弾性体

2009年12月10日 (木)

震源の探知(大森公式等)

 今日は,ちょっと手抜きのツナギで2006年11/14の記事 「結晶内での弾性波(地震波)」の続きとして,中学か高校の地学で習った簡単な知識を披瀝してお茶をにごします。

 年末,体調はよくも悪くもないですがヒマ人なりに予定がこみ合っていて貧乏なこともありフリ-マンをエンジョイというわけにはいきません。

 ではまず,記事の再掲から始めます。

 (※再掲)

 今日は等方的とは限らない一般の結晶内での弾性波,特に地震波について考察してみます。

弾性体の密度をρ,応力テンソルを{σjk},それを構成する部分の局所的速度を={uj}とすると,この弾性体が従うべき運動方程式は流体方程式と同じくρd2j/dt2=∂σjk/∂xkで表与えられます。

 

そして,歪み速度テンソル{ujk}をjk≡(∂uj/∂xk∂uk/∂xj)/2で定義すれば,これは{σjk}と同じく反対称の単なる回転を除いた対称テンソルです。これは6個の独立成分を持ちます。

 

線形弾性体近似では,フック(Hooke)の法則:σjk=Cjklmlmが成立するため,先の運動方程式はρd2j/dt2=Cjklm(∂2m/∂xk∂xl)となります。

jklmは,一般に81個の成分を持ちますが,{σjk}も{jk}も対称テンソルなのでjとk,lとmについて対称ですから,独立成分は6×6=36個となります。

  

また,歪みエネルギーWはΔW=σjkΔjkから求まり,対称2次形式W=(1/2)jklmjklmになるので,jklm,kとl,mの交換についても対称であり,結局,その独立成分は(30/2)+6=21個となります。

この方程式の平面波の解をj=u0jexp[i(kr-ωt)]として代入すると,ρω2j=Cjklmklmとなります。これを書き直すと(ρω2δjm-Cjklmkl)um0 となります。

 

この1次方程式が自明でない解を持つためには,3行3列の行列係数:(ρω2δjm-Cjklmkl) (j,m=1,2,3)の行列式がゼロ,すなわち,det(ρω2δjm-Cjklmkl)=0 が成立する必要があります。

 

そして,ω2を未知数としてこの方程式を解けば,ω2の3個の解が得られ,それらはの関数となります。

ところで,もしも結晶が等方性弾性体であれば,歪みエネルギーW=(1/2)jklmjklmは座標系の回転に対して不変なスカラーであるはずですが,jkの2次形式の形で得られる独立な不変スカラーはukk2jkjkのみです。

 

そこで,適当な係数λ,μを選んでW=(1/2)λukk2+μjkjkと書けるはずです。そこで,応力テンソル{σjk}={Cjklmlm}はσjk=λullδjk+2μujkと書けます。ここに弾性定数λ,μはラメ(Lame)の定数と呼ばれています。

このときには運動方程式もρd2/dt2(λ+μ)∇(∇)+μ∇2と,簡単になります。

 

先に挙げた1次方程式の係数の行列要素はρω2δjm-Cjklmkl(ρω2-μ2jm(λ+μ)jmとなります。

 

の向きをx軸の正の向きに取ると,k1=k=||,k2=k30 ですから,行列[(ρω2-μ2jm(λ+μ)jm]は対角成分が[ρω2(λ+2μ)k2]と2つの(ρω2-μk2)の対角行列になります。

 

したがって,det(ρω2δjm-Cjklmkl)=0 の解はVP2≡(ωP/k)2(λ+2μ)/ρ,VS2S/k)2=μ/ρとなります。

 

それぞれの速度に対応する平面波は,速度Pで波の伝播方向への振動である"縦波=P波"と,速度VSで波の伝播方向に垂直な方向の振動である"横波=S波"です。

 

しかし,もしも異方性の弾性体の場合ならω>0 の3つの解ω()はの関数として1次の同次式ではあっても,単なる1次関数になるとは限らず,弾性波は一般に分散性の波でもあると思われます。

 

そこで,伝播速度は"単一波の速度=位相速度"ではなく,群速度=∂ω/∂で与えられると考えられます。

ところで,σjkやujk[σ]=t112233233112)のように6次元の列ベクトルで表わすボイト(Vogit)の表記という表記法があります。

 

この表記で表現すると,フックの法則は[σ]=C[u]と簡単になります。ここでCは6行6列のテンソル行列です。

 

また,このとき,特に結晶が等方性弾性体ならCの成分のうちで独立なのはやはり2つだけで,先に述べたラメの定数はλ=C12,μ=C44=(C11-C12)/2と表わされます。

例えば結晶が立方体構造をしている立方晶系では独立成分は3つです。つまり,C11=C22=C33,C12=C23=C31,かつ4~6行の成分は4~6列しか成分のない対角行列であってC44=C55=C66であり,結局,この結晶構造を示すにはC11とC12とC44の3つだけあれば十分である,ということになります。

この条件ではx軸をの向きに取り,先のdet(ρω2δjm-Cjklmkl)= 0 でのCjklmをボイトの表記でCを表わせば,ξ=(ω/k)2,a=C11/ρ,b=C44/ρ,c=C12/ρとして(ξ-a)(ξ-b)2=0 ですから,解はξ=a,bとなります。

 

つまり速度をVP,VSとすると,VP2=C11/ρとVS2=C44/ρの2つの速度が得られます。これは等方性弾性体でのC44=μ,C11=λ+2μのケースと一致しています。

一方,六方晶系ではC11=C22で,C13=C23,また4~6は対角行列でC44=C55,C66=(C11-C12)/2ですから,結局のところC11,C12,C13,C33,C44の5つだけがあれば十分となります。

 

結果だけ書くと,VP2=C11/ρ,およびVS2=C44/ρ,(C11-C12)/(2ρ)となり,"横波=S波"には2つの速度があるので地震の観測ではS波のほうに2重の波が観測されると予測されます。

 

ただし,異方性の結晶では一般に波は完全にS波とP波になるように行列が対角形になるとは限らないので,これらの計算においては偶々波の進行方向が結晶の対称軸と一致したり直交していたりする特別なケースだけしか扱っていません。

 

一般的な扱いについては,暇があってその気になればまた記事にするかもしれません。

参考文献;ランダウ=リフシッツ 著「弾性理論」(東京図書),角谷典彦 著「連続体力学」(共立出版)

(再掲終了※)

 と書きましたが,ここからもっと身近な地震の話題へとつなげます。

等方性媒質を仮定すると,P{(λ+2μ)/ρ}1/2,VS=(μ/ρ)1/2ですからVP>VSです。

そこで,震源Oから地震を感知する場所:AまでP波,およびS波が到着するまでの時間を,それぞれtP,およびtSと書けばtP=∫OA(1/VP)ds,tS=∫OA(1/VS)dsです。VP>VSですからtS>tPとなります。

つまり,まず縦揺れのP波だけが到着しその後に横揺れS波も到着して両方が重ね合わされた大きいゆれが始まるのですね。

特にOA間の到るところで媒質が同じ均等な弾性体であれば,この区間でP,VSが一定です。

 

そこで,このときにはOA間の波の進行距離(直線距離でなくてもよい)をdAOAdsとするとtPA/VP,tSA/VSです。

これから,引き算するとtS-tP(A/VSA/VP)=A(1/VS-1/VP)です。

 

それ故,TA≡tS-tP,k≡(1/VS-1/VP)-1=VPS/(VP-VS)と定義すればA=kTAという比例関係の公式を得ます。

 この式は発見者の大森房吉氏(1918)の名前を取って,大森公式(Ohmori's law)と呼ばれます。

こうした等方的で均質な媒質を伝わる場合,弱いP波だけが来て「あ,ひょっとして地震かな?」と思ってから本格的で大きな揺れがくるまでの初期微動の時間をTAとするとその地点Aから震源Oまでの距離AはTAに比例します。

初期微動時間が長いほど震源までの距離(地理的な距離だけでなく震源深さまでも含めた距離)が長いということが言えます。もしも震源が直下にあれば縦揺れは上下震動,横揺れは左右震動になります。

さて,標高hが違う3地点A,B,Cがありその座標がそれぞれ(xA,yA,hA),(xB,yB,hB) (xC,yC,hC)であるとき,上記のような公式に基づいて初期震動時間の観測から観測点から震源までの距離A,B,Cが全てわかったとします。

このとき,未知の震源Oの座標を(xO,yO,hO)と仮定すれば地震波が全て直進ならA2(xA-xO)2+(yA-yO)2+(hA-hO)2,B2(xB-xO)2+(yB-yO)2+(hB-hO)2,C2(xC-xO)2+(yC-yO)2+(hC-hO)2が成立します。

これは3つの未知数xO,yO,hOに対する3つの連立2次方程式ですから解くことが可能です。つまり,正確に震源までの距離を観測できる点が3個あれば原理的には震源の位置がわかります。これは3点法と呼ばれるものですね。

普通,震源の高さhOは海抜で測って負の数であり震源は地中または海中にあります。

大森公式A=kTAは地震に対する公式で大森係数と呼ばれるk=VPS/(VP-VS)は8(km/s)程度の値ですが,この式は雷における音と光の2つのように速さの異なる2つの信号が届く現象では全く同じ公式が成立します。

ただし,雷の場合は光速がc~30万km/s,空気中の音速がv~340m/sでc>>vなのでk=cv/(c-v)~cv/c=vですから,事実上A~vTAなのでほとんど光速は関係無しです。

 

例えば,ピカッと光ってから雷の音が聴こえるまでの時間が1秒なら,自分から340m程度離れたところ(空中かもしれません)で"放電=落雷"があったと推測されます。

   

PS:>私のマノン・レスコーたちへ 

 病気とか事故に会っていなければどこで誰と遊んでいてもいいけれど,連絡つかない状況だととにかく心配です。大丈夫かなあ。。。。)

 ("マゾ, ロリコン, 準デブ専, メガネフェチ=変態"のTOSHIより。。)

(T.ウッズも聖人君子ではなく適当にストレスを解消しているらしいので安心しました。あれだけの収入を得る能力があれば大勢の家族を養えますね。

 性欲のある健康な男だし,大有名人で品行方正キャラが売り物なら日本だと風俗通いもままならないので女遊びは囲い込むしか仕方ないとして,もしもプロテスタントならマドンナの養子のように大勢を扶養するのはむしろ義務かな?)

PS2:ドクちゃんって日本が好きなんだ。。??

 国ではなくて故郷(くに)が好きなんでしょ?

 http://news.aimu-net.com/read.cgi/wildplus/1257045443/

PS3:「陳情政治」からいきなり「非陳情政治」へと革命的に移行するのではなく,途中で1人(小沢さん)に権力が集中するシステムを経る。。

 共産革命でも過渡期ではプロレタリア独裁(現実には中国では毛沢東,ロシアではレーニンの1人独裁)です。それはそれでマヌーバとしてありなのでしょうが独裁者がプラトン的(プラトニック)に正しい哲人でいるうちはいいけど,うまく移行できないと"元の木阿弥"か,もっと悪くなります。

 小沢氏が中国に大挙して出かけていって米国にブラフかけて「ポッポ政権」を裏で後押ししてるのかも知れないけど,うまくいくのかねえ。基地問題。。

 朝っぱらから女子アナが「吉宗は何将軍?」と聞かれて「暴れん坊将軍?」と答えていました。それでもいいんだろうけど,ニュース番組なので一応「米(コメ)将軍だろ?」とツッコミたくなりました。。。アハハ

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2009年11月30日 (月)

定量的地震学6

 つなぎで地震学の続きを書きます。

前回は内部面上での応力,または変位(歪み)の不連続性で表現される地震源(面源)の体源による等価物の存在を証明しました。

そして,断層面を横切る剪断作用に対する体積力の等価物として次のような表現が得られるという結論で終わりました。 

まず,応力の不連続性[]がゼロでない場合には,その寄与-∫-∞dτ∫Σ[Tp((ξ,τ),ν)]Gnp(ξ,t-τ;,0)}dΣξは,-∫-∞dτ∫V(∫Σ{[Tp((ξ,τ),ν)]δ3(ηξ)dΣξ}Gnp(ξ,t-τ;,0))dVηで表現できます。

それ故,Σ上の応力不連続性の体積力等価物は[T](η,τ)≡-∫Σ[Tp((ξ,τ),ν)]δ3(ηξ)dΣξで与えられます。

一方,変位の不連続性による寄与∫-∞dτ∫Σ[ui(ξ,τ)]Cijpq(ξj{∂Gnp(ξ,τ-t;,0)/∂ξq}は,-∫-∞dτ∫V (∫Σ[ui(ξ,τ)]Cijpq(ξj{∂δ3(ηξ)/∂ηq}dΣξ)Gnp(ξ,t-τ;,0)dVηで表現されます。

そこで,Σ上の変位不連続性の体積力等価物はfp[](η,τ)≡-∫Σ[ui(ξ,τ)]Cijpq(ξj{∂δ3(ηξ)/∂ηq}dΣξで与えられると考えられます。

ただし,鍵括弧[ ]の量はΣ上の各点での不連続性を表わす量です。

 

すなわち,[(ξ,τ)]≡(ξ,τ)|Σ+(ξ,τ)|Σ-,かつ[ui(ξ,τ)]≡ui(ξ,τ)|Σ+-ui(ξ,τ)|Σ-etc.と定義されています。

 

という内容のことを書きました。

こうすれば応力,および変位の不連続性はそれぞれ-∫-∞dτ∫Σ[Tp((ξ,τ),ν)]Gnp(ξ,t-τ;,0)}dΣξ=∫-∞dτ∫V[fp[T](η,τ)Gnp(,t-τ;η,0)]dVη,および∫-∞dτ∫Σ[ui(ξ,τ)]Cijpq(ξj{∂Gnp(ξ,τ-t;,0)/∂ξq}=∫-∞dτ∫V[fp[](η,τ)Gnp(,t-τ;η,0)]dVηと体源で表現できるわけです。

まず,これらについて前回,少し書き残したことを補足することから始めます。

 上記,変位不連続性の表現の被積分関数は,各pに対して,添字i,j,qのそれぞれが異なる27個の項を含んでいますが,以下では媒質に対称性があって2個か3個を除く全ての項がゼロであるような重要な例を取り上げる予定です。

 しかし,取り合えず上記の恒等式自体は一般的な非均質,非等方媒質に対して成立する式です。

 

 これらはV内の各点における体源応力が断層面の上の弾性媒質の性質のみに依存する表現になっていることは注目すべきことです。

そして,V内の断層運動は内部プロセス(内力のみの系)なので,全運動量と全角運動量は保存されなければなりません。

すなわち,全てのτに対し∫V[](η,τ)dVη=0,かつ全てのτとη0に対し∫V[(ηη0[](η,τ)dVη=0 であるべきです。

実際,fp[](η,τ)≡-∫Σ[ui(ξ,τ)]Cijpq(ξj{∂δ3(ηξ)/∂ηq}dΣξですから,ガウスの積分定理によって∫Vp[](η,τ)dVη=-∫VdVηΣdΣξ{[([ui(ξ,τ)]Cijpq(ξj{∂δ3(ηξ)/∂ηq}=∫ΣdΣξSextdSη[ui(ξ,τ)]Cijpq(ξjδ3(ηξ)です。

 

ところがSextとΣは全く共通点がないので,決してηξとは成り得ず,最右辺は確かに消えます。

一方,∫V[(ηη0[](η,τ)dVηの第m成分は∫Vεmnpn-η0n)fp[](η,τ)dVη=-∫ΣdΣξ[ui(ξ,τ)]Cijpq(ξjVdVηmnpn-η0n){∂δ3(ηξ)/∂ηq})=∫Σmqpijpq(ξj[ui(ξ,τ)])dΣξで与えられます。

 

ところがCijpq(ξ)ijqp(ξ),かつεmqp=εmqpなので,これの右辺もゼロになります。

こうして体積力の表現が内力である条件を満たす合理的なものであることを示すことができました。これが前回書き残した補足事項です。 

さて,野外の不連続性に等価な体積力の簡単な例として,丁度1点と1方向に加えられた体積力のケースを考えます。

以前の記事「定量的地震学1,3」では次のように瞬間体積力を与えました。

ξに対する1つの個別粒子に時刻t=τにn方向に瞬時的に加えられる1つの体積力(,t)があれば,その成分fi(,t)は空間位置を与えるのに3次元のディラック(Dirac)のデルタ関数,衝撃の時刻を与えるのに1次元のデルタ関数に比例してfi(,t)=Aδ3(ξ)δ(t-τ)δinと表現されます。

ただしAは衝撃の強さを与える定数です。fi3(ξ),δ(t-τ)の次元がそれぞれ[力/体積]=MLT-2/L3,1/L3,1/Tであることに着目するとδinは無次元なので,衝撃の強さAは正しく,”衝撃=力積”の物理的次元を有することがわかります。”

これは,応力成分の不連続性とみなすこともできます。

ここでは,体積力の応力の不連続性との等価性を見るために,x3を深さ方向とし,x3=hの1点(0,0,h)に加わる体積力ですがδ(t-τ)に比例する瞬時的な力ではなく,τ=0から定常的にx3=hの1点(0,0,h)にFの大きさの体積力とします。

すなわち,(η,τ)=δ(η1)δ(η2)δ(η3-h)θ(τ),≡(0,0,F)とします。ここでθ(τ)はHeaviside関数(階段関数)です。

これは,平面ξ3=h上の1点を横切る応力の不連続性:[(ξ,τ)]=(ξ,τ)|(ξ1,ξ2,h+)(ξ,τ)|(ξ1,ξ2,h-)=-δ(ξ1)δ(ξ2)θ(τ)と同一視できることがわかります。

