119. 電気回路

2022年8月11日 (木)

エレクトロニクス覚書き(2の2)(電気伝導2)

※2022年8月11日(木)

TOSHIです。余談は抜きで続きをアップします。

,以下,本題です。再掲記事の続きです。

(※再掲記事3)

電気伝導(つづき2)(衝突の正体)(2006年6/19アップ修正)

@nify物理フォーラムで私と一緒にサブシスをやっている

高校の先生で友人と思っている,かんねんさんから,次のような質問

を受けました。

「電子が金属の原子から抵抗を受ける(=衝突する)ことが抵抗

の正体である。と本には書いてありますが.この陽イオンと電子

の衝突って,どんな感じなのでしょうか?というのは,衝突による

斥力的イメージではなく,異符号ゆ故の引力的な力を想像して

しまいます。これをどう理解したらいいのでしょうか?」という

質問ですが,それに対する私の回答があまりにも不親切だたので,

そのフォーラムでの回答の内容を大幅に修正したものを以下に記述

します。

まず,量子論で電場などの外力がない場合に,固体の中の電子は

自由電子近似をするとしても.実は弱いイオンの引力によって,体積

Vの中に閉じ込められており,Vが有限であるために1つの電子の

運動量(故に速度)は,どんな値でも取れるわけではなく,ある離散的

な値しか取れません。

そして,これら1つ1つの準位にPauliの原理とスピン自由度

によって下から2つずつ電子を詰めてゆき,丁度,その固体中の電子

が全て収まったときの,最大のエネルギーをFermiエネルギーと呼び

この最高準位をFermi準位と呼びます。

そうして,この電子準位の全体を運動量ベクトル,または,それを

Plank定数hで割った波数ベクトルの集まった3次元空間で考えると

1つの球になりますが,これをFermi球と呼びます。

そして,球ですから球対称であるが故に,電場のない状態では平均

の運動量はゼロです。つまり,電場がなければ自由電子の平均速度v

もゼロなので電流もゼロだということができます。

しかしながら,固体の中の電子を自由電子で近似するのには無理

があり,格子構造を持った束縛電子で遮蔽された周期的な陽イオン

の引力ポテンシャルを受ける電子波であるのを考慮する必要が

あります。

周期的引力ポテンシャルの摂動を受けるため,電子が取る

エネルギー準位は,その値を取ることができる許容帯と呼ばれる

ネルギ-バンド領域と,その値を取ることは不可能な禁止帯と

呼ばれる小さなギャップ領域の繰り返し,という形態を取ること

になります。

そうした自由電子に代わる固体の結晶格子中の電子を,それ

を発見した人の名を取ってBloch(ブロッホ)電子と呼び,上述

の理論を「バンド理論」といいます。

固体中のBloch電子を下の準位から順にFermi準位に達する

まで許容帯の中に詰めてゆきます。

そうすると1つのケースとしては,幾つかのエネルギーバンドは

完全に占有され,他の全ては空になるような形になることがあります。

このとき,許容帯のうち全てが占有されたバンドを充満帯,または

価電子帯と呼びます。そして,この全充満帯の頂点と,電子が全く空

の非占有許容バンドまでの禁止帯領域の幅をエネルギーのバンド

ギャップと呼びます。

このギャップが絶対温度TにBoltzmann係数kを掛けた値(kT)

に比べて大きい場合には,Fermi準位付近の電子のエネルギー値が

(kT)程度なので,すぐ上の空の許容帯である占有可能な空きの

ある許容帯(伝導帯)までジャンプすることはできませんから,

この固体は「絶縁体」となります。

一方,バンドギャップが小さい場合,ある温度では充満帯から空

の許容帯へとジャンプして,その電子は伝導可能となり,他方,

充満帯の方ではジャンプして欠けた電子の穴が「正孔」という

正電荷のキャリアとなる,などのために,この固体は(真性)半導体

となります。

もう1つのケースは,Fermi準位が許容帯の途中になる場合

で,このときは,その許容帯の中の全部の準位が占有されて

いるわけではなく,部分的に占有されていることになります。

そこで,その中では,その準位付近の電子は自由に動けるので

「電気伝導」というモノが可能になります。

このとき,部分的に占有されている許容帯を伝導体と呼びます。

そして,こうしたケースの固体を「導体」と呼びます。金属は

これに属しています。

バンド理論によると,電子の占有を許された準位の数は,どの

許容帯でも同一で,(固体中の格子の総数)=(構成原子の全個数)

