると,次式を得ます。

すなわち,-iΣ(1-loop)(p)

={(-1)1/23g2/(16π2)}ε~-1{(1/2)+m}

および,-iΣ(有限)(1-loop)(p)+O(4-n)です。

ただし,-iΣ(有限)(1-loop)(p)]

={-(-1)1/23g2/(16π2)}∫01dx

[(x+m)ln{(1-x)m2+xμ2-x(1-x)p2}]

(6)です。

 

もしも次元正則化の代わりに,Pauli-Villers正則化

を用いて,時空次元は4のままで,φの伝播関数:

ij(k2-μ2)-1を,切断regulatorを用いて

ij{(k2-μ2)-1-(k2-Λ2)-1]に置換したとすれば,

その答は上記式(6)でμ2→Λ2としたものを(6)から

引くだけで得られます。

結果的に極のε~-1に比例した無限大部分は次のように

置き換えられます。,

すなわち.(6)の{(-1)1/23g2/(16π2)}ε~-1{(1/2)+m}

から,{(-1)1/23g2/(16π2)}∫01dx

[(x+m)ln{(1-x)m2+xΛ2-x(1-x)p2}

={(-1)1/232/(16π2)}

×{m(lnΛ2-1)+(/2)(lnΛ2-1/2)}

+O[p22-(m22)ln(m22)].(7)

に変わります。

(※実際の地道なPauli-Villers正則化計算結果

との比較から係数:(-1)1/2はiと同定できます。※)

前にも述べたと思いますが,このΛ→∞のとき発散

部分である(7)式には切断:Λの1次以上の発散項は

出現せず,lnΛ2に比例する対数発散項しかありません。

その理由は,loop積分の結果が必ず(次元1を持つ)

やmに比例した形になるため,結果的に次元が1だけ

下がるからです。

γμには比例せず,単位行列1に比例した部分が

因子:mを少なくとも1つ含むのは,m=0の場合には,

カイラル対称性が存在すべきで,そうした単位行列1

に比例した項は,出現しないべきであったからです。

一般に1-loopでなくてもFermionの自己エネルギー

部分は,Σ(p)=a(p2)+mb(p2)

=(-m)a(p2)+mb~(p2)で,

b~(p2)=a(p2)+b(p2)のような形をとります。

ここで,a(p2),b(p2),b~(p2)はp2の関数

であり,これらをp2=m2のまわりでTaylor展開

すれば,,自己エネルギーは.Σ(p)=(-m)a+mb~

+(p2-m2){(-m)a’(p2)+mb~’(p2)}(9)

(ただし,a=a(p2=m2),b~=b~(p2=m2))

と書き換えることができます。

前述のΣ(1-loop)の計算では,次元正則化による式(6),

または,Pauli-Villers正則化による式(7)でΣ(p)

=(-m)a+mb~

+(p2-m2){(-m)a’(p2)+mb~’(p2)}

の展開の係数a,b~にのみ発散量が出現します。

すなわち,a(1)(p)={3g2/(16π2)}(1/2)ε~-1

+(有限定数),または a(1)={3g2/(16π2)}(1/2)lnΛ2

+(有限定数),および,b~(1={3g2/(16π2)}(3/2)ε~-1

+(有限定数),または,b~(1={3g2/(16π2)}(3/2)lnΛ2

+(有限定数)です。

そして残りのa’(p2),b~’(p2)は有限なp2の関数

であることが示されます。この点は特に重要です。

この事実は.このオーダーでは当然で,そもそも1-loop

積分を行なう前の式;-iΣ(1-loop)(p)=∫d4k(2π)-4

(-igτi){i/(-}(-igτj)[iδij/{(p-k)2-μ2}]

において,被積分関数を次元1を持つ外線運動量:pμ

関してTaylor展開すれば,pμの次数が上がるごとに,

1次ずつkのloop積分の収束性が良くなるからです。

(※Σ(p)=(-m)a(p2)+mb~(p2)のようにΣ(p)

を不変振幅:a(p2),b~(p2)に分解して,p2の関数として

Taylor展開すれば収束性は2次ずつ良くなります。※)

 

問題はa.b~に現われる無限大をどう処理するか?です。

a,b~の物理的意味を見るため,以前の式:

iSF’(p)=i{-m-Σ(p)}-1=i{Γψ(2)(p)}-1.に戻って

考えます。これにΣ(p)=(-m)a+mb~を代入すると,

iSF’(p)=i{-m-(-m)a-mb~}-1

=i(1-a)-1[-m{1+b~/(1-a)}]-1となります。

これは相互作用の効果によって,b~<<1のとき,

Fermionの質量がmから,m{1+b~/(1-a)}にずれる

こと.および,場:ψの規格化因子:Z2が1から(1-a)-1

に変化することを意味しています。

現状の摂動論適用では,a,b~は無限大に計算される

ので,b~<<1などの条件の満足には程遠いのですが,

たとえ1よりはるかに小さいはずの量が,発散する理論

の場合でも,「相互作用が存在しさえすれば質量:mと

規格化因子:Z2をずらす効果を有する。」という事実に

のみ着目します。

 

この効果を予め考慮して,出発点の裸のLagrangian:0

の自由項部分は元の,=(1/2)(∂μφμφ-μ2φ2)

