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2020年5月23日 (土)

くりこみ理論(次元正則化)(7)

「くりこみ理論(次元正則化)」の続きです。

(※余談)トイレトペーパーもティッシュ

も自宅に無くなり,近くに買いにいった

のですが,入手できませんでした。

デマって恐ろしいですね。

ウソだとわかっても,みんが争って買い占めると

行列があるとつい並ぶ習性と同じく,ハマって

簡単には収まらない群集心理が,多くの日本人の

共通な特徴らしいです。

私,恐らくコロナとかの肺炎には,かかってないと

思うけれど,慢性心不全の障害者で,ときには肺に

水が溜まったりで,鼻水や咳,淡が多い病気持ち

ですから,ティッシュは,特に必需品なのですがね。。

昨夜も電気を消して就寝中,急に咳の発作が起きて

鼻水と淡を拭うティッシュ代わりのタオルしか

ない状態だったのですが,そのタオルをベッド脇

の暗闇の中で見失ってしまい,しばらく,鼻も口も

呼吸できず,七転八倒,死にそうでした。

こういうのはとても困りますね。

不要不急の方の紙類の買占めはご遠慮願いたい

と思います。品不足というのは,既にデマと判って

いますからね。)(余談終わり※)

(↑これは3月中旬に書いたのかな?と推測)

 

さて,以下は本題です。

前回で乗法的くりこみの項を終わり

次の節に入ります。

  • 7.3 BPHZくりこみ

以下では,一般的な理論で組織的な

くりこみ手続きを与えます。これは

Bogoliubov-Parasiuk-Hepp-Zimmermann

(ボゴリュウボフ・パラジウク・ヘップ・

チンマーマン)によるいわゆる「BPHZ

くりこみ」と呼ばれているものです。

BPHZくり込みの処法は,くりこみ

可能な理論に対しては,前節の乗法的

くりこみと同等であることがわかりますが.

これの適用は必ずしも,くりこみ可能性の

議論に限定されないし,さらに,その系統性

は後に議論する複合演算子(composite operator)

のくりこみや,演算子積展開

(operator product expansion)の証明

に強力な方法を与えることになります。

 

さて,まずは見かけの発散次数の論議から

です。種々なBoson場とFermion場から成る

一般の系を想定します。

 そのLagrangianは,次の形を取るとします。

すなわち,free+Σint.(1)です。

freeは,系を構成する場の自由項で,それらの

Feynman伝播関数:Δ(k)はkが大きいときに

-2で挙動するものと,k-1で挙動するものが

あるとします。

ここでは.統計性は重要ではないので,便宜上,

統計性とは無関係に前者の挙動をする場をBoson

場,後者の挙動をする場をFermion場と呼ぶこと

にします。

一方,intは,種々のタイプの相互作用項

(場の単項式)で,その項の中のBoson場の個数

がbi,Fermion場の個数がfi.それらの場に

かかる微分の合計階数がdiであるとします。

つまり,標記的に微分を∂,Boson場をφ,

Fermion場をψ,ψ^と書くと,相互作用は,

iint=gi(∂)diφbi(ψ,またはψ~)fi..(2)

の形をしているとします。

このとき,この相互作用:iintに対応する

Feynmanグラフの頂点(i^頂点と呼ぶ)に対し,

δi=bi+(3/2)fi+di-4=dim(iint)-4.(3)

なる整数δiを付与し,これをi-頂点の指標

(index)と呼びます。

ただし,今の,時空次元が4ではなく一般

のn次元と仮定している場合は,指標δi

(3)ではなく,δi=dim(iint)-n

={(n-2)/2}bi+{(n-1)/2}fi+di-n

(4)で与えられるもの定義します。

※(注7-1):何故なら,i-頂点の数を,ni

とするとき,Boson内線がI個,外線がE

個,Fermion内線がI個.外線がE

あって,そのFeynmanグラフのloopの個数

がκであったとすると.トポロジーの観点

(多角形の頂点と辺の数の関係)から,

κ=I+I-ni+1が成立します。

そして,ni個の頂点に連結ける総ての

Ferumionの数は2I+E=fii,総ての

Bosonの数は2I+E=biiを満たします。

(※何故なら,内線は両端に2個の頂点を

持ち,外線には1個の端点しかないからです。)

そうして.Feynman図の発散次数Dは.

  • loopに∫dkが掛かるので,

G=nκ-2I-I+dii

=ρni-{(n-1)/2}E

-{(n-2)/2}E+nで与えられる

と考えられます。

ただし,ρは,ρ={(n-1)/2}fi

+{(n-2)/2}bi+di-nです。

何故なら,ρni={(n-1)/2}fii

+{(n-2)/2}bini+(di-n)ni

={(n-1)/2}(2I+E)