をNとすると,スピンの2つの自由度のため,結局,1許容帯当り

で占有可能な準位数は2Nという偶数になります。

一方,1個の原子当りの価電子の個数が偶数の元素では,それ

を2nとすると,価電子の数は全体で2nNとなり,この総電子数

を許容帯の占有可能な準位数2Nで割り算すると商がnとなって

余りがゼロですから,許容帯には電子が充満し充満帯となり,空き

準位がないため身動きできません。

しかも,その上には禁止帯というエネルギーギャップがある

ので,絶縁体になるか,半導体になるかのいずれかで,これらの

固体は非金属です。

 しかし,奇数の価電子を持つ元素の場合,これは一般に金属です

が,この場合は総電子数を2Nで割ったとき余りがあり一番上の

エネルギーではバンドが充満しないで,ほぼ半数の空き準位がある

という部分的占有状態の伝導帯となり,自由に動けるBloch伝導

電子となって金属導体になるわけです。

このとき,エネルギー領域のバンド化による自由電子

からBloch電子への変化は,一見したところ,電子の質量がmから

有効質量と呼ばれるmに変わる効果だけで表現可能で,実は周期的

Cohlombポテンシャルが全く規則的に並んでいて,しかも止まって

いるだけという状況ですが,,これでは散乱や衝突などは全く起き

ないと考えられます。

つまり,それだけでは依然として緩和時間が∞のままなので,素朴な

古典論で考えたような電子がイオン芯と衝突して散乱されるという

描像は量子論的には誤りなのです。

すなわち,あるエネルギーを持ったBloch電子というのは,自由電子

とは異なり運動量固有状態ではありませんから空間的には一定速度

で運動しているわけではありませんが,とにかく定常状態であると

いうことが重要です。

それ故,古典的に意味のある運動量や速度の期待値は時間的には

一定である,というわけです。つまり,自由電子と同じように,古典

的描像ではBloch電子も一定速度で運動しているわけですから,

古典的Drudeの理論のように,イオンまたは,その引力ポテンシャル

で散乱されるわけではない,ということになるのです。

そして電子質量をmとするとき,自由電子ではエネルギーが

E=p2/(2m)なので,これを運動量pで2回偏微分すると(1/m)

になりますが,Bloch電子でも(本当は自由粒子でないのですが),

そのエネルギーを運動量pで2回偏微分したものを(1/m)

として mを有効質量と定義します。

すると,電場Eがあるときの運動方程式は散乱がないなら

d(m)/dt=eとなり,有効質量は”電子の慣性質量”

と同じ役割を果たすという意味があります。

したがって,例えば電気伝導度=抵抗率の逆数が自由電子

近似の古典的理論値:σ=ne2τ/mからσ=ne2τ/m

変更を受けるという意味があります。

電場Eがかかると,Fermi球の原点がずれて,波数について

球対称でなくなるので,電流がゼロでなくなりますが,それは

電子の電荷をeとするとΔtの後に運動量としてeΔtだけ

ずれる,という意味です。eは負ですからと反対向きにずれる

のですが,それだけでは時間tと共に電子の速度は増加sますから

一様速度にはならず,次第に加速されます。

やはり,一様速度になるためには何らかの衝突,散乱が必要です。

衝突が起こるというのは,量子論では電子は波であり電子波束

が一方向に進行している状態ではなくなって,の方向に影響を

こうむることを意味します。

これは,「並んでいる陽イオンが熱などにより振動する。

つまり,格子振動する。(逆に振動こそが熱かも)」,あるいは

「格子欠陥がある=不純物効果がある。」というような不規則な

変化がある場合で,これがないとBloch電子が散乱されて一様速度

の方向が変わるようなことはありません。

量子論的には,電子波が主に「陽イオンの格子振動=フォノン

(phonon;音子)と衝突するのが散乱の原因でとされます。結局,

結晶格子にある陽イオンが単に並んで止まってるだけでなく時間的

に変動することによりイオンの位置が規則的配列からずれて,その

振動により電子がその進路を曲げられると見るわけです。

 だし,その効果が質問にあった,引力のためであるか?それとも

斥力のためであるか?については私にも確かなところは不明です。

ただ,電気的に中性のフォトン(光子;photon)と電子が衝突する

Compton効果のアナロジーで,電磁場を調和振動子の集まりとして

量子化したフォトン(光子)と同様に, 固体内の格子振動と呼ばれる

陽イオンの振動(波動)を量子化したフォノン(音子)が,電子と衝突

する散乱というくらいの参考書で見たのか,誰かに教わったかの

漠然としたイメージしかありません。

(※もっともフォノンとの衝突はCompton散乱のような弾性散乱

ではなくエネルギー・運動量が保存されない非弾性散乱のはず

ですが。。)

例えば極低温で電子と電子が引付けあってCooper対という

対を作り,結果,電子対共鳴としてスピンが整数のBose粒子と

なり「Bose-Einstein凝縮」を起こして超伝導体を構成する

というBCS理論というのがありますが,元々,電子間には

Coulomb斥力が働くはずですから引力で対を作るというのは

不思議です:

 一方,現在では電気力:Coulomb相互作用は量子論的には

荷電粒子間で仮想フォトン(スカラー光子)を交換する結果

で生じる.というのが量子電磁力学の理論からの帰結ですが,

これのアナロジーで.固体の結晶格子内の電子間の引力,斥力

はフォノンの交換により生じるとされています。

特に,固体内で低温ではフォトン交換による電気的なCoulomb

斥力を,フォノン交換による引力が上回るようになり,Cooper対

という電子対ができると考えられています。

いいかえるとCoulombポテンシャルが格子フォノンによって

遮蔽されて斥力から引力に変わるという帰結です。

このようにフォノン(格子振動波)をフォトン(電磁波)のように

粒子性を持った量子として吸収,,放出したり散乱するもとして

扱うのです。

 こうし,とにかく電子の衝突,散乱があれば,古典論のDrude

理論のイオン芯との衝突でなくても有限な緩和時間τを与える

ことができますね。

実際にはこの緩和時間は運動量や温度の関数であり,詳しくは

「Boltzmannの輸送方程式」という偏微分方程式の1つの項で,

緩和時間という量を挿入定義することに従って決まります。

私も,まだアシュクロフト・マーミン著(吉岡書店)

「固体物理学の基礎」の全4巻のうちの2巻目の途中

まで読んだところで中断していて,把握できてない知見

が多々あり今はこの程度の説明が限界です。

 ここで終わり,次回は固体結晶のフォノンについての過去記事

に続きます。

 

 

 

 

 

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2022年8月10日 (水)

エレクtロニクス覚書き(2の1)(電池,電気伝導1)

