115. 素粒子論

2017年8月12日 (土)

3重3元クォ-ク模型の束縛ポテンシャル(修士論文;その2)

(つづきです。)
 

§4. 2体系,3体系,および,4体系についての考察 

(3-3)式に基づいて,クォーク,反クォークのさまざまな複合系

質量準位を見積もるわけであるが,まず,最も簡単な2,3,4

体系についての共鳴粒子を考察してみよう。
 

()2体系と3体系 

まず,(2)を考えると, 

-~系では, 

qq~=v12{(1-a)Λ1Λ~2+b} 

=v12{(1-a)(C-21)/2+b}..(4-1)
 

-q系では, 

qq~=v12{(1+a)Λ1Λ~2+b} 

=v12{(1+a)(C-21)/2+b}..(4-2)
 

また,qqq系では, 

qqq(1+a)(12Λ1Λ2+v23Λ2Λ3+v31Λ3Λ1) 

+b(12+v23+v31) 

{(1+a)/2} 

×{12(2(1,2)21)+v23(2(2,3)21)+v12(2(3.1)21)} 

+b(12+v23+v31) ..(4-3)
 

qqq~系では, 

qqq~(1+a)12Λ1Λ2(1-a)(23Λ2Λ3+v31Λ3Λ1) 

+b(12+v23+v31)  ..(4-4) である。
 

そこで,現在,観測にかかっている通常のハドロンが 

クォーク-反クォーク対;(qq~)あるいは3つの 

クォーク系:(qqq)のみのカラー1重項共鳴粒子

のみであることを要求する。
 

つまり, qq~,qqqがC=0 のとき最小となり,その基底状態

での値をVqq~min,qqqminとおくとき, 

2M+Vqq~min0, 3M+Vqqqmin0 ..(4-5)となることを

要求するのである。Mは.もちろん,クォーク質量である。 

そうすれば,必要条件として,1-a>0,1+a>0 要求

される。
 

そしてC=0 でC2(1,2)=C2(2,3)=C2(3.1)4/3となるので, 

qq~min=v[{(1-a)/2}(21)+b]

{(4/3)(1-a)+b} 

qqqmin=v{(1+a)/2}(4/3)×33]

{2(1+a)3}..(4-6)
 

ここでvは,ijには最大の固有値があるが,その量子効果を無視

した近似を考えているのでvij自身のr=r0における最大値で

あると考えてよい。
 

(4-5),(4-6)をb,Mについて解けば, 

b=8/3、M=(2/3)(13)..(4-7) となる。
 

スカラーの1重項の寄与は系をつくる粒子の個数の増加に対して

2次的に増大する傾向を持つので,qq~,qqq以外の共鳴粒子

の質量準位を上げる効果と考えれば,好都合である。

そのためには,b>1とするのが望ましい。
 

そこで,このことと,1-a>0,1+a>0,および,M>0

考え合わせることによって, 0 <a<1/3..(4-8) 

のように,aの範囲を制限しなければならないことがわかる。
 

一方,こうした条件下でVqqを考えると,(4-2)ででv12

常に正であることから,系が反対称3重項をつくるとき最小

なる。
 

一般に,SU(3)のk重項状態でのVqq。。q.の固有値を

qq。。q(k)と書くことにすれば,qq(3*)212(3a-1)

が得られる。3a-1<0 ,これはv12=vのとき

最小となる。

すなわち, qqmin=Vqq(3)min)2(3a-1)

=-M。そこで,2M+Vqqmin ~ M..(4-9)
 

また,qq~,qqqのSU(3)cの高次の既約表現空間

の基底をなす状態を見積もると,qq~の8重項では, 

qq~(8)(15a+1)12/6 よりVqq~(8)min0 

であるから,2M+Vqq~(8)min 2..(4-10) 

である。
 

qqqの8重項(C=3)の状態は,粒子1.2が反対称

重項をつくっている状態:|(1.2)33>と粒子1.

が反対称3重項をつくっている状態:|(1.3) 32>の

重ね合わせで与えられる。
 

テンソル表現を用いて,これらの状態の変換性を調べると, 

{qqq(8/3)(12+v23+v31)}|(1.2)33 

=-{(1+a)/6}(412+v23-v31)}|(1.2)33 

{(1+a)/2}(23-v31)}|(1.3)32 

{qqq(8/3)(12+v23+v31)}|(1.3)32 

{(1+a)/2}(23-v12)}|(1.2)33 

{(1+a)/6}(431+v23-v12)}|(1.3)32
 

これから,固有値方程式を解くと.  

qqq(8){(15a-1)/6}(12+v23+v31) 

±{(1+a)/2}

(122+v232+v31 2-v1223-v2331-v3112)1/2
 

§3の最後の注釈からVqqq(8)が最小になるのは,12,23,3

1全てがv,2つがvで1つがゼロ,1つがvで2つがゼロ,

あるいは,全てがゼロのいずれかである。 

つまり.qqq(8)min.

(15a-1)v/2,(27a-5)v/6,2(3a―1)/2,0 の4つの値

のうちの最小値より小さくはないことがわかります。
 

いずれの場合も.3M=2(13)をこれに加えて,系全体

の質量を見積もることができて, 

結局,3M+Vqqq(8)min(7/4).(4-11) を得る。
 

qqq-10重項では,

qqq(10){(9a+1)/3}(12+v23+v31)}より, 

qqq(10)min0, 3M+Vqqq(10)min)3.(4-12)
 

さらに3体のトライアリティが1の系:qqq~

を考える。
 

これは2つの独立な3重項,6重項,および15重項を

形成することがわかる。

(※すなわち,3×3×3=3+3+615)
 

表現を用いて各多重項に対し,(4-4)のVqqq~の固有値を

計算すると, 

qqq~(3)(8/5)(12+v23+v31)

(12/7)(1-a)(23+v31)(1/6)(1+a)12 

±(1/4)[8(1-a)2(31-v23){2(1-a)12

(1-a)(23+v31)}2]1/2, 

qqq~(6*)(2/3)(3a-1)12(1/6)(15a+1)(23+v31) 

qqq~(15)(1/8)(9a-1)12(1/6)(15a+1)(23+v31)
 

重項については,12,23,31の各々についてvか0かの,

いずれかを割り当てる6通りの組み合わせを考えることに

よって, 

3M+Vqqq~(3)min ≧min{(/4)(5-a)(17210a+9)1/2.

(/3)(13)} ..(4-13) 

これを見ると,0 <a<1/3では3M+Vqqq~(3)min0では

あるが, 特に,1/9≦a<1/3なら,3M+Vqqq~(3)min ≧Mとなる

ことがわかる。
 

また,6重項,15重項については,容易にわかるように, 

3M+Vqqq~(6*)min 2, 3M+Vqqq~(15)min3..(414)

を得る。
 

()4体系 

1) まず,4体のトライアリティがゼロの系:qqq~~

を考える。

1,2がクォーク,3,4が反クォークの粒子番号に

対応すると考えれば, 

qqq~q~(1+a)(12Λ1Λ2+v3~4~Λ~3Λ~4) 

(1-a)(13~Λ1Λ~3+v24~Λ2Λ~4 +v14~Λ1Λ~4

+v23~Λ2Λ~3)

(8/3)( 12+v3~4~+v13~+v24~ +v14~+v23~).(4-15) 

である。
 

×3×3×3=1+1+8+8+8+8+101027

という既約分解が成立するので,カラー1重項(C=0)の状態

,2つの(直交はしないが)1次独立な1重項状態の線形結合

で表わされる。
 

Lipkin(参照[1])の記法に従って,それらを

α>=|(1,2)1(3,4)1,|β>=|(1,4)1(2,3)1>で表わすこと

にする。
 

qqq~q~=Vqqq~q~

(8/3)( 12+v3~4~+v13~+v24~ +v14~+v23~) とおけば, 

qqq~q~|α> 

(1/6){(1-a)2(1+a)38(1-a)1}|α> 

(1/2){(1+a)3(1-a)2}|β> 

qqq~q~|β> 

(1/2){(1+a)3(1-a)1}|α 

(1/6){(1-a)1(1+a)38(1-a)2}|β>

を得る。 

ここに,1=v13~+v24~,2=v14~+v23~,

3=v12+v3~4~ である。
 

したがって,qqq~q~の2つの固有値の内小さい方は 

qqq~q~(1)(8/3)(1+u2+u3)(7/12)(1-a)(1+u2) 

(1/6)(1+a)3 

(1/4)[8(1-a)2(1-u2)2{2(1+a)3

(1-a)(1+u2)}2]1/2 ..(4-16) となり, 

1,2,3,各々独立に0から2vを取り得る引数

と考えることができる。
 

これが最小となる5つの場合について調べると, 

 10でu22,30,またはu20,32

の場合:qqq~q~(1)(8/3)(3a―1) ~ -4M より,

4M+qqq~q~(1) ~ 0(4-17)となるが,これは2つのqq~系が

互いに束縛されず,独立に中間子を構成して散乱状態を

つくっている場合だと考えられる。
 

② u1=u22,30 の場合: 

qqq~q~(1)(2/3)(21a―5) ゆえ,

 4M+Vqqq~q~(1) (2/3)(9a―1)

③ u20であって,12,30,

またはu10,32v の場合: 

qqq~q~(1)(9/3)(23a-3)

(/2)(17210a+9)1/2より, 

4M+Vqqq~q~(1)

(7/6)(3a+1)v-(/2)(17210a+9)1/2

④ u1=u2=u32v の場合: 

qqq~q~(1)(2/3)(6a―1), 

 4M+Vqqq~q~(1) =8av

⑤ u1=u20,32v の場合: 

qqq~q~(1)(4/3)(13) ~ -2, 

 4M+Vqqq~q~(1) 2M である。 

これは2つのq-q共鳴粒子(qq),(~~)の散乱状態

対応している。

そこで,qq~,aるいはqqによる共鳴状態を除外すると, 

 ,,④から,4M+Vqqq~q~(1)≧min{(2/3)(9a―1), 

(7/6)(6a-1)(/2)(17210a+9)1/2,8av}..(4-18) 

となることがわかる。
 

特に,1/9<a<1/3なら4M+Vqqq~q~(1)0 ,

1/6<a<1/3なら中間子散乱状態を除くと,

4M+Vqqq~q~(1)≧M を得る。
 

次に8重項は,一般に4つの独立な状態の重ね合わせだから, 

重項の場合と同じようにして,qqq~q~の固有値を求める

永年方程式をつくると,λを未知数として

=0 ..(4-19) となる。
 

しかし,この4次方程式を解くのはかなり面倒である。  

(※↑拡大しないと見えないかもしれないが,詳細は本題

には,あまり関係ありません。)

 
そこで,§3の最後の議論に従って,ij0,またはvを取る

さまざまな場合について場合分けして,4M+Vqqq~q~(8)の下限

を見積もることにする。
 

18通りの場合について,4M+Vqqq~q~(8)を見積もると, 

それらは, 

4,(/2)(13a+3),(/6)(25a+7),(/6)(33a+7), 

(/3)(1327),(4/3)(13),(/3)(11a+3), 

(3/2)(1-a),(/12)(4129)(/4)(41214a+9)1/2, 

(/3)(5a+7),(1-a),(/6)(115),(/6)(913), 

2,(2/3)(1+a),(/3)(35),2,3,  


  以上であることがわかった。

 

ここで計算に必要な際には,-2/3 ≦ <ΛiΛj>≦1/3.  

-4/3 ≦<ΛiΛ~j>≦1/6 を用いた。
 

そこで, 4M+Vqqq~q~(8)min,これら18個の値のうちの

最小値より小さくはないことがわ0かる。
 

このことから直ちに,0<a<1/3のとき,

4M+Vqqq~q~(8)min≧M ..(4-20) を得る。
 

10重項,10重項や,27重項では,qqq~q~の固有値は容易に計算

できる。 

qqq~q~(10)

(8/3)( 12+v3~4~+v13~+v24~ +v14~+v23~) 

{(1+a)/3}(1223~4~)

+{(1-a)/6}(13~+v14~+v23~+v24~) 

qqq~q~(10*)

(8/3)( 12+v3~4~+v13~+v24~ +v14~+v23~) 

{(1+a)/3}(3~4~212)

+{(1-a)/6}(13~+v14~+v23~+v24~) 

qqq~q~(27)

(8/3)( 12+v3~4~+v13~+v24~ +v14~+v23~) 

{(1+a)/3}(12+v3~4~)

+{(1-a)/6}(13~+v14~+v23~+v24~).(4-21)

となる。
 

したがって,qqq~q~(10)min=Vqqq~q~(10*)mon=-M.

qqq~q~(27)min0, すなわち,

4M+Vqqq~q~(10)min=4M+Vqqq~q~(10*)mon 3.  

