ガロア理論の復習(7)
※2021年12月3日(金)開始→12月13日(月)
※(余談)1941年(昭和16年)12脱8日は,日本軍
のハワイ真珠湾の奇襲攻撃で,アメリカとの戦争
が始まった日でした。もう80年も前ですか?風化
はしないんだろうなぁ。昔,DVDで「トラトラトラ」
という日米合作映画を見たら,アメリカの情報部は
全て知っていて放置したらしいです。
2001年9月11日のニューヨーク貿易センター
ビルへのテロ事件も「華氏911」という映画では,
政府上層部は,事前にわかっていて防ぐことを
しなかったたらしいし,戦争したい米上層部とか
死の商人たちは,その正当防衛とか報復とかの
口実ためには,多数の国民の命の犠牲など,何
とも思ってないらしい。と感じました。
映画はフォクションかもしれないですけどね。
まあ,火のないところに煙は立たず,とも言います。
さて,9月末頃には日本での「コロナ自然消滅仮設」
の記事をブログに書きました。ネットにはフ,ェイク
やデマが氾濫していて,取捨選択せずに鵜呑みにする
と危険なことは承知なのですが,楽観的見方として,
「オミクロン=Xマスプレゼント説」というものが
ありました。コロナ変種のオミクロン株は,あまり
にも大きい突然変異,言い換えると,大きなコピー
ミスの結果であり,不安定で感染力はデルタより
はるかに強いけれど,今のところデータでは症状
は無症状か軽症で,高々風邪の発熱やセキと同じ
程度で酸素吸入も不要で重症化率もごく低いと
いうので,この「善玉ウイルス」が「悪玉デルタ株」
を駆逐し去って,コロナも終焉を迎えるのでは?
と,無責任なアウトアサイダーの私は,淡い期待を
抱いています。(※オミクロン無害説)
何でもかんでも感染したら入院だと,ただの風邪
でも医療はパンクするのでしょうがね。
さて,命の残り時間が少ない私は,何事にもアセリを
感じています。所詮,無駄な抵抗ですが。。。
今日(12/12)は,何故か頭痛,と消化不良か?嘔吐,下痢
の連続で本稿アップも日を超えてしまいました。もう
長くはないなぁ。。(余談終わり※)
※さて,ガロア理論の本題の続きです。
第7章 複素数体Cの部分体
※本章ではすべての体は,複素数体Cの部分体と
します。何故,複素数体の部分体に限定するか?
というと,今の古典的なガロアの代数方程式の
可解性の理論では重要とは思われない?体の
「標数」という概念があるからです。標数は後述
の有限体に対して定義される素数であり,複素数体
のような無限体では,標数はゼロと規定されています
が,標数がゼロでない場合,以下の,体に対する定理が
成立しないこともあります。
※既約多項式の分離性
[定義7-1](導関数の定義)
体F上のn次多項式:
f(x)=anxn+an-1xn-1+...+a0
(0≦j≦nのjについてaj∈F,かつ,an≠0)
の導関数:f’(x)を次のように定義する。
f’(x)=nanxn-1+(n-1)an-1xn-2+..+a1
[定理7-1]:f(x),g(x)をF上の多項式とすると,
その和:(fLg)(x),積:(fg)(x)=f(x)g(x)
の導関数は次の性質を有する。
すなわち,
(1){f(x)+g(x)}’=f’(x)+g’(x),
(2){f(x)g(x)}’=f’(x)g(x)+f(x)g’(x)
である。
(証明)この命題の成立は,明らかで証明は簡単なので,
省略します。(終わり)
[定理7-2]:f(x)が体F上の1次以上の多項式である
場合,代数数方程式:f(x)=0が重根を持つための必要
十分条件はf(x)とf’(x)の最大公約数(最大公約式)
が1次以上の多項式になることである。
(証明)体Fに対して,f(x)∈F[x]とする。
f(x)=0が根(解)を持つとき,体K=F(α)の上では,
f(x)=(x-α)kg(x)(k≧1,g(α)≠0)と書けます。
これを,K[x]の多項式(係数にαを含む多項式)と
して,その導関数をとると,
f’(x)=k(x-α)k-1g(x)+(x-α)kg’(x)
となります。
故に,αがf(x)=0の重根で,k≧2であるためには,
f’(x)が(x-α)の1次以上の因数を持つことが必要
十分条件です。つまり,f(x)とf’(x)がK=F(α)