2022年7月21日(木)→8月10日

※(余談):TOSHIです。江戸では暑い日が続いています。

MLBの大谷君やダルビッシュ,プロゴルフの松山選手や渋野

ら若手女子ゴルファーの活躍,テニスの大阪なおみちゃんや

世界陸上などスポーツイベントのTV観戦をするくらいの

楽しみしかなく,最大の趣味であった読書が弱視?でできなく

なりました。

 私は世の中では,反社ではなく非社会的アウトサイダーで

熱中症にもならず,コロナにも罹患しませんが気候の不安定の

せいか?心臓と肺.気管支,さらに食道から消化器の調子もよく

ないです。そろそろお迎えかな?(余談終わり※)

※さて,以下,本題の続きです。

※まず化学電池の原理について復習

中学校の理科や高校の化学で習った,化学エネルギーを電気

にする液体電池の典型例は,希塩酸中に亜鉛(Zn),および,銅

(Cu)という2枚の金属板を入れて,Znを負極にCuを正極に

して導線でつなぐとき,電子の流れで起電力が生じるのでした。

(ダニエル電池?)

 塩酸(HCl)は,HCl⇔H++Clと電離平衡にあり希塩酸は,

その薄い水溶液です。溶液中でのZn,Cuの外殻の価電子の電離

平衡は,それぞれZn⇔Zn+2+2e-,Cu⇔Cu+2++2e-です。

金属のイオン化(電離)に必要なエネルギーは.定圧辺変化なので

エンタルピー変化:ΔHで表現されます。これが小さい方ほど,

金属原子の結合が不安定で.イオン化しやすいです。

これがいわゆるイオン化傾向とypばれているモノで,これに

より,平衡反応の矢印の向きが決まってZnからe-を得て,それ

がCu2+流れて金属Cuか析出することで起電力が得られる

のが液体電池です。

私は弱視で本が読めないので.ネットのホームページで文字

拡大で参照すると,電圧降下:ΔVでの表現として実験値はZn

が1.56V.Cuは0.45Vであり,相対的にZn板の電位よりもCu

の電位が1.11Vだけ高いので,Znに残された電子eが回路

通ってCu板に流れてCu板に金属Cuが析出する。

というわけです。

電池は放電あるいは回路電流によって電子が全て消費されると

寿命を迎えますが,逆向きの起電力をつないで放電すると元に

戻るなら.これが充電です。充電可能な電池としてはニッケル・

水素電池あり,電解質にはKOHを用いているらしいでます。

ノーベル賞受賞の吉野博士によるリチウムイオン電池は負極に

Liを用いることに成功して汎用化されtいる優秀な液体電池

ですが,現在,理想的な電池としては電解質に液体でなく固体を

用いる全固体電池が開発中で今後のEV車などへの使用が期待

されています。

私は,充電スタンドなど別に発電された電気を利用するのではなく,

太陽光をそのまま使うソーラー光電池を搭載して,夜間は電電池

で賄うソーラーカーであれば,電気を不断に供給されながら稿走行

できるのでとてもよい方法と思いますが,現状は,通常EV車の10倍

以上のコストが必要で効率を上げる技術も未熟,かつ経済的にもで

実用に不向きであるらしいです。常温の超伝導物質があればなあ。

と思います。

ソーラー発電なら我が国には,輸入するしかない石炭。石油,LNG

は不要で,CO2発生も少なく,気象や地震などの天災にも強いと

思いますし,遊ばせている広大な農閑地にソーラーパネルを配置

すれば電力会社が独占している送電線も大して必要ないし環境

破壊,光害の問題さえクリアできれば現,実には将来的に発電所

よりもコストは安く,売電のためでなく自己に必要だけな電気供給

を考えるなら一時的に国家予算で補助しても,結局,年に何度かの

メンテナンス程度の費用で償却され電気代不要なクリーンなで

電力源となるのですがね。

既得の電力利権などに拘泥せず,こうした開発に国家が投資

すれば優秀な技術立国で,これまでも新技術を開発している

我が国だと可能な気がするのは私だけの浅知恵なのでしょうか?

※さて,次に,固体結晶のバンド構造を復讐するため2006年

当時の過去記事から,いくつかを再掲します。

(※再掲記事1)電気伝導(オームの法則(2006年6/15)

@niftyの物理フォーラム,と化学の広場の専用会議室:

「中高生の理科質問箱」で電気伝導について泥試合的

な論争が続いているのを傍観していますが,そもそも

初学的知識の子供に解説するだけなら,以下の程度の

説明で十分かな。。と思います。

まず,電流の定義ですが,電流とは電荷を運ぶキャリア

(Career)という実体(電子とか,正孔とかイオンとか)の

如何によらず,単位時間に断面積を通過する電荷量のこと

です。そして,通常,その単位はA(アンペア)=C/sec

(クーロン/秒)で与えられます。

普通の家庭で流れている電流は数アンペア程度で,この

とき,電荷の平均の移動速さは数mm/s程度に過ぎません。

それなのに,遠くでスイッチを入れても,すぐ近くで電灯

が点くのは,要するにトコロテン式で.遠くの端で電荷が

押されると次から次へと”押しくら饅頭”のように押

されて,近くでもすぐに遠くの端と同じ速さで電荷が

移動するようになるからですね。

電池などの起電力を持ったポンプを閉じた回路につなぐ

と金属でできた導線の中にも電場が生じます。電場

あるとき,大きさeの電荷があると力:=eを受けること

になります。それ故,質量mの電荷が速度vで運動するとき,

その運動は,それが電場Eの他に何の力も受けていなければ,

Newtonの運動方程式:d(m)/dt=eを満足することに

なるはずです。(相対論効果は無視しています。)

ところが,普通,金属の内部を移動する電荷というのは,金属

原子からの束縛をはずれたと見なしてよい自由電子です。

電子の電荷eは負の数で,,金属の中では自由電子という

名は付いていますが,実はそれほど自由というわけではなく.