4M+Vqqq~q~(27)min 4M  ...(4-22)

を得る。
 

2) 次に,4体のトライアリティが1の系:qqqq

を考える。 

qqqq

(1+a)(12Λ1Λ2+v13Λ1Λ3+v24Λ2Λ4 +v14Λ1Λ4 

+v23Λ2Λ3+v34Λ3Λ4) 

(8/3)( 12+v34+v13+v24 +v14+v23)..(4-23)
 

§3の最後の論旨から,これの最小固有値は6つのvij

のうち,いくつかが 0,残りがvをとるという,さまざまな場合

の最小固有値よりも小さくはないことがわかっている。
 

そこで,各場合について逐一固有値の大きさを評価すると,

qqq~~の場合と同様な方法により,下限を計算できる。
 

 全てがvのとき,  

4M+Vqqqq(2/3)(9a+1)
 

 つだけ 0 で残りのvijがvのとき, 

4M+Vqqqq(/3)(9a+1)
 

 つがvで2つが 0 のとき, 

4M+Vqqqq≧v((1+a)
 

 つがvで残りが 0 のとき, 

4M+Vqqqq≧M  

最小値Mをとるのは,1重項重粒子とクォークの散乱状態

である。
 

 つがv,残りの4つが 0 のとき,  

4M+Vqqqq2
 

 つがvで残りの全てが 0 のとき,  

4M+Vqqqq3
 

 全てのvij0 のとき, 

4M+Vqqqq4

以上から,0<a<1/3のとき, 

4M+Vqqqqmin≧min{(/3)(9a+1),}..(4-24) 

そこで,質量準位の下限はaを適当に選ぶことによって十分

大きい値になり得ることがわかる。
 

3) 最後に,4体のトライアリティが2の系:

qqqq~については, 

qqqq~(1+a)(12Λ1Λ2+v23Λ2Λ3+v31Λ3Λ1 ) 

(1-a)(14~Λ1Λ~4+v24~Λ2Λ~4+v34~Λ3Λ~4) 

(8/3)(12+v23+v31+v14~+v24~+v34~)..(4-25)
 

これの最小固有値もまた,qqqqminと全く同じ場合分けに

よって下限を見積もることができる。
 

すなわち,同じように7つの場合について,4M+Vqqqq~

の下限を計算すると,/3)(9a+1),(/3)(9a+1),

③v(1-a),④M,⑤M,2,4M が得られる。

 ここで,,⑤では,最小値Mを取るには,それぞれ

 カラー1重項重粒子と反クォークq~,および,3重項

 のqqと中間子qq~の散乱状態, の場合である。

 以上からqqqq~の場合にもやはり,0<a</3なら,

 4M+Vqqqq~ min≧min{(/3)(9a+1),}..(4-26)

 である。

§5 一般の系(- クォーク・反クォーク系)に関しての推論

§4で,2,3,4体の-クォーク・反クォーク系のあらゆる共鳴状態

を考察した結果,4体系までに関する限り,aを適当に選べばMに

比して無視できる質量スペクトルの領域で中間子qq~,重粒子

qqqというカラー1重項粒子しか存在し得ないことを知った。

体以上の系でも,同様な考察によって逐一検討することは,

原理的には可能であるが非常に複雑となるであろう。

そこで,全てのnq個のクォークと,q^個の反クォークとが存在

する一般の系で,共鳴粒子の状態を全ての粒子が十分密に近接

して配置されている状態と捉えることによって,共鳴粒子状態

のポテンシャル,および,質量準位の大きさを見積もる方法を

考える。

つまり, 中間子qq~,重粒子qqq,その他qq,qqq~,

qqq~q~等,さまざまの共鳴粒子の散乱状態を除いて,そのほか

に安定な状態が存在すれば,

それが,nq+nq^個のクォーク,反クォーク全体系による共鳴粒子

状態であって,そうした状態では全てのクォーク,あるいは

反クォークは相互にrq前後の距離で近接していると考える

である。

そうするとvijの平均として<v>をくくり出す近似が

(3-3)適用できる。つまり,

(q,q~)|(1+a)/2}<v>

×{Σi=,j=q,i≠jΛiΛ+Σi=~,j=q~,i≠jΛ~iΛ~j}

(1-a)<v>Σi=,j=q~,i≠jΛiΛ~j

(8/3)(<v>/2)Σ≠j1 .と書ける。

この式は,全体系, q個のクォーク系,q~個の反クォーク系,

に対する2次のCasimir演算子:,q,q~を用いて容易に

変形されて,(q,q~)|(1+a)/2}<v>C

+a<v>(q+Cq~)

{(1-a)/2}<v>(q+nq~)1

(4/3)(<v>(q+nq~)(q+nq~1).(5-1)

となる。

ここで,Σi=,j=q~,i≠jΛiΛ~j(1/2)(C-Cq-Cq~)

を用いた。

(5-1)を見れば,やはり,,q,q~が小さいほど,

つまり,既約表現の次元が低いほど,ポテンシャルも低くなる

傾向にあることが明白である。

(5-1)のV(q,q~)が最も小さくなるのはC=0,かつ,

q=Cq~0 が可能なときであり,そのとき系全体の

つくる共鳴粒子の質量をμ(q,q~)とおけば,

μ(q,q~) (q,+nq~)M+Vmin(q,q~)

(2/3)(v-<v>)(13)(q,+nq~)

(4/3)a<v>(q+nq~)(q+nq~1)..(5-2)

が得られる。

0<<v><v,0<a<1/3であるから,<v>がnq,q~

の増加に対して減少する可能性を考慮しても, q+nq~4

では,aの選び方如何でμ(q,q~)をMと比較して無視

できない程の大きさにできることは明白である。

(参考文献):

[1] H.J.Lipkin : Phys,Lett;45B(1973)p267

{2} A.D.Dolgov,L.B.Okun and V.I.Zakharov:Phys.Lett 49B(1974)p455

[3] H.J.Lipkin : Phys,Lett. 58B(1975)p97

[4] M.V.Han and Y.Nambu : Phys.Rev.139B(1965)p1005

[5] O.W.Greenberg and D.Zwanziger:Phys.Rev,150(1966)p1177


今日は,自己の思い出だけの拙い論文の晒しモノだけでした。

PS:2007年12/28の10年前の過去記事:

「新しいタイプの中間子(谷川先生の思い出)」で,

次のように書いたのを思い出しました。

※ どうも世事に疎いのですが,1976年の私の修士論文「Quark Molecule」

の中でそれとなく予測していたエキゾチックな素粒子(exotic particles)

の1種,"4体クォーク=(クォーク2個+反クォーク2個)"の

カラーSU(3)の反対称1重項(シングレット:siglet)の共鳴状態 ,

または束縛状態から成る新しい型の中間子)がこの10月にKEK

(つくば市の高エネルギー加速器研究機構)で見つかったらしい

ですね。。(↑「KEKプレス(Bell実験で新種の中間子を発見)」)

 例えば,フレイバーとしてアップクォーク=uの1種だけから構成される4体クォーク中間子なら,u~をuの反粒子の表記として, uuu~u~ なる電気的に中性な素粒子が考えられますね。

 何か質量がヘリウム(4He2)くらいもある重い粒子だそうな。。

 私の学生時代の30年以上も前の加速器じゃ無理ですね。

 それにしてもボソン(Boson)という理由だけで,こんな重い粒子も中間子と呼んでいいのでしょうか?

10年前に書いた記事の転載でした。※)

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3重3元クォ-ク模型の束縛ポテンシャル(修士論文;その1)

今から約役40年前の私の院生時代の本当の研究課題は

QEDにおるアノマリー関連問題である,などと自認

していましたが,それでは修士論文のテーマとしては

重荷過ぎて,当時の実力では,そうしたものを修了学年

書き上げることは不可能に近かったので,不本意

ながらクォークモデル関連の論文で,お茶を濁しました。
 

ブログ開始から11,今さら匿名にしても無意味でしょう。
 

私は,1976年当時,26歳で,神戸大学の谷川(安孝)研究室に

在籍していて北添徹郎助教授の指導で書いた論文を提出し.

取りあえず奥の院は修了したのでした。
 

風のうわさでは,北添さんはその後,宮崎大学教授になられ

何やら素粒子論とはかけ離れた研究をしていた。

と聞きました。
 

私は,その後,当時自大学には博士過程がなかったので,他大学

の博士課程進学を希望し,谷川先生には推薦状を書いて頂き

したが.2までしか書かない,と言われたので.厳選して

を受けました。
 

しかし,いずれも落ちました。

  当時は第2次?オイルショック
で就職難の時代でしたが,

アルバイトで食いつなぎながら.もう1年聴講生という形で

同じ研究室に残らせてもらい,再び論文を書いて博士課程

受験を画策しましたが,うまくいかず,谷川先生らに会社

などへの就職を薦められ,1977年には東京で27歳で,遅い

サラリーマンとなりました。
 

当時,同じ研究室の同窓生は2名だけで,唯一同窓のH君は

1976に広大理論研に合格してそこに行ったと聞きましたが

その後の消息は不明です。
 

さて,私が1976年に提出した拙い,恥ずかしい論文の控えを

ほぼ原文のまま,アップします。
 

論文は,内容が優れていれば長さではないと思いますが,学生

卒業論文や学位論文の多くは長さで勝負みたいなところが

あり,私のはA416ページくらいしかなく,それでも本当は

明示の必要のない裏計算の経緯なども載せてページを稼いで

います。
  
(↑※一応,「素粒子論研究」1976年6月号)に

「Quark Molecule」という題名で投稿したレポート

もあります。)

  しかし,ブログ記事としては長いと思うので,2回に分けて

連続アップにします。

  
以下は本文です。
 

33元クォ-ク模型の束縛ポテンシャルについて」

 (19762)
 
 

§1.序文 

1973,H.J.Lipkin33元クォ-クを束縛して複合粒子を

つくる非常に強い相互作用がカラー・ベクトルグルオンの

交換相互作用に起因しているという仮説に基づいて,1つの

束縛ポテンシャルの模型を提示した。(参照(1))
 

それによると,現在,観測にかかっているハドロンの質量

,クォークの質量と比較して無視できるほど小さいと

すれば,そうした質量スペクトルの領域でカラー1重項状態

の共鳴粒子のみが観測され,それゆえ,トライアリティゼロ

の共鳴粒子しか見出され得ないという結論に達している。

 
しかも,4体のトライアリティがゼロの複合系:qqq~~

関しては,カラー1重項の状態でも,もはや通常の中間子:

qq~が2個の散乱状態よりも安定な状態は実現され得ない

ので,結局,観測可能な領域での通常の中間子:qq~,および.

重粒子:qqq以外に余分の共鳴粒子(Exotic particle)

見出され得ないことが示されている。
 

しかし,これは束縛ポテンシャルの空間依存性がクーロン型

や調和振動子型のように,2粒子間の距離の変化に対して,

十分緩やか,かつ単調であるという仮定に基づいた近似に

よって示されることであった。
 

クォーク複合系がこうした緩やかで単調な中心力ポテンシャル

によって束縛されていると考えたときには,非相対論的量子力学

でよく知られているように,系の振動エネルギーと回転エネルギー

の大きさの程度がほぼ同一となり,


 
通常のハドロンがqq~,または
qqqの基底状態,および,その

回転励起状態のみで分類し尽くされる,という事実に矛盾した

結果を招くことになってしまう。
 

そこで,クォークが何らかの構造を持ち,そのために

ポテンシャル の空間依存性が分子型,つまり,2粒子間の有限な

距離で極値をとるような型になると考えれば,この困難は解消

されるように見える。
 

ところが,最近のDolgov-Okun-Zakharovの論文(参照[2])

よれば,Lipkinの提唱したものと同じ型のポテンシャルで,その

空間依存部分を分子型にすると,クォーク,反クォークの4体型

,あるいは5体の複合系で,通常のハドロンより低い質量スペクトル

を持つ共鳴粒子が存在しなければならないことがわかる。
 

こうした困難をカラー以外の自由度の効果を考えることなく, 

解決することが,この論文の目的である。
 

§3以下に示すように,カラーSU(3)群=SU(3)cの8重項 

ベクトルグルオンの他に8重項スカラーグルオン,および,  

1重項スカラーグルオン,を交換する相互作用を導入すると
 

ポテンシャルの空間部分を分子型として,通常のハドロン 

領域には,qq~,qqqqのカラー1重項の共鳴粒子しか 

出現し得ないという結論を引き出すことができる。
 

§2.Dolgov-Okun-Zakahrovの論文(参照[2])の概観 

クォーク,反クォークの任意のn体系に対して,Lipkinの提唱

したポテンシャルの型式は,

 V=(1/2)ΣijijΛiσΛσ ..(2-1) 
 

ここで,Λiσ(σ=1.2...8)はi番目のクォーク(反クォーク)

作用するSU(3)8個の生成元演算子,あるいは,その行列

表現である。
 

(2-1)においてvij ()が常に正で,有限な距離:r=r0において, 

極大値:vをとるような分子型ポテンシャルの場合を考えてみよう。
 

クォーク-反クォーク対:qq~,3つのクォーク:qqq

 対しては,このVは,

qq~=v12Λ1σΛ2σ(12/2)(C-21),..(2-2) qqq=v12Λ1σΛ2σ+v23Λ2σΛ3σ+v31Λ3σΛ1σ 

(12/2){2(1,2)21}(23/2){2(2,3)21} 

(31/2){2(3,1)21}  ..(2-2) となる。
 

ここに,,1,2,それぞれ,全系,1粒子,2粒子の 

次の)Casimir演算子である。
 

(2-2)を見れば,qq~,qqqは共にC=0で最小になり,それは

さらに,12=v,あるいは,12=v23=v31=vのとき最小値

をとることがわかる。
 

それらの最小値をVqq~min,qqqmin,と書けば,

qq~min=-vC1,qqqmin=-(3/2)vC1 となる。
 

そこでクォーク質量MをM=vC1/2(2/3)..(2-3) 

によって与えると,カラー1重項の中間子:qq~,重粒子

:qqqの質量は,Mに比して無視できるほど小さくなる。
 

一方,4体のトライアリティがゼロの系:qqq~~

2つのクォークと2つの反クォークが図-1のように,一辺

がr0の正方形の頂点を構成しているような特殊な配置を

考えると,

,

qqq~q~=v(Λ1σΛ3σ+Λ1σΛ4σ+Λ2σΛ3σ+Λ2σΛ4σ) 

+v12Λ1σΛ2σ+v34Λ3σΛ4σ 

(/2)(C-41)(1/2)(12-v){2(1,2)21} 

(1/2)(34-v){2(3,4)21}..(2-4)となる。
 

これは,1,2~,および,3,4~,それぞれ6重項

つくり,全体として重項をつくるようなカラー状態: 

つまり, 2(1,2)=C2(3,4)10/3,かつ,C=0であるような 

状態で最小になるが,このことから, 

4M+Vqqq~q~min(1/6)((12+v342) ..(2-5) 

が得られる。
 

(2-5において,12<v,34<vが明らかなので,結局, 

qqq~q~の共鳴状態では4M+Vqqq~q~min0となって

しまう。

 同様
なことは5,あるいは6体に対しても生じ.結局,

(2-1)のようなポテンシャルモデルでvijを分子型に選ぶ

,中間子:qq~,重粒子:qqqよりも小さい共鳴の存在

余儀なくされる。
 

これがDolgov-Okun-Zakharovの得た結論である。
 

§3.新しい束縛ポテンシャルの導入と複号共鳴粒子状態 

クォークの質量,および,束縛エネルギーが,通常の

ハドロンの質量に比して極端に大きく,束縛状態では

クォークの内部運動エネルギーが相当小さいと考えた

ときには非相対論的近似が有効である。
 

そして,1つの仮想グルオンを交換する全ての摂動の2次

のグラフの寄与の総和で与えられる2次の散乱振幅を1次

のポテンシャル散乱の散乱振幅,つまり,Born近似による

散乱振幅と対応させることによって,束縛ポテンシャルを

近似的に与えることができる。
 

すなわち,まず,クォークの複合系を束縛する

強力相互作用のハミルトニアン密度:int()

として,次の形式のものを導入する。
 

int()≡gV:Ψ~α()γμ(Λσ)αβσμ()Ψβ() 

+gSΨ~α()(Λ0)αβσ()Ψβ()..(3-1)
 

 ここに,Ψ()はカラー・クォークの,(),()

,カラー・グルオンの場を定める演算子,  

(Λσ)αβ(σ=1,2,..,8;α,β=1,2,3),SU(3)

 生成元の3×3表現行列要素,また,(Λ0)αβ=δαβ

である。
 

(3-1)で与えられるintに従って,始状態:|i>から

終状態: |f>に弾性散乱を受けるときの振幅の2次の近似

を非相対論的ポテンシャルに対応づける:
 

{(i)2/2!}∫d4xd4y<f|{int()int()}|i>/<0||0> 

(2πi)δ(f-Ei)∫d33(2π)-6 

exp{i(121'2')} 

[χ2’(2')χ1'(1')(,)χ1(1)χ2(2)]

..(3-2)
 