+{(n-2)/2}(2I+E)-nni

+dliであって,κ=I+I-ni

+1なので,ρni=nκ-I-2I+dii

-n+{(n-1)/2}E+{(n-2)/2}E

より,ρni+n-{(n-1)/2}E

-{(n-2)/2}E=nκ-2I-I

+dii=D が,確か成立するからです。

ところで,光速:c=1かつ,Planck定数;hc

=h/(2π=1の自然単位系では,[c]=LT-1

=1なのでT=Lと同定され,hの単位=作用,

つまり,(エネルギー)×(時間)の単位も1

なので,[hc]=[E]T=MT=1より,質量M

もエネルギーEも単位はT-1=L-1,つまり,

長さLの逆数単位に同定され,全ての物理量

の次元(単位)は長さLの単位で表わすことが

できます。

すると,Lagrangian密度は.エネルギ-密度

と同じ単位で,これを∫dxと,時空で積分すると

Planck定数と同じ無次元の作用Sになるので,

結局,[(=Lagrangian密度)]=L-nです。

そして,その自由項部分:freeは,

質量項;μ2φ2や,および,mψ~ψと同じ次元

を持っていますから,Boson場:φ,および,

Fermion場:ψが持つ次元は,それぞれ,

[φ]=L-(n-2)/2,および,[ψ]=L-(n-1)/2

と解釈されます。

それ故,[Lllnt]=L--n=[gi

[di-(n-2)bi/2-(n-1)fi/2]の両辺のLによる

次元を等置して比較すれば,結合定数:gi

の次元が,[gi}=Lρであることがわかります。

そして,この量:ρは,元々,i-頂点の指標

δiに一致するよう定義されています。

(注7-1終わり※)

さて,前節の1-loopの計算でも出てきた

ように,あるFeynmanグラフのloopp積分が

紫外発散を含むかどうかは,伝播関数,および,

頂点因子の積で与えられる被積分関数の運動量

に関する次数とloop積分の次数の和を計算して

判定されます。

 あるグラフΓが,i-頂点をni個,Boson内線を

個.Fermion内線をI個含み,E個のBoson

外線と,E個のFermion外線につながっていた,

とします。このとき,内線運動量が全て大きく

なる場合の運動量の次数を勘定して判定します。

まず,各i-頂点は微分をdi階含むので次数:di

だけ効き,各Boson内線は,上の仮定により(-2),

そして,各Fermion内線は,(-1)だけの寄与

をします。

また,普通の4次元時空での,運動量表示

でのFeynman規則に従えば,内線伝播関数

ごとに運動量僚積分d4kがあり,頂点ごとに

運動量保存のδ関数;δ4(Σk)がありますから,

実質的運動量の次数として,各内線ごとに(+4),

各頂点ごとに(-4)の寄与が加わることに

なります。ただし,頂点に関わるδ関数の中に

全ての外線運動量の保存に相当するδ関数が

1個だけ含まれており,その1個は内線運動量

積分を減らすのには使えないので,それは次数

(-4)の寄与をしません。

したがって,このFeynmanグラフΓは,

ω(Γ)=Σnii+(4-2)I+(4-1)I

-4(Σni―1)..(4)の実質運動量次数を

持つはずです。

このω(Γ)を,Γの,[見掛け上の発散次数

(superficial degrees of divergence)]と

呼ばれます。

この(4)の次数の表式を,もっと簡単化する

ために、次の関係式に注意します。

i-頂点には,bi個のBoson線の端点が

付いており,一方,各Boson内線は,頂点に付く

2つの端点を,各Boson外線は,1つの端点を

持つため,Σnii=2I+E.(5)を得ます。

同様に,Fermion線の端点数の関係から

Σnii=2I+E.(6)も成立します。

(5),(6)を用いて,(4)のI,I

消去すると.

ω(Γ)=Σni{(di+bi+(3/2)fi-4}

-E-(3/2)E+4

=4-E-(3/2)E+Σniδi(.(7)

となります。

ここで,δi=di+bi+(3/2)fi-4

は,i-頂点の指標です。

 

前節で見たように1PI(1粒子既約な)

頂点関数の1-loopグラフ:Γの場合は,

先の(4):ω(Γ)=Σnii+(4-2)I

+(4-1)I-4(Σni―1).で定義された

見掛け上の発散次数:ω(Γ)は確かに,真実

の発散次数でした。

つまり,ω(Γ)が2なら,2次の発散,ゼロ

なら対数発散,負なら収束でした。

しかし,loopの数が2つ以上あるときは,

個々のそれぞれのloop積分に,そのグラフ

の全ての伝播関数や頂点がかかわっている

わけではないので,ω(Γ)<0は,必ずしも,

グラフΓが発散を含まないことを保証

しません。

例えば,λφ4理論で,図7.10に示したグラフ

ではE=6,δ=0により,ω(Γ)=-2ですが,

明らかに,下側の部分グラフのloop積分は

対数発散します。

このことから,Γのグラフ全体ばかり

でなく,その部分グラフγについて見掛け

上の発散次数:ω(γ)を計算し,それらが

全て,ω(γ)<0を満たせば,Γは発散を

含まないのではないか?と予想されます。

実は,この予想は,正に,次の「次数勘定定理

(power-counting theorem)」と呼ばれる有名な

定理の内容として一般的に証明されます。

※[次数勘定定理]:「あるFeynmanグラフΓ

のFeynman積分は,もし,Γ自身も含めてΓの任意

の1PI部分グラフ:γの見掛けの発散次数:ω(γ)

