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2020年9月

2020年9月25日 (金)

物留学の手留学(11)(アノマリー)

物理学の哲学」の続きです。

(※余談):今日は9月25日(金)です。

けさはゴミ出しに行くともう肌寒かったです。

温暖化で日本も亜熱帯気候に近くなり,日本

にはいないはずの動植物やデング熱,マラリア

などの細菌やウィルスもいて驚きます。

今年も秋は短かく,すぐに冬がくるのでしょうね。

今度は,時代劇で笠置シズ子が出てるのを見て

泣けました。時代劇チャンネルは,昭和の今は亡き

出演者が多くて,まだ,若くて元気なのかと勘違い

しますね。懐かしいですが。(余談終わり※)

※さて本題です。前回の記事では,このシリーズ

書いてきた内容を,自分の中で改めて整理する

ために長い要約を書き記しました。

今回は,その続きとして,まず,要約記事の直前の

前々回の記事を思い出し,その最後の部分を再掲載

して,そこから話の続きを進めたいと思います。

  • 以下は,まず再掲載記事の部分です。

前々回の記事「物理学の哲学(9)」の最後では,

中性のπ0中間子崩壊:π02γにおいて,入射

する,または静止状態のπ0中間子の運動量がqμ

の場合の,崩壊のS行列要素fiを書き下した式

を考察しました。これはLSZの公式により,

fi=<γ(k11)γ(k2,ε2);out|π0;in>

=i∫d4xf(x)(□+μ2)

<γ(k11)γ(k22);in|π0r|0>という

式で与えられますが,これはx表示ではincoming

漸近状態のπ0中間子の平面波の基本波動関数:

(x)=(2π)-3/2(2q0)-1/2exp(-iqx),および

崩壊して出てゆく2光子のincomingの状態関数:

(2π)-3(4k1020)-1/2ε1σ*ε2ρ*

×exp{i(k1+k2)x}によって,

fi=i∫d4x[(2π)-9/2exp{-i(q-k1-k2)}

(2q0)-1/2(4k1020)-1/2ε1σ*ε2ρ*σρ(k1,k2,q)]

と書けるはずです。

ただし,Sσρ(k1,k2:q)は,3粒子の運動量k1,k2

qに依存する部分の指数関数以外の因子です。

そこで,(2π)-1/2(2q0)-1/2(4k1020)-1/2ε1σ*ε2ρ*

σρ(k1,k2,q)は,上記Sfiの積分表示の被積分関数:

if(x)<γ(1,ε1)γ(k2,ε2);in|□+μ2)π0r|0>

のFourier変換の形になっています。

それ故,(2π)(4k1020)-1/2ε1σ*ε2ρ*σρ(k1,k2,q)

は,f(x)<γ(k1,ε1)γ(k2,ε2);in|(□+μ2)π0r|0>

から,,π0の波動関数f(x)をはずした2光子の状態

の振幅:<γ(k11)γ(k22);in|(□+μ20r|0>

のFourier変換(運動量表示であると考えられます。

他方,<γ(k1,ε1)γ(k2,ε2):in|(□+μ20r|0>

=(4k1020)-1/21ξ2τε1σ*ε2ρ*εξτσρπ(k12)

によって関数Fπ(k12)を定義します。

すると,2種類のSfiの積分表示の比較から,

(2π)SσΡ(k1,k2,:q)=k1ξ2τεξτσρπ(k12)

なる等式の成立がわかります。

と書いたところて記事は終わりました。 

(※以上,再掲記事終わり※)

ここからが,今回の続きの記事です。

さて,これまでは電磁場の存在しない場合の

σ模型を論じてきましたが,これに電磁場:Aμ(x)

を含めるには,元のσ模型のLagrangian密度:

に,-(1/4)Fμνμνと,-e0ψ~γμψμ

2項を加えるだけです。

すると,三角グラフの存在のために,PCACの素朴

な方程式:∂μ=(fπ/√2)πは,次のように

アノマリーを持ち形に修正されます。

すなわち,∂μ=(fπ/√2)π

+(1/2){α0/(4π)}Fξστρεξστρ  です。

ただし,右辺最後のアノマリー項の因子:(1/2)

は,単にσ模型の軸性カレントの具体的な表式:

=(1/2)ψ~γμγ5ψ+σ(∂μπ)-π(∂μσ)

+g0-1(∂μπ)の最初の核子項に現われる因子

の(1/2)を反映したものです。

そこで,適切に正規化された(くり込まれた)Feynman

規則を導入し,QEDでの論旨を同様に実行することに

より,これが電磁相互作用と強い相互作用の両方の

摂動論の全ての次数まで正しいことを示せます。

つまり,三角グラフへの如何なる仮想光子,仮想中間子

の輻射補正もアノマリー項とそのの係数を変えること

はないわけです。

上述の考察の全ては,先のσ模型では,アイソスピン

対称性変換群のSU(2)群の基本表現の核子(p,n)系を

想定していましたが,これを,ハドロンのクォークの

フレイバーSU(3)群の基本表現(p,n,λ)系への一般化

に持ち込むことができます。

(※ 現在では(u,d,s,c,t,b)の6種の存在が

認められているクォークは,過去の記事で参照した論文

出版時の1970年当時には,)u,d,sの,3種だけと

考えられていて,(p,n,λ)と記すのが慣習でした。)

(p,n,λ)を基底とするSU(3)のケースなら,Ψは

3成分でψ=(ψ123)に置き換えられ,スカラー

中間子σと:擬スカラー中間子πは9重項の中間子

(1重項+8重項)に置き換えられるため,軸性ベクトル

カレントは,8成分のカレントとなり,π0に対応

するのは,その第3成分:5μ(3)になります。

それ故,π0に対してのアノマリーを持つPCAC方程式

は,∂μ5μ(3)=(fπ/√2)π0r+S{α0/(4π)}Fξστρ

×εξστρ と書けます。

ただし,係数Sは,S=Σiii2で定義されています。

ここにQiはJ5μ(3)の中に素粒子場として現われる

i番目のFermion(クォ―ク) の電荷であり,giは,

その結合定数です。つまり,J5μ(3)=Σiiψ~iγμγ5ψj

+(中間子項)という表式でのgiを意味します。

これも摂動論の全ての有限次まで正しい式です。

Sに対する表現:S=Σiii2の解釈はアノマリー

へのトータルの寄与は,個々の素Fermi粒子を全て

巻き込む,各々の三角グラフの寄与の総和による

と考えるからです。

PCACB関係式:μ5μ(3)=(fπ/√2)π0r

+S{α0/(4π)}Fξστρεξστρ は,素朴な4次元

発散が,乗法的くり込み可能な任意のくり込まれた

場の理論において,正しいと予測されます。

したがって,正しいPCAC式は,μ5μ(3)

(fπ/√2)π0r+S{α0/(4π)}Fξστρεξστρ.

よなりますが,これはσ模型のような特殊な場理論

の模型でなく,一般的なクラスの模型でも成立する.

正確な方程式である,と考えられます。

そして,次は「摂動論のアノマリー(20)」の

「π0 崩壊の低エネルギー定理」という項目

から引用した議論です。

アノマリーを持つ4次元発散の真空から2光子への

行列要素としての正確な「低エネルギー定理」を考える

ため,まず,∂μ5μ(3)=(fπ/√2)π0r

+S{α0/(4π)}Fξστρεξστρ.における素朴な

4次元発散の値:(fπ/√2)π0rがπ0中間子の場

であることに着目します。

この場合「低エネルギー定理」は,π0中間子の質量

がゼロでのoff-shellに外挿されたπ0 → 2γの振幅に

ついての命題が得られます。

π0 → 2γの振幅:Fπ(k12)の標準定義は,

<γ(k1,ε1)γ(k2,ε2):in|(□+μ20r|0>

=(4k1020)-1/21ξ2τε1σ*ε2ρ*

×εξτσρπ(k12)であったことを思い起こします。

そして,くり返しになりますが,別の過去記事では,

<γ(k11)γ(k22):in|μ|0>

=(4k1020)-1/21ξ2τε1σ*ε2ρ*

×εξτσρF(k12),

<γ(k1,ε)γ(k22);in|2im05|0>

=(4k1020)-1/21ξ2τε1σε2ρ*

×εξτσρG(k12),

<γ(k11)γ(k22):in|{α0^/(4π)}

(Fξσ+FRξσ)(Fτρ+FRτρξστρ|0>

=(4k1020)-1/21ξ2τε1σ*ε2ρ*

×εξτσρH(k12)

として,(k12)の関数:F,G,Hを定義し,これら

は実は対数発散するので,切断Λを入れて正規化した

Λ,GΛ,HΛのくり込まれた量であるF~,G~,H~,

つまり,F~(k12)=limΛ→∞Λ(k12) etc.

