物理学の哲学(止まると死ぬ)(2)
「物理学の哲学」の続きです。
(※余談)私,若い頃のトラウマで人間不信になり,
子も孫もない寂しい老後で,今70歳でも自分の
ことを考えるだけの生活です。
44年も前の入試問題を執念深く思い出すという
世間ずれしたことをしています。若い頃も,誰より
も早く自分が発見したいとかじゃなく,誰が発見
しても,何故そうなるかを知りたい,という好奇心
さえ満たされればそれでいいという研究者に不向き
な性格で,もしか自分が発見に関われば.お金や名誉
がついてくるかもしれないという程度で,自分から
起業して積極的に金や名誉に向かう,というのとは
違う,後ろ向きで上昇志向とは無縁な奴でした。
精神病のせいもあり,生きているだけでも自分は
幸せと思っていますが,できれば自分以外の誰かの
役に立ちたいけど,自身の衣食足りてるのが,せい
いっぱいで,体不自由な今となっては無理です。
孤独も好きな人生ですが,後は今は信じてないが
超自然的な神のような存在にでも会って,あの世
を想像するのもいいかも。他人や政治を批判する
ほど偉くないしね。(余談終わり※)
さて,定常状態のSchroedinger方程式を微分方程式
として解き,解のψEを求めて固有値Eを得る,という
伝統的なSchroedinger波動力学の方法もありますが,
ここでは,H^=p^2/(2m)+mω2x^2/2に戻り,抽象的
に考察する(行列力学の)方法を用いて解いてみます。
まず,H^をH^={(p^-imωx^)(p+imωx^)
+imω[p^,x^]}/(2m)と因数分解して,最後の項
を,imω[p^,x^]/(2m)=hcω/2と書き直します。
ここでa^={ω/(2mhc)1/2)(p^/ω-imx^)
と置けば,p^,x^はHermite(実)演算子なので,
a^のHermite共役を取ると,演算子
a^+={ω/(2mhc)1/2)(p^/ω+imx^)を得ます。
これらを用いると,H^は,H^=(a^a^++1/2)hcω
と表現することができます。
このとき,a^とa^+の交換関係は,明らかに
[a^,a^+]=1です。
それ故,(a^a^+)a^=a^(a^a^+)-a^,かつ,
(a^a^+)a^+=a^+(a^a^+)+a^+となるので,
H^a^=a^H^-ahcω,かつ,
H^a^+=a^+H^+a^+です。
よって,E>に対して,H|E>=E|E>が成立して
いるなら,H^a^|E>=(E-hcω)a|E>,および,
H^a^+|E>=(E+hcω)a^+|E>が成立します。
したがって,a^|E>は,固有値:(E-hcω)に属する
H^の固有状態であり,a^+|E>は,固有値:(E+hcω)
に属するH^の固有状態です。
そこで,定係数をc1,d1としてa^|E>,および,
a^+|E>を,それぞれ,a^|E>=c1|E-hcω>,
おとび,a^+|E>=d1|E+hcω>と表わすことが
できます。
a^+,a^は,それぞれ,エネルギー固有値をhcωだけ
上げ,下げした固有状態(エネルギー准位)に移動させる
ので,昇降演算子と呼ばれます。
そこで,a^|E>に,さらにa^を作用さると,
a^2|E>=c1a^|E-hcω>=c2|E-2hcω>と
なります。これを,反復して,H^の固有値が減少する
固有ベクトルの列:a^n|E>=cn|E-nhcω>
(n=1.2...)を得ます。
同様に.H^の固有値が増加する固有ベクトルの列:
(a^+)n|E>=dn|E-nhcω>(n=1.2...)
