304. 解析学

2011年7月 9日 (土)

指数関数,三角関数の構成的定義

 T_NAKAさんのブログ「T_NAKAの阿房ブログ」の最近のEulerの公式関連の記事に刺激されたこともありますが,

  

 ここのところ,私の科学記事は物理学それも素粒子論の「量子電磁力学のくりこみの具体的計算」と,かなり偏ってきているので,数学,それも19世紀の解析学(analysis)で息抜き?をします。

 

 手抜き(=息抜き?)をして40年くらい前の大学3~4年の頃の化石的ノートからです。

 

 種本はもうボロボロになったW.Rudinの"Principles of Mathematical Analysis"(McGrawHill)のReprint版です。

 

 当時は"学生運動部,暴力学生科"に属していたこともあり,物理学科3年生で必修2科目=たった4単位足りなくて留年となりました。

 

 この2回目の3年生のときは,物理は2科目とヒマなので数学科にもぐりこんで講義を受けましたが,そのときの教科書がこれです。

 

 これ,後に邦訳で「現代解析学」として出版されています。

 

(↑このときの数学科の講義を受けた1年間は,後で非常に役に立っています。昔から転んでもタダでは起きないので。。。)

 

 さて,この項では複素関数論の知見を極力用いずに,単に実数体での議論を複素数体に拡張した話として論じます。

 

 そこで,ほとんどはに,z∈をx∈に読み替えても成立する話です。

 

[補助定理](級数論から):Rをある非負の実数とし,級数Σn=0nn (z∈)が|z|<Rに対して収束するとき,

 

 f(z)≡Σn=0nnとおけば,∀0<ε<Rに対して,上記級数は{z∈:|z|≦R-ε}で一様収束する。

 

 また,f(z)は{z∈:|z|<R}において連続かつ微分可能であってf'(z)≡df/dz=Σn=1ncnn-1 である。

 

(証明):Rより小さい実数ε>0 が任意に与えられたとします。

  

 |z|≦R-εなら|cnn|≦|cn(R-ε)n|であり仮定によってΣn=0n(R-ε)nは収束します。

  

 故に優級数の法則によりΣn=0nnは{z∈:|z|≦R-ε}で絶対かつ一様収束します。

  

 一方,limn→∞1/n=1なのでlimsup(n|cn|)1/n=limsup(|cn|)1/n=1/Rです。

  

 したがって,Σn=1ncnn-1 も{z∈:|z|≦R-ε}で絶対かつ一様収束します。

 

 sn(z)=Σk=0nkkとおけば,これは明らかに{z∈:|z|≦R-ε}で連続かつ微分可能です。

  

 f(z)=limn→∞n(z)が一様収束なので,f(z)は{z∈:|z|≦R-ε}で連続です。

   

 また,sn'(z)=Σk=1nkckk-1であり,これは{z∈:|z|≦R-ε}で連続です。

  

 この領域でsn(z)がsn(z)→f(z)と各点収束し,sn'(z)→g(z)と一様収束するなら,f'(z)=g(z)=limn→∞n'(z)=Σn=1ncnn-1 でありg(z)=f'(z)は連続です。(証明終わり)

  

(※(注0):優級数の法則というのは,実数の空間が絶対値をノルムとして完備なノルム空間,すなわち数列(点列)のCauchy列が収束するなら列も収束する空間なので,

 

 |an|≦|bn|(bnがanの優級数)でΣnnが収束するなら,|Σn=mn|≦|Σn=mn|→0 より,Σnnも収束するという法則です。※)

  

[定義1](指数関数):複素数体の上の関数E(z)を右辺の級数が収束するなら,E(z)≡Σn=0n(z)=Σn=0n/n!で定義する。(un(z)≡zn/n!)

 

[Eの性質]:∀z∈について,{|z|n+1/(n+1)!}/(|z|n/n!)=|z|/(n+1)→ 0 as n→∞ なので,

 

 十分大きいnに対し,limsup|un+1(z)/un(z)|<1です。

 

 故に,Σn=0n=Σn=0n/n!は∀z∈に対して絶対収束して有限確定値を取ります。

 

 定義式の級数の収束半径は∞であり,絶対かつ一様に収束します。

 

 絶対収束する級数の掛け算則によれば,

 

 (z)E(w)=(Σn=0n/n!)(Σm=0m/m!)

=Σn=0(1/n!)Σk=0n [nk=0nkn-k]=Σn=0(z+w)n/n!です。

 

 故に,∀z,w∈に対しE(z+w)=E(z)E(w)が成立します。

 

 これから,E(z)E(-z)=E(0)=1です。

  

 このことから,また,∀z∈についてE(z)≠0 です。

  

 そして,特にx∈ならE(x)=Σn=0n/n!ですが,右辺の級数はx>0 なら正ですからE(x)>0 です。

   

 そこで,E(x)E(-x)=E(0)=1より,E(-x)=1/E(x)>0 ですから,結局∀x∈についてE(x)>0 です。

  

 定義によって,x→+∞に対してE(x)>1+x→+∞ですからE(x)=1/E(-x)よりx→-∞に対してE(x)→0 です。

  

 x>0のとき,E(x)=Σn=0n/n!の右辺各項は1を除いて全て単調増加するので,0<x<yならE(x)<E(y)です。故に,0<x<yならE(-x)>E(-y)です。

  

[定理1]:微分係数:E'(z)は常に存在してE'(z)=E(z)である。

  

(証明):{E(z+h)-E(z)}/h={E(z)E(h)-E(z)}/h=E(z)[{E(h)-1}/h]です。

  

 ところが,{E(h)-1}/h=Σn=1n-1/n!=1+h/2!+h2/3!+..ですから,limh→0[{E(h)-1}/h]=1=E'(0)です。

    

 故に,E'(z)=limh→0{E(z+h)-E(z)}/h=E(z)imh→0[{E(h)-1}/h]=E(z)です。(証明終わり)

  

 E(z+w)=E(z)E(w)から,帰納法によってE(z1+z2+..+zn)=E(z1)E(z2)..E(zn)です。

 

 特に,z1=z2=..=zn=zならE(nz)={E(z)}nです。

  

さらに,E(nz)={E(z)}nにおいて,z=1とおけばE(n)={E(1)}nを得ます。

  

 ところが,数eの定義から,E(1)=Σn=1(1/n!)=1+1+1/2!+1/3!+..=eですから,結局,nが自然数ならE(n)=enです。

  

 そしてE(-n)=1/E(n)ですから,E(-n)=1/en =e-nであり,またE(0)=1=e0です。

  

 結局nが整数ならE(n)=enという結論を得ます。

  

(注1):実数(超越数)eの定義は,このRudinのテキストではe≡Σn=1(1/n!)ですが,テキストによってはe≡limn→∞(1+1/n)nが定義です。

  

 私も高校では後者の定義を習いました。

 

 これらの定義が等価であることを示すために,数列{sn},{tn}をそれぞれsn≡Σk=1n(1/k!),tn≡(1+1/n)nとおきます。

  

n≡Σk=1n(1/k!)は,陽な外延的表現ではsn1+1+1/2!+1/3!+..+1/n!です。

  

他方,二項定理によりtn=Σk=0n nk(1/nk)=Σk=0n{1/(nkk!)}n(n-1)(n-2)..(n-k+1)

   

=Σk=0n[(1-1/n)(1-2/n)..{1-(k-1)/n}/k!]

 

=1+1+(1-1/n)/2!+(1-1/n)(1-2/n)/3!+//+[(1-1/n)(1-2/n)..{1-(n-1)/n}/n!です。

  

 故に,tn≦snですからlimsuptn≦limsupsnです。

 

 一方,n≧mなら

 

n1+1+(1-1/n)/2!+..+[(1-1/n)(1-2/n)..{1-(n-1)/n}/n! ≧1+1+(1-1/n)/2!+..+[(1-1/n)(1-2/n)..{1-(m-1)/n}/m!です。

  

 この式の右辺でmを固定して,n→∞の極限を取ると,

 

 liminftn≧1+1+1/2!+..+l/m!=smを得ます。

  

 よって,m→∞としてliminftn≧liminfsnが得られます。

 

nは収束することがわかっており,そこでlimsupsn=liminfsn=limn→∞nです。

  

そこで,e≡1+1+1/2!+1/3!+..=limsnという定義からは,

  

e=limsupsn=liminfsnですから,e≦liminftn≦limsuptn≦eとなりlimsupsn=liminfsn=eとなります。

  

したがって,limn→∞n=limn→∞(1+1/n)n=eであり,両者の定義は一致します。(注1終わり)※

  

 次に,pを正の有理数としてp=n/mとします。

 

 n,mは自然数です。

  

 有理数体を,整数環を,自然数(正整数全体)をとする慣例記法を採用すれば,p=n/m∈,(p>0),n,m∈です。

  

 このとき,{E(p)}m=E(mp)=E(n)=enです。

  

よって,p∈,p>0ならE(p)=en/m=epです。

  

(-p)=1/E(p)よりE(-p)=e-pですから,結局,∀p∈に対してもE(p)=epを得ます。

  

 ところで,a>1なるa∈と∀x∈に対しては,a=supapが成立します。

  

 apの上限:supapとはsup{ap:p∈,p<x}を意味します。

  

そこでx∈についてもexsup{ep:p∈,p<x}です。

  

関数E(x)の連続性と単調性とE(p)=ep (p∈)から,∀x∈に対してE(x)=ex=exp(x)を得ます。

  

後は,一致の定理,または解析接続によって,

  

∀z∈に対してE(z)=ez=exp(z)を得ます。

  

ただし,複素関数論の詳細についてはここでは言及しません。

 

以下では,E(z)をez,またはexp(z)と書きます。

  

それ故,ez=exp(z)=Σn=0n/n!です。

  

 さて,x∈のときの指数関数exp(x)=Σn=0n/n!の性質を列挙しておきます。

   

[定理2]:   

(a)関数exp(x)はの上で連続で微分可能である。 

(b){exp(x)}'=exp(x) 

(c)関数exp(x)はの上で単調増加連続である。

   

(d)exp(x+y)=exp(x)exp(y) 

(e)limx→∞exp(x)=∞,limx→-∞exp(x)=0 

(f)limx→∞{xnexp(-x)}=0 (n∈J)

 

 (f)以外は,ほぼ自明なので(f)のみの証明を与えておきます。

 

((f)の証明):x>0なら,exp(x)>xn+1/(n+1)!⇔ exp(-x)<(n+1)!/xn+1です。

  

故に,0<xnexp(-x)<n+1)!/xなので,

limx→∞nexp(-x)=0です。(証明終わり)

  

[定義2](対数関数):EはRの上で厳密に単調増加で微分可能なので,やはり厳密に単調増加で微分可能な逆関数Lを持ちます。

  

 すなわち,E(L(y))=y(y>0),あるいは同じことですがL(E(x))=xです。

  

 つまり,L(y)はE(x)=yなるxで定義されます。

  

[Lの性質]:

  

 E(L(y))=yの両辺をyで微分すると,

 

 E'(x)=dE(x)/dx=E(x)なので,合成関数の微分則(chain-rule)によりE(L(y))L'(y)=1です。

  

 すなわち,yL'(y)=1なのでLの微分係数はL'(y)=dL(y)/dy=1/yです。

    

 また,L(E(x))=xよりL(E(0))=0,つまりL(1)=0 です。

   

 それ故,微分の逆演算としての積分法の基本定理により,

 L(y)=∫1yL'(x)dx=∫(1/x)dxです。1y

   

 次に,u=E(x),v=E(y)と書けば,L(uv)=L(E(x)E(y))=L(E(x+y))=x+yです。

  

 x=L(u),y=L(v)ですから,L(uv)=L(u)+L(v)(u,v>0)が成立します。

  

 L(x)はE(x)=exp(x)の逆関数ですから,通常L(x)をlogxと書き,xの対数関数と呼びます。

  

 さて,対数関数の他の性質ですが,[定理2](e)のlimx→∞exp(x)=∞,limx→-∞exp(x)=0 ,および関数E,Lの単調性から,

  

 y=E(x)→∞とx=L(y)→∞は同値,またy=E(x)→0 とx=L(y)→-∞は同値です。

  

 そこで,x→∞に対しlogx→∞,x→0 に対しlogx→-∞です。

  

 また,x>0 としてE(nL(x))={E(L(x))}n=xnです。

  

 これはn∈の場合ですが,同じくx>0,m∈として,

   

 E(L(x)/m)=x1/mです。何故なら,両辺をm乗するとE(L(x))=xとなるからです。

   

 よってx>0 なら∀p∈に対してxp=E(pL(x))=exp(plogx)=eplogxですから,

  

 ∀α∈に対して,

  

 xα≡E(αL(x))=exp(αlogx)=eαlogx

 でx(x>0)のα乗:xαを定義します。

 

(※余談ですが,x>0でなかったり複素数x=zなら,logxは一般に一価でなく多価です。

 

 つまり,通常の意味では関数でさえないのでxαも多価で,一意的定義にはなりません。まあ,(-1)1/2=±iとかは複素数を考えないなら存在しないですが。。

   

 しかし,α=n(nが整数)なら,x<0でx=-y(y>0)でも,logx=logy+i(2k+1)πなのでn=exp(αlogx)=exp(nlogy+in(2k+1)π=exp(nlogy+inπ)=(-1)nnで通常のxnの定義に一致するため問題ないのですが。。※)

    

 この定義を用いると,xαの微分係数は,

   

 (xα)'=E(αL(x))(α/x)=αxα-1で与えられます。

   

 かくして,整数nに対する微分法則:(xn)'=nxn-1は,nが整数でなく一般の実数αのケースでも成立することがわかります。

    

 そこで,α≠-1なら∫xαdx=xα+1/(α+1)+Cであり,

 また,α=-1なら∫xαdx=∫(1/x)dx=logx+Cです。

    

 さらにα>0 ならx→∞に対してxlogx→0 です。

    

 何故なら,0<ε<αとすると,

 

 xlogx=x∫t-1dt<x∫tε-1dt=x(xε-1)/ε<xε-α/ε→0 となるからです。

      

[定義3](三角関数):∀x∈に対してC(x)={E(ix)+E(-ix)}/2,S(x)={E(ix)-iE(-ix)}/(2i)と定義する。

 

[C,Sの性質}:

  

上記のC(x),S(x)の定義が,歴史的に幾何学的考察から定義されたcosx,sinxに一致することを以下に示そうと思います。

 

まず,∈CについてΣn=0m(z)n/n!={Σn=0mn/n!}ですから,

  

E(z)の定義によりlimm→∞|E(z)-Σn=0m(z)n/n!|=limm→∞|E(z)-Σn=0mn/n!|=0 です。 (上添字 * は複素共役(complex-conjugate)を意味します。)

 

したがって,E(z)=E(z)です。

 

故に∀x∈についてE(-ix)=E(ix)ですからC(x),S(x)は実数xの実数値関数です。

 

定義から明らかに,exp(ix)=E(ix)=C(x)+iS(x)です。

 

C(x),S(x)は,それぞれE(ix)=exp(ix)の実部と虚部です。

 

また.|E(ix)|2=E(ix)E(ix)=E(ix)E(-ix)=1ですから,||E(ix)|=1で,C(x)2+S(x)2=1が成立します。

 

そして,これから|C(x)|≦1,|S(x)|≦1,あるいは-1≦C(x)≦1,-1≦S(x)≦1です。

   

さらに,E(0)=C(0)+iS(0)=1より,C(0)=1,S(0)=0 です。

 

また,C'(x)={iE'(ix)-iE'(-ix)}/2=-{E(ix)-iE(-ix)}/(2i),C'(x)={iE'(ix)+iE'(-ix)}/(2i)={E(ix)+E(-ix)}/2です。

 

つまり,C'(x)=-S(x),S'(x)=C(x)です。

 

故に,∫S(x)dx=-C(x)+C,∫C(x)dx=S(x)+Cが成立します。ただし,紛らわしいですが右辺のCは積分定数です。

 

[定理3]:C(x)=0を満たす正の実数xが存在する。

 

(証明)帰謬法で証明するため,まずC(x)=0 かつx>0 を満たすx∈が存在しないと仮定します。

  

すると,C(0)=1でCは連続ですから,∀x>0 に対しC(x)>0 となります。

 

つまり,x>0 なら,S'(x)=C(x)>0 なので,この領域でSは単調増加であり,S(0)=0 です。それ故,x>0 ならS(x)>0 です。

 

よって,0<x<yならS(x)(y-x)<∫xyS(t)dt=C(x)-C(y)≦2です。

 

