305. 複素数・複素関数論

2011年3月10日 (木)

線型代数のエッセンス(14)(ユニタリ空間-5)

 線型代数のエッセンスの§4.ユニタリ空間の続きです。

[定義4-65]:A^をユニタリ空間の対称変換(A^+=A^)とする。に対して(A^,)≧0 のとき,A^は負でない(nonnegative:非負である)という。

 このとき,特に"(A^,)=0 ⇔0 "であるなら,A^は正(positive),or 正定符号(positive-definite:正定値)であるという。

 

(注):A^が対称変換(A^+=A^)のとき,(A^,)*=(,A^)=(A^,)より,(A^,)が実数であることは保証されています。※

[定理4-66]:ユニタリ空間の負でない(非負の)変換の負でない実数を係数とする1次結合は負でない変換である。(← 自明)

[定理4-67]:A^をユニタリ空間の任意の1次変換とすると,A^A^+,およびA^+A^は共に負でない対称変換(nonnegative-Hermite)である。

(証明)A^をユニタリ空間の任意の1次変換とします。

まず,(A^A^+)+=(A^+)+A^+=A^A^+,(A^+A^)+=A^+(A^+)+=A^+A^ですからA^A^+,A^+A^は確かに対称変換です。

次に,∀に対して(A^A^+,)=(A^+,A^+)=|A^+x|2≧0,(A^+A^,)=(A^,A^)=|A^x|2≧0 も明らかです。

 

(証明終わり)

[定理4-67の系]:任意の対称変換の平方は負でない対称変換である。

(証明)A^+=A^なのでA^2=A^+2=A^A^+=A^+A^ですから,定理によって自明です。(証明終わり)

[定理4-68]:ユニタリ空間の負でない対称変換の固有値は負でない実数である。

(証明)A^をユニタリ空間の負でない1次変換とします。

=α(,0)とすれば,(A,)=α(,)=α|a|2≧0 であり|a|20 なのでα≧0 を得ます。(証明終わり)

[定理4-69]:ユニタリ空間の対称変換A^の固有値が全て負でない実数ならA^は負でない1次変換である。

(証明)A^はn次のユニタリ空間の対称変換でA^の全ての固有値(重複を含めたA^のn次固有多項式の根)をα12,..,αnとします。

そして12,..,αnのそれぞれに属する固有ベクトルを正規化したの正規直交基を1,2,..,nとします。

=Σj=1nξjjと書けます。

  

このについては,(A^,)=(A^(Σj=1nξjj),Σk=1nξkk)=Σj=1nΣk=1nξjξk*(A^j,k)=Σj=1nΣk =1nξjξk*αj(j,k)=Σj=1nΣk =1nξjξk*αjδjk=Σj=1nαjj|2と書けます。

  

仮定によってαj0 (j=1,2,..,n)ですからに対して(A^,)≧0 です。(証明終わり)

[定理4-70]:ユニタリ空間の負でない対称変換A^が正定符号である。⇔ A^は正則な変換である。

(証明)A^はn次のユニタリ空間の対称変換でA^の全ての固有値(重複を含めたA^のn次固有多項式の根)をα12,..,αnとします。

^は対称変換ですからAの行列は対角成分が固有値α12,..,αnの対角行列に同値ですから,その行列式は|A|=detA=α1α2..αnで与えられます。

 したがって,A^が正則でない:|A|=0 なら,あるjについてはαj=0 となります。

 

 それ故,α12,..,αnの固有ベクトルを正規化したの正規直交基1,2,..,nに対して,このjについては(Aj,j)=αj=0 となるため,A^は正定符号ではありません。

 一方,A^が正則:|A|≠0 なら,αj>0 (j=1,2,..,n)ですからの任意の元:=Σj=1nξjjに対して(A^,)=Σj=1nαjj|2>0 が成立します。

 しかも,(A^,)=0 となるのはξj=0 (j=1,2,..,n),つまり0 のときだけですからA^は正定符号です。(証明終わり)

[定理4-71]:ユニタリ空間の負でない対称変換A^に対してA^=B^2を満足する負でない対称変換B^が唯一つに限って存在する。さらにA^と可換な1次変換は全てB^とも可換である。

(証明)A^はn次のユニタリ空間の対称変換でA^の全ての固有値(重複を含めたA^のn次固有多項式の根)をα12,..,αnとします。

そして12,..,αnのそれぞれに属する固有ベクトルを正規化したの正規直交基を1,2,..,nとします。

このとき,αj≧0なので1次変換B^をB^j≡αj1/2j(j=1,2,..,n)によって定義します。

 

すると,B^の固有値は明らかにαj1/2(j=1,2,..,n)であり,固有値が全て負でないのでB^は負でない対称変換です。

しかも,B^2j=αjj=A^j(j=1,2,..,n)が成立しますからA^=B^2です。

 

次に1次変換X^がA^=B^2と可換であるとします。

 

すなわち,A^X^=X^A^とします。A^,B^,X^の1,2,..,nとによる行列A,B,Xは適当な配列に対して,

 

可換条件:A^X^=X^A^:XA=AXはαjjk=Xjkαk (j,k=1,2,..,s),つまり(αj-αk)Xjk=0 を意味します。

 

この行列の細胞表現ではj≠kならαj≠αkなのでj≠kならXjk=0 であり,Xの非対角成分はゼロです。

 

それ故,行列X,BX,XBの具体的な形が次のように書けます。

以上から,B^X^=X^B^を得ました。

 

次にB^とは別に,A^=C^2で負でない対称変換C^があるとします。

 

先のA^の行列表現Aのs×s個の細胞分割に対応して,空間12..sとA^の不変部分空間j(j=1,2,..,s)の直和に分解されます。

 

明らかにC^A^=A^C^ですからjはC^に対しても不変です。

  

またC^は対称変換なので各部分空間jにおいてC^の固有ベクトルから成る正規直交基が存在します。それらに対応するC^の固有値をγj1j2,..,γとします。

  

また,A^,B^,C^の不変部分空間に誘導される変換をAj^,Bj^,Cj^と書きます。

 

するとAj^=αjj^,Bj^=αj1/2j^,かつAj^=Cj^2なのでγj12=γj22=..,γ2=αjです。

 

したがって,Cj^=αj1/2j^=Bj^です。

 

それ故,C~=B^であり一意性も示されました。(証明終わり)

 

[定理4-72]:ユニタリ空間の互いに可換な負でない対称変換の積は負でない対称変換である。

  

(証明)A1^,A2^をユニタリ空間の互いに可換な負でない対称変換とします。

 

 [定理4-71]によりA1^=B1^2,A2^=B2^2を満たす負でない対称変換B1^,B2^が存在して,これらも可換です。

 

 故に,A1^A2^=B1^22^2=B1^B2^B1^B2^=(B1^B2^)2が成立します。

 

 ところで,B1^B2^=B2^B1^なので[定理4-58](ⅲ)よりB1^B2^は対称であり,負でないことも明らかですから,[定理4-67の系]によってA1^A2^は負でない対称変換です。(証明終わり)

 

[定理4-73]:ユニタリ空間の任意の1次変換A^はある対称変換B^,C^によってA^=B^+iC^の形に表わすことができる。

 

 また,実ユニタリ空間の任意の1次変換A^はある対称変換B^,反対称変換C^によってA^=B^+C^の形に表わすことができる。

  

(証明)B^≡(A^+A^+)/2,C^≡(A^-A^+)/(2i)と置けばA^=B^+iC^でありB^+=(A^++A^)/2=B^,C^+=(A^+-A^)/(-2i)=C^となってB^,C^は対称であることがわかります。

 