これは,先に得られた表現:[T](η,τ)≡-∫Σ{[Tp((ξ,τ),ν)]δ3(ηξ)dΣξの右辺において,平面ξ3=hをΣとして,[Tp((ξ,τ),ν)]=-δ(ξ1)δ(ξ2)θ(τ)を代入すれば,[T](η,τ)=δ(η1)δ(η2)δ(η3-h)θ(τ)が確かに得られることからわかります。

断層スリップ(地滑り)によって引き起こされる地震波は,モーメントを帳消しにするようなある断層上の力の分布によって引き起こされる地震波と同じです。

 

問題としている断層スリップに対し,この力の分布は一意的ではありませんが,等方的な媒質内ではそれを常に複数の偶力源の表面分布として選択可能です。

この結論は,地震が単一の偶力源か複数の偶力源のいずれによってモデル化されるかという疑問に関連して長期間論じられた論争の見地からは皮肉な結論です。

単一の偶力源を擁護する人々は地震は断層上のスリップが原因であると強く信じていました。そして彼らは,これが単一の偶力源,すなわち断層の相対する側の運動に対応する2つの力に等価であると直線的に信じました。

しかし,弾性力学では経験上直線的アプローチは危険なことが多いようです。

複数の偶力源を擁護する人々のあるものは,地震が既存の剪断応力下での体積的崩壊であるに違いないと思っていました。 

今や,複数の偶力源に等価であると認識されている近年の断層理論は,莫大な距離で観測された放射パターンによる支持のみならず,震源に非常に近いところで得られたデータによる強い支持を得ています。 

断層Σは平面ξ3=0 上にあるものとします。すると,スリップ[]はξ3方向には成分を持たず,ベクトル[]は平面Σに平行と考えられます。 

さらに,平面ξ3=0 上でのスリップ[]の方向をξ1方向とします。すると,[2]=[3]=0 でありν1=ν2=0 ,ν3=1 です。 

そこで,等価体積力の表現:p[](η,τ)=-∫Σ[ui(ξ,τ)]Cijpq(ξj{∂δ3(ηξ)/∂ηq}dΣξは,fp[](η,τ)=-∫Σ[u1(ξ,τ)]C13pq(ξ){∂δ3(ηξ)/∂ηq}dξ1dξ2となります。  

 

既述のように,不均質でも等方的な物質では弾性係数CijpqはCijpq=λδijδpq+μ(δipδjq+δiqδjp)なる形をしています。独立定数λ,μはLame(ラメ)の定数と呼ばれます。

 

よって,今の場合の被積分関数のC13pq(ξ)は,C1313(ξ)=C1331(ξ)=μ(ξ)を除いて全てゼロです。

それ故,f1[](η,τ)=-∫Σμ(ξ)[u1(ξ,τ)]δ(η1-ξ1)δ(η2-ξ2){∂δ(η3)/∂η3}dξ1dξ2,f2[](η,τ)=0,f3[](η,τ)=-∫Σμ(ξ)[u1(ξ,τ)]{∂δ(η1-ξ1)/∂η1}δ(η2-ξ2)δ(η3)dξ1dξ2となります。

まず,f1[](η,τ)=-∫Σμ(ξ)[u1(ξ,τ)]δ(η1-ξ1)δ(η2-ξ2){∂δ(η3)/∂η3}dξ1dξ2を見ると,これは±η1方向内の力でη2方向に腕がありη3方向にモーメントを持つΣにわたる単偶力源を示しているとわかります。

実際,積分を実行すると,f1[](η,τ)=-μ(η)[u1(η,τ)]{∂δ(η3)/∂η3}です。

 

これは平面η3=0+上に寄与する点力とη3=0-上に寄与する反対向きの点力のペアであると考えられ,補足事項の最初の式で示したように,内力なのでf1[](η,τ)の合力成分は消えます。

一方,力のモーメントはこの力の成分だけでは消えず,この成分によるη2軸の回りのモーメントは∫Vη31[]dV=-∫Vη3μ(η)[u1(η,τ)]{∂δ(η3)/∂η3}dη1dη2dη3=∫Σμ(ξ)[u1(ξ,τ)]dΣξとなります。

Σにわたるスリップを平均すると,<u(τ)>≡∫Σ[u1(ξ,τ)]dΣξ/Sです。ただし,S≡∫ΣdΣξは断層の全面積です。

そこで,もしも断層域が均質,つまりΣの上でμ(ξ)=μ(一定)なら,η2軸の回りのf1[](η,τ)による全モーメントは,単にη2軸の正の向きに∫Vη31[]dV=∫Σμ(ξ)[u1(ξ,τ)]dΣξ=μS<u(τ)>で与えられます。

体積力には,また3軸成分:f3[](η,τ)=-∫Σμ(ξ)[u1(ξ,τ)]{∂δ(η1-ξ1)/∂η1}δ(η2-ξ2)δ(η3)dξ1dξ2=-∂{μ(η)[u1(η,τ)]/∂η1}δ(η3)があります。

この成分によるη2軸の回りの力のモーメントは-∫Vη13[]dV=∫Vη1{μ(η)[u1(η,τ)]/∂η1}δ(η3)dη1dη2dη3=-∫Σμ(ξ)[u1(ξ,τ)]dΣξです。

 

これについても,もしも媒質が均質でΣの上でμ(ξ)=μ(一定)なら,-μS<u(τ)>です。

よって,均質,不均質いずれにしても全モーメントはゼロです。これも既に,補足事項として一般的な形で証明した事実に一致しています。

途中ですが今日はここで終わります。 

参考文献:K.Aki,& P.G.Richards 「Quantitative Seismology(Theory and Method)」

  

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2009年11月17日 (火)

定量的地震学5

 1月以上の間があきましたが地震学の続きです。 

 前回は曲線座標変換というやや幾何学的な話に寄り道しましたが,今日は第3章の地震源(震源)の表示に入ります。

 固体地球外部の地震源の例を上げると,風,大洋波浪,隕石衝突,ロケットの打ち上げ,大気中の爆発などがあります。その他,人々の歩行によってさえ地震が生じます。

こうした外部の地震源については,通常単純な地球表面に加えられた時刻変動応力の解析の枠組みの中で処理できます。

 また,多くの実用的目的を有する現象に起因するものや,その他にも火山の噴火,ガス漏れなど比較的規模の大きい爆発,粉砕などもありますが,これも外部ソースであり上記に含まれるでしょう。

 一方,一般的な地震や地下爆発など地球内部のソースに対しては,解析の枠組みはよりむずかしい展開を必要とします。

なぜなら,これまで論じてきた弾性運動を支配する方程式が固体地球内部の到るところで有効というわけではないからです。

この章では内部ソースについてのみ論じます。これは断層源と体源の2つのカテゴリーに分けられます。 

断層源は破砕された平面を通っての"断層=地滑り"のような内部面と関連した事象です。一方,体源は体積的なソース領域における爆発的膨張のような内部体積に関わる事象です。

内部ソースの数学的記述は古典的には異なる2つのラインに沿って追跡されてきました。

 

1つはソースを含む媒質のある要素へ加わる体積力によるライン,もう1つは変位,または歪みの幾つかの不連続性(すなわち,断裂する断層面や体源の表面を通るそれ)によるラインです。

しかし,2番目のアプローチは有効的に1番目のそれに組み込むことが可能です。すなわち,断層面を横切る単純な剪断作用については体積力の等価物が存在します。

 

以下では,こうした体積力の等価物について理論を幾分詳細に展開し,根本的に異なる力の系が正確に同じ変位の不連続性に同等であることを示すことから解析を始めます。 

それから後に,BarridgeとKnopoff(1964)に従って断層源の一般理論を展開し,最後に体源に関する理論を概説する予定です。

一般に,震動図に記載された運動は地震源の効果と伝播の効果の両方の結果です。

 

震動図を理解することを追求してきた主な理由の1つは地震運動から伝播の効果を分離することです。というのは地震源の効果は地球の内部構造に関する情報を携帯しているからです。

最近では,地殻プレートの運動を図示して地震源のプレートがどのように動かされるかを学ぶという目的のために,次震源(震源)のメカニズムが研究されているようです。

現在では,近くの断層の性質と局地的応力の分布に関する地質学的,地球物理学的データに基づいて工学用途の敷地における地震危害の予測を行なうという観点から,こうしたソース(source;震源)の理論が広く展開されているようです。

さて,初めに述べた通り,[内部面における表示定理]="応力と変位における不連続性に対する体積力(実体力)の恒等式(等価物)"を与えるという主題に移ります。

第2章で与えられた表示定理は,表面Sを体積V内部の隣り合う面に選べば震源において強力な助けに成り得ます。

ここでの考察の動機は,H.F.Reidの仕事に起因するものです。

 

彼の1906年のSan Francisco地震前後のSan-Andreas断層の研究は,地震運動が活性化した地質学的断層上の自然発生的地滑りにより放射された波動によるという一般的認識に導きました。

 

我々は,こうしたソースのメカニズムをすぐ後により詳細に論じる予定です。他方,動力学的過程や他のソースのメカニズムについてはずっと後の第15章で述べる予定です。

現在の関心としては,埋没した地滑りのプロセスとそれから放射された波が,既に得られた表示定理からどのようにして自然に解析され得るかということです。 

既に述べたように,表示定理は次の3つの異なる表現を有します。 

n(,t)=∫-∞dτ∫V[fi(ξ,τ)Gin(,t-τ;ξ,0)]dVξ+∫-∞dτ∫S[{Gin(ξ,t-τ;,0)Ti((ξ,τ),)-ui(ξ,τ)Cijkl(ξ)nj{∂Gkn(ξ,τ-t;,0)/∂ξl}}dSξ..(1)

n(,t)=∫-∞dτ∫V[fi(ξ,τ)Grigin(,t-τ;ξ,0)]dVξ-∫-∞dτ∫S[ui(ξ,τ)Cijkl(ξ)nj{∂Grigkn(,τ-t;ξ,0)/∂ξl}]dSξ..(2)

n(x,t)=∫-∞dτ∫V[fi(ξ,τ)Gfreein(,t-τ;ξ,0)]dVξ+∫-∞dτ∫S{Gfreein(,t-τ;ξ,0)Ti((ξ,τ),)}dSξ..(3) です。

そこで述べたように,これらは変位ベクトル(,t)がS上の変位に依存するのか →(2),それとも応力に依存するのか →(3),または両方に依存するのか →(1)という疑問への矛盾を示しているように見えます。

  

しかし,弾性媒質上では応力と変位が独立というわけではないので矛盾はありません。

さて,この表示定理における表面SがVの外部境界面だけでなく埋没した断層の相対する面であるような隣り合う内部面をも含むとする視点は地震源の理論にとって中心的な論点です。

すなわち,S≡Sext+Σに取ってみます。ただし,SextはVの外部表面でありΣ≡Σ++Σ-はV内部の1つの断層の相対する面です。

まず,表示定理で最も一般的な式(1)をun(,t)=∫-∞dτ∫V[fp(ξ,τ)Gnp(,t-τ;ξ,0)]dVξ-∫-∞dτ∫S[ui(ξ,τ)Cijpq(ξ)nj{∂Gnp(ξ,τ-t;,0)/∂ξq}-{Gnp(ξ,t-τ;,0)Tp((ξ,τ),)}]dSξと書き直します。

 Sextは地球全体の表面としてもいいのでそう考えます。

 

 グリーン関数Gがext上で斉次境界条件Ai+γji,j=0,Bi+γji,j=0 を満足していると考えられます。ただし,Ai(,t)≡Gim(,t;ξ11),Bi(,t)≡Gin(,t;ξ2,-τ2)です。

こうすれば,右辺のS=Sext+Σにおける表面積分のうち,外部地球の表面Sextの寄与は無視できます。 

そして,Σ-の外向き法線単位ベクトルをn=νとします。するとΣ+の外向き法線単位ベクトルは明らかにn=-νです。 

また,Vの内部での一般座標をηとし,ξは表面(断面)Σの上の一般座標のみを表わすとします。

さらに,鍵括弧[ ]の中の量はΣ+とΣ-の差を示すとします。例えば,[(ξ,τ)]≡(ξ,τ)|Σ+(ξ,τ)|Σ-と定義されます。

すると,表示定理はun(,t)=∫-∞dτ∫V[fp(η,τ)Gnp(,t-τ;η,0)]dVη+∫-∞dτ∫Σ[ui(ξ,τ)Cijpq(ξj{∂Gnp(ξ,τ-t;,0)/∂ξq}-{Gnp(ξ,t-τ;,0)Tp((ξ,τ),ν)}]dΣ となります。

これが実際的な計算において意味を持つためには,Σ上で何らかの境界条件を与える必要があります。

境界条件のに対する選択は破裂する断層面を横切る応力と変位の現実の性質に従わせる必要がありますが,Gに対する選択は有益な形になるように自由に選ぶことが可能です。

 

変位については,両断層面の上でゼロではないスリップ[]が存在するはずですが,応力については連続性から[(,ν)]=0 と考えられます。

また,Σ上でのGの性質の定義を確立する最も簡単で最も共通に用いられている方法は,Σを横切ってGとその空間微分係数が連続であるように設定することです。 

これは体積Vに対して計算するには最も容易なグリーン関数です。

 

もしも,このに対して体積力がないときにはn(,t)=∫-∞dτ∫Σ([ui(ξ,τ)]Cijpq(ξj{∂Gnp(ξ,τ-t;,0)/∂ξq})dΣ となります。

 この表現式は断層上での変位があらゆる場所における変位を決めるのに十分であることを示していますが,これは「定量的地震学2」で述べた"一意性定理"から予測できることです。

 

(↑ 複素関数論のコーシーの積分定理にも似てますね。)

※注:"一意性定理"の内容を再掲します。

[一意性定理]:表面境界Sを持つ体積Vの弾性体内の到るところで,与えられた時刻t0における変位と粒子速度の値,およびt>t0における(ⅰ)体積力と供給される熱,(ⅱ)表面S=S1+S2の一方の部分S1上での応力Π,(ⅲ)残りの部分S2上での変位が既知なら,時刻t0より後の時刻tおける変位(,t)は一意的に決まる。

 

(注終わり※)

 

しかし,一見したところこの表現式においてソースの伝播を記述するグリーン関数についてΣにおける境界条件が与えられていないことは驚くべきことです。

断層上で生じた運動は,それ自身が断層面によってある形式で回折される波を作り上げると予測されますが,この相互作用はスリップ関数[(ξ,τ)]の決定を複雑にはするけれどグリーン関数の決定には入り込まないからですね。

こうして,多くの地震学者はある仮定されたスリップ関数によって作り上げられた運動を記述するために,この公式:un(,t)=∫-∞dτ∫Σ([ui(ξ,τ)]Cijpq(ξj{∂Gnp(ξ,τ-t;,0)/∂ξq})dΣを用いてきました。

以下では,たった今記述した直接には如何なる体積力も含んでない地震源の表現の体積力の等価物を求めることを試みます。

 

n(,t)=∫-∞dτ∫Σ([ui(ξ,τ)]Cijpq(ξj{∂Gnp(ξ,τ-t;,0)/∂ξq})dΣは,各々が体積力によって作り上げられたグリーン関数にわたって積分することにより,(,t)における変位を与えることを示していると見ることもできます。

 

こうした見方によれば,活断層も体積力の面的寄与と見なせるような意味があるに違いないと確信されます。

この方法で予測されるような体積力の等価物を決定するため,再び元の一般的な表示定理の式(1)の表現から始めます。

すなわち,再掲するとun(,t)=∫-∞dτ∫V[fp(η,τ)Gnp(,t-τ;η,0)]dVη+∫-∞dτ∫Σ[ui(ξ,τ)Cijpq(ξj{∂Gnp(ξ,τ-t;,0)/∂ξq}-{Gnp(ξ,t-τ;,0)Tp((ξ,τ),ν)}]dΣです。

ただし,GはΣに対してなお透明,つまりΣを横切ってGもその空間微分係数も連続とする仮定を採用します。

 

ここで,Σを横切る[],[(,ν)]については,先の境界条件[(,ν)]=0 のような条件を全く仮定せず,応力の不連続性も存在するようなより一般的な状況とします。

 

するとun(,t)=∫-∞dτ∫V[fp(η,τ)Gnp(,t-τ;η,0)]dVη+∫-∞dτ∫Σ([ui(ξ,τ)]Cijpq(ξj{∂Gnp(ξ,τ-t;,0)/∂ξq}-[Tp((ξ,τ),ν)]Gnp(ξ,t-τ;,0))dΣと書けます。

 

こで,デルタ関数δ3(ηξ)を用いればΣにおける不連続性はVの中に局在化できることを利用します。

 

例えばΣにおける(応力×面積=力):[]dΣは,体積力としての寄与∫VdV{[3(ηξ)dΣ}を与えます。

したがって,応力の不連続性[]がゼロでない場合,その寄与-∫-∞dτ∫Σ[Tp((ξ,τ),ν)]Gnp(ξ,t-τ;,0)}dΣは-∫-∞dτ∫V(∫Σ{[Tp((ξ,τ),ν)]δ3(ηξ)dΣ}Gnp(ξ,t-τ;,0))dVで表現できます。

