ガロア理論の復習(1)
※2021年9月23日(木)開始→10月7日(木)
※久しぶりです。TOSHIです。
未だ終活などトンデモナイと,この世に未練タップリ
という感がありますが,何か難しい考え事でもしてないと
生きてくハリというか?モチベーションがなくなり無為
に時が過ぎるばかりで,むなしいです。
食って出して寝る,日々生きていく糧があり暑さ寒さ雨露
をしのぐ衣服と部屋があるのはとてもシアワセなことです
が「家畜と同じ生なら別に生きていてもしょうがない。」
と思うゼイタクでエゴイストのバチアタリジジイですから。。
今年の7月ころには「遺構」と称して2018年にブログ
にアップした2つの科学記事「素粒子ソリトン説(1),(2)」
という,主要項に比べて10-40のオーダー程度の極く小さい
非線型付加項があって特殊相対論をも破る自由粒子という
仮説モデルについて論じたものを書きましが,これは遅々と
して進まず,そこで最近は素粒子理論ばかりではなく気分
転換に自分の残っている蔵書の中から19世紀の数学の
ルフィニとアーベルによる「5次以上の代数方程式の
ベキ根による解法の不可能の証明」の歴史についての本
を読んだりしていましたが,目が悪くてなかなか進みません。
老眼鏡でも文字が薄くて判読ができず,紙面を懐中電灯で
照らすと少し読めるようなので老眼というより弱視かも
しれず,眼科では2011,2012年に手術した両眼の硝子体
が濁っているらしいのですが,糖尿病だと硝子体交換手術
は難しいそうです。でも本当は手術を受けたいです。
今は読書も困難なので,かつてバブルも終わり求職活動
をしながらもフリーターで暮らすしかなくなり,暇な時間
に物理や数学の勉強を再開いていた40歳代前半の頃に
勉強した.アーベルよりも先に進んだガロアによる
「代数方程式のベキ根による解が存在するための必要
十分条件」(これは過去のブログ記事でも紹介済み)に
ついての覚え書きノートをもう1度復習し要約する
ところからやってみたいと思います。(自分の書いた
ノートなら,かろうじて読めますから。。)
※さて,以下は本題です
第0章:準備(必要な予備知識)
§1.群,環,体
(Ⅰ)[群の定義]:集合Gの上にある2項演算(・)が定義
され,,任意のa,b,c∈Gに対して次の3つの条件を
満たすとき,(G.・)の組を群(group)という。
この3条件は,
(1)∀a,b∈Gに対しte,結合則:a・(b・c)
=(a・b)・cが成立する。
(2)∀a∈Gに対してe・a=a・e=aを満たす
単位元eが存在する。
(3)∀a∈Gについてa-1a=aa-1=eを満たす逆元
a-1が存在する。 の3つです。
さらに∀a,b∈Gが交換則:a・b=b・aを満たす
場合は.(G,・)は可換群(アーベル群)であるといいます。
そして,特にGが可換群の場合,可換演算・を+と書いて
+を加法,(G,+)を加法群と呼ぶことがあり加法群の場合,
単位元を0(ゼロ)と書いて零元と呼びます:
※[半群の定義]:集合Sの上に,ある2項演算・が定義され,
結合則を満たすとき,(S,・)の組を「半群」という。
群とは異なり,単位元の存在,逆元の存在は必ずしも
仮定されない集合です。
(Ⅱ)[環の定義] 集合Rの上で乗法(・)と加法(+)という
2種の2項演算が定義されており,以下の条件を満たすとき
(R,・,+)の組を「環(ring)」という。
(1)加法について,(R,+)は可換群をなす。このとき,
その単位元を0(ゼロ)と書き零元と呼ぶ。
(2)(R,・)の乗法については結合則が成立する。
すなわちa・(b・c)=(a・b)・cである。
(3)乗法の単位元eが存在する。すなわち,e・a
=a・e=aが成立する。ただしeはゼロとは異なる
元である
(4)加法と乗法について分配則が成り立つ。すなわち.
