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2021年10月

2021年10月24日 (日)

ガロア理論の復習(;2)

※2021年10月8日(金)開始→10月24日(日)

※(余談):私は,1浪して19歳で大学の理学部の

物理学科に入学しました。15歳(中3)のとき父

が病死,兄2人,姉1人の末っ子で,急に母子家庭

の貧乏になり中高一貫の私立校だったので,高校

は父の退職金や特別奨学金で普通に卒業したの

ですが,遠くの国立大学に入ったので下宿して,

ほぼ,奨学金とアルバイトで生計を賄ってました。

それでも3年生で,必須の「統計力学Ⅰ」と

「物理実験学」の2科目合計4単位?を落とし

留年して「.その1年は奨学金もストップで,もう

1年3年生をやりました。

蛇足ですが3年になる前の2年生の春にも教養

の「憲法」を落とし再試験のときは成田(三里塚

芝山町)で空港建設反対で1カ月程常駐して援農

やすわり込み,デモなどをしていたので落第の

ままで大学では教員免許取れませんでした。

しかし,私,昔から転んでもタダでは起きない

性格で,2度目の3年生では物理講義は,たった

2科目で暇だったので,1年後輩の数学科の3年

の教室にもぐりこみ数学の講義を受けました。

大学での物理学の講義は,高校物理とはあまり

にも違う内容で,未知の事柄の話をいきなりされ

ノートを取るのがやっとでチンプンカンプンで,

理解するには自分で本で独習するしかなかったの

に比べ,数学科の数学の講義は定義,定理,証明と,

何も知らない状態から丁寧で,高校時代と同じく

出席して講義を聞いてるだけで独習しなくても

自然に頭に入ってきて,ある意味で「これが大学

の講義なんだ。」と衝撃を受けました。

翌5年目は,奨学金復活し普通に物理学科4年

の講義を受けたため,数学科の4年の講義は受ける

暇はなかったのですが,集合・位相や群・環・体の

代数学,数論,解析学,関数論などの必要で基礎的な

知見は3年生の専門科目で十分で,主にこの頃に

入手したモノが.現在の頭に残っています。

さて,最近,Amazonで「博士ルーペ」という商品

らしいがTVショップより安いモノがあったので

注文して届き,掛けてみました。

あくまで1個人の感想ですが,昔,まだ,初期の有名

でなかった頃にハズキルーペを買って,すぐフレーム

が壊れ,結局,使えなかったのと比べて,私のような

弱視でも書に近づくと見えます。

まあ,ルーペですからね。(余談終わり※)

 

※さて本論の続きです。

[定理8](準同型定理):群GとG~があってφ:G→G~

がG~の上への準同型写像であるとき,集合N=kerφ

={x∈G}φ(x)=e~}(ただしe~はG~の単位元)

をφの核(kernel)と定義すると)(G/N)からG~への

写像:φ~:gN→φ(g)は商群(剰余群):(G/N)から

ら群G~の上への同型写像である。

このφ~を「φから誘導される写像」という。

(証明)(φ~の一意性):φ~(g1N)=φ~(g2N),

つまり,φ(g1)=φ(g2)なら,φの準同型性から

φ(g1)・[φ(g2)]-1=e~であって同じく準同型

なのでφ(g12-1)=e~です。

これは,12-1∈kerφ=Nを意味します。

故に,g1∈g2Nですからg1N=g2Nと結論されます。

(φ~の準同型性):次に,φ~(g12N)=φ(g12)

=φ(g1)φ(g2)=φ~(g1N)φ~(g2N)より,

φ~が準同型であることは自明です。

(φ~の全射性):最後に,φはG~の上への写像です

から,∀g~∈G~に対しφ(g)=g~となるg∈G

が存在します。

それ故,gN∈(G/N)でありφ~(gN)=g~となる

ため,φ~もG~の上への写像であることになります。

(証明終わり)

[定義]:NをGの正規部分群とするとき.∀g∈Gに

対し,κ(g)=gNとする写像:κ:g→gNをGから

(G/N)への「自然な準同型写像」という。

これが上への写像であることは明らかです。

[定理9]:φをGからG~の上への準同型写像,N~

をG~の正規部分群とする。

Nをφの原像:N=φ-1(N~)={g∈G:φ(g)∈N~}

とすると,φ~(gN)=φ(g)N~によって商群(G/N)

から商群(G~/N~)の上への同型写像が得られる。

(証明)写像:ψ:G~→(G~/N~)を∀g~∈G~に対し

ψ(g~)=g~N~なる写像として与えます。

すると,合成写像:(ψ・φ)(g)=ψ{φ(g)}

=φ(g)N~は,Gから(G~/N~)の上への準同型

写像です。何故なら,φがGからG~の上への準同型

であり,ψもG~から(G~/N~)の上への準同型である

からです。

さて,N=φ-1(N~)なので∀g1,g2∈Nに対して,

φ(g1)∈N~,かつ,φ(g2)∈N~です。故に,φの

準同型性から,φ(g12-1)=φ(g1){φ(g2)}-1∈N~

であり,それ故,g12-1∈N=φ-1(N~)となります。

そこで,まずNはGの部分群であることがわかります。

次に,φが準同型なので,∀h∈Nと∀g∈G

に対して,φ(g-1hg)={φ(g)}-1φ(h)φ(g)

ですが,φ(g)∈G~,φ(h)∈N~で,N~がG^の

正規部分群なので,結局,φ(g-1hg)∈N~です。

よって,g-1hg∈Nであり,故にNはGの

正規部分群であることが示されました。

そして,κ=(ψ・φ)とおくとき,κ(g)