それ故,Σ上の応力不連続性の体積力の等価物は[T](η,τ)≡-∫Σ{[Tp((ξ,τ),ν)]δ3(ηξ)dΣで与えられます。

変位の不連続性は応力よりも物理的解釈が困難なのですが,数学的に考えて∂Gnp(ξ,τ-t;,0)/∂ξq=-∫V{∂δ3(ηξ)/∂ηq}Gnp(ξ,τ-t;,0)dVなる恒等式を用いれば応力不連続性に等価式に同等な表現を得ます。

すなわち,変位の不連続性による寄与∫-∞dτ∫Σ([ui(ξ,τ)]Cijpq(ξj{∂Gnp(ξ,τ-t;,0)/∂ξq}は,-∫-∞dτ∫V(∫Σ{([ui(ξ,τ)]Cijpq(ξj{∂δ3(ηξ)/∂ηq}dΣ)Gnp(ξ,t-τ;,0)}dVと表現されます。

そこで,Σ上の変位不連続性の体積力の等価物はfp[](η,τ)≡-∫Σ{[([ui(ξ,τ)]Cijpq(ξj{∂δ3(ηξ)/∂ηq}dΣで与えられることがわかります。

今日はここで終わります。 

参考文献:K.Aki,& P.G.Richards「Quantitative Seismology(Theory and Method)」

 

PS:昨日はヘルパーの現場実習の初日として赤羽の訪問介護施設の現役のヘルパーさんに同行して自宅訪問の実習を受けてきました。

 

 実は,実際の利用者様に迷惑をかけてはいけない実習なので,ほとんど見学同然と思ってはいましたが,当初から最も危惧していたのがこの同行訪問実習でした。

 

 というのも,この訪問介護実習で不可避な自転車での移動というのは「糖尿病+心不全+足の動脈硬化」である私にとって可能かどうか?という体力的に最も不安な材料だったからです。

 

 実際,その通りでしたね。

 

 北区の赤羽付近は坂が多く"心臓破りの坂"もあって,心臓+足が動かず,平気を装ってはいましたが一瞬死ぬかとも思うこともありました。

 

 楽な下りがあるということは,帰りは上りですから,動かなくなってしまったら同行者の方に迷惑だと思いましたが,降りて歩いて押していくしかありません。(逆に1人だったら少しは楽だったかも。。。)

 

 利用者様の自宅までの往復と買い物支援,さらに終わって最後に事務所に帰る際,はぐれて道に迷ったのも含め,約2時間も自転車に乗ったのは過去の健康時代を考えても,めったにないことでした。

 

 ともあれ,雨も降らず鬼門の同行訪問実習は無事終了しました。移動以外の実習は体力的には休息時間でしたが,問題ないと思います。

(例によって,何事があっても常にニコニコ笑顔だった(ツモリな)のは,八方美人の性分ですね。)

 

 後の施設実習でも体力は必要でしょうが,まだ給金を頂いて責任を取ることを余儀なくされる本格的な仕事ではなく,学生としての実習だろうし私の最も得意な?他人とのコミュニケーション(=おしゃべり?)の方が主体ではないかとも思い,とにかく少なくとも自転車での移動がないであろうことを考えて楽観しています。

 

 本日は寝て曜日で完全休養日にしよう。アレ?岡山のおフクロの89歳の誕生日は今日17日か21日かどっちだったかな?

 

(↑ イキアタリバッタリで脳天気だなあ。。ウーン,キム・ヨナはいいなあ。。。忘れてた。今日(11/17)は「将棋の日」でもありました。)

  

 (実は,昨日朝は訪問介護事務所の付近まで最近懇意にして頂いている自宅の隣人のMさんに車で送って頂いたのです。Mさんどうもありがとうございました。

 

 しかし,住所だけを頼りにして到着したためか,頂いた矢印付きの地図と写真の通りに徒歩で行けば自然にわかったらしい事務所の入口を間違えてしまって指定時間通りには入ることができず最初から躓きました。

 

 実は私はかなりヒドイ方向音痴です。事務所の担当の方とスクールで対応して頂いた方,ゴメンナサイ。

 

 16年くらい昔は住所だけを頼りに当日自分が交通ガードマンとして立つべき場所を探していたのですから,まるっきりの方向音痴でもないでしょうが。。)

 

 オマケに昼休み近くのコンビニまで往復の際,靴の左側を間違えて履いていって帰ってから気付いて皆様に笑われましたが,靴を間違えてご迷惑かけてゴメンナサイ。

 

 こういうことで笑いを取ってはいけませんね。^^;)

 

PS2:市橋事件について,何日も食事を取っていないなどの報道はどこまで真実なのでしょうか? 取り調べ段階での官憲の守秘義務とマスコミリークとの関係等々についてはよく知りませんが。。。

  

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2009年9月29日 (火)

定量的地震学4

 地震学の続きです。

さて,前回の最後では表示定理の形式として次の3つの異なる表現を得ました。

n(,t)=∫-∞dτ∫V[fi(ξ,τ)Gin(,t-τ;ξ,0)]dVξ+∫-∞dτ∫S{Gin(ξ,t-τ;,0)Ti((ξ,τ),)-ui(ξ,τ)Cijkl(ξ)nj{∂Gkn(ξ,τ-t;,0)/∂ξl}]dSξ ・・・(1)

n(,t)=∫-∞dτ∫V[fi(ξ,τ)Grigin(,t-τ;ξ,0)]dVξ-∫-∞dτ∫S[ui(ξ,τ)Cijkl(ξ)nj{∂Grigkn(,τ-t;ξ,0)/∂ξl}]dSξ ・・・(2)

n(x,t)=∫-∞dτ∫V[fi(ξ,τ)Gfreein(,t-τ;ξ,0)]dVξ+∫-∞dτ∫S{Gfreein(,t-τ;ξ,0)Ti((ξ,τ),)}dSξ ・・・(3)

これらを総見すると,変位(,t)はS上の変位に依存するのか,応力に依存するのか,それとも両方に依存するのか,ということに関して矛盾を示しているように見えます。

しかし,弾性媒質上では応力と変位は独立には決まらないので矛盾はありません。

表示定理において,その上で応力,または変位の陽な値が要求される表面Sとしては,通常Vの外側の面を意味します。

 

この表面Sを埋没した断層の相対する面であるような2つの隣り合う内部面として考慮するという課題は,地震源の理論にとって中心的な問題ですが,これは後の章で扱う予定です。

さて,これまではデカルト座標のみを考えてきましたが実際の地震学では個々の問題にとって変位,応力,歪みの成分間の物理的関係が単純に見える一般曲線座標を適用した方が適切なことが多いとわかります。

そこで,弾性理論において必要な通常のベクトルや微分作用素∇(grad,div,rot),∇2等について一般の直交曲線座標における形や性質を求めてみます。

まず,位置ベクトルのデカルト座標(x1,x2,x3)が別のパラメータ(c1,c2,c3)で指定されるとします。すなわち,(x1,x2,x3)の各成分が(c1,c2,c3)のスカラー関数xi=xi(c1,c2,c3)(i=1,2,3)で与えられるとします。

そして,これらの関数xiは全て連続な導関数を持ち,常に逆関数cp=cp(x1,x2,x3) or cp=cp()(p=1,2,3)が存在するとします。

そこで,方程式cp()=(一定)は各pについて座標面を作ります。3つの座標面cp()=(一定)は,それに沿ってc1,c2,c3のうちの1つcpのみが変わるような線素(軸)と交わっています。

pをそうしたcp()=(一定)の座標面に垂直な単位法線ベクトルとします。位置ベクトル+dが共にcp()=(一定)の同じ座標面にあるとすれば,cp(+d)=cp()です。

 

そこで,d∇cp=0 ですがdは面上の任意の線素ですから∇cpはこの面に垂直なベクトルです。それ故∇cppに平行です。

そこで1/hp≡|∇cp|とおけば,p=hp∇cpです。さらに,(c1,c2,c3)が(x1,x2,x3)と同じく右手系であるとすれば,pq=δpqかつ31×2です。

そして,^iをデカルト座標の第i軸単位ベクトルとすると=xi^iより^i=∂/∂xiです。

そして,pipの第iデカルト成分とすればp=hp∇cpからnpi=hp(∂cp/∂xi)です。

それ故,p=npi^i=npi(∂/∂xi)=Σqpi(∂/∂cq)(∂cq/∂xi)=Σq(npiqi/hq)(∂/∂cq)=Σqpq/hq)(∂/∂cq),すなわち,p=(1/hp)(∂/∂cp),または∂/∂cp=hppという表現式を得ます。

位置ベクトルの微小変化dはc1,c2,c3の微小変化とはd=Σp(∂/∂cp)dcpによって関連付けられるのでds2≡d=Σp,q(∂/∂cp)(∂/∂cq)dcpdcq=Σp,qpqpqdcpdcq=Σp(hpdcp)2です。

結局,ds2=dx12+dx22+dx32=(h1dc1)2+(h2dc2)2+(h3dc3)2を得ます。すなわち,1に沿う増分dc1に対するユークリッド距離はh1dc1,同様なことは,3に沿う増分dc,dc3についてもいえます。

後に必要になる∂p/∂cqの形の導関数を法線pを微分しない式を求めておきます。

pq=δpq,およびp=(1/hp)(∂/∂cp)から,p(∂q/∂cr)+q(∂p/∂cr)=0(18個の方程式),∂(hpp)/∂cq=∂(hqq)/∂cp(3個の方程式)が得られます。これらは∂p/∂cqの27個の未知成分に対して丁度27個の異なる方程式になっていますから解を決定するのに十分です。

実際,(∂/∂cp)(∂/∂cq)=(hpp)(hqq)=hpqδpqより,0=(∂/∂c1)(∂/∂c2)(∂/∂c3)+(∂/∂c2)(∂/∂c3)(∂/∂c1)-(∂/∂c3)(∂/∂c1)(∂/∂c2)=2(∂2/∂c1∂c2)(∂/∂c3)ですから,∂/∂cp=hppによって{∂(h22)/∂c1}3={∂(h11)/∂c2}3=0です。

そこで,∂(h22)/∂c1=∂(h11)/∂c23と直交しますから,12の1次結合で表現できます。しかし,∂(h22)/∂c1=h2(∂2/∂c1)+(∂h2/∂c1)2,かつ∂(h11)/∂c2=h1(∂1/∂c2)+(∂h1/∂c2)1より,結局∂2/∂c1,∂1/∂c2自身が12の1次結合です。

p(∂q/∂cr)+q(∂p/∂cr)=0から,明らかに2(∂2/∂c1)=1(∂1/∂c2)=0により∂2/∂c1=A211,∂1/∂c2=A122と書けます。

結局,h2211+(∂h2/∂c1)2=(∂h1/∂c2)1+h1122から∂2/∂c1=(1/h2)(∂h1/∂c2),かつ∂1/∂c2=(2/h1)(∂h2/∂c1)が得られます。

以上から,p≠qなら∂p/∂cq=(q/hp)(∂hq/∂cp)です。

一方,p(∂q/∂cr)+q(∂p/∂cr)=0からp(∂p/∂cp)=0です。そこで,特に∂1/∂c1=B122+B133と書けます。

そして,2(∂1/∂c1)+1(∂2/∂c1)=0より,B12=-(1/h2)(∂h1/∂c2)です。同様にB13=-(1/h3)(∂h1/∂c3)なので∂1/∂c1=-(2/h2)(∂h1/∂c2)-(3/h3)(∂h1/∂c3)を得ます。

以上から,∂p/∂cq=(q/hp)(∂hq/∂cp)-δpq[(1/h1)(∂hp/∂c1)+(2/h2)(∂hp/∂c2)+(3/h3)(∂hp/∂c3)]なる一般公式が得られました。

この公式に従って通常のデカルト座標での歪み成分eij(1/2)(ui,j+uj,i)を一般化した歪み成分epqと変位成分urの関係を求めます。

ここで,epqは準拠点で一般直交曲線座標で指定された右手系の方向単位ベクトル1,2,3に取られた局所的な回転デカルト軸で参照される単なるデカルト2階テンソルの成分です。

歪みの次元さえ持たない一般のテンソル成分epqよりも歪みの物理的成分eijを強調したいので当面の問題は,成分epqを各点ごとに1,2,3で決められている変位の物理成分による微分係数によって表現することです。

そして,通常の固定でカルト座標とは異なり,点ごとに一定ではない目盛り関数h1,h2,h3と同じく点ごとに一定でない方向1,2,3の空間変化のために困難が生じます。

pに沿うデカルト軸^1,^2,^3 (ただし^i=∂/∂xi)に対する方向余弦を(np1,np2,np3)とします。つまり,p=npi^i,または(p,^i)=npiです。

そこで,変位ベクトルの成分を=ui^i=Σpppと書けばui=Σpppiですが,npiqi=δpqなのでup=npiiでもあります。

それ故,ベクトルの直積と同じ変換性を有する2階テンソルの成分間の関係はeij=Σp,qpqpiqj,またはepq=npiqjijです。

ところで,すぐ前では同じくnpipの第iデカルト成分とするとp=Σpp∇cpよりnpi=hp(∂cp/∂xi)であり,そこでp=npi^i=npi(∂/∂xi)=Σqpi(∂/∂cq)(∂cq/∂xi)=Σq(npiqi/hq)(∂/∂cq)=Σqpq/hq)(∂/∂cq),すなわちp=(1/hp)(∂/∂cp) なる表現式を得ました。

したがって,epq=npiqjij={1/(2hpq)}(∂/∂cp)(∂/∂cq)(∂ui/∂xj+∂uj/∂xi)={1/(2hpq)}{(∂xi/∂cp)(∂ui/∂cq)+(∂xi/∂cq)(∂ui/∂cp)}です。

それ故,epq={1/(2hq)}[(∂/∂cq){(ui/hp)(∂xi/∂cp)}-ui(∂/∂cq){(1/hp)(∂xi/∂cp)}]+{1/(2hp)}[(∂/∂cp){(ui/hq)(∂xi/∂cq)}-ui(∂/∂cp){(1/hq)(∂xi/∂cq)}]です。

ここで,p=(1/hp)(∂/∂cp)またはnpi=(1/hp)(∂xi/∂cp),そしてup=npii=(ui/hp)(∂xi/∂cp)を代入すると,epq={1/(2hq)}(∂up/∂cq)+{1/(2hp)}(∂uq/∂cp)-(ui/2){(1/hp)(∂npi/∂cq)+(1/hq)(∂nqi/∂cp)}です。

結局,epq={1/(2hq)}(∂up/∂cq)+{1/(2hp)}(∂uq/∂cp)-(/2){(1/hp)(∂p/∂cq)+(1/hq)(∂q/∂cp)}なる式が得られました。

これの右辺に先に得た公式:∂p/∂cq=(q/hp)(∂hq/∂cp)-δpq[(1/h1)(∂hp/∂c1)+(2/h2)(∂hp/∂c2)+(3/h3)(∂hp/∂c3)]を代入します。

unp=npii=upなので(1/hq)(∂up/∂cq)-(unp/hpq)(∂hp/∂cq)=(1/hq)(∂up/∂cq)-(up/hpq)(∂hp/∂cq)=(hp/hq){∂(up/hp)/∂cq}です。

それ故,epq={1/(2hq)}(∂up/∂cq)+{1/(2hp)}(∂uq/∂cp)-(/2){(1/hp)(∂p/∂cq)+(1/hq)(∂q/∂cp)}=(1/2)[(hp/hq){∂(up/hp)/∂cq}+(hq/hp){∂(uq/hq)/∂cq}]+(δpq/hq)[(u1/h1)(∂hp/∂c1)+(u2/h2)(∂hp/∂c2)+(u3/h3)(∂hp/∂c3)]です。

こうして最終的にはデカルト座標の添字は全て削除されました。再記するとepq(1/2)[(hp/hq){∂(up/hp)/∂cq}+(hq/hp){∂(uq/hq)/∂cq}]+(δpq/hq)[(u1/h1)(∂hp/∂c1)+(u2/h2)(∂hp/∂c2)+(u3/h3)(∂hp/∂c3)]です。

q≠pのepqの非対角要素の場合なら右辺第2項がゼロですから,第1項が成分epqに一致します。つまり,q≠pならepq=(1/2)[(hp/hq){∂(up/hp)/∂cq}+(hq/hp){∂(uq/hq)/∂cq}]です。

一方,q=pの対角要素の場合には,(第1項)=∂(up/hp)/∂cp=(1/hp)(∂up/∂cq)-(up/h2p)(∂hp/∂cp)ですから,(第2項)=(1/hp)[(u1/h1)(∂hp/∂c1)+(u2/h2)(∂hp/∂c2)+(u3/h3)(∂hp/∂c3)]の3項のうち(up/h2p)(∂hp/∂cp)に一致する1つの項が(第1項)の-(up/h2p)(∂hp/∂cp)と相殺して消えます。

そこで,対角要素はe11=(1/h1)(∂u1/∂c1)+{u2/(h12)}(∂h1/∂c2)+{u3/(h31)}(∂h1/∂c3),e22=(1/h2)(∂u2/∂c2)+{u3/(h23)}(∂h2/∂c3)+{u1/(h12)}(∂h2/∂c1),e33=(1/h3)(∂u3/∂c3) +{u1/(h31)}(∂h3/∂c1)+{u2/(h23)}(∂h3/∂c2)となります。

次にτの一般直交曲線座標成分における応力-変位関係を得るために,前に「定量的地震理論1」で固定デカルト座標で運動方程式ρ(∂2i/∂t2)=fi+τji,jを導出した際の手順を繰り返します。