これによって,(,)を束縛ポテンシャルとして定義する

ことにする。

ここに,()4成分Diracスピノルの大成分,つまり

スピン波動関数であり,χはSU(3)の基本表現に

おけるカラー波動関数である。
 

また,プライムは終状態に,プライムの無いものは始状態

に対応しているものとする。

SU(3)8個の生成元演算子:Λσ,および,単位演算子:

Λ0反クォークを基底とする行列表現の要素を,便宜上,

(Λ~σ)αβ,および,(Λ~0)αβと置くことにすれば,全ての

2次のFeynman,それに対応する振幅は次のようになる。
 

 -q散乱について,非相対論的極限で考えられるものは ,

()V2(χ1’Λ1σχ1)(χ2’Λ2σχ2)((1’)(1))

((2’)(2))×(伝播関数依存部分) 

()S2(χ1’Λ1σχ1)(χ2’Λ2σχ2)((1’)(1))

((2’)(2))×(伝播関数依存部分) 

()S2(χ1’Λ10χ1)(χ2’Λ2oχ2)((1’)(1))

((2’)(2))×(伝播関数依存部分)
 

 -~散乱では,上式でSU(3)の生成元行列:ΛをΛ~でΛ0

をΛ0~.Pauliスピノル:()をv()で置き換えたものが

得られる。


 

()V2(χ1’Λ1σχ1)(χ2’Λ~2σχ2)((1’)(1))

((2’)(2))×(伝播関数依存部分) 

()S2(χ1’Λ1σχ1)(χ2’Λ~2σχ2)((1’)(1))

((2’)(2))×(伝播関数依存部分) 

()S2(χ1’Λ10χ1)(χ2’Λ~2oχ2)((1’)(1))

((2’)(2))×(伝播関数依存部分) 

を得る。
 

ここで,(Λσ)αβ(Λ~σ)αβ,(Λ0)αβ(Λ~0)αβの関係

を明らかにさせておこう。
 

カラー・クォークqαの場の演算子をΨα^としたとき,

Λ^σをSU(3)の生成元演算子とすれば,交換関係は簡単な

考察によって評価できて, 

[Λ^σ,Ψα^](Λσ)αβΨβ^と書けるので, 

|α>=Ψα^|0,|~α>=Ψα^|0,Λ^σ0>=0

から,(Λ~σ)αβ=-(Λσ)βα=-(Λσ)Tαβを得る。
 

同様な考察から,(Λ~0)αβ=-(Λ0)βα=-δαβも得らえる。
 

以上の考察から,8重項ベクトルグルオン,8重項スカラー

グルオン,1重項スカラーグルオンの交換による非相対論的

束縛ポテンシャルの模型として,次のような一般形が得られる。
 

すなわち,任意個数nのクォーク反クォーク複号系の

総ポテンシャルをV()で記述すれば, 

()|(1+a)/2}{Σi=,j=q,i≠jijΛiΛj

+Σi=~,j=q~,i≠jijΛ~iΛ~j} 

(1-a)Σi=,j=q~,i≠jijΛiΛ~j(/2)Σ≠jij .(3-3)

と書ける。
 

ここで, ij,,j間の距離rijのみに依存する因子である。
 

,bはそれぞれ,8重項スカラーグルオン,1重項スカラー

グルオンのポテンシャルへの寄与に対応した実定数である。 

また,感嘆のために,ΛiσΛjσをΛiΛjと略記した。
 

ところで,n体共鳴粒子状態が存在するとすれば,それは必ず,

このV()固有状態でなければならないことは明らかである。
 

こうしたV()の固有値のうちで最小の値を与える状態,

つまり,n体系の基底状態は,零点振動などの量子効果を無視

した近似では,(n+1)/2個のvijのうち,いくつかがその

上限値をとり,残りのものが下限値を取るような粒子配置に

おいて実現されることが以下の簡単な考察からわかる。
 

すなわち,n体波動関数のカラー状態だけを指定する部分だけ

は任意に固定しておいて,カラー波動関数のみによるV()

期待値を考えると,

 
これは.
 |(1+a)/2}{Σi=,j=q,i≠jij<ΛiΛj

+Σi=~,j=q~,i≠jij<Λ~iΛ~j} 

(1-a)Σi=,j=q~,i≠jij<ΛiΛ~j>

(/2)Σ≠jij  というvij に関する1次関数となる。
 

したがって,この式でvij の各々を独立変数として扱えると

仮定すれば,

係数:(1+a)<ΛiΛj>+b.(1+a)<Λ~iΛ~j+bや,

(1-a)<ΛiΛ~j>+bの正,負に応じて,ijの下限,上限を

割り当てることによって問題としているカラー状態における

最小の固有値が得られるはずである。
 

もちろん, ijの全てを独立にとれるわけではなく実際の

粒子配置で考える際には,基底状態のポテンシャルが,ij

を全て独立として扱った場合のV()の最小期待値よりは

小さくはない,ことを述べられるにすぎない。
 

しかし,この論旨に基づいて基底状態におけるポテンシャル

の固有値の下限を見積もることができる。
 

以下の議論では,ijは原点から単調増加して,ある有限

な距離:ij=r0で極大値をとるような形をしていると

考え,さらに常に正であるとする。(下-4)

(つづく)

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2017年6月20日 (火)

摂動論のアノマリー(8)

摂動論のアノマリーの続きです。
 

前回は,軸性カレントのWardの恒等式が,軸性頂点を1つ含む 

三角グラフの摂動計算では,(63): 

(1+k2)μσρμ20σρ8π21ξ2τεξτσρ 

となり, 右辺の最後の項が,純粋に場理論から求められる恒等式

への余分な異常項=アノマリーとして存在することがわかり,
 

これを引き算などの単純な操作で除去する試みは不可能であり, 

むしろ.これを本質的な存在と認めるべきである,という結論 

に到達した。というところで終わりました。
 

前回の記事は1976年当時のノートと,それに説明不足がある

のを,後の1995年に補足したノートを含めたものから原稿を

書きました。,
 

そして,日付によると,1995年の112日夜から13日未明

までの深夜に,ここまでの内容の理解が完了したようです。
 

そして,今回は,また主に1975年のノ-トからの引用です。

本講義の残りでは,当面の三角グラフに対して,常に表現:

σρμを用います。

 この方が,"正しい"軸性ベクトルWard恒等式を
満足し,

異常項(アノマリー)を持たないように引き算された

表現:R'σρμより,むしろ自然であると考えます。
 

ベクトルカレントのWard恒等式が,軸性ベクトルカレント

Ward恒等式よりも,先験的に神聖であるということは

決してない,と思われるので,この選択には,何らかの正当化

の言を要します。

 
とりわけ,次のことに着目します。

 
もしも,三角グラフが,ニュートリノ-反ニュートリノ対と

2つの光子の物理的相互作用を記述することを期待する

なら,ベクトルカレントの保存を強要する,ことは本質的な

ことです。

 
2つの光子は,J=1という状態には存在し得ないので,

νν~のJ=1の状態から2光子の状態へという寄与は

消える必要があります。
 

 (8-1):2光子のC.M系(質量中心系(center of fmass)

=重心系で考察します。

光子は,スピン1の自由度3の3次元空間ベクトルで表現

されます,特に質量がゼロのベクトル粒子という性格から,

縦波自由度が除去されて,実は自由度が2の粒子です。
 

しかし.取りあえず,横波のみであることを忘れるとこれは,

3次元空間のベクトルで表現されます。
 

そこで2光子系の波動関数は,運動量表示で2階の3次元

テンソル:ij()(,j=1,2,3)で記述されます。2つの

添字は各々1つの光子のベクトル添字に対応します。
 

.M系という意味は,01+k2です。

故に,1-k221です。

 
2光子がいずれも横波であるという条件を用いると, 

iij=kjij0 です。

 
さらに光子は,粒子(状態)交換で対称なBose統計に従います。
 

光子の交換は,添字iとjの交換と同時に → -kを

意味 しますから,

Bose統計から,ji()=Aij() 要求されます。
 

つまり,座標系の反転は2階テンソルの向きを変えず,(極性) 

ベクトル.の向きを変えます。


 一方,Bose統計は空間反転に対して全体
としてのパリティが

1であることを要求するわけです。
 

3次元ベクトルのテンソル積として得られる2階テンソル:

ij,3×3=1+3+5と,表現空間に分解され,それぞれ

スピン:S=0,1,2 に対応します。

  1次元(S=0)と5次元(S=2)は対称テンソル,3次元

(S=1) は反対称テンソルです。

そこで,これが意味するスピン波動関数部分のパリティは,

S=0 とS=2 の対称 テンソルなら,+1でS=1の反対称

テンソルなら,-1です。
 

一方,軌道部分を考察すると,軌道角運動量をLとすると

トータルの角運動量は,J=L+Sで与えられます。,

総角運動量が1の状態:つまり,J=1となるためには,

(,)(1,0),(0,1),(1,1)(1,2) 組合わせしか

ありません。

 
よく知られているように,軌道部分のパリティは,

(-1)与えられますすから,

 
スピンと軌道の積で全体としてのパリティが+1

であるべき,というBose統計性の必要条件は,

(,)(1,0),(0,1),(1,2)のペアでは満足

れ得ません。
 

残るのは,(,)(1.1)だけですが,
 
ここで光子は質量
のあるベクトル粒子のようなSO(3)

の自由度3の粒子ではなく,縦波の無い自由度2のE(2)

に属することを考慮します。

 
2光子系は,3×3=1+3+5なる規約表現空間への

次元展開ではなく2×2=1+3と展開され.それぞれ,

S=0,S=2に対応し,S=1をつくることはできません。
 

以上から,(,)(1.1)も有り得ないので,

結局,2光子系はJ=1の状態をつくることができない

ことがわかりました。     

 (8-1終わり※)
 

そこで,Rσρμによって,上記の"J=1の状態から2光子

への寄与は消えなければならない"という要求を表現

すると次の通りです。
 

νν~対の運動量:(1+k2)に対して,μ

(1+k2)0 を満たす任意のスピン1の偏極ベクトル

とし,(ε1,1),(ε2,2)を,ε110,ε220,

(1)2=(2)20 を満足する光子変数とすれば,

με1σε2ρσρμ0 が成立しなければならない。

.

ということです。

(55):σρμ(1,2)
=A11τετσρμ+A22τετσρμ
+A31ρ1ξ2τεξτσμ+A42ρ1ξ2τεξτσμ
+A42ρ1ξ2τεξτσμ+A51σ1ξ2τεξτρμ

+A62σ1ξ2τεξτρμ 

および,

(56):1(1,2)=-A2(2,1),3(1,2)=-A6(2,1),

4(1,2)=-A5(2,1) 

(57):1(12)3(2)24,2(1)25(12)6 

(58):31,2)=-16π211(1,2),

41,2)16π2{20(1,2)-I10(1,2)}

 によって与えられるRσρμ,この条件:

με1σε2ρσρμ0 を満足することが,実際に

Rosenbergによって,示されています。

(※これは,実際に容易にチェックできますが。。)

 
一方,(65)の引き算項:σρμ4π2ετσρμ(1-k2)τ,

明らかにμε1σε2ρσρμ0 を満たしません。
 それ故,R' σρμ=Rσρμ-Sσρμもまた,条件

με1σε2ρR'σρμ0 を満足しません。

 第2に,以下に見ることですが,Ward恒等式のアノマリー

と交換子のアノマリーの関係は,ベクトオルカレントの保存

(=ゲージ不変性)が守られているときには,特に簡単な形式

をとります。

 最後に三角グラフのアノマリーの最も興味深い適用,つまり,

π0崩壊の低エネルギー定理」は,三角グラフの定義が

用いられる方法に独立である,ということが後にわかります。


 
そこで再び,(このケースには本質的ではないですが)

ゲージ不変性を守るという条件が,便利であることが

わかります。

 
(↑※ 以上,§2.2「引き算によるアノマリー除去

 の不可能性」終わりです。※)

§2.3 Anomaly for General Axial-Vector current Matrix Element

(一般的軸性ベクトルカレントの行列要素のアノマリー)

 
次に,三角グラフに対するアノマリーを伴うWard恒等式(63):

(1+k2)μσρμ20σρ8π21ξ2τεξτσρ

までで,やめた,グラフ的解析に戻ります。

  
明らかに,基本的な三角グラフに対するWard恒等式の破れ

 は, 下図のような型の任意のグラフdiagramに対してもWard

 恒等式の不成立を引き起こします。

  
下記のグラフにおいては,三角グラフから出てくる2つ

 の光子線が2F個のFermion線とB個のBoson線が出ているblob

の中に入っています。



  
上述の式(63),基本三角グラフの軸性カレントの発散に

対する式から,一般の場合の軸性ベクトルカレントの

Ward恒等式は軸性ベクトルカレントの4次元発散

対する(41):μ5μ()2i05(), 

μ5μ()2i05()

{α0/(4π)}ξσ()τρ()εξστρ..(68)

置き換えることによって簡単に記述されます。
 

(68),5μ,5,および,{α0/(4π)}ξστρεξστρ

に対する次のようなFeynmanルールを用いて,容易に

証明されます。
 

5μ() p←・←p⇔ γμγ5 

5() p←・←p γ5

{α0/(4π)}ξστρεξστρ  1,σ←・←k2,ρ  

⇔ (2α0/π)1ξ2τεξστρ

 

ただし,α0=e02/(4π) です。
 

(8-2):頂点因子のうち,{α0/(4π)}ξστρεξστρ 

部分に対応する寄与を,Γσρ(-k1,2)と書けば,
 

(2π)4δ4(1+k2)(i)(2π)-3(4ω1ω2)-1/2

εσ(1)ερ(2)Γσρ(-k1,2)

(i){α0/(4π)}εσ(1)ερ(2)εξατβ 

∫d4x<0|[ξα()τβ()]|k1,σ;k2,ρ>
 

ただし,μν()=∂νμ()-∂μν(),

ν()=∫d3{(2π)3(2ω)}-1/2 

{μ()ex(ikx))+a+μ()exp(ikx)} であり,
 

|k1,σ;k2,ρ>=a+ρ(1)+σ(2)|0> です。
 

交換関係は,

[α(2),β(2)][+α(1),+β(2)]0, 

[α(1),+β(2)]=δ3(12)αβ です。
 

故に,(i){α0/(4π)}εσ(1)ερ(2)εξατβ 

∫d4x<0|[ξα()τβ()]|k1,σ;k2,ρ>
 

(i){α0/(4π)}εσ(1)ερ(2)εξατβ

(2π)4δ4(1+k2){(2π)6(4ω1ω2)}-1/2 

{(i1αξσi1ξασ)( i2ατρi2ταρ) 

(i1ατσi1τασ)( i2αξρi2ξαρ)}
 

(2π)4δ4(1+k2)(i){{(2π)6(4ω1ω2)}-1/2

εσ(1)ερ(2){α0/(4π)}(8)εξστρ1ξ2τ,
 

したがって,座標表示の{α0/(4π)}ξσ()τρ()εξστρ  

の寄与は,Γσρ(-k1,2)(2α0/π) 1ξ2τεξστρ 

と×という結果が得られました。   

  (8-2終わり※)
 

こうしたFeynmanルールを用いると, 

基本三角グラフについては 

μ5μ()2i05() に対しての, 

(1+k2)μσρμ20σρという形のWard恒等式 

の代わりに.
 

