« 物理学の哲学(8)(アノマリー) | トップページ | 物理学の哲学(10)(アノマリー) »

2020年9月12日 (土)

物理学の哲学(9)(アノマリー)

物理学の哲学」の続きです。

 今回も余談抜きです。

さて,これまでの記事内容と重複するかも

知れませんが,粒子の散乱などの量子遷移現象

において,初期状態,or 始状態を,|i>,終状態を

|f>で記述すると.|i>から|f>への散乱行列

(S行列)要素:Sfiは,ユニタリ変換だけ異なる

2つの完全系:incomibg漸近場の状態と

outgoing漸近場の状態によって,

fi=<f;out|i;in>=<f;in|S^|i:in>

で定義されます。そして,S^演算子は,<f;in|

=<f;out|S^で定義されます。

今のπ0→2γの崩壊過程では,|i>=|π0

であり,|f>=|γ(11)γ(k2,ε2)>です。

そして,これに,LSZの還元公式を用いると,

fii∫d4x(2π)-3/2(2q0)-1/2exp(-iqx)

(□x+μ2)<γ(k1,ε1)γ(2,ε2);in|π0r(x)|0>

と書けます。ただしπ0r(x)は,くりこまれた中性の

π0中間子の場(擬スカラー場)であり,μはπ0の質量

です。そして,Klein-Gordon演算子:(□+μ2)を挿入

しているのは,始状態で,入射するπ0のincoming漸近場:

π0in(x)が,その自由場と同じ方程式に従うため,

(□+μ20in=0のKlein-Gordon方程式を満たす

からです。

ここで,本ブログの過去記事「LSZの公式(4)」から,

LSZ(Lehmann-Synmanzik-Zimmerman)の公式の

紹介記事を,今のπ0中間子の崩壊過程に適用するため,

少し修正して再掲載します。

 参考にしたのは,J.D.Bjorken とS。D。Drellの共著

「Relativistic Quanrum Field」(McGrawHill) です。

これは私が学生の頃の場の量子論の標準的テキスト

でした。(※もっとも,当時は1ドル360円の時代で,洋書

は高価で貧乏学生だった私は,研究室図書館の蔵書を青焼き

コピーしてファイルににして使ってました。これを買えた

のは,サラリーマンに就職後です。※)

※さて,以下は修正した再掲記事です。

粒子群:αに4元運動量がpのπ中間子1個

が加わった入射粒子群のincomingの漸近状態を

意味する:|αp;in>から,終状態の粒子群:βの

outgoing漸近状態のKet:<β;out|への遷移振幅

を示すS行列要素(散乱業辣要素)を与えるS行列

要素:Sβ(αp)=<β;out|αp;in>を考察します。

以下,漸近条件を用いて,始状態:|αp;in>と

終状態|β;out>の両方から1粒子pを差し引く

代わりに,適当な場の演算子を挿入した式が

得られることを示します

質量がμのπ中間子の漸近場の消滅演算子;

in^(p),および,aout^(p)は,それぞれ,

in^()=i∫d3(x)∂0πin(x),

および,aout^()=i∫d3(x)∂0πout(x)

という表式で書けることを用います。

他方,これら漸近場の生成演算子:ain^(p)と

out^(p)の方は,上式の両辺のHermite共役を

取れば得られます。

ただし,f(x)=(2π)-3/2(2ωp)-1/2

exp(-ipx)です。(ω=p0=(2+μ2)1/2)

一方、f(x)=(2π)-3/2(2ω)-1/2exp(ip)

