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2021年11月

2021年11月22日 (月)

ガロア理論の復習(5)

※2021年11月14日(日)開始→11月22日(月)

※(余談) やっと代数方程式の本題に入れる段階に

なりました。

19世紀のアーベリやガロアによる「5次以上の

代数方程式のベキ根による一般解法の不可能性」

については.物理学のアインシュタインらによる

「相対性理論」同様,高校時代に,そうしたトピック

があるのを知ってから,淡い興味を抱いてました。

40歳くらいまでの真面目な?サラリーマンの頃は

生活に追われ,毎日アルコール依存症のように飲酒を

続け,将棋や,少し余分な収入があるとオーディオや

PCなど受動的な趣味で,ストレス解消してました。

酒のセイか?39歳で糖尿病になり,42歳後半に厄年

でバブルが終わる頃,フリーター?(プータロー)となり

金無しヒマ有り,の状況になった機会に,お金が不要な

趣味の1つとして,学生時代研究者になる道もめざして

いた理論物理学や数学の専門書,啓蒙書の読書三昧を

再開したのでした。そうして,約25年以上前の昔その

課題を思い出して独学し,そのエッセンスを15年前

に本ヌログ開始の2006年に「ガロア理論」のシリ-ズ

記事として書きました。

老化もあり,どの記憶も時と共に薄れていくものです

が,他のトピックと異なり理解したツモリになってても

本当には体得してはいない曖昧な理解だったセイか?

2006年から15年の今,記憶をたどっても,結局,最初の

用語の定義からコツコツとたどるしか理解の道はない

ようです。幸い,何とか判読可能な大きさの文字の自作

ノートがあったのでね。(※ルーペでやっとわかる程度)

まあ,余談以外の内容は,死ぬ前の独居老人の自己満足

の勉強履歴.自己確認に過ぎませんが,食う寝る以外の

生きろモチベーションの1つにはなります。(余談終わり)

※さて,本題の続きです。

※第5章 体の拡大

[定義5-1](部分体,拡大体,中間体)

体Eが体Fを含むとき,つまり,集合としてF⊂E

であり,FがEで定義された2項演算(加法,乗法)で

体をなすとき,Fは「Eの部分体」であるといい,

逆に,Eは「Fの拡大体」であるという。

このとき,F⊂B⊂Eの関係にある体Bがあれば.

Bを「E/Fの中間体」という。

 F⊂Eのとき,E,および,E/Fの中間体は全てF上

のベクトル空間となる。Eがn次元空間のとき,Eは

F上有限次拡大,特にn次拡大という。

このnをEのF上の次数といい,これを記号(E/F)

で表記する。つまり,(E/F)=nと書く。

[例5-1]:mが,1より大きい整数で平方数の倍数

ではないとする。Qを有理数体(有理数集合の体)

とし,E={a+b√m:a,b∈Q}とすると,E

はQ上2次の拡大体である。

(証明)√m∈Qと仮定すると,√m=p/q(既約分数)

と書けるので.q2=mp2です。

そこで,mが,m=p1j12j2・・prjr;ただし,1≦j≦r

のjについてpは素数,と素因数分解できたとすると

2=mp2により,q2もpjを素因数に含みますが,これは

q自身がpjを素因数とすることを意味するので,結果,p2

もpj2を因数に含むため,あるpj≧2はp,qの公約数となり

p/qが既約分数であるという仮定に矛盾します。

故に,√mはQの元(有理数)では有り得ないです。

それ故,1と√mはQ上で1次独立です。つまり,

a+b√m=0ならa=b=0です。

ただし,b=0なら(a+b√m)∈Qですから,

Q⊂Eですが,a+b√mは.1と√mを基底として

Qの上で2次元のベクトル空間をなすため,EはQ

の2次の拡大体です。Eは,1と√mで生成される体

である,といわれ,(E/Q)=2です。(終わり)

[定義5-2](整域)

零因子0を持ち,自明なもの:{0}以外の可換環を

整域という。これは,整数環Zの拡張である。

[定義5-3](単項式,多項式と整式,多項式環)

不定元(文字):x,y,.のべき乗の積と係数の積で

得られる単一の文字式を「単項式」といい,単項式の

2つ以上の代数和で与えられる式を「多項式」という。

そして,単項式と多項式を総称して「整式」という。

不定元がxのみの多項式f(x)は,その有限個の係数:

0,a1,..anが,全て体Kの元である場合,具体的には,

f(x)=a0n+a1n-1..+an,という形になる。

f(x)が恒等的にはゼロではなく,最高次xnの係数が

0≠0なら,f(x)はn次多項式であるといい,f(x)の

次元はnである,あるいは,degf=nであるという。

これらf(x)全体の集合は通常の加法,乗法で可換環

をなす。これを体K上の1変数の「多項式環」と呼び,

K[x]と表記する。f(x)∈K[x]である。

特に,最高次の係数が1の1変数の多項式,つまり,

f(x)=x n+c1n-1..+cn,をモニック(monic),

または,モニック多項式という。

多項式f(x)=a0n+a1n-1..+anは,a0≠0

なら,cj=aj/a0(1≦j≦n)としてf(x)=a00(x)

0(x)=xn+c1n-1..+cnのように,モニックf0(x)

のa0倍で表わすことができる。

[定義5-5](単項イデアル整域)

Rを環,AをRの部分集合とするとき,Aを含む最小の

イデアルIを,Aで生成されるイデアルという。

生成元の集合Aの位数が有限で,A={a1,..am}と書ける

とき,Iは有限生成のイデアルであるという。

そこで,IがAによる有限生成の左イデアルなら,

I={x11+..+xmm:xj∈R}と表わすことができる。

特にイデアルIの生成元が単一のa∈Rの場合,Iが

左イデアルなら,I={xa:x∈R},Iが右イデアルなら.

I={ax:x∈R}である。

生成元がaのみのイデアルIが両側イデアルの場合には.

これを単項イデアル(主イデアル)といい,I=(a)と表わす。

Rが可換環なら,Rのイデルは,常に両側イデアルである。

可換環:Rが零因子を持ちR≠{0}のとき,Rは整域と

いわれるが,Rのイデアルが全て単項イデアルなら,Rは,

「単項イデアル整域」である,という。あるいは,

Principal Ideal Domain,である。略してPIDである,

という。

[例5-2]:Zを整数環とするとき,a,b∈Zに対して

I={ax+by:x,y∈Z}は.a,bで生成される

Zのイデアルですが,以前の章で示したようにa,b

の最大公約数をd∈Z,つまり,d=(a,b)とすると

Iの元は全てdの倍数ですから,Iは単項イデアルで

あり,I=(d)です。特にa,bが互いに素でd=1

ならば,I=Zです。

これを拡張して,I={x11+..+xmm:xj∈Z}を

考えると,これはd=(a1,..am)(最大公約数)とすると,

単項イデアルであり,I=(d)です。(終わり)

[定理5-2]:体K上の多項式環K[x]はPIDである。

(証明)IをK[x]の{0}でない任意のイデアルとする。

すると恒等的にはゼロでないIの元f(x)が存在します。

このうち,degfが最小のf(x)∈Iをp(x)とします。

このとき,∀f(x)∈Iは多項式式の除法の公式により,

f(x)=p(x)q(x)+r(x)(degr<degr)と表わす

ことができます。

以下,簡単のため,変数xを省略します。

するとf=pq+rとなりますが,f,p∈Iでq∈K

であり,IはKのイデアルなのでr=(f-pq)∈Iです。

故に,r≠0ならr∈Iがdegr<degpのゼロでない

Iの多項式となり矛盾を生じるため,r≡0です。

それ故,f=pqです。

したがって,IはI=(p)の単項イデアルです。

変数xを復活させると,I=(p(x))であり,Iは単項

イデアルですが,IはK[x]の{0}でない任意のイデアル

であったので,xの多項式環:K[x]はPIDです。

つまり,単項イデア整域です。(証明終わり)

[定義5-6](体の代数的拡大)

