ガロア理論の復習(;2)
※2021年10月8日(金)開始→10月24日(日)
※(余談):私は,1浪して19歳で大学の理学部の
物理学科に入学しました。15歳(中3)のとき父
が病死,兄2人,姉1人の末っ子で,急に母子家庭
の貧乏になり中高一貫の私立校だったので,高校
は父の退職金や特別奨学金で普通に卒業したの
ですが,遠くの国立大学に入ったので下宿して,
ほぼ,奨学金とアルバイトで生計を賄ってました。
それでも3年生で,必須の「統計力学Ⅰ」と
「物理実験学」の2科目合計4単位?を落とし
留年して「.その1年は奨学金もストップで,もう
1年3年生をやりました。
蛇足ですが3年になる前の2年生の春にも教養
の「憲法」を落とし再試験のときは成田(三里塚
芝山町)で空港建設反対で1カ月程常駐して援農
やすわり込み,デモなどをしていたので落第の
ままで大学では教員免許取れませんでした。
しかし,私,昔から転んでもタダでは起きない
性格で,2度目の3年生では物理講義は,たった
2科目で暇だったので,1年後輩の数学科の3年
の教室にもぐりこみ数学の講義を受けました。
大学での物理学の講義は,高校物理とはあまり
にも違う内容で,未知の事柄の話をいきなりされ
ノートを取るのがやっとでチンプンカンプンで,
理解するには自分で本で独習するしかなかったの
に比べ,数学科の数学の講義は定義,定理,証明と,
何も知らない状態から丁寧で,高校時代と同じく
出席して講義を聞いてるだけで独習しなくても
自然に頭に入ってきて,ある意味で「これが大学
の講義なんだ。」と衝撃を受けました。
翌5年目は,奨学金復活し普通に物理学科4年
の講義を受けたため,数学科の4年の講義は受ける
暇はなかったのですが,集合・位相や群・環・体の
代数学,数論,解析学,関数論などの必要で基礎的な
知見は3年生の専門科目で十分で,主にこの頃に
入手したモノが.現在の頭に残っています。
さて,最近,Amazonで「博士ルーペ」という商品
らしいがTVショップより安いモノがあったので
注文して届き,掛けてみました。
あくまで1個人の感想ですが,昔,まだ,初期の有名
でなかった頃にハズキルーペを買って,すぐフレーム
が壊れ,結局,使えなかったのと比べて,私のような
弱視でも書に近づくと見えます。
まあ,ルーペですからね。(余談終わり※)
※さて本論の続きです。
[定理8](準同型定理):群GとG~があってφ:G→G~
がG~の上への準同型写像であるとき,集合N=kerφ
={x∈G}φ(x)=e~}(ただしe~はG~の単位元)
をφの核(kernel)と定義すると)(G/N)からG~への
写像:φ~:gN→φ(g)は商群(剰余群):(G/N)から
ら群G~の上への同型写像である。
このφ~を「φから誘導される写像」という。
(証明)(φ~の一意性):φ~(g1N)=φ~(g2N),
つまり,φ(g1)=φ(g2)なら,φの準同型性から
φ(g1)・[φ(g2)]-1=e~であって同じく準同型
なのでφ(g1g2-1)=e~です。
これは,g1g2-1∈kerφ=Nを意味します。
故に,g1∈g2Nですからg1N=g2Nと結論されます。