 また,B^≡(A^+A^+)/2,C^≡(A^-A^+)/2と置けばA^=B^+C^であり,B^+=(A^++A^)/2=B^,C^+=(A^+-A^)/2=-C^となってB^は対称,C^は反対称であることがわかります。(証明終わり)

  

[定理4-74](補助定理):ユニタリ空間の1次変換A^,B^がベクトルの長さを同じように変える:つまり∀に対し(A^,A^)=(B^,B^なら,あるユニタリ変換U^が存在してB^=U^A^と書ける

 

(証明)≡A^,≡B^とします。

 

 ∀に対し,あるが存在して=A^です。このとき,≡B^とすればに対して一意的です。

 

 何故なら,もし=A^1ならA^(1)=0 ですが,仮定により(A^(1),A^(1))=(B^(1),B^(1))=0 なのでB^(1)=0 よりB^=B^1となるからです。

 

 そこで,変換V^を上述のようにに対応させるからへの写像:=V^として定義します。

 

 そしてA^とB^は対等なので同様にに対して一意的ですから,V^は1対1写像です。

 

 この定義から,あるについてV^A^=B^です。

 

 次に1,2,α,β∈とします。そして,1=A^1,2=A^2 (ただし1,2)とします。

 

 このとき,V^(α1+β2)=V^(αA^1+βA^2)=B^(α1+β2)=αB^1+βB^2=αV^1+βV^2なのでV~は1次変換です。

 

 また,(V^1,V^1)=(V^A^1,V^A^1)=(B^1,B^1)=(A^1,A^1)=(1,1)です。

 

 以上からV^はからへの同型写像です。

 

 次に,およびそれぞれの直交補空間,およびを考えます。です。

 

 ところがが同型:dim=dimなので,dim=dimですからも同型です。

 

 それ故,からへの同型写像W^が存在するはずです。

 

 つまり,a',"∈,α,β∈ならW^a',W^"∈でW^(α'+β")=αW^'+W^",かつ(W^a',W^")=(a',")を満たす変換W^が存在します。

 

 そして,∀'+x",'∈,"∈と常に一意的に直和分解できますから変換U^をU^≡V^'+W^"で定義します。

 

 すると,∀,,α,β∈に対しU^(α+β)=V^(α'+β')+W^(α"+β")=αU^+βU^が成立するため,変換U^は線型です。

 

 また,(U^,U^)=(V^'+W^",V^'+W^")=(V^',V^')+(W^",W^")=(',')+(",")=(,)です。

 

 したがってU^はユニタリです。さらにU^A^=V^A^=B^ですから,B^=U^A^を得ます。(証明終わり)

 

[定理4-75]:ユニタリ空間の任意の1次変換A^はユニタリ変換U^(U^+=U^-1)と負でない対称変換D^(D^+=D^)の積としてA^=U^D^と一意的に分解される。この分解を極分解という。

  

(証明)A^をユニタリ空間の任意の1次変換とすると,[定理4-67]よりA^+A^は負でない対称変換です 。

  

 それ故,[定理4-72]からA^+A^=D^2を満たす負でない対称変換D^が存在して一意的です。

 

 そして,∀∈Lに対して(A^,A^)=(,A^+A^)=(,D^2)=(D^,D^)ですから,[定理4-73]によりA^=U^D^,U^+=U^-1と書けます。

  

 逆に,U^+=U^-1,D^+=D^でA^=U^D^ならA^+=D^U^-1よりA^+A^=D^2です。D^を非負に限るとこれを満たすD^は一意的です 。

 

 そして,A^が正則ならD^も正則なのでU^=A^D^-1となりU^も一意的です。

 

 A^が正則でないならD^も正則でないのでD^は負ではないですが正定符号ではないため,A^,D^は共にゼロ固有値を持ちます。

 

 ゼロ固有値以外の不変部分空間ではA^に対してU^は一意ですがそれ以外では不定です。??(証明終わり)

 

[定理4-75の系]:ユニタリ空間の任意の1次変換A^は負でない対称変換D^(D^+=D^)とユニタリ変換U^(U^+=U^-1)の積としてA^=D^U^と一意的に分解される。

 

(証明)[定理4.75]の証明においてA^+A^=D^2の代わりにA^A^+=D^2とするだけです。(終わり)

 

[定理4.76](Cayley変換):ユニタリ空間の対称変換をA^(A^+=A^)とすると,A^±iE^は逆を持ち,U^≡(A^-iE^)(A^+iE^)-1で与えられる変換U^はユニタリである。

 

 このU^は固有値として1を持たず,またA^=-i(U^+E^)(U^-E^)-1はと表わされる。

 

 逆に,U^がU^+=U^-1を満たし1に等しい固有値を持たないならU^-E^は可逆でA^≡-i(U^+E^)(U^-E^)-1は対称でありU^はU^≡(A^-iE^)(A^+iE^)-1で与えられる。

 

(証明)まず,A^+=A^よりA^の固有値は実数であって±iではないので|A±iE|≠0 ですからA^±iE^は正則です。

 

 そして,(A^+iE^)(A^-iE^)=A^2-iA^+iA^+E^=(A^-iE^)(A^+iE^)です。これから(A^+iE^)-1と(A^-iE^)-1も可換です 。

 

 そこで,U^≡(A^-iE^)(A^+iE^)-1とするとU^+=(A^+iE^)+-1(A^+iE^)+=(A^-iE^)-1(A^+iE^)よりU^U^+=E^が成立することは自明です。

 

 次にU^-E^=(A^-iE^)(A^+iE^)-1-E^なので,(U^-E^)(A^+iE^)=-2iE^です。

 

 故に,(U^-E^)-1=(A^+iE^)/(-2i)です。|U-E|≠0 なのでU^は固有値として1を持ちません。

 

 しかも,(U^-E^)A^=-2iE^-iE^(U^-E^)=-iE^(U^+E^)より,A^=-i(U^+E^)(U^-E^)-1となります。

 

 逆も同じように直線的なので以下省略します。(証明終わり)

 

 この線型代数シリーズはここで一区切りにします。

 

参考文献:ア・イ・マリツェフ(柴岡康光 訳)「線型代数学」(東京図書)

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2009年7月 4日 (土)

コーシーの主値(主値積分)

 コーヒー・ブレイクとして,数学のあるショートトピックを

 考察してみます。

 

 ちょっと思い付きで,コーシー(Cauchy)の主値,あるいは主値積分と

 呼ばれているものを考えます。

 

 Cauchyの主値というのは,

 実数の区間[a,b]で定義された関数f(x)がa<c<bなるある点

 cで不連続なとき,

 P∫af(x)dx≡limε→+0[∫ac-εf(x)dx+∫c+εbf(x)dx]

 と定義し,これを主値(積分)(principal value)

 と呼ぶことを指します。

 

 これは,区間[a,b]が無限区間(-∞,∞)で被積分関数が

 f(x)/x (f(x):連続関数)の場合には,

 P∫-∞{f(x)/x}dx=limε→+0[∫|x|≧ε{f(x)/x}dx]

 です。

 

 複素平面上の実軸を含む領域でf(z)が正則なとき,

 主値P∫-∞{f(x)/x}dxを,複素z平面上のある経路Cに

 おける線積分∫C{f(z)/z}dzで近似することを考えます。

 

 Cとしては,実軸上の-∞から-εまで真っ直ぐ進み,原点Oを回避

 するために,Oを中心として半径εの小円で点-εから点εまで時計

 回り(負の向き)にπだけ回る半円経路を加え,さらにεから∞までの

 直線経路を考えたものとします。

 