体Fのゼロでない1変数xの多項式f(x)を

f(x)=a0n+a1n-1..+an,とする。

これは,係数:a0,a1,..anが全て体Fの元の恒等的

にはゼロでない多項式である。

このf(x)に対して,Fの拡大体E⊃Fの1つの元α

が,f(α)=0を満たすとき, すなわち,α∈Eが,

f(α)=a0αn+a1αn-1..+an=0を満たすとき,

αはf(x)=0の根(root)であるという。

そして,こもときαは「F上代数的」である。という。

Eの全ての元がF上代数的であるとき;EはF上,

「代数的(拡大体)」であるという。

[定理5-3];EがF上,有限次なら.EはF上代数的である。

(証明)(E/F)=nとすると,EはF上n次のベクトル

空間なので,∀α∈Eのベキで構成される.Eの(n+1)

個の元:αnn-1,..,α,1は1次従属です。

故に,少なくとも1つはゼロでないFの(n+1)個の

元:a0.a1,..anを用いて,a0αn+a1αn-1..+an=0

なる自明でない1次関係式が成立します。

それ故,f(x)=a0n+a1n-1+..+an,とおけば,

f(x)は恒等的にゼロではないFの整式で,f(α)=0

なので,αは(x)=0の根となるため,αはF上代数的です。

0≠0の場合はf(x)はn次の多項式です。(証明終わり)

[定理5-4]:BがE/Fの中間体でF上有限次,EはB上

有限次のとき,EはF上有限次である。

特(に(E/F)=(B/F)(E/B)である。

(証明)(B/F)=m,(E/B)=nとします。

BはF上でm個の基底:α1,.,αmを持ち,EはB上で

n個の基底:β1,.,βnを持ちます。

このとき,i=1,m,および,j=1,.nに対する

異なる(mn)個の元;αiβjについて考察します。

ij∈F(i=1,,m,j=1,.,n)とし,関係式

Σi,j(cijαiβj)=0を考えます。

これは変形すると,Σj=1n{(Σi=1mijαij}=0

となりますが,(Σi=1mijαi)∈Bであり,β1,.,βn

はB上1次独立ですからΣi=1mijαi=0(j=1,.n)

です。すると,cij∈Fでα1,.αmはF上1次独立

なので,全てのi,jについてcij=0を得ます。

それ故,αiβj(i=1,..m,j=1,..n)はF上で,

1次独立です。

そして∀ω∈Eについて,ω=Σj=1njβj(x∈B),

,と表わすことができて,xj=Σi=1mijαi(cij∈F)

と表わせるので,結局,ω=Σi,j(cijαiβj)と書けます。

よって,mn個の独立な(αiβj)がEのF上の基底

となるため,(E/F)=mn=(E/B)(B/F)です。

(証明終わり)

[定理5-5]:EがFの有限次拡大体で,Bが中間体の

とき,EはB上,BはF上,有限次である。

(証明)EのF上の基底をγ1,..γnとすると,γ1,.,γ

はBの生成元です。何故なら,∀ω∈Eをω=Σjjγj

と展開したとき,係数cj∈F,および,基底γj∈Fは,

B⊃Fより,全てBの元でもありますから,{γj}j=1n

中で,Bにおいて1次独立な最大の部分集合は,Eの

Bにおける有限個の基底をなすからです。

それ以外のFの基底によるcijγjの各項はBに

おいては,1次従属ですから,今採用したB上の基底

の1次結合で表わせます。・

それ故,EはB上でも有限次ベクトル空間です。

また,B上の基底は,F上の基底の部分集合ですから,

ベクトル空間として,BはEの部分空間です。

(証明終わり)

[定義5-4](既約多項式,モニック)

体Kの上の多項式f(x1,.xm)が;定数ではない変数

の1次以上のKの多項式g(x1,.xm)とh(x1,.xm)の

積でf=ghと因数分解できるときfは可約であると

いい,そうでないうきは既約であるという。

そして,fが既約なら.これを「既約多項式」という。

[定理5-6]:体Fの拡大体Eの元αが,F上代数的で

あるとき,J={f(x)∈F[x];f(α)=0}は可換環

(多項式環):F[x]の{0}でないイデアルである。

J=(p(x))とすると,多項式p(x)はF上既約である。

(証明)まず,f(x)∈J,g(x)∈F[x]とすると,

g(α)f(α)=0より,g(x)f(x)∈Jですから,Jは

F[x]のイデアルです。そして,αはF上代数的なので,

恒等的には0でないf(x)∈Jが存在するためJ≠{0}

です。

次に,p(x)=p1(x)p2(x),p1(x),p2(x)∈F[x],

と因数分解できるなら,degp=degp1+degp2ですから,

1,p2が共に定数でないとき,0<degp1<degpであり,

かつ,0<degp2<degpです。

ところが,p(α)=p1(α)p2α)=0よりp1(α)=0

または,p2(α)=0です。そこでp1(x)∈J,または,

2(x)∈Jです。しかし,J=(p(x))ですから,

これはdegp1≧degp,または,degp2≧degpを意味し,

矛盾です。したがって,このような因数分解は不可能

でaありp(x)は既約です。

かくして,E⊃Fの元αが,体F上の多項式環F[x]

の根となるイデアル:J={f(x)∈F[x]:f(α)=0}

は,F上で既約な多項式p(x)で生成され,J=(p(x))

と書けるとわかりましたが,p(x)の最高次の係数がa

でa≠0なら,(p(x))=(a-1p(x))であり,a-1p(x)

は既約なモニックです。そこで,このモニックを改めて

p(x)と定義すれば,Jはモニックで生成されるイデアル

ということになります。。

以下,一般性を失うことなくJはに常にモニックで生成

されるイデアルであると見なせます。(証明終わり)

[系]:[定理5-5]のαに対するJ=(p(x))の生成モニック

p(x)は,αに対して一意的に定まる。

(証明)f(x)∈J=(p(x))ならf(x)=p(x)q(x)と

なるので,degp≦degfでありp(x)∈F[x]は,p(α)=0

を満たす既約な最低次数のモニックでですから,これが一意的

であるのは自明です。これを最小多項式ともいいます。

(証明終わり)

[定義5-7]; E⊃Fの元αが,体F上の多項式環F[x]

の根となるイデアル:J={f(x)∈F[x]:f(α)=0}

は,αに対し一意に定まるF上で既約なモニックp(x)

で生成され,J=(p(x))となるが,このp(x)の次数

がnなら,αはF上n次である,または,nはαのF上の

次数である,という。

[定理5-6]:体Fの拡大体Eの元αがF上n次のとき,

n個の元;1,α,..αn-1がF上で張る,ベクトル空間:

F(α)={c0+c1α+..+cn-1αn-1:cj∈F}は,Fの

n次の代数的拡大体である。

(証明)まず,c0+c1α+..+cn-1αn-1=0でF上の係数:

0,c1..cn-1の少なくとも1つがゼロでない場合には,,

f(x)=c0+c1x+..+cn-1n-1:とおけば.これは次数

が(n-1)以下のゼロでない多項式でf(α)=0となり,

p(α)=0を満たす最低次の多項式がp(x)でdegp=n

であることに矛盾します。

それ故,1,α,..αn-1は,F上で1次独立です。

次に,∀f(x)∈F[x]はf(x)=p(x)q(x)+r(x),

ただし,degr(x)<degp(x)=n.と表わせます。

すると,p(α)=0なのでf(α)=r(α)となります。

ところがdegr(x)≦(n-1)なので,r(x)∈F[x]は,

r(x)=c0+c1x+..+cn-1n-1,のように(n-1)次以下

の多項式で表わされます。ただし,j=1,.,(n-1)について

係数;c∈Fの少なくとも1つはゼロでないです。

それ故,結局,f(α)=r(α)=c0+c1α+..+cn-1αn-1

と書けるため,任意のf(x)に対して,f(α)∈F(α)が

成立します。そこで,F[x]からF(α)への写像Φを,

Φ{f(x)}=f(α)で定義すると,これはF[x]からF(α)

の上への準同型写像です。

そして,f(α)=0ならr(α)=0 ⇒c0=c1=..=cn-1=0

なので,多項式としてr(x)≡0より,これはf(x)がp(x)

