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2020年5月30日 (土)

くりこみ理論(次元正則化)(12)

「くりこみ理論(次元正則化)」の続きです。

前回は,第7章BPHZくりこみで,

(対称性とくりこみ)の項において,大局的

ゲージ不変性を有する理論が,その対称性

を保持したまま,次元正則化で,くりこみ

可能であることを示すことを目的に考察

しました。

そのため,系のLagrangianに外場を付加

した作用積分Sとその有効作用Γを裸の場で

構成した裸の作用:S0と裸の有効作用Γ0

おける.裸の場をくりこんだ場とくりこみ定数

Zとviで表わしたものを代入して置き換える,

という操作で,これらが,くりこまれた有限なS

とΓに帰着する.ことを摂動論的に証明するため

に導入したPoisson括弧に類似した演算*を

用いて,有効作用ΓからBとc~への自明な

依存性を除いた部分:Γ~が満足すべき基本的

WT方程式が.Γ~*Γ~=0.(34)という式の形

で与えられることを見たところで,記事を

終えました。

今回は,その続きです。

前回で準備が整ったので,以下,本題の

有効作用Γ(実は,裸のΓ0 に同じ)のhcによる

摂動ベキ展開:Γ=Γ(0)+hcΓ(1)+hc2Γ(2)+.

(25)の各項:hcΓ(n)が有限になる,ということ

を,先のWT恒等式:Γ~*Γ~=0(34)に基づいて,

帰納法で証明します。

(ⅰ)まず,n=0のtreeレベルでの有効作用

Γ(0)ですが,これは,Planck定数hcを含む量子

効果が全くない古典的な作用積分の

(0)S[Φ~,K;g,,α]=S.(24)に等しく,

それ故,明らかに有限です。

しかも,ΓとΓ~の違いは,(27)のΓ=Γ~

+∫d4x[BΦ+(α/2)B]という

Γ~の定義式にあるように,treeレベルの寄与を

与える項のみですから,初項Γ(0)ではΓ~をΓ

の代わりに用いて論じてもよいということに

なります。さらに,Γ(0)=S(0)=S,Γ~(0)=S~

より,Γ-Γ~=Γ(0)-Γ~(0)=S-S~であり,

この差はtreeレベルと考えられるので.n≧1

のloop積分を含む項ではΓ~(n)=Γ(n)です。 

(ⅱ)次に,n≧1のhcのオーダーまで,

くりこみ定数Z,および,viを,それらをベキ

展開した.(Z)n=1+hc(1)+hc2(2) +..

+hc(n),および,(vi)=0+hci(1)

c2i(2) +..+hci(n).(35)に置き換えて

Γ(0)(1)(2),..Γ(n)が全て有限にできた,

と仮定します。そこで.Zやviに,上記の(35)

式,つまり,((n+1)次以降のZ(n+k),vi(n+k)

(k≧1)を全てゼロとしたもの.に置換して

(23)のS0S[Φ0~,K0;g0,0,α0]

=S[Z31/2μ,..,Z~31/2μ;Z13-3/2,..]

に,Zとして(Z)を.viとして(vi)を代入

した作用積分:(0)S[(Z3)1/μ,....,

(Z~3)1/2μ;(Z1)(Z3)-3/2,.]

=S(0)+hc(1)+..+hc(n)

+hc(n+1)(S(n+1))+hc(n+2)(S((n+2))

+… (36)に基づき,hc(n+1)のオーダーの

有効作用Γ(n+1)を計算します。

(※上記の(36)の展開において,hの(n次以下

のS(m)(m≦n)を.(S(m))としなかった理由

は,Zやviの(n+1)次以降の値:Z(n+k)

i(n+k)(k≧1)を,どう取っても,それらに影響

しないからです。※)