つまり,小半円の経路をγ-とすると,全経路は,

C=(-∞,-ε)∪γ-∪(ε,∞)です。

すると,∫C{f(z)/z}dz

=P∫-∞{f(x)/x}dx+∫γ-{f(z)/z}dz

と書けます。

 

ところが,明らかに,

γ-{f(z)/z}dz=i∫π0f(εexp(iθ))dθ

=-iπf(0)です。

 

それ故,∫C{f(z)/z}dz

=P∫-∞{f(x)/x}dx-iπf(0)

なることがわかります。

 

 被積分関数f(z)/zに対し,その特異点であるz=0 付近で

 上半平面方向に歪めた経路C=(-∞,-ε)∪γ-∪(ε,∞)を

 取る代わりに,

 

 通常の(-∞,∞)の経路のまま,被積分関数の方をf(z)/z

 からf(z)/(z+iε)に微修正して,特異点をz=0 から

 下半平面のz=-iεに移すのは,事実上,同等な操作であり,

 同じ積分値を与えるはずです。

 すなわち,∫-∞{f(x)/(x+iε)}dx=∫C{f(z)/z}dz

 =P∫-∞{f(x)/x}dx-iπf(0) です。

 

 同様な考察から∫-∞{f(x)/(x-iε)}dx

 =∫C{f(z)/z}dz=P∫-∞{f(x)/x}dx+iπf(0)

 も得られます。

 

 これらの公式を,形式的に,

 1/(x+iε)=P(1/x)-iπδ(x), 1/(x-iε)

 =P(1/x)+iπδ(x) と書きます。

 

 主値積分については,Cauchyの積分定理を意識して,上半平面や

 下半平面で,半径が∞の半円周を加えた閉じた経路を積分経路C

 とする説明をよく見かけますが,それは半径が∞の半円周上で積分

 がゼロになるような特別な被積分関数形を要求します。

 

 留数などを考慮する必要がある場合なら,その方がいいでしょうが,

 上の考察では,関数f(z)がz→ ∞でゼロに急減衰すべきであると

 かの条件は全く必要ないのがミソです。

 

 今日は記憶に頼った短かい覚え書きなので参考文献はありません。

 

PS:2ヶ月ぶりに帝京大病院に診察を受けに行きました。

 

 これまでは内科診療は心臓や血管が専門の主治医I先生だけでした

 が持病の糖尿病がかなり悪化しているというので,今回からMという

 糖尿病が専門の女の先生の診療も受けることになりました。

 

 ところが,先に診察を受けた糖尿病の方で,12時直前に受けた診察

 で,朝9時半に検査した結果の糖尿病の指標であるヘモグロビン

 (HbA1C;正常値4.3~5.8)が,前回(5月8日)まで,11くらいもあっ

 たのに,8.6と劇的に軽減されていたので,

 

 当然インシュリン注射の指導をする予定だったらしい女医が,

 これまで通りの投薬で様子を見るということになりました。

  

 空腹時血糖値は200丁度でしたが,これも前回は確か250くらい

 だったので減っていたし,今日は朝8時頃おにぎりを食べてきた

 ので完全に空腹というわけではありませんでした。

 

 別に何をしたというわけもなく,このところ金がなくて空腹続き

 だったのが良かったのでしょうか?

 

 最近,何かしましたか?生活が変わりましたか?等聞かれましたが,

 相変わらず薬はよく忘れて半分くらいは残っているし,別に,貧乏で

 肉類が少なく空腹だったくらいです。

   

 そういえば,先月初め,知り合いに紹介されて面接した秋葉原の

「コタラヒムジャパン」という会社

 http://kothalahim.blog110.fc2.com/blog-entry-9.html 

 が,偶然にも和名「コタラヒム」という名前の糖尿病に効くらしい

 スリランカの薬草を販売している会社でした。

   

 そのとき,対面したS会長に自分も長年糖尿病である旨を伝えたら,

 サンプル試供品の「コタラヒム」を20粒程度頂きました。

 

 これを食前2錠ずつ飲んでいたのを思い出しました。

 

 まだ,数粒残っているので,毎日飲んだわけではないようです。

  

 このことを言ったら,後で診察を受けた糖尿が専門ではない

 心臓病の主治医は少し興味を持ったようでしたが,糖尿病が専門の

 医者には「毒かもしれないから,変なものは飲まないように」

 と言われました。

 

 私のデータが改善された理由は,十分な比較サンプルもないので,

 もちろん何の効果かははっきりしないのでしょうが,そもそも

 インシュリン投与の対症療法しかない糖尿病だし,

 

 専門の立場からは,イカガわしいモノが多い,という気持ちはわかり

 ますが,別に私はその会社の回し者ではないし,頭から拒否しない

 で調べるくらいしてもいいのに。。と思いました。

 

 (※その理由は,何でも薬は効きさえすればいいのだと思う。。

 もっとも,大きな副作用があれば別ですが。。)

 

 心臓,血管関係では,2年前のバイパス手術退院当時,上が85~90

 だった血圧が120と正常になってました。

 

 また,退院時52キロだった体重も61キロと戻ってきました。

  

 しかし,身長が176センチなので,まだまだやせていて太りたいの

 ですが,ここ数年来摂取カロリーが成人標準の半分程度なので,

 やせるのも仕方ないでしょう。

 

 だからこそ,食事療法などは無駄だから,インシュリンを投与しろ

 ということらしかったのですが。。。

 

 また,これまで,フラフラして転びやすいのは,主に低血圧のせいと

 思っていたら,赤血球も正常下限値の8割しかなくて貧血もあるよ

 うでした。

 

 その他は腎臓が蛋白+2で少し悪い以外は全て正常値でした。

  

 念のため,次回はほぼ全部の内臓の超音波(エコー)検査をすること

 になりました。

 

 また,4月末にやった両足首の動脈の検査結果から,足の動脈硬化

 らしいので薬ももらいましたが,来週下半身のMRI検査をして,

 場合によっては足の動脈のカテーテルか,バイパス手術もあるらし

 いです。

 

 そうだとしても,今度は心臓ではなく足なので危険度ははるかに

 少ないでしょう。

 

 糖尿病状態の急激な変化は,たとえ軽癒の場合でも眼底によくな

 いとのことで,同じ日に久しぶりに眼科の診察も受けることにな

 りました。

 

 こうした検査は人間ドック以上にお金がかかるだろうとはいえ,

 これまで定期的に受けてきた診察では何もなかったのに,5月に

 病院の建物や施設が新しくなったとたんに,こう色々と出てくる

 のでは今までは一体何だったんだろう?と思ってしまいます。

 

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2008年8月14日 (木)

三角関数を含むある関数の定積分

 今日はちょっと気になる計算があったので計算をしてみました。実はT_NAKAさんのブログの2008年8/10の記事「 T_NAKAの阿房ブログ(高次モーメントを考える)」に関連したものです。。

 普通は公式集にあるものなら全面的にそれに頼り,わざわざ確かめたりもしませんが,偶々,所持している岩波の数学公式集,丸善の新数学公式集を見ても,適合するものが全く見つからなかったため,自力で計算せざるを得ず,実行しました。

 

 夏休み中で頭もボーッとしているし,最初予想していた結果と違っていたこともあって,かなり手間取りました。

計算するのは,定積分:Ik≡∫-∞k(x)dx=∫-∞dx[xkcos2x/{x2-(π/2)2}2]=∫-∞dx[xkcos2x/{(x-π/2)2(x+π/2)2}](k=0,1,2,..)です。

これはkが奇数なら被積分関数:fk(x)=xkcos2x/{x2-(π/2)2}2が,xの奇関数なので,その積分はゼロですから,以下ではkは偶数であるとし,fk(x)がxの偶関数の場合のみを計算します。

x=±π/2はfk(x)の特異点,特に極であるように見えますが,実は真の特異点ではありません。

 