=ψ{φ(g)}=φ(g)N~=N~=e~N~は,

φ(g)∈N~と同値であり,これは,g∈N

=φ-1(N~)と同値です。

それ故,N=ker(κ)が成立するので[定理8]

により.κから誘導される写像:κ~は(G/N)から

(G~/N~)の上への同型写像です。(証明終わり)

[定理10]:群GにおいてH⊂GをGの部分群とし,

N⊂GをGの正規部分群とするとき,

  • HN={hn:h∈H,n∈N}はGの部分群

であり,NはHNの正規部分群である、

  • (H∩N)はHの正規部分群である。
  • 商群:H/(H∩N)の元:h(H∩N)を商群:

(H/N)の元hNに対応させる写像:

φ~:H/(H∩N)→H/Nは上への同型写像である。

(証明)(1)∀h11,h22∈HNに対して

11(h22)-1=h112-12-1

=h12-1(h212-12-1)ですが,HはGの部分群

なのでh12-1∈Hであり,NはGの正規部分群

ですから.h2(n12-1)h2-1∈Nです。

それ故,h11(h22)-1∈HNとなるため.

HN⊂GはGの部分群です。

次に,∀h11∈HNと∀n∈Nに対して,

NがGの正規部分群なのでn1nn1-1∈Nです。

故に,(h11)n(h11)-1

=h1(n1nn1-1)h1-1∈Nですから.NはHN

の正規部分群です。

(2)∀a,b∈H∩Nについてab-1∈H,

かつ,ab-1∈Nです。

よって,ab-1∈H∩NよりH∩NはGの部分群

です。さらに∀h∈H,∀a∈H∩Nに対して,

hah-1∈H,かつ,hah-1∈Nです。

故に,hah-1∈H∩NですからH∩NはH

の正規部分群です。

  • H⊂HNよりh∈Hならh∈HNですから写像

φ:H→(HN/N)を∀h∈Hに対しφ(h)=hN

によって,定義すると,これは明らかに準同型です。

しかも,g∈HNなら,h∈H,n∈Nが存在して

g=hnを満たしますが,g∈hNですからgN

=hN=φ(h)なのでφは(HN/N)の上への写像

です。そしてkerφ={h∈H:φ(h)=N}ですが,

φ(h)=hN=Nは,h∈Nを意味するので,

h∈kerφは,h∈H∩Nと同値ですから,結局,

kerφ=H∩Nが成立します。 

故に[定理8](群の準同型定理)によって,φから

誘導される写像:φ~[h(H∩N)]=φ(h)Nは,

[H/(H∩N)]から[HN/N]の上への同型写像です。

(証明終わり)

[定義];群Gの元:x,yによるxyx-1-1∈G

を交換子と呼ぶ。C(G)={xyx-1-1:x,y∈G}

で定義されるGの部分集合(交換子全体)は,一般に

Gの積演算で閉じていないので,Gの部分群ではない。

しかし,交換子によって生成される部分群,

つまり,交換子とその積から得られる元を含む最小

の群をG~と書いて,これを交換子群と呼ぶ。

(※例えば2つの交換子:c,d∈G~による交換子

cdc-1-1∈Gも群G~の元です。)

[定理11]:(1)Gの交換子群:G~はGの正規部分群

である。(2)Gの正規部分群Nに対し商群G/Nは

可換群であるなら,N⊃G^である。

(証明)(1)∀c=xyx-1-1∈G~,(x,y∈G)

をとると,Gは群ですからc∈Gであり,G~⊂Gです。

そこで∀g∈Gに対してgxg-1,gyg-1∈Gで,

gx-1-1=(gxg)-1,gy-1-1=(gyg-1)-1であり,

これらは全てGの元です。それ故,gcg-1

=(gxg-1)(gyg-1)(gx-1-1)(gy-1-1)ですが,

これはGの1つの交換子なのでG~の元です。

したがってG~はGの正規部分群です。

(2)∀a,b∈Gに対して,aNbN=abN

bNaN=baNです。これが可換ならabN

=baNですが,これはab∈baN,つまり,

aba-1-1∈Nなることを意味します。

よってG~∈Nです。(証明終わり)

※N=G~⊂Gは,Gの商群:(G/N)が可換群となる

最小の正規部分群です。

[系]:Gが可換群である。⇔ G~={e}である。

(証明)∀x,y∈Gについて,xy=yxであるのは,

xy(yx)-1=xyx-1-1=eと同値です。

故にGが可換群であるのは,G~={e}と同値です。

(証明終わり)

(※これ,別に[定理11]の系ではないような?)

第2章 可解群

※可解群というのは代数方程式がベキ根で可解と

なる条件と関連して,名称がつけられました。

体の拡大列に自己同型群の縮小する正規列が

対応し,それが方程式の係数を置換する対称群に

関わるという,随分と先のトピックであり,環や体

の説明の後に記述するのが理論構成の本来の順序

であると今では思いますが,,一応,群についての全て

の話だけを,予めまとめて書いたらしい私の過去ノート

に従うことにします。

※[可解群の定義]:群Gが与えられたとき,まずG0

をG0=Gとおいて,k=0,1,2,,に対し,Gk+1をGk

の正規部分群とする縮小する列として

G=G0⊃G1⊃..⊃G⊃Gk+1⊃...をつくるとき,

商群:(Gk/Gk+1)が全て可換群(アーベル群)となる

正規列が,有限のm個でGm={e}となって終わるなら,

群Gを「可解群」という。

※交換子群を用いてGk+1=G~と選択することも

できますから,どんな群Gでも,正規列を作ることは

可能ですが,それが有限個で{e},または{1}に収束

するかどうか?はわかりません。{e}に収束しない

群Gは「非可解群」と呼ばれます。

※縮小正規列の途中でGが可換群(アーベル群)と

なるなら,G~k={e}なので,Gk+1={e}と置けば

その時点で可解群であることが判明します。

※[部分群の指数]:群Gの部分群Hの指数とは,H

による(左右)剰余類の個数のことです。

これを|G:H|と表記します。

※[定理2-1](ラグランジュの定理):