(φ~の準同型性):次に,φ~(g1g2N)=φ(g1g2)
=φ(g1)φ(g2)=φ~(g1N)φ~(g2N)より,
φ~が準同型であることは自明です。
(φ~の全射性):最後に,φはG~の上への写像です
から,∀g~∈G~に対しφ(g)=g~となるg∈G
が存在します。
それ故,gN∈(G/N)でありφ~(gN)=g~となる
ため,φ~もG~の上への写像であることになります。
(証明終わり)
[定義]:NをGの正規部分群とするとき.∀g∈Gに
対し,κ(g)=gNとする写像:κ:g→gNをGから
(G/N)への「自然な準同型写像」という。
これが上への写像であることは明らかです。
[定理9]:φをGからG~の上への準同型写像,N~
をG~の正規部分群とする。
Nをφの原像:N=φ-1(N~)={g∈G:φ(g)∈N~}
とすると,φ~(gN)=φ(g)N~によって商群(G/N)
から商群(G~/N~)の上への同型写像が得られる。
(証明)写像:ψ:G~→(G~/N~)を∀g~∈G~に対し
ψ(g~)=g~N~なる写像として与えます。
すると,合成写像:(ψ・φ)(g)=ψ{φ(g)}
=φ(g)N~は,Gから(G~/N~)の上への準同型
写像です。何故なら,φがGからG~の上への準同型
であり,ψもG~から(G~/N~)の上への準同型である
からです。
さて,N=φ-1(N~)なので∀g1,g2∈Nに対して,
φ(g1)∈N~,かつ,φ(g2)∈N~です。故に,φの
準同型性から,φ(g1g2-1)=φ(g1){φ(g2)}-1∈N~
であり,それ故,g1g2-1∈N=φ-1(N~)となります。
そこで,まずNはGの部分群であることがわかります。
次に,φが準同型なので,∀h∈Nと∀g∈G
に対して,φ(g-1hg)={φ(g)}-1φ(h)φ(g)
ですが,φ(g)∈G~,φ(h)∈N~で,N~がG^の
正規部分群なので,結局,φ(g-1hg)∈N~です。
よって,g-1hg∈Nであり,故にNはGの
正規部分群であることが示されました。
そして,κ=(ψ・φ)とおくとき,κ(g)
=ψ{φ(g)}=φ(g)N~=N~=e~N~は,
φ(g)∈N~と同値であり,これは,g∈N
=φ-1(N~)と同値です。
それ故,N=ker(κ)が成立するので[定理8]
により.κから誘導される写像:κ~は(G/N)から
(G~/N~)の上への同型写像です。(証明終わり)
[定理10]:群GにおいてH⊂GをGの部分群とし,
N⊂GをGの正規部分群とするとき,
- HN={hn:h∈H,n∈N}はGの部分群
であり,NはHNの正規部分群である、
- (H∩N)はHの正規部分群である。
- 商群:H/(H∩N)の元:h(H∩N)を商群:
(H/N)の元hNに対応させる写像:
φ~:H/(H∩N)→H/Nは上への同型写像である。
(証明)(1)∀h1n1,h2n2∈HNに対して
h1n1(h2n2)-1=h1n1n2-1h2-1
=h1h2-1(h2n1n2-1h2-1)ですが,HはGの部分群
なのでh1h2-1∈Hであり,NはGの正規部分群
ですから.h2(n1n2-1)h2-1∈Nです。
それ故,h1n1(h2n2)-1∈HNとなるため.