ψ~(γμμ-m-gφτ)ψ-(λ/8)(φ2)2(12)

のそれではなく,0freeψ0~(γμμ-m00

+(1/2)(∂μφ0μφ0-μ02φ02)(12)であるとします。

相互作用の効果を全て取り込んだ後の,正しく規格化

された場を改めてψ,φとし,正しい質量をm,μとし,,

これらが(12)に現われる裸の量と,

0=Z21/2ψ,φ0=Z31/2φ,および,m0=m-δm,

μ02=μ2-δμ2なる関係でつながっているとします。

そうすれば,0freefreecountfree.

freeψ~(γμμ-m+(1/2)(∂μφμφ-μ2φ2),

countfree=(Z2-1)ψ~(γμμ-m+Z2δmψ~ψ

+(1/2)(Z3-1)(∂μφμφ-μ2φ2)+(1/2)Z3δμ2

のように,0freeは2つの部分:free,countfree

分けられます。

そして,前者のfreeが,先のの摂動第0次の自由場

部分であったと考えます。

先述したように,添字:0のついたψ0,φ0を裸の場,

00を裸の質量と予備呼び,対応するψ,φを,

くりこまれた場,m,μをくりこまれた質量(または

観測される物理的質量)と呼びます。

また,countfree.の各項は相殺項(couter-term)と

呼びますが,その理由は次のようにしてわかります。

 

 一般に,Z2,Z3やZ2δm,Z3δμ2

2=1+hc2(1)c22(2)+..,

3=1+hc3(1)c23(2)+..,

2δm=0+hcδm(1)c2δm2(2)+..

3δμ2=0+hcδμ2(1)c2δμ2(2)+..と,

Plank定数:hc=n/(2π)のベキで摂動展開され,

それ故,countfreeが存在すればFermionの自己

エネルギーに対して.hcの1次では,既に評価した:

Σ(1-loop)以外にΣcount=-Z2(1)(-m)-δm(1)の寄与

があることになります。

つまり,countfreeのhcの1次の項:

2(1)ψ~(γμμ-mと,

δm(1)ψ~ψを相互作用項として用いた図7.3

のグラフの寄与です。この寄与を加えれば式(9)

で定義したa,b~は1-loop:O(hc)のオーダーまで

の近似で,a=a(1)-Z2(1),mb~=mb~(1)-δm(1)

となります。

(※a(1),b~(1)は先の1-loop計算:Σ(1-loop)からの寄与

です。)

ところが,ψが正しく規格化された場,mが物理的質量

になるよう,予め波動関数(場),質量にくりこみを行った

のですからa.b~はくりこまれた結果,ゼロでなければ

なりません。実際,a=b~=0であれば.(11)の表式:

iSF’(p)=i{-m-(-m)a-mb~}-1

=i(1-a)-1[-m{1+b~/(1-a)}]-1によって,

iSF’(p)=i/(-m)となりψの2点関数(伝播関数)

=mに極を持ち留数は正しくiになります。

したがって,Z2(1),δm(1)は,Z2(1)(1),δm(1)

=mb~(1)ととるべきであることがわかります。

 

すなわち,この操作でΣ(p)の1-loopの計算に現われた

発散:a(1),b~(1countfreeのZ2(1),δm(1)の寄与で相殺

される必要があるのです。

※以上,「くりこみ理論(次元正則化)(3))

の要約は終わりです。

(参考文献:九後汰一郎著「ゲージ場の量子論Ⅱ」

(培風館)

 

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くり込み理論要約(2)

 ※(1)の要約に続いて(2)の内容要約です。

いきなり本題ですが,4次元時空のテンソル

添字で縮約されずに残っているものは,そのまま.

抽象的にn次元時空の添字とみなしておきます。

計量テンソルgμνもそうです。

縮約された場合はn次元の内積となり,特にgμμ=n

です。

ただし,完全反対称テンソルは,添字の個数が

次元数nに等しい場合だけ定義できるものなので,

一般の複素数nに自然に拡張することはできません。

そこで,4次元のεμνλσはn次元時空でも添字

(μ,ν,λ.ρ)が(0,1.2,3)の置換σになってる

ときのみゼロでなく,sgnσ(σの符号)の値をとる

定数テンソルであると定義します。

また,Diracスピノルの複素n次元への拡張には.

かなり任意性がありますが,ここでは任意の偶数次元

n=2kの場合に拡張し,2=2n/2成分の既約SO(1.n-1)

スピノルを考えます。

(※n=2kのとき,SO(n)はk個の2次元スピノル空間

に分解されます。全体は2次元空間の直積です。

例えばn=6,k=3での基底は,([1.0]×[1.0]T×[1.0])

etc.であり,基底は合計で23=8個なので23次元です。※)

 

この拡張スピノルで定義されるガンマ行列は,{γμν}

=2gμνを満たす抽象的代数量であり,そのトレース(対角和)

はTr(γμγν)=gμνTr(1)=gμν2n/2という規約を

与えられることになります。

(※このTr(1)=2n/2という式について深く考える必要はなく

n=4のときTr(1)=4となるようなnの連続関数であれば

いいです。これがDiracスピノルの任意性の内実で,結果

は,この任意性には依らず,無矛盾で一意となるので,気にする

ことないのです。※)

