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2020年8月 6日 (木)

物理学の哲学(止まると死ぬ)(4)

「物理学の哲学」の続きです。

特殊相対性理論の話もしたし脱線ついでに

重力(万有引力)に関わる一般相対論にも.一応

言及しておきます。

特殊相対論のように,慣性座標系の相対性

(同等性)だけでなく,一般座標変換の座標系

も相対的な意味しかもたない,というのが,

アインシュタインの一般相対性理論です

しかし,一般相対論に基づく重力場の理論

は妥当でも,太陽系が太陽を中心として地球

を含む惑星が回転する回転系と見るか,地球

を中心して太陽や他の惑星が複雑な運動をする

非回転系と見るかの立場が同等であり,地動説

天動説もない,という大袈裟な話になる厳密な

相対性の成立については疑問です。

我々の実感する重力が「永久重力」なのか?

それとも,座標系の取り方のため発生した遠心力

のように,適切な座標の逆変換により消えてしまう

「見かけの重力」に過ぎないのか?,という論題

がありますが,一応,座標に伴なう計量テンソル

μνから計算で得られるRiemannn-Christoffel

の曲率テンソル:Rかゼロなら,見かけの重力で,

それがゼロでないなら真の重力=永久重力であり

曲率Rはテンソル量なので如何なる一般座標変換

でも,ゼロはゼロで不変となる普遍的性質である

という話になります。

これに関する議論が1992~1995年ごろ,パソコン

通信Nifty-Serveのサイエンス・フォーラム(FSCI)

の物理会議室で侃々諤々と幾度となく蒸し返されて

議論したのは,今では懐かしい思い出です。

例えば,重力がなくて特殊相対論が成り立つ計量

がMinkowski計量:gμν=(1、-1,-1,-1)の空間

を平坦な空間と呼びますが,この系が一定加速度α

で運動すると見える座標変換をすると,質量がmの

物体には(-mα)という重力(慣性力)が発生します。

 この時空をMinkowski時空と呼ぶなら,如何なる

変換をして,計量がMinkowskiから変わったと

してもMinkowski時空はMinkowski時空かどうか?

という言葉の定義の問題のような議論もありました。

例えば地球上には重力gがあり,実は日本とは地球

の反対側にあるブラジルやアルゼンチンでは重力の

向きは正反対で,落下の向きで上下を決めるなら,上下

の向きも正反対です。

しかし,地球上のどこかの場所に高層ビルのような

建物があって,そのエレベーターのワイヤが切れて落下

している,わずかな時間に,エレベーターの箱の中にいる

観測者を想定すれば,内部は見かけ上無重力な空間と

なり,小さいけれど,いわゆる平坦な空間と見なせます。

しかし,全体として地球上のどこでも同時に無重力と

する座標系を取るのは不可能であろうことは,直感的に

認識できます。

どのような時空間でも,局所的には曲率Rがゼロの

フラットな座標系を常に取ることができても,大域的

には,曲率R≠0の空間から曲率R=0の空間には変換

は不可能である,というのは議論の両者で共通の認識

であったのに,色々とこの論題で揉めました。

曲率Rとは別に,計量テンソルgμνからテンソルで

ないChristoffelの記号:Γという量が構成され,これ

が実質的に重力と観測される量ですが,曲率とは違って

テンソル量ではないので,ゼロからノンゼロにも,その

逆にも変換されるということです。

こうした量:Γが存在して,それが永久であろうが,

見掛けであろうが,これを実感する観測者にとっては

区別ができず,重力として体感する,というので,「重力

と加速度は等価である」という等価原理が一般相対論

に基づく重力理論のミソであると思っています。

ですから,むしろ,曲率Rにより永久重力か見掛け

の重力かを区別ができるのは承知していますが,理論

のミソはそこではなく,計量も曲率もわからない空間の

内部にいる人間には,見掛けか真かが区別できない,

という方が本質的であると主張していたと記憶して

いますが,今思うとやはり不毛であったかもしれない

と思います。

この理論では,如何に複雑な曲がった時空を示す

座標系の空間においても,その各時空点近傍の局所

慣性系では光は光速cで直進します。そこで,例えば

先の落下するエレベーターの箱の中の側壁から反対

の壁へ直進する光を,外部から見ると重力に引かれて

落下すると観測される,ことになります。

20世紀当時は,浅学菲才なことを隠し,議論に勝つ

だけが目的のディベートのようなことをしていた

ようです,本当のところ,この分野は今も私の中で

はっきり断定できるような自信がある知見がある

わけではありません。

宇宙の星,天体については,地球が太陽のまわり

を回っているとしても,太陽系も銀河系の一部で

あり,その銀河系も,また,回転している,というような

宇宙を想定すると,地球の自転1つに着目しても,実は

地球は自転してなくて地球以外の全ての宇宙が回転して

いるという座標系を取っても,それらが対等であるとは,

とても主張できません。

実は宇宙全体(星)の回転が重力を生むというThiring等

の試算(サニャック効果?)などもありますが,地球が中心

の角速度ωの回転では,回転半径がr=c/ωのところで,

回転速度が光速cを超えてしまい,そこが事象の地平線

となって内部と外部が隔離されるという問題もあります。

我々の宇宙を時空多様体という実体と考え,座標系という

のは多様体に付与したラベルに過ぎず,これを色々と変える

ことはできても,多様体という幾何学的実体には変化は

ない,というトポロジカルな話もあります。

多様体にとって座標変換を受けても不変なのは曲率がゼロか否か?

