« くりこみ理論(次元正則化)(12) | トップページ | くりこみ理論(次元正則化)(14) »

2020年5月31日 (日)

くり込み理論(次元正則化)(13)

くりこみ理論(次元正則化)」の続きです。

前回は,大局的ゲージ不変という対称性を

持った系の作用積分Sと,その有効作用Γを

裸の場を変数として構成した裸のS0とΓ0

において変数の裸の場を,くりこんだ場と

くりこみ定数Z,viで表わしたものに置換

する,という操作によって,くりこんだ有効

作用Γが有限になる,という手法で理論が

ゲージ不変性を保持したままの正則化に

よって,くりこみ可能となることの証明を

志向しました。

以下,これまでの手順の要約を記述します。

まず,上記の証明ため,Γ0の変数の裸の量に,

くりこんだ量による表式を代入して,計算

すべきΓを,Γ=Γ(0)+hcΓ(1)+hc2Γ(2)

+...+hcΓ(n)+hc(n+1)Γ(n+1)+...と

摂動展開します。

初項のΓ(0)はΓ(0)=Sにより明らかに有限

なので,以下のΓ(1)(2),..,Γ(n)が全て有限

にできた,という仮定の下で次のΓ(n+1)も有限

になることを示す,という帰納法に頼って証明

する手法を取りました。 

S,Γには有限な寄与が自明なNL場:B

反ゴーストc~を含む項があり.これらを除き

S~.Γ~とすると,満たされるべき基本的なWT

恒等式はΓ~*Γ~=0という式で与えられる

ことがわかりました。

SとS~.ΓとΓ~は,今の証明では本質的に

同じなので同一視してもよく Γ~の代わりに

Γの展開式:Γ=Γ(0)+hcΓ(1)+hc2Γ(2)+..

+hcΓ(n)+hc(n+1)Γ(n+1)+..をΓ~*Γ~

=0に代入して,Γ(n+1)の発散部分:Γdiv(n+1)

を取り出すと,くりこみ方程式:S~*Γdiv(n+1)

=0に帰着することが導かれました。

そして,このくりこみ方程式に対しては,

次の命題が成立することが証明できます。

※[命題]:「大局が的ゲージ不変でFP

ゴースト数がゼロ,次元が4以下の局所項から

成る,ΦI,c,K~I,Kの汎関数:Xが

くりこみ方程式:S~*­X=0.を満たすとする。

このときXは,裸の作用積分:

0=S[Z31/2μ,..,Z~31/2μ

13-3/2,..]で,Zやviをずらせて得られる

変化分ΔS=δZ(ΔS)+δvi(ΔviS)

=δZ[∂S/∂Z] Z=1Vi=0+δvi[∂S/∂vi]Z=1Vi=0

の形で与えられる。」

仮に,この命題が証明されたとすると,Xが

S~*Γdiv(n+1)=0を満たすΓdiv(n+1)である場合,

この発散が適切な相殺項で吸収され,有効作用Γ

がhc(n+1)のオーダーのΓ(n+1)まで有限となり,

帰納法によるくりこみ可能性の証明が完結する

ことになります。

実際の[命題の証明]においては,結局,

くりこみ可能性の証明はS~*X=0の一般解

Xが,X=δZ(ΔS)+δvi(ΔviS)の形で

与えられる,という純粋に代数的な命題の証明

に帰着することがわかりました。

そうして,くりこみ方程式:S~*X=0の解

  Xに関して.次の定理が成立することが

知られています。

※[定理] 「ΦI,c,K~I,KのFPゴースト数

がゼロの局所多項式から成る汎関数Xで,くりこみ

方程式S~*­X=0.を満たすものは,必ず,

X=Fゲージ不変[ΦI+S~*M[ΦI,c,K~I,K]

の形に書ける。

ここで,Fゲージ不変はΦI=(Aμi)のみで

書かれたゲージ不変な関数で,MはFPゴースト

数が(-1)の任意の汎関数である。」

この形で書かれる汎関数Xがくりこみ方程式:

S~*X=0を満たすこと(解の十分条件)の証明

は,S~のBRS不変性,S~*S~=0,および,

Jacobi恒等式から従う,演算:(S~*)のベキ零性:

つまり,∀Xに対しS~*(S~*X)

=-((1/2)X*(S~*S^)=0.から,容易に

証明できました。 

しかし,証明が自明でない,のは,逆の解と

なるための必要性の方です。

この定理は大変有用なものですが,一般的証明

  は,かなり面倒なので,この必要性の詳細証明は,

既存の文献に譲って,ここでの記述は割愛します。

と書いて,前回までの記事は終わりました。

 

