« くりこみ理論(次元正則化)(8) | トップページ | くりこみ理論(次元正則化)(10) »

2020年5月26日 (火)

くりこみ理論(次元正則化)(9)

くりこみ理論(次元正則化)」の続きです。

(※これを書いている実際の日付は,4月に

入ったところです。):

(※余談)実は,2020年5/23に(8)までアップ

して,翌24日にこれをアップしようとして原稿

が消えてしまい,バックアッもプ取ってなかった

ので,A4で約10ページそっくり消えて,何日も

苦労したのに,と落胆しました。

思い直して,何とか最初から書き直して今まで

かかりました。

自分で書いた種ノートがあるとはいえ,今の視力

でギリギリ読める字の大きさで(参考書の方はもはや

ルーペでもないと無理ですが),しかも20年以上も

前に書いたものなので,判読できても意味不明なこと

も多々あり,その都度熟考して注釈など追加している

うち,前は10ぺージほどだった原稿が長くなり過ぎて

途中で分割して次にまわしました。

思えば,その昔,勤務していた会社に.30代後半の頃

「オアシス」と「文豪」というワープロが1台ずつ

入り,薄い5.25インチのフロッピーに保存しながら

文書を書いた,というのが,私のワープロ初体験でした。

それでも,2台しかないし,しばらくは前と同様,手書き

か,製本時に印刷屋に出すことが多かったのですが,それ

から,シャープの「書院」というのが複数台入った,40歳

のとき,その会社をやめて,初めて自宅でNECのPC98という

パソコンを購入した頃は,OSはMS-DOSでワープロ・ソフト

は「一太郎」を使っていました。

今のTB(テラバイト)仕様のものから見るとゴミのような

僅か80MB程度のハードでィスクもありましたが,まだ,3.5

インチのフロッピーが主流でした。

結局1995年(45歳)のころ.Windows95の時代になりPC98

の全盛時代も終わり,私も最初はCompaqのマシンを買い,世

に習ってMS-officeのWordを使うようになりました。

それから12年ぶり52歳で最初の会社にアルバイトで4

年間勤務した頃は,もう文書はWordで作るのが常識の時代

で,会社でも自宅でも長時間で作ったものを消して

悔しかった。という失敗は,山ほどありました。

まあ,機械相手に腹を立てても仕方ないです。

(余談終わり※)

以下,本題に入ります。

 

  • 7-3のBPHZくりこみの中で,

「対称性とくりこみ」の項目に入ります。

 

, BPHZくりこみとその「収束定理」から

直ちに従う,いくつかの重要な命題を与えます。

さて,今,考察中の問題では,Lagrangian が,

free+Σiiint.(1)の形を持つ,全く一般的

な,Boson:{φ}とFermion:{ψ}の系を考えている

ことを,思い出す必要があります。

そして,先の収束定理は,そうした系での紫外

発散が,任意のグラフΓにおいて,そのくりこみ

部分γの各々に対し,見かけの発散次数:ω(γ)

分だけのTayler項の引き算:(-tω(γ)γ)Rγ

行なえば除去される,ということを述べています。

γの見掛けの次数ω(γ)が,Γに対する公式:

ω(Γ)=Σni{(di+bi+(3/2)fi-4}

=4-E-(3/2)E+Σniδi.(7)によって,

内部グラフ:γのBoson,とFermionの外線数

を.それぞれ,Eγ,Eγとするとき,

ω(γ)=4-Eγ-(3/2)Eγ+Σniδi.(28)

(niはグラフγ中のi-頂点の数)と書けること

から,(271のTayler展開のpのω(γ)次まで

の各項の引き算は,次の形をした局所相殺項:

ountγ=(定数)×(∂)(φ)EBγ(ψ or ψ~)EFγ(29)

(d=0,1,..ω(γ))を挿入すること,に相当して

いることがわかります。

この相殺項:countγの次元,または(3)でi-頂点

に対して定義した指標:

δi=bi+(3/2)fi+di-4=dim(iint)-4

のグラフγの相殺項に対応する指標δは,

(28),(29)から,dim(countγ)

=d-Eγ-(3/2)Eγ

=4+Σniδi-{ω(γ)-d}(30),または.

δ(countγ)=4-dim(cohntγ)

=Σniδi-{ω(γ)-d}.(31)

で与えられます。

ところが,(29)により,ω(γ)-d≧0

ですから,(31)より,次の命題1を得ます。

※[命題1]「あるくりこみ部分のグラフ:γ

の発散から要求される相殺項:countγは,

その指標:δがγ内の相互作用頂点の指標

の総和以下のものに限られる。」

先に,指標がδi≦0である相互作用項:iのみ

から成る理論をくりこみ可能な理論と名付け

ましたが,くりこみが,前節の乗法的くりこみで

やったように,場の規格化や,質量,結合定数の

書き換えと解釈できるためには,もっと強い条件

が必要です。(※ 湯川相補作用系におけるλφ4項は

その例でした。)

この強い条件を満たす理論の方が通常,くりこみ可能

と言われるものなので,ここでもそれに従います。

そうすれば,命題1から,次の命題2を得ます。

※[命題2]「(1)で定義した意味のBosonとFermion

が与えられたとき,その全ての場とその微分から構成

される次元が1,2,3,4の(つまりδ=4-dim(cohntγ)

より,指標δがδ≦0を満たす)可能な単項式の全て

を含む(裸の)Lagrangianを持つ系は,くりこみ可能

である。」

実際の系では,Lorentz不変性を別にしても,種々

の内部対称性を持っています。例えば,最も単純な

λφ4理論でも,φ→(-φ)で不変という対称性が

あり,φの奇数次の頂点関数:Γ(2k+1)は摂動の任意

次数でゼロであり,したがって,裸のLagrangianも

φの偶数次の項だけを用意しておけば,くりこみ可能

ということになるはずです。

前節の湯川相互作用系は,さらにアイソスピンSU(2)