Gが有限群で,Hがその部分群であれば,指数:|G:H|

=|G|/|H|である。

(証明)前に記述したように,Hによる左剰余類の場合

なら,G=ΣaHのように,Gは互いに素な剰余類の

直和で表わせます。

そして,剰余類(aH)の元の個数は全てHの位数

|H|に等しいため,|G|=|G:H|・|H|です。

故に|G:H|=|G|/|H|を得ます。(証明終わり)

※[対称群(置換群)の定義]:

n個の整数の列{1,2..n}の順序を交換する写像,

σ:{1,2,..n}→{p1,p2,..pn}(順列)を,n次の置換

と呼び,Snを全てのn次の置換を元とする集合とすれば

置換の積について群をなし,これを対称群(置換群)という。

※ただし,置換の積とは,合成写像を意味します。

つまり,σ:{1,2..n}→{p1,p2,..pn}と,τ:{1,2,..n}

→{q1,q2,..qn}なる元(写像):σ,τ∈Snの積は,写像

σ:i→pi=σ(i)と,写像τ:i→qi­=τ(i)を,この順に

適用して合成すると,合成写像:(τσ)(i)=τ(σ(i))

=τ(pi)となりますが,線形代数学では,これを

置換σと置換τの積:στと定義するのが慣例です。

置換操作は可換ではないので,定義での操作順序

の規約は,参考書によっては演算の順序が逆のモノ

もあり,誤解すると混乱の種になるので注意が必要

です。

そして,実際,この積演算はSnの中で閉じており

整数列の順序を全く変化させない写像:e(i)=i,

つまり,e:{1,2..n}→{1,2,..n}を恒等置換と呼べば

これが積演算の単位元となります。

そして,σの逆元σ-1は,これを逆写像:σ-1:p→i,

つまり,σ-1:{p1,p2,..pn}→{12..n}で与えれば,

σσ-1=σ-1σ=eとなるので,その存在は明らかです。

また,群であるために必要な積演算の結合則は,積演算

が合成写像ですから,結合則の成立も自明で,Snは確かに

有限群をなすことがわかります。

※[互換の定義]:特にn個の列{1,2..n}のうち.成分

iだけを,j≠iなるjと交換して,それ以外の成分

は不変のままの置換を,(i,j)と書いて互換と呼び

ます。このとき互換も1つの置換ですから,もちろん

∀(i,j)∈Snです。

※線形代数学によれば,任意の置換σ∈Snは有限個

の互換の積で表わすことができます。

そうして,その因子分解は,個々のσに対し一意には

決まらないのですが.1つの置換の因子分解の因子の

総数が奇数であるか,偶数であるか?は一意的です。

そこで,奇数個の互換の積で表わせる置換を奇置換と呼び

偶数個の互換の積で表わせる置換を偶置換と呼びます。

nの置換の総数,つまり,位数|Sn|は,順列の総数に

等しいので|Sn|=nn=n!ですが,奇置換に左からでも

右からでも,互換を1つ掛けると偶置換になり,逆に,

偶置換に互換を1つ掛けると奇置換になるので1対1

の対応があり,結局,奇置換と偶置換の個数は同じです。

故に,それぞれ(n!/2)個ずつ,あるはずです。

しかし,積演算の単位元である恒等置換eは,偶置換

ですから,それを含む偶置換の集合だけがSnの部分群

をなし,ます。これをn次の交代群と呼び,Anと表記

します。

[定理]2-2]:交代群AnはSnの交換子群:S~nであり,

それ故,Snの正規部分群である。

(証明)σ,τ⊂∈Sのとき.交換子:στσ-1τ-1

つくると,σが奇置換ならσ-1も奇置換,σが偶置換

ならσ-1も偶置換で,τとτ-1についても同様です。

それ故,交換子:στσ-1τ-1は常に偶置換です。

故に交換子で生成される交換子群:S~nは交代群

nに一致しており,既述の定理によって正規部分群

です。(証明終わり)

[定理2-3]:対称群S2,S3,S4は可解群でありn≧5

の対称群Snは可解群ではない。(非可解である。)

(証明)S2は恒等置換:eと互換:(1,2)のみが元で,

積は常に可換なので可換群ですから,その交換子群

は,S~2={e}でこれは正規部分群なのでS2⊃{e}

が正規列となり.明らかに可解群です。

次に,交代群Anは,Snの指数が2の正規部分群

ですが,n=3のA3は,それ自身可換群です。

何故なら,S3の位数は6,A3の位数は3で,その

元は恒等置換:e={1,2,3}とσ={2,3,1},および,

σ-1=={3,1,2}だけですから明らかに可換群であり,

正規列:S3⊃A3⊃{e}を得るので可解です。

n=4のS4についてはσ={i,j,kl}∈S4

は,物理で用いるLevi-Civitaテンソルの非ゼロ

成分のεijklが+1のとき偶置換で,σ∈A4です、,

他方,εijklが(-1)のとき.σは奇置換です。

しかも,σ∈A4のとき.(1,2)σは奇置換であり

σ,τ∈A4でσ≠τなら,(1,2)σ≠(1,2)τとなり

1対1に対応します。

それ故,S4/A4={A4,(1,2)A4}です。この商群

は単位元A4の他には元が1個なので可換群です。

そもそも指数が2なら.商群の位数は2で,常に可換群

です。そしてVをV={e,(i,j)(k,l)}(ただし,

i,j,k,lは1~4の異なる数)とおくと,|V|

=1+42/2=4です。Vの元である互換の積の積

は,異なる4つの互換の積:(i1.j1)(k1,l1)

