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2020年6月

2020年6月21日 (日)

冷温蔵庫の騒音の原因がわかりました。

 まだ買って半年くらいのペルチエタイプの冷温蔵庫

いっても,今のところ冷やすほうしか使用してませんが

本格的なコンプレッサーもないのに,最近えらくうるさい

思いました:。音がする原因のモーターは冷却ファンのみ

で,それの故障か劣化かなと思って,もっと別のに買い替え

ようかなど検討していて,ふと電源コードを抜いて差し替え

ようとしたところ.なんと2電源のACでなく車載用のDC電源

つながっているのがわかり,正しいACに差し替えると全く

静かになりました。

 バカですね。。また無駄遣いするところでした。

2

日後 久しぶりに病院行って帰ってスイッチいじってると

また騒音 。。

どうも欠陥品か仕様でしかたないのか。スイッチオフしました。

50年前の1970年私20歳で,明治公園から日比谷公園まで

2日続けてヘルメットに覆面でデモをやった記憶がある日

安保粉砕を叫んで。。沖縄の日でもありましたね。。

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2020年6月13日 (土)

くりこみ理論(次元正則化)16)

「くりこみ理論(次元正則化)」の続きです。

§7-5:(質量に依らない対称なくりこみ)

の続きからです。以下,本論です。

※(有効作用のくりこみ)の項です。

前記事の「質量に依らないくりこみ」

により得られる有効作用Γ[φ~,m2,λ;μ2]

を考えます。(※φi~はスカラー場:φi

期待値を表わしています。)

今は,φの脚のない真空泡グラフは,考慮

していないので,Γ(0)については,省くと

,Γ[φ~,m2,λ;μ2]

=Σn=2(1/n!)∫(2π)-441.∫(2π)-44n

(n)i1i2..in(,m2,λ;μ2)(2π)4δ(Σj)

×φi1~(-p1i2~(-p2)..φin~(-pn)].(18)

と展開され,係数としてのn点頂点関数:Γ(n)

が,Pと2の有限な関数として計算されます。

展開:(18)は,φi~=0の対称な真空のまわり

の展開ですから,各頂点関数Γ(n)は,対称な

真空の上の頂点関数に対応しています。

しかしながら,上記くりこみ操作を各Γ(n)

個々の頂点関数のくりこみと,摂動論的に考える

ことなく,むしろ有効作用Γ[φ~,m2,λ;μ2]

という1つの量に対するくりこみと見なすこと

もできます。

この観点を取れば,Γ自体は,Γ(0)=Sがλφ4

の項を含むため,4次発散の量ですが,それを次元

1を持つ引数φi~(p)で展開すれば,発散が1次

ずつ下がるので,展開で考えるとΓ(0)(2)(4)

までが発散し,これらはそれぞれ,4次,2次,対数

の発散量となりますが,真空泡グラフの寄与Γ(0)

は考慮する必要がないので,無視します。

さらに,Γ(2)(4)を引数p2とm2で展開し,

その初めの展開でΓ(2)の定数項:Γ(2)|p2=m2=0,

2の係数:(∂Γ(2)/∂p2)|p2=0.2m2=μ2,

(m2-μ2)の係数:(∂Γ(2)/∂m2)|p2=0,m2=μ2.

Γ(4)の定数項Γ(4)|p2=0,m2=μ2.(19)の4つの

量だけが発散するので,これらに対して.先の

(2)~(5)のくりこみ条件下で指定される引き算

操作をしたものが,有効作用Γのくりこみ操作

であると,考えることができます。

こうした立場では,有効作用Γを,φi~の汎関数,

かつ,m2の関数として丸ごと有限化したのであり.

展開:(18)のように,対称な真空:φi~=0 の上の

n点頂点関数:Γ(n)のそれぞれを有限にしたもの

ではない,という点が重要です。

つまり,Γを有限にするのに,そのφi~による,

φi~=0のまわりのTaylor展開で,初めの発散する

係数を持つ4項だけを(19)の指定により,引き算操作

しただけであり,決して,それ以降の収束する項まで,

φi~=0のまわりのTaylor展開と見る必要はない,

ということです。

このことは,通常のBPHZくりこみにおいて

発散するFeynman積分の被積分関数に対して,その

外線運動量pに関してTaylor展開した初めの数項

を引き算した手続きと丁度,同じで,その場合も.

決して,被積分関数をp=0のまわりに無限次まで

展開したわけではなく,初めの数項を引き算した

残りの積分は,展開などせず,単に有限な関数である

としたのと同様な見方ができます。

それ故,(19)の4項を引き算することで,有効作用

Γは,φ~の有限な汎関数,かつm2の有限な関数と

なるわけです。

このような単に見かけの違いに過ぎないような

「有効作用のくりこみ]という立場を強調する

のは。次の理由からです。

実際のところ,対称性が自発的に破れる場合,

特に,質量パラメータm2がある負の値(-M2)を

取る場合に興味があります。

この場合にはφ~i=0の対称な真空は不安定で

あり,Feynman伝播関数にタキオン(tachyon)の極

(p2<0の領域の極)が出てくるので,φ~=0のまわり

の展開(18)の係数で与えられる真空上のn点頂点関数

Γ(n)は無矛盾(well-defined)な量でなくなります。

(※つまり,この不合理なタキオンの極をどのように

避けるのか?がまだ指定されていません。)

しかし,Γ[φ~,m2,λ;μ2]自体は,m2<0の

領域でも無矛盾です。

2=-M2<0の場合には,まず,有効作用Γの

引数:φi~(x)を定数φi~(※これは運動量表示の

φi~(p)では,φi~(p)=∫d4xexp(ipx)φi~(x)

なので,φi~の(2π)4δ4(p)倍に相当)に置いて

得た有効ポテンシャル:V[φi~,-M2,λ;μ2]

=Γ[φi~(x)=φi~,-M2,λ:μ2]/∫d4x.

(20)の停留条件:∂V/∂φi~=0を満たす安定な

真空解:Φi~=viを求めます。

次に,有効作用Γをφi~(p)=vi(2π)4δ4(p)

のまわりで,汎関数Taylor展開を実施すれば.