で割り切れて,f(x)=p(x)q(x)(q(x)∈F[x])となる

ことを意味します。

そこでΦ{f(x)}=f(α)=0は,f(x)∈(p(x))と同値

です。故に,Φの核:kerΦ={f()∈F[x]:φ{f(x)}=0}

が,イデアルI=(p(x))に等しくなります。

したがって,準同型定理により,Φから誘導される

{F[x]/(p(x))}からF(α)の上への同型写像;Φ~が存在

します。つまり,Φ~{C(f)}=Φ{f(x)}=f(α)∈F(α)

で定義されるΦ~はF(α)の上への同型です。

多項式環F[x]のイデアルI=(p(x))による剰余類を

C(f)と書けば,C(0)=C(p)=(p()x))が剰余類零元で

あり,C(f)≠C(0)なら,p(x)が既約故,f(x)とp(x)は

互いに素です。

よって,f(x)q(x)+p(x)r(x)=1を満たす

q(x),r(x)∈F[x]が存在してC(fq)=1であり

C(f)C(q)=1より,C(q)が,C(f)の乗法の逆元

{C(f)}-1です。F[x]/(p(x))-{C(0)}が単位元と

逆元を持ち,乗法群をなすため,F[x]/(p(x))は,

体をなすとわかります。

よって,これに同型なF(α)も体をなし.これはn個の

独立な元で張られるベクトル空間ですから,結局,F(α)

はFのn次の代数的拡大体です。(証明終わり)

[定理5-7]:F上のn次の多項式はFの拡大体Eにおいて,

高々n個の根を持つ。

(証明)f(x)∈F[x]が(n+1)個の根α12,..αnn+1

を持つとすると,f(x)は,(x-αj)(1≦j≦(n+1))

なる因数を持つxのn次式なので.1≦j≦nの因数を

採用してf(x)=a(x-α1)(x-α2)・・(x-αn)

とすると,これは,さらにf(αn1)=0を満足します。

すなわち,a(αn+1-α1)(αn+1-α2)・・(αn+1-αn)=0

です。そこで.もしもαn+1≠αj(1≦j≦n)ならa=0

が必要条件で,f()≡0となりf(x)がn次でsるという

仮定に矛盾します。

それ故,(n+1)個のα12,.αnn+1の全てが異なる

わけではないので,異なる根の数はn以下です。

(※体Fが複素数体Cなら代数学の基本定理から少なくとも

1つの根α∈Cが存在して(x-α)という因数を持つこと

から,帰納的に,n次多項式がCにn個以下の根を持つのは

自明なのですが,抽象的な体Fの上では.事情が違います。)

(証明終わり)

[例5-3]:Qを有理数体とするとき,(Q(3√2)/Q)=3である、

(証明)(3√2)はQ上で既約な3次多項式(x6-2)の根です

から,(Q(3√2))/Q)=3であり,Q(3√2)の,Q上の基底は,

1,3√2,,3√22の3つです。(終わり)

[定義5-7](添加された拡大体)

F(α)を体Fにαを添加した体という。

F上代数的な有限個の元:α12,..αmがあるとき.

Fに.順に,これらの元を添加した体の拡大列として,

F(α1)⊂F(α12)⊂…⊂F(α12,..αm)を

得ることができる。

[定理5-8]:F(α12,..αm)は,F上代数的拡大体

である。すなわち,この体の元はF上のある代数方程式

の根である。

(証明)まず,F(α)はn個の基底:1,α,α2,.,αn-1

張られるn次元ベクトル空間で,しかもFの拡大体です。

そこで,[定理5-3]でEが(E/F)=nのFの拡大体

なら,α∈Eのとき(n+1)個の元:1,α,α2,.,αn-1n

は1次従属なので,f(x)=c0+c1x+..+cnnは,

f(α)=c0+c1α+..+cnαn=0という自明でない

関係式を満たすため,αは恒等的にはゼロでないn次

以下の多項式f(x)の根となるという証明をしたもと

同様に,F(α)はF上のn次元ベクトル空間であり,

γ∈⊂F(α)なら,F(α)も体なので,1,γ,..γn-1n

も全てF(α)の元であり.1次従属なのでg(γ)=0を

満たすn次以下のg(x)∈F[x]が存在してγはF上

代数的であり,故に,F(α)はFの代数的拡大体です。

そこでまず,F(α1)はF上有限次で代数的です。

同様にF(α12)はF(α1)上有限次代数拡大です。

{F(α12)/F}={F(α12)/F(α1)}{F(α1)/F}

より,結局,F(α12)はF上でも有限次拡大です。

後は,これを繰り返せば,帰納的にF(α1α,α2,..α)

はF上の有限次代数的拡大体であることがわかります。

(証明終わり)

[例5-4]:ωを1の立方根とすれば,Q(3√2,ω)を考える。

[例5-3]で見たように{Q(3√2)/Q}=3です。

また,ωはQ上x2+x+1=0も根ですからQ上2次で

Q(3√2)上でも高々2次です。

実際にはx2-x+1は,Q(3√2)上でも2次ですから

{Q(3√2,ω)/Q(3√2)}=2なので,{Q(3√2,ω)/Q}=6

と結論されます。(終わり)

[定理5-8]:体Fの多項式;f(x)∈F[x]に対して,

f(x)=a(x-α1)(x-α2)・・(x-αn)(αj∈E)

のように,f(x)のxの1次式の積への分解が可能になる

Fの拡大体Eが存在する。

(証明)f(x)の既約因子p(x)をとる。

変数tの多項式環F[t]のp(tによる剰余体Kを

K=F[t]/(p(t))で定義しgます。

Kにおいて,F[t]の元g(t)の剰余類を{g(t) mod p(t)}

と表わすことにします。

a∈Fのとき,aに{a mod p(t)}∈Kを対応させると

体Fから体Kの中への写像で同型対応が得られます。

a∈Fを{a mod p(t)}∈Kと同一視するとF⊂Kです。

そして,F上の多項式はKの部分体と考えたFの多項式と

考えられます。特に,Kの元{t mod p(t)}をα1と表記

すればKの元としてp(α1)=0となります。

つまり,p(α1)={p(t) mod p(t)}=0です。

それ故,K内の既約多項式として,p(x)=(x-α1)

×p1(x)と書けます。

p(x)はf(x)の既約因子であったので,f(x)は,

f(x)=(x-α1)f1(x)(f1(x)∈K[x])となり

1(x)の既約因子は,また,Kの適当な拡大体をとると

1(x)=(x-α2)f2(x)となり.帰納的に,Fの拡大体

Eが存在して,f(x)=a(x-α1)(x-α2)..(x-αn),

a∈Fa≠0;αj∈E(1≦j≦n)とできます。(証明終わり)

[定義5-8](分解体)

上記[定理5-8]の,f(x)の全ての根を含む拡大体:

E=F(α12,..,αn)をf(x)の分解体」という。

※途中ですがキリもいいし今回は,ここで終わります。

(つづく)

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2021年11月13日 (土)

ガロア理論の復習(4)

※2021年11月4日(木)開始→11月13日(土)

※(余談)最近,日コロナ感染者数が日本だけ,急減

しました。何ら,行政の特別な施策もなく自然消滅

も疑問ですが,専門家の一部たるマスコミ医者,御用

医者も,明確な原因解明ができず,またもや日本人

特有のファクターXとか,危機は最悪を想定して

煽る方が安全とはいえ.根拠不明なのにインフル

が大流行するとか,飲み屋の議論や井戸端会議の

レベルの話を,占い師,予言者のように,偉そうに

TVなどでコメントしてると感じてます。

選挙も終わり,札束で頬をたたくとか.動物

の調教のように,エサで釣ってマイナンバー

カード申請を促すというような人をバカにした

政策も進んでいるようです。どうせ財源は国債

か税金ですから,ツケはどこに行くのかな?