に対して,F~(0)=0,G~(0)=-H~(0)=-2α/π

が成立する。という「低エネルギー定理」

を得ています。今の場合はアノマリー項の因子Sを

含めるように,係数Hを定義し直すとH~(0)=2αS/π

となるので,G~(0)=-H^(0)=-2αS/πです。

そしてF(k12),G(k12),H(k12)の

定義式を,Fπ(k12)の定義式:

<γ(k11)γ(k22)in|(□+μ20r|0>

=(4k1020)-1/21ξ2τε1σ*ε2ρ*

εξτσρ×Fπ(k12)と比較して,(k12)=0の場合を

考えると,上記の「低エネルギー定理」

は,G~(0)=-2αS/π=(μ-2π/√2)Fπ(0)

となります。

すなわち,π0崩壊のSg等列要素の真空から2光子

への因子:Fπに対しては,正確な「低エネルギー定理」

は,Fπ(0)=-(2√2μ2αS)/(πfπ)を意味する

ことがわかります。

何故なら,π0の運動量:qμ=k1μ+k2において.

2=(k1+k2)2=0,つまり,(k12)=0の

低エネルギーは.質量がゼロのoff-Shel(質量殻外に

ある仮想π中間子状態意味しますが,このときには,

<γ(k11)γ(k22);in|(□+μ20r|0>

={-(k1+k2)2+μ2)}

×<γ(k11)γ(k22)|π0|0>

=μ2<γ(k11)γ(k22)|π0r|0>

=(4k1020)-1/21ξ2τε1σ*ε2ρ*εξτσρ

×Fπ(0)となります。

ところが,π0を含むPCAC関係式:∂μJ 5μ(3)

=(fπ/√2)π0r+S{α0/(4π)}Fξστρ

×εξστρ.によれば,

μ2π0r=(√2μ2/fπ)∂μJ 5μ(3)

-(√2μ2S/fπ){α0/(4π)}Fξστρεξστρ.

です。

それ故.μ2<γ(k11)γ(k22);in|π0|0>

=(√2μ2/fπ)

×<γ(k11)γ(k22);ih|∂μ(3)|0

(√2μ2/fπ)0/(4π)}

<γ(k11)γ(k22);in|Fξστρεξστρ|0>

と書けます。

そして,この式の両辺の各項から,共通因子

の(4k1020)-1/21ξ2τε1σ*ε2ρ*

×εξτσρ除けば,Fπ(0)=(√2μ2/fπ)F(0)

-(√2μ2/fπ)H(0)を得ますが,これはくりこんだ

は,π(0)=(√2μ2/fπ)F~(0)-(√2μ2/fπ)

×H~(0)となります。そして,この右辺第1項の

 ~(0)は,<γ(k11)γ(k22);in|∂μ5μ(3)|0>

=(4k1020)-1/21ξ2τε1σ*ε2ρ*

×εξτσρF(k12)の係数Fをくりこんだ量

ですが,これは,低エネルギーのq2=(k1+k2)2

=0ではF(k12)=F(0)=0,であり,

F~(0)=0です。

したがって,結局,π(0)=-(√2μ2π)H~(0)

を得ます、

 ここで先の「低エネルギー定理」によれば,

0=F~(0)=G~(0)+H~(0)であって

H~(0)=2αS/πより,G~(0)=-H~(0)

=-2αS/πなので,π(0)=(√2μ2/fπ)G~(0)

-(2√2μ2αS)/(πfπ)が得られます。

ところで,

<γ(k11)γ(k22);in|(□+μ20r|0>

={-(k1+k2)2+μ2}

×<γ(k11)γ(k22)|π0|0>

ですから,(k1+k2)2=μ2の(on-shell;

量殻上)にあるときは,(k12)=μ2/2

なのですが, このと両辺がゼロで,左辺は

π(k12)=Fπ2/2)に比例する量なので,

π2/2)=0となりそうですが,実際には,

<γ(k11)γ(k22)|π0r|0>が,(k1+k2)2=μ2

に極を持つ,と考えられるので、この質量殻上での

π,(μ2/2)は。一般にゼロにはなりません。

しかし,<γ(k11)γ(k22)|π0|0>は,

質量殻外の(k1+k2)2=0 には、極を持たない

ので.(k1+k2)2=0  のとき,

(k1+k2)2<γ(k11)γ(k22)|π0|0>

=(4k1020)-1/21ξ2τε1σ*ε2ρ*

×εξτσρG~(k12)(k1+k2)2は,ゼロです。

またまた,くり返しになりますが,π0 → 2γ

の崩壊行列要素は,Sfi

=<γ(k11)γ(k22);in|(□+μ20r(x)|0>

=i∫d4x(2π)-4 exp{-i(q-k1-k2)x}

(2π)-3/2(2q0)-1/2

×<γ(k11)γ(k22)|(□+μ20|0> 

で与えられますが,他方,

<γ(k11)γ(k2,ε2)|(□+μ20r|0>

=(4k1020)-1/2ったので,

1ξ2τε1σ*ε2ρ*εξτσρ

×Fπ(k12)であπ(0)

=-(2√2μ2αS)/(πfπ)は,低エネルギー

でのπ0 → 2γの振幅が,直接:∂μJ 5μ(3)

(fπ/√2)π0r+S{α0/(4π)}Fξστρ

×εξστρ.のアノマリー項に比例することを

示しています。

この項はSに依存します。そして,Sは

素Fermi粒子の電荷Qと,その軸性カレント

での結合定数gからS=Σjj2 によって

決まります。

さて,求めるべき,π0の崩壊率:1/τ(τは崩壊寿命)

については,次の公式があります。

すなわち,1/τ=(μ3/64π)|Fπ2/2)|2..です。

これは,崩壊の反応体積をV,時間をTとすると,

単位体積当たりの遷移速度は,|Sfi|2/(VT)

(2π)4δ4(q-k1-k2)(2π)-9(8k1020q)

|Fπ2/2)|2

ε1,ε2|k1ξ2τε1σ*ε2ρ*εξτσρ|2]

で与えられます。ただし,E0=q0で,これは

π0中間子のエネルギーです。

※(注):何故なら,まず,Sfiは4元運動量保存の因子:

(2π)4δ4(q-k1-k2)を含み,VT=(2π)4δ4(0)

と同定されるので.|Sfi|2/(VT)は,因子:

(2π)4δ4(q-k1-k2)を1個含みます。

π0 →2γ反応では,Sfiが規格化因子:

(2π)-3/2(2k10)-1/2(2π)-3/2(2k20)-1/2

(2π)-3/2(2E0)-1/2を持つため,これは

|Sfi|2(VT)には(2π)-9(8k1020q)-1

の寄与をします。

そして,(k1+k2)2=μ2 のときk12=k22=0

より,(k12)=μ2/2なので,係数:Fπ(k12)

寄与はFπ2/2)です。

そして,π0の静止系を想定するとqμ=(Eq,)

=(μ,0)です。そこで,12とおくと,

k=||=μ/2ですから,k10=k20=k=μ/2です。

よっての向きを3軸(z軸)に取って=k3

すると,k1ξ2τで.ゼロでないのは,ξ=0,τ=3か,

ξ=3,τ=0のみです。

さらに,k1ξ2τε1σ*ε2ρ*εξτσρ=2k2ε0 3σρ

においてε12は横波を示すので,ε11=ε22=0,

より,ゼロでないのは,(σ,ρ)=(1,2),(2,1)のみで,

このとき,ε1σ*ε2ρ*=1です。

結局,Σε1,ε2|k1ξ2τε1σ*ε2ρ*εξτσρ|2

=|2k2ε0 312|2+|2k2ε0 321|2=8k4 

得ます。全空間Vに1個のπ0が存在する,という

規格化を考慮してπ0の1個当たりの崩壊確率を

求めると,1/τ(1/2!)∫d3132{V|Sfi|2

/(VT)}=(μ3/64π)|Fπ2/2)|2が得られます。

因子:(1/2!)は,2光子の区別不可能性による因子

です。こうして得られた評価式1/τ-1

=(μ3/64π)|Fπ2/2)|2において,Fπ2/2)

をFπ(0)=-(2√2μ2αS)/(πfπ)で近似すると,

結局,π0崩壊の崩壊率の近似計算値が,

1/τ=(μ3/64π)|8μ4α22/(π2π2)

=S2μ7α2/(8π3π2)で与えられることが

わかりました。

これに,具体的な物理定数の近似値:α~1/137,

μ~135 MeV,および,fπ~√2aπμ2/r,に

π=0.87μ~0.97μを代入,過去記事「弱い相互

作用の旧理論(7)」からの引用でr~1.21の代入

から得られるfπ=1.02μ3 ~1.13μ3をも,1/τを

与える式に代入すれば,崩壊率の近似計算値として

,1/τ=22.74S2eV~30.21S2eVを得ます。

一方,Rosenfeldによって引用されたπ0崩壊の

崩壊率の実験値は,

1/τexp=(1.12±0.22)×1016sec-1

=(7.37±1.5)eVです。(※つまり,π0

崩壊寿命は,τ~10-16sec程度です。また,現在

でのより正確な実験値は,1/τexp=(7.48±0.32)eV

です。)