Γ[φi~,-M2,λ:μ2]

=Σ(1/n!)∫(2π)-441.∫(2π)-44n

v(n)i1i2..in(,m2,λ;μ2)(2π)4δ(Σj)

×φi1^(-p1i2^(-p2)..φin^(-pn)].

ただし,φi^(p)=φi~(p)-vi(2π)4δ4(p)

(21)と書けます。

このとき,係数Γv(n)が,その安定な真空上の

期待値:vi=<φi~(ⅹ)>上でのn点頂点関数

を与えます。この場合,もちろん,φi~=viには

タキオンはなくΓv(n)はWell-definedです。

この手続きでは,(20)の有効ポテンシャルVも

(21)の有効作用Γも同じく,既に有限になっている

量と見ることができて,m2を負の値に取ったから

といって,新たにくりこみをやり直す必要など

ないとわかります。

結局,m2=-M2<0の対称性の自発的破れのある

理論も「対称な理論の相殺項」でもって,くりこむ

ことができるわけです。

何故なら,ここで用いた有効作用に対する引き算

項は(19)に与えた4項で,それらは質量パラメータ

2がゼロ,または.μ2>0の対称な理論の相殺項

であったからです(※もう少し正確には対称な理論

のくりこみ因子Zと言うべきです。実際の相殺項は

m2φ2のようにm2に陽に依存しています。)

※(注16-1):私的解釈では,有効作用Γを複素数m2

の複素関数と見て,m2=0,m22の物理的領域から

2が負の領域まで特異点を避けて解析接続できる

とすれば,実際には発散する関数という解析関数

としては有り得ない量を考察しているという点で,

数学的には問題あり,ですが,これを除けば物理的

には理解できます。(Diracの超関数の例なと同様)

発散する裸の量でなく相殺項を引いて,くりこんだ

Γを質量m2について解析接続するなら数学的にも

題ないことに後で気づきました。 

(注16-1終わり※),

このような「有効作用のくりこみ」という観点

に立ち,質量に依らないくりこみ処法を用いて,対称性

が破れている理論,を対称な理論の相殺項でくりこむ

方法を「質量に依らない対称なくりこみ」

(Symmetric mass-independent renormalization)

略して,「SMIくりこみ」と呼びます。

以上のことから前節のゲージ理論のスカラー場の

部分に,このSMIくりこみを適用すれば,対称性が

自発的に破れてHiggs現象が起こっているような

場合でも,くりこみ可能であることが,対称な場合

のくりこみ可能性から従うことが理解されます。

さて,次は,※(ゲージ場の質量項による赤外正則化)

の項です。

ここで,少し話題が変わりますが,質量に依らない

くりこみの1つの応用として,ゲージ場の質量項

(1/2)m2Aμ2を付加することにより,対称性の自発的

破れのないゲージ理論における赤外発散を正則化する

方法について考察してみます。

赤外発散は,例えばQCD(quantum chrono-dynamics

量子色力学)において,零質量のグルオンというゲージ

粒子のみが回るloop積分:∫(2π)-44lで,被積分

関数が,運動量lに関して4次以下であれば外線運動量

を全てゼロにしたとき,l~0の赤外側で,積分が発散

するという問題のことです。

したがって,これは外線運動量:p=0のまわりでの

Taylor展開で紫外発散を引くという元々のBPHZ

くりこみをゲージ理論に適用しようとするときにも,

起こる問題であり,零質量粒子のみから成るloopの

グラフの対数発散項は赤外でも発散し元のBPHZ

の手続きが使えなくなります。

もちろん,外線運動量pをゼロ以外の点におけば

積分は問題ないのですが,pはLorentzスカラーでは

ないので,p=0以外の点を選ぶと,かなり面倒なこと

になります。

そこで,ゲージ場に.仮にゼロでないし質量mを与え,

p=0でも赤外発散が生じないようにするのが,この

赤外正則化の方法です。,

実際に求めたいものは,m=0の理論ですが,まず,

ゲージ場が一般の質量mを持つ場合に枠を広げた後

に「質量に依らないくりこみ法」を適用してm2

あるくりこみ点:μ2(>0)の(p=0でも赤外発散の

ない)ところでの相殺項によって任意のmを持つ理論

を全て有限にするわけです。

ゲージ理論のBRS不変なLagrangianにゲージ場

の質量項:(1/2)m2μ2を付け加えても(他の次元2

のスカラー場の質量項が少し変化を受ける点以外

には)そのまま,くりこみ可能であることは以前の

命題1とSymmanzikの定理から,ほぼ明らかです。

しかし,今の場合,線形でもなくBRS対称性を

破る項を付加する点や,対数発散の相殺項は全て

BRS不変でないm2=μ2の理論のものを用いる

点から,若干,不安をおぼえるかもしれないので,

念のため,以前のWT恒等式を用いた議論を質量項:

2μ2/2がある場合に拡張して,これらのこと

を,以下で直接証明することにします。

まず,ゲージ場の質量項:m2μ2/2がある場合の

WT恒等式を導きます。

前節で与えたBRS不変な作用積分Sに.この質量項

と,BRS変換の外場項を加えた作用積分をIとします。

すなわち,I=S+∫d4x{m2μ2/2+Mδ(Aμ2/2)}

(22)です。

(※S=∫d4x{L(ΦI)+KIΦI})

+K(δc)}です。)

ここで,δ(Aμ2/2)=Aμ(Dμ)

=Aμμa (23)です。

また,外場:Mは次元が1,FPゴースト数が

FP=-1の量です。

系の作用積分Iに対応する有効作用Γに

対するWT恒等式は,前の§5-6と同様にして,

(δΓ/δΦI)(δΓ/δKI)

+(δΓ/δc)(δΓ/δK)

+i(δΓ/δc~)B=m2(δΓ/δM).(24)

となります。

※(注16-2):上記(24)を第5章のBRS対称性

を持つ系のWT恒等式の基本に戻って証明します。

[証明]:作用積分を,引数を陽に書いてI[Φ,K,M]

とすれば,連結Green関数の生成汎関数:

W(J,K,M)=I(Φ,K,M)+J・Φは.

exp{iW(J,K,M)}

=∫DΦ[expi{I(Φ,K,M)+J・Φ},

なる等式を満たします。ただし,J・Φ

=∫d4x{JIΦI+J~c+Jc~+JB})

