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2020年5月30日 (土)

くりこみ理論(次元正則化)(10の2)補遺

「くりこみ理論(次元正則化)(10)」で注釈

を,いくつか付加していたら,またもや長く

なり過ぎになったので3つ目の注釈40-3を

(10)の補遺として分けました。

以下本文です。

※(注10-3):記事を書いているうち,急に過去

の知見の記憶が気になり,自信がないままで

安易には先に進めない,と感じたので,ここで

有効作用の意味などについて,おさらいをする

ことします。

(※このブログ自体が自己満足のための思考体験

の私的回顧録のつもりですから,まあ,70歳で海馬

の衰えもあって,ときにはこういう脱線もします。)

 

そもそも,Γという記号は,作用ではなく頂点関数

に割り当てられるのが慣例なのに,何故,それを有効

作用という作用;Sに関連する記号として用いるのか?

などの疑問を,過去記事,特に最近も.これについて

書いたばかりという記憶はあるけれど,既に忘れて,

はっきりしなくなった「くりこみ理論要約(2)」から

抜粋して再掲載します。

(以下再掲載):「有効作用と有効ポテンシャル」

 簡単のため,スカラー場φのみの系で考えます。

 まず,Green関数の生成汎関数は,

Z[J]=<0|Texp(iJ・φ)]|0>

=<exp[i∫dx{int(φ)+J・φ}]>0

/<exp[i∫d4{int(φ)}>0

=N∫φexp[i{S[φ]+Jφ}]と表現される。

ということから出発します。

(※J(x)はφに対応する外場です。)

このとき,Z[J]=exp{iW[J]}によって別の

Jの汎関数:W[]を定義します。

ここで,を,properな連結グラフ(固有連結

グラフ:つまり,1本の内線や外線ではこれ以上

分離不可能な個々のFeynmanグラフ)の全体,

とすると,明らかに,Z[J]=expと表わせる

ので,iW[J]は連結固有Green関数の生成

汎関数ということになります。

 一方,W[]=S[φ]+J・φと表わされて

いますが.具体的には,J・φ

∫d4xΣiiφi(x)であり,S[φ]は,作用積分

の形になっています。

つまり,S[φ]=∫d4(φ(x),∂φ(x))です。

ここで,φの汎関数である有効作用;Γ[φ]という

量を,このW[J]から,汎関数のLegebdre

(ルジャンドル)変換:Γ[Φ]=W[J]-Jφに

よって定義します。。

ところで,δZ/δi=(iδW/δi)

=i<0|φi(x)Texp(iJ*φ)]|0> より,

φ~i(x)=(δW/δJi)

<0|φi(x)Texp(iJ・φ)]|0>/Zと

おくと,φ~i(x)=(δW/δi)なる量は,

(x)という外場が存在するときの,場

φi(x)の期待値を意味する,ことがわかります。

そこで,Γ[φ]をJi(x)を通じたφの関数でなく,

上記のφの期待値:φ~i(x)の関数,つまり,

Γ[φ~]の形であると考えると,

i(x)=δΓ[φ~]/δφ~i(x)です。

(※何故なら.WはJの関数と見ると,Wのφ~i

よる微分は,δW/δφ~i=Σk(δJk/δφ~i)

(δW/δJk)=Σk (δJ/δφ~i)φ~kで,一方,

δ(Jφ)/δφ~i=(δJk/δφ~i)φ~k+Jなので,

δΓ/δφiδW/δφ~i-δ(Jφ)/δφ~i=-Ji

となるからです。)

有効作用:Γ[φ~]が重要な理由の1つは,これ

が実は1PI(1粒子既約な)頂点関数:Γ(n)の生成

汎関数になっている点です。

つまり,Γ[φ~]=Σn=0(1/n!)∫d41..d4n

φ~i1(x1)..φ~in(xn(n)i1..in(x1,..xn)

となっている点です。

ここで,W[]に効くグラフで伝播関数の線

を1本切ってグラフが2つの部分に分離できる

とき,その線を関節線と呼びます。

伝播関数の線が外線のそれであれば,常に関節線

ですが,外線以外に関節線を持たないグラフを1PI

(1粒子既約な)グラフ,内線にも関節線があるそれ

を1粒子可約なグラフと呼んだのでした。

結局,Γ[φ~]は,量子効果であるloopグラフを除く

単純なTreeレベルでは,hcをPlanck定数としたとき

O(hc)を除く近似で,古典的作用積分:S[φ~]

