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2020年5月31日 (日)

くりこみ理論(次元正則化)(14)

「くりこみ理論(次元正則化)」の続きです。

前々回まででは,大局的ゲージ不変性と

いう対称性を持った系の有効作用Γを示す

Feynmanグラフがくりこみ可能であること

を証明するために,この有効作用Γ(orΓ~)

を,Γ=Γ(0)+hcΓ(1)+..+hΓ(n)

+hc(n+1)Γ(n+1)+,,と摂動展開し,初項

Γ(0)は作用S(orS~)に等しく有限なので

続くΓ(1)(2)(n)がくりこみで全て有限

にできたと仮定してΓ(n+1)も有限になると

いうことを示す,という帰納法に頼りました。

結局,この証明はΓ(n+1)の発散部分Γdiv(n+1)

を取り出すと,それが謂わゆるくりこみ方程式:

S~*Γdiv(n+1)=0を満たすことを示すことに

帰着することが導かれました。

そして,このくりこみ方程式に対しては,次の

命題が成立します。

これは,「大局が的ゲージ不変でFPゴースト

数ゼロ,次元が4以下の局所項から成る,ΦI,c,

K~I,Kの汎関数:Xがくりこみ方程式:

S~*­X=0を満たすとする。このとき解Xは

裸の作用積分:S0=S[Z31/2μ,.,Z~31/2μ

13-3/2,..]において,Zやviをずらせて

得られる変化分:ΔS

=δZ(ΔS)+δviviS)

=δZ[∂S~/∂Z] Z=1Vi=0+δvi[∂S/∂vi]Z=1Vi=0

(41)の形で与えられる。」 という命題です。

これが証明されればΓ(n+1)が有限になること

を示すことができて帰納法の証明が完結します。

そこで,この命題証明すればいいのですが,

これに関して.次の定理の成立が知られています。

[定理]:「ΦI,c,K~I,KのFPゴースト数

がゼロの局所多項式から成る汎関数Xでくりこみ

方程式S~*­X=0.を満たすものは,必ず,

X=Fゲージ不変[ΦI+S~*M[ΦI,c,K~I,K]

の形に書ける。

ここで.Fゲージ不変はΦI=(Aμi)のみで

書かれたゲージ不変な関数であり,一方,Mは

FPゴースト数が(-1)の任意の汎関数である。」

という定理です。

そして,この形で書かれる汎関数Xが.くりこみ

方程式:S~*X=0を満たすこと(解の十分性)の

成立はほぼ自明で,実際,容易に証明できました。 

しかし,証明が自明でないのは,逆の解となる

ための必要性の方でした。

このXがS~*X=0の解となるための必要性

  の一般的証明は,かなり面倒なので割愛する,と

述べました。ここまでが前々回の記事です。

前回は,当面必要なXが,次元4以下の局所項

から成る大局的ゲージ不変という特別な場合に

限れば必要性が証明できるというので,これを示す

途中での中断でした。結局,くりこみ方程式:

S~*X=0の解Xは­X=∫d4x[fゲージ不変I)

+β{K~I(δΦI)+Ka(δ)}

+(β-γ){Aμ(∂GI/∂Aμ)

-K~μ(∂μ)}

+γφ(d)ijj{∂(GI+K~iδφi)/∂φj}].

(63)と書けます。ただし,次元が4以下である

という条件からfゲージ不変I)の一般形は,

ゲージ不変I)

=α{(-1/4)Fμνaμν}

+αφ{(Dμφi)μφi}-α2φiφi)

-αλ{(λ/2)(φiφi)2}.(62)なる形で

与えられます。と書いたところで,前回記事

を終えました。

さて,今回はその続きです。

既述のように,作用S~は,(47)で与えた

S~=∫d4x[GII)+K~I(δΦI)

+K)].の形をしています。

ただし,δΦI=DIであり,

δ=(g/2)(×)です。

また,*演算は定義(31)によれば任意

  のΦI,c,K~I,Kの汎関数:F.Gに

対して,F*G=(δF/δΦI)(δG/δK~)

+(δF/δc)(δG/δK)

+(-)|F|{(δF/δK~I)(δG/δΦ)

+(δF/δK)(δG/δc)

ですから,S~*(K~μμ)