そこで,仮にS2=1/4であれば,計算値が,

1/τ=5.68 eV~7.55eVと予測されます。

この結果からは,S2=1/4のときに実験値との

著しい一致を見ることになります。

ところが,π0が関わる軸性ベクトルカレント

では,クォークの基本3粒子の場:Ψ=(ψ123)

=(p,n,λ)の結合定数について,ストレンジ粒子

λは無関係で(g1,g2,g3)=(1/2,-1/2,0) です。

そして電磁カレントの[Uスピン不変性]から,

基本粒子の(p,n,λ)の電荷は,(Q1,Q2,Q3)

=(Q,Q-1,Q-1)というパターンを持ち,

Q=2/3とすると(Q1,Q2,Q3)=(2/3,-1/3.-1/3)

なのでS=Σjj2=1/6となります。

しかし,現在の見地では,クォークにはフレイバー

自由度とは独立に,カラー自由度が存在して,カラー

SU(3)対称性を持つことが知られており,この自由度

3により,S=(1/6)×3=1/2となるため,確かに

2=1/4を満たします。。 

現在,ハドロンを構成する基本粒子のクォーク

はフレイバー自由度も3個ではなく6個の

(u,d,s,c,t,b)=(up,down,strange,charm,

top,bottom)が存在すると,されていますが,

1970年当時は,そのうちの3個(p,n,λ)

=(u,d,s)の3種だけで基本クォークが

構成されると予想されていました。しかし

π中間子と関わるカレントのクォーク成分は

(u,d)=(p,n)だけなので,全体のフレイバー

自由度が3から6に増加しても,カラーを考量

したS=1/2という値には変わりなく実験値との

矛盾はないことになります。

荷電π中間子π±の平均寿命が,τ~2.6×10-8sec

観測されているのに対し,中性のπ0中間子の

平均寿命は,τ~10-16 sec程度と,はるかに短かく

π0→2γの崩壊は,π→μ+ν~の崩壊とは異なる作用

で,アノマリー項の寄与によるものと考えられると

いうのが,最終結論です。

そもそも,π中間子は,カイラルゲージ対称性を持つ

系の対称性の自発的破れで「南部-oldstonの定理」に

従って出現したゼロ質量の粒子(NG粒子)が,ゲージ

対称性の破れという特殊性で,Higgsメカニズムに

よって質量を獲得した粒子と解釈されています。

 それ故,元々質量は大きくなく,もしも本当にゼロ質量

なら中性π0の場合,理論上崩壊は禁止されるので,実際に

崩壊が生じるのはアノマリー存在のためと考えられます。

アノマリーは,ゴーストや仮想粒子のように,存在しても

実在として観測されないモノではなく,現実に観測され,

崩壊寿命の計算などに必要なモノです。

ここで,キリもいいので今回はここまでです。(つづく)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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2020年9月18日 (金)

物理学の哲学(10)(アノマリー)

「物理学の哲学」の続きです。

(※余談):今日は9月18日(金)です。

先日,私と同学年の岸部シローさんが亡くなられた

ようです。元GSのタイガースのメンバーで岸部一徳

さんの弟,時代劇では関西弁のキャラで面白かったの

ですが。。今年に入って,コロナで,志村けんさんも

亡くなられました。昨年は,ショ-ケン(萩原健一さん

,ちょっと前には,関西のやしきたかじんさんと,

1949/4~1950/3生まれの私と同学年の芸能人が

次々と病死されています。

有名人じゃなくても,ここ数年,同年代の身近な飲み

友達など,数人がガンなどの病気で他界しました。

皆,70歳以上で,諸行無常とはいえ,さみしいことです。

ところで,時代劇といえば,つい先日,専門チャンネル

を視ていると,昭和30年代,テレビを見始めた頃に映画

やTVで活躍されていた嵐寛寿郎さん(アラカン)と,

上原謙さんが「必殺」に出ていて,私,つい涙が出そうに

なりました。近衛十四郎さんもいたら完璧でしたがね。

結局,無名の馬の骨,有象無象の私だけが70歳にして

まだ,何とか,生きています。

「憎まれっ子,夜(ヨル)にハバカリ」とかね。。。

その昔,池袋の専門学校の講義で,このオヤジギャグ

をカマしても「ハバカリって何?」ということで全く

ウケませんでした。

ハバカリとは,便所,ご不浄,お手洗い,化粧室,雪隠

(セッチン),川屋(カワヤ),トイレ、W.C.(water-closet,

orウンコとシッコ)でんがな。。。(以上,余談終わり※)

 

※さて,本題です。

崩壊:π0→2γの崩壊率を求める問題は,今,初めて

考察してブログ記事を作っているのじゃなく,本ブログ

の過去に書いた記事を,ストーリーに従って並べ直して

いるだけです。

昔の記事をコピペしては,修正しながらアップして

いるうち,自分でも混乱してきたので,ここで,これまで

の記事の経過を,詳細を省いて主な結論だけを要約して

頭の中にあるストーリーを,整理してみました。

※ブログサイトの改編や,セキュリティ強化で図や写真

も入れたいけど,昔ほど簡単には挿入できず,文章ばかり

の内容なのも,混迷と退屈の原因カモね。)

さて,まず,裸の質量がm0,で,スピンが1/2の電子eや

陽子pなどのスピノル場:ψ(x)で記述されるFermionの

荷電粒子の場と電磁場(光子の場)Aμが共存する系で,

ψによる軸性ベクトルカレントの演算子:

(x)=ψ~(x)γμγ5ψ(x)を考えると,もしもm0=0

(質量がゼロ)なら,カイラルゲージ変換に対する系の

不変性が成立して,∂μ」」=0と,その軸性ルカレント

の4次元発散がゼロとなって,カレントの保存が成立

するのですが,一般には,m0≠0なので,∂μ

=2im05≠0であり,このカレントは,時間的に保存

される物理量ではありません。ただし,」5(x)

=ψ~(x)γ5ψ(x)です。この式はPCAC(部分的保存)

の関係式と呼ばれます。

ところが,電磁場の存在の下で頂点関数に対して成立

するはずのWard-高橋の恒等式(WT恒等式)を考察する

ために,カイラルの軸性頂点γμγを含むVVA三角ブラフ

(vector-vwctor-Axialvsctor diagram)の寄与を調べると

純粋にQEDの計算だけから得られた関係に,余分な項

アノマリー項(量子異常項)が存在することがわかり

ます。そして,これは簡単には除去できない本質的意味

がある項であることがわかります。

このWT恒等式のアノマリーは,実は.軸性カレント

のPCAC式に,アノマリー項が存在することに由来して

います。すなわち,∂μ=2im05

+{α0/(4π)}Fξστρεξστρなる関係式に起因

しています。

これら両辺の各項は,摂動論のFeynmanグラフの計算

では,対数発散し,有意な量とみるには正規化して補正

する必要がありますが,それはアノマリー項だけに効く

ので,補正率をCとすると,∂μ=2im05

+(1+C){α0/(4π)}Fξστρεξστρ と修正されます。

これがπ0→ 2γ崩壊率に如何に関係するか?を見るため

そのS行列要素:Sfi=<f;out|i;in>

=<γ(k11),γ(k22);out|π0;in>を考えると,

LSZの公式からSfi=i∫d4xfq(x)(□+μ2)

<γ(k11),γ(k22):in|π0r(x)|0>なる表式を

得ます。ただし,π0r(x)は,π0r(x)=(Z3π)1/2π0(x)

で定義される,π0中間子の(裸の)場:π0(x)のくりこまれた

であり,μは,π0の質量を意味します。

一方,後の便宜のため,∂μ=2im05

+(1+C){α0/(4π)}Fξστρεξστρ の両辺の各項

を,<γ(k11),γ(k22);in>|と,真空:|0>で

挟んだ行列要素を考えます。

これらは全てk1ξ2τε1σ*ε2ρ*εξτσρに比例する

と考えられるので,それぞれ,

<γ(k11)γ(k2,ε2)|:in|μ|0>

=(4k1020)-1/21ξ2τε1σ*ε2ρ*

×εξτσρF(k12)

<γ(1,ε1)γ(k2,ε2);in|2im05|0>

=(4k1020)-1/21ξ2τε1σ*ε2ρ*

×εξτσρG(k12)

<γ(k11)γ(k22):in|

{α0/(4π)}Fξστρεξστρ|0>

=(4k1020)-1/21ξ2τε1σ*ε2ρ*

×εξτσρH(k12) と置きます。

すると,先の軸性ベクトルカレントのPCAC関係式

は,F(k12)=G(k12)+(1+C)H(k12)