(1+k2)μσρμ20σρ 

{(2π)4/(i02)}(i)(2α0/π) 1ξ2τεξστρ 

20σρ8π21ξ2τεξτσρ 

という形のアノマリー項のあるWard恒等式(63)が得られます。
 

(68):μ5μ()2i05() 

{α0/(4π)}ξσ()τρ()εξστρ 

を用いると,軸性ベクトル頂点に対するWard恒等式が 

どのように変わるか?を容易に見ることができます。
 

そのため,~(,p')を次式で定義します。
 

すなわち,F'(p)~(,p')F'(p') 

=∫d4xd4exp(ipx)exp(ip'y) 

0|[ψ()ξσ(0)τρ(0)εξστρψ~()]|0..(69) 

です。
 

このとき,(p-p')μΓ5μ(,p')20Γ5(,p')

+SF'-1(p)γ5+γ5F' -1(p')i{α0/(4π)}~(.p')

 ..(70)
 

これが(44):(p-p')μΓ5μ(,p')20Γ5(,p') 

+SF'-1(p)γ5+γ5F' -1(p')

にとって代わる式です。
 

切りがいいので,今日はここで終わります。
 

次回は,今の考察に引き続く,

§2.4 Coordinate Space Calculation(座標空間の計算)

という項目に入る予定です。
 

(参照文献):Lectures on Elementary Particles 

 and Quantum Field Theory 

(1970 Brandeis University SummerInstitute  

in Theoretical Physics) Volume

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2016年12月 5日 (月)

赤外発散の論文(1961)の詳解(2)

赤外発散論文詳解の続きです。


   
赤外発散問題の完全な量子力学的扱いは,古典的扱いよりも

いくらか難しいです。

   
実光子と仮想光子のαの低次での赤外発散の相殺は,特殊な

プロセス(Coulomb散乱とか聖堂輻射など)について多くの計算で

証明されてきています。

   
文献におけるいくつかの例は次のようなプロセスへの輻射

補正です。

  
すなわち,ポテンシャル中の低次のCoulomb散乱(5),

Compton散乱(6),ポテンシャル中での2次のCoulomb散乱(7,8),

電子―電子散乱(9,10),広角対生成(11),

および,制動輻射  (Bremsstrahlung)(12,13)です。


  摂動の全ての次数までの相殺の一般的証明はJauch

Roelich(2)よって与えられました。

   
本論文は,ある意味で彼らの仕事の精密化です。
 

このタイプの発散相殺の証明の主な要素を以下,手短に述べて

おきます。

   
まず,赤外発散は,荷電粒子外線から放出,吸収される実,

または仮想の軟光子に関連することを示します。

これは物理的に,もっともらしいことです。
 

何故なら,長波長光子は荷電カレント(電流)の分布の大規模

な特徴のみを感知するのに対して,粒子内線からの放出は,

空間の小領域でのカレントからの小規模な放出に対応する

からです。 

(↑※エネルギーゼロの長波長の軟光子は有限個では寄与せず

無限個数の寄与の総体が発散るので元々大規模なのです。)
 

それ故,軟光子の放出に対する行列要素は,単に古典表現

(1.1) ,基本過程を記述する行列要素に掛けたもので

与えられる,ということは,驚くべきことではありません。

(※再掲(1.1):{(εp'/kp')(εp/kp)} )
 

そこで,実軟光子放出の断面積は,基本過程の行列に(1.2)

を掛けたもので与えられます。
 

(※再掲(1.2)(1.1)の平方: 

()3k ~{α/(2π)3}{(εp'/kp')(εp/kp)}2 

×dΩdk/k )
 

同様に仮想軟光子放出と再吸収に対する行列要素は,近似的

,基本行列要素に外線にのみ依存する簡単な因子を掛けた

もので与えられます。
 

これが軟光子の寄与の完全な扱いを許す赤外発散の抜粋で

あり,特に赤外発散の完全な相殺を明らかにすることを許す

ものです。

    
最後の相殺を示す前には,ある種の赤外切断を用いる必要

がありますが,これは慣習的には微小な光子質量か?

最小エネルギーを仮定するかのいずれかです。


     本論文では光子質量の方を採用しています。
 

今回のアプローチが参考文献(2)の改良,精密化になっていると

信ずる2つの事由があります。
 

第1の改良は,赤外発散因子の抜き出しについてのより良い論拠

です。そこでは重なり合う赤外発散も無視されません。 

この新論旨は,恐らく証明と考えられるほど十分強いもの

ではないですが,赤外発散の因子化についてのあらゆる理論的

疑念を除去すると期待されます。

   
この論旨は,より平明なことを除いて,以前にYennieSuura

より,文献(14)で与えられたものと同等です。
 

第2の改良は,実際に摂動展開の意味での非赤外寄与の系統的

扱いを与える文献(2)のそれの拡張です。


   そしてまた,なされる
個々の赤外因子分離が,実光子,仮想光子

の両方についてゲージ不変であることも注目さるべきです。
 

仮想光子については.その手法はまた(赤外切断に光子質量

採用するなら)(相対論的に)共変です。
 

さらに赤外因子は,残りの摂動展開のくり込みが通常の方法

で進むよう,完全にくり込まれています。
 

赤外発散の相殺の別の扱いは,Nakanishi(中西)の文献(5)

によって与えらえました。


   この扱いは今回の本論文の扱い
よりも厳密に見えます。

 しかし,それは全断面積のトピックに制限されていて,

エネルギー解像度を持つ微分断面積については言及されて

いません。
 

本論文での主要な目的は,たった今輪郭を与えた一般的

アプローチに従って現代的なQECの枠組みの中で,赤外発散現象

の完全な取扱いを与えることです。
 

最終的結果が,任意の過程について赤外因子が荷電粒子外線

の4元運動量のみを含むもので与えられ,詳細な内部構造を

含まないような計算方法の提供です。

   
この最終的結果には,もはや赤外切断も現われていない

はずです。他方,残りの摂動展開では赤外発散は全く生じず,

赤外切断が不要な積分で与えられます。
 

本論文で我々が強調するのは,手法の一般性と完全性について

ではありますが,実際的問題での具体的計算値という結果も

得られます。

   
多くの実際的問題においては,輻射補正の必要性はエネルギー

の分母が小さい領域に由来しています。

    
結局,全てのプロセスへの輻射補正の偏り全体を評価する

のに,我々が得た結果を用いることができます。
 

これらは,一般的に,αln(/)ln(ΔE/ε)とか,

α{ln(/)}2の基本断面積というような"二重対数項"の

因子を含みます。



       
こうした項の寄与は,実験配列にとても敏感で有り得ます。
 

実際の実験条件の非常に注意深い扱いが,とても重要です。
 

そうした計算の例が文献(10..11)に与えられています。

一方,実験状況を認識していないが故に,容易には実験に

適用できると思えない計算例が文献(6.9)に含まれています。
 

赤外寄与が,(紫外寄与の)高エネルギーでの輻射補正を

支配している,といえば,これは逆説的に聞こえるかも

しれません。

       
例えば,1つのポテンシャルによる高エネルギー荷電粒子

の散乱においてはLorentz収縮した粒子を囲む場は,非常

に短時間のうちに,粒子から大きな距離まで変化する必要

があります。


        しかし,全電磁場
,そうしたように急激には変化できない

ので,補償するための輻射場が生成されます。これらの場

の生成は実光子の放出に対応します。

光子放出のない散乱は不可能なので,仮想光子と関わる

負の輻射反応が必要です。


        これは始状態と終状態のLorentz収縮した粒子場の間
 

の適切な重なりの欠如によって生じます。


         かくして,実光子と仮想光子
の両方がk値のある領域に

ついて(dk/)なる形のスペクトルで支配されます。
 

このスペクトルは主要な屈折が生じるか(ka~1),粒子

の量子力学的性質が重要になるような領域(k~E)の長さ

を比較してできるほど波長が小さくなるとき,除去される

必要があります。

         
ただし,この領域の規模aはポテンシャルのレンジである

必要はないことが指摘さるべきです。
 

例えばCoulombポテンシャル(レンジは無限大)による

広角散乱では主要な屈折は非常に小さい距離で生じます。

(dk/)のスペクトルを保持した下での条件の量子力学

的議論に対して,Londonの論文(4)を参照してください。


     彼はk<<Eに対して,これが良い近似であるという

結論に到達しています。

     
オーダーαまでの完全ん亜輻射補正は,かくして近似的

にαAln(ΔE/)で与えられます。


     Aの方は,粒子場の強いLorentz収縮を反映して.

わたる角度積分の強いピークによる対数を含みます。
 

因子:ln(ΔE/),(dk/)の積分に由来しますが,

ΔEよりも小さいエネルギーの実光子と仮想光子の寄与

は互いに相殺すること,そしてまた,仮想光子のスペクトル

,とにかく.k>>Eについて切断されねばならないことを,

取り入れています。

     こうして,赤外項は,2つの対数項に寄与し,それ故,輻射

補正を支配します。高エネルギー極限での,赤外項のより

精密化された扱いを使用すると,輻射補正へのいくつかの

単一の対数因子の寄与もまた得られます。
 

ここでの評価では論じる予定にない,ある磁気項と相まって

これらは対数オーダーのあらゆる寄与を与えると思われます。
 

したがって,全てのプロセスにおいての輻射補正の良い評価

を与えます。

     
赤外因子を抜き出すことに関連する論旨は.付録

(Appendix)に含まれています。


     完全に厳密とされる試みは実行しませんが,二重の

赤外発散の正しい処理の重要性を強調しておきます。
 

そして,赤外因子が抜き出されると.残りの計算因子は

全く病的な性質を持たないということがもっともらしい

こと,が示されます。

     
§2では外部ポテンシャル中の電子散乱について,全て

の議論が与えられます。§3では,他のいくつかの例がより

手短なやり方で扱われます。§4は赤外問題の一般的取扱い

に入る種々の考察の議論を含みます。
 

赤外発散の一般的証明が与えられ,そして,いくつかの

さらなる例が簡単に論じられます。§5では,いくつかの

純粋に理論的な赤外発散現象の含意が論じられます。
 

ここでは,あらゆるオーダーでの赤外因子の知見が

高エネルギー極限での理論的問題へのいくつかの限られた

洞察を与えます。この極限では赤外因子は特に大きくなり,

そして他の全ての寄与よりも赤外因子についてのはるかに

詳細な情報を得ることになります。

     
最後に§6は議論の要約(まとめ)を与えます。
 

 専門用語についての少しの言葉が補助になるかも

しれません。


     
本論文では行列要素(または断面積)「赤外の」

というのは赤外依存が特殊なやり方で因子化される

ような部分を意味します。


    
そして,「非赤外の」というのは,その残りの依存性の

ことです。
 

「赤外光子」とは「軟光子」と同義語ではありません。 

赤外寄与が,その挙動に良い近似を与えるならその光子

を「軟らかい(soft)と定義します。
 

付録Aの最後での議論によれば,運動量がその過程の典型的

な遷移運動量と比べて小さいなら「軟らかい」といいます。


     そして,高エネルギーでの
広角電子散乱では,それは電子

のエネルギーの数パーセントを除去しても光子は「軟光子」

です。

    
しかし,小角散乱では,その運動量が遷移運動量;

(2sinθ/2∝pθ)比較できる大きさで「硬光子」

になります。

     
これでやっと文章が中心の序文が終わりました。 

序文はまとめと同じく本論の全内容を紹介するもので

すから,これだけでは,よくわからない部分もあります。
 

そうしたことの詳細は次回からの記述予定の§2から

の本論で具体的に理解できるはずです。

    今日はここで終わります。

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赤外発散の論文(1961)の詳解(1)

※ 10月初めに引っ越してから丁度2か月,

もう年の瀬となってしまいました
 

この間.本やノート類も大量にあった引っ越し荷物の整理にかまけて

通常の日記的ブログは書いても科学記事は敬遠してきました。

 しかし,
 そろそろ落ち着いてきたので,これも再開して元のペース

に戻ろうと思います。こういうこともやらないと,つい楽をして寝

たきりでもなりそうですし。。
 

実は,前の部屋の立ち退き話もまだ知らなかった7月頃に構想して,

9月くらいには少しずつ書いていた比較的新しいテーマ「赤外発散」

についての草稿があったので少し手直ししてこれからアップします。

相変わらず,素粒子論ネタですが。。※
 

さて,常識的には,実体がないのと同等で無意味と見えるにも関

わらす,素粒子の散乱振幅等の計算の上では無限大に発散する

著しい寄与を示す,エネルギーゼロ(振動数ゼロ,波長無限大)

光子の起こす困難を,赤外破局(Infrared Catastroph),または,

赤外発散と呼びます。

 恐らく,エネルギーが無限大(振動数無限大,波長ゼロ)の極限

での発散の困難を紫外発散(Ultraviolet Divergence)と呼ぶの

に対照して命名されたのでしょう。

 紫外発散の困難の方は.これを克服するために 1948年頃

から「くり込み理論(Renormalization)」と呼ばれる壮大な体系

が発展し,これは一応の解決を見ました。

(↑※Feynman,朝永,Schwinger、Dysonなどの仕事です。。)
 

これに対し,赤外発散の困難は,ある意味,こうした実体のない

光子などは元々存在しない。としてカットするのが,紫外発散

の高エネルギー光子をカット(切断)するという手法より感覚的

に容易なことと考えられたためか?,問題発見の当初から,

さほど深刻な問題と取られなかった節があります。
 

こうした赤外発散の困難については,本ブログでは,まず,

200612/16記事:「赤外発散の問題(エネルギーゼロの光子)

で紹介しました。

 
次に,この記事において紹介した1937年の初期の代表的論文; 

 F.Bloch A.Nordsieck

"Note on the Radiation Field of the Electron"について,

本ブログの201010/30,11/4,11/8の「赤外発散の初期論文」 

(1),(2),(3)においてで紹介し,解説しました。
 

この論文は,学生の頃から所持していて,ときどき,その読解に

挑戦していましたが,古い論文は,Notationも古典的で,現在では

普通に使用されている近代的な計算手法もまだ使われていなか

ったなどの理由もあり,何回読んでも途中で私には解読不能な箇所

に遭遇して,何度も挫折していました。
 

しかし,それ以前に中西㐮著「場の量子論」(培風館)など日本語

でのより読みやすい解説書などを読んで,摂動の低次まででは

赤外発散は計算上は相殺して,結果は有限値になって解消される

ことを理解していたこともあり,まあ,これが解読できなくても

仕方がないな,程度に軽く考えていました。

 
しかし,その後,2010年に,少しヒマがあってブログで紹介したい

という気持ちが生じて,本腰を入れて読んだので,ブログ記事

では何とか形になりましたが,未だにややスッキリしない感も

あります。
 

一方,同じ過去記事「赤外発散の問題(エネルギーゼロの光子)