そもそも,カードなどなくてもマイナンバー

という国民背番号は,既に全員に賦与されてます

から,重要な個人情報をデータベースでホスト

のコンピュータ(+バックアップ)にでも蓄積して

おき,それが必要な時と場所で,顔や指紋などで

認証すれば,間違うことなく彼,彼女の番号と

データをオンラインで自動照合できるはずです。

人口14億の中国のように,上海.北京のような

大都市を中心にキャッシュレスで企業の購買情報

も本人認証データも国家政府に把握され.監視カメラ

も4億以上設置されて屋外の個人行動は丸裸にされ,

危険人物,団体と見られると口座をロックされたり

投獄されたりする監視社会がすでに実現している

らしいです。

情報を握っている権力が独裁的強権的なら警察

監視社会の危険性が常にあります。

DNAを登録して認証できれば本人認証の誤認は

ないでしょうが.顔.指紋,DNを全員把握されれば

例えば犯罪を捜査する警察が自由に無断で活用

できるなら.大喜びでしょう。

というわけで,セキュリティ意識が甘くデータ

漏洩が頻繁で,平気で汚職したり証拠隠蔽する

「白アリ」とも称される日本の公務員にどこまで

の個人情報を委ねられるか?使用も監査できるか

疑問です。

問題がクリアされず,信用を得られてないの

に一時のエサにかかる人どれだけいるのかな?

エサでももらえれば,それなりですが。。

(余談終わり)

※本題の続きです。

※第3章 環とイデアル

[加群の定義]:体Kの上での(左)加群Gとは,Gが加法

と見なせる演算で可換群をなし,さらに∀g∈Gに対し

Kの元:cによる(左)スカラー倍:(cg)が定義されて

(cg)∈Gを満たす(右加群なら(gc)∈Gを満たす)

場合に,Gを「(左)加群」という。また,Gの部分群で,

スカラー倍でも閉じているものを部分加群という。

(↑※K上の加群とはK上のベクトル空間(線形空間)

のようなものである。)

[イデアルの定義]:環Rの部分環I⊂Rで.その元の

加法については,IはRの部分加群をなし,∀x∈Iに

対して∀a∈Rの左からの積がIに属する:ax∈I

を満たすものをRの「左イデアル(left ideal)」他方,

右からの積がIに属する:xa∈Iを満たすものをR

の「右イデアル(right ideal)」という。

Rが可換環であれば.Rの左右の両イデアルは一致

するので,単に「イデアル」という。

このとき,a,b∈Rがa~bなる関係にあること,この

関係:~を(a-b)∈Iとなることと定義すると,これは

1つ同値関係です。この関係による同値類の集合は.

剰余環(商環)と呼ばれる環を形成し,これを(R/I)と

表記する。

[定理3-1]:L(n.F)={n次行列:A=(aij)|aij∈F}

(Fはある体)は,環をなすが,これには真の両側イデアル

は存在しない。(※Rの真のイデアルとはI=RとI={0}

という自明なイデアル以外のイデアルIを指す。)

(証明)L(n,F)が数体Fの上で環であることは行列の

和と積(加法と乗法)の定義から自明です。

L(n,F)の両側イデアルが存在するとして.その任意

のイデアルをIとし,I≠{0}であると仮定します、

このとき,Iのゼロでない元をA=(aij)とします。

ただし,このAでは,特定の行iと列jの要素;(i,j)

=(l,m)成分の要素については,aij=alm=0である,

と仮定します。

次に,行列Elmを,(l,m)要素成分だけが1で残りの

全ての要素がゼロのn次行列とします。

つまり,(Elm)ij=δilδjm(i,j=1,..n)とします。

このとき,(EllAEmm)ij=Σλσδilδλlλσδσmδjm

=almδilδjmです。

故に,alm≠0とすると,alm-1(EllAEmm)=Elmです。

ところが,仮定により,Iは両側イデアルなのでAの

左右からのn次行列の積のスカラー(alm^-1)倍もIの元

です。したがって,alm≠0なる∀l,mに対してElm∈I

となります。すなわち,∀i,jについてEij∈Iです。

∀A∈L(n,F)に対してA=Σijijijと書ける

のでA∈Iです。

何故ならイデアルIは,F上の加群でもあるため,

右辺のEij∈IのFの元による線形和もまたIの元

です。

結局,A∈IよりL(n,F)⊂IですからI=L(nF)

であり,Iは環全体に一致し,また,I≠{0}なのでIは

真イデアルではないことがわかります。(証明終わり)

※[定理3-2]:φが環Rから環R~の中への準同型写像

であるとき,Rの部分環Sの像:φ(S)={φ(x):x∈S}

はR~の部分環である。

また,φがR~の上への準同型写像のとき,Rのイデアル

Iの像:φ(I)={φ(x):x∈I}は.R~のイデアルである。

(証明)φは加群としても準同型ですから.φ(S)も加群

としてR~の部分群であるのは自明です。

そして.∀x,y∈Sに対してφ(x)φ(y)=φ(xy)

∈φ(S)(準同型)なので,φ(S)は乗法についても閉じて

います。

次に,IがRの(左)イデアルで,s∈Iでφ(s)∈φ(I)

とします。このとき.φがR~の上への写像なら,∀r~∈R~

に対してr∈Rが存在してr^=φ(r)となるため,写像φ

の準同型性から,r~φ(s)=φ(r)φ(s)=φ(rs)です

が.Iは(左)イデアルなので,(rs)∈Iにより,

φ(rs)∈φ(I)です。それ故.∀s∈Iに対し,∀r~∈R~

でr~φ(s)∈φ(I)が成立するため,φ(I)はR~の

(左)イデアルです。(証明終わり)

[定理3-3](環の準同型定理)

 φが環Rから環R^の上への準同型写像のとき,

I={z∈R:φ(z)=0~}(~0はR~の単位元)はR

の両側イデアルである。そして.剰余環(商環)(R/I)

の元C(x)に対して,φ~(C(x))=φ(x)とする写像

をφ~とすると,φ~は(R/I)からR~の上への同型写像

である。ただし,Iはφの核と呼ばれるイデアルであり,.

I=kerφと表わされる。

(証明)まず,I=kerφは,Rの部分加群です。

何故なら,∀x,y∈Iに対して,φ(x-y)

=φ(x)-φ(y)=0~により,(x-y)∈Iであり,

また,x∈I,r∈Rに対し,φ(rx)=rφ(x)=0~

より,(rx)∈Iであるからです。

さらに,x,y∈Iに対してφ(xy)=φ(x)φ(v)

=0~なので,(xy)∈Iですから,Iは乗法についても

閉じています。それ故,IはRの部分環でもあります。

そしてz∈I,x∈Rならφ(xz)=φ(x)φ(z)=0~

により,(xz)∈Iであり,同様に(zx)∈Iなので.I

はRの両側イデアルです。

IはRの部分加群ですから,群の準同型定理によれば,

φ~は商群(R/I)によって,φから誘導される写像です。

故に,これは(R/I)から加群R~の上への同型写像です。

何故なら,Rを加法群とみたとき,群は可換群なので

部分群は常に.その正規部分群であるからです。

乗法では.φ~{C(x)C(y)}=φ~{C(xy)}=φ(xv)

=φ(x)φ(v)=φ~{C(x)}φ~{C(y)}で,積の準同型性

が保持されます。さらにRが乗法の単位元1を持つ場合は,

φ~{C(1)}=φ(1)=1~(R~の乗法の単位元)です。

以上から,φ~は加法,乗法で共に(R/I)からR~の上

への同型写像です。(R/I)~R~(同型)と表わされます。

(証明終わり)

[R加群の定義]:Rを乗法に関する単位元:1を持つ可換環

とする。このとき,加群MがR上の加群であることを,Mは

R加群である。という。

いい換えると,MがR加群であるとは∀x∈Rと

∀a∈Mに対し,xa∈Mであり,次の3条件を満たす

ことである。すなわち,∀x,y∈R,∀a,b∈Mに対し,

(1)x(ya)=(xy)a(結合則)

(2)(x+v)a=xa+va(分配則1)

(3)x(a+b)=xa+xb(分配則2)の3条件です。

[定理3-4]:加群Mに対して,MからMの中への準同型写像

の全体をEnd(M)とするとき,f,g∈End(M)に対して

(f+g),fgを,次のように定義する。

すなわち,∀a∈Mに対し(f+g)(a)=f(a)+g(a),

(fg)(a)=f[g(a)](合成写像)と定める。

このとき,R=End(M)は,単位元を持つ可換環であり,

Mは,R加群である。

(証明)f,g∈R,a,b∈Mに対して,(f+g)(a+b)

=f(a+b)+g(a+b)={f(a)+g(a)}

+{f(b)+g(b)}=(f+g)(a)+(f+g)(b)で,,

(fg)(a+b)=f[g(a+b)}=f[g(a)+g(b)]