 一方,(n+1)次以降のS(n+k)(k≧1)は,

それらZ(n+k),vi(n+k)(k≧1)に依存します。

しかし,(S(n+k))(k≧1)の方は,Z(n+k)=0,

i(n+k)=0(k≧1)と取ったときの相殺項に相当

するものです。

特に,(S(n+1))はhcのn次以下のZ(m),vi(m)

(m≦n)の積で表わされる,hcの(n+1)次の相殺項

となるもの.を意味します。

(※例えば,Aμの4次項:-(1/4)g02(×)2

=-(1/4)Z123-12(μ×ν)2からは,

1(m)Zi(k)(Z3(l))(ただし,m+k+pl

=n+1,0≦m,k,l,p≦n)の係数を持つ,,,

(n+1)次の相殺項が現われます。

何故なら,例えばZ3-1=(1+hc3(1)+hc23(2)

+..)-1=1-hc3(1)+(hc2/2)Z3(2)-.etc.

です。※)

さて,Γ(n+1)の計算は,帰納法の仮定により,

Γ(m)(m≦n)が全て有限ですから,それらに効く

各々のFeynmanグラフにおいて全ての内部グラフ

は既に有限になっており,出現する可能な発散は,

最後の一番外側のloop積分を実行したとき初めて

現われるもの,つまり,「overallの発散」のみで

ある,と,考えられます。

そして,hc(n+1)のオーダーでoverallの発散

が現われるグラフは,もちろん,loop積分が1個

以上はあるので,その内部にはn次以下の相殺項

のS(m)(m≦n)しか,含むことはできず,そこで

Zやviの(n+1)次以上の項;Z(n+k)やvi(n+k)

(k≧1)の取り方には依存しません。

それ故,このoverallの寄与の総和を

Γoverall(n+1)m=0n(m)]と記すことにすれば,

n次の作用積分:(0)S[(Z3)1/μ,

....,(Z~3)1/2μ;(Z1)(Z3)-3/2,.]

に基づく(n+1)次のΓ(n+1)項の発散部分

は,Γdiv(n+1)= Γoverall(n+1)m=0n(m)]

+(S(n+1))(37)と表わせます。

ただし,右辺の(S(n+1))は,n次以下の,

(m),vi(m)(m≦n)の積のみで作られる

(n+1)次の相殺項です。

ここで,重要な点はoverallの発散:

Γdiv(n+1)は,以前「BPHZくりこみ」の

項で述べたように,外線運動量に関して有限次

までで,場の次元数を数えると,4次以下の局所

的項しか現われない。ということです。

※(注12-1):過去記事「くりこみ理論(7)では,

クラフ:Γの見掛けの発散次数ω(Γ)を与える

公式:ω(Γ)=4-E-(3/2)E+Σniδi(7)

により,ω(Γ)≧0となって発散するグラフΓ

は,E+(3/2)E(外線場の次元)≦4.(8)の

場合のみです。と記述しました。

それ故,今のdim(iint)≦4の場合にω(Γ)≧0

で発散する条件は,E+(3/2)E≦4です。

(注12-1終わり※)

さて,(37)の(S(n+1))も,もちろん相殺項で

発散項ですから,系の裸のLagrangianの作用積分:

0と同様,上記の性質を持つので,(37)のΓdiv(n+1)

も次元4以下の局所的項のみから成っています。

このような局所的項の積分形で与えられる

汎関数を一般に,局所的汎関数と呼びます。

一方,WT恒等式:Γ~*Γ~=0 (34)は,hcの値

に依らず(Zやviの値にも依らず)成立する式です。

つまり,これはhcについての恒等式ですから,Γ~を

cのベキで摂動展開して,左辺のΓ~*Γ~に代入し

c(n+1)の項を取り出すとき,その係数はゼロです。

つまり,Γ~(0)*Γ~(n+1)+Γ~(1)*Γ~(n)