×(i2,j2)(k2,l2)ですが,これは互換の順序に

依らないので可換です。

そして,|A4|=12より,|A4/V|=3で(A4/V)

={V,(1,2,3)V.(2,3,4)V}と書けますが,そもそも

位数が3の部分群は,単位元と,それ以外の1つの元

とその逆元だけが全ての元なので,明らかに可換群です。

以上から,S4⊃A4⊃V⊃{e}という正規列が得られ,,

4が可解群であることが示されました。

次に,n≧5のSnを考えます。Snの部分群で長さ

が3の巡回置換を全て含むものをGとします。

このときNがGの正規部分群ならNもまた,

長さ3の巡回置換を全て含むことを示します。

n≧5なので,i,j,k,r,sを1からnまでの

うちの相異なる5文字とします。

そして,σ=(i,j,s),τ=(k,r,s)とすると

仮定により,σ,τ∈Gです。このとき,その交換子

は,στσ-1τ-1=(i,j,s)(k,r,s)(s,j,i)

×(s,r,k)=(r,j,s)となります。

何故なら,(i,j,s)(s,k,r)=(i,j,k,r,s)

で,(j.i,s)(r,k,s)=(j,i,r,k.s)です

から,積はi→i,j→s,k→k,r→j,s→r

となるため,(r,j,s)と書けて,これは長さ3の

巡回置換です。交換子群は.最小の正規部分群です

から,NがGの正規部分群なら(r,j,s)∈Nですが

r,i,sは任意なのでNも全ての長さ3の巡回置換

を含むことがわかりました。

それ故.もしもSnが可解群であるなら,

n⊃S(1)⊃..⊃S(r)={e}となる正規列がある

はずですが,そうすると最後の正規部分群:|e}も

長さ3の巡回置換を全て含むべきなので,これは

矛盾です。したがって,n≧5のSnは非可解群です。

(証明終わり)

※関係g1~g2を,g2=x-11xとなるx∈Gが存在

することで定義すると,これは同値関係で,これに

よる同値類をM(a)={x-1ax|x∈G}と書けば,

Gの同値類別はG=M(a)∪M(b)∪..となります。

また,H(a)={x∈G|ax=xa}とおくと,

これはGの部分群です。何故ならx,y∈H(a)なら

ay=yaより,ay-1=y-1aですから.a(xy-1)

=xay-1=(xy-1)aとなるのでxy-1∈H(a)が

成立するからです。

,このとき,m=x-1ax,n=y-1ayなら,

m.n∈M(a)ですが,=nは,(yx-1)=a(yx-1)

を意味るため,(yx-1)∈H(a),つまり,y∈H(a)x

と同値です。よって,H(a)による右剰余類とM(a)の

元は1対1に対応するので{M(a)=|G:H(a)|です。

そこで特に|M(a)|=1はG=H(a)と同値です。

※[群Gの中心]:C={a∈G|ax=xa for ∀x∈G}

をGの中心という。

この中心CはGの正規部分群です。何故なら,a,b∈C

のとき,∀x∈Gに対し(ab-1)x=axb-1=x(ab-1)

よりab-1∈Cであり,x-1ax=aなので正規部分群です。

また,a∈Cなら|M(a)|=1でG=H(a)です。

何故なら,b∈M(a)ならb=x-1axですが,a∈Cなら

-1ax=aより,b=a,故に|M(a)|=1です。;

※[巡回群の定義]:群Gがあるとする。∀g∈Gに対して

g=aとなるa∈Gとn∈Zが存在するとき,Gをaで,

生成される巡回群といい,G=<a>と書く。a0=eで

<a>={e,a,a2.,,}です。

※Gが有限群で,|G|=nのとき,∀a∈Gに対してa=e

となるk∈Zが存在します。さもないと<a>が無限巡回群

となり有限群に矛盾します。このとき.aq=eとなる最小

の非負整数:qを元aの位数(order)と呼びます。

<a>={e,a,::aq-1}で.これは明らかにGの部分群

であり巡回部分群といわれます。

|<a>|=qで,この群の位数はaの位数に一致します。

しかもGの部分群ですからq=|<a>|は.n=|G|の

約数です。故にq≦nですが,もしもq=nならG=<a>

です。特にn=|G|が素数pであるなら.Gの部分群は.

e以外の元a∈GについてG=<a>={e,a,..aq-1}

と{e}の自明な部分群のみです。何故なら,Gの任意の元

は,n­=pの約数1かpを位数qとする巡回部分群を生成

するかしかないからです。そして|<a>|=p=|G|なら

<a>=Gであるからです。

※[p群の定義].群Gの任意の元の位数が素数pのベキ乗

であるとき,Gをp群という。

Gが有限p群ならGの位数もpのベキ乗です。

※[定理2-4]:p群は可解群である。

(証明)まず,|G|=p0=1ならGは単位群{e}なので

可解群です。

数学的帰納法を用います。|G|=p(m<n)の群G

は可解群である.と仮定します。

そして,次に|G|=pnとします。Gの中心Cの位数は

CがGの部分群なのでpnの約数ですからpのベキ乗

です。ただし,Gが可換群なら,C=GなのでG=C⊃{e}

が正規列であり,明らかに」可解ですから,CはGの真部分群

であるとすると,|C|=pr<pと書けます。,

中心Cはそれ自身可換群ですが,それによる商群の

(G/C)={gC:g∈G}も明らかに可換群です。

そして|G/C|=pn-r(r≧1)で,これもp群です。

そこで帰納法の仮定により,

(G/C)=G^00⊃G^1⊃…⊃G^m={e}となる正規列

存在します。

ここでGから(G/C)の上への自然な準同型;κ(g)