例えばy≡x-π/2と変数変換すれば,fk(x)=xkcos2x/{(x-π/2)2(x+π/2)2}=(y+π/2)ksin2y/{y2(y+π)2}なので,y→ 0ではfk(x)→ (π/2)k2,y→ -πではfk(x)→ (-π/2)k/(-π)2となります。

 

そこで,y=0,-π,すなわち,x=±π/2は,fk(x)の真の特異点ではなく,これらの点でx→±π/2でのfk(x)の極限値をfk(±π/2)と定義すれば被積分関数fk(x)はx=±π/2でも連続なので,普通に積分を実行することができます。

 しかし,実際にxを実数のままで,この積分を評価するのはかなり面倒なのでxを複素変数zに変えて,複素z平面である閉曲線Cを周回する積分を考えてみます。

 

 その際,cos2z=[{exp(iz)+exp(-iz)}/2]2={exp(2iz)+exp(-2iz)+2}/4 なので,Ik(C)≡∫Ck(z)dz=∫Cdz[zk{exp(2iz)+exp(-2iz)+2}/{4(z-π/2)2(z+π/2)2}](k=0,1,2,..)を計算します。

 

 これ自身は,上に述べたようにz=±π/2も含めてfk(z)が全z平面で解析的なのでCが閉曲線の場合には常にIk(C)=0 です。

まず,∫Cdz[zkexp(2iz)/{(z-π/2)2(z+π/2)2}を考えます。原点を中心としR>>1で実軸上[-R,R]を直径=2Rとする上半円周をCとします。

  

ただし,今の場合,被積分関数はfk(z)ではなく,その一部gk(z)≡zkexp(2iz)/{(z-π/2)2(z+π/2)2}です。

 

これに対しては,z=±π/2 は確かに真の特異点(極)なので,Cは点±π/2 の周りでは特別に回避経路としてA±≡limε→ +0{z(θ)|z(θ)=±π/2+εexp(iθ),θ:π→ 0 (時計回り)}で与えられる微小半径ε>0 の上半円周経路を含むとします。

そして,Cの無限遠を意味する半径Rの円周上の点z=Rexp(iθ)=R(cosθ+isinθ) (0≦θ≦π)では,|∫gk(z)dz|=πR|zkexp(2iz){(z-π/2)2(z+π/2)2}|z|=R ~πRk-3exp(-2Rsinθ)→ 0 ですから,これの寄与は無視できます。

 

結局,0=∫C+dz[zkexp(2iz)/{(z-π/2)2(z+π/2)2}]=∫-∞dz[zkexp(2iz)/{(z-π/2)2(z+π/2)2}]+A+Aなる表現で書けます。

 

ここで,微小半円経路A±を回る積分の寄与を同じ記号A±で省略する表現をしました。

∫gk(z)dzにおけるA±の寄与を評価する必要がありますが,これは被積分関数のローラン展開において 1/(z±π/2)の係数に(-πi)を掛けたもので与えられます。

 

これはAの場合には,limz→(-π/2)(d/dz)[(z+π/2)2k(z)]で与えられます。

 

すなわち,limz→(-π/2)(d/dz)[zkexp(2iz)/(z-π/2)2]=limz→(-π/2)[{(kzk-1+2izk)/(z-π/2)2-2zk/(z-π/2)3}exp(2iz)]=-(-π/2)k-1(k-πi)(-π)-2+2(-π/2)k(-π)-3=(πk-3/2k-1)(k-1-πi)です。

 

したがって,結局A=(-πi)(πk-3/2k-1)(k-1-πi)が得られました。ここで,kが偶数であることを用いました。

同様にAの場合には,limz→π/2(d/dz)[(z+π/2)2k(z)]=limz→π/2[{(kzk-1+2izk)/(z+π/2)2-2zk/(z+π/2)3}exp(2iz)]=(π/2)k-1(k+πi)π-2-2(π/2)kπ-3=(πk-3/2k-1)(k-1-πi)ですから,A=(-πi)(πk-3/2k-1)(k-1-πi)=Aです。

 

以上のことから,∫-∞dz[zkexp(2iz)/{(z-π/2)2(z+π/2)2}]=-(A+A)=-2A=(2πi)(πk-3/2k-1)(k-1-πi)が得られました。

また,被積分関数gk(z)≡zkexp(-2iz)/{(z-π/2)2(z+π/2)2}に対しては,原点を中心としR>>1で実軸上[-R,R]を直径=2Rとする下半円周をCとすれば,同様な考察から 0=∫C-dz[zkexp(-2iz)/{(z-π/2)2(z+π/2)2}]=∫-∞dz[zkexp(2iz)/{(z-π/2)2(z+π/2)2}]+B+Bを得ます。

 

ここで,B±はA±と同様に実軸上の特異点±π/2を回避する微小な下半円周経路B±≡limε→ +0{z(θ)|z(θ)=±π/2+εexp(iθ),θ:-π→ 0 (反時計回り)}における積分の寄与です。

そして,B+B=2B=(2πi)(πk-3/2k-1)(k-1+πi)となりますから,∫-∞dz[zkexp(-2iz)/{(z-π/2)2(z+π/2)2}]=-(B+B)=-2B=(-2πi)(πk-3/2k-1)(k-1+πi)です。

したがって,cos(2x)={exp(2iz)+exp(-2iz)}/2によって,上に得られた2つの積分等式を加え合わせて2で割ると,∫-∞dx[xkcos(2x)/{x2-(π/2)2}2]=∫-∞dx[xkcos(2x)/{(x-π/2)2(x+π/2)2}]=2(π/2)k-1が得られます。

一方,∫Cdz[zk/{(z-π/2)2(z+π/2)2}]において±π/2は2位の極なので留数はゼロですから,例えば閉路Cを,C=Cに取れば 0=∫C+dz[zk/{(z-π/2)2(z+π/2)2}]=∫-∞dz[zk/{(z-π/2)2(z+π/2)2}]+lim R→∞|z|=Rdz[zk/{(z-π/2)2(z+π/2)2}]となります。

被積分関数がgk±(z)=zkexp(±2iz)/{(z-π/2)2(z+π/2)2}の場合と異なり,zk/{(z-π/2)2(z+π/2)2}の場合にはC=Cに取ろうと,C=Cに取ろうと,半円の半径R→ ∞で円周積分が必ずしもゼロにはなりません。

以上から,2∫-∞dx[xkcos2x/{x2-(π/2)2}2]=∫-∞dx[xk{1+cos(2x)}/{x2-(π/2)2}2]=∫-∞dx[xk/{x2-(π/2)2}2]+∫-∞dx[xkcos(2x)/{x2-(π/2)2}2]=-lim R→∞|z|=Rdz[zk/{z2-(π/2)2}2]+2(π/2)k-1が得られました。

右辺第1項はz=Rexp(iθ),dz=iRexp(iθ)dθによって∫|z|=Rdz[zk/{(z-π/2)2(z+π/2)2}]=iR∫0πdθ[Rkexp(ikθ)/{(Rexp(iθ)-π/2)2(Rexp(iθ)+π/2)2}]となりますから,R→∞では|∫|z|=Rdz[zk/{(z-π/2)2(z+π/2)2}]|~πRk+1/R4と書けます。

 

-∞dx[xk/{x2-(π/2)2}2]は実関数の実数積分であり,被積分関数はkが偶数ならx∈(-∞,∞)では非負なので,この積分の符号は非負です。

 したがって,kが偶数故k=2mとおくと,この項はm=0,1,すなわちk=0,2では(k+1)<4 によって,ゼロに収束しますが,m≧2 or k≧4 では,(k+1)>4 なので ∞ に発散します。