金属原子の格子振動(量子論的にはフォノン(音子)と呼ばれる

量子=波動性と粒子性共有のモノ)や,不純物によって散乱を

受けます。

素朴な古典論でのドゥルーデ(Drude)のモデルでは。この

散乱はイオン芯(原子から自由電子を差し引いた残り)との衝突

を意味します。もちろん,電子同士の衝突などは無視できます。,

これら散乱を受ける電子の平均の衝突までの時間=緩和時間

をτ(sec)とおくと,これは1個の電子が単位時間(1秒間)に衝突

する確率が,(1/τ)であることを意味します。

 1個の電子が散乱を受けると,それはどの方向に散乱を受ける

確率もほぼ同じなので,ある向きに進んでいた1個の電子に着目

すると,その向きに走る電子に関しては急に消えたのと同じに

なります。

故に,現在の時刻をtとして時(刻(t+Δt)に消えずに残って

いる確率は,(1-Δt/τ)です。そこで電子の速度を(t)と

すると,先のNewtonの運動法則は次のように変更しなければ

なりません。つまり,m(t+Δt)=(1-Δt/τ){m(t)

+eΔt+O(Δt2)}です。

そして,この両辺をΔtで割ってΔt→0の極限を取ると.

上式右辺のΔtの2次以上の項は消えて,d(m)/dt

=e-m/τと書いてよい,ことになります。

そして,十分長い時間の後には(といっても実はすぐですが)

平衡に達して左辺の加速度項はゼロとしてよく,速度は一定に

なるはずです。

このときの多くの電子の平均の速度もやはり,vと書くこと

にします。そうすると,0=e-m/τ⇒e=m

により,=eEτ/mと書けます。

単位体積当りの自由電子の個数をnとすると,電流密度

(=単位時間当りに単位断面積を通過する電荷量):は,

=neで与えられますから,結局,=(ne2τ/m)

なり,電流密度は電場に比例し,その向きも電場と同じ,

ということになります。

 この関係式:=σ;ただし,σ=ne2τ/mは,電気伝導度

という形でのオームの法則(Ohm‘s law)ですが,より身近な形

に直しておきましょう。

電荷が流れている場所の金属線(抵抗)の断面積をS,長さを

Lとします。そして正電荷qが一様電場Eに抵抗して距離L

だけ,反対向きに移動するのに要する仕事=位置エネルギーは

qELとなりますが,これをe=qLと書いて,

のことを電圧,または電位差と呼びます。この電圧の単位は,

V(ボルト)=J/C(ジュール/クーロン)です。

電流は電流密度×断面積;Sですから,先の=σ

という形の式は.=σS=(σS/L),あるいは,逆に

{L/(σS)}という形になります。

そこで,抵抗Rを,R=L/(σS)と定義すれば,よく知られた

形のオームの法則:Rとなります。

(参考文献):アシュクロフト・マーミン著「固体物理学の基礎」

(吉岡書店)

(※再掲記事2)電気伝導(つづき1)(ジュール熱)(2006年6/17)

 オーム@の法則について述べたついでに,電気が熱に変わる

のは何故か?というジュール熱の問題も微視的に考察してみます。

 1つの電荷eに対する運動方程式を与えるため,位置xに

おける電位をV()とすると,これは単位電荷当りの

ポテンシャルを意味しています。

一様電場の向きをx軸に取って,問題を1次元化,つまり,

x座標だけで考えると,EとVの関係はE=-dV/dxと

なります。

したがって,電場Eがあって何の抵抗もないときには,

運動方程式は電荷の質量をm,速度をvとすると,

d(mv)/dt=―e(dV/dx)となります。つまり,抵抗が

ないと電流を与える電荷の速度は一定ではなく加速されるの

ですね。そして,この運動方程式の両辺にv=dx/dtを

掛けて得られるv(dv/dt)=d(v2/2)/dt,および,

恒等式;v(dV/dx)=(dx/dt)(dV/dx)=dV/dt

を用いると,d(mv2/2)/dt=-edV/dtとなります。

つまり,(d/dt){(1/2)mv2/2)+eV}=0となって,

保存力場に対する,通常の力学的エネルギー保存則を得ます。

左辺の(d/dt){(1/2)mv2/2)+eV}は,もちろん,

力学的エネルギーの単位時間当りの増加分ですが,これがゼロ

ということは,抵抗がないときには,熱などの形でのエネルギー

の散逸(ロス)が全く無いことを意味していると考えられます。

しかし,実際には,前記事で書いたように金属線にはゼロでない

抵抗があり,自由電子の衝突の緩和時間をτ(sec)として,運動

方程式は,d(mv)/dt=eE-mv/τとなることを

見ました。すなわち,より正しい運動方程式は,

d(mv)/dt=―e(dV/dx)-mv/τです。

働く力を表わす右辺は,位置xで決まるだけでなく速度vに比例

するマイナスの項,いわゆる抵抗力の項を含んでいます。

力学的エネルギーの変化率の方は,やはり両辺にv=(dx/dt)

を掛けて求めるわけですが,今度は,(d/dt){(1/2)mv2+eV}

=-mv2/τとなりますから,平衡状態,つまり.加速度がゼロで

dv/dt=0の電荷速度vが一定,または電流が一定の状態に

なると,d(eV)/dt=-mv2/τとなるはずです。

結局,回路に電流スイッチが入ってから十分な時間が経過した

後にvが一定で,v{d(mv)/dt=d(mv2/2)/dt=0 より,

運動エネルギーが一定に保たれる平衡状態になっても,位置

エネルギーは,右辺の(-mv2/τ)のような形で散逸して(逃げて)