=gCの,G^kの原像κ-1(G^)をGkと定義すれば

k+1はGの正規部分群で(Gk/Gk+1)が可換群

正規列:G=G0⊃G1⊃…⊃Gm={e}を得るので,

Gも可解群であることがわかります。

(※細かい証明説明は略) (証明終わり)

長くなったので,途中ですが終わります。(つづく)

 

 

 

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2021年10月 8日 (金)

ノーべル物理学賞

本年度のノーべル物理学賞受賞の真鍋先生おめでとう 

ございます。といっても私は存じ上げていませんでした、

今でこそ,科学分野での日本人のノーベル賞受賞者多勢

おられますが,私の学生の頃は素粒子論の湯川先生と

朝永先生くらいでした。

結局,このお2人に影響されて浅学非才な私も理論物理学

に魅力を感じたのが,71歳の今でも興味を持ち続けている

キッカケであったと思います。

 気象力学や地震物理学なども地球物理学に属しますが

高校では「地学」という範疇で,私も物理学には違いない

と思っているのにノーベル物理学賞にはこれまで無縁でした。

 私はコンピューターで環境アセスメントを仕事とする会社

に入社して13年在職していたので,気象も地震も事に必要

知識だったのでしたが,学生時代は基礎物理に属するもの

しかやらなかったので,流体力学から始めて後に水理学とか

気象力学地震学なども「門前の小僧」で知識が増えて

いきました。

 そして当時のNECや富士通の大型コンピューターを使って

Fortrranのプログラムで差分法や有限要素法で数値モデル

を立てて計算することもやりっましたが,当時のスパコン

でさえ,今のPCよりはるかに遅くて,使用データも1600

フィート?(6000だったかな)のテープ5本などを回して

何日もかけて連続計算していました。

(おかげで計算が終わるのを待ってるだけで,ときどき,

テープ交換するだけの徹夜か泊まりというような,

ある意味で楽な(無駄な)残業もよくありました。)

 今の気象庁の気象予測計算などは,もし数日かかると

したら無意味なので,あの頃から大した進歩だと思います

 眞鍋先生は90歳ということで,私より19歳も年上なので

当時コンピュータでの数値計算は大変だったろうと想像

します。 日本はコンピュータI産業の保護で国産機械

しか使えませんでしたがア,メリカだともっと進んでいた

のでしょうね。。

 私,1989年糖尿病で教育入院したのをキッカケに1990年

(平成2年)の3月に40歳で13年勤務した会社をやめたのですが,

そのころ会社で「地球温暖化」の計算プロジェクトをやると

いう計画がありました。眞鍋さんのではない研究者の英語の

論文など読みましたが,球体の地球全体は地図を作成するのでも

「メルカトール法」とか「モルワイデ法」とか,困難がある

ように,地球全体を差分メッシュに分解する座標系の取り方か

らかなり難しく,当時,ゴア副大統領著の「不都合な真実」が

出て注目された課題でも研究所でもない民間の1営利企業が

取り組む問題じゃないというわけか?消滅したようです。

 当時,フロン(塩素,フッ素)やPAN(ポリアセチルナイトレート)

の増加によって,光吸収による酸素からのオゾン生成と光放出に

よるオゾンの分解の平衡が損なわれてオゾン層が破れ光化学

スモッグ(光化学オキヂダント)の発生,太陽からの紫外線やX線

による皮膚ガン被害などの原因の化学反応も問題となりこれら

は,単純に物理だけの問題じゃないのですがく温暖化やそれに

伴う気象変動があることは事実でしょうが,二酸化炭素が

その主な犯人であるかどうか?は疑問視されていました。

 そういう計算結果があっても,数値計算法の信憑性

疑われた時代でしたしね。

 私自身も地球の最大の温室効果ガスは水(水蒸気や雲)で

人間や動物の活動が異常気象の原因だとは思っていても

高々2パーセント程度のCO2よりも,森林伐採による密林

の砂漠化,雨が降らないなどの方が異常気象の主犯だと

思ってました。いまも世間の常識とは違う見方も多い

です。例えば,ニュートリノ振動やニュートリノの

有質量も,まだ本当かな?と疑問視しています。

 さて1990年に退職金でPCを買い,ベンチャー会社の

嘱託しながら大学受験塾を始めましたがバブルが終焉

を迎えた1993年ころ,結局,プータローになりました。

オイルショックもある不景気な世の中,40歳を過ぎた

冴えないオヤジが約7年間,起業するでもなく職を選

ばない就職試験も落ち続けましたが,食べていくため

最初は交通ガードマンから始めて,予備校講師,専門

学校講師のバイトで食いつなぎ.2000年の50歳の直前

199年12月で採用されたのは正社員でなく派遣会社.