ここで,唯一問題となるのは偶数n=2k次元でのγ5=γ5

の行列です。これはΓ5=i-1γ0γ1..γn-1

={ik-1(-)n-1/n!}εμ1μ2..μnγμ1γμ2..γμnであり,

完全反対称テンソル:εμ1μ2..μnと同様 複素n次元に

拡張することはできません。

そこで4次元のεμνλρの場合と同じく,γ5

=iγ0γ1γ2γ3={(-i)/4!}εμνλργμγνγλγρ

と定義される決まった行列と考えることにします。

こうするとγ5=γ5は,γ0,γ123とは反可換

ですが,他のγμとは可換という面倒な性質を持つこと

になります。

γ5やεμνλρを複素n次元に自然に拡張できないので,

もしもゲージ変換がγ5やεμνλρを含む場合,次元正則化

でもゲージ不変性を壊します。これが,後述するように

グラフにアノマリー(量子異常)が出現する原因に関係

することがわかっています。

 

さて,具体的計算に入ります。

紫外発散が,どのように現われるかを.具体的に1つの

簡単な模型をとって1^loop計算を実行します。

合わせて,現われる発散をどう処理するか?

謂わゆる「乗法的くりこみ」

(multiplicative renormalization)の手続きについて

説明します。簡単な模型として,アイソスピンが1で

質量がμのスカラー場(例えばπ中間子):

φ=[φ123]と.アイソスピンが1/2で質量mの

Dirac場(例えば核子(p,n)):ψ=[ψ12]から成る

湯川相互作用系:Lagrangian密度が

=(1/2)(∂μφμφ-μ2φ2)

ψ~(γμμ-m-gφτ)ψ

-(λ/8)(φ2)2で与えられるものを考えます。

Feynmanグラフにおいては,φの伝播関数は

点線で.ψの伝播関数は矢印付きの実線で表わす

ことにします。

※下図7.1,図7.2は,Fermion(Dirac場)の自己

エネルギーのグラフです。

図7.2では左辺のFermionの2点Green関数:

iSF’(x)=<0{T[ψ(x)ψ(0)]|0>には,図で

灰色blobで示した1PI(1粒子既約)なグラフ全体

が図7.2のように繰り返しの形で効きます。

しかし,運動量表示での左辺の総和:iSF’(p)は,

図7.1の左辺では,上述の自己エネルギーを図7.2

と同じく灰色blobでで示されていますが,これを

-iΣ(p)と記せば,図7.2が簡単に表現されて,

iSF’(p)=i(p-m)-1

+{i(p-m)-1}{-iΣ(p)}{i(p-m)-1}

+{i(p-m)-1}{-iΣ(p)}{i(p-m)-1}

{-iΣ(p)} {i(p-m)-1}+..

=i{p-m-Σ(p)}-1=i{Γψ(2)(p)}-1となります。

最右辺のΓψ(2)(p)はψによる2点1PI(1粒子既約)

頂点関数を示す記号です。

頂点関数は2点の場合特別に2点Green関数の逆数

に一致します。

つまり,Γψ(2)(p)=-{iSF(p)}-1+{-iΣ(p)}

=i{p-m-Σ(p)}です。

さて,この記事での諸量の意味を再認識するため,

少々長たらしいですが2017年9/7の過去記事:

「対称性の自発的破れと南部-Goldston粒子(3)」

から.「第4章:摂動論」の有効作用と有効ポテンシャル,

頂点関数の定義,および,それらの関係について記した

注釈を再掲します。

(※以下再掲記事開始)

※(注):有効ポテンシャルの定義,意味については,

本ブログの2014年9/21から2015年4/21までにアップ

した記事:「ゲージ場の量子論から(その1)

(経路積分と摂動論)」の(1)~(12)において摂動論を

記述した後,有効作用,および,有効ポテンシャルの項に

入る予定でしたが,実際はその直前で長い間中断して,

その後のシリーズ再開後は間の(13).(14)に相当する

項目を省き(15)に進んでいました。

そこで,この過去記事シリーズから,適宜,必要事項

を引用し,さらに(13)(14)の内容をも追加して説明したい

と思います。

便宜上,(12)のGrassmann 代数の知見と,面倒な考察

を要するFermion場の話は省略して,まずは(1) ~ (11)

のBoson場のみから成る系で考えます。

まず,時間tを含むHeisenberg表示の初期(始)状態,

終状態を,それぞれ,|φ,t>,|φ,t>として,

その遷移振幅を,位相空間の積分:∫∫πφによる

経路積分で表わすと,<φ,t|φ,t

=∫∫φ(x,tI)=φI(x)φ(x,tF)=φF(x)πφ

×exp(i∫tItFx[π(x)φ(x)-(π(x),φ(x))])

となります。

この式の右辺から,先に∫πだけを実行して,配位空間

の積分:∫φのみによる積分表式にしたものは,Nを比例

定数として,

φ,t|φ,t>=N∫φ(x,tI)=φI(x)φ(x,tF)=φF(x)φ

×exp[i∫tItF(φ,∂φ)] です。

次に,特にGreen関数の経路積分を考えます。

 

必ずしもφの固有状態ではない一般の状態を

想定し,初期(始)状態を|Ψ,t>,終状態を,

|Ψ,tF>として,一般化されたN点Green関数を,

(N)(,..,x;Ψ,t;Ψ,tF)

