« くりこみ理論要約(5) | トップページ | くりこみ理論(次元正則化)(7) »

2020年5月23日 (土)

くりこみ理論(次元正則化)(6)

さて,「くりこみ理論(次元正則化)」の続き

を再開します。

このシリーズは(5)をアップしてから長期間

が経過したので,前回までで,記憶を呼び覚ます

ためのまとめとして,「くり込み理論要約」の

(1)~(5)をアップしました。

※今回からまた本題の続きに戻ります。

3点頂点関数の項目からの続きです。

前回最後では,3点頂点関数の最低次近似

が.発散部分と有限部分の和で,(31)式:

Γjψ~ψφ(1-loop)(p2.p1)

=-gτi{g2/(16π2)}

[-ε~-1+1/2+2∫01dx∫01ydylnD(x,y)

+∫01dx∫01dy

{(p2+m-yp~)(p1+m-yp~)D(x,y)-1} 

で与えられることを見ました。

そして,一般に3点頂点関数の量子補正項:

Γψ~ψφ(補正)(p2.p1)を,関与する3粒子の

質量殻:12=m,q2=(p2-p1)2=μ2

のまわりで展開したとき,

これは,Γψ~ψφ(補正)(p2.p1)

=τ[c+O(1-m,2-m,q2-μ2)]

の形をとり,初項の定数項cがゼロでない

値を取ったとすると,これから,Γψ~ψφ,

~ -(g-c)τとなるため,

物理的な質量殻上のFermionとBosonの

湯川結合定数が,量子補正でgから(g-c)

に変化することを意味します。と書きました。

つまり,物理的に観測される湯川結合定数は

gではなく,(g-c)である,というのが真です。

湯川結合定数に限らず,φ4頂点の結合定数:

λなど,一般に結合定数は,質量や場の規格化

定数と同様,相互作用の影響でずれる,という

わけです。と,これらのことを述べて前記事

(本論(5),および,要約(5))は終わりました。

そこで,先の自己エネルギーの場合と

同様.元々は,裸の結合定数:g00

用いて,相互作用Lagrangian密度が,

0int=-g0ψ0ψ0φ0-(λ0/8)(φ02)2

(34)で与えられていた,と考えます。

そして,物理的粒子の観測される真の

結合定数=「くりこまれた結合定数」を

g,λとし,それらの裸の量:g0を,

0=Z1(Z233/2)-1g,λ0を,

λ0=Zλ(Z32)-1λ.(35)と書いて,(34)

の裸の0intを,この(35)式と,前に(13)で

与えたψ0=Z21/2ψ,および,φ031/2φ

代入して.全てくりこまれた量で表わし,

2つに分けます。

すなわち.0intintintcount .(36),

int=-gψψφ-(λ/8)(φ2)2(37),

かつ,intcount=-g(Z1-1)ψψφ

-(λ/8)(Zλ-1)(φ2)2 (38)とします。

この前者Lintが,最初に(1)式で与えた摂動

の第0次のLagrangianの相互作用部分であり.

後者は,ψ~ψφやφ4の頂点関数の発散に対する

相殺項を与えている,と考えるわけです。

1,および,Zλは,Planck定数hc=h/(2π)

のベキで摂動展開されると考えて,

1=1+hc1(1)+hc21(2)+..

λ=1+hcλ(1)+hc2λ(2)+..(39)

とします。

この係数は摂動(loop展開)の各次数でψ~ψφ,

および,φ4頂点関数の「結合定数」:g,λへの

補正部分が,常にゼロになるように決めます。

それは,treeレベルのg,λ値が予め,観測値

のg,λによるものとして採っていたからです。

したがって,湯川頂点関数:Γψ~ψφの場合は,

O(hc)で,式(30):Γjψ~ψφ(1-loop)(p2.p1)

=∫dnk(2π)-n[(-igτj)i{(2)-m}-1

(-igτi)i{(1)-m}-1(-igτj)

i(k2-μ2)-1]のΓψ~ψφ(1-loop)に加えて,

(38)のintcountの相殺項:-gZ1(1)ψψφ

を用いた図7.6のグラフの寄与:-gτi1(1)