それも大会社の孫請けで隔日夜勤11.5時間(20時から

翌7時半)の拘束で10時間労働.時給1500円でした。

それから7年,心臓病で倒れるまではっここの派遣社員

でした。その間,平成13年12月,11年ぶりで最初正社員

だった会社に隔日アルバイト,時給2500~2200円で

朝9時から17時半までが通常勤務の会社に勤務しました

科学計算する仕事は同じですが大型コンピュータじゃ

なくPCでの仕事でした。

つまり,夜勤10時間は,月水金と火木土の週交代でしたが

たとえば月が夜勤日なら,朝から神保町の会社で18時半

まで1時間残業で.夕食後は永代橋そばの会社で20時から

7時半の夜勤です。ときには(水t曜日)夜勤明けの朝から

池袋で朝食後,専門学校講師で昼過ぎに帰宅という生活

が結局4年も続きました。

平成17年(2005年)には,津軽湾の地球温暖化による海流

の時間変化を計算する,というのが最後の仕事で,計算困難

で解決できないまま,11月に55歳でクビとなりました。

そのころは3つの仕事掛け持ちででも最初の正社員時代

より収入はガタ落ちでした。

 心臓病になったのは夜勤だけになり仕事時間も収入も

半分以下になった2006年の12月のことです。2007年

4月の心臓手術で夜勤もクビになりました。

 意外と,温暖化やその数値モデルと個人的に縁が

あったな,ということを連想したという,ノーベル賞に

無理にコジつけたツマラナイ個人のお話です。

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2021年10月 7日 (木)

ガロア理論の復習(1)

※2021年9月23日(木)開始→10月7日(木)

※久しぶりです。TOSHIです。

未だ終活などトンデモナイと,この世に未練タップリ

という感がありますが,何か難しい考え事でもしてないと

生きてくハリというか?モチベーションがなくなり無為

に時が過ぎるばかりで,むなしいです。

食って出して寝る,日々生きていく糧があり暑さ寒さ雨露

をしのぐ衣服と部屋があるのはとてもシアワセなことです

が「家畜と同じ生なら別に生きていてもしょうがない。」

と思うゼイタクでエゴイストのバチアタリジジイですから。。

今年の7月ころには「遺構」と称して2018年にブログ

にアップした2つの科学記事「素粒子ソリトン説(1),(2)」

という,主要項に比べて10-40のオーダー程度の極く小さい

非線型付加項があって特殊相対論をも破る自由粒子という

仮説モデルについて論じたものを書きましが,これは遅々と

して進まず,そこで最近は素粒子理論ばかりではなく気分

転換に自分の残っている蔵書の中から19世紀の数学の

ルフィニとアーベルによる「5次以上の代数方程式の

ベキ根による解法の不可能の証明」の歴史についての本

を読んだりしていましたが,目が悪くてなかなか進みません。

老眼鏡でも文字が薄くて判読ができず,紙面を懐中電灯で

照らすと少し読めるようなので老眼というより弱視かも

しれず,眼科では2011,2012年に手術した両眼の硝子体

が濁っているらしいのですが,糖尿病だと硝子体交換手術

は難しいそうです。でも本当は手術を受けたいです。

今は読書も困難なので,かつてバブルも終わり求職活動

をしながらもフリーターで暮らすしかなくなり,暇な時間

に物理や数学の勉強を再開いていた40歳代前半の頃に

勉強した.アーベルよりも先に進んだガロアによる

「代数方程式のベキ根による解が存在するための必要

十分条件」(これは過去のブログ記事でも紹介済み)に

ついての覚え書きノートをもう1度復習し要約する

ところからやってみたいと思います。(自分の書いた

ノートなら,かろうじて読めますから。。)

※さて,以下は本題です

第0章:準備(必要な予備知識)

§1.群,環,体

(Ⅰ)[群の定義]:集合Gの上にある2項演算(・)が定義

され,,任意のa,b,c∈Gに対して次の3つの条件を

満たすとき,(G.・)の組を群(group)という。

この3条件は,

(1)∀a,b∈Gに対しte,結合則:a・(b・c)

=(a・b)・cが成立する。

(2)∀a∈Gに対してe・a=a・e=aを満たす

単位元eが存在する。

(3)∀a∈Gについてa-1a=aa-1=eを満たす逆元

-1が存在する。 の3つです。

 さらに∀a,b∈Gが交換則:a・b=b・aを満たす

場合は.(G,・)は可換群(アーベル群)であるといいます。

そして,特にGが可換群の場合,可換演算・を+と書いて

+を加法,(G,+)を加法群と呼ぶことがあり加法群の場合,

単位元を0(ゼロ)と書いて零元と呼びます:

※[半群の定義]:集合Sの上に,ある2項演算・が定義され,

結合則を満たすとき,(S,・)の組を「半群」という。

群とは異なり,単位元の存在,逆元の存在は必ずしも

仮定されない集合です。

(Ⅱ)[環の定義] 集合Rの上で乗法(・)と加法(+)という

2種の2項演算が定義されており,以下の条件を満たすとき

(R,・,+)の組を「環(ring)」という。

(1)加法について,(R,+)は可換群をなす。このとき,

その単位元を0(ゼロ)と書き零元と呼ぶ。

(2)(R,・)の乗法については結合則が成立する。

すなわちa・(b・c)=(a・b)・cである。

(3)乗法の単位元eが存在する。すなわち,e・a

=a・e=aが成立する。ただしeはゼロとは異なる

元である

(4)加法と乗法について分配則が成り立つ。すなわち.

a・(b+c)=a・b+a・cである。

特に,Rが乗法についても交換則を満たすときは,これ

を「可換環」という。

(Ⅲ)[体の定義]:集合Kの上で乗法(・)と加法(+)という

2種の2項演算が定義されており,加法では(K,+)が

可換群をなし,その単位元を0(ゼロ)と書き,零元と呼ぶ。

また,この0を除く集合:K-{0}は乗法について群を

なし,この乗法群の単位元eは1と書くことがある。

このとき,任意のKの元:a,b,c∈Kについて分配則

a・(b+c)=a・b+a・cが成立するなら,(K,・,+)