も得られます。
ところが,量子論では物理的状態を示す量子状態|ψ>
は,そのノルムの2乗の確率解釈のため,Hildert空間
のベクトルである,とされています。
つまり,状態のノルムの2乗(絶対値の2乗)は存在確率
(確率密度)を示すので,非負でなければなりません。
言いかえると,状態ベクトル全体の作る空間をHと
すると,|ψ>∈H なら,|{ψ>|2=<ψ|ψ>≧0であり
等号は|ψ>=0のとき,そのときに限られます。
それ故,H^=E|E>なら,E<E|E>=E||E>|2
=<E|H^|E>=hcω<E|a^a^++1/2|E>
=hcω|a^+|E>|2+(hω/2)|E>|2は非負であり
|E>≠0なので,常にE≧hω/2>0となります。
言い換えるとH^の固有値:Eは,負とは成ることが
できません。このH^の対角要素が非負である性質は
H^の正値性といわれます。
そこで,列:a^n|E>=cn|E-nhcω>(n=1.2..)
には,H^の固有値をそれ以上下げると負になって正値性
に反するようになる最小の固有値(E-nhω)≧0を
与える自然数nが存在することになります。
このエネルギー固有値が最小の固有状態=基底状態を,
慣例に従って,|0>と記述します。
この|0>が,最小の固有状態であるためにはa^|0>=0
を満たす必要があります。さもないと矛盾が生じるからです。
そこで,特に,H^|0>=(hcω/2)|0>です。
故に,H^a^+|0>=(3hcω/2)a^+|0>であり,
さらに,H^(a^+)n|0>=(n+1/2)hcω(a^+)n|0>
(n=1,2..)となります。
そこで,<n|n>=1と規格化した状態|n>を,
|n>=αn(a^+)n|0>で定義します。特に|,0>
は<0|0>=1を満たす,とします。
そして,係数αnを求めるため,交換関係:
[a^.a^+]=1を用います。まず,a^a^+|0>=|0>
であり,a^(a^+)2|0>=(a^a^+)a^+|0>=a^+|0>
です。さらに,a^(a^+]3|0>=(a^a^+)(a^+)2|0>
=(a^+a^)(a^+)2|0>+(a^+)2|0>=2(a^+)2|0>
となります。それ故,帰納的に,a^(a^+)n|0>
=n(a^+)n-1|0>です。
したがって,a^n(a^+)n|0>=na^n-1(a^+)n-1|0>
ですから,1=,<n|n>=|αn|2<0|a^n(a^+)n|0>
=n|αn|2<0|a^n-1(a^+)n-1|0>
=n|αn|2<n-1|n-1>/|αn-1|2 となります。
つまり,1=n|αn{2/|αn-1|2,あるいは,1/|αn{2
=n/|αn-1|2=n(n-1)/|αn-1|2
=n(n-1)..2・1/|α0|2=(n!)/|α0|2 です。
そして,<0|0>=1なので,|α0|2=1であり,結局,
|αn|2=1/n!が得られました。
係数αnを実数に選ぶとαn=(n!)-1/2であり
|n>=(n!)-1/2(a^+)n|0>と書けることになります。
En=(n+1/2)hcωと置くとH^|n>=En|n>
(n=0,1,2,,) ですが,これらが求めるH^の全ての
固有値と固有ベクトルです。解けました。
このモデルでは基底状態|0>の固有値E0はゼロでは
なく,hcω/2>0です。これが「零点エネルギー」です。
これは,単一の振動子では非常に小さい値ですが,
振動数の異なる全てのモードの振動子の集合では無限大
になると考えられます。
,前期量子論では,如何なる粒子も波動性を持っていて,
その振動数をν,角同数をω=2πνとすると,エネルギ-
はhν=hcωで与えられ,これを量子と呼んだことから
量子論が生まれるきっかけの1つとなったのでした。
そこで,nをエネルギー準位Enの指標ではなく状態
に存在する角振動数がω(エネルギーがhcω)の粒子(量子)
の個数を示すモノと考えると,演算子:a^+は,そうした
量子を生み出す生成演算子,a^は消滅演算子と呼ぶこと
ができます。
すると,|0>には,エネルギー量子がないのにも関わらず,
hcω/2というゼロでないエネルギー(零点エネルギー)を
持つという,最初の論理矛盾が現われます。
ここで,以前,論じかけた.第2量子化された電磁場の
表式:A^μ(x)=∫d3k(2π)-3[aμ^(k)exp(-ikx)
+aμ^+^(k)exp(ikx)] に戻って考えます。
この展開係数の演算子は,
[aμ^(k),aν^+(k~)]=gμνδ3(k-k~)なる
交換関係を満たします。
そこで,これらの空間成分ai^+(k),aj^(k)
(i,j=1,2.3)は,丁度,1次元調和振動子の場合と同様,
運動量hckを持つ光量子(光子)の生成演算子,消滅演算子
を形成していることがわかります。
この意味で,前に量子化された電磁場が1次元調和
振動子の(連続)無拳固の集まりに相当する,と述べた
のでした。
そこで,波数がkの光子の個数をnk=0,1.2,..