もそうですが,計量が正定置か不定計量なのか?というのも

「シルヴェスターの慣性律」により決まっていて我々の時空は

不定計量の擬リーマン多様体,特にローレンツ(Lorentz)多様体

であるとされます。

あらゆる座標系は相対的で,同等であるというような一般相対性

原理の意図とは,離れてしまいました。

さて,エネルギーとは何なのか?ということに着目

すると,平坦なMinkowski計量の空間=特殊相対論の

空間では運動量は空間の一様性,エネルギーは時間の

一様性,つまり,空間座標や時間を平行移動しても理論

は不変であり,故に空間や時間の原点(基準)をどこに

取ってもよい,というのが,それら4元運動量が保存量

としての意味を持つ根拠でした、

これらは,連続体中のエネルギー・運動量テンソル

密度のある時刻tでの空間積分の切片という意味も

あります。

しかし,時空を連続体と見た一般相対論での運動量

やエネルギーの意味については,私自身,まだ,ほとんど

考えたこともありませんから,この分野での蘊蓄は,この

くらいで尽きました。

また,私の学生時代にもアインシュタインの重力場

の方程式,それを修正した?ブランズ-ディッケ理論

などがあり,Robertson-Waker計量に基づく球対称な

時空のSchwartzachildの解,カー時空の解などがあり、

重力崩壊理論から星の進化が論じられ,Chandrasekhar

質量とか,重力崩壊の結末ではブラックホールができる

という仮説などの話題がもありました。

宇宙論では,宇宙項のない重力場方程式にも宇宙の

始まりの初期条件次第で膨張,定常,収縮の解があり

ますが,絶対温度が3K程度の宇宙背景輻射が観測

され,それがGamowの予想と合致したことで,我々の

宇宙は膨張宇宙であると認識され,この膨張現象が

ビッグバンと名付けたのでした。

ブラックホールも白鳥座付近のX線観測で存在

が確認されたとか,どうとか言われています。

ブラックホールは膨張宇宙を時間反転した収縮解

に相当しますが,宇宙初期には宇宙は灼熱火の玉状態

で,あらゆる素粒子の質量はゼロであり,それ故,完全

にゲージ対称でしたが,膨張と共に冷えてゆき対称性

の破れが生じて,Higgsメカニズムにより質量を獲得

したとかの素粒子論と関連したq話もありま。

その他,私は少し齧っただけですが,宇宙は,ごく

初期に急速に膨張して,その後は緩やかな膨張に移行

して現在に至る,というインフレーション宇宙論も

あります。

それに伴なう現象として,宇宙初期には大量の

モノポール(磁気単極子)が存在して,今はその名残り

が観測されるはずたとか,絶対安定なはずの陽子も

崩壊するとかが予測されていますが,実際には未だ

観測されていないようです。

また,観測される星(恒星)の密度と膨張宇宙の成立

条件の不一致から予想されるダークマター(暗黒物質)

の存在と,ニュートリノ振動から予測されたゼロでない

ニュートリノ質量の関係など,枚挙にいとまのない未知

のこと(私が知らないだけかも?)があります。

 所詮,考古学や宇宙の歴史は実験で検証できないのでね。

重力場はアインシュタインの古典論の重力場方程式が厳密に

正しいとしても,非線形な方程式であることもあって,未だ,

その量子化に成功したという話は聞いていません。

1950年代後期にYan-Millsや内山龍雄先生が提唱

した重力場のゲージ理論に基づき,質量がゼロのゲージ粒子

でスピンが2の2階テンソルの重力子:グラビトンや,

グラビティーノが,力を媒介する,という仮説,発想は

ありますが,線形な量子場と違って,数学的に定式化

するのは難しいようです。

かつての,まだ電磁場の存在だけを仮定した5次元の

カルツァ・クライン理論,最近?の超弦理論,超重力

理論等,本で読んで少しは知ってますが,物理理論は

実験で検証されない限り,数学じゃないので机上の

空論かも知れません。

今回,脱線,蘊蓄話だけに終始しているうち長く

なってしまいました。次回は本題の続きに戻る予定

で,今回はここまでにします。(つづく)    

 

 

 

 

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115. 素粒子論」カテゴリの記事

コメント

初めまして。

難しい用語がたくさんありますが、勉強させていただきます!

投稿: 師子乃 | 2020年9月19日 (土) 20時54分

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