において,赤外発散解決の決定板である,と書いた

Yenie,Frauti,Suura1961年の74ページに及ぶ論文の方は,

ブログを開始する3年前の20031/4から3/19までの2ヶ月余り

,根をつめて読了したときにまとめたノートがあります。
 

(※私のまとめたノートは,A4,本文84ページ+付録34ぺージに

なっていますから,元の英文より約5割増しですね。

どうしても翻訳すると元の英文より日本語文の方が長くなるし,

さらに行間を埋める自己流の注釈が一杯追加されていますからね。
 

.ある時期から,後で元文献を参照しなくてもノートだけで事

が足りるようにノートを作る習慣になっていました。

 今は眼が悪くなって,種となる本や論文
の字は小さく読みにくい

けど,ノートの自分の字は何とか見えるので,この習慣は今と

なっては正解でした。
 

本が紛失したとしても,お金さえあればまた入手可能なモノ

なので,さほどショックはない,と思うけれど,大事なノートが

無くなったら泣いちゃうかも。。※)
 

この論文の内容は,図で説明すべきことが多いのでここまで敬遠

していましたが,以前と違って,私も若干,自力で図を描くスキル

ができてきたので,このノートの内容もブログで紹介してみたい

と思ったわけです。
 

さて,正式なこの論文の表題は, 

”The Infrared Divergence and High Energy Processes” 

(赤外発散と高エネルギー過程) です。
 

著者は,D.R.Yennie,S.C.Frauchi,H.Suura  

出典は,Annuals of Physics Vol.13 pp279-452(1961)です。
 

以下は本文です。
 

※前文(Preface)
 

QED(量子電磁力学)における赤外発散の問題の一般的扱いを

与えます。

  
この本論文の扱いの主な特徴は,赤外発散の寄与を,摂動の全て

の次数までの寄与の掛け算因子と,赤外発散を持たない因子へ

残りの収束する摂動展開の寄与に分離することにあります。
 

その結果,赤外切断のような,処方,規約としてカットして

捨てるというような操作は無用となることがわかります。
 

赤外因子については,それは指数関数形を取りますが,実光子

と仮想光子から生じる指数発散が通常の意味で相殺します。
 

それ故,これらの因子は単に始状態,終状態の荷電粒子の運動量

,検知されない光子に用いられる位相空間領域にわたる積分

によって表現されます。

  
そして,これらは個々の相互作用の詳細に依存しません。
 

特に,扱いやすい静電ポテンシャルによる電子散乱については,

詳細に論じ,他の具体例については手短かに論じます。
 

 一般的扱いの重要な副産物として,赤外寄与を特殊な手法で分離

したとき,それらは高エネルギーの輻射補正と,ある”磁気項”を

支配し,真空偏極補正log(E/)に比例する,あらゆる寄与を

与えるように見えます。
 

 そして,こうした補正の全ては,(大抵の場合,)単に荷電粒子の

外線運動量の知識だけから容易に評価できます。
 

そこで,これは非常に強力で正確な高エネルギー過程の輻射補正

を評価する方法を提供します。
 

§1.序文(Introduction)
 

赤外発散問題を理解するための本質的考察は,20余年前に出版

されたBlochNordseekの有名な論文によって,初めてもたら

されました。

  
この論文での考察は,端的に言えば,荷電粒子を含むどの

ような実際の実験においても,系の終状態を完全に指定すること

は不可能であるということです。
 

個々の光子は,くらでも小さい任意のエネルギ-を持って放出

され得るので,(検出装置の精度限界もあるため)いくつかの光子

は検知を逃れる可能性が常にあります。
 

実際,この著者は有限個の光子が検知されない確率は厳密にゼロ

であることを示しました。

  これは,軟らかい仮想光子(soft virtual-photon)に関わる
赤外

発散のせいです。

(soft-photon(軟光子)とは,振動数が小さいエネルギーがほぼ

ゼロの光子を意味します。)

  
他方,非検知光子の可能性をも含む比較可能な全ての終状態に

わたる微分断面積の総和を取ると,これは消えない結果を与える

ことになります。

  
実際,彼らは観測される微分断面積は,あらゆる輻射補正を無視

したときに得られる断面積に非常に近い,ことを示しました。

これは,実光子の赤外発散と仮想光子のそれの間の相殺としてよく

知られています。
 

赤外発散現象の現代的な場理論による取扱いを与えることが

本論文の趣旨です。
 

ただし,完全な,歴史的なレビューを与える試みなどは全くしない

予定です。そうした過去のレビューや参考文献については,

Jauch-Roelich優れた論文(文献(2))を参照してください。
 

さて,以下の論理の方向を定める目的で,赤外発散現象を予言する 

準古典的議論を手短かに想起します。
 

例えば,運動中の電子がポテンシャルとの相互作用で進路を 

逸らされる。と仮定します。
 

電子に付随するLorentz収縮した場は衝突によって変化し,

その場の変化は電磁輻射として放出されます。十分長波長の

輻射については輻射の効果は散乱領域の詳細な知識がなくても

計算可能です。
 

それは,単に電子の始状態,終状態の運動量と,輻射が観測される

方向にのみ依存します。

(電子の散乱域で時間の遅れはないと仮定します。
 

よく知られているように,この長波長の極限では単位振動数

当たりに放出されるエネルギーは振動数に依存しません。
 

光子による記述に翻訳すれば,単位振動数当たりに放出される光子 

の数は振動数に反比例することが明らかです。

すなわち,光子スペクトルはdk/kの形をしているため,k→ 0では

発散します。
 

これが実光子による赤外発散現象です。
 

角分布もまた,準古典的論拠によって理解できます。

超相対論的極限では場は電荷の運動方向に垂直な平面の近傍の

小さな領域内にLorentz収縮して電荷に沿って動くと思われます。
 

これは運動電荷の入射()方向か,終方向のどちらかに平行な輻射

強いピークを示す,ということにつながります。
 

こうした特徴は,{(εp'/kp')(εp/kp)}..(1.1) 

となる式に比例する輻射放出の古典振幅,の中に現われています。
 

 これは,それぞれ,始状態,終状態の運動量p'のどちらかに

平行なについて,強いピークを示します。

  散乱が生じたと仮定するとき,運動量
の光子が放出される確率は

(1.1)を平方してそれに[(2π)32]-1を掛けることで得られます。
 

すなわち,k~k+dkの範囲の光子が放出される確率:

()3,

()3k ~{α/(2π)3}{(εp'/kp')(εp/kp)}2 

×dΩdk/..(1.2)なる形で与えられます。
 

この式は,k→ 0での典型的な赤外発散の挙動が(dk/)なる

因子として出現し,入射電子運動量:と散乱電子運動量:p'

方向のまわりで強い角度依存性のピ-クを作ることを示して

います。

   
光子の方向にわたって積分したエネルギーレンジ:dkへの

光子放出の確率は,2dk∫P()dΩ=dAdk/..(1.3)

です。

   
ここで,Aは,

A ~ (2/π)[ln{2(2pp’)/2}1] ..(1.4) 

で与えられる量です。
 

かくして,光子放出の確率はエネルギーEの増大と共に対数的

に増加します。これはまた,散乱角が大きいほど重要です。
 

このことは古典的論拠からも予期されることです。
 

何故なら,電子に付随する場は,小さい角度のずれの遷移に対し

より容易に調整することができるからです。
 

この問題についての正しい量子力学的扱いは,準古典的議論から

予測されるのと同じ定性的な特徴へと誘導されると予想する

のが理にかなっています。

    
非常に長い波長の極限に関心があるのですが,このプロセス

は空間の大きい領域での散乱粒子の挙動によって支配されます。 

(※運動量kのk~ 0の小空間は座標空間ではx~ ∞の大空間

に対応します。)
 

この波長の長い軟光子の放出,吸収は,目立つほどには荷電粒子

の運動を乱すことはありません。


   これは軟光子は独立に放出,吸収され,実光子,仮想光子の

双方について個数分布がPoisson分布に従うことを

意味します。
 

このことは何人かの著者が,散乱粒子の電流(カレント)

純粋に古典的に扱われる近似に基づいて赤外発散を扱うこと

につながりました。
 

これらの方法では輻射補正の無い粒子の運動が計算され,

輻射補正の動力学的効果は無視されています。

こうしたタイプの最も精密な扱いはLondonその共著者により,

文献()で与えられています。
 

彼らは硬光子による輻射補正の力学的効果も含めた定式化

を展開しました。
 

こうした準古典的方法では,常に硬光子と軟光子の間の

任意の手法の分離があります。軟光子の寄与は粒子運動への

力学的補正を無視して,全てのオーダーまで正確に扱われます

,一方,例えばLondonの扱いでは硬光子の効果は基本的な

断面積の計算に組み込まれ,摂動論のあるオーダーまで 

の近似計算です。

    
そこで,硬光子と軟光子の分離が生じる場所は,これに

よって生じる誤差を最小にするように選択されます。


     このアプローチの典型的な
結果として,notation

いくつかの違いはありますが,

Londonを引用すると,エネルギーがEの光子による断面積

σの形式は, 

σ(ΔE,,θ~(ΔE/εC)αAσn(ε,,θ)..(1.5)

です。
 

ただし,εは上記の分離する場所のエネルギー,ΔEは

検知器のエネルギー解像度, σnは光子エネルギーの

下切をεとする摂動のn次までの断面積,

CはEuler定数,θは散乱角です。
 

彼らは(1.5)式において,実際の状況では極めて1に近い

因子F(α,)を除外しています。

    
この因子は次節の(2.45)式で与える予定ですが,これは

最初,LondonShawより単純な関数で評価されました。
 

この評価計算は§2で再現します。(つづく)
 

§1の序文はまだ続くのですが,長くなったのでここで2つに

分けました。
 

なお,論文の一番最後の付録のそのまた後にまとめて,記載

されているReference(参考文献)を予めアップしておきます。
 

ここで一旦終わりますが原稿はできているので,すぐに続き

もアップします。
 

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35.I.D.Landau and I.M.Kharatnikov,Theoret.Phys.

(U.S.S.R.) Vol.29,p89(1955),Soviet.Phys.JETP,

Vol.3,p762(1956)

36.R\P\Feynman,Phys.Rev.Vol.76,P769(1950) 

以上です。

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2016年9月14日 (水)

非線型自由粒子構想(2)(遺構)

こういうモノって(つづく)と書いていても続きが無かったり,

(1)書いていても,(2)は永久に無い。。とかいうジンクス

めいたものがあるらしいので,取りあえず,つなぎで続きを

アップしておきます。
 

§3。λφ4以外の非線型項の模索
 

4元運動量がkの中間子線上の1個の点zに,2本の中間子

内線(または外線)が接続する形は.必然的に1つのループに

ならざるを得ず,計4個の線が,ただ1個の点zにつながる

ものはTad-poleと呼ばれるグラフになります。


 

この寄与を真面目に摂動論のFeynmanルールに従って計算

しようとすれば,これには,伝播関数:Δ(z-z)=ΔF(0)

を付与することになります。
 

 しかしながら,普通の自由粒子Feynman伝播関数は, 

ΔF()=∫d4(2π)-4 exp(ikx)/(2-μ2iε) 

ですから,このループを回る運動量(=単なる積分変数)

をlとすると,ΔF(0)=∫d4(2π)-4{1/(l2-μ2iε)}

となりますが,これは計算すると明らかに発散します。
 

ΔF(0)の代わりに.ΔFλ(0)としても,

ΔFλ()=∫d4(2π)-4exp{ikx-λ(2)2}

/(2-μ2iε)により,

ΔFλ(0)=∫d4(2π)-4{ exp{-λ(2)2}/(l2-μ2iε) 

2πexp(-λμ4)0dl[2/(2+μ2)1/2]

となるため,やはり発散します。
 

最初の思いつきのアイディアの,普通の伝播関数に因子:

exp{-λ(2)2}を加える修正では,2=k022より,

2-μ2=k022-μ2

{0(2+μ2)1/2}{0(2+μ2)1/2}なので,

∫d4kのうち∫dk0を実行すると,留数の関係から,

exp{-λ(2)2}因子が単にexp(-λμ4)となってkを

含まなくなります。
 

そこで,,残りの3次元空間積分∫d3kでは,この因子には

全く,紫外切断の減衰効果がありません。
 

それ故,exp{-λ(2)2}の代わりに,例えば空間ベクトル

だけの因子:exp (-λ2)で置き換えれば,これは∫dk0

には無関係なので,この場合には積分結果は確かに有限には

なりますが, Lorentz共変では無いのが気になります。

(※ちょっと見の思いつきですからねえ。。)
 

いずれにしろ,こうしたTad-poleでは,

たとえ発散せずに収束して有限な寄与:σになったとしても,

運動量空間において4元運動量:kで伝播する中間子線との

エネルギー・運動量の保存を考慮したとき,

  
ループの運ぶ運動量:lがkとは無関係なので,寄与σは

量子電磁力学のくり込みこみにおける電子の自己質量:

Σ()や光子の真空偏極のΠ(2)とは異なってkを含まず

単なる定数になります。

(※↓2011年4/27の過去記事

「量子電磁力学の輻射補正(5)(電子自己質量-1)」から)


 

(※↓2011年4/13の過去記事

「量子電磁力学の輻射補正(3)(真空偏極-2)」から)

 

ところで,伝播関数の減衰因子のアイディアと直接には

無関係な問題なのですが。。。

自己相互作用のλφ4模型では,z頂点にφ()4が付与

され,これとxからyへと進む運動量kの中間子線が入るのと

出るのとで2本;結局,zには計6本が接続する6重点となり

Tad-poleとしてはループが2個になります。



 このグラフのTad-poleループの寄与は単純に2乗になります。
 

こうした寄与が連結した外線の運動量kに無関係なら,伝播関数

への寄与と真空泡:0||0>への寄与が一致し,Sの再規格化:

/0||0>においては,分子と分母でこの因子は相殺して,

結局,無意味かもしれません。


 

したがって,有意なモデルとするには,Tad-Pole以外の,

少なくとも2端点を持つ非線型自己相互作用を考えるか?