+Γ~(2)*Γ~(n-1)+..=0.(38) が成立します。

先述のようにΓ~()=Γ(m)(m≧1)であり,

そして,左辺の第2項以下は,帰納法の仮定により

有限です。したがって,この式の発散部分のみを

取り出せば,それは左辺のΓ~(0)*Γdiv(n+1)であり

右辺の0の中には,もちろん発散部分はありません。

(※この発散部分は,今の次元正則化の場合,

時空の次元をdとすると,(d-4)-(k≧1)の形

の極の項であり,1つのloop積分で1/(d-4)の

特異性は1次ずつしか出ないのでΓ(n+1)の特異性

は1/(d-4),1/(d-4)2,..1/(d-4)(n+1)まで

です。※)

そして,Γ~(0)=S~(0)=S~ですから,結局,

S~*Γdiv(n+1)=0.(39)なる式を得ます。

この式は,Γ(n+1)にどのような発散が現われ

得るか?を規定する方程式であり,一般に,

「くりこみ方程式(renormalization equation)」

と呼ばれています。

このくりこみ方程式に対しては,次の命題が

成立することを証明できます。

※[命題]:「大局的ゲージ不変でFPゴースト数が

ゼロ,次元が4以下の局所項から成る,ΦI,c,K~I,

の汎関数:Xがくりこみ方程式:S~*­X=0.

(40)を満たすとする。このときXは,(23) の裸の

作用積分:S0=S[Z31/2μ,..,Z~31/2μ

13-3/2,..]で,Zやviをずらせて得られる

変化分;ΔS=δZ(ΔS)+δvi(ΔviS)

=δZ[∂S/∂Z] Z=1Vi=0+δvi[∂S/∂vi]Z=1Vi=0

(41)の形で与えられる。

ただし,SとS~の差はtreeレベルで,その

差は,Zやviには依らないので上記の(41)では

SをS~に置き換えて同一視してもよい。」

 

そして,仮に,この命題が証明されたとすると

今のXが,S~*Γdiv(n+1)=0を満たすΓdiv(n+1)

である場合,これがΓdiv(n+1)=α(n+1)(ΔS)

+βi(n+1)viS)の形に書けることを意味します。

ところが,この形の発散項は,Zやviを(35)

のn次までの(Z)や,(vi)から次に定義する値:

(Z)n+1=(Z)+hc(n+1)(n+1),および,(vi)n+1

=(vi),+hc(n+1)i(n+1).(42)へとずらした

ときに生じるhc(n+1)のオーダーの新たな相殺項:

(n+1)-(S(n+1))=Z(n+1)S)

+vi(n+1)viS)(43)により,Z(n+1)=-α(n+1),

かつ,vi(n+1)=-βi(n+1)と選べば,丁度. Γdiv(n+1)

が吸収されます。

それ故,(42)の(Z)n+1,および,(vi)n+1を(23)

の作用:S0に代入した作用:(S0)n+1に基づいた

有効作用Γは,hc(n+1)のオーダーのΓ(n+1)まで

有限となり,帰納法によるくりこみ可能性の証明

が完結したことになります。

では,以下,実際に[命題の証明]です。

[証明]:結局,くりこみ可能性の証明は

くりこみ方程式:S~*X=0(40)の一般解X

が,X=δZ(ΔS)+δvi(ΔviS)(41),

の形で与えられる,という純粋に代数的な命題

の証明に帰着することがわかりました。

くりこみ方程式:S~*X=0の解Xに関しては.

次元が4以下,大局的ゲージ不変という制限の

ない,次の定理が成立することが知られています。

[定理] 「ΦI,c,K~I,KのFPゴースト数

がゼロの局所多項式から成る汎関数Xで,くりこみ

方程式S~*­X=0.(40)を満たすものは,必ず,

X=Fゲージ不変[ΦI+S~*M[ΦI,c,K~I,K]

(44)の形に書ける。

ここで,Fゲージ不変はΦI=(Aμi)のみで書かれた

ゲージ不変な関数で,MはFPゴースト数が(-1)