です。

この式で,汎関数積分(配位空間経路積分)

の内部にBRS変換を行なえば,BRS不変で

ないのはIの中の(m2μ2/2)項とJ・Φのみ

であり,一方,真空はBRS不変:Q|0>=0

なので,左辺=exp(iW)=exp{i(I+J・Φ)}

のBRS変換

=<0|[iQ,Texpi(I+J・Φ)}|0>=0

という恒等式が成立します。

そこで∫DΦ [m2{(δ(Aμ2/2)+JI(δΦI)

-J ~ c~(δ)-iJa}exp(iW(J,K,M)]

=0, つまり,[m2(δ/δM)+JI(δ/δKI)

-J~c~(δ/δKc)-iJ(δ/δJ)]

×W(J,K.M)=0 なる恒等式を得ます。

そこで,Legendre変換:Γ[Φ,K,M]

=W[J,K,M]-J・φによって,有効作用:Γ

を定義すれば,-(-)|I|I=(δΓ/δΦI),であり

,WのK,Mによる左微分は,Γのそれに等しいので.

左微分:(δ/δKI)W=(δ/δKI)Γ,および,

(δ/δM)W=(δ/δ)Γを,それぞれ,単に

δΓ/δKI,および,δΓ/δMと書けば,

WT恒等式として,

2(δΓ/δM)-((δΓ/δΦI))(δΓ/δKI)

-(δΓ/δc)(δΓ/δKc)

-i(δΓ/δc~)B=0(24)が得られます。

[証明終わり] (注16-2終わり※)

他のNL場,反ゴースト場の運動方程式

から従う§7-4で論じた後2つのWT恒等式:

δΓ/δB=fIΦI+w+αB.および,

I(δΓ/δKI)+i(δΓ/δc~)=0は,

ゲージ場の質量項の付加で変更を受けません。

そこで,以前の§7-4でやったように作用I

と有効作用ΓからB依存部分を除いた,I~,

Γ~を定義し,また,外場KIの代わりに,変数

K~=KI+ic~Iを用いれば,c~への

依存性も消えます。

こうすれば,後の2つのWT恒等式は不要

となり,残るWT恒等式:(24)は*演算を用いて

Γ~*Γ~=m2(δΓ~/δM).(25)と,書き直す

ことができます。

この恒等式(24),方程式(25)は,実は元々,

ΦI0,K~I0,M0等の裸の量を引数とする,裸の

有効作用Γ~0に対して成立している裸の式

ですが,これをくりこんでも同じ形になる

ように§7-4の(15):A0μ=Z31/2μ,

φ0i=Zi1/2i,+vi)=Zi1/2φ~i,

(c0,c0~)=Z~31/2(c,c~),(18):

0μ=Z3-1/2μ,および,

0i=(Z~31/231/2/Zi1/2)Ki,

さらに,(19):K0c=Z31/2,

そして,(20):g0=Zi3-3/2g.を

考慮します。

そして,ゲージ場Aμの2乗質量m02

外場:M0についても,m02=Z2,

0=Z31/2Z~31/2M.(26)として,

くりこみを行ないます。

すると,(24)は元々,Γ~0を含め全ての量

に添字0を付けた裸の量で成立する恒等式

ですが,これが,くりこんだ量:Γ~と,ΦI,K~I,

,K.m2,Mで書かれた恒等式となり,

共通因数の(Z31/2Z~31/2)をはずすと,裸の式と

同じ形になります。

ゲージ場の2乗質量m2に関しては,

「質量に依らないくりこみ」をしていますが,

(26)のm02=Z2で,ゲージ場の裸の質量

はm2に比例する部分しかない,と暗に述べて

います。これはゲージ対称性(BRS対称性)に

より,m2=0なら,裸の2乗質量は,(m02-δm02)

ではなくて,m02であり,これもゼロであることが

保証されているからです。

前と同様,数学的帰納法により,hcのオーダー

まで有限にくりこめた,と仮定すると,hc(n+1)の

オーダーで現われる発散Γdiv(n+1)は,WT恒等式

(24)を書き直した(25)Γ~*Γ~=m2(δΓ~/δM)

より,Γ~(0)=I~であり,

I~*Γdiv(n+1)=m2(δΓdiv(n+1)/δM)なる

方程式を満たすことが従います。

それ故,今度の場合は前のS~*X=0と

違って,I~*X=m2(δX/δM.(27)という

くりこみ方程式の解:Xの一般形を求めればよい,

ということになります。

まず,Xは次元が4以下であるとして,次元2

を担うm2の高々1次関数として,X=X0+m21

(28)(X0,X1はm2に独立な量)と書いてよい

ことになります。

(※次元4のm4の項は場によらないので,今の

真空泡グラフを考えない場合,落とします。)

また,作用積分:I~でも,m2部分を分離して

I~=I~0+m2I~1.(29)とします。

このとき,I~0=S~+∫d4x{M(Aμμ)},

1=∫d4x(m2Aμ2/2)+MAaμ (30)です。

すると,(27)のI~*X=m2(δX/δM)は,

(I~0+m2I~1)*(X0+m21)=m2(∂X0/δM)

+m4(δX1/δM)となり,これはm2の多項式と

して恒等式なので,両辺の同じm2べきの係数

を等置して,方程式:I~0*X0=0.(31),

I~1*X0-(δX0/δM)=-I~0*X1.(32)

I~1*X1-(δX1/δM)=0.(33)を得ます。

これを,(33),(32),(31)の順に解きます

そこで,まず,I~1-(δX1/δM)=0ですが,

X=X0+m21より,X1は次元2以下の量です。

これが,大局的ゲージ不変性とFPゴースト数

FP=0を満たす,という要求を考慮すると,

その一般形は次式で与えられることが

わかります。

すなわち,X1=∫d4x{aAaμ2/2+b|φi|2}

(34)(a,bは定数)です。

ゲージ群がU(1),またはU(1)因子群を含む

場合は,Mcの項も要求を満たすように見えます

が,c(―x)→ ―c(x),M(―x)→ M(x)

なので.CPT不変性からこの項は(34)から排除

されます。とにかく,cの奇数次の項などは存在

し得ません。

一方,I~1=∫d4x{Aμ2/2}(30)なる陽な

表式と.§7-4の演算*の定義から,任意のXに

対して.I~1*X=Aμ(δX/δK~μ).(35)