つまり,あるa>0 を固定してA=S(a)と置けば,A>0 であって,b>aのとき,A(b-a)≦2,b≦(a+2/A)が成立します。

 

しかし,b>aなるbはいくらでも大きい値を取ることができるので,十分大きいbに対し,この不等式は矛盾を生じます。

 

したがって,C(x)=0,かつx>0 を満たすx∈が存在しないという元の仮定が否定されます。(証明終わり)

 

さて,x0をC(x0)=0 を満たす最小の正の数とします。こうしたx0>0 は確かに存在します。

 

何故なら,C(0)≠0であり{x>0|C(x)=0}は関数Cの連続性から閉集合ですから,この集合には最小値があります。

 

つまり,{0}はにおいて閉集合ですから,C(x)の連続性から{0}の逆像-1({0})は閉集合でx>0 の領域の部分集合も閉集合です。

 

ここで,数πをπ≡2x0で定義します。

 

こう定義すればC(x0)=0 はC(π/2)=0 と書けます。

   

C(π/2)={E(πi/2)+E(-πi/2)}/2=0ですから,E(-πi/2)}/2=-E(πi/2)です。

 

そこで,S(π/2)={E(πi/2)-E(-πi/2)}/(2i)

=E(πi/2)/iであり,しかもS(π/2)=は実数です。

 

ところが,|E(πi/2)/i|=1ですから,S(π/2)は絶対値が1の実数なので,+1か-1のどちらかに等しいはずです。

 

しかし,区間(0,π/2)ではS'(x)=C(x)>0 より,Sは単調増加であってS(0)=0 ですからS(π/2)>0 です。

 

よって,S(π/2)=1と結論されます。

 

そこで,S(π/2)=E(iπ/2)/i=1 により,E(iπ/2)=iです。

 

したがって,E(πi)={E(πi/2)}2=i2=-1 であり,さらに,

E(2πi)={E(πi)}2=i2=1です。

 

したがって,∀z∈についてE(z+2πi)=E(z)E(2πi)=E(z)が成立します。

 

※(注2):E(πi)=-1 は,形の上ではEulerの公式:exp(iπ)=-1ですが,ここで定義した数π≡2x0が謂わゆる円周率のπに一致するかどうかは未だ不明です。(注2終わり)※

 

[定理4]:(a)Eは周期的であって,周期は2πiである。

 

(b)CとSは周期的であって周期は2πである。

 

(c) 0<t<2πならE(it)≠1である。

 

(d)z∈,|z|=1のとき,∃1t∈[0,2π]:z=E(it) 

(↑※∃1とは存在して一意的,exist uniquelyの意味です。)

 

(証明)(a)既に上で証明した。

 

(b)E(z)が周期2πiの周期関数なのでE(ix),E(-ix)は周期2πの周期関数です。そこでC(x+2π)=C(x),S(x+2π)=S(x)です。

 

 しかし,実関数の周期はこうした周期的性質を満たす最小の正の数を意味します。

 

 S(x)=0 を満たすxはS(0)=0,S(π)=0よりx=0,x=πの順ですからSの周期はπの倍数ですが,S(π/2)=1,S(3π/2)=-1ですから周期はπではありません。Cについても同様です。

 

 したがって,C,Sの周期(最小周期)は2πです。

 

(c) 0<t<π/2のとき,

  

 E(it)=x+iyと置くと,x=C(t),y=S(t)ですが, 

 x2+y2=1で 0<x<1,0<y<1です。

   

 そして,E(4it)=(x+iy)4=x4-6x22+y4+4ixy(x2-y2)です。もしもE(4it)∈ならxy≠0 によりx2-y2=0です。

 

 一方,x2+y2=1 なので,x2=y2=1/2です。

  

 故にE(4it)∈ならE(4it)=-1です。

 

 0<4t<2πより,この4tを改めてtと書けば,0<t<2πでE(it)∈ならE(it)=-1ですから,E(it)≠1です。

 

(d) 0≦t1<t2≦2πなら,0<t2-t1<2πなので,

 E(it2){E(it1)}-1=E(it2-it1)≠1です。つまりE(it2)≠E(it1)です。

 

故に,E(it)=zを満たすtは,この範囲で存在すれば一意的です。

 

次に,z1=x1+iy1,x1≧0,y1≧0,x12+y12=1とします。

 

C'(t)=-S(t)<0 より,関数C(t)は[0,π/2]の上で 1から0 まで単調減少なのでC(t1)=x1を満たすt1∈[0,π/2]が存在します。

一方,C(t1)2+S(t1)2=1でt1∈[0,π/2]よりS(t1)≧0 ですからx12+y12=1でx1=C(t1) y1≧0 から,1=S(t1)です。

  

よって,z1=E(it1)です。

  

一般に,z=x+iy,|z|=1のとき,x<0,y≧0 ならz1=-iz,x<0,y<0 ならz1=-z,x≧0,y<0 ならz1=izと置けば,z1=E(it1),0≦t1≦π/2を満たすt1が存在します。

 

しかも,i=E(πi/2),-1=E(πi),-i=E(3πi/2)で,0<t1+3π/2≦2πですが,

 

x<0 なら,y1=-x>0 よりt1+3π/2≠2πです。

 

故に,z=E(it)(0≦t≦2π)と書けます。(証明終わり)

  

以上から,γ(t)=E(it)=exp(it)(0<t<2π)は,その値域がGauss面上(複素平面上)の単位円に等しい単純閉曲線を作ることがわかります。

 

そしてγ'(t)=iE(it)=iexp(it)より|γ'(t)|=1で,その長さV(γ)はV(γ)=∫0|γ'(t)|dt=2πです。

 

それ故,単位円の周の長さが2πに等しいことがわかります。

 

つまり,先にπ≡2x0で定義した数πが通常の幾何学的円周率に等しいことがわかりました。

 

一方,∫0t0|γ'(t)|dt=t0でですから,tが0 からt0まで増加するに従って,複素平面上の点γ(t)は長さt0の円弧を描きます。

  

以上から,頂点がz1=0,z2=γ(t),z3=C(t)の三角形を考えることにより,C(t),S(t)はそれぞれcost,sintと同じであることがわかりました。 

参考文献:Walter Rudin "Principles of Mathematical Analysis"(McGrawHIll)

 

PS1:今から1時間後の朝8時45分に,"たいと"さんがワンボックスの車で迎えに来てくれて湯河原の「杉の宿」まで,毎年恒例「将棋チェスネット」の"夏のオフ会=将棋合宿"に行くため,

 

ここでPending...にします。

 

タイプミスなどを直していたけどもう時間がない。。

  

ただし,体調は良好です。内科の主治医も一緒に来るしね。。

PS2:その後,帰ってからPending部分を追加しました。

 なお,退院後一ヶ月で右目はかなり見えてきましたが,なぜか左目がかゆい。

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2008年8月14日 (木)

三角関数を含むある関数の定積分

 今日はちょっと気になる計算があったので計算をしてみました。実はT_NAKAさんのブログの2008年8/10の記事「 T_NAKAの阿房ブログ(高次モーメントを考える)」に関連したものです。。

 普通は公式集にあるものなら全面的にそれに頼り,わざわざ確かめたりもしませんが,偶々,所持している岩波の数学公式集,丸善の新数学公式集を見ても,適合するものが全く見つからなかったため,自力で計算せざるを得ず,実行しました。

 

 夏休み中で頭もボーッとしているし,最初予想していた結果と違っていたこともあって,かなり手間取りました。

計算するのは,定積分:Ik≡∫-∞k(x)dx=∫-∞dx[xkcos2x/{x2-(π/2)2}2]=∫-∞dx[xkcos2x/{(x-π/2)2(x+π/2)2}](k=0,1,2,..)です。

これはkが奇数なら被積分関数:fk(x)=xkcos2x/{x2-(π/2)2}2が,xの奇関数なので,その積分はゼロですから,以下ではkは偶数であるとし,fk(x)がxの偶関数の場合のみを計算します。

x=±π/2はfk(x)の特異点,特に極であるように見えますが,実は真の特異点ではありません。

 

例えばy≡x-π/2と変数変換すれば,fk(x)=xkcos2x/{(x-π/2)2(x+π/2)2}=(y+π/2)ksin2y/{y2(y+π)2}なので,y→ 0ではfk(x)→ (π/2)k2,y→ -πではfk(x)→ (-π/2)k/(-π)2となります。

 

そこで,y=0,-π,すなわち,x=±π/2は,fk(x)の真の特異点ではなく,これらの点でx→±π/2でのfk(x)の極限値をfk(±π/2)と定義すれば被積分関数fk(x)はx=±π/2でも連続なので,普通に積分を実行することができます。

 しかし,実際にxを実数のままで,この積分を評価するのはかなり面倒なのでxを複素変数zに変えて,複素z平面である閉曲線Cを周回する積分を考えてみます。

 

 その際,cos2z=[{exp(iz)+exp(-iz)}/2]2={exp(2iz)+exp(-2iz)+2}/4 なので,Ik(C)≡∫Ck(z)dz=∫Cdz[zk{exp(2iz)+exp(-2iz)+2}/{4(z-π/2)2(z+π/2)2}](k=0,1,2,..)を計算します。

 

 これ自身は,上に述べたようにz=±π/2も含めてfk(z)が全z平面で解析的なのでCが閉曲線の場合には常にIk(C)=0 です。

まず,∫Cdz[zkexp(2iz)/{(z-π/2)2(z+π/2)2}を考えます。原点を中心としR>>1で実軸上[-R,R]を直径=2Rとする上半円周をCとします。

  

ただし,今の場合,被積分関数はfk(z)ではなく,その一部gk(z)≡zkexp(2iz)/{(z-π/2)2(z+π/2)2}です。

 

これに対しては,z=±π/2 は確かに真の特異点(極)なので,Cは点±π/2 の周りでは特別に回避経路としてA±≡limε→ +0{z(θ)|z(θ)=±π/2+εexp(iθ),θ:π→ 0 (時計回り)}で与えられる微小半径ε>0 の上半円周経路を含むとします。

そして,Cの無限遠を意味する半径Rの円周上の点z=Rexp(iθ)=R(cosθ+isinθ) (0≦θ≦π)では,|∫gk(z)dz|=πR|zkexp(2iz){(z-π/2)2(z+π/2)2}|z|=R ~πRk-3exp(-2Rsinθ)→ 0 ですから,これの寄与は無視できます。

 

結局,0=∫C+dz[zkexp(2iz)/{(z-π/2)2(z+π/2)2}]=∫-∞dz[zkexp(2iz)/{(z-π/2)2(z+π/2)2}]+A+Aなる表現で書けます。

 

ここで,微小半円経路A±を回る積分の寄与を同じ記号A±で省略する表現をしました。

∫gk(z)dzにおけるA±の寄与を評価する必要がありますが,これは被積分関数のローラン展開において 1/(z±π/2)の係数に(-πi)を掛けたもので与えられます。

 

これはAの場合には,limz→(-π/2)(d/dz)[(z+π/2)2k(z)]で与えられます。

 

すなわち,limz→(-π/2)(d/dz)[zkexp(2iz)/(z-π/2)2]=limz→(-π/2)[{(kzk-1+2izk)/(z-π/2)2-2zk/(z-π/2)3}exp(2iz)]=-(-π/2)k-1(k-πi)(-π)-2+2(-π/2)k(-π)-3=(πk-3/2k-1)(k-1-πi)です。

 

したがって,結局A=(-πi)(πk-3/2k-1)(k-1-πi)が得られました。ここで,kが偶数であることを用いました。

同様にAの場合には,limz→π/2(d/dz)[(z+π/2)2k(z)]=limz→π/2[{(kzk-1+2izk)/(z+π/2)2-2zk/(z+π/2)3}exp(2iz)]=(π/2)k-1(k+πi)π-2-2(π/2)kπ-3=(πk-3/2k-1)(k-1-πi)ですから,A=(-πi)(πk-3/2k-1)(k-1-πi)=Aです。

 

以上のことから,∫-∞dz[zkexp(2iz)/{(z-π/2)2(z+π/2)2}]=-(A+A)=-2A=(2πi)(πk-3/2k-1)(k-1-πi)が得られました。

また,被積分関数gk(z)≡zkexp(-2iz)/{(z-π/2)2(z+π/2)2}に対しては,原点を中心としR>>1で実軸上[-R,R]を直径=2Rとする下半円周をCとすれば,同様な考察から 0=∫C-dz[zkexp(-2iz)/{(z-π/2)2(z+π/2)2}]=∫-∞dz[zkexp(2iz)/{(z-π/2)2(z+π/2)2}]+B+Bを得ます。

 

ここで,B±はA±と同様に実軸上の特異点±π/2を回避する微小な下半円周経路B±≡limε→ +0{z(θ)|z(θ)=±π/2+εexp(iθ),θ:-π→ 0 (反時計回り)}における積分の寄与です。

そして,B+B=2B=(2πi)(πk-3/2k-1)(k-1+πi)となりますから,∫-∞dz[zkexp(-2iz)/{(z-π/2)2(z+π/2)2}]=-(B+B)=-2B=(-2πi)(πk-3/2k-1)(k-1+πi)です。

したがって,cos(2x)={exp(2iz)+exp(-2iz)}/2によって,上に得られた2つの積分等式を加え合わせて2で割ると,∫-∞dx[xkcos(2x)/{x2-(π/2)2}2]=∫-∞dx[xkcos(2x)/{(x-π/2)2(x+π/2)2}]=2(π/2)k-1が得られます。

一方,∫Cdz[zk/{(z-π/2)2(z+π/2)2}]において±π/2は2位の極なので留数はゼロですから,例えば閉路Cを,C=Cに取れば 0=∫C+dz[zk/{(z-π/2)2(z+π/2)2}]=∫-∞dz[zk/{(z-π/2)2(z+π/2)2}]+lim R→∞|z|=Rdz[zk/{(z-π/2)2(z+π/2)2}]となります。

被積分関数がgk±(z)=zkexp(±2iz)/{(z-π/2)2(z+π/2)2}の場合と異なり,zk/{(z-π/2)2(z+π/2)2}の場合にはC=Cに取ろうと,C=Cに取ろうと,半円の半径R→ ∞で円周積分が必ずしもゼロにはなりません。

以上から,2∫-∞dx[xkcos2x/{x2-(π/2)2}2]=∫-∞dx[xk{1+cos(2x)}/{x2-(π/2)2}2]=∫-∞dx[xk/{x2-(π/2)2}2]+∫-∞dx[xkcos(2x)/{x2-(π/2)2}2]=-lim R→∞|z|=Rdz[zk/{z2-(π/2)2}2]+2(π/2)k-1が得られました。

右辺第1項はz=Rexp(iθ),dz=iRexp(iθ)dθによって∫|z|=Rdz[zk/{(z-π/2)2(z+π/2)2}]=iR∫0πdθ[Rkexp(ikθ)/{(Rexp(iθ)-π/2)2(Rexp(iθ)+π/2)2}]となりますから,R→∞では|∫|z|=Rdz[zk/{(z-π/2)2(z+π/2)2}]|~πRk+1/R4と書けます。

 

-∞dx[xk/{x2-(π/2)2}2]は実関数の実数積分であり,被積分関数はkが偶数ならx∈(-∞,∞)では非負なので,この積分の符号は非負です。

 したがって,kが偶数故k=2mとおくと,この項はm=0,1,すなわちk=0,2では(k+1)<4 によって,ゼロに収束しますが,m≧2 or k≧4 では,(k+1)>4 なので ∞ に発散します。

 以上からIk≡∫-∞k(x)dx=∫-∞dx[xkcos2x/{x2-(π/2)2}2]=∫-∞dx[xkcos2x/{(x-π/2)2(x+π/2)2}](k=0,1,2,..)はkが偶数の場合,k=0,2 ならIk=(π/2)k-1となって有限値,kが4以上のk=4,6,..ならIk=∞+(π/2)k-1となって∞ に発散するという結果が得られました。

 kが奇数の場合ならIkはゼロです。

 しかし,この結果には少し自信がありません。

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2008年2月16日 (土)

実数から複素数へ

せっかくデデキントの切断(Dedekind's cut)によって有理数から実数を定義したのですから,やはり39年くらい前の大学1~2年の頃の解析学の化石的ノートから,複素数の定義も記述しておきます。

 

要するに,また,得意の手抜きです。もっとも複素関数論ではなく複素数の話だけならカテゴリーとしては解析学の話ではなく代数学的,あるいは幾何学的な話ですね。

これまでと同じく実数の集合(set of reals)をで表記します。

 

