エレクトロニクス覚書き(1)(太陽光発電補遺)
※2022年7月7日(金)→7月20日(水)
※(余談):2月の誕生日以来の久しぶりTOSHIです
私は,コロナじゃなくワクチンも1度も受けていませんが
ときどき,血中酸素濃度が落ちて酸素吸入をしています。
先週(7/7頃,)酸素値は96以上に回復しましたが虚血性
心不全での肺水腫で利尿剤で水を排出して何とかまだ生きて
います。自分のまわりでは毎年のように同年代の友人がポツポツ
と鬼籍に入ってゆき,さびしい限りです。元々私が一番アブナイ
と言われていましたが,私は意外とシブトイ憎まれっこのようです、
まあ,棺桶片足ですがね。。(余談終わり※)
※さて,以下,本題です。
元々,地球のエネルギーは,全て太陽由来ですから,最近の再生
可能な発電として太陽光発電と蓄電に関心があり,関連項目を
調べています。
まずエレクトロニクスの知見からおさらいします。
エレクトロにクスというのは,電子(electron)の挙動とそれを
利用した電気機器の応用などを扱う学問と理解しています,
§1.交流電流の直流化
電気の発生源が主として電気以外の水力とか,火力による
ボイラーの加熱などにより,磁極の中でコイルを回転させると
いうモーターとは逆の操作で,熱などのエネルギーを電気に変換
するという発電機に頼るため.発生されるのが周期的に正負の向き
が変わる交流電流が主流ですが,アメリカの発電機が60Hz,
ドイツのそれが50Hzだったかな?の理由で明治時代?での
導入先の違いから西日本と東日本で交流周波数が異なって
います。これはは不便なことですが,もはや双方が巨大化して
いて統一にはコストがかかりすぎるためか,現在もそのままです。
こうした発電機は古いママチャリなどで,人力でペダルをこぐこと
で前方のライトを灯すという人力発電を思い起こせば,それの大がかり
なモノが,火力などの交流発電機であろうと想像できます。
今は,送電も交流は交流のままで行なわれています。
加熱や照明など交流のままでよい機器も多いですし,近年は周波
数がどちらでも対応できる機器の開発等もされています。
それでも,ラジオ,オーディオなど直流に変換しないと使用
できない電気機器も多数あります。これは,通常,整流回路を
用いて直流化します。これには電子が陰極から陽極に向かう
電流のみを通し逆向き電流は遮断して通さない素子=整流器
を回路に挿入します。整流素子1個では半周期のみの電流で
残る半周期は空白です。そこで,2個の素子を並列に挿入した全波
(両波)整流回路を用いて残る半波空白部分をも向きをそろえて加え
るようにします。
これで,例えばI0sinωtの交流電流なら,I0|sinωt|のように
方向は直流化されますが,直流と呼ぶには波型のデコボコ(リップル)
が大きくて不安定な流れです。それ故,コンデンサを挿入してきるだけ
平滑化して自然な直流を求めます。
§2.整流素子:2極真空管とダイオード(diode)
エジソンによる電球は,真空,または希ガスを封入したガラス管で.
内部にフィラメントと呼ばれるタングステンなどの特殊金属導線
部分を作り,それが電流の増加と共に熱線と同時に光線を放射する
モノです。特に金属が熱せられると境界壁の仕事関数と呼ばれる
障壁ポテンシャルより大きい熱エネルギーを持てば自由電子が
放出される現象があり,これを熱電子といいます。
2枚の金属プレートの一方を陽極,他方を陰極と定め,陰極のみ
をフィラメントで熱を与えます。熱電子は負の電荷eを持つので
陰極から飛び出した熱電子は陽極に引かれます、そこで陽極を正
とする電圧に対しては,陽極と定めたプレートに熱電子が到達
しますが,逆の負電圧なら熱電子は陽極プレートと呼んでいても
実は陽極ではなく陰極となるために電子が到達しません。
したがって,交流電圧をかけた場合,正電圧のときのみ真空中
を熱電子の電流が流れることになり.負電圧部分では空白となる
ため,2極真空管は半波整流素子に成り得ます。これの並列+
平滑回路で全波整流平滑化可能です。
§3。固体体結晶中の電子エネルギーのバンド理論
真空中の自由電子であれば,それらは連続的な運動量(波数)を
持つ自由平面波で表わされ,そのエネルギー=運動エネルギーに
上限はありません。また,単独原子,分子であっても束縛される電子
のエネルギーは離散的ではありますが上限はないはずです。
しかし,有限な境界を持つ固体結晶内では電子が占有可能な準位
の数は限られていてPauliリの排他原理から.1準位に2個ずつの
電子を詰めていくことができます。
構成元素の内殻電子が原子核=正イオンに束縛されているのに対し
外殻電子は,周囲の他の原子との共有結合も可能て,価電子と呼ばれ
近似的に自由電子としてBlochの周期的電子となります。
この価電子をエネルギー準位の下方から順に詰めていくとある
レべルが上限となって,満杯の身動きできない充填帯と,その上に電子が
占有不可能な禁止帯と呼ばれるエネルギー帯(エネルギーバンド)構造
になります。
例えば原子番号14のシリコンSi(珪素)は価電子は4と偶数ですが,
結晶を構成する原子の価電子がmでその原子の個数がNなら占有される
準位の総数はmNです。一方,結晶格子構造の周期性から,この周期性
を持つ正イオンによる周期的ポテンシャルに従う電子のエネルギー
について,Bloch電子という近似的に自由な独立電子として周期的
境界条件を適用することで,占有可能な許容帯と,不可能な禁止帯
が交互に繰り返されます。
総数mN個の価電子を詰めて許容帯を下から充填帯にしていくと,