です。そこで,(34)のX1は,任意のa,bについて,

1*X1-(δX1/δM)=0.(33)の方程式を満たす

ことがわかります。

(※何故なら,δX1/δK~μ=0,かつ,δX1/δM=0

であるからです。)

この(33)の解である(34)のX1を,(32)の方程式

I~1*X0-(δX0/δM)=-I~0*X1の右辺に

代入すると.{Aμ(δ/δK~μ)-(δ/δM)}X0

=-aAμ(∂μ).(36) を得ます。

(※何故なら.I~0*X1においては,φiに関わる

項:(δI~0/δKi)(δX1/δφ)

と(δI~0/δKi)(δX1/δφ)が,相殺して

消えて,Aμに関する項だけが寄与するからです。)

ここで.X0=aMAaμ∂(∂μ)が(36)の特解

になるのは,明らかです。

斉次(同次)方程式:{Aμ(δ/δK~μ)

-(δ/δM)}X0=0の一般解を求めるため,

K^μ­=K~μ+MAμ.(37)と置けば,

δX0/δK~aμ=δX0/δK^μ,および,

δX0/δM=Aμ(δX0/δK^μ)

(※X0はK^aμを通してのみMに依存)

となります。

故に,同次方程式は左辺=δX0/δK^μ

=0,つまり,これの一般解はK^μに独立な

任意の汎関数です。

よって,このX0の同次解をX~0と書けば,

(36)の一般解は,X0=X~0

+∫d4x{aMAaμ(∂μ)}(38)と書けます。

以後,変数として,Φ,c,K~i,Kの他に

(37)のK^μを採ることにすれば,X~0はK^μ

独立なので,Mに依存しない汎関数です。

最後に,方程式:(31)I~0*X0=0に.

上の(38)のX0を代入します。

すると,I~0=S~+∫d4x{M(Aμμ)}

ですから,S~*X~0

+M∫d4x[∂μ(δ/δK^μ)

-Aμμ(δ/δK)]X~0=0.(39)

が得られます。

※(注16-3):何故なら,まず,S~*{MAμ(∂μ)}

=(δS~/δK^μ)(δ/δAμ){MAμ(∂μ)}

=(δμ)(δ/δAμ){(δ(-MAμ2/2)}

δ(-MAμ2/2)]=0を用いると,

S~*X0=S~*X~0が導かれます。

Mの項は,[∫d4x{M(Aμμ)}*X~0

=M∫d4x(∂μ)(δX~0/δK^μ),

-MAμμ(δX~0/δK)です。

そして,M2の項は同じものの*積なのでゼロ

です。つまり,[∫d4x{M(Aμμ)}*

[∫d4y{M(Aμμ)}]=0 です。 

(注16-3終わり※)

そして,(39)の第1項はMに依存しないので,

第1項と第2項は,それぞれ独立にゼロです。

すなわち,S~*X~0=0,かつ,

M∫d4x[∂μ(δ/δK^μ)

-Aμμ(δ/δK)]X~0=0. です。

ところが,S~*X~0=0の解は,前節で,

方程式:S~*X=0を解いた一般解Xと

同じ形で与えられます。

つまり,S~*X=0の一般解:Xは,

X=∫d4x[fゲージ不変I)

+β{K~I(δΦI)+K(δ)}

+(β-γ){Aμ(∂GI/∂Aμ)

-K~μ(∂μ)}

+γφ(d)ijj

{∂(GI+K~iδφi)/∂φj}].(63)

でしたが,この右辺の表式で,K~μを,

K^μ=K~μ+MAμに,置き換えたもの

が.今のS~*X~0=0の一般解:X~0

与えます。

特に,X~0の,K^μ,K依存部分を

X~0と書ヶば,X~0K=K^μ(∂μ)

-βg(μ×)}

+K(g/2)(×)}(40)である

ことがわかります。

ところが,このX~0Kは,(39)の第2項の

M∫d4x[(∂μ)(δ/δK^μ)

-Aμμ(δ/δK)]X~0=0を自動的

に満たします。(※証明は省略)

それ故,これ以外のK^μもKも含まない

部分を加えた全体のX~0をX0に置換しても,

これが満足され,結局,このX~0が(31):I~0*X~0=0

の一般解を与えることがわかります。

 以上から,解:X=X0+m21は(34),(38)により,

X={X~0-γMAaμ(∂μ)}

+∫d4x[(a0+γ)MAμ(∂μ)

+am2μ2/2+bm2|φi|2](41)

で与えられることになります。

このうち,|X~0-γMAaμ(∂μ)}は,

前節の(63)の一般式に一致し.既にBRS不変な

作用S~のZ因子やviをずらして得られる相殺項

で相殺できる,ことを示しました。

今度の作用積分Iで新たに加えられた部分:

(I~-S~)=∫d4x{m2μ2/2+M(Aμμ)}

において,くりこみ操作を実施すれば,

裸の,(I~-S~)0

=∫d4x{Z32μ2/2

+Z3mZ~3M(Aμμ)}(42)

となるため,Z因子をずらすと,Δ(I-S)

=∫d4x{(δZ+δZ3)m2μ2/2

+(δZ+δZ3m+δZ~3)M(Aμμ)}

(43)を得ます。

それ故,前節のδZ3=-(α+2β-2γ),

δZ~3=-γに加えて,a+δZ+δZ3=0,

(a0+γ)+δZ+δZ3+δZ~3=0δを

要請して.δZ=-a+(α+2β-2γ)(44)