≡<Ψ,tF|T[φ(x)..φ(x)]|Ψ,t

/<Ψ,tF|Ψ,t

=<Ψ|exp(-iF)T[φ(x).φ(x)exp(i)]|Ψ

/<Ψ|exp{-i(tF-t)}|Ψ> 

によって定義します。

これを変形して,最終的にGreen関数の経路積分式

として,G(N)(x,..,x; Ψ,t;Ψ,F)

=NFIDφΨ[φ(x)] Ψ(x)]

φ(x)..φ(x)exp[i∫tItF4(φ,∂φ)]

を得ます。

ここで,一般化されたGreen関数の生成汎関数:

FI[J]というモノを次のように定義して導入します。

すなわち,ZFI[J]

=<Ψ,F||Texp{i∫dxJ(x)φ(x)}

|Ψ,>/<Ψ,F|Ψ,>とします。

すると,ZFI[J]をJでN回微分してJ=0 と

置いたものが一般化されたN点Green関数になります。

つまり,

FI[J]/δJ(x)..δJ(x)]J(x1)=..J(xN)=0

=G(N)(x,..,x; Ψ,,F)です。

実は,これこそが,ZFI[J]が,Green関数

(N)(x,..,x; Ψ,t,F)の生成汎関数

である,という意味です。

そして,一般化されたGreen関数は,特に初期状態:

|Ψ>,終状態:|Ψ>が,共に系の真空状態 |0>

であるとしたとき,通常の意味のN点Green関数;

(N)(x,..,x)

=<0|T(φ(x)..φ(x))0>に一致します。

さて,話は重複するかもしれませんが,相互作用:

int(φ)が存在して,Lagrangian密度が,

(φ,∂φ)=(1/2)∂μφμφ-(1/2)μ2φ2(x)

int(φ)で与えられる実スカラー粒子の場:φ(x)

を想定します。

この相互作用しているスカラー粒子のN点Green関数

(N)は,G(N)(x1,..,xN)

=<0|T(φ(x1)φ(x2)..φ(x)|0>で

与えられますが,これの生成汎関数を特にZ[J]

とします。

Z[J]は,配位空間の経路積分によって

Z[J]=N∫φ

exp[i∫d4x{(-1/2)φ(□+μ2)φint(φ)+Jφ}]

=N∫Dφ exp[i{(-1/2)φ*(□+μ2)φ+J*φ}]

と書けます。

右辺の最後の式では,煩わしい∫dxという表現を

省略するため,時空座標xの任意関数φ(x),ψ(x)に

対して,内積とよばれる演算:φ*ψを,φ*ψ

=∫d4φ(x)ψ(x)=ψ*φによって定義し導入

しました。

Z[J]は,

結局,Z[J]=<exp[i∫d4x{int(φ)+J*φ}]>0

/<exp[i∫d4x{int(φ)}>0 なる式で表わせる

ことがわかります。

ここで任意のφの汎関数F(φ)について,<F(φ)>0

=(exp{(1/2)(δ/δφ)*iΔ*(δ/δφ)}*F(φ))φ=0

と定義しました。

<F(φ)>0の意味はF(φ)に左から微分演算子:

exp{(1/2)(δ/δφ)*iΔ*(δ/δφ)}

=Σk=0(1/k!)(1/2)k(δ/δφ)*iΔ*(δ/δφ)}

を作用させ,最後にφをゼロと置く操作です。

これは,<exp[i∫d4x{int(φ)+J*φ}]>0では,

級数展開Σk=0(1/k!) )1/2)(δ/δφ)*iΔ*(δ/δφ)}

のkの1次ごとにexp[i∫d4x{int(φ)}]から,φ(x)φ(y)

のようなφの対を1つ取り除き,代わりに自由場のFeynman

伝播関数:iΔ(x-y)=<0|T(φin(x)φin(y)|0> に

置き換えるという操作を示しています。

そして,係数(1/2)は,xとyの交換の自由度2で割ること

を意味します。また,自由場のFeynman伝播関数は,

Fourier積分の形で,Δ(x-y)

=∫d4k(2π)-4[exp{-ik(x―y)}/(k2-m2+iε)]

と書けるものです。

生成関数における指数関数の級数展開は,

Z[J]=<exp[i∫dx{int(φ)+J*φ}]>0

/<exp[i∫d4x{int(φ)}>0

=Σm=0(1/m!)∫d41..d

<iint(1).. iint(y)exp(iJ*φ)>0/(分母)

となります。

右辺の展開は相互作用intに比べて,微小な摂動

であると考えたときの摂動展開級数そのものです。

(分母)=<exp[i∫dx{int(φ)}>0の効果に

ついては,遷移要素の摂動計算に考慮すべきでないと

考えられる真空泡グラフを(分子)から相殺して除去

する操作に関わるものなので,本質的寄与をする(分子)

の各項についてのみ具体的計算方法を考えます。

具体的には,< >0は.まず.φの2個の積の場合,

明らかに,<φ(x1)φ(x2)>0=iΔ(x1-x2)

=[φin(x1)φin(x2)] です。

便宜上,iΔ(x1-x2)を,Symbolicに

in(x1in(x2)]なる記号で表現しました。

このように,φ(x1),φ(x2)の組をFeynman伝播関数

(x1-x2)で置き換える操作を縮約(contraction)