さて,ここからは,今回のその続きです。

XがS~*X=0の解となるための必要要性の

一般的証明は,かなり面倒なので割愛する,と述べ

ましたが,今,必要なのはXが,次元4以下の局所

項から成る大局的ゲージ不変な場合で,この場合

に限れば,次のようにして,解の必要性も容易に

証明できます。以下は,この証明手順です。

※[必要性の証明]:話を明確にするために物質場

φiとしては,ゲージ群:Gのある既約表現に属する

スカラー場のみが存在する系の場合を考えます。

(※もっとも,可約表現の場合や,スピノル場が存在

する場合でも本質的には同じように証明可能です。)

系のゲージ不変なLagrangian密度GIが,

GII)=-(1/4)Fμνaμν

+(Dμφi)μφi-μφiφi-(λ/2)(φiφi)2.

(46)で与えられる場合を考察します。

このとき,外場を付加した作用積分:S~は,S~

=∫d4x[GII)+K~I(δΦI)+K(δ)]

(47)という形に書くことができます。

,ただし,δΦI=DI,δ=(g/2)(×)

です。一方,問題のXは,次元が4以下の局所項から成る

FPゴースト数:NFPが0の大局的ゲージ不変な汎関数

である,と仮定されています。

ところで,外場K:~Iは,NFP=-1で次元は2,

外場:Kaは,NFP=-2で次元は2です。

(※何故なら,dim(L)=4ですが,dim­(c)=1,

dim(g)=0なので,dim(δΦI)=dim(DI)

=2であり,dim(δ)=dim{(g/2)(×)}

=2でぁるからです。

また,一般線形ゲージ中の係数fIはNFP=0

  で次元が1の量であることから,BRS変換:δ

に似たG群に属する変換の演算子δ~を導入して

S~と同様,Xが次のように書けるとします。

つまり,X=∫d4x[~(ΦI)+K~I(δ~ΦI)

+K(δ~)],(48)とします。

未知の演算子δ~は,δ~ΦIが,δ~μ

=∂μ-βabcμ

-γgdabcμ,(49-1),および,δ~φi

=-βφ(ig)c(T)ijφj

-γφ(ig)c(dab)ijj(49-2)

の組で与えられ,ゴースト項の変換がδ~

=β(g/2)(×)=β(g/2)fabcc.

(49-3)と書ける一般形で与えられる,とします。

一見,δ~φiには,δaiのような項が

あってもよいように見えますが,系がφi→ -φi,

ai→ -faiなる変換の下での不変性を持つので,

こうした項の存在は許されません。

(※つまりδ~(-φi)=-δiが成り立つ必要

があるので,δaiのような項は存在不可能です。)

ここで,~(ΦI)は,ΦI=(Aμ,φi)のみの次元

が4以下の関数,γdφφは任意の

係数,dabcはTr(T)に比例する対称不変

テンソル,(dab)ijは,φiの表現行列:(T)ij

abcなどのゲージ群Gの不変テンソルで構成

される(存在すれば)添字が(abij)の不変テンソル

です。

そしてXがくりこみ方程式:S~*X=0を

満たすべき,という要請は,先に(49)で場に対する

変換性を具体的に示したBRS変換に類似した

変換::δ~を,(δX/δK~I)(δ/δΦI)

+(δX/δK)(δ/δc)

=(δ~ΦI)(δ/δΦI)+(δ~)(δ/δc)

δ~B.(50)を満たす演算子と見れば,

XとS~がδX+δ~S~=0,なる式を

満たすべき,ことを意味するとわかります。

※(注13-1):何故なら「くりこみ理論11)」での

任意のF,Gに対するF*Gの定義:(31):

F*G=(δF/δΦI)(δG/δK~I)

+(δF/δc)(δG/δK)

+(-)|F|{(δF/δK~I)(δG/δΦI)

+(δF/δK)(δG/δc)}により,

S~*X=,(δS~/δΦI)(δX/δK~I)

+(δS~/δc)(δX/δKc)

+(-)|S~|{(δS~/δK~I)(δX/δΦI)

+(δS/δK)(δX/δc)}です。

ところが,Xはゴースト数:NFPがゼロ

なので,Grassman偶であり,S~もそうです。

さらに,ΦIもGrassmann偶です。

しかし,cはGrassman奇で外場K~I

FP=-1なのでGrassman奇です。

最後に外場Kは,NFP=-2で,Grassman

  偶です。そして,Grassman数の微分は,右微分

か左微分かの違いがあるため,どちらかに統一

する必要がありますが,偶を奇で微分したり,

奇を偶で微分すると奇で,それ以外の量間で

の微分は偶です。そして奇と奇が反可換で

ある以外は,全て可換です。

それ故,(δS~/δφI)(δX/δK~I)