これは四則演算を加味した代数の意味では,体(field)を作りますから,

特に実数体(real field)を表わす記号でもあります。

 

[定義1]:(複素数:complex)

  

 複素数とは2つの実数a,b∈の順序対,または2次元の数ベクトル(a,b)のことであり,実数をa,b,.,複素数をx,y,.で表記することにすれば

 ,

 x=(a,b),y=(c,d)(c,d∈)のとき,"xとyが等しい:

 x=yであるとは,a=cかつb=dが成り立つことである。"

  

 また,これらの和,または加法,および積,または乗法の演算が,

 それぞれ,x+y≡(a+c,b+d),および

 xy≡(ac-bd,ad+bc)で定義されるものをいう。"

 

 そして,こうして得られる複素数全体の集合をと書くことにする。

     特に,複素数(1,0)と(0,0)については,取り合えず,

 u≡(1,0),n≡(0,0)と表記することにします。

[定理1]:x,y,zを任意の複素数,すなわち∀x,y,z∈とする。 

 このとき,

  

(a)x+y=y+x,

(b)(x+y)+z=x+(y+z), 

(c)xy=yx,

(d)(xy)z=x(yz),

(e)(x+y)z=xz+yz が成立する。

 

(証明)x+y≡(a+c,b+d),およびxy≡(ac-bd,ad+bc)による加法,乗法の定義に従って実際に演算を行えば確かに成立することがわかるので省略します。

 以下,証明を省略した定理を2つ述べます。

[定理2]:∀x∈に対しx+n=x,xn=n,xu=xが成り立つ。

 

[定理3]:x,y,z∈とする。x+y=x+zならばy=zである。

[定理4]:(逆元(inverse)の存在) 

 ∀x∈に対してx+y=nを満たすy∈Cが唯1つ存在する。

 このyを-xと書く。

 

(証明)x=(a,b)のとき,y=(-a,-b)とすればいいです。 

(証明終わり)

[定理5]:∀x,y∈に対してx+(-y)をx-yと書くことにする。

 このとき,

(a)x-x=n,および

(b)(-x)y=x(-y)=-(xy) =(-u)(xy) が成立する。

 

(証明)略。 

この定理の故に,(-x)y=x(-y)=-(xy)

=(-u)(xy)を単に-xyと書くことにします。

[定義2]:(絶対値:absolute value) 

 ∀x∈に対し,x=(a,b)(a,b∈)なら

 |x|≡(a2+b2)1/2と書き,|x|をxの絶対値と呼ぶ。

[定理6]:∀x,y∈に対し,

(a)x≠nなら|x|>0 である。 また|n|=0 である。

(b)|xy|=|x||y|が成り立つ。

 

(証明)略。

[定理7]:x,y∈に対しxy=nならx=n,またはy=nである。

 

(証明)[定理6]より,xy=nなら|xy|=|x||y|=0 ,

故に|x|=0,または|y|=0 です。

 

 そこで再び[定理6]からx=n,またはy=nです。(証明終わり)

[定理8]:x,y,z∈,xy=xzでx≠nならy=zである。

 

(証明)x(y-z)=xy-xz=nでx≠nなので[定理7]によって

y-z=n,よってy=zです。(証明終わり)

 

[定理9]:∀x∈,ただしx≠nに対し,xy=uを満たす複素数y

が唯一つ存在する。このyをu/xと書く。

 

(証明)x=(a,b)(a,b∈)とすると,x≠n故,a2+b20

です。そこで,y≡(a/(a2+b2),-b/(a2+b2))とおけば,

 

 確かにxy=(a,b)(a/(a2+b2),-b/(a2+b2))=(1,0)

 =uとなります。

  

 そして,このy=u/xの一意性は[定理8]より明らかです。 

 (証明終わり)

[定理10]:(除法) 

 ∀x,y∈,ただしx≠nに対してxz=yを満たす複素数zが

 唯一つ存在する。このzをy/xと書く。

 

(証明)z≡(u/x)yとおけば,xz=uy=yです。(証明終わり)

[定理11]:(実数) 

 a,b∈とする。

 

 このとき, 

 (a)(a,0)+(b,0)=(a+b,0),

 (b)(a,0)(b,0)=(ab,0),

 (c)b≠0 なら(a,0)/(b,0)=(a/b,0),

 (d)|(a,0)|=|a| が成立する。

  

(証明)明らかなので略。

  [定理11]から,(a,0)(a∈)の形の複素数は,実数aと全く同じ性質

を持って一対一に同型対応することがわかります。

 

 そこで,以下では複素数(a,0)(a∈)を実数aと同一視して単にa

 と書くことがあります。

 

 この同定により,の部分集合,つまりとなります。

 そこで以下では,特に,u=(1,0)を単に1,n=(0,0)を単に

  0 と書きます。

[定義3]:(虚数:imaginary) 

 複素数:(0,1)をiと書く。

[定理12]:i2=-1 である。

 

(証明)i2(0,1)(0,1)=(-1,0)=-1 です。(証明終わり)

[定理13]:∀a,b∈に対して(a,b)=a+biである。

 

(証明)a+bi=(a,0)+(b,0)(0,1)=(a,0)+(0,b)=(a,b) 

(証明終わり)

[定理14]:∀x,y∈に対して,|x+y|≦|x|+|y|である。

 

(証明) x+y=0 なら自明なので,x+y≠0 とします。

 

 このときλ≠|x+y|/(x+y)とおけば,[定理6](b)より

 |λ|=1 です。

 

 そしてλx+λy=|x+y|です。

 

 よってλx+λyは実数ですから,λx=(a,b),λy=(c,d)

 ならλx+λy=(a+c,b+d)=(a+c,0)=a+cです。

 

 そして,|a|≦|λx|=|x|,かつ|c|≦|λy|=|y|です。

 

 それ故,|x+y|=λx+λy=a+c≦|a|+|c|

 ≦|x|+|y|が成立します。(証明終わり)

[定義4]:(共役複素数:complex conjugate) 

 複素数:z=(a,b)=a+bi(a,b∈)に対して複素数:

 z*≡(a,-b)=a-biをzの共役複素数という。

これより以降の展開は通常の歴史的な複素数の話の繰り返しに過ぎない

ので,ここまででやめます。

 

要するに,ここで展開した一連の話は歴史的には代数方程式の実数解を

求めるための過渡的な仮想数として便宜上導入された複素数をHilbert

などの近代思想に基づいて,公理的発想で代数的に再構築したモデルの

一例です。

数十年前,この定義を初めて学んだ頃は,確かに新鮮でしたが,単に複素数

をGauss平面の2次元ベクトルとする平面幾何の猫像をやや記号的に定式

化しただけだとしか思いませんでした。

 

例えば,Gauss平面の実軸上の点:a=(a,0)(a>0)に虚軸上の点

i=(0,1)を乗じると,これは幾何学的には,ベクトルの(π/2)だけ

の回転に相当して,積は点ai=(0,a)に移動することを意味します。

  

その上に,さらにi=(0,1)を乗じるとさらに(π/2)回転され,合計π

だけ回転されて点は-a=(-a,0)に移ります。

  

それ故,iを2回続けて乗じることはトータルでは-1を乗じることに

相当し,結局i2=-1なる演算と同一視されます。

 

このモデルは,こうした話を言い換えただけに過ぎないという感じで

考えて,割と軽視していました。

しかし,例えば物理学での相対性理論のエネルギーの等式:

2=p22+m24の平方根を取ると,E=±c(2+m22)1/2

です。

 

この右辺は非常に扱いにくい非線型な形式ですが,これを次元を増やして

行列表現すると線形な形にできるというDiracの相対論的波動方程式のア

イデアを見るなどの思考体験もあって,少なからず,見方は変わってゆき

ました。

数十年も経った現在の心境としては,論理学での帰納法に関するPeanoo

の公理系と同じような感覚を持って見ています。

 

実証科学である他の自然科学での,"複素数は仮想数である,とか,

2乗して-1になる数など,そもそもこの世には存在しない,"とか

「実在するしない」という類の不毛な論議と関係なく,

 

上記のような定式化は,単に数学的実体として,"複素数は2元数として

存在する"という考えを陽に表現して明確化するという意味がある,

思うに至っています。

参考文献:Walter.Rudin 「Principles of Mathematical Analyss」second Edition(McGrawHill) 

  

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2008年2月11日 (月)

デデキントの切断(補遺)

 実は,昔の大学入学時の頃のノートを忠実に再現すると,ブログにまとめたものよりもはるかに泥臭いものです。

 かつて,19世紀にラグランジュ(Lagrange)などが,それまでは無批判に使用していた級数などの収束性の論議を見直さざるを得なかったのと同じ,というのはおこがましいのですが,私もそれなりに悩んだようです。

 大学に入って,高校までに勉強していた付け焼刃のような極限や微積分の概念を,コーシー(Cauchy)が創始した,いわゆるε-δ論法に代表される近代無限小解析の手法で見直す,などと関連して,私的理解を助けるための,かなり細かい書き込みがノートのそこかしこにあります。

 当時,それらの見慣れない概念を受容するために,かなり悩んだ後が見られたりします。

例えば,前記事では煩雑になるので省略したα・1*1*・α=αの

証明なども,かなり苦労してやっていたようです。

 

結局は|α|・1*|α|を示せばいいわけですから,p∈|α|・1*

なら,p=s・t;s∈|α|,t<1と書けるので,p=s・t<s

ですからp∈|α|,逆にp∈|α|ならq>p,q∈|α|なるqが存

在してq>0 の場合p=q・(q/p)よりp∈|α|・1*となる

いう簡単明快なものです。

 

この証明の記述1つにしても,元々はスミルノフ著の「高等数学教程」

や高木貞治著の「解析概論」など,比較的古い記述の書物を参照して

いて,最終的に,W.Rudinというテキストに到達したようです。

ところで,前記事では急いでいたせいもあって,肝心の最後の実数の連続性を保証する"デデキントの定理(Dedekind's theorem)"なるものが解析学にとって一体,何の意味を持つのか?ということなどについて書き漏らしていたので,ここに補足しておきます。

そもそも,前述の"Dedekindの定理"は,"Dedekindの切断(連続性)公理"と呼ばれることも多く,何もわざわざ有理数から無理数を含む実数を"有理数の集合=切断"として定義する,という,

 

前記事のような手間をかけるほどのことはなく,単にこれを公理として受容してもよいくらいのものだ,ともいえます。

要するに,

 

実数に対して"Dedekindの定理",または"Dedekindの切断公理"が成立すれば,上に有界な実数集合には"上限",つまり"最小上界"があり,下に有界な実数集合には"下限",つまり"最大下界"があることがいえる,

 

ということが重要なのです。

 

結局,私など高校の数Ⅲでは証明なしでごまかしのような説明付きで無理に記憶させられていた,

 

"変数が有界で単調に変動するなら,それには有限な極限値が存在する。"

 

というような極限の存在についての法則が証明できるようになる,という

くらいの意味しかないのですね。

まあ,Dedekindの切断など知らなくても,

 

"上に有界な実数集合には上限=最小上界があり,下に有界な実数集合には下限=最大下界がある"

 

ことを公理として,出発しても大した差はないのですがね。。。

この定理,または公理の効用について,さらに述べるなら"実数の完備性"くらいですかね。

 

つまり,"実数によるCauchy列は必ず有限な極限値に収束する"という命題が成立するためには,実数の連続性が必要なんですね。

 

そして,結局,n次元Euclid空間:Rnの完備性も実数の連続性に基づいて保証されるわけです。

これらを具体的に述べるには,まず有界という言葉の定義から出発する必要があります。

[定義1]:(有界)

 実数の集合:E⊂Rがあるとする。

 

 実数y∈Rが存在して,∀x∈Eに対してx≦yが成立するとき,

Eは上に有界であるといい,yをEの上界と呼ぶ。

 

 一方,実数z∈Rが存在して,∀x∈Eに対してz≦xが成立するとき,

Eは下に有界であるといい,zをEの下界と呼ぶ。

 

 Eが上にも下にも有界であるときには,Eは有界であるという。

実数から成る数列:{xn}が有界であるとは,全てのxnの集合:

{xn:n=1,2,..}が有界であることをいう。

[定義2]:(上限,下限)

 実数の集合E⊂Rが上に有界であるとき,yがEの1つの上界であり

x<yならxはEの上界とは成り得ないときには,yをEの最小上界

=lubE(lub of E),またはEの上限=supE(sup of E)と呼ぶ。

 

 別の言い方をするなら,yはEの1つの上界であって,任意のε>0 に対してy-ε<x≦yなるx∈Eが存在するとき,yをEの上限と呼び

y=supEと書く。(lub=least upper bound;sup=supremum)

実数の集合:E⊂Rが下に有界のとき,zはEの1つの下界であって

z<xならxはEの下界とは成り得ないとき,zをEの最大下界

=glbE(glb of E),またはEの下限=infE(inf of E)と呼ぶ。

 

別の言い方をすれば,zはEの1つの下界であって,任意のε>0 に対し

てz≦x<z+εなるx∈Eが存在するとき,zをEの下限と呼び

z=infEと書く。(glb=greatest lower bound;inf=infimum)

[定理1]:(上限,下限)

 実数の集合:E⊂Rが上に有界でE≠φとする。

このときEの上限supEが存在する。

 

 また,実数の集合E⊂Rが下に有界でE≠φとする。

 このときEの下限infEが存在する。

 

(証明)集合AをA≡{α∈R|α<xなるx∈Eが存在する。}と定義し,

 集合BをB≡Ac=R-Aと定義します。

 

 このとき,y∈AならyはEの上界では有り得ず,

 y∈Bなら,∀x∈Eに対してx≦yが成立するので,

 yはEの上界です。

 

 つまり,BはEの上界全部の集合になっています。

そして,明らかにA∪B=R⊂R,A∩B=φです。

 

また,E≠φなので,あるx∈Eが存在します。

 

そして,α∈Rはα<xならα∈AなのでA≠φです。

 

また,E⊂Rが上に有界なのでB≠φです。

 

それ故,"Dedekindの定理"によってAが最大数を含むかBが最小数を含む

かのいずれかです。

 

ところが,∀α∈Aについて,α<xなるx∈Eが存在するので,このxに

対してα'≡(α+x)/2とおけば,α<α'<xですからα<α'なる

α'∈Aが存在するため,Aは最大数を持ちません。

 

したがって,B=(Eの上界の集合)が最小数を持ちます。

この最小数は,Eの最小上界=Eの上限supEです。

後半のEの下限infEの存在についても同様なので,後半の証明に

関しては省略します。(証明終わり)

※よくある解析学や微積分学の初歩的なテキストでは,実数の集合が有界のとき上限,あるいは下限が存在するというこの定理を,公理のように理論の

出発点としているものも多々あるようです。

 

 我々のような物理屋であれば,必ずしもDedekindの切断のような数学的に微妙な論題まで知る必要はないかも知れません。

[定理2]: 実数から成る数列:{xn}が有界で単調に変動するならば,

これはn→ ∞に対して有限な極限値に収束する。

 

(証明) 数列:{xn}が上に有界で単調非減少とすると,E≡{xn:n=1,2,..}は上に有界です。

 

 したがって,上限β≡supEが存在して,xn≦β(n=1,2,..)が

 成立します。

 

 任意のε>0 が与えられたとすると,上限の定義によって,あるNが存在

してβ-ε<xN≦βが成立します。

 

 そして{xn}は単調非減少数列なので,n≧NならxN≦xnです。

したがって,n≧Nならβ-ε<xN≦xn≦βが成立します。

つまり,n≧Nなら常に|β-xn|<εです。

 

これは,β=limn→∞nを意味します。

 

この場合には,極限値は上限に一致します。

 

一方,数列{xn}が下に有界で単調非増加の場合に,{xn}が下限に収束することも,同様にして証明できます。(証明終わり)

[定理3]: 実数の有限区間の列:[a1,b1],[a2,b2],..,[an,bn],..