と呼びます。

以下.具体的に,経路積分による定式化を整理すれば,

Feynmanグラフによる通常の伝統的摂動論の計算法に

一致することが示せることが記述されます。

Fermionへの一般化も可能で,(12)に記述しましたが

ここでは省略します。

ここまでが既に記述した過去シリーズ記事の(1)~(11)

の内容です。

ここから「有効作用と有効ポテンシャル,」の話を

追加します。まず,Green関数の生成汎関数は,

Z[J]=<0|Texp(iJ*φ)]|0>

=<exp[i∫dx{int(φ)+J*φ}]>0

/<exp[i∫d4{int(φ)}>0

=N∫φexp[i{S[φ]+Jφ}]

と表現されるということから出発します。

このとき,Z[J]=exp{iW[J]}によって

別のJの汎関数:W[]を定義します。

をproperな連結グラフ(固有連結グラフ:

つまり,1本の内線や外線ではこれ以上分離不可能

な個々のFeynmanグラフ)の全体とすると,明らかに,

Z[J]=expと表わせるので,iW[J]は連結固有

Green関数の生成汎関数ということになりまです。

 一方,W[]=S[φ]+J*φと表わされていますが,

具体的には,J*φ=∫d4xΣiiφi(x)であり,S[φ]

は,作用積分の形で,S[φ]=∫d4(φ(x),∂φ(x))

です。

ここで,φの汎関数である有効作用;Γ[φ]を,このW[J]

から,汎関数のLegebdre(ルジャンドル)変換:

Γ[φ]=W[]-φ によっ定義します。

ところで,δZ/δi

=(iδW/δi)Z=i<0|φi(x)Texp(iJ*φ)]|0>

より,φ~i(x)=(δW/δJi)

<0|φi(x)Texp(iJ*φ)]|0>/Zとおくと,

φ~i(x)=(δW/δi)なる量は,(x)という外場が

存在するときの,場φi(x)の期待値を意味するという

ことがわかります。

そこで,Γ[φ]をJi(x)を通じたφの関数でなく,上記

のφの期待値:φ~i(x)の関数,つまりΓ[φ~]の形である.

と考えると,i(x)=δΓ[φ~]/δφ~i(x)です。

(何故なら.WはJの関数と見ると,Wのφ~i

による微分は,δW/δφ~i=Σk(δJk/δφ~i)(δW/δJk)

=Σk (δJ/δφ~i)φ~kであり,一方,δ(Jφ)/δφ~i

=(δJk/δφ~i)φ~k+Jなので,δΓ/δφi

δW/δφ~i-δ(Jφ)/δφ~i=-Jiとなるからです。)

有効作用:Γ[φ~]が重要な理由の1つは,これが1PI

(1粒子既約な)頂点関数:Γ(n)の生成汎関数になっている

点です。つまり,Γ[φ~]=Σn=0(1/n!)∫d41..d4n

φ~i1(x1)..φ~in(xn(n)i1..in(x1,..xn)となっている点

です。ここで,W[]に効くグラフで伝播関数の線を

1本切ってグラフが2つの部分に分離できるとき,

その線を関節線と呼びます。

伝播関数の線が外線のそれであれば常に関節線

ですが,外線以外に関節線を持たないグラフを1PI

(1粒子既約な)グラフ,内線にも関節線があるそれを,

1粒子可約なグラフと呼んだのでした。

結局,Γ[φ~]は,量子効果であるloopプグラフを

除く単純なTreeレベルでは,hcをPlanck定数とした

とき,O(hc)を除く近似で,古典的作用積分:S[φ~]

=∫d4(φ~,∂φ~)に一致します。

この有効作用の物理歴意味をさらによく理解すべ

より特殊な場合を考えます。外場Jと期待値φ~が

共に時間x0=tに依存しない場合を考えると,この場合

時間並進不変性があるのでW[]やΓ[φ~]の∫d4

表現から,無限大の時間因子:T=∫dx0がをくくり出して

除去できます。すなわち,W[J(x)=J(x)]

=-w[J()]∫dx0Γ[φ~(x)=φ~(x)]

=-E[φ~()]∫dx0  です。

 さらに,Jとφ~が時空座標xに完全に依存しない

定数の場合.W[J(x)=J]=-w[J]∫d4x,

Γ[φ~(x)=φ~]=-V[φ~]∫d4xです。

最後の,V[φ~]は,φ~の関数であり,これを有効

ポテンシャルと呼びます。

また,3次元空間のの関数:φ~()の汎関数:

E[φ~()]には決まった呼称が無かったので,V[φ~]

にならって有効エネルギーと呼びます。

Jとφ~がt=x0に依存しないときを考えると,

Z[J]=exp{iW[J]}=exp{-iw[J]T}

=<0| exp{-i[J]T}|0>です。

ただし,H[J]=-∫d3J()φ~()で,

このHはエネルギーを意味するHamiltonianです。

つまり,期待値の関数としては,

=∫d3{π~φ~-(φ~,∂φ~)},

=-∫d3(φ~,∂φ~)=-Lです。

何故なら,φ~がt=x0に依存しないため,

共役:π~=∂L/∂(∂0φ~)=∂0φ~がゼロだからです。

そして,真空:|0>はエネルギーHの最低固有値状態

(基底状態)でしたが,ここでも断熱処理:(-iε)処法を

採用しているとすれば,T=∫dx0=∞ の極限では,

事実上,[J]=-∫d3J()φ~()の基底状態:

|0>のみがexp{-iw[J]T}=<0| exp{-i[J]T}0>

の|0>に効きます。それ故,T → ∞ではw[J]は[J]