に帰着します。

そして,F(k12)∝(k12)なる性質があるので,

2光子の4元運動量k1,k2が,k1~0,k2~0.である

ような低エネルギー極限では,F(0)=0であり,その

領域では補正Cは無視できるので

0=F(0)=G(0)+H(0),または,G(0)=-H(0)を

得ます。アノマリー項の低エネルギーでの寄与:

H(0)は,VVA三角グラフで,具体的に計算できて,

H(0)=2α0/πであり,故にG()=-2α0/πです。

しかし,実際にはF,G,Hは対数発散するので

切断Λを入れて正則化した量をFΛ,GΛ,HΛとして

これらのくり込まれた量をF~,G~,H~とします。

つまり,F~(k12)=limkΛ→∞Λ(k12).etc.です。

すると,k1~0.k2 ~0の低エネルギー極限では,

F~(0)=0,H~(0)=2α/πであり,G~(0)=-2α/π

になる,という定理を得ます。

これがQEDの軸性ベクトルカレントのPCACとVVA

アノマリーに関する「低エネルギー定理」です。

これらQEDのVVA三角アノマリーと「低エネルギー定理」

の結果を,π0中間子の崩壊と関連付けるため,一般化して,

場の理論のアイソスピン対称性を持つσ模型を導入します。

その系のLagrangian密度:のカイラル変換に対応する

Noetherカレント:jμ(x)=-δ)は軸性カレント

なので,これをj(x)と書くと,QEDの軸性カレントの

PCAC式と同じ形のカレントの4次元発散に対する関係式:

μ=(μ12/g0)πを得ます。(※ここでは5μπ

アイソスピンが1の,アイソベクトルです。)

さらに,π中間子の(裸の)場:πのくりこまれた場:πrと,

くりこみ定数Z3πを,,πr(x)=(Z3π)1/2π(x)で定義すると,

μ=(μ12/g0)(Z3π)-1/2πrとなります。

次に,π中間子の崩壊振幅:fπを次式で定義します。

すなわち,<π(q)|j|0>=(2q0)-1/2(-iqμ2)

×(fπ/√2.)とします。そして,これの4次元発散を

取り <π-(q)|πr|0>=(2q0-1/2因子をはずして

演算子式として,先の∂μ=(μ12/g0)(Z3π)-1/2πr

と右辺を比較すると,(μ12/g0)(Z3π)-1/2=fπ/√2

なる等式を得ます。

そこで,∂μ=(μ12/g0)(Z3π)-1/2πrのくり込み

定数が除去されて,物理量だけで書き表わしたPCAC

の関係式が得られて,∂μ=(fπ/√2)π

書けます。

ところが,中性子のβ崩壊:n→p+e+ν~に代表

される,弱い相互作用の現象論的Fermi理論では,荷電

π中間子の崩壊:π→μ+ν~の崩壊率を求めるには,

現象論的相互作用Hamiltonian:Hπ→μνの1次の効果で

ある,<Hπ→μν>=(G/√2)∫d4

<0|∂μπ(x)>{μ~(x)γμ(1-γ5)ν(x)}

という計算式を用いて行います。

(※ν~はニュートリノ:νの反粒子を意味します。)

しかし,π→μ+ν~に寄与するのは,V-Aカレントの

うち,Aの部分のみで,レプトン因子のA=軸性カレント

を,L^μ(x)=μ~(x)γμγ5ν(x)と表わせば,

崩壊振幅への実際の寄与は,(G/√2)∫d4

<0|∂μπ(x)>L^μ(x)となります。

そして,πの4元運動量がqμの粒子状態

への寄与を<0|∂μπ(x)>

=(2π)-3/2(20)-1(iqμ)(aπ)として,π中間子の雲

の振幅:aπを定義すると,崩壊:π→μ+ν~の振幅は,

<μν~|L^μ{0>

<0|(Gaπ/√2)(∂μπ)|π><π(q)>

と表現されます。そして,これによって崩壊率:1/τを

計算すると,1/τ={G2π2/(8πμ)}(mμ/μ)2 となり

ますが,これが実験値 1/τ ~3.84×107sec-1と合致する

には,,|aπ|=0.87μ~.97μである,ことが必要である,

と評価されています。

一方,擬スカラー場:πから作られる軸性ベクトル

μπの弱軸性カレントjに相当する寄与率:r

=g/gを考慮して,これから上述の崩壊振幅を

得るには,r<0|j(x)|π(q)>

=aπ<0|∂μπ(q)>となることが必要十分

です。この式の左辺で4次元発散を取れば,

r<0|∂μ(x)|π(q)>=aπ<0|□π(q)>

=-aπμ2<0|π(q)>となりますから,fπ/√2

=-aπμ2/rとすれば,∂μ=(fπ√2)πを得ます。

この式の右辺のπ中間子の場:π(x)を,くりこまれた場

π-r(x)である,と解釈するなら,これは,∂μ

=(fπ√2)π-r となります。

他方.σ模型のPCAC関係式はアイソベクトルπについて,

μj5μ=(μ12/g0)(3π)-1/2πrでしたから,両者の関係式

が一致することを要請すれば,再び,(μ12/g0)(Z3π)-1/2

=fπ/√2が成立するはずです。

このPCAC式が,荷電π中間子πだけでなく,中性の

π0中間子でも成立するなら,∂μ=(fπ/√2)π0rです。

そこで,中性のπ0中間子においても,係数fπは荷電π

中間子の崩壊率に比例する量であるとが証明されました。

結局,QEDではないσ模型でも,三角グラフを通して

2光子と相互作用する電気的に中性な軸性ベクトルカレント

がPCACの条件を満足するとき,その4次元発散:

μが,πの場に比例するという結果を得ました。

(※ここまでが,これまでの記事の要約です。)

今回は,これ以上進むと長くなるので,(9)までの

要約のみでした。(つづく)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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2020年9月12日 (土)

物理学の哲学(9)(アノマリー)

物理学の哲学」の続きです。

 今回も余談抜きです。

さて,これまでの記事内容と重複するかも

知れませんが,粒子の散乱などの量子遷移現象

において,初期状態,or 始状態を,|i>,終状態を

|f>で記述すると.|i>から|f>への散乱行列

(S行列)要素:Sfiは,ユニタリ変換だけ異なる

2つの完全系:incomibg漸近場の状態と

outgoing漸近場の状態によって,

fi=<f;out|i;in>=<f;in|S^|i:in>

で定義されます。そして,S^演算子は,<f;in|

=<f;out|S^で定義されます。

今のπ0→2γの崩壊過程では,|i>=|π0

であり,|f>=|γ(11)γ(k2,ε2)>です。

そして,これに,LSZの還元公式を用いると,

fii∫d4x(2π)-3/2(2q0)-1/2exp(-iqx)

(□x+μ2)<γ(k1,ε1)γ(2,ε2);in|π0r(x)|0>

と書けます。ただしπ0r(x)は,くりこまれた中性の

π0中間子の場(擬スカラー場)であり,μはπ0の質量

です。そして,Klein-Gordon演算子:(□+μ2)を挿入

しているのは,始状態で,入射するπ0のincoming漸近場:

π0in(x)が,その自由場と同じ方程式に従うため,

(□+μ20in=0のKlein-Gordon方程式を満たす

からです。

ここで,本ブログの過去記事「LSZの公式(4)」から,

LSZ(Lehmann-Synmanzik-Zimmerman)の公式の

紹介記事を,今のπ0中間子の崩壊過程に適用するため,

少し修正して再掲載します。

 参考にしたのは,J.D.Bjorken とS。D。Drellの共著

「Relativistic Quanrum Field」(McGrawHill) です。

これは私が学生の頃の場の量子論の標準的テキスト

でした。(※もっとも,当時は1ドル360円の時代で,洋書

は高価で貧乏学生だった私は,研究室図書館の蔵書を青焼き

コピーしてファイルににして使ってました。これを買えた

のは,サラリーマンに就職後です。※)

※さて,以下は修正した再掲記事です。

粒子群:αに4元運動量がpのπ中間子1個

が加わった入射粒子群のincomingの漸近状態を

意味する:|αp;in>から,終状態の粒子群:βの

outgoing漸近状態のKet:<β;out|への遷移振幅

を示すS行列要素(散乱業辣要素)を与えるS行列

要素:Sβ(αp)=<β;out|αp;in>を考察します。

以下,漸近条件を用いて,始状態:|αp;in>と

終状態|β;out>の両方から1粒子pを差し引く

代わりに,適当な場の演算子を挿入した式が

得られることを示します

質量がμのπ中間子の漸近場の消滅演算子;

in^(p),および,aout^(p)は,それぞれ,

in^()=i∫d3(x)∂0πin(x),

および,aout^()=i∫d3(x)∂0πout(x)

という表式で書けることを用います。

他方,これら漸近場の生成演算子:ain^(p)と

out^(p)の方は,上式の両辺のHermite共役を

取れば得られます。

ただし,f(x)=(2π)-3/2(2ωp)-1/2

exp(-ipx)です。(ω=p0=(2+μ2)1/2)