の任意の汎関数である。

(44)の形で書かれる汎関数Xがくりこみ方程式:

S~*X=0を満たすこと(解の十分条件)は,S~の

BRS不変性,S~*S~=0,および,Jacobi恒等式

から従う,演算:(S~*)のベキ零性:つまり,

∀Xに対しS~*(S~*X)=-((1/2)X*(S~*S^)

=0.(45)から,自明です。

すなわち,∀F,GについてF*G~

=(-)(|F|+1)G*Fという*演算の対称性から,

GがFに等しいならF*F=-F*Fとなり,,

F*F=0が成立するので,S~*S~=0は自明

です。

一方,Jacobi恒等式から,S~*(S~*X)

+(-)|X|S~(X*S~)

+(-)2(|X|+1)X*(S~*S~)=0ですが,

S~はGrassmann偶なので,X*S~=-S~*Xであり,

XはFPゴースト数-1)でGrassman奇ですから,

2S~*(S~*X)=-X*(S~*S~)=0

が得られます。

それ故,特にS~*(S~*M)=0です。

また,FがΦIのみの関数であれば,

S~*F=(δS~/δK~I)(δF/δΦI)

+(δS~/δK)(δF/δc)

+(-)|S~|{(δF/δK~I)(δS~/δΦI)

+(δF/δK)(δS~/δc)}

=(δΦI)(δF/δΦI)=δFです。

そこで,Fがゲージ不変な関数:Fゲージ不変

なら,それは,BRS不変なので右辺はゼロです。

つまり,S~*Fゲージ不変=0です。

したがって,X=Fゲージ不変+S~*Mの形なら,

S~*X=S~*Fゲージ不変+S~*(S~*M)=0

となります。

以上から,(44)の形のXがくりこみ方程式

S~*X=0の解となるための十分条件を満たす

ことが証明されました。

しかし,証明が自明でない,のは逆の解となる

ための必要条件の方です。

この定理は過去記事「ゲージ場の理論(33)」

で記述した,第5章の§5-10で述べた観測可能量

の一般形に関する定理:§5-10(23)を,外場項:K~I,

を含む場合に拡張したものに相当し,大変有用

なものですが,一般的証明はかなり面倒なので,この

必要性の詳細証明は,観測可能量の定理の場合と同様,

既存の文献に譲って,ここでの記述は割愛します。

 

(※(注12-2):載)過去記事「ゲージ場の量子論(33)」

から,必要参照部分を抜粋して再掲します。

(※再掲開始)[定理]:「Heisenberg場の多項式で

与えられる局所的観測可能量=BRS不変な局所

演算子:Aは次の形を持つ。

(ⅰ)Aの持つFPゴースト数:NFPが負ならば,

Aは零演算子である。すなわち,このとき,ある

演算子Mにより.A=[Q,M]と書ける。

(ⅱ)Aの持つFPゴースト数がゼロならば,

A=Fゲージ不変(Aμ, φi)+[Q,M]と書ける。

ただし,Fゲージ不変は,ゲージ場;Aμと物質場:φi

のみから成る局所ゲージ不変な多項式である。

(ⅲ)Aの持つ.FPゴースト数が正ならば,

A=P[Ii(c);Fゲージ不変[Aμ, φi]+[Q,M]

と書ける。ただし,Pは.局所ゲージ不変関数:

ゲージ不変を係数とするIi(c)の多項式である。

そして,Ii(c)は同一時空点上のゴースト場:

のみの,微分を含まない,カラー1重項の多項式

であり,各時空点ごとに有限個しかない。」

という,今の有効作用:Γdiv(n++1)=Xの一般形に

関する定理に,類似した観測可能量:Aの一般形に

課する定理が.証明抜きで与えられています。

(再掲終了子※)(注12-2終わり※)

さて,途中ですが,長くなったので今回は,ここで

一旦終わります。

(参考文献):九後汰一郎著「ゲージ場の量子論Ⅱ」

(培風館)

