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2021年11月13日 (土)

ガロア理論の復習(4)

※2021年11月4日(木)開始→11月13日(土)

※(余談)最近,日コロナ感染者数が日本だけ,急減

しました。何ら,行政の特別な施策もなく自然消滅

も疑問ですが,専門家の一部たるマスコミ医者,御用

医者も,明確な原因解明ができず,またもや日本人

特有のファクターXとか,危機は最悪を想定して

煽る方が安全とはいえ.根拠不明なのにインフル

が大流行するとか,飲み屋の議論や井戸端会議の

レベルの話を,占い師,予言者のように,偉そうに

TVなどでコメントしてると感じてます。

選挙も終わり,札束で頬をたたくとか.動物

の調教のように,エサで釣ってマイナンバー

カード申請を促すというような人をバカにした

政策も進んでいるようです。どうせ財源は国債

か税金ですから,ツケはどこに行くのかな?

そもそも,カードなどなくてもマイナンバー

という国民背番号は,既に全員に賦与されてます

から,重要な個人情報をデータベースでホスト

のコンピュータ(+バックアップ)にでも蓄積して

おき,それが必要な時と場所で,顔や指紋などで

認証すれば,間違うことなく彼,彼女の番号と

データをオンラインで自動照合できるはずです。

人口14億の中国のように,上海.北京のような

大都市を中心にキャッシュレスで企業の購買情報

も本人認証データも国家政府に把握され.監視カメラ

も4億以上設置されて屋外の個人行動は丸裸にされ,

危険人物,団体と見られると口座をロックされたり

投獄されたりする監視社会がすでに実現している

らしいです。

情報を握っている権力が独裁的強権的なら警察

監視社会の危険性が常にあります。

DNAを登録して認証できれば本人認証の誤認は

ないでしょうが.顔.指紋,DNを全員把握されれば

例えば犯罪を捜査する警察が自由に無断で活用

できるなら.大喜びでしょう。

というわけで,セキュリティ意識が甘くデータ

漏洩が頻繁で,平気で汚職したり証拠隠蔽する

「白アリ」とも称される日本の公務員にどこまで

の個人情報を委ねられるか?使用も監査できるか

疑問です。

問題がクリアされず,信用を得られてないの

に一時のエサにかかる人どれだけいるのかな?

エサでももらえれば,それなりですが。。

(余談終わり)

※本題の続きです。

※第3章 環とイデアル

[加群の定義]:体Kの上での(左)加群Gとは,Gが加法

と見なせる演算で可換群をなし,さらに∀g∈Gに対し

Kの元:cによる(左)スカラー倍:(cg)が定義されて

(cg)∈Gを満たす(右加群なら(gc)∈Gを満たす)

場合に,Gを「(左)加群」という。また,Gの部分群で,

スカラー倍でも閉じているものを部分加群という。

(↑※K上の加群とはK上のベクトル空間(線形空間)

のようなものである。)

[イデアルの定義]:環Rの部分環I⊂Rで.その元の

加法については,IはRの部分加群をなし,∀x∈Iに

対して∀a∈Rの左からの積がIに属する:ax∈I

を満たすものをRの「左イデアル(left ideal)」他方,

右からの積がIに属する:xa∈Iを満たすものをR

の「右イデアル(right ideal)」という。

Rが可換環であれば.Rの左右の両イデアルは一致

するので,単に「イデアル」という。

このとき,a,b∈Rがa~bなる関係にあること,この

関係:~を(a-b)∈Iとなることと定義すると,これは

1つ同値関係です。この関係による同値類の集合は.