一方、f(x)=(2π)-3/2(2ω)-1/2exp(ip)

で,これらは,(□+μ2)f=0,(□+μ2)f*=0

を満たす平面スカラー波の解です

 また,任煮,の2つのtの関数:a(t),b(t)に

対して,a(t)0b(t)で与えられる関数を,

a(t)∂0b(t)=a(t){∂b(t)/∂t}

-[∂a(t)/∂t}b(t) で定義しています。

そこで,<β;out|αp;in>

=<β;out|ain^(p)|α;in>

=<β;out|aout^p)|α;in>

+<β;out|ain^(p)-aout^(p)|α;in>

=<β-p;out|α;in>

-i<β;out|∫d3x[p(x)∂0

in(x)-πout(x)]]|α;in>と書けます。

 |β-p;out>は,もしも集合:βの中にp

が存在する場合は,βからpを除いた終状態を

表わしますが,βの中にpが存在しない場合は,

この項はゼロで消えてなくなります。

また,|αp;in>が,初期に2粒子がある場合の

散乱を表現しているなら,<β-p;out|α;in>

は入射粒子と標的粒子が運動量を含め,それら

の量子数を保存する前方弾性散乱のみに寄与

します。つまり,<β-p;out|α;in>

=δ(β-p)αです。

(※ 何故なら|α;in>が1粒子の場合は,

<β-p;out|P^2|α;in>

=α2<β-p;out|α;in>

=(β-p)2<β-p;out|α;in>なので,

<β-p;out|α;in>≠0である場合は,

(β-p)2=α2=μ2ですから,|β-p;out>

も同じ1粒子の終状態です。

そして,また,<β-p;out|P^μ|α;in>

=αμ<β-p;out|α;in>

=(β-p)μ<β-p;out|α;in>

ですから,<β-p;out|α;in>≠0のときは,

(β-p)μ=αμ,つまり,βμ=(α+p)μと,

4元運動量が不変な弾性散乱で,しかも方向を

変えず素通りする前方散乱のみの振幅を意味

するからです。※)

さて,<β;out|αp;in>

=<β-p;out|α;in>

-i<β;out|∫d3x[(x)0

in(x)-πout(x)}]|α;in> の右辺の

項:-i∫d3<β;out|fp(x)∂0

in(x)-πout(x)}|α;in>

は「Greenの定理」によって時間tに依存しません。

そして,始状態,終状態の散乱状態の粒子たちが

波束のように,あるf(x)≠0の形の有限な台に

局所化されていることを保証する漸近条件:

limt→-∞<α|π(t)|β>=Z1/2<α|πin(t)|β>,

limt→+∞<α|πf(t)|β>=Z1/2<α|πoutf(t)|β>

の要請,を満たすことから,t=x0→ -∞ の極限では,

πin(,t)を,Z-1/2π(,t)で,また,t=x0→ +∞

の極限でも,πout(x,)を,やはり,Z-1/2π(,t)

で置き換えることが許されます。

(※Zは,π(x)のくりこみ定数を意味しています。)

 それ故,結局,<β;out|αp;in>

=<β-p;out|α;in>

+(iZ-1/2(lim0→ +∞-limx0→-∞)

<β;out|∫d3(x)∂0π(x)|α;in>

と書くことができます。

これが,Reduction手続きの最初の段階です。

これから,より便利な形を得るために,公式:

(lim x0→ +∞-lim x0→ -∞)∫d31(x)∂02(x)

=∫-∞4x[∂0{g1(x)∂02(x)}]

=∫-∞4x[g1(x)∂022(x)

-{∂021(x)}g2(x)]が成立すること

を用います。

そこで,g1(x)=f(x),g2(x)

=π(x)として,これに代入すると,

1(x)=fP(x)は,(□+μ2)f(x)=0

を満たすので,∂02(x)=(∇2-μ2)f(x)

Gが成立します。

 よって,Z-1/2(lim x0→+-limx0→-∞)∫d3

<β;out|f(x)∂0π(x)|α;in>

=iZ-1/2-∞4x<β;out|

(x)∂02π(x){∂02p(x)}π(x)|α;in>

=iZ-1/2-∞4x<β;out|f(x)

(∂02+μ2)π(x)-(∇2(x))π(x)]|α;in>

となります。

 結局,Z-1/2(lim x0→+-limx0→-∞)∫d3

=iZ-1/2-∞4xfp(x)(□+μ2)

<β;out|π(x)|α;in> なる表式を得ます。

ここで,最後の式変形では部分積分に対する

「Greenの公式」を用いました。

したがって,元のS行列要素の始状態,終状態

の両方から1粒子を減ずる還元公式の最終式

として,Sβ(αp)=<β;out|αp;in>

=<β-p;out|α;in>

+iZ-1/2-∞4xf(x)(□+μ2)

<β:out,|π(x)|α;in>

が得られました。 (再掲記事終了※)

今のπ0中間子の崩壊のS行列要素:

fi =<γ(k11)γ(k2,ε2);out|π0in>

=<γ(k11)γ(k22);in|S^|π0in>

に対するLSZの公式を考えると,上記で,

<β;out|=<γ(k11)γ(k22);out|

とし,|αp;in>=|π0in>として,それ故,

|α:in>は,真空:|0>を意味するので,上記

の最終形の式で,π中間子の場π(x)を,π0中間子

の場:π0(x)に置き換え,そのくりこまれた場

を,π0r(x)と書いて,π0r(x)=Z1/2π0(x)

と乗法的に定義されているなら,入射π0粒子の

4元運動量がpμでなく,qμの場合の崩壊の

S行列要素として,

i=<γ(k11)γ(k2,ε2);out|π0;in>

=i∫d4xf(x)(□+μ2)

<γ(k11)γ(k22);out|π0r|0>

なる表式が得られます。

ここで,始状態,および.終状態を共に

incomingの漸近状態のx座標表示で表わすと,

それぞれ,<x|π0 ;in>=f(x)

=(2π)-3/2(2q0)-1/2exp(-iqx),および,

γ(k1,ε1)γ(k2,ε2);in|x>σρ

=(2π)-3(4k1020)-1/2ε1σ*ε2ρ*

exp(ik1x)exp(ik2x) です。

そこで,S行列要素:fii∫d4xf(x)

<γ(k1,ε1)γ(k2,ε2);out|(□+μ2)π0|0>

を,このx表示で書けば,未知の因子を

σρ(k1,k2:q)として,Sfi=i∫d4x(2π)-9/2

(2q0)-1/2exp{-i(q-k1-k2)x}

(4k1020)-1/2ε1σ*ε2ρ*σρ(k1,k2:q)

なる形に書けるはずです。

そこで,(2π)-1/2(2q0)-1/24k1020)-1/2

ε1σ*ε2ρ*σρ(k1,k2:q)が,f(x)

×<γ(1,ε1)γ(k2,ε2);in|(□+μ2)π0r|0>

のFourier変換(運動量表示)になっています。

それ故,(4k1020)-1/2ε1σ*ε2ρ*(2π)×

σρ(k1,k2:q)がが,S行列要素の,運動量表示

(x)<γ(1,ε1)γ(k2,ε2);in|

(□+μ2)π0|0>から,|π0;;in>から,波動関数

(x)=(2π)-3/2(2q0)-1/2exp(-iqx)

を除いた因子である

<γ(k11)γ(k22);in|(□+μ2)qπ0r|0>

のFourier変換(運動量表示になっている

と考えられます。

そこで,Sfi=i∫d4xf(x)(□+μ2)

<γ(k11)γ(k22);in|π0r|0>

の被積分関数を[(2π)-9/2(2q0)-1/2

exp{-i(q-k1-k2)x}

(4k1020)-1/2ε1σ*ε2ρ*1ξ2τε1σε2ρ*

εξτσρπ(k12)と書いて,

fi=i∫d4x(2π)-9/2(2q0)-1/2

exp{-i(q-k1-k2)x}(4k1020)-1/2

ε1σ*ε2ρ*σρ(k1,k2:q)の被積分関数

と等置すれば,(2π)SσΡ(k1,k2,:q)

=k1ξ2τεξτσρπ(k12) となります。

今回は,ここで終わります。(つづく)

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2020年9月11日 (金)

物理学の哲学(8)(アノマリー)

物理学の哲学」の続きです。

余談は省略で,さっそく本題の続きに入ります。

 前回は,QED以外に,部分的保存(PCAC)を満たす

場理論のσ模型を導入して,π中間子の崩壊振幅

πを,次式で定義しました。

すなわち,<π(q)|j|0>

=(2q0)-1/2(-iqμ2)(π/√2.)です。

ここで,μはπ中間子の質量です。

アイソベクトル場:πを含むσ模型では,πもj

も中性成分だけでなく荷電成分を持つため,fπ

丁度,荷電π中間子の弱い崩壊振幅に等しいもので

あることがわかります。

特に,中性のπ0に対する先の「不完全版」の

σ模型の中性軸性べクトルカレントj(x)は,アイソ

軸性ベクトルカレントj(x)の,アイソ第3成分です

から,それを5μ(3)(x)と記し.中性カレントでの表現:

<π(q)|j|0>=(2q0)-1/2(-iqμ2)fπ/√2.