の基底状態のエネルギー固有値です。

つまり,H[J] |0>=w[J] |0>です。

他方,この)固有値問題は,量子力学の変分原理の問題

と同じく,<Ψ|Ψ>=1,<Ψ|φ()|Ψ>=φ~()の下

で,<Ψ||Ψ>を停留値にする停留解:|Ψ>を求める

停留問題とみなすことができます。

すなわち,この,H|Ψ>=E|Ψ>の解が,|Ψ>=|0>,

E=w[J]を与えます。

したがって,場の理論で真空を探す問題では,予め並進

不変性を考慮して,E[φ()]のに依存しないφ~の

関数である有効ポテンシャルV[φi~]の停留点を,

∂V[φ~]/∂φi~=0  から求めればいいです。

結局,有効ポテンシャル:V[φ~]は,場φi(x)の期待値

がφi~(定数)である条件下での基底状態のエネルギー密度

と解釈され,その最低の固有値に対応する状態が真空です。 

※※有効作用:Γ[φ~]が1粒子既約な頂点関数Γ(n)の生成

汎関数であったことから従う有効ポテンシャル:V[φ~]の

もう1つの側面に注意します。

頂点関数:Γ(n)の運動量表示Γ~(n)を運動量保存のδ関数

を外して定義します。

つまり,∫d41..d4n exp{ip11..+ipnn}

Γ(n)i1/..in(x1,..,xn)

=Γ~(n) i1..in( (p1,..,pn)(2π)4δ4(p1+..+pn)です。

Γ[φ]=Σn=0(1/n!)∫d41..d4nφi1(x1)..φin(xn)

Γ(n)i1..in(1,..xn)において,φi(x)=φ~i(定数)とし,

V[Φ]の定義式,および,(2π)4δ4(p=0)

=∫d4x exp(ipx)|p=0を考慮してV[φ~]

=-Σn=0(1/n!)φ~i1..φ~inΓ~(n)i1..in(0...,0)を得ます。

すなわち,有効ポテンシャル:V[φ~]は運動量piが全て

ゼロのときのn点頂点関数の生成関数という意味を

持っています。

W[J]の経路積分表式:Z[J]=exp(iW[])­­

=N∫φexp[i{S[φ]+Jφ}]を,

Γ[φ~]=W[])­­-Jφ=に代入して,自然単位に

Planck定数:hcを復活させると,Γ[φ~]

=(-ihc)ln[∫φexp{(i/hc){S[φ]+(φφ~)}],

ですが,経路積分φの積分変数をφ → φ+φ~と

変数置換し,-Ji(x)=δΓ/δφiを代入すれば,

Γ[φ~]=(-ihc)ln[∫φexp{(i/hc){∫d4

([φφ~]-(δΓ/δφ)φ)}] です。

ここで,[φφ~]をc-数:φ~のまわりで量子場:

φ(x)で展開すると,

[φφ~]=[φ~]+(∂/∂φii

+(1/2)φi|(iDF)-1φ~}ijφjint[φ;φ~]です。

ここに,|(iDF)-1φ~}ijは,|(iDF)-1φ~}ij

=(∂2[φφ~]/∂φi∂φj)|φ=0

=(∂2[φ~]/∂φ~i∂φ~j)で与えられます。

これは,場φの期待値がφ~であるような真空の

上でのFeynman伝播関数の逆数であり,int[φ;φ~]

φについて3次以上のφ~における相互作用項です

この[φφ~]の展開をΓ[φ~]の表式に代入する

Γ[φ~]=∫d4[φ~]+Γ~[φ~],:Γ~[φ~]

=(-ihc)ln∫φexp[(i/hc)

{∫d4x[(1/2)φi|(iDF)-1φ~}ijφjint[φ;φ~]

-(δΓ/δφ)φ}]です。 

これで,うまい具合に有効作用Γ[φ~]から,古典的

作用積分:S[φ~]=∫d4[φ~]が分離されました。

(以上,有効作用,有効ポテンシャルの説明についての

再掲載記事終了※)

結局,(2)は参考のために,過去の経路積分での摂動論

定式化の復習記事の再掲と,わずかの追加事項を述べた

だけで,ページを費やして終わりました。

(参考文献):九後汰一郎著「ゲージ場の量子論Ⅱ」

(培風館) 

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くり込み理論要約(1)

※科学記事は長い間マウスの右リックでの

コピー・ペーストができず,wordで書いた

原稿がたまる一方でした。そこで ブログはオ

ンライン書きしかできない状況でした。

 しかしキーボードのCtrlを使うとコピー

ペーストができるのがわかり,試してみたらできたので

久しぶりにword原稿をアップします。

 以下は,,おそらく今年3月初旬に書いたものでしょう。

まだ,図や写真のアップし方はよくわからないですが

私が使っているWindowsは,OSやPC本体が変わったり,

また@niftyのココログの仕様が勝手にリニューアルされる

たびに,不明事ができてむずかしくなっています。

 まあ,急に死んだりして料金が払えなくなっても

急には消えないということもあって14年間も

ココログフリー(無料)を用している次第ですから

めったに文句はも言えませんが。。

(コロナ自粛さなかの東京都自宅で体は不自由

ながらものん気なTOSHIです。2020年5/23(土))