剰余環(商環)と呼ばれる環を形成し,これを(R/I)と

表記する。

[定理3-1]:L(n.F)={n次行列:A=(aij)|aij∈F}

(Fはある体)は,環をなすが,これには真の両側イデアル

は存在しない。(※Rの真のイデアルとはI=RとI={0}

という自明なイデアル以外のイデアルIを指す。)

(証明)L(n,F)が数体Fの上で環であることは行列の

和と積(加法と乗法)の定義から自明です。

L(n,F)の両側イデアルが存在するとして.その任意

のイデアルをIとし,I≠{0}であると仮定します、

このとき,Iのゼロでない元をA=(aij)とします。

ただし,このAでは,特定の行iと列jの要素;(i,j)

=(l,m)成分の要素については,aij=alm=0である,

と仮定します。

次に,行列Elmを,(l,m)要素成分だけが1で残りの

全ての要素がゼロのn次行列とします。

つまり,(Elm)ij=δilδjm(i,j=1,..n)とします。

このとき,(EllAEmm)ij=Σλσδilδλlλσδσmδjm

=almδilδjmです。

故に,alm≠0とすると,alm-1(EllAEmm)=Elmです。

ところが,仮定により,Iは両側イデアルなのでAの

左右からのn次行列の積のスカラー(alm^-1)倍もIの元

です。したがって,alm≠0なる∀l,mに対してElm∈I

となります。すなわち,∀i,jについてEij∈Iです。

∀A∈L(n,F)に対してA=Σijijijと書ける

のでA∈Iです。

何故ならイデアルIは,F上の加群でもあるため,

右辺のEij∈IのFの元による線形和もまたIの元

です。

結局,A∈IよりL(n,F)⊂IですからI=L(nF)

であり,Iは環全体に一致し,また,I≠{0}なのでIは

真イデアルではないことがわかります。(証明終わり)

※[定理3-2]:φが環Rから環R~の中への準同型写像

であるとき,Rの部分環Sの像:φ(S)={φ(x):x∈S}

はR~の部分環である。

また,φがR~の上への準同型写像のとき,Rのイデアル

Iの像:φ(I)={φ(x):x∈I}は.R~のイデアルである。

(証明)φは加群としても準同型ですから.φ(S)も加群

としてR~の部分群であるのは自明です。

そして.∀x,y∈Sに対してφ(x)φ(y)=φ(xy)

∈φ(S)(準同型)なので,φ(S)は乗法についても閉じて

います。

次に,IがRの(左)イデアルで,s∈Iでφ(s)∈φ(I)

とします。このとき.φがR~の上への写像なら,∀r~∈R~

に対してr∈Rが存在してr^=φ(r)となるため,写像φ

の準同型性から,r~φ(s)=φ(r)φ(s)=φ(rs)です

が.Iは(左)イデアルなので,(rs)∈Iにより,

φ(rs)∈φ(I)です。それ故.∀s∈Iに対し,∀r~∈R~

でr~φ(s)∈φ(I)が成立するため,φ(I)はR~の

(左)イデアルです。(証明終わり)

[定理3-3](環の準同型定理)

 φが環Rから環R^の上への準同型写像のとき,

I={z∈R:φ(z)=0~}(~0はR~の単位元)はR

の両側イデアルである。そして.剰余環(商環)(R/I)

の元C(x)に対して,φ~(C(x))=φ(x)とする写像

をφ~とすると,φ~は(R/I)からR~の上への同型写像

である。ただし,Iはφの核と呼ばれるイデアルであり,.

I=kerφと表わされる。

(証明)まず,I=kerφは,Rの部分加群です。

何故なら,∀x,y∈Iに対して,φ(x-y)

=φ(x)-φ(y)=0~により,(x-y)∈Iであり,

また,x∈I,r∈Rに対し,φ(rx)=rφ(x)=0~

より,(rx)∈Iであるからです。

さらに,x,y∈Iに対してφ(xy)=φ(x)φ(v)

=0~なので,(xy)∈Iですから,Iは乗法についても

閉じています。それ故,IはRの部分環でもあります。

そしてz∈I,x∈Rならφ(xz)=φ(x)φ(z)=0~

により,(xz)∈Iであり,同様に(zx)∈Iなので.I

はRの両側イデアルです。

IはRの部分加群ですから,群の準同型定理によれば,

φ~は商群(R/I)によって,φから誘導される写像です。

故に,これは(R/I)から加群R~の上への同型写像です。

何故なら,Rを加法群とみたとき,群は可換群なので

部分群は常に.その正規部分群であるからです。

乗法では.φ~{C(x)C(y)}=φ~{C(xy)}=φ(xv)

