« 物理学の哲学(10)(アノマリー) | トップページ | 物理学の哲学(12)(アノマリー) »

2020年9月25日 (金)

物留学の哲学(11)(アノマリー)

物理学の哲学」の続きです。

(※余談):今日は9月25日(金)です。

けさはゴミ出しに行くともう肌寒かったです。

温暖化で日本も亜熱帯気候に近くなり,日本

にはいないはずの動植物やデング熱,マラリア

などの細菌やウィルスもいて驚きます。

今年も秋は短かく,すぐに冬がくるのでしょうね。

今度は,時代劇で笠置シズ子が出てるのを見て

泣けました。時代劇チャンネルは,昭和の今は亡き

出演者が多くて,まだ,若くて元気なのかと勘違い

しますね。懐かしいですが。(余談終わり※)

※さて本題です。前回の記事では,このシリーズ

書いてきた内容を,自分の中で改めて整理する

ために長い要約を書き記しました。

今回は,その続きとして,まず,要約記事の直前の

前々回の記事を思い出し,その最後の部分を再掲載

して,そこから話の続きを進めたいと思います。

  • 以下は,まず再掲載記事の部分です。

前々回の記事「物理学の哲学(9)」の最後では,

中性のπ0中間子崩壊:π02γにおいて,入射

する,または静止状態のπ0中間子の運動量がqμ

の場合の,崩壊のS行列要素fiを書き下した式

を考察しました。これはLSZの公式により,

fi=<γ(k11)γ(k2,ε2);out|π0;in>

=i∫d4xf(x)(□+μ2)

<γ(k11)γ(k22);in|π0r|0>という

式で与えられますが,これはx表示ではincoming

漸近状態のπ0中間子の平面波の基本波動関数:

(x)=(2π)-3/2(2q0)-1/2exp(-iqx),および

崩壊して出てゆく2光子のincomingの状態関数:

(2π)-3(4k1020)-1/2ε1σ*ε2ρ*

×exp{i(k1+k2)x}によって,

fi=i∫d4x[(2π)-9/2exp{-i(q-k1-k2)}

(2q0)-1/2(4k1020)-1/2ε1σ*ε2ρ*σρ(k1,k2,q)]

と書けるはずです。

ただし,Sσρ(k1,k2:q)は,3粒子の運動量k1,k2

qに依存する部分の指数関数以外の因子です。

そこで,(2π)-1/2(2q0)-1/2(4k1020)-1/2ε1σ*ε2ρ*

σρ(k1,k2,q)は,上記Sfiの積分表示の被積分関数:

if(x)<γ(1,ε1)γ(k2,ε2);in|□+μ2)π0r|0>

のFourier変換の形になっています。

それ故,(2π)(4k1020)-1/2ε1σ*ε2ρ*σρ(k1,k2,q)

は,f(x)<γ(k1,ε1)γ(k2,ε2);in|(□+μ2)π0r|0>

から,,π0の波動関数f(x)をはずした2光子の状態

の振幅:<γ(k11)γ(k22);in|(□+μ20r|0>

のFourier変換(運動量表示であると考えられます。

他方,<γ(k1,ε1)γ(k2,ε2):in|(□+μ20r|0>

=(4k1020)-1/21ξ2τε1σ*ε2ρ*εξτσρπ(k12)

によって関数Fπ(k12)を定義します。

すると,2種類のSfiの積分表示の比較から,

(2π)SσΡ(k1,k2,:q)=k1ξ2τεξτσρπ(k12)

なる等式の成立がわかります。

と書いたところて記事は終わりました。 

(※以上,再掲記事終わり※)

ここからが,今回の続きの記事です。

さて,これまでは電磁場の存在しない場合の

σ模型を論じてきましたが,これに電磁場:Aμ(x)

を含めるには,元のσ模型のLagrangian密度:

に,-(1/4)Fμνμνと,-e0ψ~γμψμ

2項を加えるだけです。

すると,三角グラフの存在のために,PCACの素朴

な方程式:∂μ=(fπ/√2)πは,次のように

アノマリーを持ち形に修正されます。

すなわち,∂μ=(fπ/√2)π

+(1/2){α0/(4π)}Fξστρεξστρ  です。

ただし,右辺最後のアノマリー項の因子:(1/2)