くりこみ理論(次元正則化)(12)

「くりこみ理論(次元正則化)」の続きです。

前回は,第7章BPHZくりこみで,

(対称性とくりこみ)の項において,大局的

ゲージ不変性を有する理論が,その対称性

を保持したまま,次元正則化で,くりこみ

可能であることを示すことを目的に考察

しました。

そのため,系のLagrangianに外場を付加

した作用積分Sとその有効作用Γを裸の場で

構成した裸の作用:S0と裸の有効作用Γ0

おける.裸の場をくりこんだ場とくりこみ定数

Z,vで表わしたものを代入して置き換える,

という操作で,これらが,くりこまれた有限なS

とΓに帰着する.ことを摂動論的に証明するため

に導入したPoisson括弧に類似した演算*を

用いて,有効作用ΓからBとc~への自明な

依存性を除いた部分:Γ~が満足すべき基本的

WT方程式が.Γ~*Γ~=0.(34)という式の形

で与えられることを見たところで,記事を

終えました。

今回は,その続きです。

前回で準備が整ったので,以下,本題の

有効作用Γ(実は,裸のΓ0 に同じ)のhcによる

摂動ベキ展開:Γ=Γ(0)+hcΓ(1)+hc2Γ(2)+.

(25)の各項:hcΓ(n)が有限になる,ということ

を,先のWT恒等式:Γ~*Γ~=0(34)に基づいて,

帰納法で証明します。

(ⅰ)まず,n=0のtreeレベルでの有効作用

Γ(0)ですが,これは,Planck定数hcを含む量子

効果が全くない古典的な作用積分の

(0)S[Φ~,K;g,,α]=S.(24)に等しく,

それ故,明らかに有限です。

しかも,ΓとΓ~の違いは,(27)のΓ=Γ~

+∫d4x[BΦ+(α/2)B]という

Γ~の定義式にあるように,treeレベルの寄与を

与える項のみですから,初項Γ(0)ではΓ~をΓ

の代わりに用いて論じてもよいということに

なります。さらに,Γ(0)=S(0)=S,Γ~(0)=S~

より,Γ-Γ~=Γ(0)-Γ~(0)=S-S~であり,

この差はtreeレベルと考えられるので.n≧1

のloop積分を含む項ではΓ~(n)=Γ(n)です。 

(ⅱ)次に,n≧1のhcのオーダーまで,

くりこみ定数Z,および,viを,それらをベキ

展開した.(Z)n=1+hc(1)+hc2(2) +..

+hc(n),および,(vi)=0+hci(1)

c2i(2) +..+hci(n).(35)に置き換えて

Γ(0)(1)(2),..Γ(n)が全て有限にできた,

と仮定します。そこで.Zやviに,上記の(35)

式,つまり,((n+1)次以降のZ(n+k),vi(n+k)

(k≧1)を全てゼロとしたもの.に置換して

(23)のS0S[Φ0~,K0;g0,0,α0]

=S[Z31/2μ,..,Z~31/2μ;Z13-3/2,..]

に,Zとして(Z)を.viとして(vi)を代入

した作用積分:(0)S[(Z3)1/μ,....,

(Z~3)1/2μ;(Z1)(Z3)-3/2,.]

=S(0)+hc(1)+..+hc(n)

+hc(n+1)(S(n+1))+hc(n+2)(S((n+2))

+… (36)に基づき,hc(n+1)のオーダーの

有効作用Γ(n+1)を計算します。

(※上記の(36)の展開において,hの(n次以下

のS(m)(m≦n)を.(S(m))としなかった理由

は,Zやviの(n+1)次以降の値:Z(n+k)

i(n+k)(k≧1)を,どう取っても,それらに影響

しないからです。※)