が与えられ,どの区間も先行する区間に含まれるとする。

 

 つまり,[an,bn]⊂[an-1,bn-1],または

 an≧an-1,かつbn≦bn-1とする。

 

 そしてn→ ∞ に対して区間の長さn≡bn-anがゼロに収束する,

 つまりcn0  as n→ ∞ のとき,数列{an}と{bn}は共通の極限値

 に収束する。(この有限区間の列は縮小区間列と呼ばれる。)

(証明) 仮定により,a1≦a2≦..≦an-1≦an≦bn≦bn-1≦..≦b1

 です。

 

 したがって,数列{an}は上に有界で単調非減少なので,ある極限値α

 が存在してlimn→∞n=α≦b1です。

 

 limn→∞nlimn→∞(bn-an)=0 ですから,limn→∞n

 limn→∞(an+cn)=αも得られます。(証明終わり)

[定理4]:(Cauchyの収束判定条件(Cauchy's criterion))=(完備性)  

 実数から成る数列{xn}が有限な極限値に収束するための

必要十分条件は,

 

 ”予め与えられた任意の正の数εに対して,あるNが存在してm≧N,

 かつn≧Nなら|xm-xn|<εが成立する”

 

 ことである。

 

(証明) 必要性:{xn}が有限な極限値に収束するならば,

 "予め与えられた任意の正の数εに対して,あるNが存在してm≧N,

 かつn≧Nなら|xm-xn|<εが成立する"のは明らかです。

十分性を証明するため,"予め与えられた任意の正の数εに対して,

あるNが存在してm≧N,かつn≧Nなら|xm-xn|<εが成立する"

と仮定します。

 

仮定によって,あるN1が存在してm≧N1,かつn≧N1なら

|xm-xn|<1ですから,k≧N1なら|xk-xN1|<1が成立

します。

 

すなわち,k≧N1ならxN11<xk<xN11,あるいは

k[xN11,xN11]です。

 

同様にN2≧N1なるN2が存在して,k≧N2なら

N2(1/2)<xk<xN2(1/2),または

k[xN2(1/2),xN2(1/2)]です。

そこで,これを繰り返して,m=1,2,..,,m-1,m,..について,

m≧Nm-1≧..≧N2≧N1なるNmの列が存在して,k≧Nmなら

Nm(1/m)<xk<xNm(1/m),または

k[xNm(1/m),xNm(1/m)]

 

と書くことができます。

 

そこで,am≡xNm(1/m),bm≡xNm(1/m)とおけば,

k[an,bn] (n=1,2,..)であり,区間列{[an,bn]}は前定理3

の仮定である実数の縮小区間列:[a1,b1],[a2,b2],..,[an,bn]..

に他なりませんから,数列{an}と{bn}は共通の極限値に収束します。

その共通の極限値をαとすれば,limn→∞nlimn→∞n=α,

かつxk[an,bn]ですから,limn→∞n=αも成立します。

 

(証明終わり)

ここで,これらの実数空間Rにおける定理をn次元Euclid空間Rnに,一般化してみます。

 

Euclid空間は1種の距離空間ですから,差し支えない場合には距離空間

の言葉を用います。

[定義3]:(距離空間;metric space)

  

 のことを点と呼ぶ集合Xが距離空間であるとは, 

 "∀,∈Xに対して,これらの距離と呼ばれる実数;d(,)≧0

が定まっていて,次の3つの性質を満たすことをいう。

 

 3つの性質とは, 

(a)ならd(,)>0;特にd(,)=0 

(b)d(,)=d(,)

(c)∀∈Xに対し,d(,)≦d(,)+d(,) 

である。

  

厳密にはXだけではなく,(X,d)の組を距離空間と呼ぶ。

 

※ 例えば,n次元Euclid空間:Rnなら,

 x(x1,x2,..,xn),≡(y1,y2,..,yn)∈Rnに対して,距離を

絶対値で定義します。

 

 すなわち,d(,)≡||≡{Σk=1n(xk-yk)2}1/2定義すれば,

(Rn,| |)の組は距離空間になります。

以下,集合といえば距離空間Xの部分集合であることを暗黙の了解事と

します。

[定義4]:(有界)

 集合E⊂Xが有界であるとは,実数Mとある点∈Xがあって,∀∈X

 に対してd(,)<Mが成立することをいう。

[定義5];(収束点列) 距離空間Xの点列{n}が収束するとは,ある点α∈Xが存在して,任意のε>0 に対して整数Nが存在してn≧Nならばd(n,α)<εが成立することをいう。

[定義6](Cauchy列と完備性)

 距離空間Xの点列{n}がCauchy列であるとは,任意のε>0 に対し

整数Nが存在してm≧N,かつn≧Nならd(m,n)<εが成立する

ことをいう。

 そして距離空間Xの任意のCauchy列が収束するとき,Xは完備(complete)である,という。

定理4から実数の空間Rは完備であることがわかります。

 

 これを少し拡張すればn次元Euclid空間Rnも完備である,ことが

  わかります。

 

 一般の距離空間は必ずしも完備ではありませんが,あるCauchy列に関する同値類を作ることによって完備化することが常に可能です。

 

参考文献:Walter.Rudin「Principles of Mathematical Analyss」second Edition(McGrawHill) 

 

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2008年2月10日 (日)

デデキントの切断(Dedekind cut)

 物理学関係についての話ばかり書くのも少し疲れたの,ちょっと数学に

浮気します。

 

 それも19世紀の解析学の話で息抜きします。

 

 手抜きして,約39年も前の大学1~2年の頃に書いたと思われる化石的なノートから引用します。

 

当時の私は学生運動クラブがメインで,その暇に細々,コツコツと数学の勉強をしていた程度でした。

 

専攻学科は理学部の物理学科でしたが,物理学に目覚めたのは大学院に入ってからで,大学5年間(1年留年)で自然科学関係で真剣に勉強したという記憶があるのは数学だけです。

  

必須単位を取って卒業できたのですから,物理学もやったのでしょうが,その成績は目茶目茶だったし,物理は試験前の一夜漬けくらいしか記憶にありません。

  

大学5年目の9月に幾つか他大学の大学院の物理学専攻を受けたのですが,物理学については1ヶ月か2ヶ月漬け程度の試験勉強でしたかね,入試の1つに合格したのも,恐らく数学の成績によるのでしょうね。

 

当時の参考書は洋書ですが,Walter.Rudin著の"Principles of Mathematical Analysis"でした。

 

取って見ると,McGraw-HillのRiprint版ですがボロボロですね。

  

後に共立出版から「現代解析学」というその訳が出ているはずですが,そちらは所持していません。

 

余談はさておき,以下本文です。

 

まだ,数としては有理数しか存在しない世界から実数という新しい実体を定義します。

 

まず,Qを有理数全体の集合とします。

  

このとき,例えばp∈Q,かつp2=2を満たす元pは探しても存在せず,

 

それ故,集合A⊂QをA≡{p∈Q|p≦0,またはp>0,かつp2<2}

と定義すれば,Aには最大数が存在しないことが簡単な考察からわか

ります。

  

また,QにおけるAの補集合:B≡Ac=Q-Aには最小数が存在しないこともわかります。

 

つまり,有理数体だけでは,数直線上には多くのギャップ(gap)があって,

連続性は満たされないことがわかります。

 

そこで,こうしたことが"連続性を満たす新しい数=実数"の導入の動機付け(motivatuon)になるわけです。

  

まず切断(cut)の定義です。

  

デデキント(Dedekind)が導入したので一般にデデキントの切断(Dedekind cut)と呼ばれています。

  

[定義_0]:集合α⊂Qが次の3条件を満たすときαを切断という。

 

(ⅰ)α≠φ,α≠Qである。 

 (ⅱ)p∈α,q∈Q,かつq<pならばq∈α 

 (ⅲ)αは最大数を含まない。

     つまり,∀p∈αに対してp<r,r∈αなるr∈Qが存在する。

 

 の3条件である。

 

[定理A1]:p∈αであるがq∈αでないならp<qである。

  

(※以下では"q∈αでない"という文については論理記号の否定:¬を

用いて"¬q∈α"と表現することもあります。)

  

(証明) p∈αのとき,(ⅱ)によりq∈Q,かつq<pならq∈αです。

  

 また,q=pなら,もちろんq∈αです。

  

 したがって,p∈αのときq≦pならq∈αですからq∈αでない(つまり¬q∈α)ならp<qです。(証明終わり)

 

     上の定理の結果により,αの元をlower numberと呼び,

 有理数であってαに属さないものについてはαの元より大きいので

 upper numberと呼びます。

 

[定理A2]:r∈Qに対してα≡{p∈Q|p<r}と置くとαは切断であってrはαの最小のupper numberである。

  

(証明) αが(ⅰ),(ⅱ)を満たすのは自明です。

 

(ⅲ)は,∀p∈αに対してp<(p+r)/2<r,(p+r)/2∈αから明らかに満たされます。それ故,αは確かに切断です。

  

 さらに,¬r∈Qは明らかなのでrはαのupper numberです。

 

 そしてα のupper numberは全てr以上の有理数ですから

 rは確かにαのupper numberの最小値です。(証明終わり)

 

[定義1]:上の定理で切断であると証明された集合αを特に有理数rに関する有理切断と呼び,これをr*で表わす。

 

 次は,大小関係(順序関係)の定義です。

 

[定義2]:α,βを切断とするとき,これが集合として等しいときこれらは

等しいと言い,α=βと書く。

 

 またp∈βであるがp∈αでないようなp∈Qが1つでも存在すれば

 α<β,あるいはβ>αと書く。

 

 そして,α≦βなる表現はα=βまたはα<βを意味し,α≧βはα=β

 またはα>βを意味する。

 

[定理A3]:α,βを切断とするとき,α=βかα<βかβ<αのいずれか

1つが成り立ち,2つ以上同時に成り立つことはない。

 

(証明)手順を追って定義を確かめるだけなので省略します。

 

[定理A4]:α,β,γを切断とするとき,

α<βかつβ<γならばα<γである。

 

(証明)これも手順を追って定義を確かめるだけなので省略します。

 

※(注):"これら切断と呼ばれる有理数の部分集合の各々が1つ1つの

実数の各々に同一視されて対応する。"

 

というのが,Dedekindの発見的着想であり彼の切断公理の骨子です。

 

 次に,四則演算です。

 

[定理1]:α,βを切断とするとき,γ≡{p+q|p∈α,q∈β}とおけば

γも切断である。

 

(証明)γが上記の3条件を満たすことを1つずつ順を追って示せばよくて

論理的に簡単なので省略します。

 

 当時の私のノートには律儀に証明が書いてありますが,まあ,当時は初学者だったので当然ですね。

 

[定義3]:(加法:足し算)

 上記の定理1で切断であると証明されたγをα+βと書き,αとβの和と定義する。

 

[定理2]:(交換法則,結合法則,ゼロ元)

α,β,γを切断とする。

  

(a)α+β=β+α, 

(b)(α+β)+γ=α+(β+γ), 

(c)α+0=α 

 

が成立する。

 

(証明) (a),(b)の成立は自明です。

 

 そこで,(c)の証明だけやってみます。

 

 まず,p∈α+0*とします。このとき,p=q+r;q∈α,r∈0*なる

 q,r∈Qが存在します。

 

 r∈0*よりr< 0 ですから,p=q+r<qです。

  

 そこでp∈αが成立します。

 

 逆にp∈αとすると,αは切断ですから,p<q,かつq∈αなる

 q∈Qが存在します。

 

 このqによってp=q+(p-q);q∈α,(p-q)∈0*と書けば

 p∈α+0*であることがわかります。

 以上から,p∈α+0*p∈α,すなわちα+0*=αがいえます。

 (証明終わり)

 

※結合法則:(α+β)+γ=α+(β+γ)が成立するので,以後,

 (α+β)+γ=α+(β+γ)を単にα+β+γと表記すること

 もあります。

 

[定理3]:αを切断とし,r∈Qを任意の正の数(r>0)とする。

 

 このとき,r=q-pを満たすp,q∈Qであってp∈α,¬q∈αで

 qはαの最小のupper numberではないものが存在する。

 

(証明) まず,α≠φなのでs∈αなる適当なsを取りs≡s+nr(n=0,1,2,..)によって有理数の等差数列{s}を作ります。

 

 このとき,s∈α,¬s+1∈αを満たす整数mが唯1つ存在するはずです。何故なら,こうしたmが存在しないとするとα=Q(有理数全体)となってαが切断であることに矛盾するからです。

  

 そこで,このmに対してp≡,q≡+1とおけばp∈α,¬q∈αでありq-p=rです。

 

 ただし,もしもq=+1がαの最小のupper numberに一致するなら

 p≡+r/2,q=+1+r/2と定義します。(証明終わり)

 

[定理4]:(逆元の存在)

 αを切断とすとき,α+β=0*を満たす切断βが唯1つ存在する。

 

(証明) まず,α+β=0*を満たす切断βが存在すると仮定して,その一意性

 から証明します。

 

 すなわち,α+β=α+β10*とすると,

 β10*+β1(α+β)+β1(α+β1)+β=0*+β=β

 です。

 

 次に,α+β=0*を満たす切断βの存在の証明です。

 

 そのため,集合:β≡{p∈Q|¬(-p)∈α,ただし(-p)はαの

 最小upper numberではない。}を作ります。

 

 まず,集合βが1つの切断であることを証明します。

 

 つまり,βが切断の条件(ⅰ),(ⅱ),(ⅲ)を満足することを示します。

 

 まず,(ⅰ)β≠φ,β≠Qは明らかです。

 

 次に,p∈β,q∈Q,かつq<pと仮定します。

 

 (-p)<(-q)ですから,(-q)∈αと仮定すると(-p)∈α

 となります。

 

 これはp∈β:つまり¬(-p)∈αに矛盾します。

 

 それ故,¬(-q)∈αであり(-q)もαのupper numberですが,

 (-p)<(-q)で,かつ(-p)がαの最小upper numberではない

 ので(-q)もそうです

 

 以上から,p∈β,q∈Q,かつq<pならq∈βです。

 

 すなわち(ⅱ)も成立することがわかります。

 

 次に(ⅲ)です。

 

 p∈βであることは(-p)がαの upper numberであることを意味

 しますが,これはαの最小のupper numberではないため,

 ∃q∈Q,(-q)<(-p),かつ¬(-q)∈αです。

  

 つまり,¬(-q)∈α,かつp<qです。

 

 そこで,r≡(p+q)/2とおけば,p<r<q,つまり

 (-q)<(-r)<(-p)なので,¬(-r)∈αです。

 

 しかも,(-r)はαの最小upper numberではありませんから

 r∈β,かつp<rです。

 

 pはβの任意の元でしたから結局βは最大数を含まないことが

 示されました。

 

 これで,集合βは条件(ⅲ)も満足することがわかりました。

 

したがって,βも切断ですから,和の有理数集合:α+βが矛盾なく

切断として定義できることがわかります。

 

そして,p∈α+βとすれば定義によってq∈α,r∈βが存在して

p=q+rと書けます。

 

よって,q∈α,¬(-r)∈αですが,"[定理A1]:p∈α,¬q∈αならp<qである。"によればq<(-r)が結論されます。

 

そしてq<(-r)を移項すればp=q+r< 0 です。

 

それ故,p∈0* が結論されます。

 

 逆にp∈0*を仮定すると,0*の定義によりp<0,つまり,

 (-p)∈Qは正の数:(-p)> 0 であることがわかります。

 

 "[定理3]:αを任意の切断としてr∈Qを任意に与えられた正の数(r>0)とすると,r=q-pを満足し,かつp∈α,¬q∈αであってqはαの最小のupper numberではないような有理数の組p,qが存在する。"によれば,

 

 (-p)=(-r)-qを満足し,かつq∈α,¬r∈αであってrはαの

最小のupper numberではないような有理数q,rの組が存在します。

 

 これは,p=q+r,かつq∈α,r∈βとできることを意味します。

 

 そこで,結局p∈α+βなることが結論されます。

 

 以上からα+β=0*が成立することがわかりました。

 

 すなわち,α+β=0*を満たす切断:βが確かに存在します。

   

 こうしたβが一意的であることは既に最初に証明しましたかrら

 定理は全て証明されました。(証明終わり)

 

[定義4]:(逆元) 

 上記の[定理4]で切断αに対して存在することが証明された切断βを

 (-α)と書き,αの逆元と呼ぶ。

 

[定理5]:α,β,γを切断とするとき,β<γならばα+β<α+γ

である。特にα>0*,かつγ>0*ならばα+γ>0* である。

 

(証明) 大小関係の定義2によって,β<γならばα+β<α+γである

ことは自明です。

 

 そして,特にβ=0*としてα>0*,かつγ>0*とすれば,α+γ>α>0*

 となります(証明終わり)

 

[定理6]:α,βを切断とする。このとき,α+γ=βを満たす切断γが唯1つ存在する。

 

(証明)γ≡β+(-α)とすると,α+γ=α+{β+(-α)}=0*+β

 =βです。そして[定理5]から,γ1≠γならα+γ1≠α+γなので

 α+γ=βを満たす切断γは一意的です。(証明終わり

 

[定義5]:(減法:引き算) 

 上記の[定理5]で切断α,βに対して存在することが証明された切断  γ≡β+(-α)をβ-αと書きαのβとの差と呼ぶ。

 