HN⊂GはGの部分群です。
次に,∀h1n1∈HNと∀n∈Nに対して,
NがGの正規部分群なのでn1nn1-1∈Nです。
故に,(h1n1)n(h1n1)-1
=h1(n1nn1-1)h1-1∈Nですから.NはHN
の正規部分群です。
(2)∀a,b∈H∩Nについてab-1∈H,
かつ,ab-1∈Nです。
よって,ab-1∈H∩NよりH∩NはGの部分群
です。さらに∀h∈H,∀a∈H∩Nに対して,
hah-1∈H,かつ,hah-1∈Nです。
故に,hah-1∈H∩NですからH∩NはH
の正規部分群です。
- H⊂HNよりh∈Hならh∈HNですから写像
φ:H→(HN/N)を∀h∈Hに対しφ(h)=hN
によって,定義すると,これは明らかに準同型です。
しかも,g∈HNなら,h∈H,n∈Nが存在して
g=hnを満たしますが,g∈hNですからgN
=hN=φ(h)なのでφは(HN/N)の上への写像
です。そしてkerφ={h∈H:φ(h)=N}ですが,
φ(h)=hN=Nは,h∈Nを意味するので,
h∈kerφは,h∈H∩Nと同値ですから,結局,
kerφ=H∩Nが成立します。
故に[定理8](群の準同型定理)によって,φから
誘導される写像:φ~[h(H∩N)]=φ(h)Nは,
[H/(H∩N)]から[HN/N]の上への同型写像です。
(証明終わり)
[定義];群Gの元:x,yによるxyx-1y-1∈G
を交換子と呼ぶ。C(G)={xyx-1y-1:x,y∈G}
で定義されるGの部分集合(交換子全体)は,一般に
Gの積演算で閉じていないので,Gの部分群ではない。
しかし,交換子によって生成される部分群,
つまり,交換子とその積から得られる元を含む最小
の群をG~と書いて,これを交換子群と呼ぶ。
(※例えば2つの交換子:c,d∈G~による交換子
cdc-1d-1∈Gも群G~の元です。)
[定理11]:(1)Gの交換子群:G~はGの正規部分群
である。(2)Gの正規部分群Nに対し商群G/Nは
可換群であるなら,N⊃G^である。
(証明)(1)∀c=xyx-1y-1∈G~,(x,y∈G)
をとると,Gは群ですからc∈Gであり,G~⊂Gです。
そこで∀g∈Gに対してgxg-1,gyg-1∈Gで,
gx-1g-1=(gxg)-1,gy-1g-1=(gyg-1)-1であり,
これらは全てGの元です。それ故,gcg-1
=(gxg-1)(gyg-1)(gx-1g-1)(gy-1g-1)ですが,
これはGの1つの交換子なのでG~の元です。
したがってG~はGの正規部分群です。
(2)∀a,b∈Gに対して,aNbN=abN
bNaN=baNです。これが可換ならabN
=baNですが,これはab∈baN,つまり,
aba-1b-1∈Nなることを意味します。
よってG~∈Nです。(証明終わり)
※N=G~⊂Gは,Gの商群:(G/N)が可換群となる
最小の正規部分群です。
[系]:Gが可換群である。⇔ G~={e}である。
(証明)∀x,y∈Gについて,xy=yxであるのは,
xy(yx)-1=xyx-1y-1=eと同値です。
故にGが可換群であるのは,G~={e}と同値です。
(証明終わり)
(※これ,別に[定理11]の系ではないような?)
第2章 可解群
※可解群というのは代数方程式がベキ根で可解と
なる条件と関連して,名称がつけられました。
体の拡大列に自己同型群の縮小する正規列が
対応し,それが方程式の係数を置換する対称群に
関わるという,随分と先のトピックであり,環や体
の説明の後に記述するのが理論構成の本来の順序
であると今では思いますが,,一応,群についての全て
の話だけを,予めまとめて書いたらしい私の過去ノート
に従うことにします。
※[可解群の定義]:群Gが与えられたとき,まずG0
をG0=Gとおいて,k=0,1,2,,に対し,Gk+1をGk
の正規部分群とする縮小する列として
G=G0⊃G1⊃..⊃Gk⊃Gk+1⊃...をつくるとき,
商群:(Gk/Gk+1)が全て可換群(アーベル群)となる