いきます。これがいわゆる熱というわけです。

つまり,緩和時間τで特徴付けられる材質の抵抗があれば,それ

を流れる電流を構成する電子が受ける外力は保存力どころか位置

だけの関数でさえなくて,何らかの原因で自由電子はデタラメな

方向へ散乱され,散乱された電子の運動エネルギーの総和という形

で,力学的エネルギーが損失を蒙ることになります。

 このエネルギー損失は,速度に比例する抵抗という形で表現され,

これが巨視的には「ジュール熱」と呼ばれるモノとして現われると

いうわけです。

そこで,力学的エネルギーの他に,「熱エネルギー」という形

のエネルギーの存在も考慮するならば,先の方程式:すなわち,

抵抗がないときには,(d/dt){(mv2/2)+eV}=0に

よって,エネルギーの保存を示し,一方,抵抗があるときには,

(d/dt){(mv2/2)+eV}=-mv2/τの形の発展方程式

となり,結局,「単位時間当りの力学的エネルギーの減少分

(増加分(減少分)が熱エネルギーの増加分(減少分)に等しい.]

という「全エネルギーの保存法則(熱力学第一法則)」を表現

しています。

具体的には,Eが一定のときの電位はV(x)=-Ex+(定数)

と書くことができて,d(eV)/dt=-eEvと書けます。

したがって,大きさがeの1つの電荷の単位時間当りの

エネルギー損失の式:d(eV)/dt=-mv2/τは,-eEv

=-mv2/τとなります。

一方,抵抗物体の単位体積当りの電荷eの個数をnとすると,

電流密度はJ=nevです。

それ故,単位時間,単位体積当りの損失は,nmv2

=neEv=JEとなり,断面積がS,長さがLの抵抗ならその

体積:SLを掛けて,JSLE=nSLmv2/τですが,電流の

定義:I=JSと電圧の定義:V=ELを用いると,これは,IV

=Nmv2/τという表式を得ます。ただし,NはN=nSLで抵抗

中の電荷eの総数です。

そこで,抵抗内の全電荷:Q=Neを用いると,全体積中のN個

の電荷による単位時間あたりの全エネルギー損失:=ジュール熱:

IV=Nmv2/τとして与えられる「ジュール熱,または消費電力

はIV=Qmv2/(eτ)なる式で表現されます。両辺の単位は

ワット(W)=J/secです。

(参考文献):アシュクロフト・マーミン著「固体物理学の基礎」

(吉岡書店)

長くなったので次は,次回にまわします。

 

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2022年7月20日 (水)

エレクトロニクス覚書き(1)(太陽光発電補遺)

※2022年7月7日(金)→7月20日(水)

※(余談):2月の誕生日以来の久しぶりTOSHIです

私は,コロナじゃなくワクチンも1度も受けていませんが

ときどき,血中酸素濃度が落ちて酸素吸入をしています。

先週(7/7頃,)酸素値は96以上に回復しましたが虚血性

心不全での肺水腫で利尿剤で水を排出して何とかまだ生きて

います。自分のまわりでは毎年のように同年代の友人がポツポツ

と鬼籍に入ってゆき,さびしい限りです。元々私が一番アブナイ

と言われていましたが,私は意外とシブトイ憎まれっこのようです、

まあ,棺桶片足ですがね。。(余談終わり※)

※さて,以下,本題です。

元々,地球のエネルギーは,全て太陽由来ですから,最近の再生

可能な発電として太陽光発電と蓄電に関心があり,関連項目を

調べています。

まずエレクトロニクスの知見からおさらいします。

エレクトロにクスというのは,電子(electron)の挙動とそれを

利用した電気機器の応用などを扱う学問と理解しています,

§1.交流電流の直流化

 電気の発生源が主として電気以外の水力とか,火力による

ボイラーの加熱などにより,磁極の中でコイルを回転させると

いうモーターとは逆の操作で,熱などのエネルギーを電気に変換

するという発電機に頼るため.発生されるのが周期的に正負の向き

が変わる交流電流が主流ですが,アメリカの発電機が60Hz,

ドイツのそれが50Hzだったかな?の理由で明治時代?での

導入先の違いから西日本と東日本で交流周波数が異なって

います。これはは不便なことですが,もはや双方が巨大化して

いて統一にはコストがかかりすぎるためか,現在もそのままです。

こうした発電機は古いママチャリなどで,人力でペダルをこぐこと

で前方のライトを灯すという人力発電を思い起こせば,それの大がかり

なモノが,火力などの交流発電機であろうと想像できます。

今は,送電も交流は交流のままで行なわれています。

加熱や照明など交流のままでよい機器も多いですし,近年は周波

数がどちらでも対応できる機器の開発等もされています。

それでも,ラジオ,オーディオなど直流に変換しないと使用

できない電気機器も多数あります。これは,通常,整流回路を

用いて直流化します。これには電子が陰極から陽極に向かう

電流のみを通し逆向き電流は遮断して通さない素子=整流器

を回路に挿入します。整流素子1個では半周期のみの電流で

残る半周期は空白です。そこで,2個の素子を並列に挿入した全波

(両波)整流回路を用いて残る半波空白部分をも向きをそろえて加え

るようにします。

これで,例えばI0sinωtの交流電流なら,I0|sinωt|のように

方向は直流化されますが,直流と呼ぶには波型のデコボコ(リップル)

が大きくて不安定な流れです。それ故,コンデンサを挿入してきるだけ

平滑化して自然な直流を求めます。

§2.整流素子:2極真空管とダイオード(diode)

エジソンによる電球は,真空,または希ガスを封入したガラス管で.