対称性を持ち,SU(2)不変な項のみから成るLagrangian

で,くりこみ可能です。

これらの内部対称性は,どれもBPHZ手続きの,

どの段階でも明白に保持されている対称性なので,

その対称性を破るTaylor引き算項は現われず,相殺項

は,対称性を持つもののみで十分です。

(※例えば,Tr(τiττ)=0によりφの奇数次項は

湯川相互作用では許されません。そこで,その相殺項

もφの偶数次の項のみがあれば十分です。)

そこで,次の命題3が従います。

※[命題3]「BPHZ手続きで明白に保たれる線形内部

対称性を持つ系の場合は,命題2のLagrangianを,その

対称性を満たす項のみに制限しても,くりこみ可能である。」

Lorentz不変性,SU(n),カイラル対称性,荷電共役

不変性,パリティ不変性等々は,皆,このような明白な対称性

の例です。しかし,対称性が場に関して非線形な変換の場合

は,もはや,ここでいう明白な対称性ではありません。

また,線形な対称性でも,自発的に破れた真空の上で,摂動

計算を行なう場合は,場の変換が非線形になり,「明白な」

対称性ではなくなります。

とはいえ,非線形な「明白でない」対称性でも,多くの

場合は,Lagrangianを,その対称性を満たすものに限っても,

くりこみ可能であることがわかります。

ただ,これら非自明な対称性の系の場合には,個々別々に

くりこみ可能性の証明が必要です。

この,すぐ後に議論する予定のゲージ理論のくりこみの

問題も基本的なBRS対称性が非線形であり,この範疇の

問題の1つです。

さて,ある対称性を破る項が次元3以下,(d次元時空なら

(d-1)以下)の場合,これをソフト(soft)な破れ項と呼びます。

次の定理は,対称性を破るソフトな項を系に付け加えた場合

への命題3の拡張として,Symanzikが初めて与えたものです。

※[定理]:「命題3の仮定を満たす系に,その対称性を破る次元

がd(≦3)のソフトな項を加えたとき,d以下の次元の対称性を

破る項の全てをLagrangianに加えれば,くりこみ可能である。」

[証明]:Lagrangianにおける対称な項は,皆,指標δ≦0を

持っているはずです。

一方,対称性を破る項は,仮定からd以下の次元ですから,

その指標δはδ=dim(γ)-4≦(d-4)を満たします。

対称性を破る相殺項は,対称性を破る項を少なくとも

1つの頂点に含むグラフ:γの発散から要求されます。

そのようなグラフγ内の相互作用頂点の指標の総和:

Σniδiは,(d-4)以下です:

それ故,命題1より要求される相殺項の指標は(d-4)

以下に限られます。故に,その次元は,dim(γ)=δ+4

なのでd以下のものに限られます。[証明終わり]

この定理は,例えば理論の赤外発散を正則化する技巧

としてBosonの質量項を手で付け加えるなどというとき,

たとえ,それが系の対称性を破る場合でも,次元3以上の

相互作用項は,対称なものから変更する必要がないこと

を保証しており,有用なものです。

もっとも,この定理で述べているのは無限大の相殺項に

関する話であって,有限部分に関していえば,もちろん,

次元がdを越える項にも対称性を破る効果が現われる

ことに注意あうる必要があります。

  • 7.4 ゲージ理論の乗法的くりこみ

前節の乗法的くりこみの一般論により,特に命題2

によって,Lagrangianとして次元が4以下のあらゆる

相互作用項を用意しておけば,系は一般にくりこみ

可能であることが,わかりました。

したがって,そのBoson場としてベクトル場が入って

きても,その伝播関数が運動量kの大きいとき,k-2

挙動するタイプのものであれば,くりこみ可能性に

関して特に問題があるわけではありません。

しかしながら,べクトル場を含む場合,そのような

一般的な系では,物理的な意味がないです。というのは

第5章で述べたように,ベクトル場は負計量のモードを

含んでいて,これが物理的な確率解釈を壊すからです。.

そのような負計量モードが,物理的空間には有限な

確率で出てこないように制御するためには,系はゲージ

不変性,または,量子系でより正確に言えばBRS不変性

を持たねばなりません。このゲージ不変性のために,系

のLagrangianは,次元が4以下の全ての勝手な項を持つ

ことはできません。

例えば,ゲージ場の質量項:(1/2)m2μaμは存在

しないし,(A)3項の係数g(結合定数)と,(A)4項の係数

2は独立ではありません。すなわち,相殺項として用意

できる項は,かなり制限されています。

このような制限された相殺項だけで,現われる発散の

全てを実際に除去できるのか?という問題がゲージ理論

における(乗法的)くりこみ可能性のっ問題なのです。

この点は対称性を持つ系では常に存在する問題ですが,

先の命題3のところで見たようにゲージ系の場合,BRS

対称性が非線形であるため,これは自明ではありません。

これに対する肯定的回答(くりこみ可能であること

の証明)を与えるのが本節(§7-4)の目的です。

 

途中で短かいですが,続き全部を書くと長くなり過ぎる

し,キリもいいので,今回はここで一旦終わります。

(参考文献):九後汰一郎著「ゲ゙―ジ゙場の量子論Ⅱ」

(培風館)

|

« くりこみ理論(次元正則化)(8) | トップページ | くりこみ理論(次元正則化)(10) »

114 . 場理論・QED」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« くりこみ理論(次元正則化)(8) | トップページ | くりこみ理論(次元正則化)(10) »