は,単にσ模型の軸性カレントの具体的な表式:

=(1/2)ψ~γμγ5ψ+σ(∂μπ)-π(∂μσ)

+g0-1(∂μπ)の最初の核子項に現われる因子

の(1/2)を反映したものです。

そこで,適切に正規化された(くり込まれた)Feynman

規則を導入し,QEDでの論旨を同様に実行することに

より,これが電磁相互作用と強い相互作用の両方の

摂動論の全ての次数まで正しいことを示せます。

つまり,三角グラフへの如何なる仮想光子,仮想中間子

の輻射補正もアノマリー項とそのの係数を変えること

はないわけです。

上述の考察の全ては,先のσ模型では,アイソスピン

対称性変換群のSU(2)群の基本表現の核子(p,n)系を

想定していましたが,これを,ハドロンのクォークの

フレイバーSU(3)群の基本表現(p,n,λ)系への一般化

に持ち込むことができます。

(※ 現在では(u,d,s,c,t,b)の6種の存在が

認められているクォークは,過去の記事で参照した論文

出版時の1970年当時には,)u,d,sの,3種だけと

考えられていて,(p,n,λ)と記すのが慣習でした。)

(p,n,λ)を基底とするSU(3)のケースなら,Ψは

3成分でψ=(ψ123)に置き換えられ,スカラー

中間子σと:擬スカラー中間子πは9重項の中間子

(1重項+8重項)に置き換えられるため,軸性ベクトル

カレントは,8成分のカレントとなり,π0に対応

するのは,その第3成分:5μ(3)になります。

それ故,π0に対してのアノマリーを持つPCAC方程式

は,∂μ5μ(3)=(fπ/√2)π0r+S{α0/(4π)}Fξστρ

×εξστρ と書けます。

ただし,係数Sは,S=Σiii2で定義されています。

ここにQiはJ5μ(3)の中に素粒子場として現われる

i番目のFermion(クォ―ク) の電荷であり,giは,

その結合定数です。つまり,J5μ(3)=Σiiψ~iγμγ5ψj

+(中間子項)という表式でのgiを意味します。

これも摂動論の全ての有限次まで正しい式です。

Sに対する表現:S=Σiii2の解釈はアノマリー

へのトータルの寄与は,個々の素Fermi粒子を全て

巻き込む,各々の三角グラフの寄与の総和による

と考えるからです。

PCACB関係式:μ5μ(3)=(fπ/√2)π0r

+S{α0/(4π)}Fξστρεξστρ は,素朴な4次元

発散が,乗法的くり込み可能な任意のくり込まれた

場の理論において,正しいと予測されます。

したがって,正しいPCAC式は,μ5μ(3)

(fπ/√2)π0r+S{α0/(4π)}Fξστρεξστρ.

よなりますが,これはσ模型のような特殊な場理論

の模型でなく,一般的なクラスの模型でも成立する.

正確な方程式である,と考えられます。

そして,次は「摂動論のアノマリー(20)」の

「π0 崩壊の低エネルギー定理」という項目

から引用した議論です。

アノマリーを持つ4次元発散の真空から2光子への

行列要素としての正確な「低エネルギー定理」を考える

ため,まず,∂μ5μ(3)=(fπ/√2)π0r

+S{α0/(4π)}Fξστρεξστρ.における素朴な

4次元発散の値:(fπ/√2)π0rがπ0中間子の場

であることに着目します。

この場合「低エネルギー定理」は,π0中間子の質量

がゼロでのoff-shellに外挿されたπ0 → 2γの振幅に

ついての命題が得られます。

π0 → 2γの振幅:Fπ(k12)の標準定義は,

<γ(k1,ε1)γ(k2,ε2):in|(□+μ20r|0>

=(4k1020)-1/21ξ2τε1σ*ε2ρ*

×εξτσρπ(k12)であったことを思い起こします。

そして,くり返しになりますが,別の過去記事では,

<γ(k11)γ(k22):in|μ|0>

=(4k1020)-1/21ξ2τε1σ*ε2ρ*

×εξτσρF(k12),

<γ(k1,ε)γ(k22);in|2im05|0>

=(4k1020)-1/21ξ2τε1σε2ρ*

×εξτσρG(k12),

<γ(k11)γ(k22):in|{α0^/(4π)}

(Fξσ+FRξσ)(Fτρ+FRτρξστρ|0>

=(4k1020)-1/21ξ2τε1σ*ε2ρ*

×εξτσρH(k12)

として,(k12)の関数:F,G,Hを定義し,これら

は実は対数発散するので,切断Λを入れて正規化した

Λ,GΛ,HΛのくり込まれた量であるF~,G~,H~,

つまり,F~(k12)=limΛ→∞Λ(k12) etc.