[定理6]:(乗法)α,βをα≧0*,かつβ≧0*なる2つの切断とする。 

 このとき,γ≡{r∈Q|r< 0,またはr=pq,p∈α,p≧0;

 q∈β,q≧0}と置けばγは切断である。

 

(証明)証明は加法α+βと似たようなものなので省略します。

 

[定義6]:(乗法:掛け算) 

 上記の[定理6]で切断α,βに対して定義された切断γをαβと表記しαとβの積と呼ぶ。

 

 さらに任意の切断αについて,|α|≡α (if α≧0*),-α(if α<0*)

 と定義すると,|α|も1つの切断であって明らかに|α|≧0*である。

 

 そして,|α|=0*となるのは,α=0*のときこのときに限る。

  

 この|α|を,αの絶対値(absolute value)と呼ぶ。

 

 α,βを(α≧0*かつβ≧0*)ではない2つの切断とする。

 

 このとき,αβ≡-(|α||β|)(α<0*,β≧0*,またはα≧0*,β<0*

 のとき),|α||β|(α<0*,β<0*のとき)によって積αβを定義する。

 

 積|α||β|については既に定義されている。

 

[定理7]:(加法と乗法の性質) 

 α,β,γを切断とするとき,

 

(a) αβ=βα (交換則),(b)(αβ)γ=α(βγ) (結合則),

(c) α(β+γ)=αβ+αγ (分配則),

(d) α0*0*,および,(e)αβ=0*⇔α=0* or β=0* (零元の性質),

 

(f) α1*=α (単位元),

(g) 0*<α<β,かつγ>0*なら,αγ<βγである。

 

(証明)これら全ての証明もコツコツやれば直線的にできると思うので

省略します。

 

[定理8]:(除法)

 αをα≠0*なる切断とする。また,βも1つの任意の切断とする。

 

 このときαγ=βなる切断γが唯1つ存在する。

 (これも証明略です。)

 

[定義7]:(除法:割り算)上記の[定理8]で切断α(α≠0*),βに対して存在することが証明されたαγ=βなる唯一の切断γをβ/αと書き,βのαによる商と呼ぶ。

 

[定理9]:(有理切断)p,q,r,.etc.を有理数とする。

 このとき,(a)p*+q*(p+q)*,(b)p**(pq)* ,

 および,(c)p*<q*⇔p<q が成立する。

 

(証明)これも証明は略です。

 

[定理10]:α,βをα<βなる任意の切断とする。

 このとき,α<r*<βなる有理切断r*が存在する。

 

(証明) α<βとします。

 定義によってp∈β,¬p∈αなるp∈Qが存在します。

 p<r,かつr∈βなるrを取ると,もちろん¬r∈r*ですから

 *<βです。またp∈r*,¬p∈αより,α<r*です。

 

(証明終わり)

 

[定理11]:αを任意の切断する。

このとき,p∈α⇔p*<αである。

 

(証明) p∈αのとき,¬p∈p*ですから*<αです。

  

 逆にp*<αのとき,q∈α,¬q∈p*なる有理数qが存在します。  

 ¬q∈p*よりq≧pですからp∈αです。(証明終わり)

 

 これで準備は整いました。

 

[定義8]:各々の切断を実数と呼ぶ。

 有理切断は有理数と同一視する。

 

     以下,実数全体(切断全体)の集合をRとします。

 

[定理12]:(デデキントの定理) 

 集合A,Bを次の性質を持つRの部分集合とする。

 

(a)R⊂A∪B,(b)A∩B=φ,(c)A≠φ,かつB≠φ,

(d)α∈A,β∈Bならばα<β である。

 

 このとき,任意のα∈Aについてα≦γであり,かつ任意のβ∈B

についてγ≦βを満たす唯一の実数γ∈Rが存在する。

 

 証明を実行する前にこれの系も述べておきます。

 

[系]:[定理12]の仮定の下では,Aが最大数を含むかBが最小数を含むか

のいずれかである。

 

(定理12の証明)γ≡{p∈Q|p∈α for some α∈A}と置きます。

 

 まず,このγが確かに切断であることを証明します。

 

 A≠φなのでα∈Aなるαが少なくとも1つは存在しますから

 γ≠φです。

 

 一方,B≠φなのでβ∈Bなるβも存在します。

 

 当然,∀α∈Aに対してα<βです。

 そしてβ≠Qより¬q∈βなるq∈Qが存在します。

 

 このとき∀α∈Aに対しα<βによって¬q∈αです。

 それ故,q∈γです。

 

 以上から切断の条件:(ⅰ)γ≠φ,かつγ≠Qが満たされることが

 わかりました。

 

次に,p∈γ,q<pと仮定します。

 

p∈α for some α∈Aですから,このαに対して切断の定義により

q∈αです。それ故,q∈γです。

 

これで切断条件(ⅱ)も成立することがわかります。

 

また,p∈γとするとp∈α for some α∈Aです。

 

切断の定義によりq>pなるq∈αが存在します。

よってq>pなるq∈γが存在します。

 

これで切断条件(ⅲ)も成立することが示されました。

 

以上でγは1つの切断であることがわかりました。

 

したがってγは実数です。すなわちγ∈Rですね。

 

そしてγの定義から明らかに∀α∈Aに対してp∈αならp∈γ

ですからα≦γです。

 

一方,もしもあるβ∈Bについてβ<γなら,あるp∈Qが存在して

p∈γ,かつ¬p∈βです。

 

p∈γより,あるα∈Aに対してp∈αなります。

 

このαについては,p∈α,かつ¬p∈βですから,これはβ<αを

意味します。

 

これは∀α∈Aに対してα<βという前提に矛盾します。

 

以上から,∀β∈Bについてγ≦βです。

 

以上で定理の前半のγの存在の証明は終わりました。

 

一方,上記γと同じ性質の実数(切断)γ12が存在して大小関係が

γ1<γ2であるとすると,[定理10]によってγ1<γ3<γ2を満たす

γ3∈Rが存在します。

 

ところが,γ3<γ2よりγ3∈Aです。

 

また1<γ3よりγ3∈Bです。

 

つまりγ3∈A∩B=φとなってこれは矛盾です。

 

したがって,一意性も証明されました。

 

系については[定理12]のγがAの最大数かBの最小数になることは

自明ですが,前提:(b)A∩B=φによってどちらか一方しか起こり

得ないことは明らかです。(証明終わり)

 

 まだ,ちょっとあるのですが取り合えずここまでで終わります。

 

 丁度10年くらい前ですか池袋の電子専門学校で非常勤講師をしていた

時代に,数学の微積分学を教えて欲しいと頼まれたことがあります。

 

 そのとき,つい教科書を無視してこのノートの内容などを講義してし

まいました。

  

 指導教官に漏れて注意を受けた末に,次年度からは数学の講義をはず

されてしまいました。

 

 微積分の計算だけ教えてくれればいいということでしたね。

 

 計算も確かに教えましたが,ちょっとハメをはずしたかも知れません。

 

当時の相手は40人余りのクラスの生徒で確か臨床工学科でしたか?

病院などで採血や血液検査等を担当する臨床検査技師の卵たちで

女子の方がやや多かったような記憶があります。

 

生徒は私の講義を結構面白がっていたと感じたのですが。。

 

まあ,直接にはほとんど将来の役に立たない念仏講義なので結局は

迷惑だったかも知れませんね。

 

この専門学校では物理の講義でも,ちょっと私的な趣味に走ったことが

ありましたが,物理の講師は不足していたらしくて幸いクビにはなりま

せんでしたね。

 

参考文献:Walter.Rudin「Principles of Mathematical Analysis」second Edition (MacGrawHil)

 

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2007年12月20日 (木)

微分形式とベクトル解析

 コーヒー・ブレイクです。物理学の話はちょっとお休みにして物理数学の軽い話題を述べてみます。

 エリ・カルタン(Elie Cartan)が創始したと言われる微分形式,または外微分の概念は,最近は向き付け可能な微分可能多様体の上でのテンソル場などと関連して導入されることが多いらしく,何か前提として微分幾何学などの知識がなければいけないかのように感じ,かなり敷居が高いなどと思われ勝ちです。

 

 私が35年以上も前に大学の物理学科で留年した年に,1年間数学科で浮気をしていた際,数学科の専門講義の中で解析学の一部として学んだ記憶がある微分形式は幾何学と関連があるといっても平面上の四角形はアファイン変換でもやはり四角形になる,という程度の初等幾何の話で十分なものでした。

 微分形式を抽象数学として厳密に扱おうとするなら,それを微分幾何学,多様体などの概念と結び付け,曲面上での特殊な多重線形変換の場,あるいは交代テンソルの場の一部として導入するべきかも知れません。

 

 しかし,古典物理での物理数学のような応用数学に利用するだけであれば,積分が微分の逆演算であること,および積分変数,あるいは微分変数の変換における不変式との関連の話で導入をする程度でお茶を濁すのがイメージを掴むやり方としては,はるかに入り易いと思います。

 

 ここではそうした方法での説明にトライしてみます。

 要するに,私がはじめてそれを学んだときには,微分形式というのは素朴な1変数関数の積分での変数置換に伴う単純な置換積分の公式を多変数関数の重積分の場合のそれに拡張したとき,積分形式における変換規則を微分形式の規則に翻訳するための便法として編み出した記号に過ぎないものと把握したものでした。

 ただ,そうした記号的手法を用いれば計算が非常に楽になるということだけは確かであり,特に直交座標とか極座標とかの点の異なる座標表現を気にすることなく同じ形式で考察できるという意味では,重宝で便利な道具であるとは思います。

 1変数関数y=f(x)の不定積分:F(x)=∫x(t)dtは積分変数tをt=φ(u)によってuに変更するとき,この対応が同相,つまりφが1価連続で逆写像もまた連続なら,x=φ(v)のとき,これが∫v(φ(u))φ'(u)du (ただしφ'(u)≡dφ/du)なる積分に一致する:x(t)dt=∫v(φ(u))φ'(u)duなる不変式が成立する,というのが置換積分法の規則です。

 

 これは微分規則での合成関数の微分法の規則:dF(φ(v))/dv=(dF/dx)φ'(v)に対応するものです。

 では2変数関数g(x,y)の積分の場合にはどうでしょうか?

 

 1変数関数のときには便宜上,積分を不定積分としましたが,今度はある決まった点(x,y)の連結した点集合から成る2次元の領域Dの上での定積分として,2重積分:∫D(x,y)dxdyを考えます。

 

 そして,1変数の場合と同様にx=φ(u,v),y=ψ(u,v)と変数変換して,φ,ψを(u,v)の連結した領域Duvから(x,y)の領域Dの上への同相写像とします。

 

 すなわち,この写像の組φ,ψをベクトル表示で t(x,y)=Φ(u,v)≡t(φ(u,v),ψ(u,v))と書くとき,D=Φ(Duv)となるとします。

 そして,先の1変数の積分不変式∫x(t)dt=∫v(φ(u))φ'(u)duが2変数関数g(x,y)の積分でも成立するとして,形式的に∫D(x,y)dxdy=∫Duv(φ(u,v),ψ(u,v))Φ'(u,v)dudvと書きます。

 

 形式的にこう書いたとしても,それだけでは,右辺の最後のΦ'(u,v)dudvなる表記の記号の意味がまだ不明のなので,これが明確に定義されない限り,この表現式に意味はありません。

 しかし,t(x,y)=Φ(u,v)≡t(φ(u,v),ψ(u,v))という変数変換は,局所的な微分量の変換に対応する微小変換では通常の1次元の1変数の場合の変換x=φ(u)における微分と微分係数の関係:dx=(dφ/du)du=φ'(u)duのアナロジーとして理解されます。

 

 すなわち,"全微分係数=全ての偏微分係数をその要素とする行列"を記号的にdΦ(u,v)/d(u,v)と書けば,t(dx,dy)={dΦ(u,v)/d(u,v)}t(du,dv)と書けます。

 

 これは陽な成分表現では,t(dx,dy)=t((∂φ/∂u)du+(∂φ/∂v)dv,(∂ψ/∂u)du+(∂ψ/∂v)dv)と書けます。

 そして,こうした2重積分ではdxdy,およびdudvは何を表わしているかというと,これらの量は縦と横の辺の長さの組が(dx,dy),および(du,dv)で与えられる微小長方形の面積を表わしています。

 ところで,一般にn次元ベクトル空間Rnの上のベクトル:t(u1,u2,..,un)∈Rnを別の点t(x1,x2,..,xn)∈Rnに写す線形写像をアファイン(or アフィン)変換と呼びますが,これは線形変換なので,あるn次の正方行列Aが存在して=Aなる式に書けます。

始点の一致した2つのベクトル,で作られる平行四辺形の面積は,の成す角をθとするとき,|||||sinθ|で与えられます。

 

これはもしも,が3次元空間のベクトルなら,外積,あるいはベクトル積×の大きさを表わしています。

さらに行列Aで表現されるこうした線形変換によって,,がそれぞれ,に写されるとき,つまり=A,かつ=Aが成立するとき,外積の変換は×=(detA)(×)となります。

 

ただし,detAは行列Aの行列式を示しています。

 

つまり,アファイン変換では平行四辺形は平行四辺形に写され,その面積の比は,変換行列Aの行列式の絶対値=|detA|になるわけです。

したがって,微小変換t(dx,dy)={dΦ(u,v)/d(u,v)}t(du,dv)でも,これは微分量同士の関係としては線形変換なので,(dx,dy),および(du,dv)の成分はそれぞれx軸,y軸に平行な2つの微小ベクトル,およびu軸,v軸に平行な2つの微小ベクトルを示していると考えると,それらの作る微小長方形の面積要素の比はdet{dΦ(u,v)/d(u,v)}の絶対値で与えらます。

こうしたことは一般のn次元空間でも,もちろん成立します。

このときにはt(dx1,dx2,..,dxn)={dΦ(u1,u2,..,un)/d(u1,u2,..,un)}t(du1,du2,..,dun)なる線形変換式を満たすn行n列の行列{dΦ(u1,u2,..,un)/d(u1,u2,..,un)}は,慣習的にヤコービ行列(Jacobi matrix)と呼ばれ,記号{∂(x1,x2,..,xn)/∂(u1,u2,..,un)}で表わされます。

 

そして,その行列式:det{dΦ(u1,u2,..,un)/d(u1,u2,..,un)}はヤコービアン(Jacobian)と呼ばれ,記号:J≡|∂(x1,x2,..,xn)/∂(u1,u2,..,un)|で表わされます。

2次元の場合の変換式t(dx,dy)={dΦ(u,v)/d(u,v)}t(du,dv)において,(du,dv),および(dx,dy)で作られる長方形の微小面積を,それぞれ記号du∧dv,およびdx∧dyで表わしこれらを2次の微分形式と定義します。

 

すると,お互いの積分変数の微小面積要素の比を与える公式はdx∧dy=±det{dΦ(u,v)/d(u,v)}du∧dv=±Jdu∧dv=±|∂(x,y)/∂(u,v)|du∧dvと表現されます。

 

この時点ではdu∧dvとdx∧dyなる記号は,これらを微小な面積という非負の量に同一視しているので,行列式の符号如何で,右辺にはプラス,またはマイナスの符号が必要です。

ところが,1次の置換積分の公式:x(t)dt=∫v(φ(u))φ'(u)duにおいてはφ(u)がuの増加関数であるか減少関数であるかによって,積分区間の始点と終点を逆転させると規約すれば一々符号を付ける必要なく常にこの積分不変式が成立するようにできます。

微分積分法などの初等的なテキストでは重積分における変数変換に際してヤコービアン:Jの絶対値をとって,置換積分の変換公式を∫Φ(D)(x1,x2,..,xn)dx1dx2..dxn=∫D(Φ(u1,u2,..,un))|J|du1du2..dunと書き,単なる行列式Jを用いる代わりに,その絶対値|J|を用いた式で表わすことが多いようです。

 

しかし,微分形式の記号du∧dv etc.を積分等式の両辺の積分領域DとΦ(D)の相対的な向きの指定をも含めた形で定義するなら,±符号を除いた簡単な積分公式∫Φ(D)(x1,x2,..,xn)dx1dx2..dxn=∫D(Φ(u1,u2,..,un))Jdu1du2..dun,および対応する微分公式dx1∧dx2∧..∧dxn=Jdu1du2∧..dunが常に成立するようにできます。 

さらに,この公式の微分形も任意の関数g(x1,x2,..,xn)を含めた一般的表現ではg(x1,x2,..,xn)dx1∧dx2∧..∧dxn=g(Φ(u1,u2,..,un))Jdu1∧du2..∧dunと表わすことができます。