=(δS~/δAμ)Aμ+(δμ)K~μ

=(Aμ(∂GI/∂Aμ)

+K~μ{∂(Dμ)/∂Aμ}

+(Dμa)K~μです。

故に,証明に必要な第1式:

S~*(K~μμ)=Aμ(∂GI/∂Aμ)

-Kμ(∂μ).(64)を得ます。

次に,S~*(K)

=(δS~/δc)c+(δ)K

=-c(δS~/δc) +K(δS~/δK)

(65)です。

ところが,場(粒子)のFPゴースト数をNFP

  とすると,S~はNFP=0,cはNFP=1,K~I

FP=-1,KはNFP=-2のゴースト数を

持つため.{c(δ/δc)-K~I(δ/δK~I)

-2K(δ/δK)}S~=0(.66)

が成立します。

※(注14-1):何故なら,まず,S~をc,K~I

の関数と見て,ベキ級数展開したもの

を,S~=Σν1,v2,ν3{a(ν123)

×cν1(K~I)ν2×(K)ν3}と表わすと,

{c(δ/δc)-K~I(δ/δK~I)

-2K(δ/δK)}S~

=Σν1,v2,ν3{(ν1-ν2-2ν3)a(ν123)

×cν1(K~I)ν2(K)ν3} となります。

元のS~の展開の各項のベキ次数ν123

は,それぞれ,ゴースト場c;外場K~I,K

に対応する粒子の個数を示しています。

故に,(ν1-ν2-2ν3)は項のFPゴースト

  数を意味します。

一方,左辺のS~のゴースト数はNFP=0

ですが,これは右辺の展開の各項で満たされる

べきと考えられるので,全ての項において

ν1-ν2-2ν3=0が成立すべきで,その結果

としてl{c(δ/δc)-K~I(δ/δK~I)

-2K(δ/δK)}S~=0が得られます。

(注14-1終わり※)

したがって,(65)のS~*(K)

-c(δS~/δc) +K(δS~/δK)

は,S~*(K)=-K~I(δS~/δK~I)

-K(δS~/δK) と書き直せます。

故に,必要な第2式として,

S~*(K)

=-K~I(δΦI) -K(δ).(67)

を得ました。

最後に,S~*K~i=δS~/δφi

=δ{(GI+K~(δφj))/δφiです。

以上から,再掲(63)式:

X=∫d4x[fゲージ不変I)

+βA【K~I(δΦI)+Ka(δ)}

+(β-γ){Aμ(∂GI/∂Aμ)

-K~μ(∂μ)}+γφ(d)ijj

{δ(GI+K~jδφj)/δφj}](63)

の被積分関数は,fゲージ不変I)

-βS~*(K)+

-γ)S~*Kμaμ)

+γφ(d)ijjS~*K~j]と書けます。

すなわち,Xは,X=∫d1x[fゲージ不変I)

+S~*{(β-γ)Kμaμ -β

+γφ(d)ijjK~j}].(68)の形となり,

これは,定理が主張する(44)の形の解:

X=Fゲージ不変[ΦI+S~*M[ΦI,c,K~I,K]

に合致する,ことがわかり定理の必要性が証明

されました。つまり,これで.次元4以下で大局的

ゲージ不変な場合に,先の定理が証明されたわけ

です。(※大局的ゲージ不変性について,S~の

K~i(δφi),XのK~i~φi)の部分は疑問

ですが,これは議論の本質には無関係のようです。

要するに,追加の外場K~iの問題なので?※)

さて,まだ,直接,必要とされる先の命題の

結論となる形に書けること,つまり,解Xが作用

積分:S0=S[Z31/2μ,..Z~31/2μ

13-3/2,..]で,Zやviをずらせて得られる

変化分:δZ(ΔS)+δvi(ΔviS)(41)の形

で与えられる。ということを透明する仕事が

残っています。

これを証明するにはXの表式:(63)(再々掲)

X=∫d4x[fゲージ不変I)

+β{K~I(δΦI)+Ka(δ)}

+(β-γ){Aμ(∂GI/∂Aμ)

-K~μ(∂μ)}

+γφ(d)ijj{∂(GI+K~iδφi)/∂φj}].