=φ(x)φ(v)=φ~{C(x)}φ~{C(y)}で,積の準同型性

が保持されます。さらにRが乗法の単位元1を持つ場合は,

φ~{C(1)}=φ(1)=1~(R~の乗法の単位元)です。

以上から,φ~は加法,乗法で共に(R/I)からR~の上

への同型写像です。(R/I)~R~(同型)と表わされます。

(証明終わり)

[R加群の定義]:Rを乗法に関する単位元:1を持つ可換環

とする。このとき,加群MがR上の加群であることを,Mは

R加群である。という。

いい換えると,MがR加群であるとは∀x∈Rと

∀a∈Mに対し,xa∈Mであり,次の3条件を満たす

ことである。すなわち,∀x,y∈R,∀a,b∈Mに対し,

(1)x(ya)=(xy)a(結合則)

(2)(x+v)a=xa+va(分配則1)

(3)x(a+b)=xa+xb(分配則2)の3条件です。

[定理3-4]:加群Mに対して,MからMの中への準同型写像

の全体をEnd(M)とするとき,f,g∈End(M)に対して

(f+g),fgを,次のように定義する。

すなわち,∀a∈Mに対し(f+g)(a)=f(a)+g(a),

(fg)(a)=f[g(a)](合成写像)と定める。

このとき,R=End(M)は,単位元を持つ可換環であり,

Mは,R加群である。

(証明)f,g∈R,a,b∈Mに対して,(f+g)(a+b)

=f(a+b)+g(a+b)={f(a)+g(a)}

+{f(b)+g(b)}=(f+g)(a)+(f+g)(b)で,,

(fg)(a+b)=f[g(a+b)}=f[g(a)+g(b)]

=f[g(a)]+f[g(b)]=(fg)(a)+(fg)(b)

ですから(f+g),fgも準同型であり(f+g)∈R,

かつ,fg∈Rです。また,(f-g)∈Rも同様です。

eを恒等写像:e(a)=aとすれば,eがRの乗法の

単位元となることは自明です。

さらに加法,乗法の結合則,分配則も成立し,加群と

しての単位元である零元:0∈R.および,fの逆元:

(-f)∈Rも存在するため,R=EndM)は乗法の単位元

を持つ環です。そこで∀a∈Mに対してf∈Rとの積

をaf=f(a)∈Mと定義すれば,MはR加群の条件を

満たしています。(証明終わり)

[定理3-5]:MをR加群とするとき,x∈Rに対してMの元

(xa)を対応させると,MからMの中への準同型写像として

xを得る。これは,a∈Mに対しf(a)=xa∈Mとする

写像である。そこで,Φをx∈Rをfxに対応させる写像と

すると,これはRからEnd(M)の中への準同型写像である。

このとき.Φの核をI=kerΦ={Φ(x)=0 }とする。

ただし,φ(x)=0の0は,xa=0 (for ∀a∈M)なる写像

であり,End(M)の元fx=xa=0なる零写像を意味する。

すると(R/I)は,End(M)の部分環:Φ(M)に同型である

ことがわかる。すなわち,Φから誘導される(R/I)からΦ(M)

への写像Φ~は,Φ~(xI)=Φ(x)=fで与えられ,これは

(R/I)からEnd(M)の部分環;Φ(M)の上への同型である。

そこで,これをΦ(M)~(R/I)(同型)と書く。

a∈Mなら,x∈Rに対し(xI)を同値類記号C(x)で

表わせば,写像としてΦ~{C(x)a}=f(a)である。

つまり,C(x)a=xaと定めることにより.R加群M

が,(R/I)加群であるとも考えられる。

(証明)これは群Gと部分群Nによる商群,環RとイデアルI

による商環についての準同型定理と同様な命題であり,証明

はそれらと同じなので.ここでは割愛します。(終わり)