すなわち,表面境界Sを持つ体積Vの弾性体に対するラグランジュ的記述でのニュートンの運動方程式(∂/∂t)[∫V{ρ(∂/∂t)}dV]=∫VdV+∫S()dSの右辺の項∫S()dSに着目します。

()dSにおけるdSの外向き法線ベクトルの記号は今の一般直交座標の方向単位ベクトル1,2,3にと混同されると困るので記号νに変更して(ν)dSとします。

ν=νj^j=Σpνppであり,eij=Σp,qpqpiqjと同様τij=Σp,qτpqpiqjですから,(ν)dSの^軸成分はTi(ν)dS=τijνjdS=Σp,qτpqpiqjνjdS=Σp,qτpqpiνqdSです。

ここに,νはdSの外向き単位法線ベクトルなのでνqqに沿って分解されたdSの法線の成分です。そこでνqdSはcq()=(一定)の座標面へのdSの射影です。

それ故1dS=h23dc2dc32dS=h31dc3dc13dS=h12dc1dc2なる表現を得ます。

したがって,ガウスの定理から∫Si(ν)dS=ΣpSp1pi23dc2dc3+τp2pi31dc3dc1+τp3pi12dc1dc2]=ΣpV[(∂/∂c1)(τp1pi23)+(∂/∂c2)(τp2pi31)+(∂/∂c3)(τp3pi12)]dc1dc2dc3です。

ここで以前「定量的地震理論1」において,∫Sj(ν)dS=SτjiνjdSV(∂τji/∂xj)dVと∫V{ρ(∂2/∂t2)}dV=∫VdV+∫S(ν)dSから微分型の運動方程式ρ(∂2i/∂t2)=fi+∂τji/∂xjを得たことを思い起こします。

今は物理的体積要素は一般座標でdV=h123dc1dc2dc3ですから,ρ(∂2i/∂t2)=fi+{1/(h123)}Σp,q[(∂/∂cq)(τpqpi123/hq)]なる方程式を得ます。

これは,ベクトル表記ではρ(∂2/∂t2)=+{1/(h123)}Σp,q[(∂/∂cq)(τpqq123/hq)]です。

 

これは,両辺にpを掛けてデカルト座標添字を一般座標添字に変換した表示ではρ(∂2p/∂t2)=fp+{p/(h123)}Σr,q[(∂/∂cq)(τrqr123/hq)]です。

特に,ρ(∂21/∂t2)=f1+{1/(h123)}Σr[(∂/∂c1)(τ1123)+(∂/∂c2)(τ1231)+(∂/∂c3)(τ1312)]+Σr[(τr1/h1){1(∂r/∂c1)}+(τr2/h2){1(∂r/∂c2)}+(τr3/h3){1(∂r/∂c3)}]です。

これに,再び公式∂p/∂cq=(q/hp)(∂hq/∂cp)-δpq[(1/h1)(∂hp/∂c1)+(2/h2)(∂hp/∂c2)+(3/h3)(∂hp/∂c3)]を代入します。

特に,1(∂r/∂cq)=(δq1/hr)(∂hq/∂cr)-(δrq/h1)(∂hr/∂c1)ですからΣr[(τr1/h1){1(∂r/∂c1)}+(τr2/h2){1(∂r/∂c2)}+(τr3/h3){1(∂r/∂c3)}]={τ21/(h12)}(∂h1/∂c2)+{τ31/(h13)}(∂h1/∂c3)-{τ22/(h12)}(∂h2/∂c1)-{τ33/(h31)}(∂h3/∂c1)です。

そこで,運動方程式の1方向成分はρ(∂21/∂t2)=f1+{1/(h123)}[(∂/∂c1)(τ1123)+(∂/∂c2)(τ1231)+(∂/∂c3)(τ1312)]-{τ12/(h12)}(∂h1/∂c2)-{τ13/(h13)}(∂h1/∂c3)-{τ22/(h21)}(∂h2/∂c1)-{τ33/(h31)}(∂h3/∂c1)となります。

同様にしてρ(∂22/∂t2)=f2+{1/(h123)}[(∂/∂c1)(τ2123)+(∂/∂c2)(τ2231)+(∂/∂c3)(τ2312)]-{τ21/(h21)(∂h2/∂c1)-{τ23/(h23)}(∂h2/∂c3)-{τ11/(h12)}(∂h1/∂c2)-(τ33/h32)(∂h3/∂c2)となります。

ρ(∂23/∂t2)=f3+{1/(h123)}[(∂/∂c1)(τ3123)+(∂/∂c2)(τ3231)+(∂/∂c3)(τ3312)]-{τ31/(h31)(∂h3/∂c1)-{τ32/(h32)}(∂h3/∂c2)-{τ11/(h13)}(∂h1/∂c3)-{τ22/(h23)}(∂h2/∂c3)となります。

 

さて,固定デカルト座標では応力-歪み関係はτij=Cijklklですが「定量的地震学2」で述べたように,等方性媒体中では係数の一般形がCijkl=λδijδkl+μ(δikδjl+δilδjk)なのでτij=λδijkk+2μeijです。

 

ラメ(Lame)の係数λ,μは一般には位置の関数です。そしてekk=e11+e22+e33=divでこれは体積歪みに相当します。

 

τij=Cijklklは応力-歪み関係の線形性を示しているので一般座標系でも同じ形の関係τpq=Σr,spqrsrsになるはずです。

 

上述したように応力テンソルと歪みテンソルの変換性はτij=Σp,qτpqpiqj,かつeij=Σp,qpqpiqjです。

  

故にτij=CijklklΣp,qΣr,spqrsrspiqj=CijklΣr,srsrkslとなりますから両辺にntiujを掛けて縮約するとΣr,stursrs=Cijkltiujrkslrsです。

  

それ故,結局Cpqrs=Cijklpiqjrkslを得ます。

 

そこで,等方性媒質Cijkl=λδijδkl+μ(δikδjl+δilδjk)では,Cpqrs=λδpqδrs+μ(δprδqs+δpsδqr)ですからτpq=λδpqΣrrr+2μepqが得られます。

 

特に直交曲線座標が空間極座標(c1,c2,c3)=(r,θ,φ)のときにはh1,h2,h3はそれぞれ1,r,rsinθです。このときには,e12をe,u3をuφetc.と記述します。

 

また,円筒座標(c1,c2,c3)=(r,φ,z)のときにはh1,h2,h3はそれぞれ1,r,1です

 

今日はこれで終わります。

参考文献:K.Aki,& P.G.Richards 「Quantitative Seismology(Theory and Method)」

 

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2009年9月23日 (水)

定量的地震学3

 地震学の続きです。 

 今日は,地震学において典型的に生じる変位の形を表示する方法について考察します。

 

 先の記事では,一意性定理によって初期変位と運動を生ぜしめる要因である実体力,応力を与えれば弾性体における変位はユニークに決まることを見ました。

 しかし,通常の地震の断層による震源は有限体積と有限時間に広がっていて,様々な方向と大きさを持った運動を含むという意味でかなり複雑なものです。

 

 そこで,現実的な地震をモデル化した震源による変位が最も単純な震源から生じる変位から総合して扱えるような1つの簿記的道具を与えることを考えます。

 ここで,最も単純な震源というのは空間と時間の両方において正確に指定された単一方向の単位衝撃(力積:inpulse)です。こうした単純な震源による変位場は弾性力学のグリーン関数(Green's function)と呼ばれるものです。

 空間位置ξとt=τにおいて単位衝撃がn方向に加えられたときの一般座標(,t)における変位のi成分uiをGin(,t;ξ,τ)と表わすことにします。

以前の記事「定量的地震学1」では運動方程式がρ(∂2i/∂t2)=fi+τji,jで与えられることを見ました。

 

右辺のfiは正確にはある時刻tににおいて作用する体積力(実体力)(,t)の第i成分です。そして,その記事では衝撃Aと力の関係について次のように書きました。

すなわち,"弾性体を構成する位置ξにおける1つの個別粒子に対し時刻t=τにn方向に瞬時的に加えられる1つの体積力(,t)があれば,その成分fi(,t)は空間位置を与えるのに3次元のディラック(Dirac)のデルタ関数,衝撃の時刻を与えるのに1次元のデルタ関数に比例してfi(,t)=Aδ3(ξ)δ(t-τ)δinと表現されます。

Aは衝撃の強さを与える定数です。fi3(ξ),δ(t-τ)の次元はそれぞれ,[力/体積]=MLT-2/L3,1/L3,1/Tであることに着目するとδinは無次元なので,衝撃の強さAは正しく,衝撃=力積の物理的次元を有することがわかります。"と書きました。

運動方程式ρ(∂2i/∂t2)=fi+τji,jにおいて,ui=Gin(,t;ξ,τ),fi(,t)=δ3(ξ)δ(t-τ)δinを代入し,さらに応力テンソルτijとしてフックの法則による表現:τijijklkl;ij(1/2)(ui,j+uj,i)=(1/2)(Gin,j+Gjn,i)を代入します。

すると,グリーン関数ui=Gin(,t;ξ,τ)を定めるための方程式として,ρ(∂2in/∂t2)=δinδ3(ξ)δ(t-τ)+(∂/∂xj){Cijkl(∂Gkn /∂xl)}を得ます。

ただし,t≦τ,かつξではGin(,t;ξ,τ),∂Gin(,t;ξ,τ)/∂tが全てゼロという初期条件を与えます。

グリーン関数をユニークに決定するには,さらに境界面S上の境界条件を指定することが必要です。これには個々の環境に応じて種々の異なる境界条件を使用することで対応します。

Sが剛体表面で境界条件が時間に依存しないなら時間の原点はどのようにでもシフトできます。それ故,Gin(,t;ξ,τ)=Gin(,t-τ;ξ,0)ですからグリーン関数Gin(,t;ξ,τ)は時間変数tとτについてはt-τという組み合わせのみに依存することがわかります。

したがって,Gin(,t;ξ,τ)=Gin(,t-τ;ξ,0)=Gin(,-τ;ξ,-t)です。この性質は震源と受信点に関する相反定理と呼ばれるものです。

一方,ベッチ(Betti)の定理の積分形∫-∞dt∫V[(,t)(,τ-t)-(τ-t)(,t)]dV=∫-∞dt∫S{(,τ-t)((,t),)-(,t)((,τ-t),)}dSにおいて,fi(,t)=δimδ3(ξ1)δ(t-τ1),gi(,t)=δinδ3(ξ2)δ(t+τ2),ui(,t)=Gim(,t;ξ11),vi(,t)=Gin(,t;ξ2,-τ2)を代入します。

すると,左辺=∫-∞dt∫V[Gim(.t;ξ11inδ3(ξ2)δ(τ-t+τ2)-Gin(,τ-t;ξ2,-τ2imδ3(ξ1)δ(t-τ1)]dV=Gnm(ξ2,τ+τ2;ξ11)-Gmn(ξ1,τ-τ1;ξ2,-τ2)です。

そして,右辺=∫-∞dt∫S[Gin(.τ-t;ξ2,-τ2)Cijklj{∂Gkm(,t;ξ11)/∂xl}-Gim(,t;ξ11)Cijklj{∂Gkn(,τ-t;ξ2,-τ2)/∂xl}]dSです。

ところがi(,t)=Gim(,t;ξ11),vi(,t)=Gin(,t;ξ2,-τ2)がS上で斉次境界条件ui+γji,j=0,vi+γji,j=0 を満足するなら,Sの上ではvi(τ-t)Cijkljk,l(t)-ui(t)Cijkljk,l(τ-t)=Cijklj{-γpi,p(τ-t)uk,l(t)+γpi,p(t)vk,l(τ-t)}=0 なので,結局,右辺はゼロとなります。

そこで,がS上で斉次境界条件を満たす場合には震源と受信点に対しGnm(ξ2,τ+τ2;ξ11)=Gmn(ξ1,τ-τ1;ξ2,-τ2)なる等式で示される重要な相反定理が得られました。

特にτ1τ20と選べばGnm(ξ22;ξ1,0)=Gmn(ξ1,τ;ξ2,0)を得ますが,これは純粋な空間相反性です。一方,τ=0とすればGnm(ξ22;ξ11)=Gmn(ξ1,-τ1;ξ2,-τ2)ですが,これは空間・時間相反性を示しています。

弾性力学のグリーン関数を具体的に求めることは,それ自身複雑な問題ですが,この課題については,最も単純な均質で等方的な弾性固体媒質の場合と,震源と受信点の間が不均質で大きく離れている場合について後に扱う予定です。

さし当たってグリーン関数が既知としての議論に集中します。

 

再びベッチの定理の積分形∫-∞dt∫V[(,t)(,τ-t)-(τ-t)(,t)]dV=∫-∞dt∫S{(,τ-t)((,t),)-(,t)((,τ-t),)}dSに,gi(,t)=δinδ3(ξ)δ(t),vi(,t)=Gin(,t;ξ,0)を代入します。

 

こうすれば,Vにおける実体力とSにおける変位が既知のときの変位場を得ることができます。

すなわち,un(ξ,τ)=∫-∞dt∫V[i(,t)Gin(,τ-t;ξ,0)]dV+∫-∞dt∫S{Gin(,τ-t;ξ,0)Ti((,t),)-ui(,t)Cijkljkn,l(,τ-t;ξ,0)}dSです。

この式の物理的解釈を行なう前に,記号ξ,およびtとτを交換した方がいいと思われるのでそうします。

 

n(x,t)=∫-∞dτ∫V[fi(ξ,τ)Gin(,t-τ;ξ,0)]dVξ+∫-∞dτ∫S{Gin(ξ,t-τ;,0)Ti((ξ,τ),)-ui(ξ,τ)Cijkl(ξ)njkn,l(ξ,t-τ;,0)}dSξですね。

最後の被積分関数の項の因子kn,l(ξ,t-τ;,0)はξlによる微分∂Gkn,l(ξ,τ-t;,0)/∂ξlを意味することになります。

このように,弾性体における変位を初期変位,および運動を生ぜしめる要因である実体力,応力によって一意的に表わす方法,あるいは表示式を表示の定理と呼びます。 

上に得られた最初の表示定理は,ある明確な点での変位がV中の到るところでの実態力による寄与,およびS上の応力(,)と自身による寄与から作り上げられるメカニズムを表現しています。

しかし,これら3つの寄与が重み付けされる方法は一見して不十分なものです。

 

というのは,各々の寄与を与える項はを震源としξを受信点とするグリーン関数を含んでいますが,むしろ,を"観測点=受信点"とするグリーン関数を使用した表現が望ましいと考えられるからです。

 

ξを震源としを受信点とするグリ-ン関数による表現であれば,における変位は各体積要素dVと面積要素dSによるへの変位の寄与の"総和(重ね合わせ)=積分"と見なせる合理的な解釈ができます。

そこで,に対する相反定理を使用すればよいと思われますが,これはグリ-ン関数への余分な条件を要求します。

なぜなら,空間相反性:Gin(ξ,t-τ;,0)=Gni(,t-τ;ξ,0)であれば,これはが境界S上で斉次境界条件を満たすときに限って証明された性質です。一方,上の表示定理の方は(ξ,τ)でのn方向への単位衝撃による任意のグリーン関数に対して正しい公式です。

特に,グリーン関数がS上で斉次境界条件を満たす2つの異なる場合について考察してみます。

まず,がS上で剛体境界条件を満たす場合のグリーン関数であるとします。このときのグリーン関数をrigと書けば,Sが剛体面なのでξ∈SならGrigin(ξ,t-τ;,0)=0です。

こうすれば先の表示公式はun(x,t)=∫-∞dτ∫V[fi(ξ,τ)Grigiin(,t-τ;ξ,0)]dVξ-∫-∞dτ∫S[ui(ξ,τ)Cijkl(ξ)nj{∂Grigkn,l(,τ-t;ξ,0)/∂ξl}]dSξとなります。

もう1つの場合はSが自由境界面の場合でS上では応力がない場合です。例えば真空の宇宙空間での星の表面での応力は圧力Pのみであってゼロであると近似できます。

  

この自由境界条件のグリーン関数をfreeと書けば,ξ∈SならCijkl(ξ)nj{∂Gfreekn,l(ξ,τ-t;,0)/∂ξl}=0 です。

このときの表示公式はn(x,t)=∫-∞dτ∫V[fi(ξ,τ)Gfreein(,t-τ;ξ,0)]dVξ+∫-∞dτ∫S{Gfreein(,t-τ;ξ,0)Ti((ξ,τ),)}dSξとなります。

今日はここで終わります。 

参考文献:K.Aki,& P.G.Richards 「Quantitative Seismology(Theory and Method)」

 

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2009年9月15日 (火)

定量的地震学2

 地震学の続きです。 

 媒質は応力が除かれたとき,それが戻る自然な状態(歪みも応力もゼロ)を持つなら弾性的であるといわれます。

 与えられた負荷の影響の下では,応力と歪みは共に変化します。それらの間の関係(構成関係)は媒質の重要な特徴です。

 そして,そうした関係が存在することを,以下で熱力学的議論により証明します。

 自然科学は経験科学ですから,実際の関係そのものについては実験的に決定するのが正しい姿勢です。 

Robert Hooke(ロバート・フック)の"弾性物体"の測定は,300年以上も前に応力が歪みに比例するという結論を導きました。

 

ただし,この事実に関する彼の報告は今日のような応力のテンソルの概念が当時は利用できなかったため,幾分不可解なものでした。

Augstin Cauchyは,19世紀初期に初めて今の応力の近代的考え方の多くを展開しました。今日ではテンソルによってもっと容易に伝達できる多くの結果を彼が理解したのは明らかです。

 