 一方,(n+1)次以降のS(n+k)(k≧1)は,

それらZ(n+k),vi(n+k)(k≧1)に依存します。

しかし,(S(n+k))(k≧1)の方は,Z(n+k)=0,

i(n+k)=0(k≧1)と取ったときの相殺項に相当

するものです。

特に,(S(n+1))はhcのn次以下のZ(m),vi(m)

(m≦n)の積で表わされる,hcの(n+1)次の相殺項

となるもの.を意味します。

(※例えば,Aμの4次項:-(1/4)g02(×)2

=-(1/4)Z123-12(μ×ν)2からは,

1(m)Zi(k)(Z3(l))(ただし,m+k+pl

=n+1,0≦m,k,l,p≦n)の係数を持つ,,,

(n+1)次の相殺項が現われます。

何故なら,例えばZ3-1=(1+hc3(1)+hc23(2)

+..)-1=1-hc3(1)+(hc2/2)Z3(2)-.etc.

です。※)

さて,Γ(n+1)の計算は,帰納法の仮定により,

Γ(m)(m≦n)が全て有限ですから,それらに効く

各々のFeynmanグラフにおいて全ての内部グラフ

は既に有限になっており,出現する可能な発散は,

最後の一番外側のloop積分を実行したとき初めて

現われるもの,つまり,「overallの発散」のみで

ある,と,考えられます。

そして,hc(n+1)のオーダーでoverallの発散

が現われるグラフは,もちろん,loop積分が1個

以上はあるので,その内部にはn次以下の相殺項

のS(m)(m≦n)しか,含むことはできず,そこで

Zやviの(n+1)次以上の項;Z(n+k)やvi(n+k)

(k≧1)の取り方には依存しません。

それ故,このoverallの寄与の総和を

Γoverall(n+1)m=0n(m)]と記すことにすれば,

n次の作用積分:(0)S[(Z3)1/μ,

....,(Z~3)1/2μ;(Z1)(Z3)-3/2,.]

に基づく(n+1)次のΓ(n+1)項の発散部分

は,Γdiv(n+1)= Γoverall(n+1)m=0n(m)]

+(S(n+1))(37)と表わせます。

ただし,右辺の(S(n+1))は,n次以下の,

(m),vi(m)(m≦n)の積のみで作られる

(n+1)次の相殺項です。

ここで,重要な点はoverallの発散:

Γdiv(n+1)は,以前「BPHZくりこみ」の

項で述べたように,外線運動量に関して有限次

までで,場の次元数を数えると,4次以下の局所

的項しか現われない。ということです。

※(注12-1):過去記事「くりこみ理論(7)では,

クラフ:Γの見掛けの発散次数ω(Γ)を与える

公式:ω(Γ)=4-E-(3/2)E+Σniδi(7)

により,ω(Γ)≧0となって発散するグラフΓ

は,E+(3/2)E(外線場の次元)≦4.(8)の

場合のみです。と記述しました。

それ故,今のdim(iint)≦4の場合にω(Γ)≧0

で発散する条件は,E+(3/2)E≦4です。

(注12-1終わり※)

さて,(37)の(S(n+1))も,もちろん相殺項で

発散項ですから,系の裸のLagrangianの作用積分:

0と同様,上記の性質を持つので,(37)のΓdiv(n+1)

も次元4以下の局所的項のみから成っています。

このような局所的項の積分形で与えられる

汎関数を一般に,局所的汎関数と呼びます。

一方,WT恒等式:Γ~*Γ~=0 (34)は,hcの値

に依らず(Zやviの値にも依らず)成立する式です。

つまり,これはhcについての恒等式ですから,Γ~を

cのベキで摂動展開して,左辺のΓ~*Γ~に代入し

c(n+1)の項を取り出すとき,その係数はゼロです。

つまり,Γ~(0)*Γ~(n+1)+Γ~(1)*Γ~(n)