を,<π0(q)|5μ(3)|0>=(2q0)-1/2(-iqμ2)fπ/√2.

と書き直します。

荷電π中間子の場の演算子は,π=(π1-iπ2)√2,

および,π=(π1+iπ2)/√2,ですが,,一方,粒子の

状態ベクトルとしては,|π>=|π1+iπ2>/√2,

および,{π>=|π1-iπ2>/√2でしたから,

πの崩壊:π→ μ+νμ~, π→ e+νe~

おける行列要素:<α|π>の向きを逆転させた

要素:<π{α>は,<π{α>=<α|π

なるはずです。これは,つまり,Bra:,|π

=|π1-iπ2>/√2に対し,Ket<π|=<π1+iπ2|/√2

が対応することを示している,と考えられます。

そこで,軸性ベクトルカレントの第3成分は,

5μ(3)Ψ~γμγ5τ3Ψ+σ(∂μπ3)-π3(∂μσ)

+g0-1(∂μπ3)なる演算子で与えられますが,これを

アイソ回転して得られるアイソカレントの+成分は

第3成分:j5μ(3)τ3ではなく,τを対応

せたj5μ(+)=(1/2)Ψ~γμγ5τΨ+σ(∂μπ)

-π(∂μσ)+g0-1(∂μπ),(τ=(τ1-iτ2)/√2,

π=(π1―iπ2)/√2.)となるはずです。

それ故,<π(q)|j5μ(+)|0>

=<π12)(q)|(j5μ(1)ij5μ(2))|0>/2

(2q0)-1/2(-iqμ2)(fπ/√2) となります。

ここで,k=1,2,3の各々のπはkが同じカレント

5μ(k)のみ相互作用することができて,kに関わらず,

<π|j5μ(k)|0>=(2q0)-1/2(-iqμ2)(fπ/√2.)

になるという対称性を仮定しました。

そして,<π(q)|j|0>

=(2q0)-1/2(-iqμ2)fπ/√2の4次元発散を

取り,∂μ=(μ12/g0)(Z3π)1/2πrを代入して,

<π(q)|(π(q)>=(2q0)-1/2を用いると次式

を得ます。すなわち,(μ12/g0)(Z3π)1/2=fπ/√2

です。

そこで,∂μ=(μ12/g0)(Z3π)1/2πrのくり込み

定数は除去されて,このPGAG方程式を完全に物理量

だけで書き表わせます。

結局,重要なPCAC関係式として,

μ=(fπ/√2)πなる結果が得られました。

と書いたところで前回記事は終わりました。

※さて,ここからが,今回追加の記事内容です。

先に与えたfπが,丁度,荷電π中間子の弱い相互作用

による崩壊振幅に等しいことを,検証します。

そのため,本ブログでPCACの意味とπの意味に

ついて,「(岩波講座)現代物理学の基礎(11)素粒子論」

という古い本を参照して書いた過去記事を再掲載します。

40年以上前に買ったこの本を,昔,読んだときの覚え

書きで,今では解釈が間違っているかもも知れません。

※以下は再掲記事です。

さて,π中間子の運動量がqの1粒子状態は,

(q)>=|π>|π>|π(q)>

+ΣNN~|NN~><NN~|π(q)>と,完全系に展開

できる,とします。

崩壊:π→μ+νμ~は,第1項の振幅と見ても,

第2項以下の振幅で見ても同じであると仮定します。

つまり,|π(q)>=|π>|π>|π(q)>,

であり,かつ, |π(q)>

=ΣNN~|NN~><NN~|π(q)>でもある

というわけですから,|π->の{μν~>への崩壊は

|NN~>の中間状態を通してのみ可能な反応である

と考えるわけです。

ということは,実は,展開の第1項と第2項以下は,

同じモノで,どちらかの項はゼロロとして消していい

ということになります。

そこで,展開の右辺第1項,または第2項以下を評価

すればいいのですが,これは現象論的弱い相互作用:

π(∂μπ){μ~γμ(1-γ5)ν}による,

摂動Hamiltonian:π→μνの1次の崩壊振幅で

あり,

<Hπ→μν>=(G/√2)∫d4x<0|∂μπ(x)>

×{μ~(x)γμ(1-γ5)ν(x)}なる計算式で

与えられます。ここで,<0|∂μπ(x)>

=(2π)-3/2(20)-1(iqμ)aπ で,現象論的な

Fermiのカレント-カレント相互作用の弱い結合係数:

Gに対する中間子πのカレントに相当する(∂μπ)の寄与

の比率係数πを定義しておきます。

この現象論的弱い相互作用での最低次近似による

π→μ+νe~の崩壊率,1/τπ→μνの計算」結果と

その実験値を比較すると,

(1/τの計算値)={G2π2/(8πμ)}(mμ/μ)2であり

(1/τの実験地)~3.84×107sec-1です。

(※μは,πの質量,mμは,μ粒子の質量です。)

この比較によれば,aπの大きさは|aπ|~0.97μ

と評価されます。(※本ブログの2016年3/21の過去

記事:「弱い相互作用の旧理論(Fermi理論)(12)」で,

荷電π中間子の崩壊について記述しましたが,そこ

では,今のaπを単にaと記し,|a|~ 0.87μ,または,

|a|~ 0.93μと評価されましたが,これらは上記の

|aπ|~0.97μと,誤差の範囲内で一致していると

見えます。そして,この|a|は,核子1個当たりのπ中間子

の雲の存在確率振幅を意味すると解釈されていました。※)

レプトンの軸性カレントの因子:{μ~γμ(1-γ5)ν}を

L^μと表わせば,π→μ+νμ~の崩壊振幅は,

<μν~|L^μ{0><0|(Gaπ/√2)(∂μπ)|π

×<π(q)> と表わされます。

他方,これが,|π(q)>=|π>|π>|π(q)>

+ΣNN~|NN~><NN~|π(q)>における右辺の

第1項のみ,または,第2項以下の強い相互作用を仮定

したNの中間状態の寄与の総和:ΣNN~<μν~|L^μ{0>

<0|(Gaπ/√2)(∂μπ)|NN~><NN~|π(q)>

=<μν~|L^μ{0>

<0|(g/g)(Gaπ/√2)j(x)|π(q)>

の両者が一致して,いずれかが象論的Fermiも弱い

相互作用に寄与なるというのが,過去記事の

内容でした。

 πの方のカレント相互作用の因子:(G/√2)(aπμπ)

が,レプトンのV-Aカレント因子のA(軸性ベクトルカレント)

の部分:(G/√2)aπ(g/g)j(x)のみと作用すると

見るのは.π-が擬スカラー粒子なので相互作用因子aπμπ

は,Fermi粒子のNやレプトンのV-Aの弱カレントのうちの,

Aのみと相互作用する,軸性ベクトルカレントに相当する

と考えられるからです。

それ故,第1項=第2項Vいう同一視の仮定が満足

されるためには,V-AカレントのVに対するAの比率を

=g/gとして,aπ<0|∂μπ(q)>

=r<0|j(x)|π(q)> が成立することが必要

かつ,十分です。

そして,この式の両辺の4次元発散を取れば,

<0|∂μ(x){π(q)>

=aπ<0|□π(q)>=-aπμ2<0|π(q)>

を得ます。ここで,1粒子の実π中間子は,自由なπ中間子

の運動方程式であるKlein-Gordon方程式::(□+μ2=0

を満たすはずなので,□π=-μ2πと書けることを

用いました。それ故,fπ/√2=aπμ2/r,

(r=g/g)と置けば,状態ベクトルを外した演算子

方程式として,∂μ=(fπ√2)πなる式を得ます。

アイソスピン対称性から,これが荷電π中間子に対する

だけでなく,中性のπ0中間子に対しても成立するなら,

μ5μ=(fπ/√2)π0ですから,先のPCAC関係式と一致

するため,fπは確かに荷電π中間子の崩壊率に比例する

量であること,がわかります。

ただし,ここでのπについての場の演算子:π^および

π0は,既に,輻射補正されて,くりこまれた場:π―r,

および,π0rであると解釈しています。再掲載終了※)

今回は,キリもいいのでここまでにします。(つづく)

 

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2020年9月 7日 (月)

物理学の哲学(7)(アノマリー)

