経済・政治・国際

2007年8月19日 (日)

朝鮮人強制連行の記録

 行き着けのスナックのママに「日本は朝鮮をただ植民地にしただけで植民地ならイギリスとかヨーロッパもやっているのに何故日本だけこんなに嫌われてるの?」というような内容の質問を受けました。

 

 そのときは,「日本は単に植民地支配をしたというだけじゃなくて,朝鮮民族の"アイデンティティ"を否定し踏みにじった。彼等の姓を日本姓に変更させたり日本語教育をして土着の言語や文化を否定し,無理矢理日本語を話すことを強要したし,文化的侵略をしたことが大きい。」と答えました。

 こういうことがあって,かつて30年以上も前,ほんの若造だった学生時代に,学生運動の中で部落や在日など階級差別ではない身分差別関係の分析研究をするグループに属していたこともあって,必要に迫られて買って読んだ,朴慶植 著の「朝鮮人強制連行の記録」(未来社)を引っ張り出してきて,久しぶりに読んでみました。

     

1923年の関東大震災の際に虐殺された朝鮮人たちの死体群の写真や1930年の間島事件のとき惨殺された人々の,納屋かどこかにゴロゴロ転がっている生首群の写真などを改めて見たのも,結構衝撃的でした。

 

そして,1939年から1945年まで続いたらしい強制連行の時代の,当時徴用された朝鮮人や連行した当事者,あるいは炭鉱などで朝鮮人と一緒に働いていた日本人の体験談を読んでみても,改めて胸に迫まってくるものがありました。

 

例えば,三井系の三池染料で働いていた足立氏の話によると,「昭和16年から18年からちょっと記憶にないのですが朝鮮から数百名の青年を連れてきました。...(中略)

 

 これらの人たちは,通勤服も仕事着も一つで着替えを持っている人はいませんでした。

 

 そうでしょう,終戦後,この朝鮮人を徴用に行った労務の係長から聞いたことですが『憲兵と共に釜山に上陸し,トラックを持って,町を歩いている者,田んぼで仕事をしている者など手当たり次第,役に立ちそうな人は片っぱしからそのままトラックに乗せて船まで送り,日本に連れてきた,まったく今考えると無茶苦茶ですよ。徴用というが,人さらいですよ』と話していました。

 

 ですから着替えもなにもない,着たきり雀です。」ということです。

 これによると,今と違って戦時中とはいえ,まったくとんでもないことに数百人単位で組織的に公然と拉致が行なわれていたらしいですね。

 

 まあ,日本人の中には,強制連行などなかった。とかでっちあげだ。とか主張される方も結構おられるようですし,書かれた資料まで捏造であると言われれば,あくまで"情況証拠"でしかないので,その場にいた当事者でない限りは単なる伝聞なのです。

 

 それを信じるか否かは,個人的な問題に過ぎないわけですが。。。。

 ただ,私は実際現在も恨まれていることもあるし,"火のないところに煙は立たない。"ので,こうした大量拉致については割と信憑生があると思っています。

 

 過去にこうしたことがあったから,日本がもっと人数的に規模の小さい日本人や韓国人などの拉致を問題にしても,逆に北朝鮮から過去の罪について非難を受けたり,また韓国人の関心が比較的低いことの理由の一端にもなっているのではないかと思います。

「戦後60年以上も経っており,かつての惨虐行為や拉致など人非人的なことをしたとしても,それは我々の祖父母や父母のしたことであって,我々が直接手を下したわけじゃない。いつまでグダグダ言ってるんだ。」という意見もあることはわかっていますが,恐ろしいことに我々はそうした人非人の血を受け継いでいるのです。

「罪を憎んで人を憎まず。」とか,あるいは「父親が殺人を犯しても,その子供には罪はない。」などと頭ではそう考えて,そのように主張することがありますが,家族に殺人犯などがいると,その近親者も社会的に普通には生きていけない,のが現実です。

 

もっとも,それがいいとは思いませんが。。。。

 

しかし,我々がかつて植民地としていた,かの国の民から嫌われるのも,ある意味では仕方のないことだと言えます。

 

どうでもいいけど,念のために言っておきますが,私自身は在日あるいは土着の朝鮮人でも被差別部落民でもありません。むしろ,身分的には比較的恵まれた身として生まれてきたことを恥じています。 

参考文献:朴慶植 著「朝鮮人強制連行の記録」(未来社)(1965)

 

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