を出発点とする方が早道です。

まず,唐突ですが,次式:

{Aμ(∂/∂Aμ)-g(∂/∂g)}GII)

=2{(-1/4)Fμν2}.(69)が成立することに

注意します。(※ただし,(-1/4)Fμνaμν

を,(-1/4)Fμν2と略記しました。※)

これは,)で(gAμ)をAμ

変数変換すれば,物質場:ΦIのLagrangianの部分

は,gに依らなくなる。ということから従います。

※(注14-2):実際,(gAμ)の1次の項は,

μ(∂/∂Aμ)の作用で(gAμ)となり,

g(∂/∂g)に対しても同じ(gAμ)になる

ため,これに比例した項は演算の結果として

消えます。すなわち,

{Aμ(∂/∂Aμ)-g(∂/∂g)}GII)

{(g,Aに独立な比例係数)(gAμ)}=0です

。残るのはFμν内の(gfabcμν)

のように,Aμの2次以上の項の場合で,

{Aμ(∂/∂Aμ)-g(∂/∂g)}

(gfabcμν)

=gfabcμν ですから.Fμν2

への演算の場合,この項から因子2が出ます。

gを含まないAのみの項ではAμ(∂/∂Aμ)

の作用は,各項で時空微分に関係なく元の項の

Aの次数倍を与えるので,(∂μν-∂νμ)2

に作用させると,2((∂μν-∂νμ)2です。

結局,{Aμ(∂/∂Aμ)-g(∂/∂g)}

(Fμν2)=2Fμν2)が得られます。

(注14-2終わり※)

次に,K~(δΦI)+K)では,

K~(δΦI)=(Dμ)の中の項:

K~μ(∂μ)が,gの0次項である以外,

全てgの1次の項ばかりなので,

{g(∂/∂g)-1}{K~(δΦI)+K)}

=-K~μ(∂μ).(70)となります。

これと先の(69)の

{Aμ(∂/∂Aμ)-g(∂/∂g)}GII)

=2{(-1/4)Fμν2}から

∫d4x{Aμ(∂GI/∂Aμ)-K~μ(∂μ)}

=gδS~/δg)+∫d4x[2{(-1/4)Fμν2}

-{K~(δΦI)+K)}].(71)です。

そこで,これらを(63)に代入します。fゲージ不変I)

については,(62)の具体的で陽な表式を代入すると,,

X=∫d4x[(α+2β-2γ){(-1/4)Fμν2}

+αφ|Dμφi|2-αμ2i|2-αλ{(λ/2)|φi|4}

+γ{K~(δΦI)+K)}]

+γφ(d)ijj(δS~/δφj)

+(β-γ)g(δS~/δg)].(72)という

解Xの表式を得ます。

一方,作用積分S~の引数の物質場,外場に,

0μ=Z31/2μ0i=Zi1/2i,+vi)

=Zi1/2φ~i,(c0,c0~)=Z~31/2(c,c~)

(15),K0μ=Z3-1/2μ,

0i=(Z~31/231/2/Zi1/2)Ki(18)

0c=Z31/2(19),g0=Zi3-3/2g.(20)

で指定されるZ,やviを含んだ裸の量:Φ0II,K0I,

0c,g0を入れたものを求めると,次のように

なります。

S~[Z31/2μ,..Z3-1/2μ,..Zi3-3/2g...]

=∫d4x[Z3(-1/4){∂μν-∂νμ

-Z13-1g(μ×ν)}2

+Zi|∂μφ~i+Z13-1g(T)ijμφ~j|2

-Ziμ2|φi|2-Zλi2(λ/2)|φ~i|4

+Z~3μ{∂μ-Z1-1g(μ×)}

-Z3K~iiZZ3-1g(T)ijφ~j

+Z~3(Zi3-1g/2)(×)].(73)

ただしZとZλは,今,陽に考えている物質場

の質量と,λφ4相互作用の結合定数λのくりこみ

因子として定義されています。

つまり,μ02=Zμ20=Zλλ.(74)です。

さて,Z因子やvをずらしたときのS~の

変化分は,(73)のS~の表式を微分して,

ΔS~=δZ(ΔS~)+δviS~)

=∫d4x[(-1/4){δZ3(F~μν(0))2

-Z3(0)(2δg~)(μ×ν)Fμν(0)

+δZi|D~μφ~i(0)|2

+Zi(0)(2iδg~)(T)ijμφ~jD~μφ~i(0)