において.1次以上の公約数として(x-α)を持つこと
が,f(x)=0が重根αを持つために必要,かつ,十分な
条件です。(証明終わり)
[系]:f(x)∈F(x)がFで既約な多項式であるときは,
f(x)=0は重根を持たない。
(証明)f(x)が体Fの上で既約多項式であるのに重根:
αを持つと仮定します。[定理7-1]によれば,f(x)=0
が重根αを持てばf(x)とf’(x)がある共通根αを持ち,
f(x)は既約なので,体Fでは因数を持やないが,体F(α)
では1次因子(x-α)を持ち,これは.f’(x)と共通の
因子となります。
ここでdegf(x)=nとするとdegf’(x)=(n-1)<n
ですから,F内でf(x)をf‘(x)で割って商をq(x),余り
をr(x)とすると,f(x)=f’(x)q(x)+r(x);
ただし,degr(x)≦(n-2),と表わすことができます。
このとき,もしもr(x)≡0ならf(x)=f’(x)q(x)
となって,「(x)はF上で可約となり,Fで既約という仮定
に反します。故に,剰余;r(x)は(n-2)次以下の恒等的には
ゼロでない多項式ですがf(α)=f’(α)=0なのでr(α)=0
であり,r(x)も,F(α)において1次因子(x-α)を持ちます。
さらに,f’(x)をr(x)で除してf’(x)=r(x)q1(x)
+r1(x)(degr1(x)≦(n-3))と,剰余:r1(x)を求め,次に,
r(x)=r1(x)q2(x)+r2(x)..と除法の操作を繰り返す
「ユークリッドの互除法」でr(x),r1(x),r2(x)…と剰余
の次数を1ずつ下げていく列をつくると,結局最後はに剰余が
がゼロとなる場合もありこのときはf(x)のFでの既約性に
反します。一方,もしも剰余がゼロにならない場合,最後には
剰余はxの1次式となり,それがf(x),f’(x)の最大公約数
であり,(x-α)の定数倍に一致するはずですが,剰余の列:
r(x),r1(x),r2(x),..は,全てF[x]の元なので,最後
の(x-α)の定数倍もFの多項式となり,やはり,f(x)が
F上で既約多項式であるという仮定に矛盾します。
したがって,f(x)がF上で既約多項式ならf(x)=0
は重根を持たない,ことが示されました。(証明終わり)
※ガロア拡大体の条件
[定理7-2]:体Eを体Fのガロア拡大体とする。α∈E
のF上の既約多項式は,Eにおいて1次因数の積に分解
される。
(証明)αにガロア群Gの元(自己同型)を施して得られる
像のうち,異なるものの全体を,α1,α2,..,αr,(α1=α)
とし,p(x)=(x-α1)(x-α2)・・(x-αr)とします。
このとき,∀σ∈Gに対し,σ(α1),σ(α2),//σ(αr)は
全て相異なります。r=|G|です。
何故なら,σ(αi)=σ(αj)であれば,両辺にσ-1を施すと,
αi=αjを得るからです。
しかも,これらはGの元によるαの像ですから,最大r個
から成るα1,…αrの1つの順列(置換)を与えます。
一方,p(x)はp(α)=0を満たすFの多項式なので,その
係数は,Gの不変体Fの元であり,σを施しても不変です。
そして,p(α)=0ですからp(x)=0はαを根に持ちます。
ここで,f(x)をf(α)=0を満たす任意のF内の多項式と
すると,∀σ∈Gに対し,σ{f(α)}=f{σ(α)}=0です。
つまり。σ(α)もf(x)=0の根となります。
各々のσ∈Gに対してσ(α)は,相異なるp(x)=0のr個
の根:α1,α2,..,αr,のどれかに一致するため,f(x)はp(x)
の根を全て含むことになります。
それ故,f(x)はp(x)を因数として持ち,f(x)∈(p(x))
です。つまり,J={f(x)∈F[x];f(α)=0}}とするとき,
Jは,p(x)を最大公約数とするイデアルで,J=(@(x))です。
何故ならf(x)が可約でf(z)=p1(x)p2(x)とFの多項式
の積に因数分解できるとき,αがf,(x)=0のの根でf(α)=0
となるのは,p1(α)=0でp1(x)∈(p(x))であるか,p2(α)=0
でp2(x)∈(p(x))のいずれか,または両方であることを