+(δS~/δc)(δX/δK)

=(δX/K~I)(δS~/δK~I)

+(δX/δK)(δS~/δKca)

=(δ~ΦI)(δS~/δΦI)

+(δ~)(δS~/δc)=δ~S~

が,Grassman数に対する式として

成立します。

また,(-)|S~|{(δS~/δK~I)(δX/δΦI)

+(δS~/δK)(δX/δc)}

=(δΦI)(δX/δΦI)+(δ)(δX/δc)

=δX となりまず。

以上から,S*X=δ~S~+δXであり,

S*X=0は,δ~S~+δX=0と同値

であることがわかりました。

(注13-1終わり※)

このδX+δ~S~=0に,S~の表式:

S~=∫d4x[GII)+K~I(δΦI)

+K(δ)],(47),および,Xの表式:

X=∫d4x[~(ΦI)+K~I(δ~ΦI)

+K(δ~)],(48)を代入すれば,

次の方程式を得ます。

すなわち,δ~(ΦI)-K~Iδ(δ~ΦI)

+Kcaδ(δ~)+δ~GII)

-K~Iδ~(δΦI)+Kcaδ~(δ)

=0.(51)です。

この方程式は,任意のK~I,Kcaについて

成立しなければならない恒等式なので,

δ~(ΦI)+δ~GII)=0,(52)

δδ~δ~δ={δ,δ~}=0.(53)

なる2つの独立な等式が従います。

(53)は,BRS変換δと(47)で定義された

BRSの類似変換δ~が反可換であるという

要請ですが,これはcの上では(49-3)の

δ~=β(g/2)(×)と.δ

=(g/2)(×)から,δ~=βδとなり,

δδ~δ~δ=βcδ2=0となるため,

自動的に満足されます。

しかし,Aμの上では,δ~μ=∂μ

-βabcμ-γgdabcμ,

(49-1)であり,δμ=Dμ=∂μ

-fabcμなので,

δδ~μδ(∂μ-βabcμ

-γgdabcμ)

=(g/2)∂μ(c×c)-βabc{(Dμ)c

+(g/2)μ(c×c)}-γgdabc{Dμ}c

+(g/2)Aμ(×)}であり,

一方では,δ~δμ=δ~(Dμ)

=βc(g/2)Dμ(c×c)a ですから,反可換で

要求される,δδ~μδ~δμ=0.

を満たすには,β=βc,0,かつ,γ=0.(54)

が必要十分です。

さらに,スカラー場:φlの上で成立するため

には,βφ=β(55)の条件の他,不変テンソル:

(dab)ijが,(T)ij(dbd)jk=(T)ij(dad)jk

=fabc(dcd)jk.(56)を満たすことが必要

となります。

※(注13-2):何故なら,(49-2)から,

δ~φi=-βφ(ig)c(T)ijφj

-γφ(ig)c(dab)ijj であり,

一方,δφi=-(ig)c(T)ijφjです。

そして,δ,δ~は,ゴースト場:cとは

反可換である,と考えられるので,

δ(cφi)=(δ-cδφj,

δ~(cφi)=(δ~-cδ~φj

です。それ故,δδ~φl

=-βφ(ig)(δ)(T)ijφj

+βφ(ig)(T)ij(δφj)

-γφ(ig)(δ)(dab)ijj

=(-ig2/2)βφ(×c)(T)ijφj

-(ig)2βφ(T)ij(T)jkφk

-(ig2/2)γφ(c×c)(dab)ijj

他方,δ~δφi

δ~|(-ig)c(T)ijφj}

=-ig{(δ~)(T)ijφj-c(T)ij

×(δ~φj)

=-(ig2/2)βc(c×c)(T)ijφj

-(ig)2βφ(T)ij(T)jkφk

-γφ(ig)2(T)ij(dbd)jkk)

ですから,δ~δφiδδ~φi=0

となるには,cがFPゴーストで,スピンゼロ

なのにFermionという,奇妙な反交換する場

で,c=-cであることを考慮

すると,δ~δφiδδ~φi

=(-ig2/2)(βc+βφ)(×c)(T)ijφj

-βφ(ig)2[T.T]ijφj

-(ig2/2)γφ(c×c)(dab)ijj

-(ig)2γφ((T)ij(dbd)jkk

と書けます。

ところが.[T,T]=ifabccであり,

定義により,(×)=fabcなので,

[T,T]ijφj

=ifabc(T)ijφj

=i(×)(Ta)ijφjです。

故に,β=βφであれば,右辺の第1項と

第2項は相殺して消えます。

第3項については,

γφ(-ig2/2]fabc(dad)ikj

-γφ(ig)2(T)ij(dcd)jkk}

=-(γφ2)[(i/2)fabc(dcd)ik

-(T)ij(dbd)jk](ck)=0

であればいいのですが,(ck)