=∫d4(φ~,∂φ~)に一致します。

この有効作用の物理歴意味をさらによく理解すべく

より特殊な場合を考えます。

外場Jと期待値φ~が共に時間x0=tに依存しない

場合を考えると,この場合時間並進不変性があるので

W[]やΓ[φ~]の∫d4xという表現から,無限大

の時間因子:T=∫dx0がをくくり出して除去

できます。すなわち,W[J(x)=J(x)]

=-w[J()]∫dx0Γ[φ~(x)=φ~(x)]

=-E[φ~()]∫dx0 です。 

さらに,Jとφ~が時空座標xに完全に依存しない

定数の場合.W[J(x)=J]=-w[J]∫d4x,

Γ[φ~(x)=φ~]=-V[φ~]∫d4x です。

最後の,V[φ~]は,φ~の関数であり,これを

「有効ポテンシャル」と呼びます。

また,3次元空間のの関数:φ~()の汎関数:

E[φ~()]には決まった呼称がなかったので,

V[φ~]にならって「有効エネルギー」と呼びます。

Jとφ~がt=x0に依存しないときを考えると,

このとき,Z[J]=exp{iW[J]}=exp{-iw[J]T}

=<0| exp{-i[J]T}|0> です。

ただし,H[J]=-∫d3J()φ~()で,

このHは,エネルギーを意味するHamiltonianです。

つまり,期待値φ~の関数としては,

=∫d3{π~φ~-(φ~,∂φ~)}

=-∫d3(φ~,∂φ~)=-Lです。

(※LはLagrangianで,はLagrangian密度)

何故なら,φ~がt=x0に依存しないため,共役:

π~=∂L/∂(∂0φ~)=∂0φ~がゼロだからです。

そして,真空:|0>はエネルギーHの最低固有値状態

(基底状態)でしたが,ここでも断熱処理:(-iε)処法

を採用しているとすれば,T=∫dx0=∞ の極限では,

事実上,[J]=-∫d3J()φ~()の

基底状態:|0>のみがexp{-iw[J]T}

=<0| exp{-i[J]T}0>の|0>に効きます。

それ故,T → ∞ではw[J]は[J]の基底状態

のエネルギー固有値です。

つまり,H[J] |0>=w[J] |0>です。

他方,この)固有値問題は,量子力学の変分原理

の問題と同じく,<Ψ|Ψ>=1,<Ψ|φ()|Ψ>

=φ~()の下で,<Ψ||Ψ>を停留値にする

停留解:|Ψ>を求める停留問題と見なすことが

できます。

すなわち,この,H|Ψ>=E|Ψ>の解

が,|Ψ>=|0>,E=w[J]を与えます。

したがって,場の理論で真空を探す問題では,

予め並進不変性を考慮して,E[φ()]の

依存しないφ~の関数である有効ポテンシャル

V[φi~]の停留点を,∂V[φ~]/∂φi~=0 から

求めればいいことになります。

結局,有効ポテンシャル:V[φ~]は,場φi(x)

の期待値がφi~(定数)である条件下での基底状態

のエネルギー密度と解釈され,その最低の固有値

に対応する状態が真空です。 

※※有効作用:Γ[φ~]が1粒子既約な頂点関数

Γ(n)の生成汎関数であったことから従う,有効

ポテンシャル:V[φ~]のもう1つの側面に注目

します。頂点関数:Γ(n)の運動量表示Γ~(n)

運動量保存のδ関数を外して定義します。

つまり,∫d41..d4n

exp{ip11..+ipnn(n)i1/..in(x1,...xn)

=Γ~(n) i1..in( (p1,..pn)(2π)4δ4(p1+..+pn)

と展開されるとします。

そして,Γ[φ]=Σn=0(1/n!)∫d41..d4n

φi1(x1)..φin(xn(n)i1..in(1,..xn)において

φi(x)=φ~i(定数)とし,V[Φ]の定義式,および,

(2π)4δ4(p=0)=∫d4x exp(ipx)|p=0を考慮

して,V[φ~]=-Σn=0(1/n!)φ~i1..φ~in

Γ~(n)i1..in(0...,0)を得ます。すなわち,

有効ポテンシャル:V[φ~]は運動量piが全て

ゼロのときのn点頂点関数の生成関数という意味

を持っています。

W[J]の経路積分表式:

Z[J]=exp(iW[])­­

=N∫φexp[i{S[φ]+Jφ}]を,

Γ[φ~]=W[])­­-Jφ=に代入して,

自然単位から,Planck定数hcを復活させると

Γ[φ~]=(-ihc)ln[∫φexp{(i/hc){S[φ]

(φφ~)}]ですが,

経路積分φの積分変数を,φからφ+φ~へと

変数置換して,-Ji(x)=δΓ/δφi

代入すれば,Γ[φ~]=(-ihc)ln[∫φexp{(i/hc)

{∫d4x([φφ~]-(δΓ/δφ)φ)}]となります。

ここで,[φφ~]をc-数:φ~のまわりで

量子場:φ(x)で展開すると,

[φφ~]=[φ~]+(∂/∂φii

+(1/2)φi|(iDF)-1φ~}ijφjint[φ;φ~]です。

ここに,|(iDF)-1φ~}ijは,|(iDF)-1φ~}ij

=(∂2[φφ~]/∂φi∂φj)|φ=0

=(∂2[φ~]/∂φ~i∂φ~j)で与えられます。

これは,場φの期待値がφ~であるような真空

の上でのFeynman伝播関数の逆数であり,

int[φ;φ~]はφについて3次以上のφ~における

相互作用項です

この[φφ~]の展開をΓ[φ~]の表式に代入

すると,Γ[φ~]=∫d4[φ~]+Γ~[φ~]で,:

Γ~[φ~]=(-ihc)ln∫φexp[(i/hc)

{∫d4x[(1/2)φi|(iDF)-1φ~}ijφjint[φ;φ~]

-(δΓ/δφ)φ}]です。 

これで,うまい具合に有効作用Γ[φ~]から,

古典的作用積分:S[φ~]=∫d4[φ~]が分離

されました。

(以上,有効作用,有効ポテンシャルの説明について

の再掲記事を終了します。)(注10-1終わり※)

 

※(注10-2):引き続き,以下,過去記事;

「ゲージ場の量子論(24)」の第5章§5-6の関連

する部分も再掲載します。

その前に,そもそも,元の素朴なWard-高橋恒等式

とは,2点Green関数と頂点関数の同等性を意味

する式と,理解しています。

単純な恒等式:S(p1)-1-S(p2)-1

=(1-m)-(2-m)=(12)

=-(p2-p1)μγμから,

自由伝播関数:Sと頂点γμに相互作用の着物

を着せて,輻射補正をすると,摂動論的には自己

エネルギーの発散がありますが,くりこんだ伝播

関数と頂点関数をそれぞれS~,Γ~μと書いて

拡張すると,S~(p1)-1-S~(p2)-

1=-(p2-p1)μΓ~μ(p2,p1)となります。

 または,Wardの恒等式:Γ~μ(p~,p)|p~=

=-(∂/∂pμ)S~(p)-1を得るわけです。

2点頂点関数は,伝播関数の逆数の差という意味

を持つことがわかります。

ここからは「ゲージ場の量子論(24)」の再掲載

です。

(再掲開始:※)Ward-高橋恒等式について,

一般にゲージ不変性に限らず,ある対称性が存在

すると,種々のGreen関数,頂点関数等の間に種々

の関係式が成立します。このような関係式を一般

にWard-高橋恒等式,略してWT恒等式と呼びます。

ゲージ不変性に関わるGreen関数についてのWT

恒等式は,全てBRS演算子:Qを用いて,次のように

簡単に与えることができます。

すなわち,Ok(x)を任意の場(または,その多項式)

の演算子として,真空のBRS不変性: Q{0>=0

を用いると,

0=<0|{Q,T(Ok(x1),Ok(x2),..,Om(x))}|0>

=Σk=1n(-)Sk<0|T(Ok(x1),Ok(x2)

,..δ(xk),..Om(x)|0> なる恒等式を得ます。

ただし,S=Σi=1k-1|i|,(|i|はOの統計指数)

1粒子既約な(1PI)頂点関数,または,その生成汎関数

に対するWT恒等式を得るには,次のようにします。

まず,全ての場:ΦIとそのBRS変換;δΦ

対して外場を導入します。すなわち,作用積分:

S[J,K]=∫d4x[Jaμμ+Jiφi+J~

+J~c~+J+Kaμμ

-iKig(T)ijφj+(1/2)Kg(×)]

を考えます。

ここで,場は全てHeisenberg場であり, J~,

c~,KaμはGrassmann奇数,Jaμ,Ji,K

は普通の数(Grassman偶数)です。

物質場については,φがBosonなら,Ki

Grassmann奇数,Jiは普通の数で,φiがFermion

なら,逆です。

BRS変換された量:δΦIは既にBRS不変

なので,{iQ,Dμ}={iQ,cg(T)ijφj}

={iQ,(×)}=0 です。

そこで,0=<0|{iQ, TexpiS[J,K]|0>

=i∫d4x<0|T[Jaμμ

-(-)|i|ig(T)ijφj-(1/2)J~(×)

-iJc~]TexpiS[J,K]|0> が成立します。

(※|i|は(Jiの統計指数)=(φiの統計指数)です。)

摂動論の項目では,外場:Jを与えてGteem関数の

生成汎関数をZ[J]とし,Z[J]=exp(iW[J])に

よって得られる,連結Green関数の生成汎関数:

W[J,K],および,頂点関数に対する生成汎関数:

Γ[Φ,K]を考察しましたが,同様に,

exp(iW[J,K]=<0|TexpiS[J,K]|0>,

Γ[Φ,K]=W[J,K]-JI・ΦI,

ΦI(x)=(δ/δJI(x))W[J,K]

=<0|T{ΦI(x)expiS[J,K]}|0>

/<0|TexpiS[J,K]|0>,によって.

これらを定義します。

ただし,ここではJIは,(Jaμ,Ji,J~,

c~,)の全てを意味します。

一般的記号として,ΦI(x)

=<0|T{ΦI(x)expiS[J,K]}|0>

/<0|TexpiS[J,K]|0>で定義されるΓの

引数のΦは,c-数(期待値)であり,対応する

Heusenberg場:Φ=Aμi:,c~,B

同じ記号で表わしますが.混同しないよう注意

を要します。

上のΓ[Φ,K]=W[J,K]-JI・ΦIの右辺,

および,,以下においてドット(dot)・は,積分記号

∫d4xの省略を意味します。

そうすれば,恒等式:

0=<0|{iQ,TexpiS[J,K]|0>

=i∫d4x<0|T[Jaμμ

-(-)|i|ig(T)ijφj

-(1/2)J~(×)

-iJ~]TexpiS[J,K]|0>は,

[Jaμ({δ/δKμ)+(-){i{l(δ/δKi)

-J~(δ/δK)-Jc~(δ/δJ)}W[J,K]

=0 と書き直せます。

Γ[Φ,K]=W[J,K]-JI・ΦI,のLegendre変換

から.従う,ΦI(x)=(δ/δJI(x))W[J,K]

=<0|T{ΦI(x)expiS[J,K]}|0>

/<0|TexpiS[J,K]|0>,に双対な関係式

(δ/δΦI(x))Γ[Φ,K]=-(-)|I|I(x),

および,(δ/δKI(x))ΓW[Φ,K]

=(δ/δKI(x))Γ[Φ,K]を用いると,先の

恒等式は次のように書き直されます。

すなわち,(δΓ/δAμ)(δΓ/δKμ)

+(δΓ/δφi)(δΓ/δKi)

-(δΓ/δc)(δΓ/δK)

+i(δΓ/δc~)B=0.(11)と書けます。

これが,(1PI)頂点関数の生成汎関数:Γに

対するWT恒等式です。ただし,Grassmann数

による微分は全て左微分です。

ΓのNL場:Bや反ゴースト場:c~への依存性

は特殊で運動方程式:∂μμ+αB=0,

μμ=Dμμc~=0より従う次の恒等式

を満たします。

 なわち.δΓ/δB=∂μμ+αB,(12)

および,/δKμ)+iδΓ/δc~=0.13) です。

(再掲載終了) (注10-3終了※)

 

これでやっと,うっかり消えたWord文書の

原稿の書き直しとアップが終わりホッとして

います。

(参考文献):九後汰一郎著「ゲ゙―ジ゙場の量子論Ⅱ」

(培風館)

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