 以上からIk≡∫-∞k(x)dx=∫-∞dx[xkcos2x/{x2-(π/2)2}2]=∫-∞dx[xkcos2x/{(x-π/2)2(x+π/2)2}](k=0,1,2,..)はkが偶数の場合,k=0,2 ならIk=(π/2)k-1となって有限値,kが4以上のk=4,6,..ならIk=∞+(π/2)k-1となって∞ に発散するという結果が得られました。

 kが奇数の場合ならIkはゼロです。

 しかし,この結果には少し自信がありません。

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2008年2月16日 (土)

実数から複素数へ

せっかくデデキントの切断(Dedekind's cut)によって有理数から実数を定義したのですから,やはり39年くらい前の大学1~2年の頃の解析学の化石的ノートから,複素数の定義も記述しておきます。

 

要するに,また,得意の手抜きです。もっとも複素関数論ではなく複素数の話だけならカテゴリーとしては解析学の話ではなく代数学的,あるいは幾何学的な話ですね。

これまでと同じく実数の集合(set of reals)をで表記します。

 

これは四則演算を加味した代数の意味では,体(field)を作りますから,

特に実数体(real field)を表わす記号でもあります。

 

[定義1]:(複素数:complex)

  

 複素数とは2つの実数a,b∈の順序対,または2次元の数ベクトル(a,b)のことであり,実数をa,b,.,複素数をx,y,.で表記することにすれば

 ,

 x=(a,b),y=(c,d)(c,d∈)のとき,"xとyが等しい:

 x=yであるとは,a=cかつb=dが成り立つことである。"

  

 また,これらの和,または加法,および積,または乗法の演算が,

 それぞれ,x+y≡(a+c,b+d),および

 xy≡(ac-bd,ad+bc)で定義されるものをいう。"

 

 そして,こうして得られる複素数全体の集合をと書くことにする。

     特に,複素数(1,0)と(0,0)については,取り合えず,

 u≡(1,0),n≡(0,0)と表記することにします。

[定理1]:x,y,zを任意の複素数,すなわち∀x,y,z∈とする。 

 このとき,

  

(a)x+y=y+x,

(b)(x+y)+z=x+(y+z), 

(c)xy=yx,

(d)(xy)z=x(yz),

(e)(x+y)z=xz+yz が成立する。

 

(証明)x+y≡(a+c,b+d),およびxy≡(ac-bd,ad+bc)による加法,乗法の定義に従って実際に演算を行えば確かに成立することがわかるので省略します。

 以下,証明を省略した定理を2つ述べます。

[定理2]:∀x∈に対しx+n=x,xn=n,xu=xが成り立つ。

 

[定理3]:x,y,z∈とする。x+y=x+zならばy=zである。

[定理4]:(逆元(inverse)の存在) 

 ∀x∈に対してx+y=nを満たすy∈Cが唯1つ存在する。

 このyを-xと書く。

 

(証明)x=(a,b)のとき,y=(-a,-b)とすればいいです。 

(証明終わり)

[定理5]:∀x,y∈に対してx+(-y)をx-yと書くことにする。

 このとき,

(a)x-x=n,および

(b)(-x)y=x(-y)=-(xy) =(-u)(xy) が成立する。

 

(証明)略。 

この定理の故に,(-x)y=x(-y)=-(xy)

=(-u)(xy)を単に-xyと書くことにします。

[定義2]:(絶対値:absolute value) 

 ∀x∈に対し,x=(a,b)(a,b∈)なら

 |x|≡(a2+b2)1/2と書き,|x|をxの絶対値と呼ぶ。

[定理6]:∀x,y∈に対し,

(a)x≠nなら|x|>0 である。 また|n|=0 である。

(b)|xy|=|x||y|が成り立つ。

 

(証明)略。

[定理7]:x,y∈に対しxy=nならx=n,またはy=nである。

 

(証明)[定理6]より,xy=nなら|xy|=|x||y|=0 ,

故に|x|=0,または|y|=0 です。

 

 そこで再び[定理6]からx=n,またはy=nです。(証明終わり)

[定理8]:x,y,z∈,xy=xzでx≠nならy=zである。

 

(証明)x(y-z)=xy-xz=nでx≠nなので[定理7]によって

y-z=n,よってy=zです。(証明終わり)

 

[定理9]:∀x∈,ただしx≠nに対し,xy=uを満たす複素数y

が唯一つ存在する。このyをu/xと書く。

 

(証明)x=(a,b)(a,b∈)とすると,x≠n故,a2+b20

です。そこで,y≡(a/(a2+b2),-b/(a2+b2))とおけば,

 

 確かにxy=(a,b)(a/(a2+b2),-b/(a2+b2))=(1,0)

 =uとなります。

  

 そして,このy=u/xの一意性は[定理8]より明らかです。 

 (証明終わり)

[定理10]:(除法) 

 ∀x,y∈,ただしx≠nに対してxz=yを満たす複素数zが

 唯一つ存在する。このzをy/xと書く。

 

(証明)z≡(u/x)yとおけば,xz=uy=yです。(証明終わり)

[定理11]:(実数) 

 a,b∈とする。

 

 このとき, 

 (a)(a,0)+(b,0)=(a+b,0),

 (b)(a,0)(b,0)=(ab,0),

 (c)b≠0 なら(a,0)/(b,0)=(a/b,0),

 (d)|(a,0)|=|a| が成立する。

  

(証明)明らかなので略。

  [定理11]から,(a,0)(a∈)の形の複素数は,実数aと全く同じ性質

を持って一対一に同型対応することがわかります。

 

 そこで,以下では複素数(a,0)(a∈)を実数aと同一視して単にa

 と書くことがあります。

 

 この同定により,の部分集合,つまりとなります。

 そこで以下では,特に,u=(1,0)を単に1,n=(0,0)を単に

  0 と書きます。

[定義3]:(虚数:imaginary) 

 複素数:(0,1)をiと書く。

[定理12]:i2=-1 である。

 

(証明)i2(0,1)(0,1)=(-1,0)=-1 です。(証明終わり)

[定理13]:∀a,b∈に対して(a,b)=a+biである。

 

(証明)a+bi=(a,0)+(b,0)(0,1)=(a,0)+(0,b)=(a,b) 

(証明終わり)

[定理14]:∀x,y∈に対して,|x+y|≦|x|+|y|である。

 

(証明) x+y=0 なら自明なので,x+y≠0 とします。

 

 このときλ≠|x+y|/(x+y)とおけば,[定理6](b)より

 |λ|=1 です。

 

 そしてλx+λy=|x+y|です。

 

 よってλx+λyは実数ですから,λx=(a,b),λy=(c,d)

 ならλx+λy=(a+c,b+d)=(a+c,0)=a+cです。

 

 そして,|a|≦|λx|=|x|,かつ|c|≦|λy|=|y|です。

 

 それ故,|x+y|=λx+λy=a+c≦|a|+|c|

 ≦|x|+|y|が成立します。(証明終わり)

[定義4]:(共役複素数:complex conjugate) 

 複素数:z=(a,b)=a+bi(a,b∈)に対して複素数:

 z*≡(a,-b)=a-biをzの共役複素数という。

これより以降の展開は通常の歴史的な複素数の話の繰り返しに過ぎない

ので,ここまででやめます。

 

要するに,ここで展開した一連の話は歴史的には代数方程式の実数解を

求めるための過渡的な仮想数として便宜上導入された複素数をHilbert

などの近代思想に基づいて,公理的発想で代数的に再構築したモデルの

一例です。

数十年前,この定義を初めて学んだ頃は,確かに新鮮でしたが,単に複素数

をGauss平面の2次元ベクトルとする平面幾何の猫像をやや記号的に定式

化しただけだとしか思いませんでした。

 