がfabcと同じくa,bの交換について

反対称なのでこれらは独立でなく恒等式

の未定係数法を使うため,1つの独立な組

(a,b)の係数を取ってゼロとして,

{(i/2)fabc(dcd)ik-(T)ij(dbd)jk]

-{(i/2)fbac(dcd)ik-(T)ij(dad)jk]

=0 が得られます。

結局,(T)ij(dbd)jk -(T)ij(dad)jk

=,ifabc(dcd)jk となるべきであること

がわかりました。

しかし,この結論は,

(T)ij(dbd)jk=(T)ij(dad)jk

=fabc(dcd)jk.(56)を,満たす必要がある,

とされていた,参考文献の内容と違います。(?)

(注13-2終わり※)

いずれにしろ,(dab)ijは,さらに分解されて

(dab)ik=(T)ij(d)jk.(57)のようにできる

ことが示唆されています。(※ここで,同じ記号

dを使いましたが(57)両辺のdは別定義です。)

こうして,得られた(56),(57)および,βφ=β

=β,かつγ=0が,δδ~が反可換で

あることから得られたδ~の表現係数に関する

全情報です。

次に,δ~(ΦI)+δ~GII)=0,(52)を

  解いて.~(ΦI)の形を決める必要があります。

まず,(49)で具体的に与えたδ~の変換は,元

のBRS変換:δに係数;β=β=βφで比例

する部分を抜き出して.その他との和に分割すると,

δ~=βδ+(γ-β)(∂μ)(δ/δAμ)

-γφ{igc(T)ij(d)jk}(δ/δφi)

(58)となります。

そして,これの右辺第2項,第3項の微分演算

  は(∂μ)(δ/δAμ)

=[(Dμ)(δ/δAμ),Aν(δ/δAν)]

=[δ,Aμ(δ/δAμ)].(59-1)

{igc(T)ij(d)jk}(δ/δφi)

=[igc(T)ijφj(δ/δφi).

(d)jkk(δ/δφi)]

=[δ,(d)ijj(δ/δφi)].(59-2)

のように,BRS変換:δと何らかの交換関係

の形に書けます。

それ故,δ~=βδ

  +[δ,(γ-β)Aμ(δ/δAμ)

-γφ(d)ijj(δ/δφi)] となります。

したがって,δ~(ΦI)+δ~GII)

=0は,δGII)=0なので,δ~(ΦI)

δ{(β-γ)Aμ(∂GI/∂Aμ)

+γφ(d)ijj}(∂GI/∂φi)}.(60)

を意味します。

それ故,明らかに。右辺の括弧:{ }の中は(52)

を満たす~(ΦI)を与える1つの特殊解です。

(52)に対する~(ΦI)の一般解を得るには,

斉次(同次)方程式δ~(ΦI)=0の一般解を得る

必要がありますが.δが,ΦI=(Aμ,φi)の上

ではゲージ変換に過ぎないので,同次方程式の

一般解はゲージ不変な一般関数です。

結局,δ~(ΦI)+δ~GII)=0(52)を

満たす~(ΦI)の一般解は,~(ΦI)

=fゲージ不変I)+β-γ)Aμ(∂GI/∂Aμ)

+γφ(d)jk}(∂GI/∂φi).(61)

で与えられる,ことがわかります。

ところで,~(ΦI)には次元が4以下である,

という条件があったのでfゲージ不変I)の一般形

は,fゲージ不変I)=α{(-1/4)Fμνaμν}

+αφ{(Dμφi)μφi}-α2φiφi)

-αλ{(λ/2)(φiφi)2}.(62)で与えられます。

結局,くりこみ方程式:S~*X=0の解Xは,

­X=∫d4x[~(ΦI)+K~I(δ~ΦI)

+K(δ~)](48)である,としていたので,

X=∫d4x[fゲージ不変I)

+β{K~I(δΦI)+Ka(δ)}

+(β-γ){Aμ(∂GI/∂Aμ)

-K~μ(∂μ)}

+γφ(d)ijj{∂(GI+K~iδφi)/∂φj}].