で,これらは,(□+μ2)f=0,(□+μ2)f*=0

を満たす平面スカラー波の解です

 また,任煮,の2つのtの関数:a(t),b(t)に

対して,a(t)0b(t)で与えられる関数を,

a(t)∂0b(t)=a(t){∂b(t)/∂t}

-[∂a(t)/∂t}b(t) で定義しています。

そこで,<β;out|αp;in>

=<β;out|ain^(p)|α;in>

=<β;out|aout^p)|α;in>

+<β;out|ain^(p)-aout^(p)|α;in>

=<β-p;out|α;in>

-i<β;out|∫d3x[p(x)∂0

in(x)-πout(x)]]|α;in>と書けます。

 |β-p;out>は,もしも集合:βの中にp

が存在する場合は,βからpを除いた終状態を

表わしますが,βの中にpが存在しない場合は,

この項はゼロで消えてなくなります。

また,|αp;in>が,初期に2粒子がある場合の

散乱を表現しているなら,<β-p;out|α;in>

は入射粒子と標的粒子が運動量を含め,それら

の量子数を保存する前方弾性散乱のみに寄与

します。つまり,<β-p;out|α;in>

=δ(β-p)αです。

(※ 何故なら|α;in>が1粒子の場合は,

<β-p;out|P^2|α;in>

=α2<β-p;out|α;in>

=(β-p)2<β-p;out|α;in>なので,

<β-p;out|α;in>≠0である場合は,

(β-p)2=α2=μ2ですから,|β-p;out>

も同じ1粒子の終状態です。

そして,また,<β-p;out|P^μ|α;in>

=αμ<β-p;out|α;in>

=(β-p)μ<β-p;out|α;in>

ですから,<β-p;out|α;in>≠0のときは,

(β-p)μ=αμ,つまり,βμ=(α+p)μと,

4元運動量が不変な弾性散乱で,しかも方向を

変えず素通りする前方散乱のみの振幅を意味

するからです。※)

さて,<β;out|αp;in>

=<β-p;out|α;in>

-i<β;out|∫d3x[(x)0

in(x)-πout(x)}]|α;in> の右辺の

項:-i∫d3<β;out|fp(x)∂0

in(x)-πout(x)}|α;in>

は「Greenの定理」によって時間tに依存しません。

そして,始状態,終状態の散乱状態の粒子たちが

波束のように,あるf(x)≠0の形の有限な台に

局所化されていることを保証する漸近条件:

limt→-∞<α|π(t)|β>=Z1/2<α|πin(t)|β>,

limt→+∞<α|πf(t)|β>=Z1/2<α|πoutf(t)|β>

の要請,を満たすことから,t=x0→ -∞ の極限では,

πin(,t)を,Z-1/2π(,t)で,また,t=x0→ +∞

の極限でも,πout(x,)を,やはり,Z-1/2π(,t)

で置き換えることが許されます。

(※Zは,π(x)のくりこみ定数を意味しています。)

 それ故,結局,<β;out|αp;in>

=<β-p;out|α;in>

+(iZ-1/2(lim0→ +∞-limx0→-∞)

<β;out|∫d3(x)∂0π(x)|α;in>

と書くことができます。

これが,Reduction手続きの最初の段階です。

これから,より便利な形を得るために,公式:

(lim x0→ +∞-lim x0→ -∞)∫d31(x)∂02(x)

=∫-∞4x[∂0{g1(x)∂02(x)}]

=∫-∞4x[g1(x)∂022(x)

-{∂021(x)}g2(x)]が成立すること

を用います。

そこで,g1(x)=f(x),g2(x)

=π(x)として,これに代入すると,

1(x)=fP(x)は,(□+μ2)f(x)=0

を満たすので,∂02(x)=(∇2-μ2)f(x)

Gが成立します。

 よって,Z-1/2(lim x0→+-limx0→-∞)∫d3

<β;out|f(x)∂0π(x)|α;in>

=iZ-1/2-∞4x<β;out|

(x)∂02π(x){∂02p(x)}π(x)|α;in>

=iZ-1/2-∞4x<β;out|f(x)

(∂02+μ2)π(x)-(∇2(x))π(x)]|α;in>

となります。

 結局,Z-1/2(lim x0→+-limx0→-∞)∫d3

=iZ-1/2-∞4xfp(x)(□+μ2)