※ 以下本文です。

「くりこみ理論(次元正則化)」シリーズ

は2019年2月の(1)から2019年7月の(5)

まで,アップしたのち後,長い期間が経過しました。

今回,久しぶりに,続きの(6)をアップしたいと

思いましたが,中断期間が半年以上と長いので,以前

の履歴も薄れており,その前に過去記事を整理する

ため,このシリーズ記事の(1)~(5)を要約します。

 

※今回は,まず,(1)の要約です。,

※(前書き)これまで「ゲージ場の量子論」の第6章

までを記事としてアップしました。

しかし,ここからは,第7章「くりこみ」の項目に

ついて,勉強した履歴の過去ノートから,回顧として

の記事を開始します。

このノートでの第7章の開始日は1997年3月20日

(47歳当時)となっています。

本文です。これまでは量子補正,すなわち,loopグラフ

の計算には踏み込まず,形式的に理論が整合的に存在する

ものとして,量子場の理論を相互作用項を摂動としてtree

グラフだけの計算で.議論を進めてきました。

しかし,具体的にloopグラフを計算すると,とたんに

紫外発散(ultraviolet-divergence)という問題が

生じます。つまり,loop運動量の大きいところでの積分

が発散するという困難に遭遇します。

 

この問題を処理するには,まず”無限大”というモノ

は直接扱うことができないので,正則化(regularization)

という手続きで,とにかくFeynmanグラフの積分が収束

して,理論がwell-defined(無矛盾)になるように工夫

します。その次には,諸量を物理的粒子の質量や結合定数

で書き直すという操作=くりこみ(renormarization)を

行ない,くりこんだ後の量が,初めの正則化という手段を

はずした極限でも,有限かつ無矛盾な量に留まることを

証明します。

 

まず,正則化の手続きとしては,歴史的にはQEDに

おいて「Paulli-Vllersの正則化」と呼ばれる,大きい

運動量の切断(cut-off)の手法が導入されました。

これは被積分関数中の伝播関数を次のように置換する

ものです。

すなわち,質量がmのBose場(運動量は)については,

伝播関数は,運動量表示では,i/(k2-m2+iε)で与えら

れますが,これを,i/(k2-m2+iε)-i/(k2-Λ2+iε)

=i(m2-Λ2)/{(k2-m2+iε)(k2-Λ2+iε)}に

置き換えます。ただし,Λ2は十分大きい実数です。

これを行なうと伝播関数は,k2>>Λ2では,1/k4

のように挙動し,元の 挙動:~1/k2よりも急激に

落ちるので,d4kのloop積分を実行した結果の収束性

が良くなります。

この,質量がΛで,負計量の寄与をする仮想的粒子の

伝播関数の意味を持つモノのをregulatorと呼びます。

この引き算操作でも,収束性が足りないときは,さらに

regulatorを入れて,k2→∞でもっと急激に落ちるように

します。BosonでなくFermionの粒子場の伝播関数に

ついても,切断質量Λの負計量の関数を引いて,同様に

します。最後にΛ→∞の極限をとって正則化の痕跡

を消しても,理論が生き残ればこの手法は成功です。

これがPaulli-Villers正則化ですがGuptaは,

これを改良して可換ゲージ理論の場合にも適用可能

にしました。

「Pauli-Villers-Gupta正則化」は,直観的で計算も

簡単でいいのですが,最大の難点は,一般の非可換ゲージ

理論でベクトル場に適用したとき,それがゲージ不変性

を壊すことにあります。

それでも最終的計算結果にゲージ不変の整合性が

有りさえすれば,計算途中で対称性が壊れていても

いいのですが,ここでは途中段階でもゲージ不変性の

保持が明確な,’tHooftとVolteraによって提案された

「次元正則化」という正則化を採用し説明することに

します。

次元正則化は,実際には4次元のこの時空の次元を

nと仮定し,解析接続によってnを複素数に拡張して

計算します。この正則化の最大の利点はゲージ不変性

が次元に依らず成立するため,ゲージ不変性を壊さない

ことです。しかも,被積分関数における伝播関数の数

を増やさず,一般的な積分公式が得られるので,具体的

計算法としても有用なものです。

 

さて,一般にFeynmanグラフの任意のloop積分は,

通常の相互作用の場合,loopで頂点(vertex)と伝播関数

の数は同じで,それぞれ,-(±i)とiが因子なので

(±1)が掛かりさらにFermionループなら全体と

して(-1)が掛かり,結局Feynmanパラメータ公式

を適用すれば,全て,∫dnk(2π)-n

[(kμ,kμν,..)/(k2-2kp-m2+iε)α]

(α>0)という形のモノに帰着させることができます。

 

そこで,まず,最も簡単な式である

I=∫dnk(2π)-n[1/k2-m2+iε)α]を評価する

ことから始めます。

まず,ガンマ関数の定義.