(63) と書けることがわかりました。

 

途中ですが長くなったので,今回はここで

終わります。

(参考文献):九後汰一郎著「ゲージ場の量子論Ⅱ」

(培風館)

 

くりこみ理論(次元正則化)(13)

「くりこみ理論(次元正則化)」の続きです。

前回は,大局的ゲージ不変という対称性を

持った系の作用積分Sと,その有効作用Γを

裸の場を変数として構成した裸のS0とΓ0

において変数の裸の場を,くりこんだ場と

くりこみ定数Z,viで表わしたものに置換

する,という操作によって,くりこんだ有効

作用Γが有限になる,という手法で理論が

ゲージ不変性を保持したままの正則化に

よって,くりこみ可能となることの証明を

志向しました。

以下,これまでの手順の要約を記述します。

まず,上記の証明ため,Γ0の変数の裸の量に,

くりこんだ量による表式を代入して,計算

すべきΓを,Γ=Γ(0)+hcΓ(1)+hc2Γ(2)

+...+hcΓ(n)+hc(n+1)Γ(n+1)+...と

摂動展開します。

初項のΓ(0)はΓ(0)=Sにより明らかに有限

なので,以下のΓ(1)(2),..,Γ(n)が全て有限

にできた,という仮定の下で次のΓ(n+1)も有限

になることを示す,という帰納法に頼って証明

する手法を取りました。 

S,Γには有限な寄与が自明なNL場:B

反ゴーストc~を含む項があり.これらを除き

S~.Γ~とすると,満たされるべき基本的なWT

恒等式はΓ~*Γ~=0という式で与えられる

ことがわかりました。

SとS~.ΓとΓ~は,今の証明では本質的に

同じなので同一視してもよく Γ~の代わりに

Γの展開式:Γ=Γ(0)+hcΓ(1)+hc2Γ(2)+..

+hcΓ(n)+hc(n+1)Γ(n+1)+..をΓ~*Γ~

=0に代入して,Γ(n+1)の発散部分:Γdiv(n*1)

を取り出すと,くりこみ方程式:S~*Γdiv(n*1)

=0に帰着することが導かれました。

そして,このくりこみ方程式に対しては,

次の命題が成立することが証明できます。

※[命題]:「大局が的ゲージ不変でFP

ゴースト数がゼロ,次元が4以下の局所項から

成る,ΦI,c,K~I,Kの汎関数:Xが

くりこみ方程式:S~*­X=0.を満たすとする。

このときXは,裸の作用積分:

0=S[Z31/2μ,..,Z~31/2μ

13-3/2,..]で,Zやviをずらせて得られる

変化分ΔS=δZ(ΔS)+δvi(ΔviS)

=δZ[∂S/∂Z] Z=1Vi=0+δvi[∂S/∂vi]Z=1Vi=0

の形で与えられる。」

仮に,この命題が証明されたとすると,Xが

S~*Γdiv(n+1)=0を満たすΓdiv(n+1)である場合,

この発散が適切な相殺項で吸収され,有効作用Γ

がhc(n+1)のオーダーのΓ(n+1)まで有限となり,

帰納法によるくりこみ可能性の証明が完結する

ことになります。

実際の[命題の証明]においては,結局,

くりこみ可能性の証明はS~*X=0の一般解

Xが,X=δZ(ΔS)+δvi(ΔviS)の形で

与えられる,という純粋に代数的な命題の証明

に帰着することがわかりました。

そうして,くりこみ方程式:S~*X=0の解

  Xに関して.次の定理が成立することが

知られています。

※[定理] 「ΦI,c,K~I,KのFPゴースト数

がゼロの局所多項式から成る汎関数Xで,くりこみ

方程式S~*­X=0.を満たすものは,必ず,

X=Fゲージ不変[ΦI+S~*M[ΦI,c,K~I,K]

の形に書ける。

ここで,Fゲージ不変はΦI=(Aμi)のみで

書かれたゲージ不変な関数で,MはFPゴースト

数が(-1)の任意の汎関数である。」

この形で書かれる汎関数Xがくりこみ方程式:

S~*X=0を満たすこと(解の十分条件)の証明

は,S~のBRS不変性,S~*S~=0,および,

Jacobi恒等式から従う,演算:(S~*)のベキ零性:

つまり,∀Xに対しS~*(S~*X)

=-((1/2)X*(S~*S^)=0.から,容易に

証明できました。 

しかし,証明が自明でない,のは,逆の解と

なるための必要性の方です。

この定理は大変有用なものですが,一般的証明

  は,かなり面倒なので,この必要性の詳細証明は,

既存の文献に譲って,ここでの記述は割愛します。

と書いて,前回までの記事は終わりました。

 

さて,ここからは,今回のその続きです。

XがS~*X=0の解となるための必要要性の

一般的証明は,かなり面倒なので割愛する,と述べ

ましたが,今,必要なのはXが,次元4以下の局所

項から成る大局的ゲージ不変な場合で,この場合

に限れば,次のようにして,解の必要性も容易に

証明できます。以下は,この証明手順です。

※[必要性の証明]:話を明確にするために物質場

φiとしては,ゲージ群:Gのある既約表現に属する

スカラー場のみが存在する系の場合を考えます。

(※もっとも,可約表現の場合や,スピノル場が存在

する場合でも本質的には同じように証明可能です。)

系のゲージ不変なLagrangian密度GIが,

GII)=-(1/4)Fμνaμν

+(Dμφi)μφi-μφiφi-(λ/2)(φiφi)2.