例えば,Gauss平面の実軸上の点:a=(a,0)(a>0)に虚軸上の点

i=(0,1)を乗じると,これは幾何学的には,ベクトルの(π/2)だけ

の回転に相当して,積は点ai=(0,a)に移動することを意味します。

  

その上に,さらにi=(0,1)を乗じるとさらに(π/2)回転され,合計π

だけ回転されて点は-a=(-a,0)に移ります。

  

それ故,iを2回続けて乗じることはトータルでは-1を乗じることに

相当し,結局i2=-1なる演算と同一視されます。

 

このモデルは,こうした話を言い換えただけに過ぎないという感じで

考えて,割と軽視していました。

しかし,例えば物理学での相対性理論のエネルギーの等式:

2=p22+m24の平方根を取ると,E=±c(2+m22)1/2

です。

 

この右辺は非常に扱いにくい非線型な形式ですが,これを次元を増やして

行列表現すると線形な形にできるというDiracの相対論的波動方程式のア

イデアを見るなどの思考体験もあって,少なからず,見方は変わってゆき

ました。

数十年も経った現在の心境としては,論理学での帰納法に関するPeanoo

の公理系と同じような感覚を持って見ています。

 

実証科学である他の自然科学での,"複素数は仮想数である,とか,

2乗して-1になる数など,そもそもこの世には存在しない,"とか

「実在するしない」という類の不毛な論議と関係なく,

 

上記のような定式化は,単に数学的実体として,"複素数は2元数として

存在する"という考えを陽に表現して明確化するという意味がある,

思うに至っています。

参考文献:Walter.Rudin 「Principles of Mathematical Analyss」second Edition(McGrawHill) 

  

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2007年11月28日 (水)

解析接続の意味

例によって「EMANの物理学」の談話室での話題なのですが,ゼータ関数の定義に関連して,無限級数(の和)によって定義された関数の解析接続とか一致の定理というのは何か?についての議論が進み,ほぼ終局の状態です。

私自身はまだ言い足りないことがあったので,ここでの記事にしますが,実は投稿したものとほぼ同じです。

ダブルポストなので,通常はルール違反なのですが,自分のブログなのでかまわないでしょう。

それに掲示板ではフォントなどが限られているので,ブログでは自分の好きな形式で書けるという意味もあります。

 結局は,2006年4月23日の記事「くりこみ回避のアイデア」で書いた話を少し精密にしただけです。

 私は,複素関数論での通常の解析接続の説明では飽き足らず,物理屋的な解説を目指しました。

 まず,zを任意の複素数とすると,Σk=1nk-11+z+z2+...+zn-1=(1-zn)/(1-z)です。これは有限級数の和なので,|z|<1でも,z=-1でもz=2でも成り立つ等式です。

 そして,|z|<1ならn→ ∞ で|zn|→ 0 なので,Σn=1n-1=1+z+z2+...=1/(1-z)が成り立ちます。

  しかし,z=2ではn→ ∞ で|zn|→ ∞ であり,z=-1ではn→ ∞ でznが確定値を取らないので,Σn=1n-1=1+z+z2+...=1/(1-z) は成立しません。

  そこで,複素関数f(z)を|z|<1で与えられる定義域においてf (z)≡Σn=1n-1=1+z+z2+...(|z|<1)によって定義することにします。

 こう定義すれば,|z|<1の領域では f (z)は関数1/(1-z)に一致します。

 |z|>1やz=-1では等式Σk=1nk-1=1+z+z2+...+zn-1=(1-zn)/(1-z)は成立しますが,Σn=1n-1=1+z+z2+...=1/(1-z)は成立しません。

 しかし,そうした|z|<1の領域以外のzに対しても部分和を表わす右辺の(1-zn)/(1-z)での分子のznを無視して,(1-zn)を1としたものと f (z)を同一視してz=1を除く全複素平面でf (z)=1/(1-z) (z≠1)と定義することにします。

 つまり,f (z)≡limn→∞[{1+z+z2+...+zn-1}+zn/(1-z)]という式を関数f (z)の正しい定義とするわけです。

 |z|<1なら,この後の定義も|z|<1 におけるf(z)に対する前の定義f(z)≡Σn=1n-1=1+z+z2+...(|z|<1)と全く一致します。

 一方,|z|>1やz=-1では差し引くべき項:{-zn/(1-z)}は収束しません。

 特に|z|>1なら|zn/(1-z)|→∞ なので, f (z)≡limn→∞[{1+z+z2+...+zn-1}+zn/(1-z)]は形式的に無限大から無限大を引くという意味に取ることも可能で,これは物理学でのくりこみの処方に似ています。。

 ここまでは,直接には解析接続とは無関係な話です。

 そして複素関数論では f (z)≡Σn=1n-1=1+z+z2+...=1/(1-z) (|z|<1)を特異点z=1を避けて延長した点でも,それが正則関数になるように,|z|≧1,z≠1なる点まで接続すれば,一致の定理によってそうした点でも f (z)は1/(1-z)に一致する場合しか有り得ないことがわかります。

 実際,z=-1+αと置けばΣk=1nk-1=1+z+z2+・・+zn-1=(1-zn)/(1-z)なる等式はc0,c1,..,cn-1をある定数の複素係数としてΣk=1n(α-1)k-1=Σk=1nk-1αk-1={(α-1)n-1}/(α-2)と変形できます。

そして,|z|=|α-1|>1なら右辺は,1/(1-z)=-1/(α-2)にはなりません。

 しかし一方,αの絶対値が十分小さいならz=-1+αの絶対値が1より大きくても,つまり|z|=|-1+α|>1でも f (z)=1/(1-z)=-1/(α-2)=(1/2)/(1-α/2)=(1/2)Σn=1(α/2)n-1=(1/2)[1+(α/2)+(α/2)2+...]=(1/2)Σn=1{(z+1)/2}n-1=(1/2)[1+{(z+1)/2}+{(z+1)/2}2+...]とテイラー展開されます。

 つまり,z=0 のまわりでは|z|=|-1+α|>1なので, f (z)=1/(1-z)はzのべきでは展開できなくても,z=-1のまわりではα=(z+1)の無限べき級数に展開可能ですから,f (z)は確かに|z|>1,z≠1なる領域でも解析的です。

 また,"一致の定理"の内容というのは同じ点を中心としたテイラー級数の展開係数の一意性により,今の f (z)の場合,|z|<1 以外の領域でも,その解析性(ベキ級数への展開可能性)を保持しながら f (z)を|z|<1から連続的に延長していったとき,もしも2通り以上の延長(接続)方法があったとしても,それらは一致するという定理です。

 このことから,解析接続する方法は一意的に決まります。

 今日は,短かいけれどこれで終わりです。

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2007年8月17日 (金)

代数学の基本定理

コーヒー・ブレイクとして,ガウスの代数学の基本定理="複素係数の多項式は,それが定数でなければ複素数体の中に必ず零点を持つ。"の証明について記述してみます。 

 まず普通の証明です。 

(証明)あるzの多項式f(z)=a0+a1z+..+aNN=Σn=0Nnn (0,N≧1)が任意に与えられたとき,これが複素数体の中に零点を持たないと仮定すると,g(z)≡1/f(z)は全体で正則です。

 ところが十分大きい正の数Rに対して|z|≧Rなら|f(z)|/|z|N=|N+aN-1/z+..+0/N|≧|N|-|aN-1/z+..+0/N|≧|N|/2となります。

 