=f[g(a)]+f[g(b)]=(fg)(a)+(fg)(b)

ですから(f+g),fgも準同型であり(f+g)∈R,

かつ,fg∈Rです。また,(f-g)∈Rも同様です。

eを恒等写像:e(a)=aとすれば,eがRの乗法の

単位元となることは自明です。

さらに加法,乗法の結合則,分配則も成立し,加群と

しての単位元である零元:0∈R.および,fの逆元:

(-f)∈Rも存在するため,R=EndM)は乗法の単位元

を持つ環です。そこで∀a∈Mに対してf∈Rとの積

をaf=f(a)∈Mと定義すれば,MはR加群の条件を

満たしています。(証明終わり)

[定理3-5]:MをR加群とするとき,x∈Rに対してMの元

(xa)を対応させると,MからMの中への準同型写像として

xを得る。これは,a∈Mに対しf(a)=xa∈Mとする

写像である。そこで,Φをx∈Rをfxに対応させる写像と

すると,これはRからEnd(M)の中への準同型写像である。

このとき.Φの核をI=kerΦ={Φ(x)=0 }とする。

ただし,φ(x)=0の0は,xa=0 (for ∀a∈M)なる写像

であり,End(M)の元fx=xa=0なる零写像を意味する。

すると(R/I)は,End(M)の部分環:Φ(M)に同型である

ことがわかる。すなわち,Φから誘導される(R/I)からΦ(M)

への写像Φ~は,Φ~(xI)=Φ(x)=fで与えられ,これは

(R/I)からEnd(M)の部分環;Φ(M)の上への同型である。

そこで,これをΦ(M)~(R/I)(同型)と書く。

a∈Mなら,x∈Rに対し(xI)を同値類記号C(x)で

表わせば,写像としてΦ~{C(x)a}=f(a)である。

つまり,C(x)a=xaと定めることにより.R加群M

が,(R/I)加群であるとも考えられる。

(証明)これは群Gと部分群Nによる商群,環RとイデアルI

による商環についての準同型定理と同様な命題であり,証明

はそれらと同じなので.ここでは割愛します。(終わり)

※R加群;Mは実質的には上記定理のような加群です。

[R部分加群の定義]:R加群Mの部分群Sが,またR加群

であるとき,SをR加群の「R部分加群」である,という。

1,a2,..an∈Mのとき,係数x1,x2,.xn∈Rを持つ

線型関係:(x11+x22+..+xnn)の元の全体集合は

R部分加群である。

※これをa1,a2,..anの生成するR部分加群という。

[定理3-6];MをR加群,SをそのR部分加群とする。

このとき,剰余加群(M/S)もR加群と見なせる。

(証明)r∈Rであり,m∈MでC(m)∈(M/S)のとき,

rC(m)=C(rm)と定義すると,Sは加群なので

C(m~)=C(m)は(m~-m)∈Sを意味するため

r(m~-m)=(rm~-rm)∈Sです。

つまり,C(rm~)=C(rm)となり,C(m)∈(M/S)

なら,rC(m)∈(M/S)なので,(M/S)もR加群です。

(証明終わり)

[定理3-7](R加群の準同型定理)

φをR加群MからR加群M~の上へのR準同型写像φと

する。つまり,通常の準同型@φ(x+y)=φ(x)+φ(y),

および,φ(xy)=φ(x)φ(y)(x,y∈M)なるち性質に

加えて,r∈Rに対してφ(rx)=rφ(x)を満たす写像

とする。φをMからM~への加群としての準同型と見たとき

の核を,I=kerφ={z∈M:φ(z)=0~}とすると,核Iは.

R部分加群であり,φはR加群(M/I)からR加群M~の

上へのR準同型写像;φ~を誘導する。

(証明)∀z1,z2∈I,に対して,φの準同型性によって,.

φ(z1―z2)=φ(z1)-φ(z2)=0~より(z1-z2)∈I

なので,IはMの部分加群です。

次に,z∈I,a∈Rとするとφ(az)=aφ(z)=0~

より,(az)∈Iなので,IはMのR部分加群です。

剰余群(M/I)の元C(a)=aI(a∈M)に対して

φ~{C(a)}=φ(a)とすると.φ~は加群(M/I)から

加群M~の上への同型写像です。(群の準同型定理)

さらにx∈Rとするとφ~{xC(a)}=φ~{C(xa)}

=φ(xa)=xφ(a)=xφ{C(a)}­が成立するので,

φ~はR同型写像です。(証明終わり)

[Hom(MM)の定義]:Hom(M,M~)をR加群MからR加群M~

へのR準同型写像の全体集合とする。

φ12∈Hom(M,M~)に対してa∈Mのとき,加法と乗法

を(φ1+φ2)(a)=φ1(a)+φ2(a),および,(φ1φ2)(a)

=φ1(a)φ2(a)で.それぞれ,(φ1+φ2),および,(φ1φ2)を

定義する。

※Hom(M,M~)がR加群となることは,証明するまでもなく

明らかなことです。

[G加群の定義]:Mが群G上の加群であるとき,MをG加群

という。すなわち,∀g∈G,∀a∈Mに対して(ga)∈M

であり,a∈M,g,h∈Gに対しg(ha)=(gh)aが成立,

し,eをGの単位元とするとea=aとなるとき,MはG加群

である。

 

第4章 体とベクトル空間(線形空間)

[体の定義]:これについては,本シリーズ記事(1)の第0章で

記述したものを再掲します。

集合Kの上で乗法(・)と加法(+)という2種の2項演算

が定義されており,加法では(K,+)が可換群をなし,その

単位元を0(ゼロ)と書き零元と呼ぶ。また,この0を除く集合

×=K-{0}は,乗法について群をなし,この乗法群の単位元

eは1と書くこともある。このとき,任意のKの元:a,b,c

について,分配則:a・(b+c)=a・b+a・cが成立する

なら,(K,・,+)の組を「体(field)」という。特に乗法

についても可換なら,Kを「可換体」という。

[K加群の定義]:Mが体K上の加群なら,MをK加群という。

Mが加法について可換群をなし,Kの元によるスカラー倍

が定義されて閉じたK上の線形空間となるものをK(左)加群

というのである。K加群はK上のベクトル空間と同義です。

[ベクトル空間の定義]:これは省略して既知とします

(↑※詳細は線型代数学のテキストを参照されたい。)。

[定理4-1]:体K上のm個(m≦n)の同次連立方程式:

i=Σj=1nij)=0(i=1,..m)(1)の解;(xj)

の全体は,K加群:Knの中で,部分空間Sをつくる。

※Knは,体K上のn次元ベクトル空間全体を意味し,

Sは.そのm次元の線形部分空間であるという意味

です。さらに,非同次方程式Li=Σj=1nij=bi.(2)

(i=4,..,m)が解を持てば,解(yj)の全体はKのSに

よる1つの剰余類をつくる。

(証明)Sは(1)の解集合ですからx,x~∈Sとすると,

Σj=1nij(x-x~j)=0 (i=1,..m)が成立するので,

(xj-x~j)∈Sです。さらにλ∈KならΣj=1nij(λx)

=0(i=1,..m)により,(λxj)∈Sです。SはLK群:

nの部分集合ですから,これらにより,SはKnの線形

部分空間です。

次に,(2)の解全体の集合をMとして,y,y~∈M

とすれば,Σj=1nij(y-y~j)=0(i=1,..m)が

成立します。そこで(yj-y~j)が(1)の解となるため,

(yj-y~j)∈Sです。

これは,Mが(M/S)の剰余加群の1つの同値類である

ことを意味します。(証明終わり)

[定理4-2]:体F上のベクトル空間:Vの部分空間をWと

する。剰余加群(V/W)の元C(v)とx∈Fに対して,

C(xv)=xC(v)と定めると,(V/W)は,体F上の

ベクトル空間となり,dim(V/W)=dimV-dimWを

満たす。※このとき,(V/W)をVの剰余空間という。

(証明)C(v~)=C(v)のとき.(v~-v∈Wですから,

x∈Fなら{x(v~-v)}∈Wです。

故にC{x(v~-v)}=0なのでC(xv~)=C(xv)