が全て負ならば(伝播関数中のiε処法のε>0

を固定したとき)有限値に絶対収束する。

ただし.ここで1PI部分グラフ:γと呼んで

いるのは,単にΓの部分グラフの中で.1粒子

既約なグラフであるだけでなく,その外線を

もぎ取ったモノを指す。」

しかし,この定理の証明は,一般のグラフ

に対するFeynmanパラメータ表示に基づいて,

なされる,かなり技術的に込み入ったものです。

そこで,ここで,は先人の証明を信じて,証明

の詳細に立ち入ることはせせず,単に認めて,

次に進むことにします。

定理の仮定とは逆に,見掛け上の発散:ω(Γ)

が正,または,ゼロであれば,一般に対称性など

の特別な事情(例えばゲージ不変性)が無い限り,

ΓのFeynman積分は発散します。

それ故,(7)で与えた公式:

ω(Γ)=4-E-(3/2)E+Σniδiから,

理論のタイプを,次のように分類できること

がわかります。

すなわち,次の3つに分類されま・

(ⅰ)頂点指標のδiが負,つまりdim(iint)<4

の相互作用項iintしかない理論;

この場合は(7)の項:Σniδiは常に負に

効くので,相互作用頂点の数niが少ない

グラフしか発散しません。

例えばスカラーφ3理論では,φ3頂点の

指標はδ=-1であり,外線の付いてない

(E=0)の真空グラフを除外するなら,

ω(Γ)≧0となるのは,図7.11に描いた

=1で頂点数がni=1または3の

tadpoleグラフ,E=2でni=2の自己

エネルギーグラフの合計3つしかありません。

すなわち,摂動の全次数で考えても,発散が

起こるのは,低次の特定の有限個のグラフのみ

です。

この指標δiが負の相互作用項:

iintしかない(ⅰ)のタイプの理論

を,超くりこみ可能な理論

(supr\errenormalizable Theory)

といいます。

(ⅱ)指標δiが非正(dim(iint)≦4)

の相互作用項:iintのみを含み,かつ

δi=0(dim(iint)=4)のiintが,

少なくとも1つはあるような理論:

この場合はδi=0のi-頂点は何回

含まれていてもω(Γ)の値は変わり

ませんから,発散するグラフは,摂動

のいくら高次でも存在し,無限個ある

ことになります。

しかし,見掛けの発散次数の公式(7)の

ω(Γ)=4-E-(3/2)E+Σniδi

により,ω(Γ)≧0となって発散する

グラフΓは,E+E(外線場の次元)≦4

(8)の場合のみです。

例えば,λφ4理論の場合は,真空グラフ

を別にすると,E=2の自己エネルギー型

グラフと.E=4の4点頂点方グラフの

2種のみです。(※E=1やE=3の

グラフはλφ4理論ではφ⇔-φに対する

不変性のため.存在しません。ただ,相互

作用がφ4とφ3の両方ある理論では,それら

も発散相グラフとして現われます。)

結局,(ⅱ)のdim(iint)≦4のみの相互作用項

から成るこのタイプの理論では,出てくる発散も

外線場の次元が4以下の有限種類のグラフのみ

です。実際,以下でわかるように,このタイプの理論

は,次元が4以下の相殺項で全ての発散が除去できて,

「くりこみ可能な理論(renormalizable theory)」

と呼ばれます。

(ⅲ)δi>0(dim(iint)>4)の相互作用:iint

を含む理論:

この場合,δi>0のiを含めが含むほど.

ω(Γ)は大きくなります。

すなわち,摂動の次数を上げるにつれて,

より多くの外線を持つ発散グラフが発散する

ようになり,結局,無限種類)の発散グラフが

現われることになります。

 これは無限個(無限種類)の相殺項,あるいは,

同じことですが,無限個の結合定数の指定

が必要なことを意味します。

この(ⅲ)のタイプの理論は「くりこみ不可能

な理論(non-renormalizable theory)」と

呼ばれます。

このタイプの理論はδi>0の相互作用Liの

結合定数giが.負の質量次元:M-δiを持つこと

で特徴付けられる重力相互作用が,その最も重要

な例です。

※(注7-2):(ⅲ)は,くりこみ不可能な理論

と呼ばれますが,これは「摂動論の枠内で」

無限個の結合定数を,どう指定すればよいか?

について.物理的論拠のある方法がわからない

という意味であるに過ぎません。

それ故,「非摂動論的方法では」,この無限個

の結合定数の指定が,有限個に帰着させられて,

くりこみ可能になるという可能性が排除される

わけではありません。そして,また「超対称性」

のような高い対称性があって,そもそも相殺項が

存在しないような理論でも,非摂動論的には,

あってかまわないのです。(注7-2終わり※)

次は,この準備の下で「BPHZのくりこみ」

の構成に入りますが,これは次回に回すという

ことで今回は一旦,ここで終わります。

(参考文献):九後汰一郎著「ゲ゙―ジ゙場の量子論Ⅱ」

(培風館)

 

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