※R加群;Mは実質的には上記定理のような加群です。

[R部分加群の定義]:R加群Mの部分群Sが,またR加群

であるとき,SをR加群の「R部分加群」である,という。

1,a2,..an∈Mのとき,係数x1,x2,.xn∈Rを持つ

線型関係:(x11+x22+..+xnn)の元の全体集合は

R部分加群である。

※これをa1,a2,..anの生成するR部分加群という。

[定理3-6];MをR加群,SをそのR部分加群とする。

このとき,剰余加群(M/S)もR加群と見なせる。

(証明)r∈Rであり,m∈MでC(m)∈(M/S)のとき,

rC(m)=C(rm)と定義すると,Sは加群なので

C(m~)=C(m)は(m~-m)∈Sを意味するため

r(m~-m)=(rm~-rm)∈Sです。

つまり,C(rm~)=C(rm)となり,C(m)∈(M/S)

なら,rC(m)∈(M/S)なので,(M/S)もR加群です。

(証明終わり)

[定理3-7](R加群の準同型定理)

φをR加群MからR加群M~の上へのR準同型写像φと

する。つまり,通常の準同型@φ(x+y)=φ(x)+φ(y),

および,φ(xy)=φ(x)φ(y)(x,y∈M)なるち性質に

加えて,r∈Rに対してφ(rx)=rφ(x)を満たす写像

とする。φをMからM~への加群としての準同型と見たとき

の核を,I=kerφ={z∈M:φ(z)=0~}とすると,核Iは.

R部分加群であり,φはR加群(M/I)からR加群M~の

上へのR準同型写像;φ~を誘導する。

(証明)∀z1,z2∈I,に対して,φの準同型性によって,.

φ(z1―z2)=φ(z1)-φ(z2)=0~より(z1-z2)∈I

なので,IはMの部分加群です。

次に,z∈I,a∈Rとするとφ(az)=aφ(z)=0~

より,(az)∈Iなので,IはMのR部分加群です。

剰余群(M/I)の元C(a)=aI(a∈M)に対して

φ~{C(a)}=φ(a)とすると.φ~は加群(M/I)から

加群M~の上への同型写像です。(群の準同型定理)

さらにx∈Rとするとφ~{xC(a)}=φ~{C(xa)}

=φ(xa)=xφ(a)=xφ{C(a)}­が成立するので,

φ~はR同型写像です。(証明終わり)

[Hom(MM)の定義]:Hom(M,M~)をR加群MからR加群M~

へのR準同型写像の全体集合とする。

φ12∈Hom(M,M~)に対してa∈Mのとき,加法と乗法

を(φ1+φ2)(a)=φ1(a)+φ2(a),および,(φ1φ2)(a)

=φ1(a)φ2(a)で.それぞれ,(φ1+φ2),および,(φ1φ2)を

定義する。

※Hom(M,M~)がR加群となることは,証明するまでもなく

明らかなことです。

[G加群の定義]:Mが群G上の加群であるとき,MをG加群

という。すなわち,∀g∈G,∀a∈Mに対して(ga)∈M

であり,a∈M,g,h∈Gに対しg(ha)=(gh)aが成立,

し,eをGの単位元とするとea=aとなるとき,MはG加群

である。

 

第4章 体とベクトル空間(線形空間)