 すなわち,|f(z)|≧|NN|/2なので,|(z)|=1/|f(z)|≦2/|NN|≦2/|NN|,つまりg(z)は|z|≧Rで有界です。

 

 そこで,閉領域|z|≦Rでの|g(z)|の最大値をMとすると,|z|≦Rなら|g(z)|≦M,|z|≧Rなら|g(z)|≦2/|NN|です。よって,gは全体で有界です。

 ところが最大絶対値の原理によって,gは全体で正則(つまり整関数),かつ有界なのでこれは定数です。これは(z)=1/(z)=Σn=0Nnn において0,N≧1であるという仮定と矛盾します。したがってfはに零点を持ちます。(証明終わり)

 以上の証明が,通常,複素関数論の初学者が教えられる一般的な証明でしょう。 

 ここで,"有界な整関数は定数しかない。"という命題が最大絶対値の原理に帰すると書きましたが,最大絶対値の原理というのは"fを領域Dの上の正則関数とするとき,|f|がDで最大値を取るならばfは定数である。"というものです。

こうした複素関数論における定理の出発点は大体においてコーシーの積分定理にあります。

 

これは,"領域Dで正則な関数fがあってCをDの内部にあって正の向きにまわる閉曲線の経路とするときCが1点にホモトープ(領域の場合は単連結と同義)なら∫Cf(z)=0 である。"という定理です。

これと,∫|z-α|=ρdz/(z-α)=2πiという計算式から,"Cを単純閉曲線としαはCの上にない点とすると,αがCの囲む領域の内部にあれば∫Cdz/(z-α)=2πi, αがCの外部にあれば∫Cdz/(z-α)=0 である。"という命題が成立します。

 

したがって,fを領域Dで正則な関数としCを単純閉曲線としてCとその内部(C)がDに含まれるとき∀z∈(C)に対してf(z)={1/(2πi)}∫Cdζ[f(ζ)/(ζ-z)]という積分表示が成立します。

そして,f(z)を滑らかな単純閉曲線C上で連続な関数であるとしてC上にない点z∈D対して関数φ(z)≡∫Cdζ[f(ζ)/(ζ-z)]を定義します。

 

このとき,Cの上にない点αに対し,Rα≡inf{|ζ-α|:∀ζ∈}とおけば 0<ρ<Rαなる任意のρについて,|z-α|≦ρなら1/(ζ-z)=1/[(ζ-α)-(z-α)]={1/(ζ-α)}[1/{1-(z-α)/(ζ-α)}]=Σn=0(z-α)n/(ζ-α)n+1が成り立ちますから,f(ζ)/(ζ-z)=Σn=0(z-α)n{f(ζ)/(ζ-α)n+1}となります。

右辺は∀ζ∈に関して一様収束するので,an≡∫Cdζ{f(ζ)/(ζ-α)n+1}とおくと,|z-α|≦ρならφ(z)=∫Cdζ[f(ζ)/(ζ-z)]=Σn=0n(z-α)nとベキ級数展開ができます。

 

ところが,関数φ(z)が|z-α|≦ρで絶対かつ一様収束するベキ級数に展開可能なとき,φ(z)はαの近傍で無限回微分可能です。そして関数の"ベキ級数=Taylor級数"の展開係数の一意性によってan=φ(n)(α)/n!=∫Cdζ{f(ζ)/(ζ-α)n+1}なる等式が成立します。

一方,先に述べたように,"fを領域Dで正則な関数としCを単純閉曲線としてCとその内部(C)がDに含まれるとき,∀z∈(C)に対してf(z)={1/(2πi)}∫Cdζ[f(ζ)/(ζ-z)]が成立する。"という定理があります。

 

そこで,f(z)は∀α∈Dに対して|z-α|<Rα=inf{|ζ-α|:∀ζ∈}で一意的にf(z)=Σn=0n(z-α)nとベキ級数に展開できて,an=f(n)(α)/n!={1/(2πi)}∫Cdζ{f(ζ)/(ζ-α)n+1}が成立することがわかります。

したがって,f(z)が円板N(α;R)≡{z:|z-α|<R}において正則であるとすると,f(α)={1/(2πi)}∫|z-α|=ρ[f(z)/(z-α)]dz;0<ρ<Rと表現されます。

 

z=α+ρe;0≦θ≦2πと書けば,f(α)={1/(2π)}∫0f(α+ρe)dθ;0<ρ<Rと変形されます。

 

これはいわゆる平均値の定理ですが,これから絶対値についての不等式として|f(α)|≦{1/(2π)}∫0|f(α+ρe)|dθ;0<ρ<Rが得られます。

fを領域Dの上の正則関数とするとき,|f|がα∈Dで最大値を取るとすると,∀z∈Dに対して|f(z)|≦|f(α)|です。

 

そこで,N(α;R)={z∈C:|z-α|<R}⊂Dとなるように半径Rを取ると 0<ρ<R なるρに対して|f(α)|≦{1/(2π)}∫0|f(α+ρe)|dθ≦|f(α)|と書けます。

 

よって 0<ρ<R なる任意のρについて,中心がαで半径がρの円周上では,|f(α+ρe)|=|f(α)|ですから,z∈N(α;R)なら|f(z)|=|f(α)|=一定です。すなわち,円板N(α;R)において|f|は定数です。

このときf≡u+iv(u=Ref,v=Imf)とおくと|f|2=u2+v2であり,これが定数ですからu・ux+v・vx=u・ux-v・uy=0 かつ,u・uy+v・vy=u・uy+v・ux=0 から直ちにux=uy=vx=vy=0 が得られるので,結局N(α:R)においてf自身が定数です。

 

したがって,一致の定理によってfはD全体で定数となることがわかります。

こうして,"fを領域Dの上の正則関数とするとき,|f|がDで最大値を取るならばfは定数である。"という最大絶対値の原理を得ました。

 

ここでfが整関数の場合にはfが正則関数である領域Dとして,無限遠点を除く複素平面全体={z;|z|<∞}を採用できます。

 

そして,そのとき|f|がDで最大値を取るという命題はfがで有界であることと同じですから,結局,"有界な整関数は定数である。"という定理が得られます。

  

これをリウヴィルの定理(Liouville)といいます。

ついでに一致の定理ですが,これは解析接続という概念の元になるもので,"f,gが領域Dで正則とする。Dの部分集合Aのあらゆる点zで(z)=g(z)が成立し,Aのある集積点がDに含まれるならばD全体でf=gである。"というものです。

 

一応これも証明しておきましょう。 

(証明)仮定によって,Aのある集積点がDに含まれるので,αをα∈DなるAの集積点とします。

 

 αに収束するAの点列{zn}n=1,2,..⊂Aが存在して,φ≡f-gとおくとφ(zn)=0 (n=1,2,..)が成立します。

 

 φはDで正則ですから,その連続性によってφ(α)=limn→∞φ(zn)=0 です。しかし,"D全体では,φ≠0 である,つまり,φ(z)≠0 なるz∈Dが存在する。"として矛盾を導きます。

ここでφ(n)(α)=0 (n=0,1,2,..)である場合を考えます。

 

そしてある任意の点ζDを選びζとαをD内の折れ線Cで結びます。Dは領域ですから開集合であり,それ故,Cの点はすべてDの内点ですが,CはDの有界閉集合なのでコンパクトです。つまりCの有限個の点を中心としてDに含まれる有限個の開近傍の集合で閉曲線Cを被覆することができます。

 

したがって折れ線Cと境界∂Dとの距離をd≡inf{|ζ1-ζ2|:ζ1∈C,ζ2∈∂D}とすると,これはゼロではなくて正:d>0 です。

 