物理学の哲学」の続きです。

副題の(止まると死ぬ)は,だんだん記事の意図

から外れてきたので,副題を(アノマリー)に変更

しました。

(※余談):9/7(月)夜です。九州には大型台風

がきてるらしいけど,私は,餅じゃなく,カリン糖

が喉に詰まる誤嚥で呼吸困難になってしばらく

一人で七転八倒したりして,相変わらず死と隣り合

わせの状態が日常的に起こるので,先は長くない

ですね。体はボロボロで頭ばかり冴えてます。

(余談終わり※)

  さて,少し飛躍して量子アノマリーを研究

する目的の1つであった,π0 →2γ崩壊の

S行列要素 →崩壊率の評価を考えます。

まず,過去記事「摂動論のアノマリー」

の(13)を参照します。

(※以下,再掲載記事)

粒子の散乱などの量子遷移現象において,

初期状態,or始状態(initial stare)を|i>,

終状態(final stateを|f>で記述すると,

今のπ0→2γの崩壊過程では,|i>=|π0

であり,|f>=|γ(k11)γ(k2,ε2)>です。

ただし,k1,k2は,終状態の2個の光子(2γ)

の運動量,または波数であり,ε12は偏極

(偏光)を示しています。

一般の散乱行列(S行列)要素Sfi,および,S^

演算子は,ユニタリ変換だけ異なる2つの完全系:

incomibgの漸近場の状態とoutgoingの漸近場

の状態(散乱状態)によって,

fi=<f;out|i;in>=<f;in|S^|i:in>

で定義されます。

そこで,S^演算子は,<f:in|=<f;out|S^

で定義されます。

今のπ0崩壊の場合は,

fi =<γ(k11)γ(k22);out|π0in>

=<γ(k11)γ(k22);in|S^|π0in>

であり,|i>から|f>への遷移確率を示す

fiは,散乱行列要素というより,π0 → 2γ

の崩壊行列要素を意味します。

このS行列要素と,ここまで論じてきた電磁場

が存在する場合の裸の質量m0の軸性ベクトル

カレント:j(x)=ψ~(x)γμγ5ψ(x)の

部分的保存(PCAC)を意味する4次元発散の式:

μ(x)=2im05x)

+{α0/(4π)}Fξστρεξστρ.

 ただし,j5(x)=ψ~(x)γ5ψ(x)とが,

どのように関連付けられるかを見るため,過去

記事「摂動論のアノマリー」(16)」において,

これを次式に置き換えることによって,三角

グラフの輻射補正に由来するアノマリーの

可能性を考慮に入れると,

μ5μ(x)=2im05

0/(4π)}(1+C)Fξσ(x)Fτρ(x)εξστρ

と書けます。(※Cは輻射補正の寄与率)

以下,上記の式を「低エネルギー定理」

基礎式として用います。

そして,4元運動量:k1,k2と偏極(偏光):

ε12を持つ2光子の状態のKetベクトル:

<γ(k11)γ(k22)|と,真空:|0>による

これら各項の行列要素を取ってみます。

 4元運動量:k1,k2と偏光:ε12から構成

することができる唯一の擬スカラー量は定係数

因子を除けば,k1ξ2τε1σ*ε2ρ*εξτσρ

のみです。

それ故,軸性ベクトルの4次元発散の両辺の

項の行列要素は,因子として,この表現を含む

はずです。そこで,

<γ(k11)γ(k22)|∂μ|0>

=(4k1020)-1/21ξ2τε1σ*ε2ρ*

×εξτσρF(k1,k2) ....(1)

<γ(k11)γ(k22)|2im05|0>

=(4k1020)-1/21ξ2τε1σ*ε2ρ*

×εξτσρG(k1,k2) .....(2)

<γ(k11)γ(k22)|

0/(4π)}Fξστρεξστρ|0>

=(4k1020)-1/21ξ2τε1σ*ε2ρ*

×εξτσρH(k1,k2) ....(3)と書きます。

F(k1,2),G(k1,k2),H(k1,k2)は,

スカラー量:(k1)2,(k2)2,(k1+k2)2

関数ですが,2光子状態の光子は,共に質量が

ゼロの実光子であるとしているので,

(k1)2=0,かつ,(k2)2=0であり,結局,

F,G,Hは(k12)のみの関数であると

見ることができます。

そこで,軸性ベクトルカレントの4次元発散式

の行列要素での表現は,F,G,Hによって,

F(k12)=G(k12)+(1+C)H(k12)

と書き直せます。

これから「低エネルギー定理」というものを

導出するために,行列要素:μ=(4k1020)-1/2

<γ(k11)γ(k22)|j|0>の注目すべき

運動学的性質を用います。それは,Lorentz不変性,

ゲージ不変性,Bose統計の要請ですが,これらから

次の一般形式をとることが要求されます。

以下,これらの性質から軸性カレントの

4次元発散の行列要素,

<γ(k11)γ(k22)|∂μ|0>

=(4k1020)-1/21ξ2τε1σ*ε2ρ*

×εξτσρF(k12)が,(k1+k2)μμに比例し,

(k1+k2)μ<γ(k11)γ(k22)|j|0>

の定数倍であることがわかります。

これからF(k12)∝(k12)と結論されます。

故に,F(0)=0が成立します。

このことが,素朴な発散の(真空 →2光子の

行列要素:<γ(k11)γ(k22)|2im05|0>

=(4k1020)-1/21ξ2τε1σ*ε2ρ*

εξτσρG(k12)のG(k12)を,演算子:

0/(4π)}Fξστρεξστρの行列要素,

<γ(k11)γ(k22)|{α0/(4π)}

ξστρεξστρ|0>

=(4k1020)-1/21ξ2τε1σ*ε2ρ*

εξτσρH(k12)のH(k12)に関係付ける

「低エネルギー定理」を与えます。

すなわち,F(k12)=G(k12)

+(1+C)H(k12)が成立することから,

0=F(0)=G(0)+(1+C)H(0) を得ます。

したがって,G(0)=-(1+C)H(0)です。

ただし,摂動論の最低次(treeレベル)では輻射補正

Cは無視します。

ところが,H(0)については,j,j5,および,

アノマリー項:{α0/(4π)}Fξστρεξστρのグラフ

に対するFeynman規則を用いて,評価することができて

H(0)=2α0/πであること,がわかります。

そしてG(0)=-(1+C)H(0)ですが,k1→0.2→ 0

の低エネルギー極限では,C=0となることから,

G(0)=-H(0)=-2α0/πなる評価を得ます。

この,G(0)に対する結果は,大した面倒もなく,

直接,具体的な最低次のグラフのGの表現式:,

σρ=k1ξ2τεξτσρ1,B1=8π2000(k1,2)

からも導出できるものです。

すなわち,具体的計算でも,確かに

G(0)­=[iε1σ*ε2ρ*(-ie02)(2π)-4

(2m0σρ)/k1ξ2τε1σ*ε2ρ*ε

×εξτσρ]k1,k2→ 0=e02(2π)-4(2m01) k1,k2→ 0

-e02/(2π2)=-2α0/π を得ます。

そこで,実際には発散する係数Gに切断Λを入れて

有限化した,GΛの Λを無原大とした極限の

くり込まれた量をG~,つまり,

G~(k12)=limkΛ→∞Λ(k1k2)と書くと,

1~0.k2 ~0の低エネルギー極限では,裸の

微細構造定数:α0を,観測量αに置き換えた関係:

G~(0)=-2α/πになる,という定理:を得ます。

これが,求めたかった「低エネルギ定理」です。

※ここで,これまでのQEDでのVVA三角アノマリーと

今の「低エネルギー定理」の結果を一般化した場の

理論の,いわゆる σ模型を導入してこれを考察します。

σ模型もQEDのそれと同じく,正確な演算子恒等式と

して,部分的保存条件(PCAC)を満足します。

上に導出した「低エネルギー定理」の,この種の模型

への拡張は,π0 → 2γの崩壊率の予測に導き,結果,

その予測計算値と実験値との比較を可能にします。

σ模型は,PCACが演算子関係式として成立する場理論

模型の特殊なケースです。

基本的に興味あるのは,三角グラフを通して2光子と

相互作用ができる電気的に中性の軸性ベクトルカレント

です。そこで,過去記事では,まず,電気的に中性の軸性

ベクトルカレントのみを含むσ模型の「不完全版」を

考察しました。この模型では,系のLagrangian密度

は次式で与えられます。すなわち,

=ψ~{iγμμ-G0(g0-1+σ+iπγ5)}ψ

+λ0{4σ2+4g0σ(σ2+π2)+g022+π2)2}

+(μ02/2)(2g0-1σ+σ2+π2)

+(1/2){(∂π)2+(∂σ)2}

-(μ12/2)(π2+σ2) です。

これは,陽子pのスピノル場:ψ(x),中性π中間子π0

の場:π(x),および,スカラー中間子の場σ(x)のみ

含みます。

 過去記事では,この「不完全版」からスタートして

議論を展開しましたが,ここでは,最初から,中性の

軸性ベクトルカレントだけでなく,荷電軸性ベクトル

カレントも含み,π中間子も荷電π中間子も含む

「完全版」のσ模型を想定します。

 すなわち,強い相互作用の荷電独立性

(アイソスピン対称性)が,このσ模型でも成立する

と仮定して.不完全版」の陽子pのスピノル場:

Ψ(x)を,核子:(p,n)のアイソスピノル場:

Ψ=(ψ)で置き換え,単一のπ0中間子の場

であったπ(x)を,アイソベクトル場:π=(π123)

で置き換えます。σ(x)については電気的に中性のみの

アイソスカラーでアイソスピンはゼロの場とします。

よって,「完全版」のσ模型でのLagrangian密度は,

=Ψ~「[iγμμ-G0({g0-1+σ+i(τπ5}]Ψ

+λ0{4σ2+4g0σ(σ2π2)+g022π2)2}

+(μ02/2)(2g0-1σ+σ2π2)

+(1/2){(∂π)2+(∂σ)2}-(μ12/2)(π2+σ2)

となります。

このとき,実際に観測されているπ中間子の

0)の粒子状態は,アイソベクトル場;

π=(π123)の状態;|π>(k=1,2,3)

により,|π>=(|π1+i|π2>)/√2,

=(|π1>-i|π2>)/√2,および,|π0

=|π3>なる線形結合で与えられます。

ここで,係数(1/√2)は状態を規格化する

ための因子です。

ただし,πの1粒子状態は,|π>=(π)|0>

(k=1.2、3)のように,真空:|0>に場の生成演算子

)を作用させて得られるので,上記の粒子状態

の表現は,粒子の消滅演算子を意味す粒子場:πでは

π=(π1―iπ2)/√2,,π=(π12)/√2,

π0πです。

この模型のの場合,カイラルゲージ変換は無限小の

局所ゲージパラメータ:(x)をアイソ空間のベクトル

として,アイソスピノル Ψ=(ψ)に対しては,

Ψ → {1+{(i/2)γ5(τv)}Ψなる変換となり,対応

して,アイソベクトル場:π=(π123)

,π → π(g0-1+σ) なる変換です。

そこで,特に中性のπ0中間子の場:π0=π3は,

π→ π3+v3(g0-1+σ)と変換します。ここで,

Pauliのスピン行列を導入しこれをτ=(τ12,τ3)

表記して用いました。また,σについての変換

は,σ → σ+(vπ)です。

そして「Noether(ネーター)の定理」の応用でこの変換

に対応するカレントは軸性なのでこれを,

=-δ/δ(∂μ)で定義すると,今の場合,この

軸性ベクトルカレントもアイソベクトルで,

=(1/2)Ψ~γμγ5τΨ+σ(∂μπ)

π(∂μσ)+g0-1(∂μπ).で与えられます。

この変換で,Lが不変なら,これは∂μ5μ=0を満たす

保存カレントであるはずですが,残念ながらは不変

ではなく,余分な項:(-μ12/g0)πがあるため,これまで

論じてきたQEDでの質量m0≠0の場合の軸性ベクトル

カレントの4次元発散のケースと同じく,部分的保存

(PCAC)のみが成立します。

つまり,この場合は∂μ=-δ/δv=(μ12/g0)π≠0

となります。

こうして,σ模型は演算子恒等式としてPCACの条件を満足

する,との先の言明通り軸性ベクトルカレント

4次元発散:∂μが,πの場に比例する,という重要な

式を得ました。

σ模型について,その他色々と詳細な話ありますが,

重要なのは,このPCACの関係が成立することです。

また,摂動論のあらゆる次数までで,<0|σ|0>=0.

となるように,σ模型が全体に平行移動された形式

を選択しました。もしも,最初に選択した場:σでは.

<0|σ|0>=σ0≠0の場合,σ → σ~=σ-σと平行

移動して,このσ~を改めてσに採用することで,常に

<0|σ|0>=0 としておきます

パラメータ:μ12はσの裸の伝播関数(q2-μ12+iε)-1

に現われる裸のσ中間子質量の平方です。

σについての Euler-Lagrange方程式:

λ{∂/δ(∂λσ)}-(∂L/∂σ)=0 を書き下すと,

□σ+(μ12-μ02)σ=-G0ψ~ψ+g0-1μ02

+λ0{8σ+4g0(3σ2+π2)+4g02σ(σ2+π2)2}です。

そこで,<0|δ/δ(∂λσ)|0>=0は,□<0|σ|0>=0

を意味し.大域的にこれが成立することは,0|σ|0>が

時空点に依存しない定数であることを意味します。

それ故,恒等的に<0|σ(x)|0>=0 と表わすことが

できます。σの生成,消滅の両Fourier成分を持つ

σのincoming漸近場:σinによって,|σ>=σin|0>

書けば,<0|int(x)|σ>=<0|int(x)σin(x)|0>

=0であることを意味します。これから,

<0|T[Hin(t1in(t2)..Hin(tin(x)|0>=0,

つまり,<|S^σin|0>=0となり,摂動の全ての次数で

<0|σ|0>=0が保証されるわけです。

さらなる作業のため,σ模型のPCAC方程式:

μ=-δ=(μ12/g0)πを,次のように

書き換えます。

すなわち∂μ=(μ12/g0)(Z3π)1/2πr 

とします。つまり,π=(Z3π)1/2πrで,くりこみ係数:

3πと,くりこまれたπの場:πrを定義するわけです。

次に,π中間子の崩壊振幅fπを次式で定義します。

すなわち,<π(q)|j|0>=(2q0)-1/2(-iqμ2)

×(fπ/√2.)です。ここで,μはπ中間子の質量です。

アイソベクトル場:πを含む完全版σ模型では,π

も中性成分だけでなく荷電成分を持つため,fπ

は丁度,荷電π中間子の弱い崩壊振幅に等しいもの

であることがわかります。

特に,中性のπ0に対する,先の「不完全版」の中性

軸性べクトルカレント:j(x)は,アイソ軸性ベクトル

カレント:(x)の,アイソ第3成分ですから,それを

5μ(3)(x)と表わし.中性カレントの<π(q)|j|0>

=(2q0)-1/2(-iqμ2)fπ/√2 なる表現を,

<π0(q)|j5μ(3)|0>=(2q0)-1/2(-iqμ2)

×fπ/√2. と書き直します。

荷電π中間子の場の演算子は,π=(π1-iπ2)/√2,

および,π=(π1+iπ2)/√2,ですが,

その粒子の状態ベクトルは,|π>=|π1+iπ2>/√2,

および,π>=|π1-iπ2>/√2でしたから,π

崩壊における行列要素:<α|π>の向きを逆転させた

π|α>は,その複素共役で与えられます。

つまり,Bra:|π>=|π1-iπ2>/√2に対して,

Ket:<π|=<π1+iπ2|/√2が対応すると

考えられます。

そして,軸性ベクトルカレントのアイソ第3成分は

5μ(3) =(1/2)Ψ~γμγ5τ3Ψ+σ(∂μπ3)-π3(∂μσ)

+g0-1(∂μπ3)で与えられますが,これをアイソ回転する

ことで得られる+成分は,そのτ3をτ+ではなく,τ-とする

ことにより,5μ(+)(1/2)Ψ~γμγ5τΨ+σ(∂μπ)

-π(∂μσ)+g0-1(∂μπ) になるはずです。

ただし,τ=(τ1-iτ2)/√2,かつ

π=(π1―iπ2)/√2です。

そこで,<π(q)|j5μ(+)|0>

=<(π1+iπ2)(q)|(j5μ(1)-ij5μ(2))|0>/2

=(2q0)-1/2(-iqμ2)(fπ/√2)となります。

ここで,k=1,2,3の各々のπはkが同じカレント

5μ(k)のみとcoupleすることができてkに関わらず,

<π|j5μ(k)|0>=(2q0)-1/2(-iqμ2)(fπ/√2)

になる,という対称性を仮定しました。

因子:(-iqμ)は,πの崩壊相互作用部分の行列要素

が,<πi(q)|g0-1μπ|0>=(2q0)-1(-iqμ)F(q2)

なる形で与えられるという現象論的推論から出てきます。

σを含む項の寄与は先に述べた通り項が,演算子πと

交換するのでゼロです。

<π(q)|j|0>=(2q0)-1/2(-iqμ2)fπ/√2

の4次元発散を取り,∂μ=(μ12/g0)(Z3π)1/2πr

を代入して,<π(q)|π|0>=(2q0)-1/2を用いると

次式を得ます。

すなわち,(μ12/g0)(Z3π)1/2=fπ/√2です。

そこで,∂μ=(μ12/g0)(Z3π)1/2πrのくり込み定数

は,除去されて,このPCAC方程式を完全に物理量だけで書き

表わせます。結局,∂μ=(fπ/√2)πとなる,という

重要な結果得られました。

まだまだ先が長いので今回はここまでにします。

 

 

 

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