があり,質量殻:1=p2=m,q2=μ2の上の

湯川結合定数gが量子補正を受けない。

という条件で,Z1(1)

=-[Γjψ~ψφ(1-loop)/(-gτj)]1=p2=m,q2=μ2

=-{g2/(16π2)ε~-1+(有限定数)..(40)

と決まることになります。

※4点頂点関数

Bosonの4点頂点関数:Γ(4)φ1φ2φ3φ4に寄与

する1-loopグラフは図7.7の(a),(b)の2種

があります。

もはや,基本的計算は,実行しませんが,これら

のグラフが対数発散すること,したがって,外線

運動量で展開したとき,その初項の定数項にのみ

発散が現われることは明らかです。

実際,図7.7(a)ではloop積分:d4kの被積分

関数はFermion伝播関数4つですから,kの(-4)

次であり,図7.7(b)はBoson伝播関数2つで

同じくkの(-4)次です。

それ故,この場合も,(38)のintcount.中の

相殺項;-(λ/8)Zλ(1)(φ2)2の寄与:つまり,

具体的には,-λZλ(1)ijδkl+δikδjl+δilδkj)

でもって発散を相殺できて,「質量殻上」での

結合定数λが補正を受けないように.Zλ(1)を調整

できます。

ここで,「質量殻上」と述べましたが,スカラー

の4点頂点関数:Γ(4)(p1,p2,p34)は,4粒子

共,質量殻pj2=μ2上においても,そして,また,

s=(p1+p2)2,t=(p1+p3)2,=(p1+p4)2

のうち,これらはs+t+u=4μ2を満たすので

2つの変数が決まりません。そこで,「質量殻上」

として,しばしば用いられるのは,物理的領域の外

ではありますが,形式上便利な,s=t=u=4μ2/3

の点を取ります。

これは対称点と呼ばれています。対称点は詳しくは,

i=μ2δij-(μ2/3)(1-δij)(i,j=1,2,3,4)

(41)で与えられます。

もう1つ注意すべき点は,裸のLagrangian:0

の中に,λ0φ04の相互作用項が入っていないなら,

そもそも,1つの湯川相互作用項だけでは,発散を

くりこむことができなかったであろう。という

事情です。実際,相互作用項:λ0φ04が無ければ

相殺項;-(λ/8)Z4-12)2が存在しませんが,

一方,図7.7(a)のグラフは必ず存在して発散

するからです。

※さて,乗法的くりこみの項に入ります。

1-loopのレベルで紫外発散を含むグラフが,

以上で全てであることはloop内の伝播関数のk

の次数を考えれば明らかです。

それ故,少なくとも,1-loopの範囲内では紫外

発散を全て場の規格化因子Z2.3(波動関数の

くりこみ因子),質量のシフトδm,δμ2,および,

相互作用の結合定数g,λのくりこみ因子Z1.λ

に吸収できること,が具体的なグラフの上で

示されたわけです。

このくりこみ操作で行なったことを,もう一度

整理して,系統的に言い直してみます。

以下,記号の簡単さのため,スカラー場1種類の

純粋なλφ4理論の言葉で,述べることにします。

まず,元の裸のLagrangian:0002,λ0)を

(13)~(17)と(35)~(38)でやったように.裸の場

φ0,裸の質量μ0,裸の結合定数λ0の代わりに

φ0=Z31/2φ,μ02=μ2-δμ20=Zλ3-2λ

(42)の形で関係付けされた.くりこまれた量:

φ,μ,λで書き直します。

すなわち,これは.0002,λ0)

(φ,μ2,λ)

count(φ,μ2,λ:Z3,Zλ,δμ2)(43)です。

そして,countで計算したφの全ての

n点頂点関数:Γ(n),それ故,生成汎関数or

有効作用:Γ[φ;μ2,λ]は,紫外発散の無い

Well@definedな量になります。

ところが,右辺のcount自体は全体

として,左辺の裸のLageangian:0と同じ

ものであるという点が重要です。

それ故,直接0に基づいてφ0の有効作用

Γ0を計算しても,結果,Γと同じ量に到達する

はずです。

つまり,Γ00020;Λ]=Γ[φ;μ2,λ]