内部にフィラメントと呼ばれるタングステンなどの特殊金属導線

部分を作り,それが電流の増加と共に熱線と同時に光線を放射する

モノです。特に金属が熱せられると境界壁の仕事関数と呼ばれる

障壁ポテンシャルより大きい熱エネルギーを持てば自由電子が

放出される現象があり,これを熱電子といいます。

2枚の金属プレートの一方を陽極,他方を陰極と定め,陰極のみ

をフィラメントで熱を与えます。熱電子は負の電荷eを持つので

陰極から飛び出した熱電子は陽極に引かれます、そこで陽極を正

とする電圧に対しては,陽極と定めたプレートに熱電子が到達

しますが,逆の負電圧なら熱電子は陽極プレートと呼んでいても

実は陽極ではなく陰極となるために電子が到達しません。

したがって,交流電圧をかけた場合,正電圧のときのみ真空中

を熱電子の電流が流れることになり.負電圧部分では空白となる

ため,2極真空管は半波整流素子に成り得ます。これの並列+

平滑回路で全波整流平滑化可能です。

§3。固体体結晶中の電子エネルギーのバンド理論

真空中の自由電子であれば,それらは連続的な運動量(波数)を

持つ自由平面波で表わされ,そのエネルギー=運動エネルギーに

上限はありません。また,単独原子,分子であっても束縛される電子

のエネルギーは離散的ではありますが上限はないはずです。

しかし,有限な境界を持つ固体結晶内では電子が占有可能な準位

の数は限られていてPauliリの排他原理から.1準位に2個ずつの

電子を詰めていくことができます。

構成元素の内殻電子が原子核=正イオンに束縛されているのに対し

外殻電子は,周囲の他の原子との共有結合も可能て,価電子と呼ばれ

近似的に自由電子としてBlochの周期的電子となります。

この価電子をエネルギー準位の下方から順に詰めていくとある

レべルが上限となって,満杯の身動きできない充填帯と,その上に電子が

占有不可能な禁止帯と呼ばれるエネルギー帯(エネルギーバンド)構造

になります。

例えば原子番号14のシリコンSi(珪素)は価電子は4と偶数ですが,

結晶を構成する原子の価電子がmでその原子の個数がNなら占有される

準位の総数はmNです。一方,結晶格子構造の周期性から,この周期性

を持つ正イオンによる周期的ポテンシャルに従う電子のエネルギー

について,Bloch電子という近似的に自由な独立電子として周期的

境界条件を適用することで,占有可能な許容帯と,不可能な禁止帯

が交互に繰り返されます。

総数mN個の価電子を詰めて許容帯を下から充填帯にしていくと,

最後に充填していない疎らな許容帯=伝導帯が出現することがあり

ます。各原子での許容帯に入り得る価電子の個数は決まっていて同じ

個数ですが,スピン上下の2個ずつ入るので.それは偶数です。

そして,絶対温度Tのとき,準位が最上位電子はkTのオーダー

の運動エネルギーで熱振動しています。(kはBoltzmann定数) 

ですから,もしも完全に電子順位が満杯で充填されたバンドの上の

禁止帯のエネルギーギャップの幅がkよりも,はるかに大きい

なら,この固体は絶縁体ですが,この禁止帯のギャップの幅がk

に比べて小さいなら,その1つ上の許容帯にまで電子が励起遷移される

ことがあり,この場合,この充填されていなかったバンドは伝導帯と

呼ばれて,電子が負のキャリアとして自由に動けます。同時に元の励起

前の満杯に電子で充填されていた許容帯には電荷eの電子が失われて,

相対的に電荷が(-e)>0の正孔が出現して,いわゆるドナーと呼ばれる

正のキャリアの半導体(P型半導体)になります。

逆に,満杯でなかったバンド帯に励起されて電子が加わった部分は,

負電荷過剰となり,アクセプターと呼ばれて.負のキャリアである電子

を持つ半導体(N型半導体)となります。

価電子が偶数4の元素Si(シリコン)のN個の原子の結晶では,価電子

総数は4N個であり,全ての許容帯バンドの電子許容準位数も偶数

なので,完全に電子が充填されて余りがなくなりますが,絶縁体では

なくて禁制帯のギャップが.約1.12eVと小さいことで,不純物がない

なら真性半導体と呼ばれる半導体となります。

他方,価電子が奇数の物質では,最上位のバンドが充填されず.約半分

の準位が空きで,自由に移動できる伝導電子があるため.通常は金属

導体となります。

そして.半導体のP型とN型を接着させたPN接合は2極真空管と

同じく陽極と陰極で.N→Pの電子流が一方通行なので整流素子と

なり得ます。これは半導体ダイオードと呼ばれています。

真空管に比べて,半導体によるダイオ-ドはるかに小さいモノなので

デジタル機器の直流回路で重宝されています。

§3。増幅器(アンプ),3極真空管とトランジスタ

交流電流をそのまま増幅するには変圧器があり,これは電流が

流れる部分の同じ長さ当たりのコイルの巻き数に電流量が比例

するのを利用した交流の相互誘導を用います。

しかし,直流化して増幅する増幅回路の素子としては,3極真空管

があります。これは2極黒真空管の陽極と陰極の間に,もう1枚

可動な金属板(網)を入れて,これをグリッドと呼びます。この真空管

では陰極はカソード,陽極はアノードと呼ばれています。

カソードからアノードへの熱電子流量はカソードを熱する陰極

の電流量に,ほぼ比例した特性を持ち,グリッドを移動させて飛距離

を変えることで電子流量も相応して変化させることができます。

そこで,電子流の量の過多を調節することで,元のカソード上の電流

を,増幅させる効果を持つ増幅器とみなせます。

一方,半導体によるトランジスタは,3極管のカソード,グリッド

アノードを,それぞれ,NPPなどの型の半導体接合で行なう増幅器

です。これもダイオードと同様,真空管よりはるかに小さいので

便利です。

§4.ソ-ラー電池(太陽電池)