とすると,(43)の2つの項が,丁度,(41)の第1項

と第2項を相殺します。

残る(41)の最後の項:(-bm2i|2)については,

(63)のμ2に比例する発散項(-αμ2i|2)と一緒

にして,スカラー場の裸の質量項を,

-(Zm1μ2+Zm2bm2)Zii|2.(45)と分離して

おけば,2つの相殺項を用意することができます。

以上で,ゲージ場の質量項を加えても,スカラー場

の質量項が少しの変更を受けるだけで,ゲージ理論は,

くりこみ可能に留まるという予想を証明すること

ができました。

しかし,これは,あくまで,赤外正則化の暫定的

方法であることに注意すべきです。

何故なら,そもそもゲージ場の質量がゼロでない

理論は,有限にはできても,BRS不変性を持たず,

故にBRS電荷:Qは保存されないし,ベキ零性

δ2=0も成立しないから,物理的解釈のできる

理論とはならないからです。

例えば,Paulli-Villers正則化では,ゲージ粒子

の作るloop積分の対数発散部分はln(Λ2/m2)の

形となり,Λ2→∞で紫外発散,m2→0で赤外発散

しますが,とりあえず両者とも相殺項で有限に

できることは示しました。

そこで赤外発散については正則化の後にm2→0

の極限を取ったとき,無矛盾に留まればいいです。

(※QEDでは、エネルギーがゼロの無数の実光子の

寄与が,無数の仮想光子の寄与で相殺される,という

方法で赤外破局(Infrared catastrophe)は解決され

ました。)

 これで,第7章が終わったので,ここで,この記事

シリーズを一旦,終わります。

(「くりこみ理論(第2部)」につづく)

(参考文献):九後汰一郎著「ゲージ場の量子論Ⅱ」

(培風館)

 

 

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2020年6月 7日 (日)

くりこみ理論(次元正則化)(15)

くりこみ理論(次元正則化)」の続きです。

「くりこみ理論(次元正則化)(10)」の最後の方

から始まった,「ゲージ理論のくりこみ可能性」

を証明するという課題は,記事(11),(12),(13)を

経て前回の記事(14)でやっと完了しました。

6月に入りました。

今回は第7章の新しい節である:

§7-5:(質量に依らない対称なくりこみ)からです。

以下,本論です。

前節のゲージ理論のくりこみ可能性の議論

では,「対称性の自発的破れ」がないと仮定し,

大局的ゲージ不変性の要請を,多くのところで

用いました。しかしながら,対称性が自発的に

破れて,Higgs現象が起きているような場合でも

ゲージ理論は依然として,くりこみ可能である

ことを示すことができます。

実際,前節では,既に対称性が自発的に破れて

いる場合も含めて考えていました。

つまり,対称性を陽に破るパラメータ:fi

含む一般線形ゲージの場合を論じたのでスカラー

場:φiは真空期待値:viを持ち,自発的破れのある

場合と本質的に同値な状況を既に考えたことになる,

わけです。

すなわち,対称性の自発的破れがある場合には,

スカラー場:φiはtreeレベルでゼロでない真空

期待値:vi(0)を持つのですが,そのパラメータvi(0)

(≠0)をゲージ固定項のパラメータ:fiと同様,

大局的ゲージ変換の下で,その添字に応じて変換

する共変量と見なすことにすれば,依然として

大局的ゲージ不変性の要求を満たす理論に対する

場合と同じ議論が可能となります。

そうすれば,前節の議論で大局的ゲージ不変性を

用いたところで,新たにvi(0)がφiと同じ変換をする

次元1の量として加わるという点のみを考え直せば

結局,前と同じく,くりこみ因子Zや真空期待値vi

をシフトすることによって発散を全てくりこむこと

ができます。

本節では,これを陽に行なうことはせず,むしろ

対称性が自発的に破れた理論のくりこみを,自発的

破れを起こしていない対称な理論のくりこみに帰着

させる,という方法について述べます。

この方法の基本的考え方は次の通りです。

摂動論の範囲内では,対称性の自発的破れを

起こしている場合と破れを起こしていない場合

の違いは,単にスカラー場:φの質量項:-μ2|φ|2

のμ2の符号の違いだけです。

※(注15-1):質量項を-μ2|φ|2とすると,

有効ポテンシャルVは,

V[φ~]-(λ/2)|φ~|4-μ2|φ~|2

=-(λ/2)(|φ~|2+μ2/λ)2-μ4/(2λ)

であり,{φ~{2≧0なので,普通にμ2>0なら

Vの最小値を与えるφの期待値φ~は確かに

φ~=0であり,そのときVmin=0ですから,

この場合は対称性は破れていません。

しかし,もしも質量が,異常なμ2<0の

パラメータなら,V[φ~]=-(λ/2)|φ~|4

-|μ2||φ~|2=-(λ/2)(|φ~|2-|μ|2/λ)2

+μ4/(2λ)なので,Vが最小になるのは|φ~|2

=|μ|2/λ=-μ2/λ>0のときであり,この

とき,Vmin=μ4/(2λ)>0ですから,対称性が

破れています。

これは,第6章「対称性の自発的破れ」で紹介

した単純なGoldstone模型です。

(注15-1終わり※)

ところが,くりこみの一般論の第7章の命題

からもわかるように,このような次元2の質量項

の違いはゲージ理論のくりこみの本質的な部分

である次元が4,または3の演算子(発散部分)の

くりこみには影響しません。

このことを反映して,実際,任意の理論において

そこに現われる場の質量パラメータに依存しない

形で,くりこみができること,それ故,質量

パラメータを変数とする(連続無限個の)理論の組

が一度に有限となることを示すことができます。

このくりこみの方法を「質量に依らないくりこみ

(mass-independent renormalization)」と呼びます。

これを利用して,対称な理論で一たび,くりこみが

できる,ことがわかれば,(ゲージ理論であれ何であれ)

理論は質量パラメータμ2の値の如何に依らず一挙に

有限にできることになるので,このLagrangianでμ2<0

の対称性の自発的に破れた理論も有限であるといえます。

さて,※(質量に依らないくりこみ)の項の本論です。

このくりこみ法は,元々はt’HooftとWeinberg

によって提唱されたのですが,ここではCallanに従って

最も簡単なスカラー理論の場合で説明します。

例として,O(N)対称性を持つλφ4理論を採用すれば

その摂動の第0次のLagrangian密度は,スカラー場を

φ=φ12,..φ)として,=(∂μφ)2

-(m2/2)φ2-(λ/8)(φ2)2.(1)で与えられます。

ここで,φ2=Σj=1Nφj2であり,m2は質量の2乗

パラメータですが,これは非負とは限らないとします。

(※通常のスカラー粒子の2乗質量に用いるμ2は後

でくりこみ点に用いる予定なので,ここでは使わずに,

残しておきます。)

この(1)のLに対する有効作用:Γを有限にする

ためには,2次発散する2点頂点関数Γ(2)と対数

発散する4点頂点関数Γ(4)を考えれば十分です。

これらに対して,適切なくりこみ条件の本質的な

点は,n点頂点関数Γ(n)を質量をパラメータm2

関数と見て有限化することです。

それ故,m2をΓ(n)の運動量変数:の2乗:2など

と同等に扱います。

例えば,次のようなくりこみ条件を設定します。

すなわち,Γ(2)ij(P2=0,m2,λ;μ2)|m2==0=0.(2),

(∂/∂m2(2)ij(P2=0,m2,λ;μ2)|m2=μ2=-δij(3),

(∂/∂p2(2)ij(P2,m2,λ;μ2)|P2=0,m2=μ2=+δij.