a・(b+c)=a・b+a・cである。
特に,Rが乗法についても交換則を満たすときは,これ
を「可換環」という。
(Ⅲ)[体の定義]:集合Kの上で乗法(・)と加法(+)という
2種の2項演算が定義されており,加法では(K,+)が
可換群をなし,その単位元を0(ゼロ)と書き,零元と呼ぶ。
また,この0を除く集合:K-{0}は乗法について群を
なし,この乗法群の単位元eは1と書くことがある。
このとき,任意のKの元:a,b,c∈Kについて分配則
a・(b+c)=a・b+a・cが成立するなら,(K,・,+)
の組を「体(field)」という。特に乗法についても可換なら
Kを「可換体」という。
※以下,乗法については演算記号・を省略します。
※群Gの部分集合Hが同じ演算で群をなすなら,これを
Gの「部分群」という。H⊂GがGの部分群となるため
の必要十分条件は,∀a,b∈Hがa-1b∈G,あるいは
ab-1∈Gを満たすことです。
環Rの「部分環」,体Kの「部分体」についての定義も
部分群と同様です。
※(例):有理数集合Q,実数集合Rや複素数集合Cは通常
の演算で体をなします。整数集合Zや多項式の集合は
環をなします。
※[体Kの性質1]任意のa∈Kについてa0=0a=0
が成り立つ
(証明)aの他にb∈Kを任意に取ると,ab=a(0+b)
=a0+abです。abはKの任意の元なので,これは
a0=0であることを意味します。他方,0a=0も同様
に示すことができます。(証明終わり)。
※[有限体の定義]:
群,環,体の元の個数を「位数」という。体の場合.位数が
有限の体を「有限体」と呼ぶ。また,位数が有限ではない体
を「無限体」という。有限群,有限環についても同様です。
※[有限体の性質]:有限体Kがあって,その位数がqである
とき,xがKの任意の元ならxq=xが成立する。
(証明)x=0なら自明なのでx≠0とします。
K-{0}は,位数が(q-1)の乗法群をなします。
その任意の元xによる巡回集合:<x>={1,x,x2,…}
は有限群の部分集合なのでxk=1となる最小の自然数k
が存在するはずです。これを元xの位数と呼べば,<x>
はkを位数とする巡回群をなします。これは特に乗法群:
K-{0}の部分群となるのは明らかです。,それ故,部分群:
<x>の位数kは.元の乗法群の位数(qー1)の約数と
なります。なぜなら,部分群の元の個数はkですが,それ
と同じ個数kの元を持つ剰余類の総和が乗法群:K-{0}
に一致するため,(剰余類の個数)とkの積か(q-1)に
等しいことになるからです。したがってx(q-1)=1であり
xq=xが成立します。(証明終わり)
※[代数系のその他の必要知識]
群Gの部分群をHとするとき,任意のa∈Gに対して
集合:aH={ah∈G:h∈H}をHによる左剰余類.
と呼び,集合:Ha={ha∈G:h∈H}を右剰余類
と呼ぶ。H=eHを含む全ての剰余類の集合系の総和
は集合Gに一致します。左剰余類aHとbHの積演算
を,(aH)(bH)={xy∈G:x∈aH,y∈bH}で定義
すると,明らかに(aH)(bH)=abHであり,故に,
これもHについての左剰余類に属します。
そこで,a∈GをaHに対応させる自然な写像:
a→aHは1つの「準同型写像」です、
そして剰余類の系:{aH⊂G:a∈G}は,この元の
積演算で単位元をH=eHとする群をなすことに
なります。この群を「剰余類群」とも呼びます。
右剰余類:Haについても全く同様な議論ができます。
特にaH=HaなるときHを「正規部分群」と呼び,
記号Nで表わすことが多いです。Nが正規部分群なら
N=a-1Naなので「∀h∈Nが∀a∊Gに対して
a-1ha∈Nを満たすことと,Nが正規部分群なること
は同値」です。
そして,部分群Hによる左剰余類群,右剰余類群を
総称して単に「剰余類群」または「商群」,「因子群」
とも呼び,これらの集合系の群ををG/Hで記述します
※[同値関係と同値類]:
集合Aの2つの元に,関係:~が定義され,Aの任意
の元a,b,c∈Aに対して次の3つ条件(同値律)を
満たすとき,関係:~を同値関係という。すなわち,
1.反射律:a~a
2.対称律:a~bならb~a
3.推移律:a~b,かつ.b~cならa~c
の3条件が同値律です。