あるいは,そもそも非線型ですから「重ね合わせの原理」

とか級数和に展開できるとかの線形性は成立せず,そうした

操作に頼る摂動論以外の方策を考えるべきとも思われます。
 

今のところ,このアイディアのメリットとして身のありそう

なものは,「非線型自由粒子=ソリトン」の構想以外には何

もありませんが。。。後は構想倒れ。。
 

σ(,)をk→∞と共に∞に増大する何らかのkとxの関数

として一般化て自由伝播関数の模型を, 

ΔFλ()=∫d4(2π)-4exp{ikx -λσ(,)}

/(2-μ2iε)と書けば,

(□+μ2)ΔFλ()

=-∫d4(2π)-4exp{ikx -λσ(,)}です。

ただし,ΔFλ()=<0|[φ()φ(0)]|0>です。
 

これを満たすような,非線型方程式:

(□+μ2)φ=f(λ,φ)の形を模索して得た解について

楕円積分の可能性を考察.そのλ→0での具体的計算を 

追求したりしているノートなどもあるのですが,整理

ができず,

 
また
引っ越しなど身のまわりが忙しくなってきたので,

Pendingです。(つづく)。。。。
 

続かないかも。。。。



PS:引っ越しのときはいつも手伝ってくれてた音信不通

 のN目クンがなつかしい。。

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2016年9月 4日 (日)

非線型自由粒子構想(1)(遺稿)

§1序論
 

数年前から目がよく見えないこともあり,長期入院しても,

細かい読書がままならないので,アリストテレスの形而上学

ではないけれど経験や参考書物などに頼らず,ただ沈思黙想

して,頭の中の思いつきをノートに書き殴り,それを基にした

計算に勤しんだりしていました。

 

 そうした徒然(つれづれ),いくらかまとめて記述してみます。
 

 最もモデル化が簡単な,質量がμで自由場φがKlein-Gordon

 方程式:(□+μ2)φ=0 の解であるスピンがゼロのスカラー

または擬スカラー粒子の自由Feynman伝播関数:ΔF, 

ΔF(x-y)=∫d4(2π)-4exp{i(x-y)}

/(2-μ2iε) で与えられます。
 

これは自由場の時間順序積(T積)の真空期待値:

0|(φ()φ()|0であり,

(□+μ2)ΔF(x-y)=-δ4(x-y)を満たす2点

Green関数です。 
 

もしも,これが如何なるkのベキが分子に掛かっても

元々発散する積分である

∫d4(2π)-4nexp{i(x-y)}/(2-μ2iε) 

が常に収束するように微小な正のパラメータλによる

因子:exp{-λ(2)2}を持っていれば?という思いつき

の発想。。から出発します。
 

(※↑恐らく,他にも同様のことを先人が提案し,考察の

結果ボツにした。とか。。または,そういう理論は有名

だが寡聞にして私が知らないだけである。。とか?
 

いずれにしても今の自分の身では確かめるスベもなく,

しかし,こうしたことを誰かに聞いたか,どこかで見た。。

という記憶が理由でした発想であるにしても,自分では

決して盗作の意識はなく発案したと思っています。

 

尤も,盗作を問題にするほどのシロモノじゃなく陳腐で

些末で識者には相手にされないツマラナイ話かも。。。

それはそれでも仕方ないが。。。ピエロやドンキホーテ

裸の王様は正直嫌だな。。※)
 

さて, 自由Feynman伝播関数:ΔFはをλを含むそれ:

ΔFλ(x-y)に修正します。

 ΔFλ(x-y)
=∫d4(2π)-4exp{i(x-y) -λ(2)2}

/(2-μ2iε)です。 

これはλ→+0の極限でΔは,F(x-y)に帰着します。

 

しかし,λが如何に小さくてもセロでない限り. 

k→±∞で急激にknexp{-λ(2)2}0となり, 

積分:∫d4(2π)-4exp{i(x-y) -λ(2)2}

/(2-μ2iε)は有限となるはずですが,

 
他方λ=0のときのknexp{-λ(2)2}=knは無限大
 

なので.こうした積分は発散します。
 

という意味で先にkの積分を実行し,その後にλ→+0

の極限を取れば有限ですが,先にλ→+0として後で積分

を実行すると無限大に発散する。という極限操作の順序

によって結果が異なる例になっています。
 

それ故,これは切断や次元正則化に似た,Feynman積分の

くり込みの別の正則化の方法を与えるモノと見えるかも

しれません。

 実際,エネルギー・運動量:kが大きい紫外部の寄与が

カットされるという意味では切断と同じ役割を果たします。

 

しかし,摂動の各次数の項の振幅計算の後にλ→+0 

とするという極限操作の手続きをせず,極く小さいλ>0

が実在している。という仮説を採るのではいかが

でしょうか?
 

(□+μ2)ΔFλ(x-y)

=-∫d4(2π)-4exp{i(x-y)-λk2} であり

右辺 → -δ4(x-y) as λ→+0 です。
 

特に,x=yで(□+μ2)ΔFλ(x-y)

=-∫d4(2π)-4exp(-λk2)です。
 

質量がμの自由粒子の場;φ()(□+μ2)φ=0を満たす

ということは,運動量空間では,2=E22=μ2という

Einsteinの相対論的関係式を満たすことを意味するので,

Klein-Gordon方程式を (□+μ2)φ=f(φ,λ)のような式

に修正するということは,22=μ2というEinstein

相対論的関係は厳密には成立しない。

というある意味では,不遜な主張です。
 

Heisenbergの不確定性原理:ΔpΔx~hから,運動量が完全

に確定して,Newtonの第一法則により永遠に等速度運動をする

質点という概念は,Δp=0を意味し,それ故,Δx=∞であって,

量子論ではこの"質点"は理想的には全宇宙に拡がっていて如何

なる位置に存在しているか?が全く不明な平面波を意味します。
 

これを,常識的に古典的に解釈しようとして,初期にはBorn

パイロット波の仮説やNelsonの確率過程論に基づく方程式

などの試みがあり、結局,量子論ではこれまで粒子として見て

いたものが,実は描像として粒子ではなく波動をも含めた

二重性を持つ量子というものなので,そもそも古典的な実在

として理解することは不可能であるという解釈されそれ以上

の追及の必要はないとする。のが正統派とされています。
 

しかし, 運動量が一定の自由粒子が(□+μ2)φ=0のの解で

ある平面波ではなく,何やら非線型な方程式:

(□+μ2)φ-f(φ,λ)0の解で与えられるなら,

 
(φ,λ)
が重力波のオーダーのような,如何に微小な項

あろうと,大いに解に影響して,ソリトン(Soliton:孤立波:

4次元波ならinstanton)のような局在化された古典的粒子

描像に合致する存在となる可能性がある推測されます。
 

この非線型な項の存在を,実在空間の空間軸,時間軸が

実は連続自由度ではなく格子定数(格子間隔)がλ程度の

離散的で高々可算の自由度しか持たないとする格子上の

場理論とも相通じるのではないか?とも思っていますが,

 
λ>0が実在で消えない値と考えるか?最後に
λ→+0

極限をとるか?どうかというのは,本質的な差異のような 

気がしています。
 

まあ,くりこみ群を考察して,くりこみ点まで考慮し,

離散的格子であるが故に,デジタルコンピュータでの

実際の数値計算まで確立された理論と,まだ,計算が

思い通りにいかない単なる思いつき構想段階のもの

を比較するのは,おこがましいかも知れませんね。。
 

§2.φ4理論とサイン・ゴルドン(sin-Gordon)方程式
 

L=∫3により自由Lagrangian:Lを与える

Lagrangian密度:,

(1/2)μφ∂μφ-(1/2)μ2φ2

なる形で与えられたとき,
 

両端点固定の作用積分:S=∫t1t2Ldt=∫124

が最小値(停留値)となるような変分原理(作用原理)から

得られる,Euler-Lagrange方程式:

μ{/(μφ)}-∂/∂φ=0 自由スカラー場:

φ()の基本方程式であるKlein-Gordon 方程式:

(□+μ2)φ=(μμ+μ2)φ=です。

 

そして場の量子化は,共役運動量:

π()=∂(0φ)=∂0φ=∂φ/∂tを定義して,

φとπの同時刻正準交換関係: 

[φ(,),π(,)]iδ3(),その他の交換関係

を与えることでなされる。

というのが演繹的な自由スカラー場の正準理論です。
 

そして,従来からあるφ4理論というのは自由場の 

(1/2)μφ∂μφ-(1/2)μ2φ2にφ4に比例

する項:(1/4|)λφ4を加えて,

(1/2)μφ∂μφ-(1/2)μ2φ2(1/4|)λφ4

とする模型を考察するものです。
 

この場合,最小作用の原理に基づく

Euler-Lagrange方程式:

μ{/(μφ)}-∂/∂φ=0 は, 

(□+μ2)φ=(1/3|)λφ3となり,素朴Klein-Gordon

方程式余分な非線型な相互作用項が付加されます。
 

この相互作用項は自分自身の場φのみから構成され.

他の粒子場と相互作用するわけではないので,謂わゆる

自己相互作用の一種です。
 

一般に古典的にはLagrangianは保存力場の場合,その

保存力場のポテンシャル(位置エネルギー)をV,粒子の運動

エネルギーをTとして,L=T-Vで与えられます。
 

例えば,質量mの質点が,歪みの大きさ(伸縮長さ):xに単純

に比例するという線型弾性体模型のHookの法則に従い,

弾性力FがF=-kxで与えられる(理想的な質量がゼロで

それ自体には運動エネルギーが無い)バネの端に結び付け

られた調和振動子の系の場合なら,

 
位置エネルギー=弾性エネルギーVがV=(1/2)kx2,

運動エネルギーTは,T=(1/2)mv2(1/2)(dx/dt)2 

ですから,

L=T-V=(1/2)(dx/dt)2(1/2)kx2で, 

S=∫t1t2Ldt=を最小にする軌道は,

Euler-Lagrange方程式:

(/dt)(∂L/∂v)-∂L/∂x=0 の解です。
 

これは確かに,(2/dt2)=-dV/dx=-kx

というNewtonの運動方程式に一致します。
 

この系のL=T-V=(1/2)(dx/dt)2(1/2)kx2

での歪みxを時刻tでの連続的な空間点における局所場:

φ(,)置き換えたときのLagrangian密度が質量μの

スカラー場のそれ:(1/2)μφ∂μφ-(1/2)μ2φ2

一致するというのが,

 
量子場が無数の調和振動子の集まりに等しいという場理論

の骨子です。
 

そこで,1次元調和振動子のV=-(1/2)kx2のアナロジー

,このVの代わりに,(1/2)μ2φ2と書くと, 

(1/2)μφ∂μφ-()です。
 

調和振動子では,系のエネルギーはE=H=T+V 

(1/2)(dx/dt)2(1/2)kx2であって,これが

最小になるのはv=dx/dt=0,かつ,x=0,つまり

静止しているときです。

 特にVの最小値はx=0のときで,そのときV=0です 。

 

ただし,量子論では不確定性原理から位置xと速度vが

同時に確定値ゼロをとることは不可能なので最小でも正の

零点エネルギーなるものが存在し,これが原因で無数の

調和振動子の集まりで定式化された量子場の最低エネルギー 

準位である真空にも,無限大の零点エネルギー

(Dirac場では負の無限大)という困難がありますが。。
 

自由スカラー場のHa,iltonian密度は, 

(1/2)μφ∂μφ+(1/2)μ2φ2(1/2)μφ∂μφ

()で与えられ,位置エネルギー:()(1/2)μ2φ2

が最小なのはφ=0 場合です。
 

一方,φ4-模型では,()(1/2)μ2φ2(1/4!)λφ4 

=-(1/4!){φ2(6λ/μ2)}2(3/2)λ2/μ4であり,

この最小値がゼロでなく正であることが, 最低エネルギー

レベルである真空期待値のエネルギーはゼロで必然的に

対称性を持つべきであるという場理論の理論構成に矛盾し

この模型が自発的に破れる原因とされています。
 

そこで,φ4-模型は,南部-Goldstonの自発的対称性の破れ 

(spontaneously-broken symmetry)の1モデルとして寄与

します。
 

しかし,それだけではなく,この自己相互作用を摂動

Hamiltonian密度:int()=-(1/4!)λφ4として摂動展開

される真のくりこまれた場のGreen関数の評価などに利用

される理論などあったはずですが,これ以上の詳しいこと 

は知りません。
 

 いずれにしろ,この4乗項はFeynmanグラフではTad-pole

しての意味しかなく極めて局所的なので真面目に計算すると

発散する寄与しかないはずですからこれ自身を有限にくりこ

まないと摂動論では議論が進みません。



 自己相互作用int()=-(1/4!)λφ4を含む真の場φ

による2点Green関数:

τ(x,y)=<0|T[φ(x)φ(y)]|0>=ΔF'(x-y)

は,incomingの漸近場φinによる摂動展開が可能なら,

τ(x,y)

=<0|T[φin(x)φin(y)exp∫intin(z))4z]|0> 

となり,最低次のグラフでは頂点にλφin4(z)が接続して 

ループの同一の局所点zに接続する伝播関数:ΔF(z-z) 

が因子として寄与し,これのzによる積分は発散します。 
 

 したがって,無限大に発散するこの量を.有限にくり込める量:σ

であると仮想して全てのオーダーの寄与を摂動論的に加えると,,

伝播関数などに掛かる 因子として,

1+σ+σ2/2!+σ/3!+..=exp(σ)  を得ます。(下図参照)

 あるいは伝播関数:ΔF(z-z)を急減少因子で修正された 

ΔFλ(z-z)に置き換えれば,Tad-poleでのようなものでさえ

計算は有限に収束すると考えられます。

 この寄与も,やはり1つの固有グラフの寄与を上と同じくσで

表わすと,トータルで,exp(σ)の因子が得られますが,

もしも,これらのσが,σ=-λ(k2)2で与えられると仮定すれば,

ΔF'(x-y)=ΔFλ(x-y) となって無矛盾,自己無撞着です。


※ 図の真空泡グラフの方は,外線がn個接続するn点Green関数

τ(x1,x2,,..,.xn)=<0|T[φ(x1)φ(x2)...φ(xn)]|0>

=<0|T[φin(x1in(x2)...φin(xn)]|0>

とは異なり,外線のない真空期待値:<0||0>に寄与するもの

です。

本来S行列の定義に矛盾がないなら<0||0>=1であるはず 

ですが,実際にはλφ4の寄与も含めあらゆるグラフの寄与が

あって通常の摂動論の計算上では無限大になるためS演算子

を,S/<0||0>で再定義するのが慣例です。

  再規格化前の元の定義のSでは,
 

τ(x1,x2,,..,.xn)=<0|T[φin(x1in(x2)...φin(xn)]|0><0||0>

.です。

  なお,kの増加で急減少する修正自由伝播関数という発想:
 

ΔFλ(x-y)=∫d4(2π)-4exp{i(x-y) -λ(2)2} 

/(2-μ2iε)と,非線型相互作用の例としてのλφ4模型 

を並列して記述しましたが,これらは別々の独立な話です。


 私がアイディアの端緒として単純な
λφ4模型が,
この修正

伝播関数を具現してくれるかも知れない。。という希望的推論を

したときの試算を記述しただけに過ぎません。

 あくまで出発点の近傍でウロウロしていただけです。。※



 さて話は変わって,λφ4模型の修正された自由Lagrabgian

から得られた方程式::(□+μ2)φ―(1/3!)λφ30を解く

には,これがλ~  のときには,解法が既知の,一般に

sin-Gordon方程式呼ばれている方程式:

□φ+bsin(aφ)0 に一致することを利用したい

思います。
 

すなわち,sinx=x-(1/3!)3(1/5!)5..ですから 

aが微小なら,sin(aφ)=aφ-(1/3!)3φ3です。
 

そこで,a~0なら,□φ+bsin(aφ)0は近似的に, 

(□+ba)φ-(1/3|)ba3φ30 となります。
 

それ故.μ2=ba,λ=ba3と置けば,

□φ+bsin(aφ)0 はφ4-模型の方程式:

(□+μ2)φ=(1/3|)λφ3に一致します。
 

(※a=λ1/2/μ~ 0,b=μ3/λ1/2で,λ~0かつ

a~0です。b~∞が気になりますが,最後にλ→0とする

のでないならbは非常に大きい数ですが有限であるという

ことで問題なしです。※)
 

sin-Gordon方程式:□φ+bsin(aφ)0,非線型方程式です 

が解析的に解けます。
 

φには位相速度がの定常波の解が存在すると仮定して, 

ξ=x-tという変数変換を行い,φはξのみの関数と

します。
 

□φ()(2/∂t2-∇2)φ(,)=-bsin(aφ), 

でξ=x-vtとおいて,φ(,)=φ(ξ)とすれば, 

∂φ/∂t=-vdφ/dξ,∇φ=dφ/dξ 

2φ/∂t2=v22φ/dξ2,2φ=d2φ/dξ2 

ですから,
 

□φ()(2/∂t2-∇2)φ(,)

=-bsin(aφ),

(21)2φ/dξ2=-bsin(aφ) に帰着します。
 

この常微分方程式の両辺にdφ/dξを掛けると. 