(4)です。

そして,Γ(4)ijkl(P2=0,m2,λ;μ2)|m2=μ2

=-λδij.kl(5)です。

ただし,は,一般のn点関数のとき,

=(p1,p2。..pn-1)|pn=-(p1+p2+..pn-1)

表わし,また,δij,,kl=δijδkl+δikδjl+δilδjk

(6)です

2点関数ではΓ(2)は2次発散なので(次元2の)引数:

2,および,P2でTaylot展開すれば発散次元は2

ずつ下がり,初項が2次発散し.次の1階微分の2項

(∂Γ(2)/∂m2)と(∂Γ(2)/∂p2)が対数発散します。

そして,それ以降は収束ということになります。

上記の(2),(3),(4)のくりこみ条件は,この発散

する初めの3項に対する条件で,(2)は質量

パラメータm2がゼロのときは,粒子が本当に零質量

なるべし.(3).(4)は,m2があるべき項μ2(>0)のとき

2がゼロでのΓ(2)の(p2-m2)に関する数係数が,

treeレベルのΓ(2)=δij(p2-m2)の満たす値から

ずれてはならない。という要請です。

これに対して,4点関数:Γ(4)は対数発散なので.

(m2,p2)平面のどこか1点の値を指定すればいい

です。(5)の条件は,m22のとき,p=0のΓ(4)

がtreeレベルの-λδij.klから,ずれないという

条件です。

(2)の条件がm2=0で与えられているのに対し

(3)~,(5)の条件がm2=μ2>0で与えられている

のは,(3)~(5)の量は対数発散なので,mもpも皆,

ゼロにすると赤外発散の困難に遭うからです。

(※理解しやすいように,Paulli-Villersの正則化

で見ると,対数発散量は切断パラメータをΛ2として

lnΛ2に比例して発散することを意味しますが,Λ2

次元を持っており,これの対数関数というのは物理的

には有り得ず,必ず,無次元量として,ln{Λ2/(ap2+bm2)}

の形で現われるため,p2=0としたとき,m2=0とすると

赤外発散を生じるからです。)

くりこみ条件を与えたm2の値:μ2

「くりこみ点(renormalization point)」と呼びます。

このことから,くりこまれたΓ(n)

くりこみ点:μ2にも依存するようになるので,

(2)~(5)でΓ(2)(4)の引数としてμ2を陽に書いた

のでした。

こうした,くりこみ条件を実現するためには

次の相殺項が必要となります。

すなわち,count=(A/2)(∂μφ)2-(B/2)m2φ2

+(1/2)δm2φ2-(Cλ/8)(φ2)2.(7)です。

つまり,摂動論(例えばhc展開)の各オーダーごとに

相殺項の係数:A,B,δm2,Cを決めてゆきます。

くりこみ条件の(2)はδm2の,(3)はBの,(4)はAの,

(5)はCの,自由度を用いて,それぞれが満たされるように

できます。この相殺項を加えるということは,系の裸の

Lagrangian:00=(1/2)(∂μφ0)2

-(1/2)(m02-δm0202-(λ0/8)(φ02)2count(8)

と書けることを意味し,φ0=Zφ1/2φ,より,1+A=Zφ.(9),

02=Z2,δm02=Zφ-1δm2より,1+B=Zφ.(10),

λ0=Zλλより,1+C=Zλφ2.(11)を満たす係数A,B,

δm2,Cを持つ相殺項:countを採ればいいことを意味します。

与えられた1つの質量の理論をくりこむ通常の場合と少し

異なっているのは,裸の質量が,(m02-δm02)のように2つ

に分離しているところです。

今の場合,m2はp2と同様な変数であり,(10)を導いた式:

{(1+B)m2-δm22/2=(m02-δm0202/2

=(Zφ2-δm22/2から,わかるようにm02はm2

比例する線形項ですが,δm02はm2に依らない定数項に対応

しています。

(※なお,Dirac Fermionの場合は,同様にmに

比例する部分:m0=Zmと,定数部分δm0

分けると.実は,δm0は自動的にゼロになります。

これは,カイラル対称性のせいで,くりこまれた質量

(treeレベルの質量)がゼロであると裸の質量も

ゼロになるからです。(※※つまりカイラル対称性

を持つは質量項のないDirac粒子の場合です。

そこで,くりこんだ結果:δmψ~ψ=0なら

裸の質量:m0-δm0におけるδmに関わる

部分のδm0=0なのです。)

スカラー理論でも,次元正則化を用いるなら定数部分

δm02は自動的にゼロとなります。)

いずれにしろ,以上のくりこみ手続きでΓ(2)(4),それ故

Γ(n)が,摂動の各次数ごとに運動量pと質量パラメータm2

の関数として有限にできるということがわかりました。

このとき,対数発散項の相殺にあずかる因子:

φ,Z,Zλは,くりこみ条件(3)~(5)がm2=μ2

ところで与えられているので,切断パラメータをΛ

として,Zi=Zi0,Λ/μ) (i=φ,m,λ).(12)

の形で決まります。

こうしてZiは,変数としての質量パラメータm2

には依存していないということが重要な点で,

「質量に依らないくりこみ」という名称は,これ

に由来しています。

もう1つの重要な注目点は,裸のLagrangian

(故に裸の有効作用)に現われるδm02が,m2にも

δm2にも依存しないという事実です。

すなわち,δm02=Λ200)(13)と書けます。

このことは,過去記事;「くりこみ理論(6)」で

与えた関係式を,μ2をm2に置き換え,くりこみ

点を表示して書き直した,

Γ(n)(,m2,λ;μ2)

=Zφn/2Γ0(n)(,m0202),(14)

を思い出せば,裸の,Γ0(n)は,くりこまれた

それ:Γ(n)と比例関係にあることから,

Γ(2)に対するくりこみ条件(2)を裸の

Γ0(2)に対するように書き換えると,

Γ0(2)ij(p2=0,m02=0,δm020;Λ2)=0.