こうしたテンソル概念は20世紀までは使用されませんでした。

フックの法則の現代的な一般化は,応力テンソルの各成分が歪みテンソルのあらゆる成分の線型結合であるということです。

すなわち,応力テンソルτijと歪みテンソルij(1/2)(ui,j+uj,i)の間に,関係:τijijpqpqを与える比例係数Cijpqが存在します。この構成関係に従う物体を線型弾性的であるといいます。 

量Cijpqは4階テンソルの成分で,次の対称性を持っています。

すなわち,τji=τijによりjipq=Cijpq,eqp=epqによりijqp=Cijpqです。また,以下に示すように熱力学的論点からCpqij=Cijpqもまた真であることがわかります。

弾性体が表面境界Sで囲まれた体積Vを占めていると仮定します。

 

熱力学第1法則によれば物体は内部エネルギーを持ちますが,これは物体の変形と共に変わり,エネルギーのバランスは(受ける力学的仕事率)+(受ける熱の率)=[(運動エネルギー+内部エネルギー)の増加率]で与えられるはずです。

(1)力学的仕事率

dotd≡∂/∂tとおくと,Vが受ける力学的仕事率は∫VfuddV+∫STuddSです。これはガウスの発散定理を用いると∫V[fiid+(τijid),j]dVと書けます。

さらに,運動方程式:ρ(∂2i/∂t2)=fi+τji,j,あるいはρi2d=fi+τji,jによってfiid+(τijid),j=ρuidi2d+τiji,jd=(∂/∂t){(1/2)ρuidid}+τijijdです。

 

これを代入すると力学的仕事率の最終形として(∂/∂t)[∫V{(1/2)ρuidid}dV]+∫Vijijd)dVが得られます。

(2)熱の率

ベクトル(,t)を,時刻tにを外向き法線とする任意の面素dSに対しhndSがの向きに通過する熱の率となるような"熱流束=単位時間に単位面積を通過する熱エネルギー"とします。

また,L(,t)を,物体Vの有する熱の密度(単位体積当たりの熱量)とします。このとき熱に関するバランス(平衡)から-∫ShndS=(∂/∂t)(∫VLdV)です。

 

これはガウスの定理によって,微分形としては"物体が受ける熱の率=単位時間当たり単位体積当たりの熱エネルギー"がL=-∇=-hi,iで与えられるという形になります。

(3)運動エネルギーの増加率

 運動エネルギーの増加率は明らかに(∂/∂t)[∫V{(1/2)ρuidid}dV]です。

(4)内部エネルギーの増加率

 U(,t)を,物体Vの有する単位体積当たりの内部エネルギーとします。内部エネルギーの増加率はもちろんUです。

以上,(1)~(4)から(受ける力学的仕事率)+(受ける熱の率)=[(運動エネルギー+内部エネルギー)の増加率]は,(∂/∂t){(1/2)ρuidid}+τijijd+L=(∂/∂t){(1/2)ρuidid}+Uとなります。ただし,L=-∇==-hi,iです。

 それ故,U=L+τijijd=-hi,i+τijijdです。

これをU,L,eijを熱力学的平衡状態からの微小摂動として表現するなら,dU=dL+τijdeij=TdS+τijdeijです。ここにTは絶対温度,Sは単位体積当たりのエントロピーです。

この表現式から,形式的にτij(∂U/∂eij)Sを得ます。

 

一方,Fをフレドホルムの自由エネルギー(F≡U-TS)とすれば,dF=SdT+τijdeijより,同じくτij=(∂F/∂eij)Tを得ます。

そこで,もしも,変形過程がいくつかの地殻構造過程のように等温的にゆっくりと生じるならτij=(∂F/∂eij)Tです。

しかし,変形過程が断熱的で=0 かつL=0 では定エントロピーとなり,その下ではτij=(∂U/∂eij)Sです。

 

すなわち,断熱過程の場合には内部エネルギーUの変化は歪みの変化だけで決まります。

これらは,ほとんど全ての波長の地震波に対して地震学では全く通常の状況です。  

というのも岩石における熱拡散の時間尺度を示す時間定数=(距離)2/(速さ)は,地震波の周期=(波長)/(速さ)よりもはるかに長いので,地震過程は断熱過程,あるいは等温過程で近似できるからです。

そこで断熱過程ではW≡U,等温過程ではW≡FとしてWを歪み-エネルギー関数と呼べば,それぞれの過程でτij=∂W/∂eijです。

したがって,これらをフックの法則:τijijpqpqと組み合わせると,先述した最後の対称性Cijpq=∂τij/∂epq=∂2/(∂eij∂epq)=∂τpq/∂eij=Cpqijが得られます。

 

そして,歪み-エネルギー関数WはW=(1/2)Cijklijkl=(1/2)τijijと陽な形式に表現できます。

断熱過程,または等温過程では,歪み-エネルギー関数W=U,またはFは自然状態を除いて常に正です。そこで,W=(1/2)Cijklijklの右辺は正値2次形式です。

係数Cijklは歪みeijには依存しないですが,一般には位置の関数です。地震学で用いられる弾性理論では,媒質は不均質ですが到るところ等方的な球対称の媒質という先入観で特徴付けられています。

一般に,係数テンソルの34=81個の成分Cijklは,上記の対称性のおかげで独立な成分は21個です。さらに,上記の先入観に根ざした等方性媒質では,も等方的である必要があり,かなり単純になります。

1972年にはJeffreys and Jeffreysによって,最も一般的な対称4階等方テンソルは次の形をとることが示されました。

すなわち,Cijkl=λδijδkl+μ(δikδjl+δilδjk)です。ただし,2つの独立定数λ,μはLame(ラメ)の定数と呼ばれます。

しかし,こうして得られた結果は応力と歪みが共にゼロの準拠状態から微小摂動だけ離れたケースに限定されていることに着目すべきです。

 

一方,地球内部内では平衡状態での自己重力が約1メガバール(Mbar)までの圧力の原因をなすことが知られています。

地球物質に対してゼロ応力,ゼロ歪みの準拠状態を仮定しても,上述のフックの法則に関する結果を直接には地震学において適用することはできません。

 

というのも上記の自己重力にに起因する圧力による歪みが小さくないからです。応力と歪みが共にゼロの準拠状態を用いると応力-歪み関係が非線型な有限歪みの理論を扱う必要があることになります。

しかし,地震に先立つ準拠系として代わりに地球の静的平衡状態を用いることもできます。実はこれが地震学での普通の扱いです。

 

定義によって,準拠系ではゼロ歪み状態ですが,初期応力の方はゼロではありません。

そして,このときには地震運動は歪みと初期応力からの増分応力との線型関係で表現できます。

 

かくして,ゼロ歪みでの初期応力をσ0とすると,ゼロとは限らない一般の歪みに対する応力はσ0τ ij=Cijklkl)で与えられます。そしてσ0の成分σ0ijは係数テンソルの成分Cijkl(~1メガバール)と同じオーダーの量です。

しかし,さし当たっては,簡単のため初期応力σ0の効果を無視することにします。

この単純化は,後の第8章で正当化されます。そこでは,初期応力σ0が正しく考慮され,修正を要する理論の概観について短かいレビューを与えます。そして第8章では自己重力の効果を定量化するためにオイラー的アプローチを採択する予定です。

さて, 運動が設定され得る方法と関わる幾つかの一般的注意と共に,まず表面境界Sを持つ体積Vの弾性体内でのラグランジュ的変位場(,t)についての一意性(uniqueness)の議論を導入することが自然な手続きであると思われます。

変位はV内の到るところでρi2d=fi+τji,jを満たすように制約されているので,変位場にはVにおける実体力と表面S上の応力τが寄与します。

今から,V内到るところでの実体力とS上全てにわたる応力の明細が既知であれば,与えられた初期条件からV内で発展する変位場を一意的に決定するに十分であることを示します。

変位場へのSの影響を指定する別の方法は,応力の代わりにS上の変位自身に対して境界条件を与えることです。

 

例えば,表面Sが剛体的であるというように,一見したところS上の応力と変位はV内の変位場にとって独立な性質のように見えます。

 

しかし,これは誤りで以下の直感的理解からSにわたる応力はS上の変位を決定し,その逆も成り立つことを認識することが重要です。

 

以下に,ある境界条件,初期条件下での変位場の一意性の定理を述べ,これの証明を与えます。

[一意性定理]:表面境界Sを持つ体積Vの弾性体内の到るところで,与えられた時刻t0における変位と粒子速度の値(=初期条件),およびt>t0における次の境界条件:

 

(ⅰ)実体力と供給される熱L,(ⅱ)表面S=S1+S2の一方の部分S1上での応力Π,(ⅲ)残りの部分S2上での変位

 

が与えられたとき,

 

 時刻t0より後の時刻tおけるV内到るところでの変位(,t)は一意的に決定される。

(証明)12が同じ初期条件を満足し,定理の境界条件(ⅰ)~(ⅲ)の同じ値で設定される変位の任意の2つの解であると仮定します。

 このとき,12とおけば,(,t)は初期値が恒等的に(,t0)≡0 であるような変位場です。

 

 そして,はt>t0における実体力がゼロ,かつ供給される熱Lもゼロ,さらにS1上での応力,またはτがゼロ,S2上での変位もゼロの変位場を表わします。

 それ故,一意性定理を証明するには,V内の到るところでt>t0でも=0 であることを示せばよいことになります。

まず,t>t0での力学的仕事率を与える式:∫VfuddV+∫STuddS=∫V[ρuidi2d+τiji,jd]dVにおいて,の場合には≡0 ですから,これらは明らかに恒等的にゼロです。

そして,∫V[ρUidi2d+τiji,jd]dV=0 を時間tについてt0からtまで積分して,応力-歪み関係式τij=Cijkli,jを用いると∫V[(1/2)ρUidid]dV+∫V[(1/2)Cijkli,jk,l]dV=0 です。

 

ところが,右辺の第1項の被積分関数である運動エネルギー密度も第2項の被積分関数である歪みエネルギー密度W=(1/2)Cijkli,jk,lも共に正定値な量です。

したがって,これらのV全体での総和がゼロということは,V内では到るところでUi=Uid=0 なることを意味します。よって,t>t0でも到るところで=0 です。

 

以上から,12が結論されます。(証明終わり)

一方,同じ表面境界Sを持つ体積Vの弾性体内での一対の変位場,に対して,相反性(reciprocal relation)と呼ばれる性質があることもわかります。

 

まず,(,t)は変位場の1つであるとし,は実体力とS上の境界条件,そしてt=0 における初期条件によって決まるとします。

一方,(,t)も変位場の1つであるとし,は実体力に対するものとは異なるS上の境界条件とt=0 における初期条件によって決まるものとします。

これら,2つのケースでを法線とする面上の応力を区別するため,変位による応力を(,),変位による応力を(,)と書くことにします。

このとき,次のようなBetti(ベッチ)の定理と呼ばれる相反性定理が成立します。 

[ベッチの定理]:上記のような条件の下で,等式∫V(-ρ2d)dV+∫S{(,)}dS=∫V(-ρ2d)dV+∫S{(,)}dSが成立する。

(証明)左辺=∫V(-ρ2d)dV+∫S{(,)}dS=-∫V[{τij,j()vi}dV+∫Sijji)dS=∫Vτij()vi,j]dV=∫Vij,klk,li,j]dV=∫V(-ρ2d)dV+∫S{(,)}dS=右辺です。(証明終わり)

さて,ベッチの定理は,,に関する初期条件を含まないことに注目します。

 

そこで,,2d,(,),は時刻t1で評価され,,2d,(,),が時刻t2で評価されるとしても∫V(-ρ2d)dV+∫S{(,)}dS=∫V(-ρ2d)dV+∫S{(,)}dSなる等式は正しいです。

 一方,を省略して時間tで0からτまで積分すると∫0τ2d(t)(τ-t)-ρ (t)2d(τ-t)}dt=ρ∫0τ[(∂/∂t){d(t)(τ-t)+(t)d(τ-t)}]dt=ρ{d(τ)(0)-d(0)(τ)+(τ)d(0)-(0)d(τ)}が成立します。

 

それ故,t1=t,t2=τ-tと選択して∫0τdt∫{ρ2d(,t)(,τ-t)-ρ (,t)2d(,τ-t)}dV=∫ρ{d(,τ)(,0)-d(,0)(,τ)+(,τ)d(,0)-(,0)d(,τ)}dVです。

したがって,その時刻t=τ0>0 より前にはV上到るところで,がゼロであるようなある時刻τ=τ0があればτ≦τ0ならd(,τ)=d(,τ)=0 です。

 

そこで,その場合には回転項∫-∞dt2d(,t)(,τ-t)-ρ (,t)2d(,τ-t)}dVはゼロです。

それ故,ベッチの定理から,∫-∞dt∫V([(,t)(,τ-t)-(τ-t)(,t)]dV=∫-∞dt∫S{(,τ-t)((,t),)-(,t)((,τ-t),)}dSを得ます。

途中ですが今日はここで終わります。 

参考文献:K.Aki,& P.G.Richards 「Quantitative Seismology(Theory and Method)」

 

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2009年9月 8日 (火)

定量的地震学1

私がサブマネージャーをしているfolomy物理フォーラムで,最近,電磁波の水滴による減衰に関する質問があり,確か20年以上前にボルン-ウォルフ著「光学の原理」を参考にして雲やエアロゾルによる古典電磁波のミイ(Mie)散乱の断面積を計算したことがあるのを思い出し,そのとき作成したノートを探していました。

これが見つかれば,これに便乗して,最近の地球温暖化の原因とされる温室効果ガスの中で,その効果が最も大きいと思われる雲,あるいは水滴の効果を評価したいとも考えていました。

ところが,そのノートは2,3日探しても見つからず,代わりに1991年に,2番目の会社で地震の震源地予測プログラム開発のために国会図書館でコピーした,AkiとRichards著の「Quantitative Seismology」という地震学の本についてまとめた3冊のノートを見つけました。

 

そこで急遽,これを紹介する記事を書こうという気になりました。

(もちろん,曇りの空の色に関係するミイ散乱や,晴れの青い空に関係するレイリー(Rayleigh)散乱などを検討して,電磁波の減衰効果についてもいずれ書こうとは思います。)

英語で書かれている「Quantitative Seismology」については,近年,共著者の安芸氏とは別の日本人によって,安芸敬一,P.G.Richards著「地震学」という大部の翻訳書として出版されているのを知っていますが高価なので,これはまだ,買ってはいません。

もっとも,当時,国分寺の方の会社に委託されて,従来よりも正確かつ迅速に震源地を求めようという試みは挫折しました。

 

地震については,2006年11/14の過去記事「結晶内での弾性波(地震波)」http://maldoror-ducasse.cocolog-nifty.com/blog/2006/11/post_0cc6.html もあります。

 

さて,第1章の序文は省略して第2章の「動力学的弾性体の基礎理論」から始めます。

地球内の地震運動を研究するための解析的枠組みは少なくとも次の3つの成分を組み込んでいる必要があります。

 

すなわち,震源を記述する方法,地震運動の伝播を支配する運動方程式,そして震源の記述を方程式の個々の解に結合させる理論です。

地震学においては,小さい運動の2つのセットは非線型な形で干渉することはなく重ねあわされるという推測があります。

そして,もう1つの推測として,ある物理的源によって生起された地震運動は震源と波動伝播の媒質の性質を結びつけることによって一意的に決定されるというものです。

こうした推論や地震学者によって一般に真であると仮定されている他の多くの推論は線型応力-歪み関係を有する弾性媒体に対する古典連続体力学の無限小運動の性質であり,これが理論に対する全ての数学的枠組みを提供します。

それでは定式化に向かいます。

連続体の運動力学を記述するために,2つの異なる方法が広く用いられています。

 

これらの1つは,"ある参照時刻tに初期時刻t0の元の位置で指定された質点の運動を追跡する。"というラグランジュ(Lagrange)的記述と,もう1つは"いかなる質点であろうと指定した空間位置を占めている質点に着目する。"というオイラー(Euler)的記述です。

地震学の大抵の応用では,線型弾性理論をラグランジュ的記述で展開するのが概念的により簡単です。

 

以下では,枠組みとして殆ど常にラグランジュ的記述を採択します。

要するに,震動図は地球の個々の部分における地震計が設置されている質点の運動の記録であり,直接ラグランジュ的運動の記録と考えられるからです。

まず,系はデカルト(Descartes)座標系(直交座標系):=(x1,x2,x3)で扱い,全てのテンソルはデカルトテンソルとします。

変位(displacement)という量を空間と時間tの関数として用いることから始めます。

 

すなわち,ある時刻t0に占めていた空間位置のベクトルから,その質点が時刻tに移動した量としてのベクトルを変位と呼び,それを(,t)と書きます。

このラグランジュ的表記では,時間tが変わってもは不変な独立量なので,粒子(質点)の速度は∂/∂t,加速度は∂2/∂t2です。

固体であれ液体であれ,また弾性的であれ非弾性的であれ,媒質の歪みを解析するためには歪みテンソルを使用します。

最初,位置にあった質点が位置に動かされるなら,そのときの関係()が変位の場を記述するために用いられます。

初期に近傍にある媒質部分の歪みを調べるために,初期位置+δにあった質点の新しい位置を知る必要があります。この新しい位置は+δ(+δ)です。

この変位の変化をδとすれば+δ+δ(+δ)-()です。|δ|は任意の微小量なので,(+δ)=u()+(δ∇)+O(|δ|2)ですから,δ=(δ∇),または,δui=(∂ui/∂xj)δxjです。