(1/2)(21)(/dξ)(dφ/dξ)2

=-bsin(aφ)dφ/dξです。


 故に,(1/2)(21)(dφ/dξ)2

=-b∫sin(aφ)dφ 

(/)3cos(aφ)-C/2と書けます。

Cは積分定数です。
 

一般に,vが本当に波の位相速度である場合,vは

,||1(­1=光速c)を満たすはずなので.  

dφ/dξ=±[{C-(2/)cos(aφ)}/(1-v2)]1/2 

であり.∫dφ{C-(2/)cos(aφ)} -1/2=±(1-v2)1/2ξ

です。
 

これも,真面目に左辺の三角関数の平方根の積分

=楕円積分?を考えなくてもaφが微小なので,

cos(aφ)1-a2φ2/2とすれば,

C-(2/)cos(aφ){C-(2/)}+abφ2 

より,

∫dφ[{C-(2/)}+abφ2] -1/2=±(1-v2)1/2ξ, 

∫dφ[{C-(2/)}+abφ2] -1/2=±{ab(1-v2)}1/2ξ 

A={C-(2/)}/(ab)です。
 

積分公式:{1/(2+A)}dx

log|x+√x2+A|+Cを用いるtと,

og|φ+√φ2+A|=±{ab(1-v2)}1/2(ξ-ξ0) 

となります。
 

 ところで,log|x+√x2+A|sinh-1(/1/2)ですから 

log|φ+√φ2+A|=±{ab(1-v2)}1/2(ξ-ξ0) は, 

±sinh[{ab(1-v2)}1/2(ξ-ξ0)]=φ/1/2 

φ=±A1/2sinh[{ab(1-v2)}1/2(ξ-ξ0)], 

1/2{C-(2/)}1/2/(ab)1/2と書けます。
 

a=λ1/2/μ~ 0,b=μ3/λ1/2 

→ ab=μ2,/a=μ4/λ{ab(1-v2)}1/2

=μ(1-v2)1/2, 

1/2{C-(2μ4/λ)}1/2/μ,ξ=ξ0でφ=0,かつ, 

dφ/dξ=A1/2{ab(1-v2)}1/2=U(最大),1/2

(/μ)(1-v2)-1/2,

U={C-(2μ4/λ)}1/2(1-v2)1/2 です。
 

そこで,φ

 =±(/μ)(1-v2)-1/2sinh[μ(1-v2)1/2(ξ-ξ0)]
 

ξ=x-vt,t=0でξ=ξ00なら,

φ=±(/μ)(1-v2)-1/2sinh[μ(1-v2)1/2()]
 

正弦波であれば,同じ振幅を繰り返す周期波ですが

この双曲線波は.()が大きいと際限なく増幅

されます。
 

しかし,実は,U={C-(2μ4/λ)}1/2(1-v2)1/2,

λ→0ではiの純虚数です。

 このとき,1/2(/μ)(1-v2)-1/2,も純虚数で

sinhx → -isinxです。
 

改めて,UをiUと書き直すと, 

φ=±(/μ)(1-v2)-1/2sin[μ(1-v2)1/2(ξ-ξ0)] 

これは正弦波です。。。 

これだと正弦波で線形波だから非線型波に矛盾する。。?
 

しかしλ=0では無いので方程式は非線型だし。。。。

位相速度が一定の正弦波というわけではないので。。

etc.???
 

(参考):本ブログの過去記事の「水の波」シリーズ後半: 

20097/12の「水の波(6)(有限振幅の波:非線型波1) 

/17の「水の波(7) (有限振幅の波:非線型波2) 

7/24の「水の波(8) (有限振幅の波:非線型波3)」では, 

既に現在の構想のために,ソリトン(Soliton)について

言及しています。
 

非線型な波の方程式であるK-dV方程式

(Korteweg-Vreis方程式):

(∂u/∂t+u(∂u/∂x)+μ(3/∂x3)0 

定常波:(,) 

=u1+Usech2[{/(12μ)}1/2{x-(1+U/3)}], 

U=u3-u1,孤立波として,あたかも独立な粒子の

ように挙動することからソリトンと呼ばれるように

なったことなどを紹介しています。
 

今日は,ここで終わります。(つづく)

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2016年9月 1日 (木)

クライン・ゴルドン方程式(8)

クライン・ゴルドン方程式(Klein-Gordon eq.)の続きです。
 

外電磁場Aμ()があるときの一般的ケースに移ります。


 このケースについて,中間子の波動関数φ()
の満たす

基本方程式を示すため,まず,自由粒子の方程式:

(□+μ2)φ=0 (μμ-μ2)φ=0と書き直し,,

さらに,運動量演算子の微分表示:μiμにより,

(2-μ2)φ=0 と書き直します。p2=pμμです。
 

この表現では,極小相互作用変換:μ → pμ-eAμ

を適用できて,(p2-μ2)φ=0 は電磁場:μ()がある

ときは,[(μ-eA)2-μ2]φ=0 と変形されます。
 

これは,pμiμに戻せば,

[(iμ-eAμ)(iμ-eAμ)-μ2]φ=0 

とも表現できます。
 

これが,電磁場Aμがあるときのスピンゼロの中間子の波動関数

が満たす基本方程式です。

 (※↑
これは,既に2016年5/30の過去記事:

クライン・ゴルドン方程式(3)」において記述していた

ことです。

そして,先に示したように自由中間子が満たすKlein-Gordon

方程式:(□+μ2)φ=(μμ-μ2)φ=0 φ[θ,χ]T

と2成分縦ベクトル表示して,i(φ/∂t)Hφ,および,

(ηρ){2/(2μ)}+μη (η,ρは2×2行列)

の形表わしたときには,
,

p=(,),μ=(Φ,)として, 

極小相互作用変換: -e,H→H-eΦにより,

i(φ/∂t)Hφ,

(ηρ){(-e)2/(2μ)}+μη+eΦ 

を得ます。

 これは,
[(iμ-eAμ)(iμ-eAμ)-μ2]φ=0

同値なSchroedinger型の方程式です。
 

ここで,Π-eと置けば,

(ηρ){Π2/(2μ)}+μη+eΦ

と書けます。
 

そこで,基本方程式を,さらに具体的に書けば, 

i(φ/∂t)

[(ηρ){Π2/(2μ)}+μη+eΦ]φ

となります。
 

そして,特に,ΘρΠ2/(2μ),ε=eΦ+ηΠ2/(2μ)

と置き,をodd演算子とeven演算子に分離して,

Θεημと表現します。
 

(8-1):φ'exp(i)φ, 

∂φ'/∂t=[exp(i){(i/∂t))}exp(i)]φ'

'φ’です。
 

参考テキストの第4:本ブログでは最近の2016年8/10,

8/14の記事;「Dirac方程式の非相対論極限近似(1).(2)」

で述べたように,上記のH'は求めたいオ-ダー:O[1/μ4]

までで次のように展開されます。
 

'i[,](1/2)[,[,]]

(i/6)[,[,[,]]]

(1/24)[,[,[,[,ημ]]]] 

d(1/2)[,d](1/6)[,[,d]] です。
 

特に,1次近似まででは.

'(1i)(ημ+εΘ)(1i) 

ημ+εΘi[,η]μ+i[,Θ]i[,ε]

です。
 

ここで,ηΘ=-Θη,η21, ηεεηが成立する

ことに注意します。
 

このオーダーでρを含むodd:Θが消えることを要求

します。
 

ΘρΠ2/(2μ)(1/μ),ε=eΦ+ηΠ2/(2μ)=O(1) 

ですが,S=O(1/μ2)を仮定すると,[,Θ](1/μ3) 

[,ε] =O(1/μ2)であり,他方,[,η]μ=O(1/μ)

です。
 

よって,オーダーが(1/μ2)以下の項を無視すると,

'ημ+εΘi[,η]μ です。
 

ηΘ=-Θη,より,[η,Θ]2ηΘですから,

=-iηΘ/(2μ)と置けば,i[,η]μ=-Θ

なって,Θが相殺され,'ημ+εが得られます。
 

より高次の項にも,このSを用いると,

i[,]=-Θ+ηΘ2/μ2[Θ,η]/(2μ) 

(1/2)[,[,]]=-ηΘ2/(2μ)[Θ,[Θ.ε]]/(8μ2)

-Θ3/(2μ2),
 

(i/6)[,[,[,]]]

=Θ3/(6μ2)-ηΘ4/(6μ2) 

-η[Θ,[Θ,[Θ.ε]]]/(48μ2) 

(※ただし,この最終項はO(1/μ4)なので無視します。)
 

さらに,(1/24)[,[,[,[,ημ]]]]

=ηΘ4/(24μ3)+Θ5/(24μ4) → これは無視

 

diηΘd/(2μ),

(1/2)[,d]=-i[Θ,Θd]/(8μ2), 


 +(1/6)[,[,d]]

=-iη[Θ,[Θ,Θd]]/(48μ2)~O(1/μ6)→ これも無視

 

結局,H'=η{μ+Θ2/(2μ)-Θ4/(8μ2)}+ε

[Θ,[Θ.ε]]/(8μ2)i[Θ,Θd]/(8μ2)[Θ,η]/(2μ)

-Θ3/(3μ2)ημ+ε'Θ',


 ただし,ε'εη{Θ2/(2μ)Θ4/(8μ2)}
 

[Θ,[Θ.ε]]/(8μ2)i[Θ,Θd]/(8μ2), 

Θ'[Θ,η]/(2μ)Θ3/(3μ2)=O(1/μ2)

す。
 

そこで,=-iηΘ'/(2μ)として, 

"=[exp(iS'){'(i/∂t))}exp(i')

ημ+ε'+Θ" 

η{μ+Θ2/(2μ)Θ4/(8μ2)}+ε'+Θ",
 

Θ”=η[Θ',ε']/(2μ)iηΘ'd/(2μ)=O(1/μ3)
 

さらに."=-iηΘ"/(2μ)として,  

(3)[exp(i){"(i/∂t))}exp(i") 

ημ+ε(3)Θ(3)であって,Θ(3)=O(1/μ5)です。 


(
8-1終わり)

 

結局,特別な静的外電磁場:μ(Φ,)の存在下では, 

オーダー:1/μ4までで,φ'exp(i)φ,

i(∂φ'/∂t)=H'φ',
 

'η{μ+Π2/(2μ)Π4/(8μ2)Π8/(128μ7)..}+eΦ 

[Π2,[Π2.eΦ]]/(32μ4)ηΠ6/(16μ5)

i[Π2,(Π2)d]/(8μ2)+O(1/μ5) が得られます。

 ただし,Πです。

 

上記の'の右辺第1項:

η{μ+Π2/(2μ)-Π4/(8μ2)-Π8/(128μ7)..} 

,Dirac理論の場合と同じく,相対論的質量の増加,
 

つまり(μ2+Π2)1/2(Π2/μ)による二項展開です。
 

また,[Π2,[Π2.eΦ]]/(32μ4)は.Darwin項であり,

Dirac理論で.Zitterbewegung(ジグザグ運動)補正と

述べたもののアナロジーであり,古典点電荷の静電

相互作用:eφの補正です。
 

しかしながら,Dirac理論とは異なり,これは(1/μ4)

のオーダーで初めて出現する小さい項です。

※(注8-2):Dirac理論では,展開Hamiltonianの最終形は, 

(3)β{m+Θ2/(2)―Θ4/(83)}+ε

[Θ,[Θ,ε]]/(82) 

i[Θ.Θd]/(82) (Θ=α(-e)αΠ) 

または,(3)=β{m+(-e)2/(2)4/(82)}

+eΦ{eβ(2)}σB-{i/(82)}σ(∇×E) 

{/(42)}σ(×){/(82)}∇E 

でした。 (注8-2終わり)※
 

こうして,問題をFoldy-Woutheysen展開が収束するような

物理的状況:そして,これらHamiltonianの展開の最初の数項

で正しい記述となるケースに限定する限り,

中間子の相互作用も非相対論的量子力学の問題として論じる

ことができることが,わかりました。
 

この'のこの精度までの表現では,正振動数部分と

負振動数部分の混合は無く,HamiltonianHermite,

通常の非相対論的量子力学の確率解釈が可能です。
 

例として,この表示での正振動数解を,前記事の自由中間子

正振動数解:φ(+)()exp(iωp)(+)()[1,0]T

修正した形で,φn (+)()exp(in)ψn(+)()[1,0]T

と書くと,

{μ+Π2/(2μ)-Π4/(8μ2)-Π8/(128μ7)..}+eΦ 

[Π2,[Π2. eΦ]]/(32μ4)..]ψn(+)()

=Enψn(+)() です。
 

この正エネルギー中間子の存在確率密度は, 

(+)()|φn (+)()|2|ψn(+)()|2で与えられ

,

また,エネルギー固有値:nは,

n=∫ψn(+)()'(,)ψn(+)()3となって 

 H'の期待値に一致します。
 

 ただし,'(,)=η{μ+Π2/(2μ)-Π4/(8μ2)

 -Π8/(128μ7)..}+eΦ[Π2,[Π2. eΦ]]/(32μ4)..