(46)で与えられる場合を考察します。

このとき,外場を付加した作用積分:S~は,S~

=∫d4x[GII)+K~I(δΦI)+K(δ)]

(47)という形に書くことができます。

,ただし,δΦI=DI,δ=(g/2)(×)

です。一方,問題のXは,次元が4以下の局所項から成る

FPゴースト数:NFPが0の大局的ゲージ不変な汎関数

である,と仮定されています。

ところで,外場K:~Iは,NFP=-1で次元は2,

外場:Kaは,NFP=-2で次元は2です。

(※何故なら,dim(L)=4ですが,dim­(c)=1,

dim(g)=0なので,dim(δΦI)=dim(DI)

=2であり,dim(δ)=dim{(g/2)(×)}

=2でぁるからです。

また,一般線形ゲージ中の係数fIはNFP=0

  で次元が1の量であることから,BRS変換:δ

に似たG群に属する変換の演算子δ~を導入して

S~と同様,Xが次のように書けるとします。

つまり,X=∫d4x[~(ΦI)+K~I(δ~ΦI)

+K(δ~)],(48)とします。

未知の演算子δ~は,δ~ΦIが,δ~μ

=∂μ-βabcμ

-γgdabcμ,(49-1),および,δ~φi

=-βφ(ig)c(T)ijφj

-γφ(ig)c(dab)ijj(49-2)

の組で与えられ,ゴースト項の変換がδ~

=β(g/2)(×)=β(g/2)fabcc.

(49-3)と書ける一般形で与えられる,とします。

一見,δ~φiには,δaiのような項が

あってもよいように見えますが,系がφi→ -φi,

ai→ -faiなる変換の下での不変性を持つので,

こうした項の存在は許されません。

(※つまりδ~(-φi)=-δiが成り立つ必要

があるので,δaiのような項は存在不可能です。)

ここで,~(ΦI)は,ΦI=(Aμ,φi)のみの次元

が4以下の関数,γdφφは任意の

係数,dabcはTr(T)に比例する対称不変

テンソル,(dab)ijは,φiの表現行列:(T)ij

abcなどのゲージ群Gの不変テンソルで構成

される(存在すれば)添字が(abij)の不変テンソル

です。

そしてXがくりこみ方程式:S~*X=0を

満たすべき,という要請は,先に(49)で場に対する

変換性を具体的に示したBRS変換に類似した

変換::δ~を,(δX/δK~I)(δ/δΦI)

+(δX/δK)(δ/δc)

=(δ~ΦI)(δ/δΦI)+(δ~)(δ/δc)

δ~B.(50)を満たす演算子と見れば,

XとS~がδX+δ~S~=0,なる式を

満たすべき,ことを意味するとわかります。

※(注13-1):何故なら「くりこみ理論11)」での

任意のF,Gに対するF*Gの定義:(31):

F*G=(δF/δΦI)(δG/δK~I)

+(δF/δc)(δG/δK)

+(-)|F|{(δF/δK~I)(δG/δΦI)

+(δF/δK)(δG/δc)}により,

S~*X=,(δS~/δΦI)(δX/δK~I)

+(δS~/δc)(δX/δKc)

+(-)|S~|{(δS~/δK~I)(δX/δΦI)

+(δS/δK)(δX/δc)}です。

ところが,Xはゴースト数:NFPがゼロ

なので,Grassman偶であり,S~もそうです。

さらに,ΦIもGrassmann偶です。

しかし,cはGrassman奇で外場K~I

FP=-1なのでGrassman奇です。

最後に外場Kは,NFP=-2で,Grassman

  偶です。そして,Grassman数の微分は,右微分

か左微分かの違いがあるため,どちらかに統一

する必要がありますが,偶を奇で微分したり,

奇を偶で微分すると奇で,それ以外の量間で

の微分は偶です。そして奇と奇が反可換で

ある以外は,全て可換です。

それ故,(δS~/δφI)(δX/δK~I)

+(δS~/δc)(δX/δK)