 

こうした微分による変換形式を,その本質的に反対称で外積代数と同じ性質を持つという演算規則の定義をも含めてn次の微分形式と呼ぶわけです。 

そして,ω≡Σi1,i2,..iki1,i2,..,ik (x1,x2,..,xn)dxi1∧dxi2∧...∧dxik(0≦k≦n)なる線形結合で与えられる形式が,n次元空間を土俵にした全く一般的なk次微分形式の定義です。

 

また,(n-1)以下のkについてのこうしたk次微分記式ωに対し,その外微分dωをdω≡Σi1,i2,..ikΣj=1n(∂fi1,i2,..ik/∂xj)dxj∧dxi1∧dxi2∧..∧dxikによって定義します。

 

こうした外微分に関しては,一般に"ポアンカレの補題d(dΩ)=0 ",および一般的な"ストークスの定理∫Ωdω=∫∂Ωω"が成立します。

 

この定義での微分式をなぜ外微分と呼ぶのかと言うと,微分形式や外微分の演算がいわゆる外積代数に従うからです。

上に述べたポアンカレの補題は「完全形式(exact form):ω=dΩは閉形式(closed form):dω=0 である。」という定理ですが「可縮な領域では,閉形式dω=0 は完全形式である,つまりω=dΩと書ける微分形式Ωが存在する。」というこれの逆命題も成立します。

 

後者もポアンカレの補題と呼ばれることが多いです。

 

後者が成立することの証明については,私のブログの2006年10/21の記事「ポアンカレの補題」にやや詳しく記述しているので,よかったら参照してください。

逆命題としての後者のポアンカレの補題は,物理学で多用される伝統的なベクトル解析に翻訳した場合,結構重要な定理に対応しています。

 

例えばベクトル場が"渦無し=非回転的"である,ベクトル場の回転がゼロであることは,対象としている場が保存的である,すなわち場のスカラーポテンシャル(位置エネルギー)が存在して元のベクトル場はそのスカラーポテンシャルの勾配として表現可能であることを意味します。

  

また,ベクトル場の発散がゼロであることは,場のベクトルポテンシャルが存在して,場はそれの回転で表現されることを意味するという定理などに対応しています。

ここで,上述の定理も含め,こうした微分形式の言葉を物理学でよく使われるベクトル解析の言葉に翻訳して互いに関連付けるため,スカラー場,ベクトル場etc.の再定義,およびそうした言葉の翻訳作業に必要な道具として場の関数に対するいくつかの演算の定義や,関連した記号と記法を導入したいと思います。

Uを3次元ユークリッド空間の開集合とし,物理学での一般的なベクトル場の表記=(Vx,Vy,Vz)に対応した数学としての幾何学的表記を多様体上の線形演算子の場,あるいは余接空間上のベクトル場の形式として≡Vx(∂/∂x)+Vy(∂/∂y)+Vz(∂/∂z)で表わします。

 

そして,接空間上でのそれに双対(dual)なベクトル場としての微分形式を*≡Vxdx+Vydy+Vzdzで表わすことにします。 

さらに3次元ユークリッド空間においては,微分1形式:u=u1dx+u2dy+u3dzに対して,*uを*u≡u1dy∧dz+u2dz∧dx+u3dx∧dyで,

 

微分2形式:v≡v23dy∧dz+v31dz∧dx+u12dx∧dyに対して*vを*v≡v23dx+v31dy+u12dzで,

 

そして微分3形式:w≡fdx∧dy∧dzに対して,*wを*w≡fで定義する演算,

 

すなわち,n次元ユークリッド空間のk次微分形式に対して,その左側に*印をつけることで(n-k)次微分形式を対応させる演算=星印作用(star operation)を定義します。

 

このときの演算記号である*印を,この演算を始めた人の名を取ってホッジ作用素,あるいは星印(スター)作用素と呼びます。

 

上の記述では書きませんでしたが,特に0-形式,単なるスカラー関数g(x,y,z)に対しての*印演算は,*g≡gdx∧dy∧dzです。

そうして,これらの星印演算については一般に任意の微分形式ωに対して*(*ω)=ωなる等式が成立します。

星印演算を用いると任意のスカラー場fの勾配:gradf=∇f=(∂f/∂x,∂f/∂y,∂f/∂z),あるいは(∂f/∂x)(∂/∂x)+(∂f/∂y)(∂/∂y)+(∂f/∂y)(∂/∂z)なる演算子表現に双対なベクトルの表現は,(gradf)*=(∂f/∂x)dx+(∂f/∂y)dy+(∂f/∂y)dzとなります。

 

そこで,スカラー場fの勾配に関する等式として(gradf)*=dfが得られます。

また,任意のベクトル場=(Vx,Vy,Vz)=Vx(∂/∂x)+Vy(∂/∂y)+Vz(∂/∂z)に対して,双対なものは*=Vxdx+Vydy+Vzdzなので,

 

(*)=(∂Vy/∂z-∂Vz/∂y)dy∧dz+(∂Vx/∂z-∂Vz/∂x)dz∧dx+(∂Vy/∂x-∂Vx/∂y)dx∧dyです。

 

そこでベクトル場の回転に関する等式として*{(rot)*}=d(*)が得られます。

さらに,*()*=Vxdy∧dz+Vydz∧dx+Vzdx∧dyなのでd{*()*}=(∂Vx/∂x+∂Vy/∂y+∂Vz/∂z)dx∧dy∧dzより,ベクトル場の発散に関する等式:*(div)=d{*()*}が得られます。

したがって,ポアンカレの補題d(df)=0 は,d{(gradf)*}=0 およびrot(gradf)=0 と等価です。一方,d{d(*)}=0 はd[*{(rot)*]=0 となり,結局div(rot)=0 とも等価です。

また,ストークスの定理∫Ωdω=∫∂Ωωによれば,ω≡*()*とすれば,∫V{*()*}=∫S*()*により∫V(div)dxdydz=∫Sをなる恒等式を得ます。

 

これは物理数学ではガウスの法則と呼ばれています。

 

また,ω≡*とすれば,∫S(*)=∫C(*)によって∫S(rot)d=∫Cなる等式を得ます。

 

物理学では,2次元曲面Sとその境界閉曲線Cに対するこの公式だけをストークスの法則と呼んでいます。 

本当は,ここで終わりにするのがキレイな終わり方なのでしょうが,そもそも息抜きのついでにこの記事を書く気になったきっかけは,すぐ前の12月15日の記事「理想気体の圧力と気体分子運動論」にあります。

 

その中では積分形の運動方程式:d[∫V1dV]/dt=-∫SPdの右辺が直感的に-∫V1∇PdVと書き換えられて微分形の方程式d/dt=-∇Pになると書いたのですが,実は自分でもこの手順がすっきりしなくて,これの解決にホッジスのスター作用素が役立つのではないか?と考えたのがこの記事を書いた動機なのです。

 

そこで,私自身の問題意識としては,この問題をすっきりさせない限りこの記事を書くことに意味がありません。

ところが,ちょっと考えてみたところ,上に求めた公式では等式の両辺の被積分値は全てスカラー量です。

しかし,∫SPdS=V1∇PdVなる等式を証明する場合には両辺の被積分値はベクトル量ですから上で実施した手順に類似した推論を単純に適用することはできないことがわかります。

結局,両辺でのベクトルの成分ごとにそれぞれスカラー量として等式を導くほかはなさそうです。

 

実際,ω≡Pdy∧dzと置けば,dω=(∂P/∂x)dx∧dy∧dzなので,ストークスの定理∫Sω=∫V1dωは∫SPdydz=∫V1(∂P/∂x)dVとなります。

 

そして空間の一様性から直交座標系:O-xyzのx軸の向きはどのように取っても同じです。

 

さらに,(∂P/∂x)は圧力Pの勾配ベクトル∇P=gradPの面dy∧dzに垂直な軸成分ですが,∇P=gradP自身も常に面dSの法線の向きを持ち,法線成分(∂P/∂n)に等しい大きさを持つベクトルですから∫SPdS=V1∇PdVが成立するのは明らかです。

 

ということで私自身の問題も解決したのでこれで終わります。 

参考文献:深谷賢治 著「解析力学と微分形式」(岩波書店),木村利栄,菅野礼司著「微分形式による解析力学」(吉岡書店)  

 

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2007年11月28日 (水)

解析接続の意味

例によって「EMANの物理学」の談話室での話題なのですが,ゼータ関数の定義に関連して,無限級数(の和)によって定義された関数の解析接続とか一致の定理というのは何か?についての議論が進み,ほぼ終局の状態です。

私自身はまだ言い足りないことがあったので,ここでの記事にしますが,実は投稿したものとほぼ同じです。

ダブルポストなので,通常はルール違反なのですが,自分のブログなのでかまわないでしょう。

それに掲示板ではフォントなどが限られているので,ブログでは自分の好きな形式で書けるという意味もあります。

 結局は,2006年4月23日の記事「くりこみ回避のアイデア」で書いた話を少し精密にしただけです。

 私は,複素関数論での通常の解析接続の説明では飽き足らず,物理屋的な解説を目指しました。

 まず,zを任意の複素数とすると,Σk=1nk-11+z+z2+...+zn-1=(1-zn)/(1-z)です。これは有限級数の和なので,|z|<1でも,z=-1でもz=2でも成り立つ等式です。

 そして,|z|<1ならn→ ∞ で|zn|→ 0 なので,Σn=1n-1=1+z+z2+...=1/(1-z)が成り立ちます。

  しかし,z=2ではn→ ∞ で|zn|→ ∞ であり,z=-1ではn→ ∞ でznが確定値を取らないので,Σn=1n-1=1+z+z2+...=1/(1-z) は成立しません。

  そこで,複素関数f(z)を|z|<1で与えられる定義域においてf (z)≡Σn=1n-1=1+z+z2+...(|z|<1)によって定義することにします。

 こう定義すれば,|z|<1の領域では f (z)は関数1/(1-z)に一致します。

 |z|>1やz=-1では等式Σk=1nk-1=1+z+z2+...+zn-1=(1-zn)/(1-z)は成立しますが,Σn=1n-1=1+z+z2+...=1/(1-z)は成立しません。

 しかし,そうした|z|<1の領域以外のzに対しても部分和を表わす右辺の(1-zn)/(1-z)での分子のznを無視して,(1-zn)を1としたものと f (z)を同一視してz=1を除く全複素平面でf (z)=1/(1-z) (z≠1)と定義することにします。

 つまり,f (z)≡limn→∞[{1+z+z2+...+zn-1}+zn/(1-z)]という式を関数f (z)の正しい定義とするわけです。

 |z|<1なら,この後の定義も|z|<1 におけるf(z)に対する前の定義f(z)≡Σn=1n-1=1+z+z2+...(|z|<1)と全く一致します。

 一方,|z|>1やz=-1では差し引くべき項:{-zn/(1-z)}は収束しません。

 特に|z|>1なら|zn/(1-z)|→∞ なので, f (z)≡limn→∞[{1+z+z2+...+zn-1}+zn/(1-z)]は形式的に無限大から無限大を引くという意味に取ることも可能で,これは物理学でのくりこみの処方に似ています。。

 ここまでは,直接には解析接続とは無関係な話です。

 そして複素関数論では f (z)≡Σn=1n-1=1+z+z2+...=1/(1-z) (|z|<1)を特異点z=1を避けて延長した点でも,それが正則関数になるように,|z|≧1,z≠1なる点まで接続すれば,一致の定理によってそうした点でも f (z)は1/(1-z)に一致する場合しか有り得ないことがわかります。

 実際,z=-1+αと置けばΣk=1nk-1=1+z+z2+・・+zn-1=(1-zn)/(1-z)なる等式はc0,c1,..,cn-1をある定数の複素係数としてΣk=1n(α-1)k-1=Σk=1nk-1αk-1={(α-1)n-1}/(α-2)と変形できます。

そして,|z|=|α-1|>1なら右辺は,1/(1-z)=-1/(α-2)にはなりません。

 しかし一方,αの絶対値が十分小さいならz=-1+αの絶対値が1より大きくても,つまり|z|=|-1+α|>1でも f (z)=1/(1-z)=-1/(α-2)=(1/2)/(1-α/2)=(1/2)Σn=1(α/2)n-1=(1/2)[1+(α/2)+(α/2)2+...]=(1/2)Σn=1{(z+1)/2}n-1=(1/2)[1+{(z+1)/2}+{(z+1)/2}2+...]とテイラー展開されます。

 つまり,z=0 のまわりでは|z|=|-1+α|>1なので, f (z)=1/(1-z)はzのべきでは展開できなくても,z=-1のまわりではα=(z+1)の無限べき級数に展開可能ですから,f (z)は確かに|z|>1,z≠1なる領域でも解析的です。

 また,"一致の定理"の内容というのは同じ点を中心としたテイラー級数の展開係数の一意性により,今の f (z)の場合,|z|<1 以外の領域でも,その解析性(ベキ級数への展開可能性)を保持しながら f (z)を|z|<1から連続的に延長していったとき,もしも2通り以上の延長(接続)方法があったとしても,それらは一致するという定理です。

 このことから,解析接続する方法は一意的に決まります。

 今日は,短かいけれどこれで終わりです。

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2007年8月15日 (水)

揚力とベルヌーイの定理

 2007年8月2日の記事「ダランベールの背理(D'Alembert's paradox)」において,

 

 完全流体では流速がUの一様流の中に置かれた物体に働く揚力Fyの値を,物体のまわりを反時計回りにまわる流れの循環Γによって,Fy=-ρUΓと評価できることを述べました。

 

 F(Fx,Fy)は物体に働く力でFxは抗力,Fyは揚力です。 

そこではf(z)=Φ+iΨ(Φは速度ポテンシャル,Ψは流れ関数)とし,複素関数論を利用して,ベルヌーイの定理:∂Φ/∂t+p/ρ+v2/2+Ω=A(t)(空間的に一定)とブラウジウスの(第一)公式:FxiFyiρ∫C[(df/dz)2/2]dzを導出するプロセスを記述しました。

 

それによって,物体に働く力=-∫C dsを考察し,そして,クッタ・ジューコフスキーの定理を証明した後,この定理の一部分に従って上述の命題を得るという手続きを行ないました。

 しかし,このような扱いは,私には少々大げさだと感じられたので,今日は物体部分からは全く湧き出しがない:div=0 という前提の下で,簡略化されたベルヌーイの定理p+ρv2/2=A(一定)から直接的に揚力と循環の関係Fy=-ρUΓを導いてみたいと思います。 

 まず,ベルヌーイの定理からp=A-ρv2/2なので,物体に働く力は=-∫C ds=-∫Cds+(ρ/2)∫C2ds=(ρ/2)∫C2dsです。

 

 Cの線素ベクトルをd(dx,dy)とすると,=0 ですから,ds=(dy,-dx)となるので,結局,揚力はFy(-ρ/2)∫C2dx=(-ρ/2)∫C(vx2+vy2)dxなる式で与えられます。

ところで,物体の外では当然,連続の方程式が成立しており,また仮定によって物体内部に湧き出しがありませんから,空間のいたるところで div=0 が成立します。

 

すなわち,閉曲線Cで囲まれる任意の領域Sにおいて∫S divdS=∫S(∂vx /∂x+∂vy /∂y)dx∧dy=0 です。

 

これは任意の閉曲線Cの上で∫Cxdy-∫Cydx=0 が成立することを意味しています。それ故,y=f(x)なる任意の曲線上の点で常にvxdy=vydxです。

 

つまり,この曲線の傾きy'=dy/dx=f'(x)に対し常にy=y'vxが成立しています。

また,閉曲線Cの上での流れの循環ΓはΓ≡∫C=∫C(vxdx+vydy)で定義されます。

 

(これはΓ=∫S rotdS=∫S(∂vy /∂x-∂vx /∂y)dx∧dyと書き直すこともできます。)

 

故に,Γ=∫Cxdx+∫Cydy=∫Cx(1+y'2)dxです。一方,揚力FyもFy=(-ρ/2)∫C2dx=(-ρ/2)∫C(vx2+vy 2)dx=(-ρ/2)∫Cx2(1+y'2)dxと表わすことができます。

ここで,流れ(vx,vy)が,一様流=(U,0)に微小な流れ=(ux,uy)を重ね合わせたもの:で与えられるとします。

 

x=U+ux,vy=uyですから,これを上の循環と揚力の表式に代入して,Γ=∫C(U+ux)(1+y'2)dx=∫Cx(1+y'2)dx,およびFy=(-ρ/2)∫C(U+ux)2(1+y'2)dx=-ρU∫Cx(1+y'2)dx-(ρ/2)∫Cx2(1+y'2)dxを得ます。