です。

それ故,C(xv)=xC(v)という定義は一意的です。

ここで,dimW=m,dim(V/W)=rとして,Wのm個,

および,(V/W)のr個の基底をそれぞれ,w1,..,wm,

および,C(v1),..C(vr)とします。

Vの元がv=x11+..+xmm+y11+..+yrr

と表わせるとすると,w∈Wを含む加群(V/W)の元,,

つまり,同値類はC(0)=0+Wで,加群(VW)の零元です。

つまり:C(w)=C(0)=0ですから,j=1,..mの全て

において,C(wj)=0です。よって,上記のvの同値類は

C(v)=y1C(v1)+..+yrC(vr)と,r個の(V/W)の

基底の線型結合で表わされます。

それ故,v=0なら.C(v)=0なのでy1=..=yr=0であり

,故にx1=..=xm=0が従います;

以上から,w1,..wm,v1,..vrは全て独立であり,Vの

基底となり得ます。何故なら,∀v∈Vについて同値類は,

C(v)=y11+..+yrC(vr)と書けるので,wを

w=v-(y1(v1+..+yrr)と定義すれば,C(w)=0

により,w∈Wです。

w=x11+..+xmmと表わせるため,∀v∀Vが,

常に,v=(x11+..+xmm)+(y11+..+yrr)の形

に表わせるからです:

したがって,dimV=(m+r),つまり,r=dim(V/W)

=dimV-dimWを得ます。(証明終わり)

[定理4-3]:V,Wを体F上のベクトル空間とする。

そしてφをVからWへの準同型写像する。

このとき,V0={v∈V:φ(v)=0}とすると,(V/V0)

はVの部分空間であり,V0による剰余空間(V/V0)からW

の上への同型写像φ~が誘導される。

そして,dimV=dimW+dim(V/V0)である。

(証明)v1,v2∈V0のとき,φ(v1+v2)=φ(v1)+φ(v2)

=0より,(v1+v2)∈V0,また,v∈V0,x∈Fなら,φ(xv)

=xφ(v)=0なので,(xv)∈V0,よってV0はVの部分空間

です。V0はφの核kerφですから,すぐ前に示したF加群の

準同型定理により,(V/V0)からWの上への同型写像φ~を,

φ~{C(v)}=φ(v)で,φから誘導される写像として与える

ことができます。そして,,dimV=dimW+dim(V/V0)です。

(証明終わり)

[定理4-4]:Lを非可換環Rの左イデアルとする。

このときI={x∈R:xL=0}はRの両側イデアルである。

(証明)z∈L,a,b∈Iなら(a±b)z=az±bz=0

,それ故,(a±b)∈Iです。また,(ab)z=0から

(ab)∈,Iです。,故にIは環Rの部分環です。

次に,∀z∈Lに対してLはRの左イデアルですから

x∈Rに対して(xz)∈Lです。

一方,a∈Iなら.任意のLの元zについて(az)=0

です。故にa(xz)=0です。

以上から(xa)z=0,かつ.(ax)z=0なので

(xa)∈I,かつ.(ax)∈Iとなり,Iは両側イデアル

です。(証明終わり)

[定理4-5]:体Kから環Rへの準同型写像は零写像か,

または,同型写像でぁる。

(証明)φを,体Kから環Rへの(環)準同型写像とします。

φの核:I=kerφ={a∈K:φ(a)=0}はKのイデアル

です。何故なら,a∈I,x∈Kなら(φ(xa)=xφ(a)

=0により(xa)∈Iであるからです。

ところが,体Kのイデアルは,K自身か,{0}です。

何故なら,a∈Iならaa≠0の場合は逆元.a-1

が存在して 1=(a-1a)∈Iですから.∀x∈K

に対して,x=(x・1)∈Iですが,0∈Iですから

K⊂Iです。他方,a≠0のa∈Iが存在しない

ならI={0}です。

そこで,K⊂Iの場合は.I=kerφ=Kで,φ(K)

={0}なので,φは零写像であり.他方,I=kerφ={0}

の場合は.K=(K/I)~Rで,φは,Rの上への同型写像

です。(証明終わり)

[定理4-6]:非可換環Rの有限個の両側イデアを.

1,I2,..Imとする。R=I1+I2+..+Im

のとき.i≠jなら(Iij)=0である。

(証明)あるi,j(i≠j)についてα≠0,かつ,

α∈(Ii∩Ij)とすると,0∈Rは,0=0+0+.+0,

または,0=0+..+α+0+..+(-α)+.++0と

なり,,直和分割が一意的でないという矛盾です。

それ故,i≠jなら(Ii∩Ij)={0}です。

そして,Ii,Ijは両側イデアルなので(IiIi)⊂Ij,

かつ,(Iij)⊂Iiですから,(Iil)=0です。

(証明終わり)

[定理4-7];φを環Rから環R~の中への準同型写像

とする。I~をR~の両側側イデアルとするとφ-1(I~)

はRの両側イデアルである。

(証明)まず,I=φ-1(I~)とおきます。.

そこで,a∈I,x∈Rなら,φ(a)∈I~であり,,

φ(xa)=φ(x)φ(a)ですが.φ(x)∈R~であり

I~はR~の両側イデアルですからφ(xa)∈I~と

なるため.(xa)∈Iです。

同様に,φ(ax)=φ(x)φ(a)∈I~より,

(ax)∈Iです。したがって,IもRの両側イデアル

です。(証明終わり),(

※途中ですが,今日はここで終わります。(つづく)

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2021年11月 3日 (水)

ガロア理論の復習(3)

※2021年10月25日(月)開始→11月3日(水)

※(余談):何かコロナウイルス自滅仮設が現実に

なったかのようです。私は数万人に1人くらいの

特異体質を自認していて医師の余命宣告も不発です

から.如何なるワクチンも拒否していますがそれでも

何とか生きています。

今は大谷翔平君,大坂なおみちゃん,渋野日向子

ちゃんのニュースのみ期待してます。選挙結果

もほぼ予想通りでした。投票に行く人が保守的な

日本人的な人達です。アウトサイダーには競馬

予想のような興味だけです。(余談終わり※)

※さて本論の続きです。

※Gが可換群なら乗法でなく加法で置き換えても

議論は「同じです。その場合,単位元は0で巡回群

は,<a>={0,a,2a,.}であり,位数がqの有限

巡回群ではa≠0なら,qをqa=0を満たす最小

の自然数として<a>={0,a,..(q-1)a}です。

(※例えばmod qの整数,つまりqで割った剰余の集合

をGとすると,G={0,1,.,(q-1)}であり,これは

加法群としては,巡回群<1>であり,q・1=q=0です。)

また,Gが部分群:H1,..,Hmの直積で表わせる場合も

Gが可換群なら乗法の積を加法の和に置き換えが可能で

直積;G=H1×H2×,,×Hmは,直和G=H1+..+Hm

=Σi=1miと,解釈できます。

[定理2-5];(基本定理):任意の有限生成の可換群Gは

巡回部分群:H1,..Hmの直積で書ける。ただし,mは

ある極小な生成系の元の個数である。

(証明)まず,1個の生成元のm=1ならG=H1=<h1

であり,定理の成立は自明です。

そこで,(m-1)個の生成系では定理が成立すると

仮定します。

極小な生成系の全ての自明でない1次関係で

係数に最小の正数が現われるものを,

11+..+xmm=0..I1)とします。

ただし,hi∈G.xi∈Z(i=1,2,..m)です。

一般性を失うことなく,xj(1≦j≦m)のうちで,

1が最小の正の数であるとすることができます。

他方,任意の関係式y11+..+ymm=0,(2)

i∈Z(1≦i≦m)をとると,x1/y1,つまり,x1

1の約数です。

何故なら,y1=qx1+r(0≦r<x1)なら,(2)から

(1)×qを,辺々引くと,rh1+..+(ym-qxm)hm=0

となり,もしもr>0ならrが最小の正整数x1よりも

も小さい正整数となり矛盾が生じるので,r=0でしか

あり得ないからです。

また,(1)において,x1/xj(2≦j≦m)でもあります

何故なら,例えばx2=qx1+r(0≦r<x1)ならm個

の生成系を(h1+qh2),h2,..hに変えれば,(1)式は,

1(h1+qh2)+rh2+..+xmm=0と書き直せます。

それ故,左辺のh2の係数rが正ならx1の最小性に矛盾

するため,やはり.r=0です。

したがって,x2=q21,..xm=qm1と書けるので

(1)はx1(h1+q22+...+qmm)=0を意味します。

 そこで,h~1=h1+q22+..+qmmとおけば,h~1

も極小生成系の1つであり,x1h~1=0なのでx1が最小

の正整数であることから,これは位数がx1の巡回部分群

<h~1>を構成することに同義です。

ここで,z1h~1+z22+..+zmm=0(z∈Z)