<β;out|π(x)|α;in> なる表式を得ます。

ここで,最後の式変形では部分積分に対する

「Greenの公式」を用いました。

したがって,元のS行列要素の始状態,終状態

の両方から1粒子を減ずる還元公式の最終式

として,Sβ(αp)=<β;out|αp;in>

=<β-p;out|α;in>

+iZ-1/2-∞4xf(x)(□+μ2)

<β:out,|π(x)|α;in>

が得られました。 (再掲記事終了※)

今のπ0中間子の崩壊のS行列要素:

fi =<γ(k11)γ(k2,ε2);out|π0in>

=<γ(k11)γ(k22);in|S^|π0in>

に対するLSZの公式を考えると,上記で,

<β;out|=<γ(k11)γ(k22);out|

とし,|αp;in>=|π0in>として,それ故,

|α:in>は,真空:|0>を意味するので,上記

の最終形の式で,π中間子の場π(x)を,π0中間子

の場:π0(x)に置き換え,そのくりこまれた場

を,π0r(x)と書いて,π0r(x)=Z1/2π0(x)

と乗法的に定義されているなら,入射π0粒子の

4元運動量がpμでなく,qμの場合の崩壊の

S行列要素として,

i=<γ(k11)γ(k2,ε2);out|π0;in>

=i∫d4xf(x)(□+μ2)

<γ(k11)γ(k22);out|π0r|0>

なる表式が得られます。

ここで,始状態,および.終状態を共に

incomingの漸近状態のx座標表示で表わすと,

それぞれ,<x|π0 ;in>=f(x)

=(2π)-3/2(2q0)-1/2exp(-iqx),および,

γ(k1,ε1)γ(k2,ε2);in|x>σρ

=(2π)-3(4k1020)-1/2ε1σ*ε2ρ*

exp(ik1x)exp(ik2x) です。

そこで,S行列要素:fii∫d4xf(x)

<γ(k1,ε1)γ(k2,ε2);out|(□+μ2)π0|0>

を,このx表示で書けば,未知の因子を

σρ(k1,k2:q)として,Sfi=i∫d4x(2π)-9/2

(2q0)-1/2exp{-i(q-k1-k2)x}

(4k1020)-1/2ε1σ*ε2ρ*σρ(k1,k2:q)

なる形に書けるはずです。

そこで,(2π)-1/2(2q0)-1/24k1020)-1/2

ε1σ*ε2ρ*σρ(k1,k2:q)が,f(x)

×<γ(1,ε1)γ(k2,ε2);in|(□+μ2)π0r|0>

のFourier変換(運動量表示)になっています。

それ故,(4k1020)-1/2ε1σ*ε2ρ*(2π)×

σρ(k1,k2:q)がが,S行列要素の,運動量表示

(x)<γ(1,ε1)γ(k2,ε2);in|

(□+μ2)π0|0>から,|π0;;in>から,波動関数

(x)=(2π)-3/2(2q0)-1/2exp(-iqx)

を除いた因子である

<γ(k11)γ(k22);in|(□+μ2)qπ0r|0>

のFourier変換(運動量表示になっている

と考えられます。

そこで,Sfi=i∫d4xf(x)(□+μ2)

<γ(k11)γ(k22);in|π0r|0>

の被積分関数を[(2π)-9/2(2q0)-1/2

exp{-i(q-k1-k2)x}

(4k1020)-1/2ε1σ*ε2ρ*1ξ2τε1σε2ρ*

εξτσρπ(k12)と書いて,

fi=i∫d4x(2π)-9/2(2q0)-1/2

exp{-i(q-k1-k2)x}(4k1020)-1/2

ε1σ*ε2ρ*σρ(k1,k2:q)の被積分関数

と等置すれば,(2π)SσΡ(k1,k2,:q)

=k1ξ2τεξτσρπ(k12) となります。

今回は,ここで終わります。(つづく)

|

« 物理学の哲学(8)(アノマリー) | トップページ | 物理学の哲学(10)(アノマリー) »

115. 素粒子論」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« 物理学の哲学(8)(アノマリー) | トップページ | 物理学の哲学(10)(アノマリー) »