として,|nk,k,μ>=(nk!)-1/2(aμ^+)nk|0>により,
|0,k,μ>,|1,k,μ>,,,|nk,k,μ>.を構成し,
これらのあらゆるkによる超直積を作れば原理的には,
全てのk,μを持つ光子の個数表示の状態を張れます。
特に如何なるモードの光子も存在しない状態は基底状態
で,これを真空と呼びます。
しかし,電磁場の場合は,質量がゼロベクトル場でaμ^
の第ゼロ成分は,[a0^(k),a0^+(k~)]=-δ3(k-k~)
を満たすためa0^+(k)|0>のノルムが非負でなくなり
それ故,特別な物理状態の選択や解釈を導入しないと
場理論が矛盾して成立しなくなります。
この問題を取りあえず回避するため,光子の場を考える
代わりに,単一成分のスカラー場:φ^(x)を考えます。
すなわちφ^(x)=∫d3k(2π)-3[a^(k)exp(-ikx)
+a^+^(k)exp(ikx)] を考えます。
Aμ^(x)は共変ゲージ:∂μAμ=0で,□Aμ=の解でした
が,φ^はKlein-Gordon方程式:(□+μ2)φ^=0の解
ですから,exp(±ikx)のkxは,kx=k0t-kxで
k0=ωk=(k2+μ2)1/2です。
そして,[a^(k),a^+(k~)]=δ3(k-k~)です。
この質量がμのスカラー粒子の場では,計量が正定置で
なくなる,という不定計量の問題は生じません。
そこで,運動量hckのスカラー粒子の個数をnk=0,
1,2,..として,|nk,k>=(nk!)-1/2(aμ^+)nk|0>に
より,|0,k>,|1,k>...|nk,k>を構成し,これら
のあらゆるkによる状態の超直積を作って全ての
スカラー粒子の状態を張る部分空間とすることに
します。
すると「零点エネルギー」のために,粒子の存在
しない真空:|0>でも,無限大のエネルギー固有状態
にあることになってしまいます。
そこで,そもそも真空のエネルギーはゼロである,と
する規約,つまり,この零点エネルギーを切り捨て無視
する規約を採用します。後でこれは無理がある規約で
あることもわかりますが真空のエネルギ-がゼロである
としないと「対称性の破れ」とか,別の問題が生じます。
というのはゼロは座標系を回転しても不変なスカラー量
の中でも特別な不変量だからです。無限大もゼロと同じくらい不変,かつ,対称ですが,そもそも数でさえありません。
ところで,1次元調和新振動子では,そのエネルギーは,
H=p2/(2m)+(1/2)mω2x2/2あり,量子論ではHが
演算子で,その固有値:hω(a^a^++1/2)がエネルギー
を意味しました
同様に,自由スカラー場φのLagrangian は,
L=∫L^d3x,L=(1.2)∂μφ∂μφ-(1.2)μ2φ2
であり、共役運動量は,π=∂L/∂(∂0φ)=∂0φ
=φdで与えられます。それ故,H=∫Hd3x,で
H=πφs-L=(1/2)(∇φ)+(1/2)μ2φ2ですが,
これも実はH^=∫d3k[hcωk{a^(k)a^+(k)+1/2}
と,前の振動子の,H^=hcω(a^a^++1//2)と形と
して同じものに変形されます。
またまた長くなったので終了します。(つづく
「物理学の哲学(止まると死ぬ)(2)」
「物理学の哲学」の続きです。
(※余談)私,若い頃のトラウマで人間不信になり,
子も孫もない寂しい老後で,今70歳でも自分の