+Γ~(2)*Γ~(n-1)+..=0.(38) が成立します。

先述のようにΓ~()=Γ(m)(m≧1)であり,

そして,左辺の第2項以下は,帰納法の仮定により

有限です。したがって,この式の発散部分のみを

取り出せば,それは左辺のΓ~(0)*Γdiv(n+1)であり

右辺の0の中には,もちろん発散部分はありません。

(※この発散部分は,今の次元正則化の場合,

時空の次元をdとすると,(d-4)-(k≧1)の形

の極の項であり,1つのloop積分で1/(d-4)の

特異性は1次ずつしか出ないのでΓ(n+1)の特異性

は1/(d-4),1/(d-4)2,..1/(d-4)(n+1)まで

です。※)

そして,Γ~(0)=S~(0)=S~ですから,結局,

S~*Γdiv(n+1)=0.(39)なる式を得ます。

この式は,Γ(n+1)にどのような発散が現われ

得るか?を規定する方程式であり,一般に,

「くりこみ方程式(renormalization equation)」

と呼ばれています。

このくりこみ方程式に対しては,次の命題が

成立することを証明できます。

※[命題]:「大局的ゲージ不変でFPゴースト数が

ゼロ,次元が4以下の局所項から成る,ΦI,c,K~I,

の汎関数:Xがくりこみ方程式:S~*­X=0.

(40)を満たすとする。このときXは,(23) の裸の

作用積分:S0=S[Z31/2μ,..,Z~31/2μ

13-3/2,..]で,Zやviをずらせて得られる

変化分;ΔS=δZ(ΔS)+δvi(ΔviS)

=δZ[∂S/∂Z] Z=1Vi=0+δvi[∂S/∂vi]Z=1Vi=0

(41)の形で与えられる。

ただし,SとS~の差はtreeレベルで,その

差は,Zやviには依らないので上記の(41)では

SをS~に置き換えて同一視してもよい。」

 

そして,仮に,この命題が証明されたとすると

今のXが,S~*Γdiv(n+1)=0を満たすΓdiv(n+1)

である場合,これがΓdiv(n+1)=α(n+1)(ΔS)

+βi(n+1)viS)の形に書けることを意味します。

ところが,この形の発散項は,Zやviを(35)

のn次までの(Z)や,(vi)から次に定義する値:

(Z)n+1=(Z)+hc(n+1)(n+1),および,(vi)n+1

=(vi),+hc(n+1)i(n+1).(42)へとずらした

ときに生じるhc(n+1)のオーダーの新たな相殺項:

(n+1)-(S(n+1))=Z(n+1)S)

+vi(n+1)viS)(43)により,Z(n+1)=-α(n+1),

かつ,vi(n+1)=-βi(n+1)と選べば,丁度. Γdiv(n+1)

が吸収されます。

それ故,(42)の(Z)n+1,および,(vi)n+1を(23)

の作用:S0に代入した作用:(S0)n+1に基づいた

有効作用Γは,hc(n+1)のオーダーのΓ(n+1)まで

有限となり,帰納法によるくりこみ可能性の証明

が完結したことになります。

では,以下,実際に[命題の証明]です。

[証明]:結局,くりこみ可能性の証明は

くりこみ方程式:S~*X=0(40)の一般解X

が,X=δZ(ΔS)+δvi(ΔviS)(41),

の形で与えられる,という純粋に代数的な命題

の証明に帰着することがわかりました。

くりこみ方程式:S~*X=0の解Xに関しては.

次元が4以下,大局的ゲージ不変という制限の

ない,次の定理が成立することが知られています。

[定理] 「ΦI,c,K~I,KのFPゴースト数

がゼロの局所多項式から成る汎関数Xで,くりこみ

方程式S~*­X=0.(40)を満たすものは,必ず,

X=Fゲージ不変[ΦI+S~*M[ΦI,c,K~I,K]

(44)の形に書ける。

ここで,Fゲージ不変はΦI=(Aμi)のみで書かれた

ゲージ不変な関数で,MはFPゴースト数が(-1)

の任意の汎関数である。

(44)の形で書かれる汎関数Xがくりこみ方程式:

S~*X=0を満たすこと(解の十分条件)は,S~の

BRS不変性,S~*S~=0,および,Jacobi恒等式

から従う,演算:(S~*)のベキ零性:つまり,

∀Xに対しS~*(S~*X)=-((1/2)X*(S~*S^)

=0.(45)から,自明です。

すなわち,∀F,GについてF*G~

=(-)(|F|+1)G*Fという*演算の対称性から,

GがFに等しいならF*F=-F*Fとなり,,

F*F=0が成立するので,S~*S~=0は自明

です。

一方,Jacobi恒等式から,S~*(S~*X)

+(-)|X|S~(X*S~)

+(-)2(|X|+1)X*(S~*S~)=0ですが,

S~はGrassmann偶なので,X*S~=-S~*Xであり,

XはFPゴースト数-1)でGrassman奇ですから,

2S~*(S~*X)=-X*(S~*S~)=0

が得られます。

それ故,特にS~*(S~*M)=0です。

また,FがΦIのみの関数であれば,

S~*F=(δS~/δK~I)(δF/δΦI)

+(δS~/δK)(δF/δc)

+(-)|S~|{(δF/δK~I)(δS~/δΦI)

+(δF/δK)(δS~/δc)}

=(δΦI)(δF/δΦI)=δFです。

そこで,Fがゲージ不変な関数:Fゲージ不変

なら,それは,BRS不変なので右辺はゼロです。

つまり,S~*Fゲージ不変=0です。

したがって,X=Fゲージ不変+S~*Mの形なら,

S~*X=S~*Fゲージ不変+S~*(S~*M)=0

となります。

以上から,(44)の形のXがくりこみ方程式

S~*X=0の解となるための十分条件を満たす

ことが証明されました。

しかし,証明が自明でない,のは逆の解となる

ための必要条件の方です。

この定理は過去記事「ゲージ場の理論(33)」

で記述した,第5章の§5-10で述べた観測可能量

の一般形に関する定理:§5-10(23)を,外場項:K~I,

を含む場合に拡張したものに相当し,大変有用

なものですが,一般的証明はかなり面倒なので,この

必要性の詳細証明は,観測可能量の定理の場合と同様,

既存の文献に譲って,ここでの記述は割愛します。

 

(※(注12-2):載)過去記事「ゲージ場の量子論(33)」

から,必要参照部分を抜粋して再掲します。

(※再掲開始)[定理]:「Heisenberg場の多項式で

与えられる局所的観測可能量=BRS不変な局所

演算子:Aは次の形を持つ。

(ⅰ)Aの持つFPゴースト数:NFPが負ならば,

Aは零演算子である。すなわち,このとき,ある

演算子Mにより.A=[Q,M]と書ける。

(ⅱ)Aの持つFPゴースト数がゼロならば,

A=Fゲージ不変(Aμ, φi)+[Q,M]と書ける。

ただし,Fゲージ不変は,ゲージ場;Aμと物質場:φi

のみから成る局所ゲージ不変な多項式である。

(ⅲ)Aの持つ.FPゴースト数が正ならば,

A=P[Ii(c);Fゲージ不変[Aμ, φi]+[Q,M]

と書ける。ただし,Pは.局所ゲージ不変関数:

ゲージ不変を係数とするIi(c)の多項式である。

そして,Ii(c)は同一時空点上のゴースト場:

のみの,微分を含まない,カラー1重項の多項式

であり,各時空点ごとに有限個しかない。」

という,今の有効作用:Γdiv(n++1)=Xの一般形に

関する定理に,類似した観測可能量:Aの一般形に

課する定理が.証明抜きで与えられています。

(再掲終了子※)(注12-2終わり※)

さて,途中ですが,長くなったので今回は,ここで

一旦終わります。

(参考文献):九後汰一郎著「ゲージ場の量子論Ⅱ」

(培風館)

 

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