しかし,の近傍の真の歪みを指定するのにテンソル:(ui,j)=(∂ui/∂xj)の全ての成分が必要なわけではありません。

 

なぜなら,"運動=変位"の一部は単にの近傍の無限小な剛体回転によるものです。

 

これは恒等式:(ui,j-uj,i)δxj=εijkεjlmm,lδxkからわかります。(つまり,≡rotと置けば,(ui,j-uj,i)δxj=(×δ)iと表現されます。)

それ故,δui=(∂ui/∂xj)δxj=ui,jδxjは,δui=(1/2)(ui,j+uj,i)δxj+(1/2)(rot×δ)Iと書き直せます。

 

剛体回転の総量は(1/2)rotなので,|ui,j|<<1なら全変位を表わす右辺のうち,最後の項を剛体回転として解釈することが可能です。

変位勾配が|ui,j|<<1の意味での無限小でないなら,δにおいて有限な回転の寄与を解析する必要があります。

 

しかし,有限回転は非可換な変動でベクトルでは表現できないので,はるかに困難な事象です。

ここでは|ui,j|<<1と想定し,無限小の歪みテンソルとして,eij≡(1/2)(ui,j+uj,i)なる対称テンソルを定義し,これを任意の線素δxiについて相対位置をeijδxjだけ変える真の歪み効果とします。

回転の方は要素の長さには影響しません。実際,新しい長さは+δ|=(δδ+2δδ)1/2=(δδ+2eijδxiδxj)1/2=|δ|(1+eijνiνj)となります。

 

ただし,νν≡δ/|δ|で定義される単位ベクトルです。

+δ|=|δ|(1+eijνiνj)は,線素のν方向への伸縮歪みがeijνiνjであることを示しています。

連続体内の隣接した粒子間の相互に作用する力を解析するためには,応力テンソルの概念を用います。

 

応力とは連続体内の内部面積当たりに働く力のことです。これは面の一方の側の粒子が他の側の粒子に作用する単位面積当たりの接触力を定量化したベクトル量です。

厳密には,連続体内部の面上の与えられた1点に対し,その点の無限小面素δSを横切って作用する無限小の力δを考え/δSのδS→ 0 の極限で応力を定義します。

面δSに垂直な単位ベクトルに対し,がその内側へと向く側の物質からを外向き法線の単位ベクトルとする側の物質に作用する力としてδを定義します。

δ/δSの極限である応力の大きさと方向は,面δSの向き,つまりにの取り方に依存します。そして一般にに平行ではありません。の関数として()なる形で表現されます。

 

例えば,面に垂直な応力である流体内の圧力であれば,その大きさは-nT()で与えられます。一方,固体物質に対しては,せん断力は面に平行な向きに作用し得ます。

さて,連続物体内の質点(粒子)に作用する力としては,上記の隣接粒子間に働く接触力応力だけではなく,一般には隣接粒子間の相互重力や磁力など古典的な非接触の遠隔作用力もあります。

 

こうした非接触力など外力を実体力と名付けます。そして,初期時刻にある位置にあった物体の別のある時刻tに作用する単位体積当たりの実体力を(,t)と書くことにします。

 

初期位置がξの1つの個別粒子に時刻t=τに瞬時的に加えれる1つの衝撃力という特殊ケースを考えてみます。

 

この力がxn軸方向にあるとき,成分fi(,t)は空間位置を与えるのに3次元のディラック(Dirac)のデルタ関数,そして衝撃の時刻を与えるのに1次元のデルタ関数に比例し,さらにi≠nについてはfi=0 なる方向性を持つとします。

こうすれば,力の密度はfi(,t)=Aδ3(ξ)δ(t-τ)δinと表現されます。ここにAは衝撃の強さを与える定数です。

i3(ξ),δ(t-τ)の次元がそれぞれ[力/体積]=MLT-2/L3,1/L3,1/Tであることに着目すれば,δinは無次元なので衝撃の強さAは正しく,"衝撃=力積"の物理的次元を持つことがわかります。

こうして,境界面Sを有する体積Vの到るところで加速度,実体力(体積力),応力に対する制約を述べられる位置に到達しました。

さて,ニュートンの運動法則によってVを構成する粒子群の運動量総体の変化率とVの全体に作用する力とを等置すれば,(∂/∂t)[∫V{ρ(∂/∂t)}dV]=∫VdV+∫S()dSとなります。

 

この関係はラグランジュ的記述に基づいており,VとSは粒子と共に動きます。

この描像では,ρdVは時間的に一定なので,左辺は∫V{ρ(∂2/∂t2)}dVと書き直すことができます。

以下,この式を利用して応力()の陽な形を求め,応力テンソルを導入します。

加速度,実体力,応力のどれも特異ではないような媒質中の粒子Pを考えます。そして,点Pを微小体積ΔVで囲み,ΔV→ Pと収縮する極限で∫V{ρ(∂2/∂t2)}dV=∫VdV+∫S()dSの各項のΔVに対する相対的な大きさを評価します。

このとき,被積分関数が特異ではないので両辺の体積積分の項はΔVのオーダーですが,面積積分の項は∫SdSのオーダーであり,(ΔV)2/3のオーダーの量です。

そこで,∫V{ρ(∂2/∂t2)}dV=∫VdV+∫S()dSの両辺を∫SdSで割った式では,ΔV→ 0 に対し,V{ρ(∂2/∂t2)}dV/∫SdS→ 0 ,かつVdV/∫SdS→ 0 です。

仮に,ΔVとして外向き法線と-を持つ相対する平面板とここでは重要ではない側面を持つ直方体を取れば,ΔV→ 0 に対して∫S()dS/∫SdS→ 0 ですから,(-)=-()を得ます。

次に,ΔVを小さな四面体OABCとし,その3つの面⊿OBC,⊿OCA,⊿OABが,それぞれx1軸に垂直な23面,x2軸に垂直な31面,x3軸に垂直な12面の上にあり,残る4番目の面の⊿ABCの外向き法線がであるとします。

 

このとき,∫S()dS/∫SdS→ 0 は,()⊿ABC+(-^1)⊿OBC+(-^2)⊿OCA+(-^3)⊿OAB/∫SdS→ 0 を意味します

ただし,^iはi軸方向の単位ベクトルです。結局,()=(^j)njなる関係式を得ます。

(-)=-(),および()=(^j)njなる等式は,媒質が静止中であろうと運動中であろうと成立します。そこでτjl≡Tl(^j)と置けば,常にTj()=τjijと書けます。

ガウスの定理を用いると∫Sj()dS=SτjijdSVτji,jdVですから,∫V{ρ(∂2/∂t2)}dV=∫VdV+∫S()dSは,∫{ρ(∂2i/∂t2)-fi-τji,j}dV=0 となりますが,Vは任意なので微分型の運動方程式としてρ(∂2i/∂t2)=fi+τji,jが得られます。

運動力学のもう1つの制約式は座標原点の周りのV内の総角運動量の変化率をVにおける力のモーメントに等置することで得られます。

すなわち,(∂/∂t)[∫V{×ρ(∂/∂t)}dV]=∫V(×)dV+∫S{×()}dSです。ただし,です。

 

/∂t,×(∂/∂t),∂(ρdV)/∂tは全てゼロなので,左辺は∫V{×ρ(∂2/∂t2)}dVと書けます。

そこで,これに運動方程式:ρ(∂2i/∂t2)=fi+τji,j,およびTi()=τjijを代入することにより,∫Vijkj(∂τlk/∂xl)}dV=∫Vijkj{ρ(∂2k/∂t2)-fk}]dV=∫Sijkjk()}dS=∫Sijkjτlkl)dSを得ます。

ところが,ガウスの定理より∫Sijkjτlkl)dS=∫V{(∂/∂xl)(εijkjτlk)}dV=∫Vijk(∂Xj/∂xllk}dV+∫Vijkj(∂τlk/∂xl)}dV=∫Vijkτjk)dV+∫Vijkj(∂τlk/∂xl)}dVです。

したがって,∫Vijkτjk)dV=0 と結論されます。

 

これは,到るところでεijkτjk=0 なること,つまり,応力テンソルが対称であること:τkj:=τjkを意味します。

これらの基本的結果から,応力の成分についての最終的公式を定めることができます。

すなわち,応力テンソル(τij)は対称であって,応力はTi=τjijで与えられます。さらに,運動方程式はρ(∂2i/∂t2)=fi+τji,jで与えられます。

今日はここで終わります。

参考文献:K.Aki,& P.G.Richards 「Quantitative Seismology(Theory and Method)」

   

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2008年12月20日 (土)

運動物質内の相対論(7)(電子の古典模型)

運動物質内の相対論の続きです。

 

前回は閉じていない系について述べましたが,その叙述が中途になっていたので,まずはその続きからです。

まず,途中で中断したので改めて閉じていない系の一般的事項を再確認します。

対象とする閉じていない系をΣとし,そのエネルギー運動量テンソルをTμνとします。

 

また,この系Σに影響する外界全体のエネルギー運動量テンソルをSμνと書けば,∂Tμν/∂xν=fμ=-∂Sμν/∂xνと書けます。

 

μは,系Σの各点で外界によって及ぼされる4元力密度です。

系のエネルギー密度をh,3次元のエネルギー流束密度ベクトルを,運動量密度のベクトルをで表わすと,これらは成分表示でSk=cT0k,gk=Tk0/c,h=T00,またはgμ=(h/c,)=Tμ0/cで定義されます。

さて,ここからしばらくは閉じていない系の中でも特に静的な系と呼ばれるものを考察します。

まず,静的な系の定義です。

これまでの前提では,系に働く力の密度fμは∂Tμν/∂xν=fμ=-∂Sμν/∂xνで与えられるとされています。

 

つまり,力の密度fμは系の外部のテンソルSμνによってfμ=-∂Sμν/∂xνのようにある種の外力fμ=fextμとして与えられるものとしていました。

 

しかし,ここでは対象としている閉じていない系のエネルギー運動量テンソルをTμνで表わすのは同じですが,fμが外力fextμではなく系の内部の歪みによるる弾性的応力のように,対象とする系Tμν自身からfμ=-∂Tμν/∂xνによって与えられるとします。

そして,ある慣性座標系S0が存在して座標系S0では,あらゆる物理量が時間に無関係で,しかも0=∫0dV0=0,∫0dV0=0 となるようにできるとき,この系(Σ,Tμν)を静的であると言います。

 

つまり,座標系S0では運動量やエネルギー流は全く無く,全ての量は座標系S0に固定されていて全体に静止している系ですね。

この場合に,(S0)=(1/H0)∫h0(,t)dV0=(1/H0){∫0dV}0で定義されるS0系での質量中心(S0)を考えます。

 

以前のS系での質量中心(S)の移動速度に対する式は,(S)/dt=c2/H-c(S)(∫f0dV)/H-c(∫0dV)/H+c{∫(/c-c)dV}/Hです。

 

この式において,右辺の物理量に全て上添字 0 を入れるとき,今の系ではf0は外力という意味ではゼロなので,d(S0)/dt=0 となり,質量中心(S0)はS0系で静止しています。

したがって,静的な系はニュートン的重心の定義を相対論に一般化することが可能な例の1つになっています。

さて,静的な系の1例として,特定の座標系S0で静止している荷電物質の電磁場を挙げることができます。物質を除いた電磁場だけを対象としているため,系のエネルギー運動量テンソルTμνは電磁エネルギー運動量テンソルで与えられます。

特に誘電率がε0,透磁率がμ0の真空中と同じ電磁場を仮定します。既に真空中の電磁場の電磁エネルギー運動量テンソルSEMμνは,SEMμν=-(c2ε0)(Fλμλν-(1/4)ημν(Fλσλσ)]なる形で与えられることを知っています。

 

ここに,Fμν≡∂μν-∂νμでAμ≡(φ/c,)は電磁場を示す電磁ポテンシャルです。すなわち,φはスカラーポテンシャル,はベクトルポテンシャルです。

今の場合には,μν=SEMμνなのでfμ=-∂Tμν/∂xν=-∂SEMμν/∂xνであり,fμは荷電物質に働く4元的電磁力の密度を表わします。

 

そして,電磁場のエネルギー流束密度は×なるポインティングベクトルで表わされます。

 

系が静的であるための条件:0=0,∫0dV0=0 が成立することは,この座標系では電磁場の移動速度がc20/H=0=0 に等しいということなので,電磁場の系が静止していることを意味します。

 

言い換えると,ポインティングベクトルがゼロになるような系をS0系に取っているという意味です。例えば,0≠0 で0=0 の静電場はそうですね。

静的な閉じていない系の他の1例としては,容器に入れられた流体があります。これは流体が容器の壁からの外圧で容器中に閉じ込められている場合です。

0が速度で運動しているように見える慣性系をSとすると,SはS0に対して-で運動しているので,S0 →Sのローレンツ変換の係数Λμν (xμ=Λμν)は,Λij=δij-(uij/2)(γ-1),Λk0=Λ0k=γuk/c=-γuk/c,Λ00=γで与えられます。

 

ただし,γ≡1/(1-2/c2)1/2です。

 

これの逆変換の係数Λμνは係数Λμνにおいて,→-とすれば得られ,Λij=δij-(uij/2)(γ-1),Λ0k=Λk0=-γuk/c=γuk/c,Λ00=γとなります。

そこで,テンソルの変換性Tμν=ΛμλΛνσ0λσに,これら具体的な変換係数Λμνを代入して全空間で積分し,dV=dV0(1-2/c2)1/2を用います。

 

まず,Tk0=Λk0Λ00000+ΛkiΛ000i0+Λk0Λ0i00i+ΛkiΛ0j0ij,およびT00=Λ00Λ00000+Λ0iΛ000i0+Λ00Λ0i00i+Λ0iΛ0j0ijです。

 

結局,cgk=γ20k/c+cγg0iki-(uki/2)(γ-1)}+γ2ki0i/c2+γuj0ijki-(uki/2)(γ-1)}/c,h=γ20+γ2i0i+γ2i0i/c2+γ2ij0ij/c2を得ます。

 

また,もちろん∫0dV0=0,∫0dV0=0 です。,

したがって,流体のS系での運動量とエネルギーの表式として=∫dV=∫dV0/γ=[H0+({(∫0dV0)}/2)(1-1/γ)]/{c2(1-2/c2)1/2}+{(∫0dV0)}/c2,およびH=∫hdV=∫hdV0/γ=[H0+{(∫0dV0)}/c2] /(1-2/c2)1/2が得られます。

 

ここに,0は成分がT0ijのテンソルです。,Hは時間的に一定ですが,Gμ≡(H/c,)は4元ベクトルのようには変換しないことがわかります。

これは,=-τとすると,以前に弾性体に対して求めた式:2/c2){h0+(1-1/γ)(uτ0)/2)}+γ(τ0)/c2,およびh={h0+(uτ0)/c2}/(1-2/c2)を,弾性体内のいたるところでが一定と見て全空間で積分した後に,dV=dV0(1-2/c2)1/2としたものに一致します。

 

いずれにしても,弾性体内のいたるところで応力がゼロ,つまり0=0 でない限り,Gμ≡(H/c,)は4元ベクトルとは成り得ず,それゆえ閉じた系でもないことがわかります。

また,特にT0ij=p0δijなら,完全流体の式;=(H0+p00)/{c2(1-2/c2)1/2},H=(H0+p002/c2)/(1-2/c2)1/2と同じになります。

特に,ある系S0で荷電物体が静止している場合を考察してみます。

対象とする系を荷電物体に付随する電磁場のみとして,系のエネルギー運動量テンソルをTμνと書けば,これは電磁エネルギー運動量テンソルSEMμνそのものですから,Tμν=SEMμν=-(c2ε0)(Fλμλν-(1/4)ημν(Fλσλσ)]と表現されます。

 

先にも述べたように,Fμν=∂μν-∂νμであり,Aμ≡(φ/c,)は電磁場を示す電磁ポテンシャルです。

 

電磁場の強さを示す電場は=-∇φ-∂/∂t,磁束密度は=∇×で与えられます。

 

これらは,Fμνで表現すると(E1,E2,E3)=-c(F01,F02,F03),=(B1,B2,B3)=-(F23,F31,F12)です。

 

また,電束密度,および磁場の強さは,それぞれ=ε0,および0で与えられます。

 

さらに,マクスウェルの応力テンソルはtij=ε0ij+μ0-1ij-(1/2)δij02+μ0-12)ですが,これは今の場合Tμνの空間成分にマイナスをつけたものです。つまり,tij=-Tij=-SEMijです。

  

(以前の応力表記ではτij=-tij=Tij=SEMijです。)

電磁場のエネルギー流束密度を示すポインティングベクトルは,×で定義されますが,これはS0系では00×0です。

 

もちろん∫0dV0=0 であるはずですが,今の場合は定常的な伝導電流は無いと考え,いたるところで00=0 とすると,実質的な場としては電場0≠0 のみがあって,いたるところで0=0 です。

 

また電磁運動量密度もゼロ,つまり0=0 となるはずです。

そこで,00=0 の静電場のエネルギー密度h0,エネルギー流0,電磁運動量密度0,マクスウェルの応力テンソルt0ijを具体的に書くと,h0=ε0|0|2/2,00=0,t0ij=ε00i0j-(1/2)δijε0|0|2となります。

さらに,荷電物体の電荷分布が球対称になっている場合のみを考えることにします。

 

この場合には対称性から場も球対称となるはずで,ある点の電場0は電荷分布の中心とその点を結ぶ動径ベクトルの方向を向いています。

 