(15)となることがわかります。

これはδm02を決める関係式になっており,

ゼロでなくて次元を持つ量は,δm02の他には

Λ2のみを含んでいます。

そこで,次元解析を利用して(14)の解:δm02

が,δm02=Λ200)(13)の形に書けることが

わかります。この形式は,後に斉次くりこみ群

方程式を導くときに重要になります。

これを得るためには質量に依らないくりこみ

では,くりこみ条件(2)は必要不可欠です。

しかし,他の条件(3)~(5)は,いろいろとある

中の1つの選択肢で,他の条件も有り得ます。

例えば,(3),(5)を,それぞれ,

Γ(2)ij(p2=μ2,m2=μ2,λ:μ2)=0.(16-1),

Γ(4)ijkl(p,m2=μ2,λ:μ2)|pipj=(1-δij)/2

=-λδij,kl.(16-2)に置き換えてもいいです。

 

ここで,t’Hooftにより始められた,次元正則化

に基づく,質量に依らないくりこみ法について少し

コメントします。

この方法も本質的には上記のPaulli-Villers

正則化のそれと同じですが,ゲージ不変性を尊重

するという点で便利です。

まず,時空d次元では,dimφ=(d-2)/2,

dim()=dですから,裸の結合定数λ0が(4-d)

の次元を持ちます。しかし,くりこまれた結合定数

λ,および,くりこみ定数:Zλが常に無次元になる

ように.(11)のλ0=Zλλ,の代わりに,

λ0=Zλ(λμ(4--d))

=(1+hcλ(1)+hc2λ(2)+..)(λμ(4-d))(17)

の形でくりこみを行ないます。

ただし,μはくりこみ点に相当する次元1の

パラメータです。

こうすれば,次元正則化による摂動計算において,

結合定数は常に(λμ(4-d))の形で出てきます。

したがって,loop積分結果のd=4の極の近傍の

展開に現われる対数関数は,ln{(p2+m2)/μ2}の

ように,常に正しく引数が無次元の量となります。

次元正則化のこの方法では次元を持つ切断

パラメータΛは導入されないので.先の2次発散

のΓ(2)に対する,くりこみ条件(2):

Γ(2)ij(p2=0,m2,λ;μ2)|m2=0=0.は,自動的に

満たされます。(μ2はd→4では対数の引数には

出てきません。)

よって,条件(2)が陽に言及されることはないです。

 

他の対数発散部分に対してはは(17)の

λ0=Zλ(λμ(4--d))

=(1+hcλ(1)+hc2λ(2)+..)(λμ(4-d))

および,m02=Z20=Zφ1/2φとして,

例えば,先の条件(3),(4),(5)(ただし(5)では

右辺のλをλμ(4-d)に置換)のくりこみ条件:

つまり

(∂/∂m2(2)ij(p2=0,m2,λ;μ2)|m2=μ2

=-δij(3),

(∂/∂p2(2)ij(p2,m2,λ;μ2)|p2=0,m2=μ2

=δij.(4),Γ(4)ijkl(p2=0,m2,λ;μ2)|m2=μ2

=-λμ(4-d)δij.kl(.(5)’

を設定して,くりこみを実施します。

または,くりこみ条件に言及せず,

単に1/(d-4)の極の部分ε~-1だけを除きます。

そうすれば,次元をもたないZi(i=φ,m.λ)は,

(Λが存在しないので)μに陽には依存せず,

Zi(λ,d)=1+a1(λ)/(d-4)+a2(λ)/(d-4)2

+..の形になり,明白な質量に依らないくりこみと

なります。

このとき,Ziのくりこみ点:μへの依存性は

くりこまれた結合定数λを通してのみ依存します。

くりこまれたλは裸のλ0がμに独立なので,(17)から

μ依存性が決まります。

※(注15-2):「くりこみ理論(4)」,または,その

「要約(4)」の必要部分の再掲載を兼ねた,本論

の補足説明を注釈します。

まず,系の裸のLagrangianを0count

するとき,裸の質量がμ0のBosonの2点Green

関数(Feynman伝播関数)iΔF’(p2)への

1粒子既約な自己エネルギーグラフの寄与

が裸の量で-iΠ0(p2)であるとすると,

その2点Green関数は

Fij(p2)=iδij{p2-μ02-Π0(p2)}-1

=i[Γ0(2)(p2)]-1 で与えられます。

そして,iΔF’(p2)を,くり込んだものを

F~(p2)と書き,iΔF’(p2)

=i/{p2-μ02-Π0(p2)}=iZ3/(p-μ2)

=Z3iΔF~(p2)になると考えると,

Π0(p2)=(Z3-1)(p2-μ2)+δμ2を得ます。

ただし,δμ2=μ2-μ02としています。

系の裸のLagrangianが0cont

表わされるのに倣って,裸のΠ0もくりこまれた

Πと相殺項:Πcountの和として,

Π0(p2)=Π(p2)+Πcount(p2)と書くと

Π(p2)+Πcount(p2)=(Z3-1)(p2-μ2)

+δμ2です。

特に,最低次のオーダーでは,

Π(1-loop1)(p2)+Πcount(1)(p2)=Z3(1)(2-μ2)

+(δμ2)(1)となるべきことを意味します。

このくりこみの結果,μが実際に観測される

物理的質量という意味を持つための条件として

2=μ2の近傍では,Δ~F(p2)ij=δij/(p2-μ2),

または,Γ~(2)(p2)=p2-μ2となることが要求

されます。

くりこみ条件(2)はp=0,μ=0でΓ(2)=0

でした。

この条件はΠ(p2)+Πconht(p2)

=(Z3-1)(2-μ2)+δμ2の上では,p=0,

μ=0で,Π(0)+Πcount(1)(0)=(δμ2 なること

に相当しています。

これらは,質量をパラメータ:mとしてくりこみ

点を,m2=μ2とした頂点関数Γで考えるとp2=m2

=μ2の近傍では,Γ(2)(p2)=p2-m2となるべき

ことを意味します。

そして,これは,Γ(p2,m2)=Γ(0,0)+p2(∂Γ/∂p2)

+m2(∂Γ/∂m2)+..のベキ展開においては,

Γ(0,0)=0,(2) (∂Γ/∂p2)=1,(3),(∂Γ/∂m)=-1.