[体の定義]:これについては,本シリーズ記事(1)の第0章で

記述したものを再掲します。

集合Kの上で乗法(・)と加法(+)という2種の2項演算

が定義されており,加法では(K,+)が可換群をなし,その

単位元を0(ゼロ)と書き零元と呼ぶ。また,この0を除く集合

×=K-{0}は,乗法について群をなし,この乗法群の単位元

eは1と書くこともある。このとき,任意のKの元:a,b,c

について,分配則:a・(b+c)=a・b+a・cが成立する

なら,(K,・,+)の組を「体(field)」という。特に乗法

についても可換なら,Kを「可換体」という。

[K加群の定義]:Mが体K上の加群なら,MをK加群という。

Mが加法について可換群をなし,Kの元によるスカラー倍

が定義されて閉じたK上の線形空間となるものをK(左)加群

というのである。K加群はK上のベクトル空間と同義です。

[ベクトル空間の定義]:これは省略して既知とします

(↑※詳細は線型代数学のテキストを参照されたい。)。

[定理4-1]:体K上のm個(m≦n)の同次連立方程式:

i=Σj=1nij)=0(i=1,..m)(1)の解;(xj)

の全体は,K加群:Knの中で,部分空間Sをつくる。

※Knは,体K上のn次元ベクトル空間全体を意味し,

Sは.そのm次元の線形部分空間であるという意味

です。さらに,非同次方程式Li=Σj=1nij=bi.(2)

(i=4,..,m)が解を持てば,解(yj)の全体はKのSに

よる1つの剰余類をつくる。

(証明)Sは(1)の解集合ですからx,x~∈Sとすると,

Σj=1nij(x-x~j)=0 (i=1,..m)が成立するので,

(xj-x~j)∈Sです。さらにλ∈KならΣj=1nij(λx)

=0(i=1,..m)により,(λxj)∈Sです。SはLK群:

nの部分集合ですから,これらにより,SはKnの線形

部分空間です。

次に,(2)の解全体の集合をMとして,y,y~∈M

とすれば,Σj=1nij(y-y~j)=0(i=1,..m)が

成立します。そこで(yj-y~j)が(1)の解となるため,

(yj-y~j)∈Sです。

これは,Mが(M/S)の剰余加群の1つの同値類である

ことを意味します。(証明終わり)

[定理4-2]:体F上のベクトル空間:Vの部分空間をWと

する。剰余加群(V/W)の元C(v)とx∈Fに対して,

C(xv)=xC(v)と定めると,(V/W)は,体F上の

ベクトル空間となり,dim(V/W)=dimV-dimWを

満たす。※このとき,(V/W)をVの剰余空間という。

(証明)C(v~)=C(v)のとき.(v~-v∈Wですから,

x∈Fなら{x(v~-v)}∈Wです。

故にC{x(v~-v)}=0なのでC(xv~)=C(xv)

です。

それ故,C(xv)=xC(v)という定義は一意的です。

ここで,dimW=m,dim(V/W)=rとして,Wのm個,

および,(V/W)のr個の基底をそれぞれ,w1,..,wm,

および,C(v1),..C(vr)とします。

Vの元がv=x11+..+xmm+y11+..+yrr

と表わせるとすると,w∈Wを含む加群(V/W)の元,,

つまり,同値類はC(0)=0+Wで,加群(VW)の零元です。

つまり:C(w)=C(0)=0ですから,j=1,..mの全て

において,C(wj)=0です。よって,上記のvの同値類は

C(v)=y1C(v1)+..+yrC(vr)と,r個の(V/W)の

基底の線型結合で表わされます。

それ故,v=0なら.C(v)=0なのでy1=..=yr=0であり

,故にx1=..=xm=0が従います;

以上から,w1,..wm,v1,..vrは全て独立であり,Vの

基底となり得ます。何故なら,∀v∈Vについて同値類は,

C(v)=y11+..+yrC(vr)と書けるので,wを

w=v-(y1(v1+..+yrr)と定義すれば,C(w)=0

により,w∈Wです。

w=x11+..+xmmと表わせるため,∀v∀Vが,

常に,v=(x11+..+xmm)+(y11+..+yrr)の形

に表わせるからです:

したがって,dimV=(m+r),つまり,r=dim(V/W)

=dimV-dimWを得ます。(証明終わり)

[定理4-3]:V,Wを体F上のベクトル空間とする。

そしてφをVからWへの準同型写像する。

このとき,V0={v∈V:φ(v)=0}とすると,(V/V0)