+2(δvi)Zi(0)(ig(0))(T)ijaμD~μφ~i(0)

-{(δZ)Zi(0)+Z0)(δZi)}μ2|φ~i|2

-Z(0)i(0)(δvi)(∂/∂φ~i)(λμ2|φ~i|2)

-{(δZλ)Zi(0)2+Zλ0)(2δZi)}(λ/2)|φ~i|4

-Zλ(0)i(0)2(δvi)(∂/∂φ~i)(λ|φ~i|4/2)

+K~μ{(δZ~3)(Dμa(0))}

+Z~3(0)(δg~)(μ×)}

-{(δZ~3)g~(0)+Z~3(0)(δg~)}

×K~ii(T)ijφ~j(0)

-Z~3(0)K~iig~(0)(T)ij(δvl)

+(i/2){(δZ~3)g~(0)+Z~3(0)(δg~)}

(×)] と書けます。

ただし,0次近似では,Z(0)は全て1,vi(0),

j(0)は.全て0,g~(0)=gとします。

また,F~μμ=∂μν-∂νμ

-Z13-1(μ×ν),g~=Z13-1g,

D~μφ~i=∂μφ~i-ig~(T)ijμφ~j.

D~μc=∂μc-g~(μ×)としています。

そして,δZ,δvはZ(0)=1,v(0)=0から

  の変化分と考えます。

それ故,結局,δZ(ΔS~)+δviS~)

=∫d4x[δZ3{(-1.4)Fμν2}+δZi|Dμφi|2

-(δZ+δZi2i|2

-(δZ+δZλ)(λ/2)|φi|4

+δZ~3{K~I(δΦI)+K(δ)}]

+δvi(δS~/δφi)

+(δZ1-δZ3)g(δS~/δg)(75)

となります。

この形は,丁度,(72)で与えたくりこみ方程式

  の一般解:Xの表式にピッタリ一致します。

すなわち,くりこみ因子のずれ:δZ,δvは

(72)のパラメータ:α,β,γから次のように

決まります。

δZ3=-(α+2β-2γ),δZ~3=γ,

δZi=-αφ,δZ=-α+αφ,

δZλ=-αλ+2αφ,δvi=γφ(d)ijj,

δZ1=-(α+3β-3γ).(76)です。

(※符号が逆になっているのが多いのは,Xの

表式をΓの発散項としたとき,それがS~の

変化分で相殺されると考えるからです。※)

以上で,命題の証明,すなわち,ゲージ理論

のくりこみ可能性の証明が完了しました。

※(注14-3):ここまで,一貫して,大局的ゲージ

不変な理論がくりこみ可能であることを示して

きたわけですが,そもそも局所ゲージ不変理論

(第2種のゲージ変換)に対して不)な理論)なら,

時空点ごとに異なるゲージ変換のパラメータ

(位相)を,全ての時空点で同じ定数とした特別

な場合でも不変性は維持されるので,局所的

ゲージ不変なら,必ず,大局的ゲージ不変

(第1種ゲージ変換に対して不変)なので,

局所ゲージ不変な理論もくりこみ可能で

あることが示されたわけです。

逆の大局的ゲージ不変なら局所ゲージ不変

というのは必ずしも成り立ちませんがね。

(注14-3終わり※)

  • 7-4の目的であったゲージ理論のくりこみ

可能性の証明問題が完了して一段落です。

今日,これのアップは2020年5/31ですが,実際に

この原稿をつj作ったのは10日くらい前で,既に

新しい項の原稿(15)を書いている途中です。

米印参照ノートは「ゲージ場の量子論(5)」と題名

の付いたノートで,日付けがあるのは1ページ目の

(通算467ページ目)の1997年3/20(47歳)と最後

の通算573ページ目の1999年5/24(49歳)のみで

今日の原稿の内容を書いたのは,その間であろう

としか,わかりません。

そして,この題名のノートの全ては,今部屋の

どこにあるのかは真剣に探してみないと不明

ですが,確か,「ゲージ場の量子論(6)」が最後

で,2000年2/1(50歳)の前には読了して終了

したはずです。※

いずれにしろ,今回はここで終わります。

(参考文献):九後汰一郎著「ゲージ場の量子論Ⅱ」

(培風館)

 

 

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