正規列が,有限のm個でGm={e}となって終わるなら,
群Gを「可解群」という。
※交換子群を用いてGk+1=G~kと選択することも
できますから,どんな群Gでも,正規列を作ることは
可能ですが,それが有限個で{e},または{1}に収束
するかどうか?はわかりません。{e}に収束しない
群Gは「非可解群」と呼ばれます。
※縮小正規列の途中でGkが可換群(アーベル群)と
なるなら,G~k={e}なので,Gk+1={e}と置けば
その時点で可解群であることが判明します。
※[部分群の指数]:群Gの部分群Hの指数とは,H
による(左右)剰余類の個数のことです。
これを|G:H|と表記します。
※[定理2-1](ラグランジュの定理):
Gが有限群で,Hがその部分群であれば,指数:|G:H|
=|G|/|H|である。
(証明)前に記述したように,Hによる左剰余類の場合
なら,G=ΣaHのように,Gは互いに素な剰余類の
直和で表わせます。
そして,剰余類(aH)の元の個数は全てHの位数
|H|に等しいため,|G|=|G:H|・|H|です。
故に|G:H|=|G|/|H|を得ます。(証明終わり)
※[対称群(置換群)の定義]:
n個の整数の列{1,2..n}の順序を交換する写像,
σ:{1,2,..n}→{p1,p2,..pn}(順列)を,n次の置換
と呼び,Snを全てのn次の置換を元とする集合とすれば
置換の積について群をなし,これを対称群(置換群)という。
※ただし,置換の積とは,合成写像を意味します。
つまり,σ:{1,2..n}→{p1,p2,..pn}と,τ:{1,2,..n}
→{q1,q2,..qn}なる元(写像):σ,τ∈Snの積は,写像
σ:i→pi=σ(i)と,写像τ:i→qi=τ(i)を,この順に
適用して合成すると,合成写像:(τσ)(i)=τ(σ(i))
=τ(pi)となりますが,線形代数学では,これを
置換σと置換τの積:στと定義するのが慣例です。
置換操作は可換ではないので,定義での操作順序
の規約は,参考書によっては演算の順序が逆のモノ
もあり,誤解すると混乱の種になるので注意が必要
です。
そして,実際,この積演算はSnの中で閉じており
整数列の順序を全く変化させない写像:e(i)=i,
つまり,e:{1,2..n}→{1,2,..n}を恒等置換と呼べば
これが積演算の単位元となります。
そして,σの逆元σ-1は,これを逆写像:σ-1:pi→i,
つまり,σ-1:{p1,p2,..pn}→{12..n}で与えれば,
σσ-1=σ-1σ=eとなるので,その存在は明らかです。
また,群であるために必要な積演算の結合則は,積演算
が合成写像ですから,結合則の成立も自明で,Snは確かに
有限群をなすことがわかります。
※[互換の定義]:特にn個の列{1,2..n}のうち.成分
iだけを,j≠iなるjと交換して,それ以外の成分
は不変のままの置換を,(i,j)と書いて互換と呼び
ます。このとき互換も1つの置換ですから,もちろん
∀(i,j)∈Snです。
※線形代数学によれば,任意の置換σ∈Snは有限個
の互換の積で表わすことができます。
そうして,その因子分解は,個々のσに対し一意には
決まらないのですが.1つの置換の因子分解の因子の
総数が奇数であるか,偶数であるか?は一意的です。
そこで,奇数個の互換の積で表わせる置換を奇置換と呼び
偶数個の互換の積で表わせる置換を偶置換と呼びます。
Snの置換の総数,つまり,位数|Sn|は,順列の総数に
等しいので|Sn|=nPn=n!ですが,奇置換に左からでも
右からでも,互換を1つ掛けると偶置換になり,逆に,
偶置換に互換を1つ掛けると奇置換になるので1対1
の対応があり,結局,奇置換と偶置換の個数は同じです。
故に,それぞれ(n!/2)個ずつ,あるはずです。
しかし,積演算の単位元である恒等置換eは,偶置換
ですから,それを含む偶置換の集合だけがSnの部分群
をなし,ます。これをn次の交代群と呼び,Anと表記
します。