したがって,∫E0i0jdV0=(1/3)δij∫|0|2dV0となり,それ故,∫t0ijdV0=-(1/6)δij∫|0|2dV0=-(1/3)δij∫h0dV0=-(1/3)δij0です。

そこで,前に求めた一般式=∫dV=[H0+({(∫0dV0)}/2)(1-1/γ)]/{c2(1-2/c2)1/2}+{(∫0dV0)}/c2,H=∫hdV=∫hdV0/γ=[H0+{(∫0dV0)}/c2]/(1-2/c2)1/2に∫T0ijdV0=-∫t0ijdV0=(1/3)δij0を代入すれば,球対称電荷分布の荷電物体が速度で運動しているときの電磁運動量elと電磁エネルギーHelが得られます。

この結果,el=(4/3)Hel0/{c2(1-2/c2)1/2},Hel=Hel0{1+(1/3)2/c2}/(1-2/c2)1/2が得られます。

 

ただしHel0は電荷の静止系S0における荷電物体に付随した電磁場のみのエネルギーです。

ローレンツの古典電子論の基礎方程式は物質中の現象論的マクスウェル方程式において,誘電率がε=ε0,透磁率がμ=μ0の極限,つまり真空中のマクスウェル方程式と一致していますから,上述の球対称荷電物体がローレンツらによる電子の古典模型を表わしています。

ローレンツは電子の質量,エネルギー,運動量の起源を全て電磁的なものに求める立場を提唱しました。

 

しかし,上の最後に得られた式:el=(4/3)(Hel0/c2)/(1-2/c2)1/2,およびHel=Hel0{1+(1/3)2/c2}/(1-2/c2)1/2によれば,(Hel/c,el)は4元ベクトルにはなりません。

 

そこで,これらを電子を自由な質点粒子と見たときの4元運動量とみなす立場をとることは不可能なことがわかります。

したがって,電子の系は電磁場単独では閉じていない系として典型的なものです。

 

真空中のマクスウェル方程式が全空間にわたって成立することを認める限り,電子の矛盾のない古典的描像を作るためには,電子の内部に電磁的でないエネルギーや運動量が存在すると仮定する必要があります。

静止系で球対称な電荷分布を持つ電子の古典模型として,内部には電荷がなく表面だけに総電荷eが一様に分布した半径aの弾性球を考えてみます。

 

動径方向の単位ベクトルを/r(r≡||)として真空中のマクスウェル方程式を解くと,r>aでは0=-e/(4πε02),r<aでは0=0 です。また磁場は全空間で00=0 です。

これらを,h0(1/2)ε0|0|2,00=0,t0ij=ε00i0j-(1/2)δijε0|0|2に代入すると,t0ij=ε02ij/(4πε02)2-(1/2)δijε0/(4πε02)2,かつHel0=∫h0dV0=(1/2)∫ε0|0|2dV0=4π[ε02/{2(4πε0)2]∫adr(r2/r4)=e2/(8πε0a)となります。

 

そこで,Hel0=mel2と書けばmel=e2/(8πε02a)でありこれは電磁場の電子の静止質量への寄与を示していると考えられます。

この系で球自身に働く球表面の単位面積当たりの電気力は,fel0i=t0ijj=ε02i/(4πε02)2-(1/2)ε0i/(4πε0ra2)2=(1/2)ε0i/(4πε02)2,つまりel0=(1/2)ε0/(4πε02)2です。

 

こうして球表面上で中心から動径外向きに働く電気的斥力は球表面に逆向きに弾性応力として働く張力と釣り合うはずです。

 

つまり,応力というのは例えば外部から圧力を受けるときには弾性歪みへの反発力として同じ大きさの圧力として発現し,また張力を受けるときには同じ大きさの張力として現われます。

 

いずれにしろ結果的には釣り合うものですね。

したがって,この系は球内部に対して働く応力テンソルが垂直応力の形:-tme0ij=p0δij,p0=-(1/2)ε0δij/(4πε02)2=-Hel0/(4πa3)をしているので,数学的形式だけの意味なら完全流体の系で圧力を張力に変えただけの系に対応しています。

そこで,既に以前の項目で求めてあった完全流体に対する全運動量と全エネルギーについての表式=(H0+p00)/{c2(1-2/c2)1/2},およびH=(H0+p002/c2)/(1-2/c2)1/2を参照すると,荷電物体の力学的な運動量,およびエネルギーの表式が得られます。

 

すなわち,me=(Hme0+p00)/{c2(1-2/c2)1/2},およびHme=(Hme0+p002/c2)/(1-2/c2)1/2になります。

これに,p0=-Hel0/(4πa3),V0=4πa3/3を代入すればme=[{Hme0-(1/3)Hel0}/c2]/(1-2/c2)1/2,およびHme={Hme0-(1/3)Hel02/c2}/(1-2/c2)1/2を得ます。

 

これと,先に得られているel=(4/3)(Hel0/c2)/(1-2/c2)1/2,およびHel=Hel0{1+(1/3)2/c2}/(1-2/c2)1/2の和を取れば,meel={(Hme0+Hel0)/c2}/(1-2/c2)1/2=(H0/c2)/(1-2/c2)1/2,およびH≡Hme+Hel=(Hme0+Hel0)/(1-2/c2)1/2=H0/(1-2/c2)1/2となります。

以上から,力学的量と電磁的量を加えた全系での量Gμ=(H/c,)は静止質量として,H0/c2を持つ質点粒子のエネルギー運動量4元ベクトルの表現に一致しており,もちろん閉じた系となっています。

 

以上の模型はポアンカレ(Poincare')が初めて用いた電子模型ですが,彼は電子の中で電気的張力に抗する"弾性力"の本性を特に規定しようとはしませんでした。

ただ,ポアンカレは電磁的ではない力が存在すること,およびその力が対応するエネルギー運動量テンソルと,電磁エネルギー運動量テンソルの和で作られた全エネルギー運動量テンソルTμνが∂Tμν/∂xν=0 を満足することを仮定しただけでした。

 

この式:∂Tμν/∂xν=0 はこれまで述べてきたように閉じた系の特性です。

こうしたポアンカレのように非電磁的性質を持つ場の量を是非とも導入する必要があるという言わば二元的な立場とは正反対の一元的な立場を支持したのがミイ(Mie)とボルン(Born)でした。

 

彼らは,電子内部に余分に導入される場も,もちろん電磁場であるとしました。ただし電子内部では場が非常に強いので電子内部の場の方程式はマクスウェル方程式からかなりずれたものを採用しています。

 

そして,この電子内部の電磁場の方程式はもはや線型ではありませんが,彼らの模型では,全体である電磁エネルギー運動量テンソルSEMμνが必要条件として∂SEMμν/∂xν=0 を満たすようになっていて,自己力fμ=-∂SEMμν/∂xνが消えるという条件を満たしています。

現時点的には電子のような素粒子に関する問題の最終解を古典論に頼るのは絶望的な話です。

 

プランク(Planck)の作用量子の他にも,長さの次元を持つ新しい基本定数を導入することなどが必要でしょう。

しかし,とにかく系のエネルギー運動量テンソルの存在を認める限り,相対性理論から自己力が消えること,つまりこのテンソルの4次元発散がゼロになることが必然的に要求されることがわかりました。

今日はここで終わります。

参考文献:メラー 著(永田恒夫,伊藤大介 訳)「相対性理論」(みすず書房)

 

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2008年12月16日 (火)

運動物質内の相対論(6)(閉じていない系)

運動物質内の相対論の続きです。

 

ここからは閉じていない系に入ります。

まず,一般論です。

どんな場合にも,それに応じて対象となる領域を十分大きい範囲に取れば,全体としては必ず閉じた系になると考えられますから,その閉じた系をΣとして系の全エネルギー運動量テンソルをTμνとします。

 

そして,全系Σを2つの閉じていない系Σ(1),およびΣ(2)に分割して,それらのエネルギー運動量テンソルをそれぞれT(1)μν,およびT(2)μνとします。

系の分割というのは,単にTμνをTμν=T(1)μν+T(2)μνと2つに分けることを意味します。

 

μνを2つに分ける方法は無数にあるので,それらに応じて系を2つの閉じていない系に分割する仕方も無数にあります。

例えば閉じた全系Σが帯電体である場合,T(1)μνに物質の力学的エネルギー運動量テンソルを,T(2)μνに電磁エネルギー運動量テンソルを振り分ける方法もあります。

そして,fμ≡-∂T(2)μν/∂xνによって,4元ベクトルfμを定義すると,Tμν=T(1)μν+T(2)μνであり,かつ∂Tμν/∂xν=0 なので∂T(1)μν/∂xν=-∂T(2)μν/∂xν=fμを得ます。

改めて上記のΣ(1),T(1)μνを単にΣ,Tμνと書いて任意の閉じていない系と考え,また上記のT(2)μνをSμνと書くことで一般の任意の閉じていない系(Σ,Tμν)に対して,常に∂Tμν/∂xν=fμ=-∂Sμν/∂xνと書けることがわかります。

そして,閉じてない系のエネルギー運動量テンソルTμνの時間空間成分T0k,およびTμ0の物理的意味は閉じた系の場合と同じと考えます。

 

すなわち,系のエネルギー密度をh,3次元のエネルギー流束密度ベクトルを,運動量密度ベクトルをで表わすとき,成分表示でSk=cT0kであり,gk=Tk0/c,h=T00,またはgμ=(h/c,)=Tμ0/cと考えます。

しかし,以前には成立していた微分形の運動量保存式∂gi/∂t+∂Tij/∂xj=0 ,およびエネルギー保存式∂h/∂t+div=0 は閉じていない系では成立しません。

 

今の場合は,∂Tμν/∂xν=fμによって,∂gi/∂t+∂Tij/∂xj=fi,および∂h/∂t+div=cf0に変わります。

 

ただしTijは閉じた系と同じく応力テンソル,または運動量流束テンソルを表わします。

先にも述べたように,閉じた系を2つの閉じていない系に分割する仕方は無数にあるので,閉じていない系のエネルギー運動量テンソルTμνは必ずしも対称である必要はありませんが,総和(Tμν+Sμν)は閉じた系なので対称です。

 

μν-Tνμ=-(Sμν-Sνμ)が成立する必要があります。

また,先に閉じた系では,∂Tμν/∂xν=0 によって(d/dt)(∫Tμ0dV)=0 が成立するので,Gμ≡∫gμdV=(H/c,)で定義される4つの量は時間的に一定になると述べました。

 

これらも今の系では∂Tμν/∂xν=fμなので,(d/dt)(∫Tμ0dV)/c=dGμ/dt=∫fμdVとなって一般に一定値ではないことがわかります。

 

ここで,前と同じくは系の運動量,Hは系のエネルギーに同定されるとしています。

閉じた系では,aμを任意の定4元ベクトルとしてbν≡aμμνとおけば,∂Tμν/∂xν=0 により∂bν/∂xν=aμ∂Tμν/∂xν=0 が成立しますから,両辺に4次元体積要素dΣ=dx0dx1dx2dx3を掛けて積分し拡張されたガウスの定理を用いると∫ΩμdVμ=0 となります。

 

ここでΩは4次元領域Σの3次元境界を示しています。

そこで,(3+1)次元空間の任意の2つの慣性座標系をS,およびS'とし,S系のx0=一定で定義される超平面Ω1とS'系のx'0=一定で定義される超平面をΩ2として対象とする(3+1)次元区域Σを境界Ωが超平面Ω12,およびTμν≠0 を満たす管を含む円筒の側面の超曲面Ω3で形成されるように取ります。

 

このとき,側面Ω3上ではTμν=0 なので,∫Ω3μdVμ=0 となり,上で求めた∫ΩμdVμ=0 は,∫Ω1μdVμ+∫Ω2μdVμ=0 を意味することになります。

そして,この式∫Ω1μdVμ+∫Ω2μdVμ=0 ,および左辺の積分項は座標系の取り方によらず不変ですから,左辺第1項をS系,第2項をS'系で計算してΩ2上の事象はΩ1上の事象よりも時間的に未来であるとすれば,∫Ω10dV=∫Ω2b'0dV'です。

 

つまりaμμ=(aμ/c)[∫Tμ0dV]=(1/c)[∫b0dV]によりaμμ=a'μG'μとなって,これはaμμがスカラーであることを意味します。

そして,aμは任意の4元ベクトルなので,閉じた系ならGμ≡∫gμdV=(H/c,)も4元ベクトルであることが示されます。

しかし,これを今の閉じてない系の∂Tμν/∂xν=fμの場合で考えると,閉じた系という前提で成立した式:∂bν/∂xν=aμ∂Tμν/∂xν=0 は,今度は∂bν/∂xν=aμ∂Tμν/∂xν=aμμなる式に変わっています。

 

そこで,∫ΩμdVμ=∫Ω1μdVμ+∫Ω2μdVμ=0 なる式も,∫Ω1μdVμ+∫Ω2μdVμ=∫ΣμμdΣに変わり,結局∫Ω10dV≠∫Ω2b'0dV',つまりaμμ≠a'μG'μです。

 

すなわち,今の場合aμμがスカラーではなくなるので,閉じてない系ではGμ≡∫gμdV=(H/c,)は4元ベクトルではないという結論が得られます。

また,角運動量はMμν=∫(xμν-xνμ)dVで定義されますが,これも時間の関数であり閉じた系では∂Tμν/∂xν=0 ,およびTμν=Tνμの成立から(∂/∂xλ)(xμνλ-xνμλ)=Tνμ-Tμν=0 なる等式が得られました。

  

しかし,今の閉じていない系:∂Tμν/∂xν=fμの場合には,これは(∂/∂xλ)(xμνλ-xνμλ)=xμν-xνμ+Tνμ-Tμνに変わり,右辺は一般にゼロとはなりません。

  

さらに,これを全物理空間で積分するとdMμν/dt=∫(xμν-xνμ+Tνμ-Tμν)dVとなります。

したがって角運動量保存の運動方程式をdMμν/dt=∫dμνdVと書き,右辺を力のモーメント(力能率)と考えると,その密度dμνはdμν=xμν-xνμ+Tνμ-Tμν=xμν-xνμ+Sμν-Sνμとなるべきであるということになります。

 

このdμνの空間成分dijは通常の軸性ベクトルとしての力のモーメント部分∫(×)dVの他に,余計なゆがみ項∫(Sij-Sji)dVを持っています。

さらに閉じていない系では質量中心,つまり"重心=慣性中心"は物理的に重要な概念ではないことを示すことができます。

ニュートン力学では密度がμ=μ(,t)で与えられるような物理系の"重心=慣性中心,または質量中心"の座標ベクトルは≡(1/M)∫μ(,t)dVによって定義されます。

 

ただしMは全質量でM=∫μ(,t)dVです。

ところが相対性理論の力学では,慣性系Sにおいて,密度μはエネルギー密度hとμ=h/c2なる関係で結びついています。

 

そして質量中心の座標は準拠とする系Sに依存して異なります。

  

そこで,Sに固有の重心の位置ベクトルを(S)と書けば,(S)=(1/H)∫h(,t)dV=(1/G0)∫0dVとなります。

両辺をtで微分すると,質量中心の移動速度)の式が得られ,d(S)/dt=(1/G0){(d/dt)∫0dV}-(1/G0)2(dG0/dt)(∫0dV) =-{(S)/G0}∫f0dV+(1/G0){(d/dt)∫0dV}となります。

 

ところが,角運動量保存の運動方程式dMμν/dt=∫(xμν-xνμ+Sμν-Sνμ)dVから,dMko/dt=(d/dt)[∫(xk0-x0k)dV]=∫(xk0-x0k+Sk0-S0k)dVです。

 

質量中心の速度を示す上式の右辺では,さらに(d/dt)(∫xk0dV)=∫{d(x0k)/dt}dV-∫(xk0-x0k)dV+∫(Sk/c-cgk)dVとなります。

 

そして,∫{d(x0k)/dt}dV=cGk+∫x0kdV-x0∫(∂tkj/∂xj)dV=cGk+∫x0kdVとなりますから,結局,d(S)/dt=c2/H-c(S)(∫f0dV)/H-c(∫0dV)/H+c{∫(/c-c)dV}/Hです。

この式は,閉じた系の場合には,/c2であることもあってd(S)/dt=c2/Hと簡単になり,(S)の移動速度はc2/Hと一定だったのですが,今の閉じていな系の場合の(S)の速度ははるかに複雑に変動します。

 

これでは物理系を代表する点としての"質量中心=重心"の価値は非常に狭い範囲に限られてしまうと思われます。

そして,閉じた系では固有質量中心とは物体の静止座標系における質量中心のことでした。

 

閉じていない系でも時刻ごとに異なるとしても系のある時刻の静止系では質量中心となるような系の代表点を定義できるかどうかが詳しく研究され,上のような定義からでは,こうした代表点を一義的に決めることが不可能であることがわかっています。

実は,閉じた系においてさえ,如何なる時刻でも,その時刻の静止系での質量中心となり得る点が無数に存在することがわかっています。

既に以前に定義した固有質量中心が(S0)の静止系S0において,その固有中心のまわりの"相対角運動量=内部角運動量"を0とすると,一定角速度ω0≡M020/(0)2で固有中心のまわりを回転する円板上の任意の点Pの中心からの動径をとすれば,Pの回転速度ω0×={M02/(0)2}(0×)となり,(×0)/(M02)=となります。

これを,以前の座標系による質量中心の位置の差の公式:(S)-(S0)=(×0)/(M02)と比較すれば,(S)=(S0)+となることがわかり,確かに円板上の任意の点PはS0に対するP自身の速度で運動する座標系Sにおいての質量中心になることがわかります。