(j=2,..m)を.生成系:h~1,h2,..hmの間の任意の関係

とすると,前のx1/y1を導いたのと同様にして,x1/z1

得ます。それ故,x1h~1=0からz1h~1=0となります

から,先の任意の関係式がz22+..+zmm=0に帰着

します。

そこで,(m-1)個のh2.,..hmによって生成される

Gの部分群をG2とし,一方.巡回部分群<h~1>をG1

と書けば,群Gは,G=G1+G2(G1∩G2={0})と直和

で表わせます。

ところが,帰納法の仮定によりG2は(m-1)個の

巡回部分群の直積(直和)ですから,これとG1

合わせたG=G1+G2は.m個の巡回部分群の直積

(直和)です。(証明終わり)

[定理2-6]:単位元以外の元の位数が2の群は可換群

である。

(証明)定理に仮定された群をGとします。

∀σ,τ∈G(σ≠e,τ≠e)に対して.σ2=τ2=e,

かつ,(στ)2=στστ=eです。

最後の式στστ=eの両辺に左からσ,右からτ

を掛けると,τσ=στを得るのでGは可換群です。

(証明終わり)

[定理2-7]:巡回群Gでは,部分群H,および,商群

(G/H)も巡回群である。

.(証明)H={e}=<e>ならHは位数1の巡回群で,

G/H=G/{e}={a{e}:a∈G}={a∈G}=G

なので,商群(G/H)にも定理の成立は明らかです。

また,H=GならH=Gは巡回群であり,商群は

G/H=G/G={aG:a∈G}={G}で,これは単位元

G=Hのみが元の,位数1の巡回群です。

次にHがG=<a>(a≠e)の自明でない部分群

なら,Hの元は全てam(m∈Z)の形です.a≠eより,

d∈Hとなる最小の正整数dをとりm=qd+r

(0≦r<d)とすると,ar=a(m-qd)=(am)(ad)-1∈H

となるため,r>0であるとdの最小性に反するので

r=0です。それ故,m=qdですから,常にam=(ad)

となり,Hは巡回群<ad>であることがわかります。

そして,(G/H)の元はanH(n∈Z)で,これは(aH)n

に等しいので,(商ふんもG/H)=<aH>の巡回群です。

(証明終わり)

[定理2-8]:p.qを相異なる素数とする。

G={pmn;m,n∈Z}なる可換群は巡回群ではない。

(証明)p=p10,q=p01よりp.q∈Gです。

[定理2-7]より可換群Gは巡回部分群の直積で

書けますが,Gの生成元はp,qであり明らかに

G=<p><q>です。

<p>も<q>もGの部分群ですが,前定理

から,Gが巡回群<a>なら部分群はH=<ad

となりますが,a=pnに対し,ad=(pmn)d

=p(d>0)となるのはmd=1,n=0のみであり,

d=(pmn)d=qとなるのはnd=1,m=0のみ

です。これは,素数p,qでは不可能ですからGは

巡回群ではあり得ません。(証明終わり)

(系)有理数体Qの乗法群:Q×=Q-{0}は巡回群

ではない。

(証明)有理数体の集合Qは,整数Zとの直和

で,Q=Z+{pq1:p,qは素数}と表わせて.

×=Q-{0}は,乗法について可換群をなします。

そこで,G={pmn;m,n∈Z}は,Q×の1つの

部分群です。もしもQ×が巡回群ならその部分群

Gも巡回群ですが.定理によってGは巡回群では

ないのでQ×も巡回群ではないです。(証明終わり)

[定理2-9]:Hを群Gの部分群とし,x∈Gとする

とき,(x-1Hx)もGの部分群である。

※(x-1Hx)をHに供役な部分群といいます。

(証明)∀x-11x,x-12x∈(x-1Hx)に対して

(x-11x)(x-12x)-1=x-1(h12-1)xですが

1,h2∈HでHがGの部分群なのでh12-1∈∈H

ですから,(x-11x)(x-12x)-1∈(x-1Hx)です。

したがって.x-1HxもGの部分群です。

(証明終わり)

[定理2-10]:可換群Gにおいて,有限位数の元全体は

Gの部分群をつくる。

(証明)Gの有限位数の元全体の集合Hは,.

H={a∈G|ad=e.for some d∈(N+{0})}と

表わされます。(Nは自然数の集合です。)

そして,a1,a2∈Hなら,a1d1=e,a2d2=eを満たす

非負の整数d1,d2が存在します。

このとき,(a12-1)d1d2=eを得るので(a12-1)∈H

です。それ故,HはGの部分群です。(証明終わり)

[例2-1];位数が12の巡回群<a>の生成元とは?

(解)G=<a>(a12=e)の元bがGを生成するため

の必要十分条件は|G|=12と互いに素なkが存在して

=b,となることです。

 何故なら,kが12の1でない約数なら,kd=12と

なる正整数:d<12が存在してbd=(ak)d=a12=eと

なるため,G=<a>=<b>で,|G|=d<12という

矛盾が生じるからです。故に,k=1,5,7,11であり生成元

はa,a5,a7,a11のいずれかです。(q.e.d).

[例2-2]:無限巡回群<a>の生成元とは?

)解)G=<a>=<b>すると,b=a,かつ,

a=blを満たす正整数k.lが存在するはずです。

するとa=aklなので.a(kl-1)=eです。

しかし,G=<a>の位数は∞なので(kl-1)

がゼロでない場合は有り得ません。

故にkl=1ですから,k=l=±1(複号同順)でa

とa-1のみがGの生成元となり得ます。(q.e.d)

[定理2-11]:位数が素数:pである群は巡回群である。

(証明){G{=p(素数)とします。a∈Gでa≠e

とすると,<a>はGの巡回部分群で,位数はpの約数

ですが,<a>≠<e>により,これは1ではないので,

,|<a>|=p=|G|です。

それ故,G=<a>となるので,Gは巡回群です。

(証明終わり)

[定理2-12]:Nが群Gの部分群で指数が|G:N|=2

なら,NはGの正規部分群である。

(証明)仮定から,a,b∈(G-N)について

G=N+aNであり,また,G=N+Nbです。

それ故,Na=bNです。

しかし,指数が2なので,右剰余類で考えると,

aN=bNです。

故にaN=Na=(G-N)となりますから,

N=aNa-1です。これはNがGの正規部分群で

あることを意味します。(証明終わり)

[定理2-13]:g∈Gに対して,φa(g)=a-1ga∈G

を対応させる写像φa:G→Gは自己同型写像である。

つまり,GからG自身への準同型全単射(bijebtion)

である。

そしてAut(G)={σ:G→G:σは自己同型}とすると,

これは群で,Inn(G)={φa:G→G}は,その正規部分群

である。
(証明)∀g1,g2∈Gについて,φa(g12)=a-1(g12)a

=(a-11a)(a-12a)=φa(g1a(g2)が成立するので,

∀a∈Gに対してφaは準同型写像です。

そしてg∈Gならg~=aga-1とおくと,φa(g~)=g

となるので,φaは全射(Gの上への写像;surjection)であり,

φa(g1)=φa(g2)ならa-11a=a-12aより,g1=g2,

(言い換えるとg1≠g2ならφa(g1)≠φa(g2))ですから,

φaは単射(1対1写像;injection)でもあります。

以上から,φaは群Gの自己準同型写像です。

次に,Aut(G)が閉じていて群をなすのは自明です。

そして,Φab∈Inn(G)なら,φaφb-1(g)

=φab-1(g))=a-1(bgb-1)a=(b-1a)-1g(b-1a)