さらに.任意のa∈Aについて,集合C(a)を
C(a)={x∈A:x~a}によって定義し,これを同値
関係:~に基づいてaを代表元とする「同値類」という。
すると,Aはその同値類の総和に一致します。すなわち
A=∪a∈AC(a)です。
そして,a~bなることと,集合としてC(a)=C(b)
なることは同値であることがわかります。
よってa~bでないなら,C(a)∩C(b)=φ(空集合)
であり,A=∪a∈AC(a)の右辺は直和となります。
つまり,A=Σa∈AC(a)と書くことができます。
このように,集合Aを同値類の総和に分解することを
「同値類別」といいます。
※[剰余類としての同値類]:整数a.b∈Zの整数mを法
とする合同関係a≡b(mod m)は,1つの同値関係a~b
です。これによる同値類(合同類)は,mで割ったときの
剰余:0,1,2...(m-1)が,それぞれ同一であることを
意味するので,これも「剰余類」と呼びます。mを法と
する場合.異なるものはm個あります。特にaがmと
互いに素:(a,m)=1の剰余類:C(a)を「既約剰余類」と
いいます。
この剰余類:C(a)は先に群Gの部分群Hによる剰余類
をaHやHaと記して説明したものと同様,C(a)と
C(b)の積を定義すると(aH)(bH)=abHと同じく,
C(a)C(b)=C(ab)であり,その全体集合は剰余類群
をなします。
※さて,私の1993年9月に始まる参照ノートは,いきなり
この次に書く項目から始まっていたのでて,それ以前の
記述のあるノートがあるかも,と思って探してみました
がありませんでした。
そのころの40歳代頃の私の頭では.今,準備で書いた
ようなことは常識で説明不要の用語だったので,中途
半端なところから開始したのかもしれませんが,今
読み返すと老化や却のせいか,1つ1つ意味不明の事柄
が多く,そこで定義を中心に整理したのが以上です。
※というわけで改めて本論開始です。
第1章:導入(introduction)
※[定理1]:Zを整数の集合とする。∀a,m∈Zに
ついてaとmが互いに素,つまり.a,bの最大公約数
がd=(a,m)=1であるとき,x∈Zについて
ax≡0(mod m)ならx≡0(mod m)である。
(証明)(a,m)=1により,あるp,q∈Zが存在して.
ap+mq=1とできます。そこで∀x∈Zに対し,
axp+mxq=xが成立します。
それ故,ax≡0(mod m),つまり,m/(ax)なら,
m/x.つまり,x≡0(mod m)です。(証明終わり)
※[系]C(a)がmを法とする既約剰余類:のとき,
C(a)C(x)=C(1),となるC(x)は,C(a)に対して
一意的(unique)である。
(証明)C(a)C(x)=C(1),かつ,C(a)C(y)=C(1)
とすると.ax≡1(mod m),かつay≡1 (mod m)です。
故に,a(x-y)≡0,です。したがって定理1によって
(x-y)≡0,つまり,x≡y(mod m)ですが,これは
C(x)=C(y)を意味します。(証明終わり)
※[定理2]:可換環Rの部分環Sは可換環である。
(証明)a,b,c∊Sとする。部分環であるための
条件はa-b∈Sです。a,b.cが加法,乗法に
ついて結合則,分配則を満たすのは定義から自明。
そして,a+(-a)=0∈Sより0∈Sであり,それ故,
(-a)=0-aから,(-a)∈Sです。
Rと同じ乗法で交換則も成立しその単位元eも
RとSで共通です。(証明終わり)
※[定理3]:0でない整数a,b∈Zの最大公約数を
d=(a,b)とすると,ax+by=dなるx,y∈Z
が存在する。
(証明)整数Zの部分集合:I={ax+by:x,y∈Z}
は上下に有界なので最小の正の数が存在します。
それをc∈Zとしax1+by1=cであるとします。
ところが仮定によりdはa,bの最大公約数ですから,
d/(ax1+by1)です。つまり,d/cです。
故に,dはcの約数なのでd≦cです。
他方ax=by=pc+q;ただし0≦q≦(c-1)
と書けば.a(x-px1)+b(y-py1)=qですが
cが集合Iの最小の正整数でしたから,上式右辺では
qはq=0でしかあり得ません。
よって任意のax+byがcで割り切れるので.c/a.