[定理]2-2]:交代群AnはSnの交換子群:S~nであり,
それ故,Snの正規部分群である。
(証明)σ,τ⊂∈Snのとき.交換子:στσ-1τ-1を
つくると,σが奇置換ならσ-1も奇置換,σが偶置換
ならσ-1も偶置換で,τとτ-1についても同様です。
それ故,交換子:στσ-1τ-1は常に偶置換です。
故に交換子で生成される交換子群:S~nは交代群
Anに一致しており,既述の定理によって正規部分群
です。(証明終わり)
[定理2-3]:対称群S2,S3,S4は可解群でありn≧5
の対称群Snは可解群ではない。(非可解である。)
(証明)S2は恒等置換:eと互換:(1,2)のみが元で,
積は常に可換なので可換群ですから,その交換子群
は,S~2={e}でこれは正規部分群なのでS2⊃{e}
が正規列となり.明らかに可解群です。
次に,交代群Anは,Snの指数が2の正規部分群
ですが,n=3のA3は,それ自身可換群です。
何故なら,S3の位数は6,A3の位数は3で,その
元は恒等置換:e={1,2,3}とσ={2,3,1},および,
σ-1=={3,1,2}だけですから明らかに可換群であり,
正規列:S3⊃A3⊃{e}を得るので可解です。
n=4のS4についてはσ={i,j,kl}∈S4
は,物理で用いるLevi-Civitaテンソルの非ゼロ
成分のεijklが+1のとき偶置換で,σ∈A4です、,
他方,εijklが(-1)のとき.σは奇置換です。
しかも,σ∈A4のとき.(1,2)σは奇置換であり
σ,τ∈A4でσ≠τなら,(1,2)σ≠(1,2)τとなり
1対1に対応します。
それ故,S4/A4={A4,(1,2)A4}です。この商群
は単位元A4の他には元が1個なので可換群です。
そもそも指数が2なら.商群の位数は2で,常に可換群
です。そしてVをV={e,(i,j)(k,l)}(ただし,
i,j,k,lは1~4の異なる数)とおくと,|V|
=1+4C2/2=4です。Vの元である互換の積の積
は,異なる4つの互換の積:(i1.j1)(k1,l1)
×(i2,j2)(k2,l2)ですが,これは互換の順序に
依らないので可換です。
そして,|A4|=12より,|A4/V|=3で(A4/V)
={V,(1,2,3)V.(2,3,4)V}と書けますが,そもそも
位数が3の部分群は,単位元と,それ以外の1つの元
とその逆元だけが全ての元なので,明らかに可換群です。
以上から,S4⊃A4⊃V⊃{e}という正規列が得られ,,
S4が可解群であることが示されました。
次に,n≧5のSnを考えます。Snの部分群で長さ
が3の巡回置換を全て含むものをGとします。
このときNがGの正規部分群ならNもまた,
長さ3の巡回置換を全て含むことを示します。
n≧5なので,i,j,k,r,sを1からnまでの
うちの相異なる5文字とします。
そして,σ=(i,j,s),τ=(k,r,s)とすると
仮定により,σ,τ∈Gです。このとき,その交換子
は,στσ-1τ-1=(i,j,s)(k,r,s)(s,j,i)
×(s,r,k)=(r,j,s)となります。
何故なら,(i,j,s)(s,k,r)=(i,j,k,r,s)
で,(j.i,s)(r,k,s)=(j,i,r,k.s)です
から,積はi→i,j→s,k→k,r→j,s→r
となるため,(r,j,s)と書けて,これは長さ3の
巡回置換です。交換子群は.最小の正規部分群です
から,NがGの正規部分群なら(r,j,s)∈Nですが
r,i,sは任意なのでNも全ての長さ3の巡回置換
を含むことがわかりました。
それ故.もしもSnが可解群であるなら,
Sn⊃Sn(1)⊃..⊃Sn(r)={e}となる正規列がある
はずですが,そうすると最後の正規部分群:|e}も
長さ3の巡回置換を全て含むべきなので,これは
矛盾です。したがって,n≧5のSnは非可解群です。
(証明終わり)
※関係g1~g2を,g2=x-1g1xとなるx∈Gが存在
することで定義すると,これは同値関係で,これに