ことを考えるだけの生活です。
44年も前の入試問題を執念深く思い出すという
世間ずれしたことをしています。若い頃も,誰より
も早く自分が発見したいとかじゃなく,誰が発見
しても,何故そうなるかを知りたい,という好奇心
さえ満たされればそれでいいという研究者に不向き
な性格で,もしか自分が発見に」関わればお金や名誉
がついてくるかもしれないという程度で,自分から
起業して積極的に金や名誉に向かう,というのとは
違う後ろ向きで上昇志向とは無縁な奴でした。
精神病のせいもあり,生きているだけでも自分は
幸せと思っていますが,できれば自分以外の誰かの
役に立ちたいけれど,自身の衣食足りてるのが,せい
いっぱいで,体不自由な今となっては無理です。
孤独も好きな人生ですが,後は今は信じてないが超
自然的な神のような存在にでも会って,あの世を
想像するのもいいかも。他人や政治を批判するほど
偉くないしね。(余談終わり※)
さて,定常状態のSchroedinger方程式を微分方程式
として解き,解のψEを求めて固有値Eを得る,という
伝統的なSchroedinger波動力学の方法もありますが,
ここでは,H^=p^2/(2m)+mω2x^2/2に戻り,抽象的
に考察する(行列力学の)方法を用いて解いてみます。
まず,H^をH^={(p^-imωx^)(p+imωx^)
+imω[p^,x^]}/(2m)と因数分解して,最後の項
を,imω[p^,x^]/(2m)=hcω/2と書き直します。
ここでa^={ω/(2mhc)1/2)(p^/ω-imx^)
と置けば,p^,x^はHermite(実)演算子なので,
a^のHermite共役を取ると,演算子
a^+={ω/(2mhc)1/2)(p^/ω+imx^)を得ます。
これらを用いると,H^は,H^=(a^a^++1/2)hcω
と表現することができます。
このとき,a^とa^+の交換関係は,明らかに
[a^,a^+]=1です。
それ故,(a^a^+)a^=a^(a^a^+)-a^,かつ,
(a^a^+)a^+=a^+(a^a^+)+a^+となるので,
H^a^=a^H^-ahcω,かつ,
H^a^+=a^+H^+a^+です。
よって,E>に対して,H|E>=E|E>が成立して
いるなら,H^a^|E>=(E-hcω)a|E>,および,
H^a^+|E>=(E+hcω)a^+|E>が成立します。
したがって,a^|E>は,固有値:(E-hcω)に属する
H^の固有状態であり,a^+|E>は,固有値:(E+hcω)
に属syるH^の固有状態です。
そこで,定係数をc1,d1としてa^|E>,および,
a^+|E>を,それぞれ,a^|E>=c1|E-hcω>,
おとび,a^+|E>=d1|E+hcω>と表わすことが
できます。
a^+,a^は,それぞれ,エネルギー固有値をhcωだけ
上げ,下げした固有状態(エネルギー准位)に移動させる
ので,昇降演算子と呼ばれます。
そこで,a^|E>に,さらにa^を作用さると,
a^2|E>=c1a^|E-hcω>=c2|E-2hcω>と
なります。これを,反復して,H^の固有値が減少する
固有ベクトルの列:a^n|E>=cn|E-nhcω>
(n=1.2...)を得ます。
同様に.H^の固有値が増加する固有ベクトルの列:
(a^+)n|E>=dn|E-nhcω>(n=1.2...)