(4)の3条件です。

そして特に,最低次のオーダーでは,Π(1-loop1)(p2)

+Πcount(1)(p2)=Z3(1)(2-μ2)+(δμ2)(1)です。

そこで,Π(1-loop1)(p2,m2)+Πconht(1)(p2,m2)

=Z3(1)(2-m2)+(δm2)(1)であり,条件(2)は,

最低次ではΠ(1-loop1)(0,0)+Πcount(1)(p2)

=(δm2)(1)です。

さてBoson質量をμに戻して,くりこまれた量で

最低次の1粒子既約の自己エネルギーを計算すれば,

-iδijΠ(1-loop)(p2)

=∫ddk(2π)-4(-)Tr[(―igτi)i(-mF)-1

(-igτj)i{(k-)-mF}-1]+∫ddk(2π)-4

(-iλ/8)4×3+8)δiji/(k2-μ2)-iΠcount(1)(p2)

となります。ただし,mFはBosonが真空偏極する

グラフでloop積分すべき内線運動量を持った

仮想Fermionの質量です。

次元正則化で,最後にd→4の極限をとる前の

自己エネルギー部分の計算結果は,

-iΠ(1-loop)(p2)

={(-i)2・4g2/(16π2)}[(3ε~-1+1)

×(mF2-p2/6)-3∫01dx{mF2-x(1-x)p2

×ln{mF2-x(1-x)p2}]

+{-5λ/(32π2)}μ2{-ε~-1-1+ln(μ2)}

となります。

ただし,ε~-1は,d→4で発散する部分で,

ε-1=2/(4-d)および,ε~-1=ε-1-γ+ln(4π)

で定義されています。

それ故,-iΠ(1-loop)(p2)の発散部分は,

ε~-1を含む部分だけで,これを含む相殺項を.

-iΠcount(1)(p2)として,差し引くことで,有限

にする操作が,次元正則化のくりこみ手続きです。

したがって,1PIの自己エネルギーグラフの

最低次のくりこまれたネットの寄与は,

Π(1-loop)(p2)+Πcount(1)(p2)ですが,これが,

p=0,μ=0で(δμ2)(1)に一致するべし,と

いうのが,最低次でのくりこみ条件(2)の

意味するところです。

それ故,Π(1-loop)(0)|p2=0,μ2=0

={g2/(2π2)}{(3ε~-1+1)mF2-3mF2ln(mF2)}

を得ますが,相殺項:Πcount(1)(0)をε~-1を因子と

する発散部分:{3g2/(2π2)}ε~-1に有限限部分

の一部を加えて(-)符号を付けたものとして

これに加えると,(δμ2)(1)が(有限部分)

+Π(1-loop)(0)|p2=0.μ2=0で与えられることがくりこみ

条件(2)が満たされることに同値となります。

すなわち,Paulli-Villersの場合なら∫d

が∫d4kで,自己エネルギー部分の計算結果は,

-iδijΠ(1-loop)(p2)

=∫d4k(2π)-4(-)Tr[(―igτi)i(-mF)-1

(-igτj)i{(k-)-mF}-1]

+∫d4k(2π)-4(-iλ/8)4×3+8)δiji/(k2-μ2)

となり,被積分関数はkの(-2)次で,積分が∫d4

の4次であること,および,(mF22,2)の次元2を

持った量で展開すると,発散の次数が2ずつ下がること

から,これを理解できます。

いずれにしろ,Π(1-loop)(p2)は,外線運動量:p2の関数

として,p2の0次と1次の項しか含まず,それ故,丁度,

相殺項:-iΠcount(1)(p2)=i{Z3(1)(p2-μ2)+δμ2(1)}

で相殺できる形になります。

つまり,Paulli-Villers正則化では,δμ2(1)

=Π(1-loop)(p2=μ2)=(有限定数)

+{5λ/(16π2)-3g222ln2

+[{3g2/(2π2)}(mF2-μ2/6)-5λμ2/(32π2)]

×ln(Λ22)(発散量),

かつ,Z3(1)=[∂Π(-loop1)/∂p2]p2=μ2

=(有限定数)+{g2/(4π2)}ln(Λ22)(発散量)

と置き,一方,次元正則化では,

δμ2(1)=Π(1-loop)(p2=μ2)

=(有限定数)

+[{3g2/(2π2)(mF2-μ2/6)-5λμ2/(32π2)}ε~-1

(発散量),かつ,Z3(1)=[∂Π(-loop1)/∂p2]p2=μ2

=(有限定数)+{g2/(4π2)}ε~-1(発散量)と置くと

いずれの正則化でも,Π(1-loop1)+Πcount(1)は有限になり

(p2-μ2)の2次以上の項はなくなって,

伝播関数はp2=μ2の近傍では,iΔj(p2)ij

=iδij/(p2-μ2)の形になり,μがBosonの物理的

質量である,という要請が確かに満足されます。

(再掲部分関連終了※)

質量に依らないくりこみでは,裸の2乗質量

がμ02ではなくて,(m02-δm02),くりこまれた

質量がμ2でなくm2なので,上のδμ2=μ2-μ02

に相当するのは,m2-(m02-δm02)=δm2+δm02

です。先に述べたようにδm02はm2に依存しない

定数ですから,このパラメータはどう取ろうが自由

です。

自己エネルギーについては.

Π(p2)+Πcount(1)(p2)={Z3-1)(p2-m2)

+(δm2-+δm02)が満たされるべき条件です。

故に,くりこみ条件(2)はΠ(0)+Πcount(1)(2)

=δm2-+δm02ですが,δm02が何でもよい

なら;この条件は不要だと思うのですが。

(注15-2終わり※)

途中すが長くなったので今回はここで終わります。

(参考文献):九後汰一郎著「ゲージ場の量子論Ⅱ」

(培風館)

 

 

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