 

閉じた系でもそうなのですから,閉じてない系での質量中心の多義性はなおさらです。

 

そこで閉じていない系でのニュートン的重心を相対論へ一義的に拡張できるのは外力fμが非常に特別な性質を持つ場合に限られます。

 

しかし,後述する予定ですが,これには唯一重要な例外があります。

 

それは,外力が重力で対象とする系が十分小さい場合です。このときにはニュートン的重心の性質を全て保有した固有質量中心を一義的に定義することが常に可能になります。

短かいですが今日はここで終わります。 

参考文献:メラー 著(永田恒夫,伊藤大介 訳)「相対性理論」(みすず書房)

 

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 おやおや,そこの静電気バチバチの人、いいものありますよ。。。

 それから農薬を落とした後の皮がピカピカに光っているリンゴなど商品として販売する際の見栄えをよくするなどのために化学処理をした食品を安全に洗浄する新商品の洗浄液SCSはいかがですか。。。農薬ジクロルポスも食品専用の洗浄液SCSで落ちて安全になります。(厚労省試験済み)

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2008年11月28日 (金)

運動物質内の相対論(4)(弾性連続体(2),完全流体)

今日は弾性連続体の続きと,完全流体(理想流体)の相対論的扱いを考えます。

座標系SとS0は,空間軸の向きについては全て同じであるとします。そして,Sに対するS0の速度は,考えている点における弾性体の速度とします。

 

そこで,座標系S→S0のローレンツ変換:x=Λμννにおける係数Λμνは,Λij=δij-(uij/2)(γ-1),Λk0=Λ0k=-γuk/c=γuk/c,Λ00=γです。ただし,γ=1/(1-2/c2)1/2です。

 

逆変換Λμνは,Λμνの表式で→(-)とすればよくて,それ故,Λij=δij-(uij/2)(γ-1),Λ0k=Λk0=γuk/c=-γuk/c,Λ00=γです。

そして,エネルギー運動量テンソルはTμν=θμν+Sμνμν=μ0μνと分解できて,T00=h,Ti0=T0i=cgi,Tij=τij+gijで与えられます。

 

さらに物体の静止系では,τ0ik=T0ik=T0ki=τ0ki,S0ik=c20ik=cT0k0=0 ,h0=T000 が成立します。

 

ただし,h0は連続体の静止エネルギー密度です。なお,静止系での量には全て上添字 0 を付けています。

したがって,テンソルの変換性:Tμν=T0λσΛλμΛσνにより,Tμν=τ0ijΛiμΛjν+h0Λ0μΛ0νです。

 

この式で,もしもμ=ν=0 ならh=τ0ijΛi0Λj0+h0Λ00Λ00=γ2iτ0ijj/c2+γ20,つまりh={h0+(uτ0)/c}/(1-2/c2)を得ます。

 

これと,以前に求めた式h=h0+(gu)={h0+(uτu)}/(1-2/c2)との比較から,等式(uτu)=(uτ0)の成立がわかります。

また,μ=0,ν=iなら,gi=Ti0/c={τ0kjΛkiΛj0+h0Λ0iΛ00}/c=-{δki-(uki/2)(γ-1)}γujτ0kj/c2+γ20i/c2=(uiγ2/c2){h0+(ukτ0kjj/2)(1-1/γ)}-γτ0ijj/c2です。

 

つまり,2/c2){h0+(1-1/γ)(uτ0)/2)}+γ(τ0)/c2となります。

最後に,μ=i,ν=jなら,τij+gij=τ0klΛkiΛlj+h0Λ0iΛ0jより,τij=τ0klki-(uki/2)(γ-1)}{δlj-(ulj/2)(γ-1)}+γ2ij0/c2-(uijγ2/c2){h0+(ukτ0kll/2)(1-1/γ)}+γτ0ikkj/c2です。

 

つまり,τij=τ0ij-ukiτ0kj(γ-1)/2-uljτ0il(γ-1)/2+uijkτ0kll(γ-1)2/(2)2-uijkτ0kllγ(γ-1)/(c22)+γτ0ikkj/c2=τ0ij-ukiτ0kj(γ-1)/2+ukjτ0ik(γ-1)/(γ2)-[(γ-1)2/{γ(2)2}]uij(uτ0)となります。

そこで,ττ0(uτ0)(γ-1)/2-(τ0)⊗(γ-1)/(γ2)-{()(uτ0)/(2)2}(γ-1)2/γです。

 

ここで,空間ベクトル,のテンソル積,すなわち(i,j)成分がaijで与えられるテンソルを記号で表わしました。

 

これにより,(uτu)=(uτ0)+(uτ0)(γ-1)-(uτ0)(γ-1)/γ-(uτ0)(γ-1)2/γ=(uτ0)なので,前にhの変換性から結論づけた等式:(uτu)=(uτ0)が成立することも陽に確かめることができました。

そして,静止系でのτijであるτ0ijが対称テンソルなので,(τ0)=(uτ0)となることから,変換ττ0⊗(uτ0)(γ-1)/2-(τ0)⊗(γ-1)/(γ2)-{()(uτ0)/(2)2}(γ-1)2/γが,前に求めた恒等式:(uτ)(1-2/c2)=(τu)-(uτu)/c2と矛盾しないことを確かめることもできます。ここでは割愛します。

特にがx軸に平行=(u,0,0)のときには,上の変換はh=γ2(h0+τ0112/c2),=(γ20+τ011/c2)u,γτ021u/c2,γτ031u/c2),(τ111213)=(τ011,γτ012,γτ013),(τ212223)=(τ021/γ,τ022023),(τ313233)=(τ031/γ,τ032033)となります。

さて,連続物体が完全流体である場合には応力は圧力pのみなので,流体の面素の外向き法線ベクトルをとすると,その流体部分の面がそれの外部に及ぼす向きの単位体積当りの力はτ()=pです。

 

そして,テンソルτ()の成分はτi()=τijjと書けますからτ()=pは,τijj=pnjとなります。

 

結局,τij=pδijを意味します。特に静止系では,τ0ij=p0δijという形になります。

 

※書物によっては,τ()ではなく,これにマイナス符号を付けた()≡-τ()を応力テンソルと定義するものがあります。

 

つまり,面要素dσが外部に及ぼす力を考えるか,dσが外部から受ける力を考えるかによって向きが逆になるわけですね。

 

今の,τ()=pij=pδijの場合には,()=-p,tij=-pδijとなりますね。

さて変換:ττ0⊗(uτ0)(γ-1)/2-(τ0)⊗(γ-1)/(γ2)-{()(uτ0)/(2)2}(γ-1)2/γ,または成分表示でτij=τ0ij+ukiτ0kj(γ-1)/2-ukjτ0ik(γ-1)/(γ2)-{uij(uτ0)/(2)2}(γ-1)2/γなる表式を考えます。

 

テンソルτ,τ0の成分として,それぞれτij=pδij0ij=p0δijを代入すると,pδij=p0δij+uji0(γ-1)/2-uij0(γ-1)/(γ2)-uij0(γ-1)2/(γ2)=p0δijを得ます。

 

したがって,p=p0,つまりτij=pδij=τ0ij=p0δijとなって,圧力のスカラー性が保証されました。

そして,前に書いたように,Tμν=θμν+Sμνμν=μ0μνと分解すると,Sij=Sji==Tij-μ0ij=τij+(Uiτijj)/c2,Sk0=S0k=Tk0-μ0k0=(Uiτik0)/c2,S00=T00-μ000=(Uiτikk)/c2です。

 

そこで,完全流体τij=pδijでは,Sij=Sji=pδij+pUij/c2,Sk0=S0k=pUk0/c2,S00=pUii/c2=pU00/c2-pなる表現を得ます。

すなわち,p=p0,かつSμν=pUμν/c2-pημνです。

 

これから,Sμμ=p-4p=-3p,つまりp=-Sμμ/3=-Sμμ/3なる表現を得ますが,Sμνはテンソルですから,再びpが1つの"不変量=スカラー"であるという事実が得られます。

結局,Tμν=θμν+Sμνμν=μ0μν;Sμν=pUμν/c2-pημνによって,完全流体のエネルギー運動量テンソルがTμν=(μ0+p/c2)Uμν-pημνとなることがわかりました。

この表現から,右辺のミンコフスキー計量(Minkowski-metric)ημνを一般の時空多様体の計量(metric)gμνに置き換えます。

 

さらに4元速度Uμ≡dxμ/dτの表記をuμ≡dxμ/dτに変えて,密度μ0をρ,圧力pを大文字のPに変えると,エネルギー運動量テンソルの新表現:Tμν=(P/c2+ρ)uμν-Pgμνを得ます。

 

この表現は,一般相対論の重力場の方程式:Rμν-(1/2)gμνR=κTμνにおいて,宇宙空間を連続的な(完全)流体で近似したときの右辺のエネルギー運動量テンソルTμνに同定されます。

もっとも,重力場の方程式はアインシュタイン(Einstein)もしたように,この他にgμνに比例した宇宙項があって,Rμν-(1/2)gμνR=κTμνではなく,Rμν-(1/2)gμνR-Λgμν=κTμνとする場合もあります。

さて,Sμνによる弾性的内力はfelastμ=-∂Sμν/∂xνですが,さらに,この完全流体が4元力密度がfextμの外力を受けているなら運動方程式は,∂θμν/∂xν=felastμ+fextμ=fμとなります。

 

この場合には,∂Tμν/∂xν=∂Sμν/∂xν+∂θμν/∂xν=fextμであり,外力fextμがゼロでないなら,もはや∂Tμν/∂xν=0 を満たさず,閉じた系の範囲を超えた話になります。

そして,Sμν=pUμν/c2-pημνによって,felastμ=-∂Sμν/∂xν=-pUμ(∂Uν/∂xν)/c2-pUν(∂Uμ/∂xν)/c2-(∂p/∂xν)Uμν/c2+∂p/∂xμです。

 

公式:d/dτ=(∂/∂xν)(dxν/dτ)=Uν(∂/∂xν)を用いると,felastμ=-pUμ(∂Uν/∂xν)/c2-p(dUμ/dτ)/c2-(dp/dτ)Uμ/c2+∂p/∂xμとなります。

ところで,外力fextμは純粋に力学的な力でfextμ=((ext)/c,ext)の形であると仮定すると,既に示したように,この外力密度はfextμμ=0 を満足するはずです。

 

しかし,たった今上で求めた弾性的力felastμについては,felastμμ=-p(∂Uν/∂xν)=-p0div0≠0 なる式を得ます。

何故なら,p=p0であり,∂Uν/∂xν=(∂/∂x0){c/(1-2/c2)1/2}-∂Uk/∂xk=(/c)(∂/∂x0)(1-2/c2)-3/2-∂Uk/∂xkなので,0 の静止系を考えると(∂Uν/∂xν)0=(∂Uk/∂xk)0=(div)0です。

 

そして,∂Uk/∂xk=(∂uk/∂xk)(1-2/c2)-1/2+(uj/c2)(∂uj/∂xk)(1-2/c2)-3/2なので,0 の静止系では(∂Uk/∂xk)0=(∂uk/∂xk)0=div0となって,結局∂Uν/∂xν=div0が成立するからです。

そこで,fμμ=felastμμ+fextμμ=-p0div0≠0ですが,すぐ前の記事で書いたように,fμ=({(fu)+q}/c,)と書くとfμμ=q/(1-2/c2)1/2=q0で,q0は弾性的応力によって生じた非力学的エネルギーの増加率です。

 

そこで,q0=felastμμ=-p0div0より,この-p0div0は弾性エネルギーの単位時間当たりの増加を示します。

実際,div0は静止系での体積膨張率{d(δV0)/dt}/δV0に等しいので,q0=-p0div0=-p0{d(δV0)/dt}/δV0であり,これはδV0の体積膨張に伴なって圧力がなす仕事による内部エネルギーの減少を示しています。

同じ運動方程式:∂θμν/∂xν=∂(μ0μν)/∂xν=felastμ+fextμから,Uμ∂(μ0μν)/∂xν=felastμμによって,∂(μ0ν)/∂xν=-(p/c2)(∂Uν/∂xν)=-p0div0/c2,つまり∂(μ0ν)/∂xν=q0/c2を得ます。

 

これは単位時間に単位体積当りの質量μ0が弾性エネルギー密度の増加分q0に対してq0/c2だけ増加するということで固有質量の生成に寄与しています。

 

つまり,これは質量とエネルギーの等価性に関わるアインシュタインの関係式を意味しています。

そこで,完全流体がさらに非圧縮性を有するなら,弾性力による質量生成項の∂(μ0ν)/∂xν=q0/c2=-p0div0/c2がゼロであるべきなので,div0={d(δV0)/dt}/δV0=0 であり,それ故,d(μ0δV0)/dt=(dμ0/dt)δV0+μ0{d(δV0)/dt}=(dμ0/dt)δV0となります。

 

他方,d/dτ=(∂/∂xν)(dxν/dτ)=Uν(∂/∂xν)より,∂(μ0ν)/∂xν=dμ0/dτ+μ0(∂Uν/∂xν)で∂Uν/∂xν)=div0=0より∂(μ0ν)/∂xν=dμ0/dτですが,左辺の∂(μ0ν)/∂xν-p0div0/c2=0 なのでdμ0/dτ=0 となります。

さて,∂(μ0ν)/∂xν=-(p/c2)(∂Uν/∂xν)を代入し返すと,∂θμν/∂xν=∂(μ0μν)/∂xν=μ0ν(∂Uμ/∂xν)+Uμ∂(μ0ν)/∂xν=μ0(dUμ/dτ)-(pUμ/c2)(∂Uν/∂xν)を得ます。

 

これと,∂θμν/∂xν=felastμ+fextμ,およびfelastμ=-pUμ(∂Uν/∂xν)/c2-p(dUμ/dτ)/c2-(dp/dτ)Uμ/c2+∂p/∂xμから,μ0(dUμ/dτ)-(pUμ/c2)(∂Uν/∂xν)=fextμ-p(dUμ/dτ)/c2-(pUμ/c2)(∂Uν/∂xν)-(Uμ/c2)(dp/dτ)+∂p/∂xμを得ます。

結局,完全流体の相対論的運動方程式は(μ0+p/c2)(dUμ/dτ)=fextμ-∂p/∂xμ-(Uμ/c2)(dp/dτ)となります。

 

この方程式は,非相対論において,密度がextの外力がある場合の完全流体の基本方程式であるオイラーの方程式:ρ(dui/dt)=fexti-∂p/∂xi (ρ=μ0)に対し,圧力pと関わる相対論的補正がなされた方程式に見えます。

 

ただし,dui/dtはラグランジュ微分:Dui/Dt≡∂ui/∂t+uk(∂ui/∂xk)です。

既に見たように連続弾性体の運動量密度:とエネルギー密度:hは,/c2=μ+(uτ)/c2,およびh=h0+(gu)={h0+(uτu)/c2}/(1-2/c2),またはh0=h(1-2/c2)-(uτu)/c2なる表式で与えられます。

 

これに完全流体の条件:τij=pδijを代入すると,まずμ0=μ(1-2/c2)-p2/c4が得られ,そして運動量密度=(μ+p/c2)=(μ0+p/c2)/(1-2/c2),およびエネルギー密度h=(h0+p2/c2)/(1-2/c2)が得られます。

もしも,量μ0,p=p0,が全て流体のあらゆる位置で一定の等しい値を取る空間の定数なら,これら運動量密度とエネルギー密度の表式を全体積V≡V0(1-2/c2)1/2にわたって空間積分すると,全運動量はV=(h0+p)V/{c2(1-2/c2)}=(h0+p)V0/{c2(1-2/c2)1/2}=(H0+pV0)/{c2(1-2/c2)1/2}となります。

 

一方,全エネルギーは,H=hV=(H0+pV02/c2)/(1-2/c2)1/2となります。

しかし,これを見ると,Gμ≡(H/c,)=((H0+pV02/c2)/{c(1-2/c2)1/2},(H0+pV0)/{c2(1-2/c2)1/2})なる4つの量は明らかにローレンツ共変な4元ベクトルにはなりません。

これは,前の連続物体の一般論において,Gμ≡∫gμdV=(H/c,)が4元ベクトルであることを証明した事実と矛盾するように見えますが,実は以前の証明では対象が閉じた系であることを仮定していたもので,今の場合は閉じた系の範囲を超えた話のため,矛盾しません。

すなわち,今の場合のようにμ0,p=p0,が流体のあらゆる位置で一定の等しい値を取るためには,流体を一様速度で運動する容器に閉じ込める必要がありますが,流体がこの容器の壁に及ぼす力はエネルギー運動量テンソルTμν=(μ0+p/c2)Uμν-pημνの中には含まれていません。

(H0+pV0)/{c2(1-2/c2)1/2}は,={(H+pV)/c2},H+pV=(H0+pV0)/(1-2/c2)1/2と書き直せます。

 

そこで,もしもGμ≡(H/c,)ではなくGμ≡((H+pV)/c,)とおくなら静止質量が(H0+pV0)/c2の質点のエネルギー運動量ベクトルと同じになって4元ベクトルになります。

 

これは完全流体の流体力学では,系を閉じた系にするには内部エネルギーHに加えて圧力による仕事をも含むエンタルピー:H+pVを系の全エネルギーと考えるべきであることを示唆しています。

今日はこれで終わります。 

参考文献:メラー 著(永田恒夫,伊藤大介 訳)「相対性理論」(みすず書房)

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