も得られます。
ところが,量子論では物理的状態を示す量子状態|ψ>
は,そのノルムの2乗の確率解釈のため,Hildert空間
のベクトルである,とされています。
つまり,状態のノルムの2乗(絶対値の2乗)は存在確率
(確率密度)を示すので,非負でなければなりません。
言いかえると,状態ベクトル全体の作る空間をHと
すると,|ψ>∈H なら,|{ψ>|2=<ψ|ψ>≧0であり
等号は|ψ>=0のとき,そのときに限られます。
それ故,H^=E|E>なら,E<E|E>=E||E>|2
=<E|H^|E>=hcω<E|a^a^++1/2|E>
=hcω|a^+|E>|2+(hω/2)|E>|2は非負であり
|E>≠0なので,常にE≧hω/2>0となります。
言い換えるとH^の固有値:Eは,負とは成ることが
できません。このH^の対角要素が非負である性質は
H^の正値性といわれます。
そこで,列:a^n|E>=cn|E-nhcω>(n=1.2..)
には,H^の固有値をそれ以上下げると負になって正値性
に反するようになる最小の固有値(E-nhω)≧0を
与える自然数nが存在することになります。
このエネルギー固有値が最小の固有状態=基底状態を,
慣例に従って,|0>と記述します。
この|0>が,最小の固有状態であるためにはa^|0>=0
を満たす必要があります。さもないと矛盾が生じるからです。
そこで,特に,H^|0>=(hcω/2)|0>です。
故に,H^a^+|0>=(3hcω/2)a^+|0>であり,
さらに,H^(a^+)n|0>=(n+1/2)hcω(a^+)n|0>
(n=1,2..)となります。
そこで,<n|n>=1と規格化した状態|n>を,
|n>=αn(a^+)n|0>で定義します。特に|,0>
は<0|0>=1を満たす,とします。
そして,係数αnを求めるため,交換関係:
[a^.a^+]=1を用います。まず,a^a^+|0>=|0>
であり,a^(a^+)2|0>=(a^a^+)a^+|0>=a^+|0>
です。さらに,a^(a^+]3|0>=(a^a^+)(a^+)2|0>
=(a^+a^)(a^+)2|0>+(a^+)2|0>=2(a^+)2|0>
となります。それ故,機能的に,a^(a^+)n|0>
=n(a^+)n-1|0>です。
したがって,a^n(a^+)n|0>=na^n-1(a^+)n-1|0>
ですから,1=,<n|n>=|αn|2<0|a^n(a^+)n|0>
=n|αn|2<0|a^n-1(a^+)n-1|0>
=n|αn|2<n-1|n-1>/|αn-1|2 となります。
つまり,1=n|αn{2/|αn-1|2,あるいは,1/|αn{2
=n/|αn-1|2=n(n-1)/|αn-1|2
=n(n-1)..2・1/|α0|2=(n!)/|α0|2 です。
そして,<0|0>=1なので,|α0|2=1であり,結局,
|αn|2=1/n!が得られました。
係数αnを実数に選ぶとαn=(n!)-1/2であり
|n>=(n!)-1/2(a^+)n|0>と書けることになります。
En=(n+1/2)hcωと置くとH^|n>=En|n>
(n=0,1,2,,) ですが,これらが求めるH^の全ての
固有値と固有ベクトルです。解けました。
このモデルでは基底状態|0>の固有値E0はゼロでは
なく,hcω/2>0です。これが「零点エネルギー」です。
これは,単一の振動子では非常に小さい値ですが,
振動数の異なる全てのモードの振動子の集合では無限大
になると考えられます。
,前期量子論では,如何なる粒子も波動性を持っていて,
その振動数をν,角同数をω=2πνとすると,エネルギ-
はhν=hcωで与えられ,これを量子と呼んだことから
量子論が生まれるきっかけの1つとなったのでした。
そこで,nをエネルギー準位Enの指標ではなく状態
に存在する角振動数がω(エネルギーがhcω)の粒子(量子)
の個数を示すモノと考えると,演算子:a^+は,そうした
量子を生み出す生成演算子,a^は消滅演算子と呼ぶこと
ができます。
すると,|0>には,エネルギー量子がないのにも関わらず,
hcω/2というゼロでないエネルギー(零点エネルギー)を
持つという,最初の論理矛盾が現われます。
ここで,以前,論じかけた.第2量子化された電磁場の
表式:A^μ(x)=∫d3k(2π)-3[aμ^(k)exp(-ikx)
+aμ^+^(k)exp(ikx)] に戻って考えます。
この展開係数の演算子は,[aμ^(k),ν+(k^)]
=gμνδ3(k-k~)なる交換関係を満たします
そこで,これらの空間成分ai^+(k),aj^(k)
(i,j=1,2.3)は,丁度,1次元調和振動子の場合と同様,
運動量hckを持つ光量子(光子)の生成演算子,消滅演算子
を形成していることがわかります。
この意味で,前に量子化された電磁場が1次元調和
振動子の(連続)無拳固の集まりに相当する,と述べた
のでした。
そこで,波数がkの光子の個数をnk=0,1.2,..