に対して,F~(0)=0,G~(0)=-H~(0)=-2α/π

が成立する。という「低エネルギー定理」

を得ています。今の場合はアノマリー項の因子Sを

含めるように,係数Hを定義し直すとH~(0)=2αS/π

となるので,G~(0)=-H^(0)=-2αS/πです。

そしてF(k12),G(k12),H(k12)の

定義式を,Fπ(k12)の定義式:

<γ(k11)γ(k22)in|(□+μ20r|0>

=(4k1020)-1/21ξ2τε1σ*ε2ρ*

εξτσρ×Fπ(k12)と比較して,(k12)=0の場合を

考えると,上記の「低エネルギー定理」

は,G~(0)=-2αS/π=(μ-2π/√2)Fπ(0)

となります。

すなわち,π0崩壊のSg等列要素の真空から2光子

への因子:Fπに対しては,正確な「低エネルギー定理」

は,Fπ(0)=-(2√2μ2αS)/(πfπ)を意味する

ことがわかります。

何故なら,π0の運動量:qμ=k1μ+k2において.

2=(k1+k2)2=0,つまり,(k12)=0の

低エネルギーは.質量がゼロのoff-Shel(質量殻外に

ある仮想π中間子状態意味しますが,このときには,

<γ(k11)γ(k22);in|(□+μ20r|0>

={-(k1+k2)2+μ2)}

×<γ(k11)γ(k22)|π0|0>

=μ2<γ(k11)γ(k22)|π0r|0>

=(4k1020)-1/21ξ2τε1σ*ε2ρ*εξτσρ

×Fπ(0)となります。

ところが,π0を含むPCAC関係式:∂μJ 5μ(3)

=(fπ/√2)π0r+S{α0/(4π)}Fξστρ

×εξστρ.によれば,

μ2π0r=(√2μ2/fπ)∂μJ 5μ(3)

-(√2μ2S/fπ){α0/(4π)}Fξστρεξστρ.

です。

それ故.μ2<γ(k11)γ(k22);in|π0|0>

=(√2μ2/fπ)

×<γ(k11)γ(k22);ih|∂μ(3)|0

(√2μ2/fπ)0/(4π)}

<γ(k11)γ(k22);in|Fξστρεξστρ|0>

と書けます。

そして,この式の両辺の各項から,共通因子

の(4k1020)-1/21ξ2τε1σ*ε2ρ*

×εξτσρ除けば,Fπ(0)=(√2μ2/fπ)F(0)

-(√2μ2/fπ)H(0)を得ますが,これはくりこんだ

は,π(0)=(√2μ2/fπ)F~(0)-(√2μ2/fπ)

×H~(0)となります。そして,この右辺第1項の

 ~(0)は,<γ(k11)γ(k22);in|∂μ5μ(3)|0>

=(4k1020)-1/21ξ2τε1σ*ε2ρ*

×εξτσρF(k12)の係数Fをくりこんだ量

ですが,これは,低エネルギーのq2=(k1+k2)2

=0ではF(k12)=F(0)=0,であり,

F~(0)=0です。

したがって,結局,π(0)=-(√2μ2π)H~(0)

を得ます、

 ここで先の「低エネルギー定理」によれば,

0=F~(0)=G~(0)+H~(0)であって

H~(0)=2αS/πより,G~(0)=-H~(0)

=-2αS/πなので,π(0)=(√2μ2/fπ)G~(0)

-(2√2μ2αS)/(πfπ)が得られます。

ところで,

<γ(k11)γ(k22);in|(□+μ20r|0>

={-(k1+k2)2+μ2}

×<γ(k11)γ(k22)|π0|0>

ですから,(k1+k2)2=μ2の(on-shell;