Γ(α)=∫0exp(-t)tα-1dt(Reα>0)から,1つ

の積分表示:Γ(α)s-α

=∫0exp(-st)tα-1dt(0<Reα<1)が得られ,

これは,さらに変形して,s-α

={iα/Γ(α)}∫0exp(-ist)tα-1dtと

書き直せます。この表式はIms<0,Reα>0の領域で

妥当な式となります。

そこでs=m2-k2-iεとおけば,Ims=-ε<0 の

条件が満たされるので,

I=∫dnk(2π)-n[1/(k2-m2+iε)α]

=∫dnk(2π)-n(-s)-α

={(-i)α/Γ(α)}∫0dt

[tα-1∫dnk(2π)-nexp{-i(m22-iε)t}]

なる表式を得ます。

経路積分の項で用いたGauss-Fresnelの積分公式:

-∞dxexp(-iax2/2)={2π/(ia)}1/2から,

∫dk0exp(itk02)={π/(it)}1/2 ={π/(-it)}1/2

なので,∫dnk(2π)-nexp(itk2)

=(-1)1/2-n/2(4πi)-n/2です。

故に,I={(-i)α(-1)1/2(4πi)-n/2/Γ(α)}

×∫dt[t(α-n/2-1)exp{-i(m2-iε)}より,

結局,I={(-i)α+1/2(4π)-n/2Γ(α-n/2)/Γ(α)}

×(m2-iε)-(α-n/2)なる式を得ます。

ただし,収束にはRe(α-n/2)>0が必要です。

しかし,一旦この表式が得られれば,これはnについて

の解析関数なので,任意の複素数次元nに拡張できる形

です。このとき元の運動量積分が発散していたという

事情が.この解析接続においては,次元nに関する極と

して表現されます。これが次元正則化の特徴です。

 

つまり,ガンマ関数:Γ(z)はz=0,-1,-2,..

に極を持ち,Γ(z)=Γ(z+1)/zを満たしますから,

γをEuler定数:γ~Γ0.5772..としてΓ(ε)

=1/ε-γ+O(ε)なる評価式が得られます。

例えば,I=∫dnk(2π)-n[1/k2-m2+iε)α]

が,α=2のときn=4の次元では対数発散するという

事情に対しては,

α=2なのですが時空の次元は,n=4-2δ,

δ=α-n/2>0である,と仮定すれば,

I={(-i)α+1/2(4π)-n/2Γ(α-n/2)/Γ(α)}

×(m2-iε)-(α-n/2) において,

Γ(α)=Γ(2)=1であり,Γ(α-n/2)=Γ(δ)

=1/δ-γ+O(δ)=2/(4-n) -γ+O(4-n)

ですから,Γ(α-n/2)/Γ(α)=2/(4-n)-γ

+O(4-n)です。さらに,xε=exp(εlnx)

=1+εlnx+O(ε2)より,(m2-iε)-(α-n/2)

=(m2-iε)-δ=1+{(4-n)/2}ln(m2-iε)+O(δ2)

(4π)-n/2=(4π)-2(4π)-δ

=(4π)-2[1-{(4-n)/2}ln(4π)+O(δ2)}

と書けます。

それ故,これは

I=(-i)α+1/2(4π)-2{1/δ-γ+O(δ)}

{1-δln(4π)+O(δ2)}{1-δln(m2-iε)+O(δ2)

=(-i)α+1/2(4π)-2

×{1/δ-γ+ln(4π)-ln(m2-iε)+O(δ)}

を意味します。

結局,時空の次元がnで,α=2の場合には,

I=(-i)α+1/2(4π)-2

{2/(4-n)-γ+ln(4π)-ln(m2-ε)+O(n-4)}

なる評価式が得られました。

これは,I(n,α)が,n=4=2αに1/(4-n)の型の

極を持つことを示していますが,γやln(4π)の定数は

常に.この極の部分に付随して現われるため,

ε~-12/(4-n)-γ+ln(4π)と定義として,右辺

全体を「無限大部分」とみなすのが便利です。

以上はα=2を例として計算しただけの結果ですが,

くりこみ可能な積分式はゲージ対称性などを考慮する

と,結局,発散が高々対数発散である場合であることが

わかっているため,次元正則化で現われるおける無限大

は,全てこの形で出現します。

 

さて,I=∫dnk(2π)-n[1/(k2-m2+iε)α]

={(-i)α+1/2(4π)-n/2Γ(α-n/2)/Γ(α)}

×(m2-iε)-(α-n/2) なる表式において,

積分変数kを(k-p)に置換し,かつ,m2

(p2+m2)に変更すると,(k2-m2+iε)が,

{(k-p)2-(p2+m2)+iε}

=(k2-2kp+m2+iε)になります。

したがって,伝播関数分母の無限小虚部

iεを略して

∫dnk(2π)-n[1/(k2-2kp-m2+iε)α]

={(-i)α+1/2(4π)-n/2Γ(α-n/2)/Γ(α)}

(p2+m2)-(α-n/2)という,より一般的式が

得られます。

さらに,この両辺を,(∂/∂pμ)微分すること

により,∫dnk(2π)-n[(kμ,kμν,..)

/(k2-2kp-m2+iε)α]なる形の積分の公式

を全て得ることができます。

ここまでが(1)の内容の要約です。

※参考文献:

九後汰一郎著「ゲージ場の量子論Ⅱ」(培風館)

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