意味し,p(x)は既約なので最大公約因子です。
つまり,f(x)∈(p(x))です。
p(x)はF上既約多項式なので重根を持たず,単根として
α1,α2,..αrを持ち,しかも,これら以外には根を持ちません。
したがって,p(x)=an(x-α1)(x-α2)・・(x-αr),
(an∈F,an≠0)と書けます。(証明終わり)
[定義7-2](分解体):体F上の多項式f(x)が,拡大体K上
の1次因子の積に分解されるとする。
すなわち,f(x)=an(x-α1)(x-α2)・・(x-αN)
とする。このとき,Fの拡大体:F(α1,α2,..,αn)をf(x)
の「分解体」という。,
[定理7-3];EがFのガロア拡大体ならば,EはF内のある
多項式の分解体となる。逆に,体F上の多項式のF上の
分解体はFのガロア拡大体である。
(証明)EをFのガロア拡大体とし,Gをガロア群とします。
,そして,(E/F)=|G|=nとし,Fのベクトル空間として
のEの生成元(基底)をω1,ω2,..,ωnとします。
前定理により,ωjのF上の既約多項式をそれぞれ,pj(x)
とすると,pj(x)はEにおいて1次因子の積に分解されます。
それ故,任意の多項式f(x)∈F[x]の因数分解を
f(x)=ap1(x)p2(x)・・pn(x)(a≠0,pj(x)は
規約モニック)とおくと,f(x)はE上で1次因子の積に
分解されます。
(※このとき,f(x)は「分離的」である,といいます。),
※ここで,少しくどいとも思える説明を加えます。
例えば,σi(ω1)=σj(ω2)なら,ω2=σj-1σi(ω1);
(σi,σj∈G)ですから,σk=σj-1σi∈Gのような,
あるGの元σkが存在してω2=σk(ω1)となります。
p1(x)=0の根ω1と,p2(x)=0の根ω2がGの自己同型
写像:σkで互いに写像される関係なので,既約多項式モニック
として,p1(x)とp2(x)は同じものです。
そこで,こうしたダブルカウントのp2(x)を因数から除く
必要があります。
実際には,集合S={σi(ωj):i,j=1,2,..,n},;
ただし,σi∈G(1≦i≦n)の元のうち,相異なるもの
の全体を{α1,α2,..,αn}とすると,∀σk∈Gに対して,
σk(α1),σk(α2),..σk(αn)もまた,Sの元であり,
しかも,全て相異なるので,Eの元の集合として
{α1,α2,..,αn}={σk(α1),σk(α2),..,σk(αn)}です;
任意のf(x)でf(x)=a(x-α1)(x-α2)・(x-αn)
=a{x-σl(α1)}{x-σk(α2)}・・{x-σk(αn)}なる
等式が∀σk∈Gに対して成立することになります。
そして,αi∈S(1≦i≦n)はある(k,j)で,αi=σk(ωj)
であることを意味しますから,ω1,ω2,..,ωnは全てf(x)=0
の根に含まれます。つまり,{ω1,ω2,..,ωn}⊂{α1,α2,.,αn}
となります。(蛇足的な説明終わり)※
f(x)の(最小)分解体はF(α1,α2,..,αn)ですが,結局,
E=F(ω1,ω2,..,ωn)⊂F(α1,α2,..,αn)⊂Eです。
したがって,Fのガロア拡大体Eは,あるf(x)の分解体
つまり,Fにf(x)=0の根を全て添加した体となります。
逆に,Eがf(x)∈F[x]の分解体であるとします。
そして,Fの元を不変にするEの自己同型写像のつくる群
をGとします。
ここで,Fから分解体E=F(α1,α2,..αn)までの間の
中間体の列を想定します。F=E0⊂E1⊂..⊂En=E,
Ei=F(α1,α2,..αi)=Ei-1(αi)(1≦i≦n)でます。
ところが,f(αi)=0でありf(x)は,体Ei-1の多項式
ですから,αiはEi-1で代数的です。故に,(Ei/Ei-1)は有限
です。そこで,|G|=(E/F)=Πi=1n(Ei/Ei-1)より,群Gは
有限群です。
次に,Gの不変体がFであることを示します
多項式f(x)∈F[x]のf(x)=0の根が全てFに属する
なら,E=Fであり,Gの任意の元はFの任意の元を不変に
します。そのようなαの全体はFから出ることはないので