最後に充填していない疎らな許容帯=伝導帯が出現することがあり
ます。各原子での許容帯に入り得る価電子の個数は決まっていて同じ
個数ですが,スピン上下の2個ずつ入るので.それは偶数です。
そして,絶対温度Tのとき,準位が最上位電子はkBTのオーダー
の運動エネルギーで熱振動しています。(kBはBoltzmann定数)
ですから,もしも完全に電子順位が満杯で充填されたバンドの上の
禁止帯のエネルギーギャップの幅がkBTよりも,はるかに大きい
なら,この固体は絶縁体ですが,この禁止帯のギャップの幅がkBT
に比べて小さいなら,その1つ上の許容帯にまで電子が励起遷移される
ことがあり,この場合,この充填されていなかったバンドは伝導帯と
呼ばれて,電子が負のキャリアとして自由に動けます。同時に元の励起
前の満杯に電子で充填されていた許容帯には電荷eの電子が失われて,
相対的に電荷が(-e)>0の正孔が出現して,いわゆるドナーと呼ばれる
正のキャリアの半導体(P型半導体)になります。
逆に,満杯でなかったバンド帯に励起されて電子が加わった部分は,
負電荷過剰となり,アクセプターと呼ばれて.負のキャリアである電子
を持つ半導体(N型半導体)となります。
価電子が偶数4の元素Si(シリコン)のN個の原子の結晶では,価電子
総数は4N個であり,全ての許容帯バンドの電子許容準位数も偶数
なので,完全に電子が充填されて余りがなくなりますが,絶縁体では
なくて禁制帯のギャップが.約1.12eVと小さいことで,不純物がない
なら真性半導体と呼ばれる半導体となります。
他方,価電子が奇数の物質では,最上位のバンドが充填されず.約半分
の準位が空きで,自由に移動できる伝導電子があるため.通常は金属
導体となります。
そして.半導体のP型とN型を接着させたPN接合は2極真空管と
同じく陽極と陰極で.N→Pの電子流が一方通行なので整流素子と
なり得ます。これは半導体ダイオードと呼ばれています。
真空管に比べて,半導体によるダイオ-ドはるかに小さいモノなので
デジタル機器の直流回路で重宝されています。
§3。増幅器(アンプ),3極真空管とトランジスタ
交流電流をそのまま増幅するには変圧器があり,これは電流が
流れる部分の同じ長さ当たりのコイルの巻き数に電流量が比例
するのを利用した交流の相互誘導を用います。
しかし,直流化して増幅する増幅回路の素子としては,3極真空管
があります。これは2極黒真空管の陽極と陰極の間に,もう1枚
可動な金属板(網)を入れて,これをグリッドと呼びます。この真空管
では陰極はカソード,陽極はアノードと呼ばれています。
カソードからアノードへの熱電子流量はカソードを熱する陰極
の電流量に,ほぼ比例した特性を持ち,グリッドを移動させて飛距離
を変えることで電子流量も相応して変化させることができます。
そこで,電子流の量の過多を調節することで,元のカソード上の電流
を,増幅させる効果を持つ増幅器とみなせます。
一方,半導体によるトランジスタは,3極管のカソード,グリッド
アノードを,それぞれ,NPPなどの型の半導体接合で行なう増幅器
です。これもダイオードと同様,真空管よりはるかに小さいので
便利です。
§4.ソ-ラー電池(太陽電池)
光電効果を利用すると.Si(シリコン)やGaAs(ガリウム-ヒ素)
などの半導体表面にエネルギー:hνの光子が衝突して光電子流が
発生する光電効果を利用した起電力を光電池(ソーラー・バッテリー)
といいます。
水力エネルギーを電力に変える発電効率が.80%にも達するのに
対して,太陽光によ発電効率は現状のメーカーのソーラーパネルの
場合,高々20%程度で,80%の太陽エネルギーは無駄に空気中に
捨てていることになります。これを捨てずに蓄電できればいいの
ですがね。
ところで,熱力学第2法則によれば絶対温度T1とT2の2物体が
あるとき,熱は高温から低温にしかひとりでには移動できないと
いう第2法則があるため,熱エネルギー:Qを電気も含めた力学的
エネルギ-:Wに変化させる最大効率は,T1>T2なら,η=W/Q
=1-(T2/T1)=(T1-T2)/T1で与えられることはわかって
おり,周囲に変化を生じさせず,この熱から仕事に変えることを
繰り返す機関(サイクル)の最高効率の理想的なモノはカルノー
(Carnot)サイクルと呼ばれます。現実の実用的には,より効率
の低いガソリンサイクルやディーゼルサイクルが車のエンジン
に用いられています。
というわけで,蒸気機関車のようにボイラーの蒸気で発電機を
回して発電を行なう火力発電も.100%の効率は不可能です。
しかし,逆に電気を熱に変えることは100%可能なのですがね。
太陽光でも捨てている太陽光を蓄えて使用できればいいのですが,
効率20%で得た電気も全部使わなければ熱として消えるだけで
蓄えられません。ジュール熱という損失(ロス)がゼロなのは
超伝導体だけです。
単純には電気は大量に蓄えることができないのです、
もしもし摂氏15度から30度程度の常温,かつ1気圧の状態で
超伝導体が存在すれば,送電線などもそれで作成しロスなく電気
を蓄えることができて、それは画期的なことで電力不足を解消
できるのですが。。。
現状では約170万気圧のような高圧での水素化合物などがある
だけで,通常気圧では,極低温の物体でし超伝導体は存在せず冷却
コストのため.MRIやマイスナー効果を利用したモノレールなど
にしか使用されていません。今日はここまでです。(つづく)
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