として,|nk,k,μ>=(nk!)-1/2(aμ^+)nk|0>により,
|0,k,μ>,|1,k,μ>,,,|nk,k,μ>.を構成し,
これらのあらゆるkによる超直積を作れば原理的には,
全てのk,μを持つ光子の個数表示の状態を張れます。
特に如何なるモードの光子も存在しない状態は基底状態
で,これを真空と呼びます。
しかし,電磁場の場合は,質量がゼロベクトル場でaμ^
の第ゼロ成分は,[a0^(k),a0^+(k^)]=-δ3(k-k~)
を満たすためa0^+(k)|0>のノルムが非負でなくなり
それ故,特別な物理状態の選択や解釈を導入しないと
場理論が矛盾して成立しなくなります。
この問題を取りあえず回避するため,光子の場を考える
代わりに,単一成分のスカラー場:φ^(x)を考えます。
すなわちφ^(x)=∫d3k(2π)-3[a^(k)exp(-ikx)
+a^+^(k)exp(ikx)] を考えます。
Aμ^(x)は共変ゲージ:∂μAμ=0で,□Aμ=の解でした
が,φ^はKlein-Gordon方程式:(□+μ2)φ^=0の解
ですから,exp(±ikx)のkxは,kx=k0t-kxで
k0=ωk=(k2+μ2)1/2です。
そして,[a^(k),a^+(k~)]=δ3(k-k~)です。
この質量がμのスカラー粒子の場では,計量が正定置で
なくなる,という不定計量の問題は生じません。
そこで,運動量hckのスカラー粒子の個数をnk=0,
1,2,..として,|nk,k>=(nk!)-1/2(aμ^+)nk|0>に
より,|0,k>,|1,k>...|nk,k>を構成し,これら
のあらゆるkによる状態の超直積を作って全ての
スカラー粒子の状態を張る部分空間とすることに
します。
すると「零点エネルギー」のために,粒子の存在
しない真空:|0>でも,無限大のエネルギー固有状態
にあることになってしまいます。
そこで,そもそも真空のエネルギーはゼロである,と
する規約,つまり,この零点エネルギーを切り捨て無視
する規約を採用します。後でこれは無理がある規約で
あることもわかりますが真空のエネルギ-がゼロである
としないと「対称性の破れ」とか,別の問題が生じます。
というのはゼロは座標系を回転しても不変なスカラー量
の中でも特別な不変量だからです。無限大もゼロと同じくらい不変,かつ,対称ですが,そもそも数でさえありません。
ところで,1次元調和新振動子では,そのエネルギーは,
H=p2/(2m)+(1/2)mω2x2/2あり,量子論ではHが
演算子で,その固有値:hω(a^s^++1/2)がエネルギー
を意味しました
同様に,自由スカラー場φのLagrangian は,
L=∫L^d3x,L=(1.2)∂μφ∂μφ-(1.2)μ2φ2
であり、共役運動量は,π=∂L/∂(∂0φ)=∂0φ
=φdで与えられます。それ故,H=∫Hd3x,で
H=πφs-L=(1/2)(∇φ)+(1/2)μ2φ2ですが,
これも実はH^=∫d3k[hcωk{a^(k)a^+(k)+1/2}
と,前の振動子の,H^=hcω(a^a^++1//2)と形と
して同じものに変形されます。
またまた長くなったので終了します。(つづく
最近のコメント