E=Fが,Gの不変体であることは明らかです。
このときは,(E/F)=1であり,Gの元は単位元(恒等写像)
のみです。次に,f(x)=0の根のうち,n個(n≧1)が,体F
に含まれていないとします。,
さらに帰納法の仮定としてFに含まれない根の個数がnより
小さいときには,定理が成立する,つまり,FがGの不変体である
とします。
ここで,αをFに含まれないf(x)=0の根としtてf(x)
を体F(α)の多項式と見たときも,Eはf(x)の分解体です。
このとき,f(x)=0のの根のうち,F(α)に含まれないもの
の個数はnより小さいので,帰納法の仮定により,Eの自己同型群
はF(α)を不変にします。このF(α)を不変にするEの自己同型
写像の群をUとすると,UはF(α)を不変体とし,それ故,もちろん
Fを不変にしますから,U⊂Gです。
θを群Gの不変体の元とします。
θは,Uの全ての元で不変ですから,θ∈F(α)です。
αのF上の既約多項式p(x)の次数をsとすると,θ
は.θ=c0+c1α+c2α2+..+ca-1αs-1,(ただし,
cj∈F,0≦j≦(s-1))と表わされます。
p(x)=0は重根を持たないのでp(x)の根をα1,.αs
とすると,αをαjに写すF(α)からF(α)への同型写像:
σが存在します。同型写像の延長を繰り返して,σをEから
Eの上への同型写像,つまりGの元:τへと延長できます。
このτ∈Gをθに作用させると,τ(θ)=c0+c1αi
+c2αi2+..+cs-1αis-1.(i=1,2,.s)となります。
故に方程式cs-1xs-1+cs-2xs-2+..+c1x+(c0-θ)
=0は,s個の相異なる根:α1,α2,..,αsを持ちますが,
これは,根の個数sが方程式の次数(s-1)より多いので
方程式ではなく恒等式であることを意味するため,全て
の係数はゼロです。
特に,c0=θですから,τ(θ)=θ∈Fです。θはG
の不変体の任意の元でしたから,FがGの不変体です。
以上から,GはFを不変体とするガロア群で,Eは
ガロア拡大体,であることが示されました。(証明終わり)
[定理7-4]:体Fの2次の拡大体Eはガロア拡大体
である。
(証明)(E/F)=2とすると,Fに含まれないω∈Eが存在
します。このとき,1,ω,ω2は1次従属です。
故にa0+a1ω+a2ω2=0という自明でない関係式
が成立し,ωはf(x)=a2x2+a1x+a0∈F[x]の根
です。もしも,a2=0ならa0+a1ω=0となり
a0=a1=0で自明な式となるため,a2≠0です。
f(x)=0の他の根は,{-(a1/a2-)-ω}∈Eですから
Eはf(x)の分解体です。そしておmrががFの元
でないので,{-(a1/a2-)-ω}もFの元ではないため
f(x)はF上既約な多項式ですからEは分離的
分解体です。よってE/Fはガロア拡大です。。
(証明終わり)
[定義7-3](単純(単)拡大の定義)
体Fの拡大体KがFにαを添加した体で,K=F(α)
と表わされるようなαが存在するとき,この拡大を単純
(単)拡大といい,体Kを単純(単)拡大体という。
※複素数体C内では「ガウスによる代数学の基本定理」
を仮定すると,体F上の∀f(x)∈F[x]は複素数体C
の中で1次因数の積に分解します。その根を全てFに
添加した体Eをつくると,Eはf(x)の分解体です。
つまり,複素数体の部分体F上の多項式は複素数体の
中に必ず,分解体を持ちます。
[定理7-5](原始元定理)
体Fの有限次拡大体Kには,K=F(γ)のようなγが
存在する。つまり有限次拡大体KはFの単純拡大体である。)
(証明)KがF上有限次なら,KのF上の基底をα1,α2,.,.αn
とすると,K=F(α1,α2,.,.αn)です。
帰納法を用いて証明できますが,結局,n=2も場合
に定理の成立を示せば十分であるとわかります。
何故なら,F=E0⊂E1⊂E2⊂...⊂En=Kなる拡大
する体の列を.Ei=Ei-1(αi),,.,En=F(α1,α2,.,.αn-1)(αn)
によって,つくると.もしもE2=F(α1,α2)=F(γ)とできる
ことが示せたなら,E3=F(α1,α2,α3)=F(γ,α3)=F(γ2)
も成立することがわかる,からです。