はVの部分空間であり,V0による剰余空間(V/V0)からW

の上への同型写像φ~が誘導される。

そして,dimV=dimW+dim(V/V0)である。

(証明)v1,v2∈V0のとき,φ(v1+v2)=φ(v1)+φ(v2)

=0より,(v1+v2)∈V0,また,v∈V0,x∈Fなら,φ(xv)

=xφ(v)=0なので,(xv)∈V0,よってV0はVの部分空間

です。V0はφの核kerφですから,すぐ前に示したF加群の

準同型定理により,(V/V0)からWの上への同型写像φ~を,

φ~{C(v)}=φ(v)で,φから誘導される写像として与える

ことができます。そして,,dimV=dimW+dim(V/V0)です。

(証明終わり)

[定理4-4]:Lを非可換環Rの左イデアルとする。

このときI={x∈R:xL=0}はRの両側イデアルである。

(証明)z∈L,a,b∈Iなら(a±b)z=az±bz=0

,それ故,(a±b)∈Iです。また,(ab)z=0から

(ab)∈,Iです。,故にIは環Rの部分環です。

次に,∀z∈Lに対してLはRの左イデアルですから

x∈Rに対して(xz)∈Lです。

一方,a∈Iなら.任意のLの元zについて(az)=0

です。故にa(xz)=0です。

以上から(xa)z=0,かつ.(ax)z=0なので

(xa)∈I,かつ.(ax)∈Iとなり,Iは両側イデアル

です。(証明終わり)

[定理4-5]:体Kから環Rへの準同型写像は零写像か,

または,同型写像でぁる。

(証明)φを,体Kから環Rへの(環)準同型写像とします。

φの核:I=kerφ={a∈K:φ(a)=0}はKのイデアル

です。何故なら,a∈I,x∈Kなら(φ(xa)=xφ(a)

=0により(xa)∈Iであるからです。

ところが,体Kのイデアルは,K自身か,{0}です。

何故なら,a∈Iならaa≠0の場合は逆元.a-1

が存在して 1=(a-1a)∈Iですから.∀x∈K

に対して,x=(x・1)∈Iですが,0∈Iですから

K⊂Iです。他方,a≠0のa∈Iが存在しない

ならI={0}です。

そこで,K⊂Iの場合は.I=kerφ=Kで,φ(K)

={0}なので,φは零写像であり.他方,I=kerφ={0}

の場合は.K=(K/I)~Rで,φは,Rの上への同型写像

です。(証明終わり)

[定理4-6]:非可換環Rの有限個の両側イデアを.

1,I2,..Imとする。R=I1+I2+..+Im

のとき.i≠jなら(Iij)=0である。

(証明)あるi,j(i≠j)についてα≠0,かつ,

α∈(Ii∩Ij)とすると,0∈Rは,0=0+0+.+0,

または,0=0+..+α+0+..+(-α)+.++0と

なり,,直和分割が一意的でないという矛盾です。

それ故,i≠jなら(Ii∩Ij)={0}です。

そして,Ii,Ijは両側イデアルなので(IiIi)⊂Ij,

かつ,(Iij)⊂Iiですから,(Iil)=0です。

(証明終わり)

[定理4-7];φを環Rから環R~の中への準同型写像

とする。I~をR~の両側側イデアルとするとφ-1(I~)

はRの両側イデアルである。

(証明)まず,I=φ-1(I~)とおきます。.

そこで,a∈I,x∈Rなら,φ(a)∈I~であり,,

φ(xa)=φ(x)φ(a)ですが.φ(x)∈R~であり

I~はR~の両側イデアルですからφ(xa)∈I~と

なるため.(xa)∈Iです。

同様に,φ(ax)=φ(x)φ(a)∈I~より,

(ax)∈Iです。したがって,IもRの両側イデアル

です。(証明終わり),(

※途中ですが,今日はここで終わります。(つづく)

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