ここで,∫C(1+y'2)dx=∫Cdx+∫Cy'dy=0 を用いました。さらに,∫Cx2(1+y'2)dx=∫C(ux2+uy2)dx=C2dx=CxdΓなのでy=-ρUΓ-(ρ/2)∫CxdΓです。

 

最後の表式で∫CxdΓがゼロになるための条件はdW=xdΓなるWが存在することです。

 

ポアンカレの補題によって,それはd(uxdΓ)=dux∧dΓ=[-ux(∂ux /∂y)+uy(∂ux /∂x)]dx∧dy=0 すなわち,-ux(∂ux /∂y)+uy(∂ux /∂x)=0 が成り立つことと同値です。

 

これ以上は,適切なモデルで考えないと無理です。

 

まず,線素を極座標で書くとd(dx,dy)=r(d(cosθ),d(sinθ))=rdθ(-sinθ,cosθ)となります。

 

湧き出しがない条件はS divdS=∫C(vxdy-ydx)=0 ですから,Cxdy=Cydx →C(U+ux)dy=Cydx,故にCxdy=Cydxです。

 

つまり,0ruxcosθdθ=-0ruysinθdθなので,rux≡-Bsinθ,ruy≡Bcosθ(Bはrだけの関数)というモデルを想定すると,これにより上述の湧き出しゼロ条件は自動的に満たされます。

 

また,循環はΓ≡C(xdx+vydy)=C(xdx+uydx)で与えられますから,Γ=0(-ruxsinθ+ruycosθ)dθ=2πB:つまりB=Γ/(2π)です。

 

そこでBは定数なので,∫Cx2(1+y'2)dx=CxdΓ=∫C(ux2+uy2)dx=-0(B2/r)sinθdθ=0 が得られます。

 

したがって,∫Cx2(1+y'2)dx=CxdΓ=0 となり,求める揚力と循環の関係y=-ρUΓが得られました。

 したがって,以上の私の試みによって流れが上の面に沿って速く下の面に沿って遅いときに,ベルヌーイの定理から上向きの力=揚力が生じるというメカニズムを考えれば,このとき負の循環Γ<0 つまり時計回りの循環があることに相当することがわかります。
 
 そこで,クッタ・ジュ-コフスキーの定理により上向きの力=揚力が生じる,という命題と同等である,ということを直接的に示せたのではないかと思います。
 
 逆に,循環がなくて(rot=0)湧き出しQがあるとき抗力Fxと湧き出しQの関係Fx=-ρUQが得られることも上とほぼ同様にして示すことができます。

 

そして循環も湧き出しも共に存在するときは,例えば電気回路の重ねの理と同じように,この場合を上記の2つの場合の重ね合わせと考えることによって,Fx=-ρUQとFy=-ρUΓが同時に成り立つことも言えます。

 

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2007年5月10日 (木)

解の一意性のための必要十分条件(2)(岡村博氏による)

 まず前回からの続きです。

 

 前回の終わりでは解の一意性のための十分条件を拡張することによって,未知関数が1個の場合には一意性のための必要十分条件が得られる,という結論に到達しました。

 

 しかし,そうした条件,殊に必要条件の形式,および証明について,他にも取ることができるかどうかを改めて考えます。

 

 まず,先に到達した条件は形式的にはまだまだ拡張できることがすぐわかります。

 

 実際,関数φの連続性や微分可能性は仮定せず,ただz=0,z>0 に応じてφ(x,z)=0,φ(x,z)>0 であり,さらにφ(x,z)は方程式dz/dx=f(x,z)の解曲線に沿ってxの非増加関数である,とのみ仮定しても一意性の十分条件となることは容易にわかります。

 

 そして,これが一意性の必要条件でもあることは,この場合はきわめて簡単に証明されます。

  

 実際,dz/dx=f(x,z)の解が一意であるという条件で,そのようなφを作るには便宜上f(x,z)は領域{0≦x≦a,-∞<z<∞}にまで定義域が延長されていて,そこで連続かつ有界であるとし,φ(x,z)としては点(x,z)から左に出てくる全ての解z(x)に対する|z(0)|の最小値をとればいいのです。

 

 こう取れば,z>0 に対してφ(x,z)>0 となります。

 

 これは解z=z(x)の初期値z(0)に関する半連続性とz=z(x)の一意性の仮定によってわかります。

 

 すなわち,z>0 のときのφ(x,z)の値はz>0 の(x,z)から左に出る(x>0 かつz>0 の(x,z)を通る)解z=z(x)の初期値z(0)に対して|z(0)|で与えられるので,元々φ(x,z)=|z(0)|≧0 です。

 

 そして,解の一意性の仮定によって初期条件がz(0)=0 の解,つまり原点(0,0)を通って右に出る解はz≡0 (x軸)しかないという理由から,z>0 のときはφ(x,z)=|z(0)|>0 となるしかないからです。

 

 そしてまた,φ(x,z(x))がxの非増加関数である,ことはφ(x,z(x))≡|z(0)|=(一定)なので明らかです。

 

 しかし,これで得られた必要十分条件は先の条件と比較して,あまり意味のない一般化であると言えます。

 

 むしろ,先に与えた元々の条件ではφに連続微分可能という余計な性質を加えてはいますが,そのために非増加という性質は直接Dfφ≦0 というfに関する不等式として表わされるという意味で幾分数学的なものとなっています。

 

 以上に述べた2種類の必要十分条件は未知関数が1個の場合に対するものですが,一般の連立方程式に対してはどうなるか?を考えます。

 

 第2の条件は,そのままn元連立方程式に拡張するのが容易です。ただzの代わりに(z1,z2,..,zn)とし,z=0,z>0 をn次元ベクトル=(z1,z2,..,zn)のノルム||を用いて||=0,||>0 と表現すればいいだけです。

 

 一方,第1の条件においても,一意性の十分条件としては,そのまま,連立方程式にまで拡張して成り立つことは明らかです。

 

 しかし,それが一意性の必要条件であることの1変数に対する上述の証明はn変数に拡張することが困難です。

 

 なぜなら,高次元では1つの積分φ=Cは曲線ではないので,それをdz/dx=g(x,z)の積分として求めるわけにはいかないからです。

 

 つまり,n変数の連立方程式では,条件に現われるφという連続微分可能な関数をいかにして獲得するかが問題になります。

 

 著者は,この問題について数年間,解決を求めて得られなかったけれども,あるとき(1940年1月1日)急に新しい理論を思いつき,それによって解の一意性が保証されている方程式に対して条件に合うφが存在することを証明することができた,と書いています。

 

 そして,このn元連立方程式の場合は特に0 などという特別な値に頼る必要もなく,初期条件が任意のときに解が一意的に決まる条件として,先に連立方程式の場合の一意性の十分条件として与えた条件を採用し,その際に述べた(2n+1)変数の関数Φ=Φ(x,,)の存在の必要性が証明されるということで解決に至っています。

 

 以下ではn元連立方程式の場合の必要性の証明について述べます。 

 

 まず,n次元空間での曲線族Ωを考えます。∀C∈Ωは,区間ICで定義されたn個の微分可能な関数yi(x)(i=1,2,..,n) によって曲線の方程式yi=yi(x) (i=1,2,..,n)で表わされるとします。

 

 そしてΩに属する曲線C上の(n+1)次元空間の点(x,)の全ての集合をEとし,E上の各点Pにおいて,Pを通るΩの曲線が2本以上あるとき,それらはPで同じ方向を持っていてPでお互いに接する,つまりdyi(x)/dxが一致するとします。

 

 そうすれば点集合Eの上でΩによって方向の場が決まるので,それを表わす微分方程式として,例えばdyi/dx=Fi(x,)(i=1,2,..,n)のようなものができます。

 

 しかし,Ωはその微分方程式の一般解,すなわち全ての解を与えるかどうかはわかりません。

 

 つまり,その微分方程式の解曲線でΩに属さないものがE上にあるかもしれないからです。そのような曲線が存在すればそれを包絡線と呼ぶことにします。

 

 そこで,与えられた微分方程式がpeano点を持たないというのは,一般解をΩとするときにΩがEを1重に覆い,Ωは包絡線を持たないということです。しかし一般のΩではそうとは言えません。 

 

ところで,以下で我々はEの任意の2点がΩに応ずる微分方程式の同一の解曲線上にあるための条件を論じます。

 

我々れの目的を考えて,今後Ωは次の仮定を満足するとします。

 

Ωの個々の曲線Cの定義域であるxの区間IC はC によらず一定であるとします。たとえば,IC=I(a≦x≦b)としEは閉集合で,かつΩによって決まる方程式dyi/dx=Fi(x,)(i=1,2,..,n)において右辺の関数Fi(x,)はE上で連続かつ有界とします。

 

 次に,今後の理論に主要となる1つの関数:D(P,Q)というものを,以下のように定義します。

 

 Eの任意の2点をP(xP,yP),Q(xQ,yQ) (xP≦xQ )とします。

 そして区間[P,xQ]を細分しP=ξ0≦ξ1≦..≦ξk≦..≦ξν=xQとして,Ωの1つの曲線Ck上でのξk-1≦x≦ξk に対応する弧をk(左端をk,右端を;k=1,2,..,ν)とします。

 

 そして,これらの点k,に対して和S≡|Q01|+|Q12|+..+|Qν-1ν|+|Qνν+1|を作ります。ただしQ0=P,Pν+1=Qとし|Qkk+1|は平面x=ξk上における2点QkとPk+1の間の距離を表わしているものとします。 

 

 点PとQは固定し,それ以外すなわち区間[P,xQ]を細分した分点ξその個数ν,およびその点を通るΩの曲線Ckについては,あらゆる取り方を許すものとしてSの取ることが可能な全ての値の下限をD(P,Q)で表わすことにするわけです。

 

 このとき,もちろんD(P,Q)≧0 です。そしてxP=xQ なら明らかに(P,Q)=|PQ|です。このように定義された(P,Q)について次の定理が成立します。

 

(a) 2点P,Q(xP≦xQ)がE上で方程式:dyi/dx=Fi(x,)

(i=1,2,..,n)の同一の解曲線上にあればD(P,Q)=0 である。

(b)Eの2点P,Q(xP≦xQ)に対してD(P,Q)=0 なら,2点P,Q

はE上で方程式:dyi/dx=Fi(x,)(i=1,2,..,n)の同一の解

曲線上にある。

 

 まず(a)を証明します。

 

 P,Qが共にその上にある解曲線をΓとしξk-1=xP(k-1)(xQ-xP)/ν (k=1,2,..,ν,ν+1)に応じたΓ上の点をPkとします。

 

 そしてPkを通る解曲線の1つをCkとして,和S≡|Q01|+|Q12|+..+|Qν-1ν|+|Qνν+1|を作れば,これはν→ ∞ のとき,S→ 0 を満たします。

 

何故なら,Fiは有界なので|Fi|≦Mとすれば,ξk-1≦x≦ξkに応ずるΓ上の点k,Pk+1もCk上の点Qkも,全てPkから[(xQ-xP)/ν](1+nM2)1/2以下の距離にあり,もちろんν→∞ でゼロになります。

 

一方、Pk+1kは同じ座標x=ξkに対応するΓの上とCkの上の点であってk+1,kの座標をそれぞれk+1=(ξk,ζk),k=(ξk,ηk)とすれば,|kk+1|=|ζη|です。

 

このとき,Pkの座標は(ξk-1,ζk-1)であって,たった今述べたようにν→ ∞ のとき|Pkk+1|,|Pkk|≦[(xQ-xP)/ν](1+nM2)1/20 となります。

  

(またξk=ξk-1(xQ-xP)/νも成立しています。)

 

ところが,ξk-1≦x≦ξkにあるΓとその近傍CkでのFiの連続性によってFiはΓの近傍で一様連続です。

 

よって,任意にε>0 を与えると,それに対しあるδ>0 が存在して,|Pkk+1|,|Pkk|≦δならξk-1≦x≦ξkのxに対して|Fi(x,)-i(ξk-1,ζk-1)|≦ε/2が成り立つようにできます。

 

すなわち,Γ上のPkk+1とCk上のkkの両方で,その曲線の傾きi(x,)が [i(ξk-1,ζk-1)-ε/2]≦i(x,)≦[i(ξk-1,ζk-1)+ε/2]の範囲内にあることになります。

 

それ故,|Pkk+1|,|Pkk|≦δなら|kk+1|=|ζη|≦ε[(xQ-xP)/ν]ですからS=Σk|ζkηk|≦ε(xQ-xP)です。

 

したがって,ν→ ∞ のとき,|Pkk+1|,|Pkk|→ 0 なのでν→ ∞ のとき,S → 0 が成立します。

 

次に(b)を証明します。

 

P=xQ なら(P,Q)=|PQ|ですから,D(P,Q)=0 はPとQとが一致することを意味し,PとQは同じ解曲線上にあるのは自明です。

 

そこで,以下では,xP<xQとします。

 

そして,このとき(P,Q)の定義においても,ξk-1ξkk-1ξk)と仮定してもかまわないのでそうします。

 

仮定によって,Sの列{S(μ)}μ=1,2,..が存在してμ→∞ に対して(μ) 0 です。ただしS(μ)=Σk|k(μ)k+1(μ)|です。

 

そしてP≦x≦Qなるxに対して,関数Yi(μ)(x)を次のように定義します:yi=Yi(μ)(x)はx=PではPを,x=QではQを与えP<x<Q なるxでは各区間ξk-1(μ)<x<ξk(μ)に対してΩの曲線Ckを与えるものとします。

 

このyi=Yi(μ)(x)は不連続であるとしても,それはせいぜい

点x=ξk(μ)(k=1,2,..,ν)においてのみですから,

 

σi(μ)(x)を不連続点における全ての正負の飛躍の代数和とすれば,

i(μ)(x)-σi(μ)(x)は区間P≦x≦Q で連続であり,明らかに

i(μ)(x)|≦(μ) (P≦x≦Q)です。

 

i=Yi(μ)(x)はx=ξk(μ)(k=1,2,..,ν)以外ではdyi/dx=Fi(x,)の解ですから,i(μ)(x)-σi(μ)(x)=Yi(μ)(xP)-σi(μ)(xP)+∫xPi(t, (μ)(t))dtです。

 

ところがFiが有界なので{i(μ)(x)-σi(μ)(x)}μ=1,2,..は一様有界,同等連続であり,

 

したがって,「Ascoli-Arzelaの定理」によって一様収束する部分列を

持ちます。

 

i(μ)(x)|≦(μ)(μ) 0 (μ→∞)ですから,この部分列の極限をYi(x)とすると,極限においてYi(x)=Yi(xP)+∫xPi(t,(t))dtが得られます。

 

これによって,dyi/dx=Fi(x,)の解曲線yii(x)が2点P,Qを通ることがわかり,Eは閉集合なので,それはE上にあります。(以上証明終わり)

 

ここで,D(P,Q)を定義するための和:SをSPQと書くことにし,P,Q,RをEの3点でP≦xQR とすれば,SPQ+SQRは1つのSPRを構成するので,下限を取ることでinfSPR≦infSPQ+infSQRを得ます。

  

すなわち,一般にD(P,R)≦D(P,Q)+D(Q,R)が成立します。

 

このことから,D(P,Q)はPを固定して点Qがdyi/dx=Fi(x,)の1つの解曲線に沿って動くとき,Qのx座標x=xQの関数と見てxの1つの非増加関数です。

 

そして,一般的に成り立つ不等式:D(P,R)≦D(P,Q)+D(Q,R)において,特にxQRとすればD(Q,R)=|QR|なので,|D(P,Q)-D(P,R)|≦|QR|=|QR|と書くことができます。

 

それ故,Pを固定したとき,D(P,Q)はQの座標(xQ,Q)の関数と見てLipdchitz条件を満足することがわかります。

 

さらに,D(P,Q)は点Qの座標(xQ,Q)の関数と見て連続であることもいえるのですが,長くなるのでこれの証明は割愛します。

 

かくして,

 

"方程式dyi/dx=Fi(x,)(i=1,2,..,n)において,Fi(x,)

は領域E={0≦x≦a,-∞≦yi≦∞ (i=1,2,..,n)}で連続かつ

有界とし,この方程式の原点O(x=y1=y2=..=yn0)から右に

出る解は一意的に決まり,それはx軸(yi≡0)である。

 

したがってもちろんFi(x,0)=0 である。"

 