(44)です。ここで,左辺に切断パラメータΛ

(または時空次元:n)が入るのは,左辺は実際

には裸の量の単純な汎関数としては発散し,

正則化の手続きを経た後でないと無矛盾

(well-defined)ではないからです。

そこで,(44)式の等号は,Λ→∞(または

n→4)の極限で消えるような項の違いを

除いて等しい.という意味に解釈されます。

(42)φ0=Z31/2φ,μ02=μ2-δμ2,

λ0=Zλ3-2λと(44)Γ00020;Λ]

=Γ[φ;μ2,λ].の意味するのは.Λが十分

大きい(または(n-4)<<1の)ときは,

有効作用Γ0のΛ(または(n-4)-1)への依存性

は,全てZ31/2,δμ2,Zλに押し込められて,Γ0

と同じ量のΓ[φ,μ2,λ]が有限な汎関数に

なる,ということになります。

すなわち,くりこまれた有効作用:Γは,

Λ(またはn)に依らないくりこまれた量:

φ,μ2,λの.Λに依らない汎関数となります。

これに対して,Z31/2,δμ2,ZλはΛに依存

しているので,裸の量:φ0020はΛに依存

します。

逆に言えば,Λ>>1(n-4<<1)のところで,

Λ(またはn)を動かしたとき,φ0(Λ),μ02(Λ)

λ0(Λ)をΛにつれて,うまく変化させれば,(44)

式の右辺のΓ[φ,μ2,λ]がΛに依存しない有限量

にできる.といえるのです。

 

 (44)の左右両辺をφ0=Z31/2φのベキで展開

すると,裸のn点頂点関数Γ0(n)と.くりこまれた

それ:Γ(n)の間の関係式:

3n/2Γ0(n)(020;Λ)

=Γ(n)(2,λ)(45),ただし,

=(1,p2,,..,n-1) が得られます。

このことから,ここで述べたくりこみ手法は,

,乗法的くりこみ(multiple renormalization)

と名付けられています。

本節では,乗法的くりこみがうまくいくことを,

摂動のO(h1)でしか示していませんが,より

高次の項を議論するときは低次の摂動で決まる

相殺項も「相互作用項」として含めたグラフを

全て考える必要があります。

例えば,先の湯川相互作用系の例でO(hc2)

のFermion自己エネルギ0に効くグラフは図7.8

に示した2個です。

O(h1)の相殺項を含むグラフは,丁度図7.8

の括弧内の第1列に描いたグラフがそれぞれ含む

  • loop内部グラフ(subdiagram)の発散を相殺
  • する形で現われていることに注意されたい。

実際,全ての内部グラフの発散をきっちりと

相殺しておかないと,「1番外側のloopの最終

的積分を行なったときに現われる発散(overall

l-divergence)が外線運動量に関して高々多項式

であること:すなわち,Γ(n)の場合は,φの1次

までである.etc.という重要な性質が成立しなく

なってしまいます。

この重要な性質が成り立って初めてcount

用意した相殺項で,発散が消せる,のであり,この

性質は,この後に示す「くりこみ可能性」の一般的

証明の核心をなす点です

。この一般的証明はかなり面倒で,ここで直ちに

与えることはせず。次節以降で定理のみを述べます。

しかし,何故,内部グラフの発散を消しておかない

と最終的な答で発散が外線運動量の多項式に

留まらなくなるか?を1つの例で説明して

おきます。

(※1つでも存在することを示せば,それで証明

になりますからね。。※)

すなわち,自己エネルギーの図7.8における

1つの2-looグラフである図7.9を取ってみます。

グラフの各伝播関数の運動量を図7.9左辺に示す

ように取ることにして,外線運動量の例えば2回微分:

(∂2/∂pμ∂pν)してみます。

すると,被積分関数中の3つのFermion伝播関数

のどれが微分を受けるかで,2つの微分の位置を☑

で示して,右辺の6つの場合があります。微分を

1回受けるごとに伝播関数の分母の運動量の次数

が1つずつ上がることに注意すれば,次数の勘定

から右辺の(b),(c).(d).(e)のグラフは,

確かにl1,l2のloop積分がともに収束している

ことがわかります。

しかし,(a)はl1積分の収束性は十分良くなって

いますが,l2積分の方は改善されずに対数発散の

ままです。この事情は何回微分しえも同じで発散

する内部ブラフが入っていると,外側から外線運動量

で,いくら微分しても,発散が改善されずに残り項が

必ず存在します。

これが,内部グラフの発散を全て消しておかねば

ならない理由です。

最後に,次の点に注意しておきたいです。

本節のくりこみの手続きでは,くりこみの

物理的側面を強調するため,「頂点関数:Γ(n)

質量殻上の値が量子補正を受けない。」という

観点を強調しました。

すなわち,単純なλφ4理論の例でいうと,Γ(2),

Γ(4)の「質量殻上の値」が,摂動の任意の次数で

treeレベルでの値に留まるべき,という条件:

Γ(2)(p2=μ22,λ)=0,

∂/∂p2(2)(p22,λ){p2=μ2=1

Γ(4)(p22,λ){[pipj=μ2δij-(1/3)μ2(1^δi)]

=-λ..(46) 

を置いたことに相当します。

このような条件は,一般にくりこみ条件と

呼ばれます。

特に(46)のような質量殻上のくりこみ条件

を設定して行なうくりこみを質量殻上くり込み

(on-massshell renormalization)と呼びます。

しかし,質量殻上でくりこむか?,例えば,

jμ=0の点でくりこむか?というのは,発散の

処理という意味では,どちらでもいいことです。

重要な点は摂動の任意の次数で,(内部グラフ

の発散を消してある限り)Γ(n)の発散が外線

運動量に関して有限次数の部分にのみ現われる

ところにあり,そのpに関するTaylor展開を

2=μ2のところでやるか,p=0のところ

でやるか,は問題ではなく,どうやっても,その

次数までしか,発散はないということです。

それ故.例えば(46)の代わりに,

Γ(2)(p2=0:μ2,λ)=-μ2,,

∂/∂p2(2)(p22,λ,){p2=0=1

Γ(4)(=0:μ2,λ)=-λ..(47) 

のように,pj=0で.くりこみ条件を設定

して,くりこみを行なうこともできます。

これはpj=0での中間的くりこみ

(intermediate reormalization)と呼ばれて

います。

形式的なくりこみ可能性の議論などでは,

この(47)の条件で行なう方が便利です。

ただし,条件(47)の場合は,μ2やλは,もはや

物理的質量でも質量殻上の結合定数でもないし,

場φも質量殻上で1に規格化されてもいません。

この場合は,計算されたΓ(2)の零点から

物理的質量:μ2physを求め,.その点でのp2の係数

である{∂Γ(2)/∂p2}(p2=μ2phys)=Z3-1を読み

取り,Z32Γ(4)の物理的質量殻の値から,物理的

結合定数としてλphysを求める必要があります。

そうして,逆に(47)のパラメータ:μ2,λを,

それらのμ2phys,,λphysで表わすことができる

ので,Z3n/2Γ(n)も,μ2physphysを使って書き

直せて,それらは,質量殻上のくりこみで求めた

n点頂点関数に一致します。

この=0での中間的くりこみのΓ(n)から

質量殻上くりこみのΓ(n)に書き直す手続きは,

発散を含みませんが,(45)に与えたくりこみと

本質的には同じ手続きであり「有限くりこみ

(finite renormalization)」と呼ばれます。

これで「乗法くりこみ」の項は終わり,次の節

に移るので,今回はここで終わりにします。

(参考文献):九後汰一郎著「ゲージ場の量子論Ⅱ」

(培風館)

 

 

|

« くりこみ理論要約(5) | トップページ | くりこみ理論(次元正則化)(7) »

114 . 場理論・QED」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« くりこみ理論要約(5) | トップページ | くりこみ理論(次元正則化)(7) »