かつ,c/bであり,cはa,bの1つの公約数です。
故にc≦dもいえます。以上からc=dと結論
されます。(証明終わり)
※[系]a,bが互いに素:(a,b)=1ならax+by=1
となるx,y∈Zが存在する。
これの証明は1が最大条約数dなので自明です。
前後しますが,これは既に[定理1]の証明に用いました。
※[定理4]:半群Sにおいて,∀a∊Sに対してae=a
を満たす右単位元e∈Sが存在し,ax=eを満たす
右逆元x=a-1∈Sが存在するとき,eはea=aを
満たす左単位元で,a-1はa-1a=eを満たす左逆元
でもある。
(証明)まず,a-1a=(a-1a)e=a-1a{(a-1)(a-1)-1}
=a-1(aa-1)(a-1)-1=a-1e(a-1)-1
=a-1(a-1)-1=eよりa-1a=eが得られます。
故に,ea=((aa-1)a=a(aa-1)=ae=a
も成立します。(証明終わり)
※[定理5]:半群Gにおいて∀a,b∈Gに対して
常に,x,y∈Gが存在して,ax=bかつ,yb=a
なるとき,Gは群である。
(証明)bx=bを満たすx∈Gをとります。また
yb=aとなるy∈Gをとります。このときax
=(yb)x=yb=aです。したがって,このxは
∀a∈Gに対してax=aを満たします。
同様にby1=a,x1b=bなら.x1a=x1(by1)
=by1=aです。よって,∀a∈Gに対しx1a=a
が成立します。
それ故,x1x=x1=xとなり,これはGの単位元
とみなせるのでeと表わすことにします。
次に,∀a∈Gに対しax=e,ya=eとなるx,y∈G
が存在します。すると,yax=ex=x,yax=ye
=yです。故にx=yですから,これはaの逆元a-1に
他なりません。(証明終わり)
※[定理6]:有限半群Gが,
(簡約律):ax=ay⇒x=y:xa=ya⇒x=y
Gを満たすならGは群である。
(証明)G={g1,g2,..gn}とします。∀g∈Gに
対し,簡約律からggi=ggjならgi=gjです。
それ故,gi≠gjならggi≠ggjですからG
はG={gg1,gg2,..ggn}とも書けます。
したがって,∀b∈Gに対してb=ggkとなる
gkが存在します。
以上から結局,∀g,h∈Gについてgx=h
となるx∈Gが存在します。同様にして,yg=hを
満たすy∈Gの存在もいえます。よって[定理4]から
Gは群(有限群)です。(証明終わり)
※[定理7]:群Gと,その部分群Hがある。g1,g2∈G
について左剰余類:g1H,g2Hをつくると,
g1H∩g2H=φ,またはg1H=g2Hのいずれか
である。
(証明)これについては既に準備で説明済みです。
※(左)剰余類は同値律をみたすので同値類の1種です。
※目が見えぬのも含め,ブログを書く情熱も15年前に
56歳で始めたころより明らかに鈍化して惰性に近く
わずかの草稿書きも2週間もかかりました。
認知症にもならず記憶は鮮明故,50年くらい前の
無用なトラウマ(PTSD?)だけが,過呼吸に似た原因
不明の発作で,ときどき自分んにワルサをするの
煩わしい限りです。
本論の種本は1つじゃなく既に古書店から食料に
消えたらしく見つかりません。主な参考文献は
おそらく,「代数系入門か代数系の基礎」という
題名の薄い本でしたね。(つづく)
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