という前提が成立しているとき,次の命題が成り立ちます。

  

"Eにおけるdyi/dx=Fi(x,)の全ての解曲線は全区間

0≦x≦aまで延長される。この解曲線の族をΩとする。

 

そして,このときP=(x,y1,y2,..,yn)として関数:

φ(x,y1,y2,..,yn)=φ(P)≡D(O,P)を作ると,φ(P)は

Oから出てくる解の一意性の仮定によってPがx 軸上にあるとき

にのみφ(P)=0 を満たし,それ以外ではφ(P)>0 となる。

 

さらにφ(P)=D(O,P)は1つの解曲線の上で非増加関数,かつ

連続関数であり,しかもLipschitz条件をも満たす。"

 

ということになります。

 

そして,Lipschitz条件を満たすということは,D+φ(x,(x))

≡limsuph→0[{φ(x+h,(x+h))-φ(x,(x))}/h]が,

その点におけるyi(x)の方向比dyi/dxのみから完全に確定

することを意味します。

 

実際,2曲線yi=yi(x),yi=zi(x)に対して,考えている点xで

i(x)=zi(x)はもちろん,dyi/dx=dzi/dxも成立して

いるとすると,

 

そのxで,(d/dx){φ(x,(x))-φ(x,(x))}=0 ,

つまり,そのxの近傍で恒等的に,φ(x,(x))=φ(x,(x))が

成り立つことが,Lipschitz条件から従う,ことになるからです。

 

そこで,D+φは(x,)における方向比Fi(x,y)に対して決まり,

かくしてφが解曲線に沿ってxの非増加関数であるということは

+φ≦0 に置き換えられます。

 

この不等式は方程式dyi/dx=Fi(x,)に対して,その解

依存することなく,単にFiに関する条件となっています。 

 

これらを総合して,方程式dyi/dx=Fi(x,)に関する条件が

得られましたが,この条件は解の一意性のための必要条件であり,

しかも十分条件でもあることがわかります。

 

上記の関数φと性質が同じで連続微分可能なものは,いわゆる積分平均の方法などで作ることが可能です。

 

そのとき条件D+φ≦0 は,DFφ≡∂φ/∂x+Σi (∂φ/∂yi)Fi0 になります。

 

あとは必要十分条件のもう1つの表現,つまり別の関数Φ(x,,)による表現を明確に証明するのみです。

 

"方程式dyi/dx=Fi(x,)の右辺の関数Fi(x,)は,ある領域Dで連続とし,Dの各点(x,)から右に出る方程式の解が一意的に決まるとき,Dの内部の任意の点に対しその近傍V上の2点(x,),(x,)について定義され,以下の性質を満たす関数Φ(x,,)が存在する。

 

Φは連続微分可能,かつ,||=0 ならΦ(x,,)=0 ,||>0 ならΦ(x,,)>0 を満たし,さらにDFΦ≡∂Φ/∂x+Σi(∂Φ/∂yi)Fi(x,)+Σj(∂Φ/∂zj)Fj(x,)≦0 という不等式を実現する。"というものです。

 

これは,点P,Q,...を座標が(x,y1,y2,..,yn,z1,z2,..,zn)などで与えられる(2n+1)次元空間の点であると見なして,前と同じように関数D(P,Q)を定義し,φ(Q)=φ(x,,)≡infP∈E(P,Q)とおくことから出発して最終的に連続微分可能で条件を満たすΦ(x,,)の存在を証明する,というプロセスです。

 

そこで,これを具体的に述べればいい,ということになりますが,まあ,本質的な部分ではないと思うので,これを割愛し,この項についてはここで終わりにします。

 

しかし,昔からある程度の知見があって既に何度も考えたことのある

トピックについて書くのとは異なり,ちょっと本屋で買った書物を読

んだだけでそれを理解してその解説をブログに書くには,それを読んだり理解したりする時間も必要なので,

  

いくら暇だからといっても,四六時中ブログを書くという作業だけ

やってるというわけにもいきませんね。

 

参考文献:岡村博 著「微分方程式序説」(共立出版)

 

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2007年5月 9日 (水)

解の一意性のための必要十分条件(1)(岡村博氏による)

2006年12月6日のブログ記事「常微分方程式の解の存在定理①(アスコリの定理)において,次のような記事を書きました。それは以下のような前置きで始まっています。

 

「常微分方程式の解の存在定理」について,何回かに分けて述べてみたい,

と思います。

 

ただし,,主題は「解の存在定理」のみであって,謂わゆる通常の教科書に

っているLipschitz(リプシッツ)条件を仮定した「解の存在と一意性の定理」

ではありません。

 

Lipschitz条件は解の一意性の十分条件ですが,かつて日本人 岡村博氏により解の一意性の必要十分条件が発見されたことは有名です。

 

これの内容については読んだことはありませんが.岡村博 著「微分方程式序説」に掲載されていると思います。(最近,復刻されたようで新装版が神田神保町の三省堂書店5階にありました。) 

 

 そこで,まず,「Peano(ペアノ)の存在定理」でもいいのですが,その代わりに「Euler-Cauchyの逐次近似法(折れ線法)」による存在定理を証明しようと考えたので,それを述べたいと思います。

 

 というのが既に記載した記事の書き出しでした。

 

 ここで,「Euler-Cauchyの逐次近似法」,あるいは「Picard(ピカール)の逐次近似法」というのは,その存在を証明したい解の定義域である独立変数 x の区間を多くの小区間に分割して,各小区間では正規形の1階常微分方程式d y/d x = f (x ,y) の右辺=傾きが一定値であると近似した折れ線近似解によるものです。

 

 ※下は微分方程式の解の折れ線近似の模式図です。

    

 

 結局,この近似において,この区間分割の細分の極限として得られる連続曲線が元の微分方程式の厳密な解になっていることを示すことにより,解の存在を証明する方法ですが,内容的には「Peanoの存在定理」と変わりありません。

 

 そして,この記事の前置き以下では,存在定理の証明に必要な補助定理である"ある区間で一様有界で同等連続な関数の集合が,その区間で一様収束する関数列を含む"という内容の「Ascoli-Arzelaの定理」を証明しています。

 

そして続く2006127日のブログ記事「常微分方程式の解の存在定理②」において解の存在定理の証明が完了しています。

 

ところで,先日神保町の古書店で岡村博 著「微分方程式序説」(共立出版)を入手したので,著者自身の手による解の一意性の必要十分条件の導出と証明を私なりに把握したものを、ここで紹介したいと思います。

 

この本は76ページまでの1~5章が従来の「解の存在と一意性の定理」や「Peanoによる存在定理」の解説に費やされており,77ページから100ページまでの第6章,わずか24ページが解の一意性についての従来の研究と著者自身の独自の研究成果に割かれていました。

 

彼=著者(岡村博氏)が対象としている微分方程式は最初から1個の独立変数 x に対してn個の未知関数 yi()を求める連立n元1階常微分方程式系であり,その一般形が正規形 d yi/d x =Fi(,1,2,..,n)(i=1,2,..,)で与えられるものです。

 

ただし,(n+1)次元のベクトル(,1,2,..,n)を単に(,)と書いて

d yi/d x=Fi(,)という表記も用いています。

 

もっとも,未知関数が有限個である限り,解の存在定理の証明は未知関数が

1個 (n=1)の場合の単なる直線的拡張なので,気にする必要はないと思い

ます。

通常,標準的教科書に載っている「解の存在と一意性の定理」は「Cauchy-Lipschitzの方法」呼ばれるものです。

 

これは微分方程式が,正規形 :d yi/d x=Fi(,) (i=1,2,...,)

で与えられているとき,,

 

(n+1)次元空間のある領域で(,)について,右辺の関数Fi(,)

連続で,かつこの領域に属する2(,),(,)に対してLipschitz条件

という解の一意性のための十分条件:|i(,)-Fi(,)|≦L||

(L>0 はある定数)を満足するという前提に立っています。

 

そして,与えられた領域の各点(0, 0)(0,10,20,..,n0)に対し

,y i()= y i0+∫x0x i(,())dx という形式的に微分方程式の両辺

を積分しただけの等式において,

 

右辺の被積分関数の中の ()に最初は 0 を代入し,結果として左辺に

得られる近似解を再び右辺の ()に代入するという操作を繰り返します。

  

これによって得られる逐次近似解の関数列が,初期条件 yi(0)=y i0

満足する唯一の極限関数に一様収束することを示し,結局はその極限関数

が d yi/d x = Fi(,)の一意的な解であることを証明します。

ただし,Lipschitz条件|i(,)-Fi(,)|≦L||の左辺の|  |は単なる絶対値ですが,右辺の|  |はn次元空間での ()のノルムを示しており,このノルムは n=1の場合には絶対値に一致するように定義されています。

Lipscitz条件は,例えば対象とする領域で Fi(,)が yjについて連続

偏微分可能,つまり偏導関数(∂Fi/∂yj)(,j=1,2,..,)が存在して

,全てが (,)について連続なら満足されます。

 

それ故,Fi(,)の連続性の他に,Lipschitz条件の代わりに Fiが yjで連続偏微分可能という条件を加えた場合にも,解の存在と一意性は成立します。

ところが,Peanoは右辺の関数 Fi(,)の連続性のみを仮定して,微分方程式の解の存在を証明しました。

 

ただし,この連続という仮定だけでは一般に解の一意性は成立しません。

例えば,n=1の常微分方程式:d y/d x= 32/3においては,右辺は y≧0 の領域で連続ですが,y=0 の近傍ではLipschitz条件を満足しません。

 

そして,これは一般解として曲線族 y=(x+C)3を持つと同時に, y=0 という特異解を持ちます。

したがって,x 軸(y=0)上の各点 (-C,0)において,これを通る解として,常に y=0 と y=(x+C)3つが存在するので,初期条件 y(0)=-C を満足する解は存在するのですが一意的ではありません。

 

つの解は,点(-C,0)で d y/d x が共通なので接線を共有します。

 

すなわち,特異解 y=0 (x軸)は一般解y=(x+C)3の包絡線と呼ばれる曲線を表わしています。

こうした初期条件を満足する解が一意的に決まらないような初期値に対応する点,今の場合 x 軸上の全ての点(-C,0)をPeano点と呼びます。

ところで,先にあ述べたLipschitz条件は,解の一意性の十分条件ですが,必要十分条件ではないです。

 

そこで,,もっと緩やかな条件で解の一意性の必要かつ十分な条件を模索する試みがなされてきました。

 

Peanoの一意性を含まない解の存在定理の証明 の後,Osgood(1898)

によって提出された方程式:d y/d x=F(,)に対する解の一意性の

十分条件は,|(,)-F(,)|≦φ(|y-z|)という条件です。

 

ただし,φ()は u>0 のとき正となる連続関数で

0u d u /φ()=∞(u >0)となるものです。

Tonelli(1925)による条件は,これをさらに拡張して,

|(,)-F(,)|≦A()φ(|y-z|)というものです。

 

ここで,関数Φに関しては上と同様で, A は正の関数であり,対象としている x の区間でLebesgueの意味で積分が有限なものです。

 

その頃,吉江(1925)は解の一意性のための1つの必要十分条件を与えて

ます。

 

これは注目に値しますが,それは古典的な一般理論の単なる総合に留まり,

それとは別にその後も解の一意性の十分条件は種々に拡張されたものが

発表されてゆきました。

日本では南雲(1926),清水・福原・弥永(1928)ら,さらに稲葉三男(1929),南雲(1930),福原の総合報告(1932)等が発表されましたが,ここで初めて変数の変換を利用する,という考え方が現われてきました。

つまり,方程式 d y/d x = F(,)において例えば y=φ(,)

未知変数 y を z に変数変換したとき方程式が d z/d x = f (,)

となり,f (,)は領域 D={0≦ x ≦a, 0≦ z ≦b}で連続になるように

できるとします。

そして,このときこの方程式は(.)(0,0)を通って右側 x ≧0 の領域へと出て行く解の1つとして,z ≡0 (x 軸)を有するとします。

 

z ≡0 が解なので,当然ながら f (,0)0 ですが,さらに y=φ(,)となるφ(,)が実際に存在して,これが条件:"z=0 なら φ(,)0;z>0 なら φ(,)0,および Dfφ≡∂φ/∂x+(∂φ/∂z)(,)0 "を満足するとします。

 

このときD上で原点から右側 x ≧0 に出る解はz=0 しか存在しない,という定理が成り立ちます。

これは, z=0 なら φ(,)0 という仮定があるので解 z≡0 は y≡φ(,0)0 に一致しますが,Dfφ= d y/d x =F(,)0 なので y=φ(,)は1変数 x のみの関数として非増加関数でもあります。

初期条件によって ,x=0 では y=0 ですから,d y/d x 0より,x ≧0 では y=φ(,)0 です。

 

ところが,同じく仮定により z >0 なら φ(,)0

(そして z<0 なら φ(,)0 なのですが,今の場合は定義域が z ≧0

に限られているので z<0は考慮する必要はありません。)ですから,

 

φ(,)0 というのはz=0 を意味することになり,x ≧0 では,解はただ

1つ:z=0 しか存在できないわけです。

 

したがって,この仮定が解の一意性のための十分条件になっていることが示されたわけです。

 ここで φ は全く一般の変換を表わしていますから,この定理はφを適当に取り連続性の仮定などをゆるめることによって,既に得られているさまざまな周知の条件や,その他ほとんど全ての解の一意性のための十分条件を変数変換の結果として表わすものであろうと思われます。

 ここで,この定理を未知関数が n 個の方程式:

d yi/d x=Fi(,)(i=1,2,...,)の解である一般の場合に拡張して

上で述べた解の一意性のための十分条件の n 変数に対する命題を書き

下しておきます。

方程式の右辺の関数 Fiが,ある(n+1)次元の領域 Dで定義されていると

し,D の任意の点に対してその点のまわりにある近傍 V が存在するとして,

V の(,)(,)に対して,それらから決まる(2n+1)次元の点

(,,)から成る領域を W とします。

"W で定義された連続微分可能な関数Φ(,,)があって,

ΦやFiの定義域では,常に ,||=0 ならΦ(,,)=0;

||>0 なら Φ(,,)0 ,

 

つ,FΦ≡∂Φ/∂x+Σi(∂Φ/∂yi)i(,)

Σj(∂Φ/∂zj)j(,)0 が成立する。"

 

とすれば,この条件が d yi/d x=Fi(,)の解曲線はDの各点 (0, 0)

から右 (x ≧x 0)に向かってもし存在すれば一意的である,という解の一意

のための十分条件になっていることがわかります。

 つまり,解が存在したとして,それを yi=yi(),および yi=zi()とすれば,

  yi(0)=zi(0)=yi0で,関数φ()をφ()≡Φ(,(),())とおけば

 dφ()/d x=D FΦ(,,)|y=y(x),z=z(x)0 より,

 φ()は非増加関数です。

 

 ||=0 ならΦ(,,)0 ,i(0)=zi(0)=i0 より,

 φ(0)=Φ(0,(0),(0))0 ですから,,

 x ≧ x 0ではφ()0 です。

 

 しかし,φ()≡Φ(,(),())であって ||>0 なら Φ(,,)0

ですから φ()0 でしか有り得ないので yi()=zi()(x ≧ x 0)となる

  しかないということから,解の一意性がいえるわけです。

 そして,この定理で D Φ≦0 だけを逆の不等式 D Φ≧0 に置き換えれ

 ば,x=x 0の左側 x ≦x 0 への一意性の十分条件となりますから,これらを

 合わせると左右両方への一意性の十分条件が得られます。

そうして,先に述べた1変数に関する十分条件は,これの n =1の場合に相当しています。

 

そして,これが実は必要条件でもあるとしたら,それはどういう意味であるかと考えると解が一意的な微分方程式ならそれらは全てこのような条件を満たすということになります。

 それ故,これを示す大体の方針を述べてみます。

 すなわち,d z/d x= f (,)において f (,)は D で連続で f (,0)0 ,

 かつ,D 上で原点から右に出る解は z=0 だけしかないとします。

 

 これに対して、先の条件を満たすような関数φが少なくとも1つ取れるということを,実際にφをつくることによって示せばいいわけです。

 そこで,曲線族φ=C を方程式 d z/d x = g(,)の積分として求めます。

 

 ここで, g(,){0≦ x ≦a,z ≧0}で連続,かつ z > 0 で連続微分可能で

  g(,0)0 ,かつ g(,)≧ f (,)と なり,しかも d z/d x = g(,)

 x 軸 : z=0 上にもPeano点を持たないとします。

 こうした g は一種の補間法によって作られます。

 

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