=(δX/K~I)(δS~/δK~I)

+(δX/δK)(δS~/δKca)

=(δ~ΦI)(δS~/δΦI)

+(δ~)(δS~/δc)=δ~S~

が,Grassman数に対する式として

成立します。

また,(-)|S~|{(δS~/δK~I)(δX/δΦI)

+(δS~/δK)(δX/δc)}

=(δΦI)(δX/δΦI)+(δ)(δX/δc)

=δX となりまず。

以上から,S*X=δ~S~+δXであり,

S*X=0は,δ~S~+δX=0と同値

であることがわかりました。

(注13-1終わり※)

このδX+δ~S~=0に,S~の表式:

S~=∫d4x[GII)+K~I(δΦI)

+K(δ)],(47),および,Xの表式:

X=∫d4x[~(ΦI)+K~I(δ~ΦI)

+K(δ~)],(48)を代入すれば,

次の方程式を得ます。

すなわち,δ~(ΦI)-K~Iδ(δ~ΦI)

+Kcaδ(δ~)+δ~GII)

-K~Iδ~(δΦI)+Kcaδ~(δ)

=0.(51)です。

この方程式は,任意のK~I,Kcaについて

成立しなければならない恒等式なので,

δ~(ΦI)+δ~GII)=0,(52)

δδ~δ~δ={δ,δ~}=0.(53)

なる2つの独立な等式が従います。

(53)は,BRS変換δと(47)で定義された

BRSの類似変換δ~が反可換であるという

要請ですが,これはcの上では(49-3)の

δ~=β(g/2)(×)と.δ

=(g/2)(×)から,δ~=βδとなり,

δδ~δ~δ=βcδ2=0となるため,

自動的に満足されます。

しかし,Aμの上では,δ~μ=∂μ

-βabcμ-γgdabcμ,

(49-1)であり,δμ=Dμ=∂μ

-fabcμなので,

δδ~μδ(∂μ-βabcμ

-γgdabcμ)

=(g/2)∂μ(c×c)-βabc{(Dμ)c

+(g/2)μ(c×c)}-γgdabc{Dμ}c

+(g/2)Aμ(×)}であり,

一方では,δ~δμ=δ~(Dμ)

=βc(g/2)Dμ(c×c)a ですから,反可換で

要求される,δδ~μδ~δμ=0.

を満たすには,β=βc,0,かつ,γ=0.(54)

が必要十分です。

さらに,スカラー場:φlの上で成立するため

には,βφ=β(55)の条件の他,不変テンソル:

(dab)ijが,(T)ij(dbd)jk=(T)ij(dad)jk

=fabc(dcd)jk.(56)を満たすことが必要

となります。

※(注13-2):何故なら,(49-2)から,

δ~φi=-βφ(ig)c(T)ijφj

-γφ(ig)c(dab)ijj であり,

一方,δφi=-(ig)c(T)ijφjです。

そして,δ,δ~は,ゴースト場:cとは

反可換である,と考えられるので,

δ(cφi)=(δ-cδφj,

δ~(cφi)=(δ~-cδ~φj

です。それ故,δδ~φl

=-βφ(ig)(δ)(T)ijφj

+βφ(ig)(T)ij(δφj)

-γφ(ig)(δ)(dab)ijj

=(-ig2/2)βφ(×c)(T)ijφj

-(ig)2βφ(T)ij(T)jkφk

-(ig2/2)γφ(c×c)(dab)ijj

他方,δ~δφi

δ~|(-ig)c(T)ijφj}

=-ig{(δ~)(T)ijφj-c(T)ij

×(δ~φj)

=-(ig2/2)βc(c×c)(T)ijφj

-(ig)2βφ(T)ij(T)jkφk

-γφ(ig)2(T)ij(dbd)jkk)

ですから,δ~δφiδδ~φi=0

となるには,cがFPゴーストで,スピンゼロ

なのにFermionという,奇妙な反交換する場

で,c=-cであることを考慮

すると,δ~δφiδδ~φi

=(-ig2/2)(βc+βφ)(×c)(T)ijφj

-βφ(ig)2[T.T]ijφj

-(ig2/2)γφ(c×c)(dab)ijj

-(ig)2γφ((T)ij(dbd)jkk

と書けます。

ところが.[T,T]=ifabccであり,

定義により,(×)=fabcなので,

[T,T]ijφj

=ifabc(T)ijφj

=i(×)(Ta)ijφjです。

故に,β=βφであれば,右辺の第1項と

第2項は相殺して消えます。

第3項については,

γφ(-ig2/2]fabc(dad)ikj

-γφ(ig)2(T)ij(dcd)jkk}

=-(γφ2)[(i/2)fabc(dcd)ik

-(T)ij(dbd)jk](ck)=0

であればいいのですが,(ck)