の組を「体(field)」という。特に乗法についても可換なら

Kを「可換体」という。

※以下,乗法については演算記号・を省略します。

※群Gの部分集合Hが同じ演算で群をなすなら,これを

Gの「部分群」という。H⊂GがGの部分群となるため

の必要十分条件は,∀a,b∈Hがa-1b∈G,あるいは

ab-1∈Gを満たすことです。

環Rの「部分環」,体Kの「部分体」についての定義も

部分群と同様です。

※(例):有理数集合Q,実数集合や複素数集合Cは通常

の演算で体をなします。整数集合Zや多項式の集合は

環をなします。

※[体Kの性質1]任意のa∈Kについて0=0a=0

が成り立つ

(証明)aの他にb∈Kを任意に取ると,ab=a(0+b)

=a0+abです。abはKの任意の元なので,これは

a0=0であることを意味します。他方,0a=0も同様

に示すことができます。(証明終わり)。

※[有限体の定義]:

群,環,体の元の個数を「位数」という。体の場合.位数が

有限の体を「有限体」と呼ぶ。また,位数が有限ではない体

を「無限体」という。有限群,有限環についても同様です。

※[有限体の性質]:有限体Kがあって,その位数がqである

とき,xがKの任意の元ならx=xが成立する。

(証明)x=0なら自明なのでx≠0とします。

K-{0}は,位数が(q-1)の乗法群をなします。

その任意の元xによる巡回集合:<x>={1,x,x2,…}

は有限群の部分集合なのでx=1となる最小の自然数k

が存在するはずです。これを元xの位数と呼べば,<x>

はkを位数とする巡回群をなします。これは特に乗法群:

K-{0}の部分群となるのは明らかです。,それ故,部分群:

<x>の位数kは.元の乗法群の位数(qー1)の約数と

なります。なぜなら,部分群の元の個数はkですが,それ

と同じ個数kの元を持つ剰余類の総和が乗法群:K-{0}

に一致するため,(剰余類の個数)とkの積か(q-1)に

等しいことになるからです。したがってx(q-1)=1であり

=xが成立します。(証明終わり)

※[代数系のその他の必要知識]

群Gの部分群をHとするとき,任意のa∈Gに対して

集合:aH={ah∈G:h∈H}をHによる左剰余類.

と呼び,集合:Ha={ha∈G:h∈H}を右剰余類

と呼ぶ。H=eHを含む全ての剰余類の集合系の総和

は集合Gに一致します。左剰余類aHとbHの積演算

を,(aH)(bH)={xy∈G:x∈aH,y∈bH}で定義

すると,明らかに(aH)(bH)=abHであり,故に,

これもHについての左剰余類に属します。

そこで,a∈GをaHに対応させる自然な写像:

a→aHは1つの「準同型写像」です、

そして剰余類の系:{aH⊂G:a∈G}は,この元の

積演算で単位元をH=eHとする群をなすことに

なります。この群を「剰余類群」とも呼びます。

右剰余類:Haについても全く同様な議論ができます。

特にaH=HaなるときHを「正規部分群」と呼び,

記号Nで表わすことが多いです。Nが正規部分群なら

N=a-1Naなので「∀h∈Nが∀a∊Gに対して

-1ha∈Nを満たすことと,Nが正規部分群なること

は同値」です。

 そして,部分群Hによる左剰余類群,右剰余類群を

総称して単に「剰余類群」または「商群」,「因子群」

とも呼び,これらの集合系の群ををG/Hで記述します

※[同値関係と同値類]:

集合Aの2つの元に,関係:~が定義され,Aの任意

a,b,c∈Aに対して次の3つ条件(同値律)を

満たすとき,関係:~を同値関係という。すなわち,

1.反射律:a~a

2.対称律:a~bならb~a

3.推移律:a~b,かつ.b~cならa~c

の3条件が同値律です。

さらに.任意のa∈Aについて,集合C(a)を

C(a)={x∈A:x~a}によって定義し,これ同値

関係:~に基づいてaを代表元とする「同値類」という。

すると,Aはその同値類の総和に一致します。すなわち

A=∪a∈AC(a)です。

 そして,a~bなることと,集合としてC(a)=C(b)

なることは同値であることがわかります。

よってa~bでないなら,C(a)∩C(b)=φ(空集合)

であり,A=∪a∈AC(a)の右辺は直和となります。

つまり,A=Σa∈AC(a)と書くことができます。

このように,集合Aを同値類の総和に分解することを

「同値類別」といいます。

※[剰余類としての同値類]:整数a.b∈Zの整数mを法

とする合同関係a≡b(mod m)は,1つの同値関係a~b

です。これによる同値類(合同類)は,mで割ったときの

剰余:0,1,2...(m-1)が,それぞれ同一であることを

意味するので,これも「剰余類」と呼びます。mを法と

する場合.異なるものはm個あります。特にaがmと

互いに素:(a,m)=1の剰余類:C(a)を「既約剰余類」と

いいます。

この剰余類:C(a)は先に群Gの部分群Hによる剰余類

をaHやHaと記して説明したものと同様,C(a)と

C(b)の積を定義すると(aH)(bH)=abHと同じく,

C(a)C(b)=C(ab)であり,その全体集合は剰余類群

をなします。

※さて,私の1993年9月に始まる参照ノートは,いきなり

この次に書く項目から始まっていたのでて,それ以前の

記述のあるノートがあるかも,と思って探してみました

ありませんでした。

そのころの40歳代頃の私の頭では.今,準備で書いた

ようなことは常識で説明不要の用語だったので,中途

半端なところから開始したのかもしれませんが,

読み返すと老化や却のせいか,1つ1つ意味不明の事柄

が多く,そこで定義を中心に整理したのが以上です。

※というわけで改めて本論開始です。

第1章:導入(introduction)