光電効果を利用すると.Si(シリコン)やGaAs(ガリウム-ヒ素)

などの半導体表面にエネルギー:hνの光子が衝突して光電子流が

発生する光電効果を利用した起電力を光電池(ソーラー・バッテリー)

といいます。

水力エネルギーを電力に変える発電効率が.80%にも達するのに

して,太陽光によ発電効率は現状のメーカーのソーラーパネルの

場合,高々20%程度で,80%の太陽エネルギーは無駄に空気中に

捨てていることになります。これを捨てずに蓄電できればいいの

ですがね。

ところで,熱力学第2法則によれば絶対温度T1とT2の2物体が

あるとき,熱は高温から低温にしかひとりでには移動できないと

いう第2法則があるため,熱エネルギー:Qを電気も含めた力学的

エネルギ-:Wに変化させる最大効率は,T1>T2なら,η=W/Q

=1-(T/T1)=(T1-T2)/T1で与えられることはわかって

おり,周囲に変化を生じさせず,この熱から仕事に変えることを

繰り返す機関(サイクル)の最高効率の理想的なモノはカルノー

(Carnot)サイクルと呼ばれます。現実の実用的には,より効率

の低いガソリンサイクルやディーゼルサイクルが車のエンジン

に用いられています。

というわけで,蒸気機関車のようにボイラーの蒸気で発電機を

して発電を行なう火力発電も.100%の効率は不可能です。

しかし,逆に電気を熱に変えることは100%可能なのですがね。

太陽光でも捨てている太陽光を蓄えて使用できればいいのですが,

効率20%で得た電気も全部使わなければ熱として消えるだけで

蓄えられません。ジュール熱という損失(ロス)がゼロなのは

超伝導体だけです。

単純には電気は大量に蓄えることができないのです、

もしもし摂氏15度から30度程度の常温,かつ1気圧の状態

超伝導体が存在すれば,送電線などもそれで作成しロスなく電気

を蓄えることができて、それは画期的なことで電力不足を解消

できるのですが。。。

現状では約170万気圧のような高圧での水素化合物などがある

だけで,通常気圧では,極低温の物体でし超伝導体は存在せず冷却

コストのため.MRIやマイスナー効果を利用したモノレールなど

にしか使用されていません。今日はここまでです。(つづく)

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2006年12月29日 (金)

鳳・テブナンの定理(電気回路)

 今日は電気回路において有名な「鳳・テブナンの定理(Ho-Thevenin's theorem)」について述べてみます。

 

 そのために,まず「重ね合わせの理(重ねの理)」を証明します。

 

 「重ね合わせ(superposition)の理」というのは,

 

 "線形素子のみから成る電気回路に幾つかの電圧源と電流源がある場合,

 

 この回路の任意の枝の電流,および任意の節点間の電圧は, 

 個々の電圧源や電流源が各々単独で働き,他の電源が全て殺されている

 場合の回路の電流や電圧の代数和(重ね合わせ)に等しい。"

 

 という定理です。

 

 ここで,"電源を殺す"とは,起電力や電流源電流をゼロにすることです。

 

 つまり,"電圧源を殺す"というのは端子間のその電圧源を取り除き,そこに代わりに電気抵抗ゼロの導線をつなぐことに等価であり,

 

 "電流源を殺す"というのは端子間の電流源を取り除き,その端子間を引き離して開放することに等価です。

 

 この定理を証明するために,まず電圧源のみがある回路を考えて,線形素子に対するKirchhoffの法則に基づき,回路系における連立1次方程式である回路方程式系を書き表わします。

 

 すなわち,を電圧源列ベクトル,を電流列ベクトルとし,をインピーダンス(impedance)行列とすれば,

 

 この回路方程式系はZiと書けます。

   

 

このとき,電気回路の特性からは必ず,逆行列であるアドミッタンス(admittance)行列:-1を持つことがわかります。

 

したがって,を単独源の和として=Σkと書くなら,

-1=Σ-1kとなるので,k-1kとおけば

=Σkと書けます。

 行列の図で表現すると,

 

  

  

 

   

     

です。

  

同様に,を電流源列ベクトル,を電圧列ベクトルとすると,YVなので,k-1kとおけば=Σkとなります。

 

ところで,起電力がE,内部抵抗がrの電圧源と内部コンダクタンス(conductance)がgの電流源Jの両方を考えると,

 

電圧源の端子間電圧はV=E-riであり,電流源の端子間電流は

i=J-gVです。

 

これらの電源が等価であるとすると,

開放端子での端子間電圧はi=0 でV=Eより,

0=J-gEとなり ,

 

短絡端子での端子間電流はV=0 でi=Jより,

0=E-rJとなります。

 

これらが同時に成立するためには,r=1/gが必要十分条件です。

 

というわけで,電流源は等価な電圧源で,電圧源は等価な電流源で互いに置き換えることが可能です。

 

それ故,上で既に示された電流や電圧の重ね合わせの原理は,電流源と電圧源が混在している場合にも成立することがわかります。

 

これで,「重ね合わせの理(重ねの理)」は証明されました。

 

次に「鳳・テブナンの定理」ですが,これは,

 

"内部に電源を持つ電気回路の任意の2点間に"インピーダンスZL(=電源のない回路)"をつないだとき,

 

Lに流れる電流ILは,ZLをつなぐ前の2点間の開放電圧をE0,

内部の電源を全部殺して測った端子間のインピーダンスをZ0とすると,

 

L=E0/(Z0+ZL)で与えられる。"