=φb-1a(g)なので,φaφb-1=φb-1a∈Inn(G)より,

Inn(G)はAut(G)の部分群です。

さらに,∀Φa∈Inn(G)は,∀σ∈Aut(G)に対して,

(σφσ-1)(g)=σ[a-1-1(g)}a]

=a-1[σ{σ-1(g)}]a=a-1ga=φa(g)を満たす。

つまり,σφσ-1=φ∈Inn(G)ですからInn(G)は

Aut(G)の正規部分群です。(証明終わり)

[例2-3]:位数が6の群Gの構造

σ∈Gならσの位数は6の約数です。

σ≠eなら位数は2,3,6です。

(1)σの位数が6ならGは巡回群でG=<σ>

(2)e以外の元の位数が全て2なら,Gは可換群です。

そこでσ≠eとすると,σ2=eで<σ>は巡回部分群

であり,(G/<σ>)の位数は3の素数ですから巡回群

です。しかし,τ∈<σ>とすると,τ2=eで{τ<σ>}2

=<σ>,つまり,τ<σ>の位数は2で3ではないので

矛盾です。ですから,この場合は有り得ません。

(3)位数が3の元σが存在する。このとき,σ≠e,σ3=e

で,(G/<σ>)の位数は2,指数|G:<σ>|=2を意味

するので<σ>はGの正規部分群です。

それ故,τ∈<σ>とすると,τ-1στ∈<σ>ですが,

τ-1στ=σなら,στ=τσ,σ3=e,で{τ<σ>}2=<σ>,

τ2=eで,τ-1στ­=σ2なら,στ=σ2τ,τ2=eです。

[定理2-14]:Gを群,Aを加法群とする。

Hom(G,A)={f:G→A:準同型写像}とすると,x∈G,

f,g∈Hom(G,A)に対し,(f+g)(x)=f(x)+g(x)

なる演算(加法)で群をなす。

特に,G,Aが共にn次の巡回群ならHom(G,A)もn次の

巡回群である。

(証明)f,g∈Hom(G,A)とすると,f,gはGの上で準同型

なので,∀x1,x2∈Gに対して,加法の定義により,

(f+g)(x12)=f(x12)+g(x12)={f(x1)+f(x2)}

+{g(x1)+g(x2)}=(f+g)(x1)+(f+g)(x2)ですから,

和:(f+g)もGの上で準同型,(f+g)∈Hom(G,A)です。

そして,加法は可換演算なのでf+g=g+fです。

次に,f,g,h∈Hom(G,A)ならf+(g+h)

=(f+g)+hの結合則の成立は,自明です。

∀x∈Gに対して0(x)=0なる写像:0は明らかに

Hom(G,A)の単位元となります。

そこで,f∈Hom(G,A)に対して(-f)(x)=-f(x)

で定義される写像(-f):G→Aは,写像fの逆元となって,

f+(-f)=0,(-f)+f=0を満たします。

以上から,Hom(G,A)は1つの可換群です。

特に,G,Aが共に巡回群でG=<x0>,A=<a>の場合

f∈Hom(G,A)でf(x0)=aとなるfとx0∈Gが存在します。

fは準同型ですからf(x0k)=ka(k∈Z)となります。

この写像f;G→Aについてx=x0k,y=x0l∈G(k,l∈Z)

なら,f(xy)=f(x0k0l)=ka+la=f(x)+f(y)であり,

確かにfは準同型です。

そこで,aの位数がn,つまり,n=|<a>|のn次巡回群の

場合:na=0なので,Gの任意の元:x=x0(k∈Z)に対し,

nf(x)=f(x0k)=nka=0 です。

xはGの任意の元なので準同型写像として恒等的にnf≡0

であることを意味すます。

nはna=0となる最小の正整数で,ma=0ならn/m

です。故に,mf≡0ならmf(x0)=ma=0より,n/mです。

つまり,n≦mですからfの位数もnです。

他方,g∈Hom(G,A)ならg(x0)=ra∈Aとなるr∈Z

が存在しますから,g(x0)=rf(x0)です。

そこで,∀x=x0k;∈Gについてもg(x)=rf(x)となり

写像としてg≡rf,つまりg∈<f>(加法巡回群)です。

以上から,Hom(G,A)=<f>で,Hom(G,A)も位数がn

のn次巡回群です。(証明終わり)

[定理2-15];Gを可換群とし,Nをその部分群とする。

Gが無限巡回群ならG~N×(G/N)(両辺は同型)である。

(証明)Gは可換群でNをその部分群とします。

まず,無限巡回群は加群Z(整数)と同型です。

何故なら,<a>が無限巡回群ならan~nは明らかに同型対応

ですから<a>~Z(同型)と書けます。

さて,[定理2-7]からGが巡回群なら,Nも商群(G/N)も巡回群

です。Gが無限巡回群ならNも(G/N)もそうです。

商群は(G/N)={C(a):a∈G}です。ただし,C(a)

=aN=Naです。

商群も無限巡回群なので(G/N)=<C(a)>と書けます。

一方,K=<a>とし,a≠eならa∈GよりKも無限巡回群

です。ar∈K(r∈Z)でC(ar)=arNなのでC(ar)∈KN

ですが,C(ar)=srN=(aN)r=C(a)∈(G/N)でも

あります。それ故,KN=(G/N)でG=N×KNでます。

無限巡回群は全て加群Zと同型ですから,結局のところ,

G~N×(G/N)~N×(KN)~Zです。(証明終わり)

※<a>が無限巡回群であるとは,ar=eがr=0を意味する

巡回群のことです。

[定理2-16]:位数が素数pの2乗;p2である群は可換群である。

(↑※後記:この定理は間違いで成立しない。?)

証明)まず,Gを位数がp2の群とすると,|G|=p2なので,

その任意の元の位数はp2の約数であり1,p,p2のいずれか

です。しかし,Gの位数は1より大なのでa≠eのa∈Gが

必ず存在して,その位数は,pまたは,p2です。

そこで.a≠eでa∈Gならap=eまたは(ap)p=e

です。|<a>|=|<ap>|=pで<a>も<ap>もG

の巡回部分群です。

それ故,もしもap=eなら巡回部分群<a>をKとおけば.

|K|=pで.商群(G/K)の位数はpです

(G/K)={eK,x1K,..xp-1K}と書けば,j=,1..,p-1

についてxj∈(G-K)ですが.この商群も位数が素数pです

から.巡回群です。したがって,(G:/K)=<bK>,

b∈(G-K)と書けます。その元は(bK)r=br­K(r∈Z)

です。巡回群なので元は可換ですから,∀x,y∈Gに対して

(xK)(yK)=(yK)(xK)です。

よってxy=yx(可換)です、

(↑※後記:ここは疑問です?mod Kでxy~yxに過ぎない

と思います。そこで,位数がpの巡回群(可換群)の直積で。

G=<b>×<a>と書けても,一般に直和てはないので.

<a>×<b>に一致するとは限りません。)

故に,Gは可換群です。(??)

他方(ap)p=eで,|<a>|=p2なら|G|=|<a>|

なので,G=<a>でGは巡回群なので可換群です。

(証明終わり)(つぐく)

※PS:今年も2006年1月に知り合った巣鴨一番街の

3年くらい前に立ち退きでなくなった小さなスナック

バーの,長崎出身のマスターで15年来の親友が10/28

に亡くなったという訃報が10/31に他の知り合いから

の連絡でわかりました。

コウちゃん,トシちゃんと呼ぶ間柄でした。彼は

1953年7月生まれのはずですから,まだ68歳です。

半年くらい前にガンが転移して再発したかもという

連絡がありましたが,私も介護,看護を受けてる身で何も

できません。最近は,ガンでもいずれは良くなるだろう

と放置していましたから,寝耳に水です。、

毎年のように71歳の私と同年代の長い付き合いの友達

が亡くなったという連絡がありますが.ほぼ全員死因はガン

のようです。

私のような慢性の糖尿病から心臓病,腎臓病の方長生きして

います。もはや,ほぼ動けない身体の私はどうしようもなく

自宅で勝手に焼酎でも飲んで一人通夜をするだけです。

慢性病持ちの私の方が先に逝くはずでしたがシブトイ

憎まれっ子のようです。夜にハバカリかい!!

  合掌!

 

 

 

 

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