※[定理1]:Zを整数の集合とする。∀a,m∈Zに

ついてaとmが互いに素,つまり.a,bの最大公約数

がd=(a,m)­=1であるとき,x∈Zについて

ax≡0(mod m)ならx≡0(mod m)である。

(証明)(a,m)=1により,あるp,q∈Zが存在して.

ap+mq=1とできます。そこで∀x∈Zに対し,

axp+mxq=xが成立します。

それ故,ax≡0(mod m),つまり,m/(ax)なら,

m/x.つまり,x≡0(mod m)です。(証明終わり)

※[系]C(a)がmを法とする既約剰余類:のとき,

C(a)C(x)=C(1),となるC(x)は,C(a)に対して

一意的(unique)である。

(証明)C(a)C(x)=C(1),かつ,C(a)C(y)=C(1)

とすると.ax≡1(mod m),かつay≡1 (mod m)です。

故に,a(x-y)≡0,です。したがって定理1によって

(x-y)≡0,つまり,x≡y(mod m)ですが,これは

C(x)=C(y)を意味します。(証明終わり)

※[定理2]:可換環Rの部分環Sは可換環である。

(証明)a,b,c∊Sとする。部分環であるための

条件はa-b∈Sです。a,b.cが加法,乗法に

ついて結合則,分配則を満たすのは定義から自明。

そして,a+(-a)=0∈Sより0∈Sであり,それ故,

(-a)=0-aから,(-a)∈Sです。

Rと同じ乗法で交換則も成立しその単位元eも

RとSで共通です。(証明終わり)

※[定理3]:0でない整数a,b∈Zの最大公約数を

d=(a,b)とすると,ax+by=dなるx,y∈Z

が存在する。

(証明)整数Zの部分集合:I={ax+by:x,y∈Z}

は上下に有界なので最小の正の数が存在します。

それをc∈Zとしax1+by1=cであるとします。

ところが仮定によりdはa,bの最大公約数ですから,

d/(ax1+by1)です。つまり,d/cです。

故に,dはcの約数なのでd≦cです。

他方ax=by=pc+q;ただし0≦q≦(c-1)

と書けば.a(x-px1)+b(y-py1)=qですが

cが集合Iの最小の正整数でしたから,上式右辺では

qはq=0でしかあり得ません。

よって任意のax+byがcで割り切れるので.c/a.

かつ,c/bであり,cはa,bの1つの公約数です。

故にc≦dもいえます。以上からc=dと結論

されます。(証明終わり)

※[系]a,bが互いに素:(a,b)=1ならax+by=1

となるx,y∈Zが存在する。

これの証明は1が最大条約数dなので自明です。

前後しますが,これは既に[定理1]の証明に用いました。

※[定理4]:半群Sにおいて,∀a∊Sに対してae=a

を満たす右単位元e∈Sが存在し,ax=eを満たす

右逆元x=a-1∈Sが存在するとき,eはea=aを

満たす左単位元で,a-1はa-1a=eを満たす左逆元

でもある。

(証明)まず,a-1a=(a-1a)e=a-1a{(a-1)(a-1)-1}

=a-1(aa-1)(a-1)-1=a-1e(a-1)-1

=a-1(a-1)-1=eよりa-1a=eが得られます。

故に,ea=((aa-1)a=a(aa-1)=ae=a

も成立します。(証明終わり)

※[定理5]:半群Gにおいて∀a,b∈Gに対して

常に,x,y∈Gが存在して,ax=bかつ,yb=a

なるとき,Gは群である。

(証明)bx=bを満たすx∈Gをとります。また

yb=aとなるy∈Gをとります。このときax

=(yb)x=yb=aです。したがって,このxは

∀a∈Gに対してax=aを満たします。

同様にby1=a,x1b=bなら.x1a=x1(by1)

=by1=aです。よって,∀a∈Gに対しx1a=a

が成立します。

それ故,x1x=x1=xとなり,これはGの単位元

とみなせるのでeと表わすことにします。

次に,∀a∈Gに対しax=e,ya=eとなるx,y∈G

が存在します。すると,yax­=ex=x,yax=ye

=yです。故にx=yですから,これはaの逆元a-1

他なりません。(証明終わり)

※[定理6]:有限半群Gが,

(簡約律):ax=ay⇒x=y:xa=ya⇒x=y

Gを満たすならGは群である。

(証明)G={g1,g2,..gn}とします。∀g∈Gに

対し,簡約律からggi=ggjならgi=gjです。

それ故,gi≠gjならggi≠ggjですからG

はG={gg1,gg2,..ggn}とも書けます。

したがって,∀b∈Gに対してb=ggとなる

が存在します。

以上から結局,∀g,h∈Gについてgx­=h

となるx∈Gが存在します。同様にして,yg=hを

満たすy∈Gの存在もいえます。よって[定理4]から

Gは群(有限群)です。(証明終わり)

※[定理7]:群Gと,その部分群Hがある。g1,g2∈G

について左剰余類:g1H,g2Hをつくると,

1H∩g2H=φ,またはg1H=g2Hのいずれか

である。

(証明)これについては既に準備で説明済みです。

※(左)剰余類は同値律をみたすので同値類の1種です。

※目が見えぬのも含め,ブログを書く情熱も15年前に

56歳で始めたころより明らかに鈍化して惰性に近く

わずかの草稿書きも2週間もかかりました。

 認知症にもならず記憶は鮮明故,50年くらい前の

無用なトラウマ(PTSD?)だけが,過呼吸に似た原因

不明の発作で,ときどき自分んにワルサをするの

煩わしい限りです。

 本論の種本は1つじゃなく既に古書店から食料

消えたらしく見つかりません。主な参考文献は

おそらく,「代数系入門か代数系の基礎」という

題名の薄い本でしたね。(つづく)

 

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