 

という定理です。

 

これを証明するために,まず起電力が2点間の開放電圧と同じE0の2つの電圧源をZL直列に互いに逆向きに挿入した回路を想定します。

 

これは,挿入した2つの電圧源の起電力の総和がゼロなので,実質的には何も挿入しないのと同じですから,元の回路と変わりないので普通に同じ電流ILが流れるはずです。

  

 

そして,この2個の追加電圧源挿入回路は,結局,

 

"1個の追加逆起電力-E0から結果的に回路の端子間電圧がゼロで電流がゼロの回路"と,

 

"1個の追加起電力E0以外の電源を全て殺した同じ回路"との「重ね合わせ」に分解できます。

 

したがって,「重ね合わせの理」によって合計電流Lは,後者の回路の電流0/(Z0+ZL)に一致することがわかります。

 

この「鳳・テブナンの定理」は「等価電圧源の定理」とも呼ばれます。

 

電圧源を電流源に置き換え,直列インピーダンスを並列アドミッタンスに置き換えたものについての同様な定理も同様に証明できますが,これは「ノートンの定理(Norton)」=「等価電流源の定理」といわれます。

      (ノートンの定理↓)

 

 

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2006年7月 3日 (月)

電気の伝わる速さ(分布定数回路)

  以前,電流というのは電子などが流れる速さを意味しており,通常の家庭電器の中を流れる電流は数アンペア程度で,これは電子の速さにして秒速何ミリとか何センチ程度の遅いものですと書きました。

 そして,それでも電荷のキャリアがトコロテン式に押し出される結果として,遠いところに電源やスイッチがある場合でも,電灯などはほぼ即座に点くというような内容のことを述べました。

 それでは,ほぼ即座といっても,直流回路でスイッチを入れてから,電流がほぼ一定になって安定するまでに,実際どのくらいの時間がかかるのでしょうか?

 回路全体の抵抗をRオーム(Ω),電池など電圧源の直流起電力をEボルト(V)とします。

 導線には必ず変動電流によって誘導される起電力,つまり,自己インダクタンス(自己誘導係数)= L ヘンリー(H)があると考えられますが,電流 i アンペアが一定な安定状態では,それによる逆起電力は起きません。

 しかし,電流 i がゼロから定常値のE/Rに達するまでは電流は一定ではなく,次第に大きくなるように変化するため,その際僅かな間でも"逆起電力=自己誘導起電力"が働くはずです。

        

 そこで,回路方程式はL (d i /dt )+R i=E という形に書けます。

 t=0 には i=0 であったという初期条件で,この方程式を解くと, i =(E/R ){1-exp(-t /τ)} となります。ただしτ=L/Rです。

 この式によれば電流が定常電流の i =E/R になるには,時間 t が ∞ になる必要がありますが,実際にはt=τで既に i =(E/R )(1-1/e),つまり定常電流の約 2/3 にまで達し, t=3τで は定常電流の95 % 以上にもなります。

 そして円形断面の均質な導線の場合,透磁率をμ,長さをℓとして自己インダクタンスLを計算すると,L=μℓ/(4π)であることがわかります。

 真空では透磁率はμ=4π× 10-7Hです。そして抵抗はR=ρℓ/Sですが通常の半径が0.1mm程度の断面の銅製の導線ではρ=13.6ΩmでS=π× 10-8m2ですから,τ=L/RはμS/(4πρ)~  10-15秒程度になります。

 それ故,導線の材料が銅より抵抗の大きい金属だとしても,ほんの一瞬で電流はほぼ100%までの定常に達するはずです。

 こうした非定常電流の現象を過渡現象といいます。

 例えば2本の平行導線回路が無限に延びていて左端に電圧源Eボルトがあるだけの閉回路を想定します。

 これは,単位長さ当たり,抵抗R,インダクタンスLと2本の導線間のキャパシタ(コンデンサ容量):C,と内部コンダクタンス(アドミッタンス=インピーダンスの逆数の実部)Gがあるような等価回路としてよいと考えられます。

 ( Z=R+jX , 1/Z=Y=G+jB です。R=0 ならG=0 )

         

 こうした回路を分布定数回路といいます。

 分布定数回路において,R=0 かつG=0 の極限の理想状態の回路,つまり,無損失回路を考えます。

 x から x+Δx までの間の電圧変化をΔe とすると ,e+Δe =e-(LΔx) (∂i/∂t) であり,また電流上昇をΔi とすると i+Δi= i-(CΔx) (∂e/∂t) と書くことができます。

 これら2つの式は,∂e/∂x=-L(∂i/∂t),および∂i/∂x=-C(∂e/∂t)となります。これらの式をまとめると,∂2i/∂t2={1/(LC)} (∂2i/∂x2)となりますが,これは位相速度がv=1/(LC)1/2の波動方程式です。

 したがって,電流は波動として,この速度 v で伝送されます。

 電圧も全く同様な方程式に従う波として伝送されますから,この v が「電気の伝わる速さ」と同定されます。

 特に2本の平行導線の断面が同じ半径 r (m),の円で,それら導線間の中心間の距離が d (m)なら,導線の表面だけを電荷が流れるとして計算すると,

 L=(μ/π)log(d/r) (H/m), C=πε/log(d/r) (F/m) なので, v=1/(LC)1/2=1/(με)1/2となることがわかります。

 ここにεは誘電率です。

 特にμとεが真空中と同じ値(μ=μ0,ε=ε0)なら ,v は光速 cに一致します。

 つまり,電流は実質的には蟻の歩く速さのように遅いにも関わらず,回路に何のエネルギー損失も無い理想的な場合なら,「電気の伝わる速さ」は真空中の光速cに等しいことになります

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