量殻上)にあるときは,(k12)=μ2/2

なのですが, このと両辺がゼロで,左辺は

π(k12)=Fπ2/2)に比例する量なので,

π2/2)=0となりそうですが,実際には,

<γ(k11)γ(k22)|π0r|0>が,(k1+k2)2=μ2

に極を持つ,と考えられるので、この質量殻上での

π,(μ2/2)は。一般にゼロにはなりません。

しかし,<γ(k11)γ(k22)|π0|0>は,

質量殻外の(k1+k2)2=0 には、極を持たない

ので.(k1+k2)2=0  のとき,

(k1+k2)2<γ(k11)γ(k22)|π0|0>

=(4k1020)-1/21ξ2τε1σ*ε2ρ*

×εξτσρG~(k12)(k1+k2)2は,ゼロです。

またまた,くり返しになりますが,π0 → 2γ

の崩壊行列要素は,Sfi

=<γ(k11)γ(k22);in|(□+μ20r(x)|0>

=i∫d4x(2π)-4 exp{-i(q-k1-k2)x}

(2π)-3/2(2q0)-1/2

×<γ(k11)γ(k22)|(□+μ20|0> 

で与えられますが,他方,

<γ(k11)γ(k2,ε2)|(□+μ20r|0>

=(4k1020)-1/2ったので,

1ξ2τε1σ*ε2ρ*εξτσρ

×Fπ(k12)であπ(0)

=-(2√2μ2αS)/(πfπ)は,低エネルギー

でのπ0 → 2γの振幅が,直接:∂μJ 5μ(3)

(fπ/√2)π0r+S{α0/(4π)}Fξστρ

×εξστρ.のアノマリー項に比例することを

示しています。

この項はSに依存します。そして,Sは

素Fermi粒子の電荷Qと,その軸性カレント

での結合定数gからS=Σjj2 によって

決まります。

さて,求めるべき,π0の崩壊率:1/τ(τは崩壊寿命)

については,次の公式があります。

すなわち,1/τ=(μ3/64π)|Fπ2/2)|2..です。

これは,崩壊の反応体積をV,時間をTとすると,

単位体積当たりの遷移速度は,|Sfi|2/(VT)

(2π)4δ4(q-k1-k2)(2π)-9(8k1020q)

|Fπ2/2)|2

ε1,ε2|k1ξ2τε1σ*ε2ρ*εξτσρ|2]

で与えられます。ただし,E0=q0で,これは

π0中間子のエネルギーです。

※(注):何故なら,まず,Sfiは4元運動量保存の因子:

(2π)4δ4(q-k1-k2)を含み,VT=(2π)4δ4(0)

と同定されるので.|Sfi|2/(VT)は,因子:

(2π)4δ4(q-k1-k2)を1個含みます。

π0 →2γ反応では,Sfiが規格化因子:

(2π)-3/2(2k10)-1/2(2π)-3/2(2k20)-1/2

(2π)-3/2(2E0)-1/2を持つため,これは

|Sfi|2(VT)には(2π)-9(8k1020q)-1

の寄与をします。

そして,(k1+k2)2=μ2 のときk12=k22=0

より,(k12)=μ2/2なので,係数:Fπ(k12)

寄与はFπ2/2)です。

そして,π0の静止系を想定するとqμ=(Eq,)

=(μ,0)です。そこで,12とおくと,

k=||=μ/2ですから,k10=k20=k=μ/2です。

よっての向きを3軸(z軸)に取って=k3

すると,k1ξ2τで.ゼロでないのは,ξ=0,τ=3か,

ξ=3,τ=0のみです。

さらに,k1ξ2τε1σ*ε2ρ*εξτσρ=2k2ε0 3σρ

においてε12は横波を示すので,ε11=ε22=0,

より,ゼロでないのは,(σ,ρ)=(1,2),(2,1)のみで,

このとき,ε1σ*ε2ρ*=1です。

結局,Σε1,ε2|k1ξ2τε1σ*ε2ρ*εξτσρ|2

=|2k2ε0 312|2+|2k2ε0 321|2=8k4 

得ます。全空間Vに1個のπ0が存在する,という

規格化を考慮してπ0の1個当たりの崩壊確率を

求めると,1/τ(1/2!)∫d3132{V|Sfi|2

/(VT)}=(μ3/64π)|Fπ2/2)|2が得られます。

因子:(1/2!)は,2光子の区別不可能性による因子

です。こうして得られた評価式1/τ-1

=(μ3/64π)|Fπ2/2)|2において,Fπ2/2)