よる同値類をM(a)={x-1ax|x∈G}と書けば,
Gの同値類別はG=M(a)∪M(b)∪..となります。
また,H(a)={x∈G|ax=xa}とおくと,
これはGの部分群です。何故ならx,y∈H(a)なら
ay=yaより,ay-1=y-1aですから.a(xy-1)
=xay-1=(xy-1)aとなるのでxy-1∈H(a)が
成立するからです。
,このとき,m=x-1ax,n=y-1ayなら,
m.n∈M(a)ですが,=nは,(yx-1)=a(yx-1)
を意味るため,(yx-1)∈H(a),つまり,y∈H(a)x
と同値です。よって,H(a)による右剰余類とM(a)の
元は1対1に対応するので{M(a)=|G:H(a)|です。
そこで特に|M(a)|=1はG=H(a)と同値です。
※[群Gの中心]:C={a∈G|ax=xa for ∀x∈G}
をGの中心という。
この中心CはGの正規部分群です。何故なら,a,b∈C
のとき,∀x∈Gに対し(ab-1)x=axb-1=x(ab-1)
よりab-1∈Cであり,x-1ax=aなので正規部分群です。
また,a∈Cなら|M(a)|=1でG=H(a)です。
何故なら,b∈M(a)ならb=x-1axですが,a∈Cなら
x-1ax=aより,b=a,故に|M(a)|=1です。;
※[巡回群の定義]:群Gがあるとする。∀g∈Gに対して
g=anとなるa∈Gとn∈Zが存在するとき,Gをaで,
生成される巡回群といい,G=<a>と書く。a0=eで
<a>={e,a,a2.,,}です。
※Gが有限群で,|G|=nのとき,∀a∈Gに対してak=e
となるk∈Zが存在します。さもないと<a>が無限巡回群
となり有限群に矛盾します。このとき.aq=eとなる最小
の非負整数:qを元aの位数(order)と呼びます。
<a>={e,a,::aq-1}で.これは明らかにGの部分群
であり巡回部分群といわれます。
|<a>|=qで,この群の位数はaの位数に一致します。
しかもGの部分群ですからq=|<a>|は.n=|G|の
約数です。故にq≦nですが,もしもq=nならG=<a>
です。特にn=|G|が素数pであるなら.Gの部分群は.
e以外の元a∈GについてG=<a>={e,a,..aq-1}
と{e}の自明な部分群のみです。何故なら,Gの任意の元
は,n=pの約数1かpを位数qとする巡回部分群を生成
するかしかないからです。そして|<a>|=p=|G|なら
<a>=Gであるからです。
※[p群の定義].群Gの任意の元の位数が素数pのベキ乗
であるとき,Gをp群という。
Gが有限p群ならGの位数もpのベキ乗です。
※[定理2-4]:p群は可解群である。
(証明)まず,|G|=p0=1ならGは単位群{e}なので
可解群です。
数学的帰納法を用います。|G|=pm(m<n)の群G
は可解群である.と仮定します。
そして,次に|G|=pnとします。Gの中心Cの位数は
CがGの部分群なのでpnの約数ですからpのベキ乗
です。ただし,Gが可換群なら,C=GなのでG=C⊃{e}
が正規列であり,明らかに」可解ですから,CはGの真部分群
であるとすると,|C|=pr<pnと書けます。,
中心Cはそれ自身可換群ですが,それによる商群の
(G/C)={gC:g∈G}も明らかに可換群です。
そして|G/C|=pn-r(r≧1)で,これもp群です。
そこで帰納法の仮定により,
(G/C)=G^00⊃G^1⊃…⊃G^m={e}となる正規列
が存在します。
ここでGから(G/C)の上への自然な準同型;κ(g)
=gCの,G^kの原像κ-1(G^k)をGkと定義すれば
Gk+1はGkの正規部分群で(Gk/Gk+1)が可換群
の正規列:G=G0⊃G1⊃…⊃Gm={e}を得るので,
Gも可解群であることがわかります。
(※細かい証明説明は略) (証明終わり)
長くなったので,途中ですが終わります。(つづく)
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