 であって,これは単にHamiltonian:',eの関数の演算子

 であることを強調して明記しただけです。

 

 同様にこの表示での負振動数解を,前記事の自由中間子の 

 負振動数解:φ(-)()exp(iωp)(-)()[0,1]Tを修正

 した形,φn(-)()exp(in)ψn(-)()[0,1]Tと書くと,
 

 η[0,1]T=-[0,1]T であり,i∂φn(-)/∂t=-Enφn(-)

 ですから,'(,-e)ψn(-)()=Enψn(-)()

 です。

(※ 何故なら,'(,-e)=H'(,-e)です。)
 

故にH '(,-e)ψn(-)()=Enψn(-)() です。
 

こうして,電荷の符号が正反対の反粒子の正振動波動関数

,粒子の負振動数解の複素共役で表現できることが

わかります。
 

そして,この反粒子の存在確率密度は, 

(-)()|φn (-)()|2|ψn(-)()|2で与えられ, 

また,n=-∫ψn(-)()ψn(-)()3xです。
 

'(,)ψn(+)=EnΨn(+),および,

'(,-e)ψn(-)=EnΨn(-)より,正振動数解ψn(+)

負振動数解ψn(-),電荷の符号だけが異なるだけの 

Hamiltonianの同じエネルギー固有値Enに属するもの,

と見ることもできるわけです。
 

そこで,対角成分が1,-1の対角行列ηを挿入して 

Foldy-Woutheysen変換表示の確率密度とエネルギー

期待値を再定義してみたい。

という発想駆られます。
 

すなわち,確率密度を

n(±)()=φn(±)()ηφn (±)(), 

エネルギー期待値を

n(±)=∫φn(±)()η'φn(±)()3 

(複号同順)と定義してみます。
 

この再定義は,正振動数解については,何も変えませんが,

負振動数解については,確率密度もエネルギー期待値も

前の定義から,その符号を変えます。
 

エネルギー固有値については,正負両方の解で正となり

合理的ですが,n(±)(),負振動数解では負となるので,

これは確率密度ではなく(粒子の電荷eを掛けて)それぞれ,

粒子と反粒子電荷密度を与えるものと解釈されます。
 

'の展開での(1/μ)のベキ級数が収束する近似までで,

標準の非相対論的量子力学と同じ定式化ができる

Foldy-Woutheysen表示,さらに論議を進めることが

できます。
 

π中間子で構成される原子のエネルギー準位や遷移率は

例えばSchoroedinger理論への相対論的質量とDaewin項補正

のH'を用いた,i(∂φ'/∂t)'φ'から計算できるはず

です。
 

そしてまた,古典論対応が立証できてEhrenfestの関係が 

導出可能です。
 

すなわち,を任意の線型演算子(物理量)として, 

d</dt=i[',]>+<∂/∂t>

の成立を示すことができます。
 

1粒子の確率解釈は,,-振動数解を

Foldy-Woutheysen手法で分離できるようなケース

のみに限定されます。
 

それは,ππペアの存在を定義しなければならない

ような強く急激に変動する場に関する物理的問題など

ではふさわしくないと考えられます。
 

しかしながら,()=φ'()ηφ'(), 

E=∫φ'()η'φ'()3なる内積表現

,こうした一般のケースにも適用できるであろう

という目算で,
 

弱変動での近似のFoldy-Woutheysen変換の全てを

帳消しにして,元の

(ηρ){Π2/(2μ)}+μη+eΦと,

φ=exp(i)φ'に戻って,これら内積表現の構造

を探求します。
 

前述したように,exp(i),Hermite()

ではないので,一般にはユニタリ(unitary)ではなく

注意を要します。
 

自由粒子の0(ηρ){2/(2μ)}+μηに対する

exp(i)の最初の(iμ)の1次の近似では,

S=ηρθ(),

θ()=-(i/2)Tanh-1[{2/(2μ)}/{μ+2/(2μ)}]

純虚数なので,=-でした。
 

 また,Sηρθ()より,ηS=-Sηなので,

 運動量が自由中間子のエネルギー固有値:ωp

 ついては,0'exp()0exp(i)に対して, 

 ωp∫φp(±)'()η0'φp(±)'()3 

 =∫φp(±)()η0φp(±)()3 

 なる式が成立することがわかります。
 

 電荷については,

 φ()[θ,χ]T,φ'()exp(i)φ()について,

 ()3=∫φ'()ηφ'()3 

 =∫φ()ηφ()3 

 =∫d3{θ()θ()-χ()χ()} 

 ={i/(2μ)}∫d3[φ()0φ()] 

 と書けます。
 

 同様な結果は,自由粒子でなく,電磁相互作用が存在する

 ときにも得られます。

 Foldy-Woutheysen変換から,'exp()exp(i) 

 H'=η{μ+Π2/(2μ)-Π4/(8μ2)-Π8/(128μ7)..}

 +eΦ[Π2,[Π2.eΦ]]/(32μ4)(Π-)ですが,

 やはりηS=-Sηなの,

  
電荷については,
 

 ∫()3=∫φ'()ηφ'()3 

 =∫φ()ηφ()3

 ={i/(2μ)}∫d3{(02eA0)φ} です。
 

 それ故,ηを挿入して再定義された電荷密度は,この近似

 が有効な物理的状況ではプライムのない元の表示でのそれ

 と一致し,しかも以前,Klein-Gordon粒子に対して与えた

 電荷の表式:Q=∫d3{φ(02eA0)φ}

 一致します。
 
 

 係数が違うと見えるのは,非相対論の波動関数φ(),

 相対論での同じ波動関数:φ()=fp()の規格化因子

 が異なるためです。
 

 同様に,静的外電磁場内の荷電π中間子のエネルギー固有値

 について=∫φ'()ηH'φ'()3

 =∫φ()ηHφ()3x です。
 

 こうしたプライム系と元の系の2つの表示の期待値の

 単純な対応は,一般的な物理量Oの期待値においても

 行列ηを挿入すべきことを示唆しています。
 
 

 すなわち,

 <O'>=∫φ'()ηO'φ'()3 

 =∫φ()ηOφ()3x=<O> です。
 

 ただし,'exp()exp(i)です。
 

 行列ηの存在無しには.こうした2つの表示の間の対応

 の単純性を得ることはできません。
 

 定義:<O>=∫φ()ηOφ()3へのηの導入

 の物理的効果,負振動数状態にある系に対して,

 物理的観測量の期待値に(-1)を掛けることです。
 

 これは負振動数解が過去に伝播し,それ故,放出と吸収

 の役割が逆になり.物理的観測量を負エネルギー解の

 パラメータと()で結び付けるという要請に連関して

 います。

  
陽電子の理論では,負エネルギーに対する過去への伝播

 の境界条件は空孔理論によって保証されていました。
 

 しかし,Bose粒子に対しては空孔理論のようなものは無く,

 これの根拠は伝播関数のFeynmanの解釈という論旨で満足

 するか,あるいは,場の量子論に頼らなければなりません。
 

 こうした結論で論題を終了するに当たって,

 Foldy-Woutheusen手法が収束するようなBose粒子の物理的

 問題に,結局,確率解釈を与えるという所期の目標を達成

 できた。ということを思い出します。
 

 特に,自由粒子に対しては正振動数解,負振動数解,または,

 粒子解,反粒子解を分離する正確な変換を作ることが

 できました。
 

 これは確率振幅としてのS行列の解釈である次の3種の

 S行列要素:π散乱:

 p’plimt→∞∫d3p()()i0φ()

 =δ3(')i∫d4yfp()()^()φ(),
 

 π-πの対消滅:

 p-p+=-limt→-∞∫d3p-()()i0φ() 

=-i∫d4yfp-(-)()^()φ()  

 および, π散乱: 

 Spp=δ3(')

 i∫d4yfp()()^()φ(),の式の関係

 を正当化します。


 

 

 Bose粒子をその反粒子と区別する電荷(Charge),実は

 通常の電気的なそれ,である)必要はありません。
 

 例えば,自然界にはK0中間子とK0~中間子という共に

 電気的には中性の.しかし,互いに粒子,反粒子の関係

 にあるとされる粒子対がありますが,これらを区別する

 のは,"奇妙さの量子数(Strangeness-Charge)"の符号の

 違いだけです。
 

 そしてまた,粒子がそれの反粒子と一致するケースもあり,

 その場合には,それは常に,電気的に中性で,またどんな

 他の量子数も持ちません。
 
 

 そして,例えばπ0中間子はそうした粒子の例です。この場合

 は中間子の波動関数は実関数で,電荷密度;()0です。
 

 さて.以上で波動関数がKlein-Gordon方程式に従うスピン

 がゼロBose粒子(中間子),電荷を持つ場合の電磁相互作用

 の量子力学について論じた参考テキストの第9章の記述は

 完了しました。
 

 テキストでは,次は最終10章の非電磁相互作用(強い相互作用

 弱い相互作用)の初期理論の紹介ですが,これの私的ノートの 

 ブログ記事化は,前後しましたが,既に終わっています。
 

今日はここで終わります。
 

(参考文献):J.D.Bjorken & S.D.Drell 

”Relativistic QantumMechanics"(McGrawHill)

PS:糖尿病が長いので.それが原因で体中にかゆみがあり,汗を

かくとかゆいということは真冬以外にはよくありますが,今年

は,特に今頃,夜にひどくかゆくて背中や腕にかきむしった跡

ができて,これはダニのせいじゃないか?と疑っています。
 

 何の役にも立たない,「社会のゴミ,ダニ」のようなジジイ

 に本物のダニがついて,共食い状態。。でしょうかね?
 

 しょうがないので.ダニ取りマットならベッドまわりに

 置いてありましたが,今度は金が入ったとき,UV付きの

 布団掃除機の安いものでも買いますかね。。
 

 取りあえず,かゆくてたまらないときは頻繁にシャワーを

 浴びて,これまで使っていた,かゆみ止めを塗っています。
 

 さて,一段落して続きの科学記事は,場理論など他のテーマ

 を書くのも時間残っていれればやる予定ですが。。。

  ここ数年,目が悪くなって本の
小さい字が読めなくなって

 きているため,病院入院中なども読書の楽しみが失せて,

 頭の中で考えたアイディアをノートに計算してきたもの

 などを「遺構」として書いてまとめた記事草稿: 

 =「ライフワークの最後の残り火」でもそろそろアップ

 しようかな。。とも考えています。。

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2016年8月23日 (火)

クライン・ゴルドン方程式(7)

クライン・ゴルドン方程式(Klein-Gordon eq.)の続きです。
 

今回は,Dirac方程式と同じく,lein-Gordon方程式に

ついても 非相対論的近似を与えて確率解釈できるという

ことについて記述します。
 

§9.7 クライン・ゴルドン方程式の非相対論極限変形と解釈 

(Nonrelativistic Reduction and Interpretation of  

Klein-Gordon Equation)
 

ここまで論じてきたKlein-Gordon方程式に従うπ中間子

について,1粒子の従来の確率解釈を持った(非相対論的)

量子力学による近似的な記述が求められるような物理的

状況が存在します。
 

例えば,π中間子で構成された原子とか,物質内の原子の

電磁場や外場と荷電π中間子の相互作用などが,こうした

観点から研究できます。
 

これらは1粒子のDiracの電子論が成功裡に適用され,解釈

されてきた際の物理的状況に類似しています。
 

こうしたケースについて,古典的対応の極限だけではなく

Schroedinger方程式への非相対論的な帰着と解釈を示したい

と考えます。
 

確率解釈を持つ正確な1粒子の(相対論的)量子力学を構成

することは不可能である。ということに直面して,最初の章

ではこの2次のKlein-Gordon方程式を捨てるという方向へ

と誘導されました。
 

そして,非相対論的Schrooedinger理論におけるように,時間

ついて1次の導関数のみを含む方程式の形の,Dirac方程式

基本方程式として採用する道を選択したのでした。
 

しかしながら,今までにDirac方程式の1粒子像では,

正エネルギーと負エネルギーのスペクトルの間には広い

ギャップ2mc2,なお.残っていて,弱く,ゆっくり

と変動する場のような限られた環境の中でのみ,

正エネルギー粒子状態で生き残れることを見てきました。
 

しかし,今や,代わって一旦は捨てたKlein-Gorson方程式

の適切な1粒子量子力学像を探索すべき状況に至っている

と思われます。
 

Klein-Gordon方程式を1次の時間微分のみを含む

Scheordinger方程式の形へと,近似的に変形すること

を試みます。
 

その最初のステップは,(□+μ2)φ=0 を1次の方程式

のペアに書き直すことです。
 

これは,ξ=φd≡∂φ/∂tと書き,(□+μ2)φ=0, 

ξd=∂ξ/∂t=(2-μ2)φと書き直すことでなすこと 

ができます。
 

これで目論見通り,時間微分についての2次方程式:

(□+μ2)φ=0 を,ξ=∂φ/∂t,∂ξ/∂t=(2-μ2)φ

という1次方程式のペア=連立1次方程式に書き直すことが

できたわけでず。
 

次に,θ=(φ+iφd/μ)/2,χ=(φ-iφd/μ)/2という 

2つのφとφd=∂φ/∂tの線形結合を導入します。
 

この,θとχは単純な非相対論的極限で解釈できる描像を持つ 

ことがわかります。
 

すなわち,質量μで静止した粒子では,∇φ=0 (0)なので, 

(□+μ2)φ=0 ,2φ/∂t2=-μ2φ と書けます。
 

これの正エネルギー粒子(正質量)の解は, 

φ ∝ exp(iμt)iφd/μとなるため, 

θ=φ ∝ exp(iμt),かつ,χ=0 です。
 

一方,負エネルギー粒子(負質量)の解は,

φ ∝ exp(iμt)=-iφd/μとなり,逆に,

θ=0,かつ,χ=φ ∝ exp(iμt) です。
 

したがって,Dirac方程式の4成分スピノルを2成分ごと

に分解した際の大成分,小成分た類似した役割を,ここでの

θ,χが果たしていると見えます。
 

(7-1):質量がμでスピンが1/2の粒子なら,それが

満たすDirac方程式は(iγμμ-μ)ψ=0です。
 

その際,非相対論的極限でのDirac粒子の近似的な1粒子描像

を見るため,正確な解である4成分スピノル:ψを,ψ=[θ,χ]T

なる形に分解,2成分スピノル;θ,χをψが正エネルギー解

の場合のそれぞれの大きさに基づいて,それぞれ,大成分,小成分

と呼んだのでした。  (7-1終わり)
 

さて,θ=(φ+iφd/μ)/2,χ=(φ-iφd/μ)/2によって 

Klein-Gordon方程式:∂φd/∂t=(2-μ2)φ は, 

i(∂θ/∂t)=-∇2(θ+χ)/(2μ)+μθ, 

i(∂χ/∂t)=+∇2(θ+χ)/(2μ)-μχ 

と分解されます。
 

(7-2):φ=θ+χ,φd=-iμ(θ-χ)より,