がfabcと同じくa,bの交換について

反対称なのでこれらは独立でなく恒等式

の未定係数法を使うため,1つの独立な組

(a,b)の係数を取ってゼロとして,

{(i/2)fabc(dcd)ik-(T)ij(dbd)jk]

-{(i/2)fbac(dcd)ik-(T)ij(dad)jk]

=0 が得られます。

結局,(T)ij(dbd)jk -(T)ij(dad)jk

=,ifabc(dcd)jk となるべきであること

がわかりました。

しかし,この結論は,

(T)ij(dbd)jk=(T)ij(dad)jk

=fabc(dcd)jk.(56)を,満たす必要がある,

とされていた,参考文献の内容と違います。(?)

(注13-2終わり※)

いずれにしろ,(dab)ijは,さらに分解されて

(dab)ik=(T)ij(d)jk.(57)のようにできる

ことが示唆されています。(※ここで,同じ記号

dを使いましたが(57)両辺のdは別定義です。)

こうして,得られた(56),(57)および,βφ=β

=β,かつγ=0が,δδ~が反可換で

あることから得られたδ~の表現係数に関する

全情報です。

次に,δ~(ΦI)+δ~GII)=0,(52)を

  解いて.~(ΦI)の形を決める必要があります。

まず,(49)で具体的に与えたδ~の変換は,元

のBRS変換:δに係数;β=β=βφで比例

する部分を抜き出して.その他との和に分割すると,

δ~=βδ+(γ-β)(∂μ)(δ/δAμ)

-γφ{igc(T)ij(d)jk}(δ/δφi)

(58)となります。

そして,これの右辺第2項,第3項の微分演算

  は(∂μ)(δ/δAμ)

=[(Dμ)(δ/δAμ),Aν(δ/δAν)]

=[δ,Aμ(δ/δAμ)].(59-1)

{igc(T)ij(d)jk}(δ/δφi)

=[igc(T)ijφj(δ/δφi).

(d)jkk(δ/δφi)]

=[δ,(d)ijj(δ/δφi)].(59-2)

のように,BRS変換:δと何らかの交換関係

の形に書けます。

それ故,δ~=βδ

  +[δ,(γ-β)Aμ(δ/δAμ)

-γφ(d)ijj(δ/δφi)] となります。

したがって,δ~(ΦI)+δ~GII)

=0は,δGII)=0なので,δ~(ΦI)

δ{(β-γ)Aμ(∂GI/∂Aμ)

+γφ(d)ijj}(∂GI/∂φi)}.(60)

を意味します。

それ故,明らかに。右辺の括弧:{ }の中は(52)

を満たす~(ΦI)を与える1つの特殊解です。

(52)に対する~(ΦI)の一般解を得るには,

斉次(同次)方程式δ~(ΦI)=0の一般解を得る

必要がありますが.δが,ΦI=(Aμ,φi)の上

ではゲージ変換に過ぎないので,同次方程式の

一般解はゲージ不変な一般関数です。

結局,δ~(ΦI)+δ~GII)=0(52)を

満たす~(ΦI)の一般解は,~(ΦI)

=fゲージ不変I)+β-γ)Aμ(∂GI/∂Aμ)

+γφ(d)jk}(∂GI/∂φi).(61)

で与えられる,ことがわかります。

ところで,~(ΦI)には次元が4以下である,

という条件があったのでfゲージ不変I)の一般形

は,fゲージ不変I)=α{(-1/4)Fμνaμν}

+αφ{(Dμφi)μφi}-α2φiφi)

-αλ{(λ/2)(φiφi)2}.(62)で与えられます。

結局,くりこみ方程式:S~*X=0の解Xは,

­X=∫d4x[~(ΦI)+K~I(δ~ΦI)

+K(δ~)](48)である,としていたので,

X=∫d4x[fゲージ不変I)

+β{K~I(δΦI)+Ka(δ)}

+(β-γ){Aμ(∂GI/∂Aμ)

-K~μ(∂μ)}

+γφ(d)ijj{∂(GI+K~iδφi)/∂φj}].

(63) と書けることがわかりました。

 

途中ですが長くなったので,今回はここで

終わります。

(参考文献):九後汰一郎著「ゲージ場の量子論Ⅱ」

(培風館)

 

 

|

« くりこみ理論(次元正則化)(12) | トップページ | くりこみ理論(次元正則化)(14) »

114 . 場理論・QED」カテゴリの記事

コメント

この記事へのコメントは終了しました。