そこで,n=2の場合として,K=F(α,β)とします。
α,βを根とするF上の既約多項式をそれぞれ,g(x),
h(x)とします。g(x)≠h(x)の場合,f(x)=g(x)h(x)
の分解体をEとするとg(x),h(x)がFで既約なのでf(x)
は分離的です。(※f(x)はE上単根の1次因子の積に分解
されます。)
ところで,前の[定理7-2]により,分解体EはFのガロア拡大体
です。そしてKはE/Fの中間体です。ガロア拡大体の中間体
はEのガロア群Gの部分群と1対1に対応るので中間体の個数
は有限です。つまり,(E/F)=|G|が有限なので,中間体の個数も
有限です。
そこで,∀c∈Fに対してγc=α+cβとおいて,体Kcを
Kc=F(γc)で定義すると.これらはE/Fの中間体ですが,C
の部分体であるFは無限体なので,c∈Fの取り方は無数に
あります。しかし,中間体Kcの個数は有限ですからKd=Kc
を満たすFの元dで,d≠cであるものが存在します。
するとKd=F(γd)=Kc=F(γc)でγd=α+dβです
から,γc,γd∈Kcであり,故に(c-d)β=(γc-γd)∈Kcで
(g-d)≠0ですから,β∈Kcです。
そこで,α=(γc―cβ)∈Kcも成立します。
それ故,K=F(α,β)⊂Kcですが,γc=(α+cβ)がF(α,β)
=Kの元であることは,明らですからKc=F(γc)⊂Kであり
結局,Kc=Kです。
したがって,γ=γcとおけばK=F(γ)と表わせることになり
,KがFのの単純拡大体であることが示されました。
(証明終わり)
[系]:複素数体の中ではFの有限次拡大体は単純拡大体
である。(これは自明です。)
[定理7-5]:EがFのガロアア拡大体であることは,Fの複素数体
内へのF上の同型写像が,全てEの自己同型写像であることに
同値である。
(証明まず,F上の同型写像とは,Fの元を不変に保つ同型写像
のことです。そして,EにおけるF上の同型写像の数をmと
すると,,m≦(E/F)=n=|G|です。(※EはFの有限次(n次)
拡大体とします。)
故に,全ての同型写像はEの自己同型写像でGに含まれます
何故なら,GはFを不変体とするEの自己同型写像の全体
であり,そのn個の元はm個の中に含まれているので,,自己同型
写像でないF上の同型写像があるとm>nとなって矛盾する
からです。
逆に,F上の同型写像が全てEの自己同型写像とします。
EはFの有限次拡大体ですからE=F(γ)と書けます。
γのF上の既約多項式をp(x)とします。このとき.pは2次
以上でp(x)=0の2根をγ,δとすると,γをδに対応させる
F(γ)からF(δ)への同型写像が存在します。
これが,Eの自己同型写像ですから,δ∈E=F(γ)です。
つまり,F上の既約多項式p(x)の根が全てEに含まれる
のでEはp(x)の分解体であり,よってE/Fはガロア拡大
です。(証明終わり
[例7-1]:次のα,βに対してQ(α,β)=Q(γ)となるγを
求めます。Qは有理数体で,α=√5i,β=√2,です。
(解)γ=√5i-√2とすると,(γ-√2)2=―5,
γ2-2√2γ+7=0,故に,β=√2={(γ2+7)/(2γ)}∈Q(γ)
よって,α=√5i=(γ-β)∈Q(γ),です。()終わり
[例7-2]:(x4-2)は,有理数体Q上の既約多項式です。
その分躯体は,E=Q(21/4,2,-21/4,21/4i,-21/4i)
ですが,これは明らかにQ(21/4,i)に等しいです。
そして{Q(21/4)/Q}=4,{Q(21/4,i)/Q(21/4)}=2
より,(EQ)={Q(21/4,i)/Q}=8です。
EはQ上8次のガロア拡大体です。
E内のQを不変体とする自己同型写像は
21/4を±21/4,±21/4iに,写す4通り,,iを
±iに写す2通りの,σ:σ(21/4)=i21/4,σ(i)=i
と,τ:τ(21/4)=-21/4,τ(i)=-iの2種から
G={1,σ,σ2,σ3,τ,στ,σ2τ,σ3τ}です。
※途中ですが,今回はここで終わります。(つづく)
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