をFπ(0)=-(2√2μ2αS)/(πfπ)で近似すると,

結局,π0崩壊の崩壊率の近似計算値が,

1/τ=(μ3/64π)|8μ4α22/(π2π2)

=S2μ7α2/(8π3π2)で与えられることが

わかりました。

これに,具体的な物理定数の近似値:α~1/137,

μ~135 MeV,および,fπ~√2aπμ2/r,に

π=0.87μ~0.97μを代入,過去記事「弱い相互

作用の旧理論(7)」からの引用でr~1.21の代入

から得られるfπ=1.02μ3 ~1.13μ3をも,1/τを

与える式に代入すれば,崩壊率の近似計算値として

,1/τ=22.74S2eV~30.21S2eVを得ます。

一方,Rosenfeldによって引用されたπ0崩壊の

崩壊率の実験値は,

1/τexp=(1.12±0.22)×1016sec-1

=(7.37±1.5)eVです。(※つまり,π0

崩壊寿命は,τ~10-16sec程度です。また,現在

でのより正確な実験値は,1/τexp=(7.48±0.32)eV

です。)

そこで,仮にS2=1/4であれば,計算値が,

1/τ=5.68 eV~7.55eVと予測されます。

この結果からは,S2=1/4のときに実験値との

著しい一致を見ることになります。

ところが,π0が関わる軸性ベクトルカレント

では,クォークの基本3粒子の場:Ψ=(ψ123)

=(p,n,λ)の結合定数について,ストレンジ粒子

λは無関係で(g1,g2,g3)=(1/2,-1/2,0) です。

そして電磁カレントの[Uスピン不変性]から,

基本粒子の(p,n,λ)の電荷は,(Q1,Q2,Q3)

=(Q,Q-1,Q-1)というパターンを持ち,

Q=2/3とすると(Q1,Q2,Q3)=(2/3,-1/3.-1/3)

なのでS=Σjj2=1/6となります。

しかし,現在の見地では,クォークにはフレイバー

自由度とは独立に,カラー自由度が存在して,カラー

SU(3)対称性を持つことが知られており,この自由度

3により,S=(1/6)×3=1/2となるため,確かに

2=1/4を満たします。。 

現在,ハドロンを構成する基本粒子のクォーク

はフレイバー自由度も3個ではなく6個の

(u,d,s,c,t,b)=(up,down,strange,charm,

top,bottom)が存在すると,されていますが,

1970年当時は,そのうちの3個(p,n,λ)

=(u,d,s)の3種だけで基本クォークが

構成されると予想されていました。しかし

π中間子と関わるカレントのクォーク成分は

(u,d)=(p,n)だけなので,全体のフレイバー

自由度が3から6に増加しても,カラーを考量

したS=1/2という値には変わりなく実験値との

矛盾はないことになります。

荷電π中間子π±の平均寿命が,τ~2.6×10-8sec

観測されているのに対し,中性のπ0中間子の

平均寿命は,τ~10-16 sec程度と,はるかに短かく

π0→2γの崩壊は,π→μ+ν~の崩壊とは異なる作用

で,アノマリー項の寄与によるものと考えられると

いうのが,最終結論です。

そもそも,π中間子は,カイラルゲージ対称性を持つ

系の対称性の自発的破れで「南部-oldstonの定理」に

従って出現したゼロ質量の粒子(NG粒子)が,ゲージ

対称性の破れという特殊性で,Higgsメカニズムに

よって質量を獲得した粒子と解釈されています。

 それ故,元々質量は大きくなく,もしも本当にゼロ質量

なら中性π0の場合,理論上崩壊は禁止されるので,実際に

崩壊が生じるのはアノマリー存在のためと考えられます。

アノマリーは,ゴーストや仮想粒子のように,存在しても

実在として観測されないモノではなく,現実に観測され,

崩壊寿命の計算などに必要なモノです。

ここで,キリもいいので今回はここまでです。(つづく)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

|

« 物理学の哲学(10)(アノマリー) | トップページ | 物理学の哲学(12)(アノマリー) »

115. 素粒子論」カテゴリの記事

コメント

この記事へのコメントは終了しました。