ここで,C上に十分多くの有限個の点α=z0,z1,..,zp-1,zp=ζを取って,|zj+1-zj|<d (j=0,1,2,..,p-1)が満たされるようにします。そして,Δ≡{z∈:|z―zj|<d}(j=0,1,2,..,p-1)と置きます。

円Δ0:|z-α|<d内ではz∈Dとなるので,そこでφは正則です。それ故,φを展開しφ(z)=Σn=0n(z-α)nとすれば,全てのnについてan=φ(n)(α)/n!=0 と書けるので,Δ0内ではφ=0 です。

 

したがって,z1∈Δ0でも全てのnについてφ(n)(z1)=0 (n=0,1,2,..)となります。

同様に,円Δ1:|z-z1|<d内でφを(z-z1)のベキ級数に展開することでΔ1内ではφ=0 を得ます。

 

それ故,z2∈Δ1でφ(n)(z2)=0 (n=0,1,2,..)が得られます。これを繰り返していって,結局Δp-1でφ=0 となり,ζ=zp∈ΔP-1なのでφ(ζ)=0 を得ます。

 

ζはD内の任意の点であると仮定していましたから,結局φ(n)(α)=0 (n=0,1,2,..)である場合にはD全体でφ=0 である,という結論が得られます。

一方,Dで恒等的にφ=0 というわけではなくて,αは正則関数φの単なる零点であるとするならばφ(k)(α)=0(k=0,1,...m-1),φ(m)(α)≠0 となるある正の整数mが存在するはずです。このときαはφのm位の零点である,あるいはmは零点αの位数であるといいます。

 

そして,φのαの近傍Uでの展開はφ(z)=Σn=mn(z-α)n=(z-α)mΣk=0m+k(z-α)k;am≠0 となりますからψ(z)≡Σk=0m+k(z-α)kとおけばψ(z)はαの近傍Uで正則であってψ(α)≠0 であり,φ(z)=(z-α)mψ(z)と書けます。

ところでφ(α)=0 となることはわかっていて,φ0 と仮定したので,ある正の整数mが存在してαの近傍Uで正則かつψ(α)≠0 なるψを用いてφ(z)=(z-α)mψ(z)と表わせます。

 

そして,十分大きいnに対しzn≠αはUに含まれますから,φ(zn)=(zn-α)mψ(zn)=0 です。

 

よって,十分大きいnでψ(zn)=0 が成立します。

したがって,ψの連続性によってψ(α)=limn→∞ψ(zn)=0 となりますから,これはψ(α)≠0 に矛盾します。

 

要するに,収束する点列の上で正則関数φの値が常にゼロというのは,φのあらゆる導関数もまたゼロなることを意味しているわけです。

 

したがって,D全体でφ=f-g=0 :つまりf=g,あるいはfとgが一致するという定理の結論が得られました

 

(証明終わり)

しかし,私が学生時代に初めて大学で函数論を履修したときに代数学の基本定理の証明として教わったものは,もっと複雑なルーシェの定理によるもので,講義を受けたその場ですぐには理解できませんでした。

「Dをの有界領域としfをD上の正則関数,CをD内で1点にホモトープな閉曲線でその上にはfの零点はないものとする。gをD上の正則関数でC上で|g(z)|<|f(z)|と仮定する。このときCの囲むfの零点の個数と(f+g)の零点の個数は等しい。」というのがルーシェの定理です。

 

これの証明に取りかかる前にそのために必要な予備知識や補助的定理などについて考察します。

 まず,有理型関数というものを定義します。

 

 "Dをの領域とする。D内では特異点を持っても極に過ぎないような関数をD上の有理型関数と呼ぶ。"というものです。 

そして,α∈とρ1<ρ2≦∞ に対し円環領域:R(α;ρ12)≡{z∈:ρ1<|z-α|<ρ2}の上でfが正則関数であるとします。

 

このとき,fはR(α;ρ12)においてf(z)=Σn=-1-∞n(z-α)nΣn=0n(z-α)nΣn=-∞n(z-α)nと展開されます。

 

この展開をfのローラン展開(Laurent expantion)と呼びます。

 

この級数の収束は絶対かつ広義一様収束です。

これを証明するために,z∈R(α;ρ12)を任意に取りρ1',ρ2'をρ1<ρ1'<|z-α|<ρ2'<ρ2となるように取ります。また,ρ>0 をρ<d≡inf{|z-ζ|:ζ∈∂R(α;ρ12)}なる値に取ります。

そして点α+ρ1'ei(argz)からαを中心として半径ρ1'の円を反時計回りに一周する曲線をC1,α+ρ1'ei(argz)から,α+(|z-α|-ρ)ei(argz)へ向かう線分をC2,α+(|z-α|-ρ)ei(argz)から時計回りにα+(|z-α|+ρ)ei(argz)まで半周する曲線をC3,α+(|z-α|+ρ)ei(argz)からα+ρ2'ei(argz)に向かう線分をC4,α+ρ2'ei(argz)から半径ρ2'の円を反時計回りに一周する曲線をC5,α+(|z-α|+ρ)ei(argz)から時計回りにα+(|z-α|-ρ)ei(argz)まで半周する曲線をC6とします。

このとき,R(α;ρ12)-{z}内でC≡-C1+C2+C3+C4+C5-C4+C6-C2は1点にホモトープなので,∫Cdζ[f(ζ)/(ζ-z)]=0 です。

 

それ故,f(z)={-1/(2πi)}∫C3+C6dζ[f(ζ)/(ζ-z)]={-1/(2πi)}∫C1dζ[f(ζ)/(ζ-z)]+{1/(2πi)}∫C5dζ[f(ζ)/(ζ-z)]です。

1上では|(ζ-α)/(z-α)|<1で,-1/(ζ-z)=-1/{(ζ-α)-(z-α)}={1/(z-α)}[1/{1-(ζ-α)/(z-α)}]=Σn=0(ζ-α)n/(z-α) n+1ですから,f(ζ)/(ζ-z)=Σn=0(ζ-α)nf(ζ)/(z-α)n+1です。

 

それ故,{-1/(2πi)}∫C1dζ[f(ζ)/(ζ-z)]=Σn=-1-∞[{-1/(2πi)}∫C1dζ(ζ-α)-n-1f(ζ)](z-α)nとなります。

同様にC5上では|(z-α)/(ζ-α)|<1ですから,{1/(2πi)}∫C5dζ[f(ζ)/(ζ-z)]=Σn=0[{1/(2πi)}∫C5dζ(ζ-α)-n-1f(ζ)](z-α)nとなります。

そして,(ζ-α)-n-1f(ζ)は∀ζ∈R(α;ρ12):ρ1<|ζ-α|<ρ2なるζに関して正則ですから,∫C1dζ(ζ-α)-n-1f(ζ)=∫C5dζ(ζ-α)-n-1f(ζ)です。

 

よって,全ての整数nに対してan≡∫|ζ-α|=ρdζ(ζ-α)-n-1f(ζ);ρ1<ρ<ρ2の値はρの取り方に依らないことになります。つまりanはwell-definedになります。

そしてこの展開係数anによって,fは確かにR(α;ρ12)でローラン展開されてf(z)=Σn=-1-∞n(z-α)nΣn=0n(z-α)nΣn=-∞n(z-α)nと表現されることがわかりました。

そこで"f(z)がD上の有理型関数である。"というのは∀α∈Dについて,αを除くαの近傍でのfのローラン展開f(z)=Σn=-∞n(z-α)nにおいて,n<0 についてan≠0 なるものが有限個しかないこと,つまりαが高々m位の極であって,f(z)=Σn=-mn(z-α)n=a-m/(z-α)m+a-m+1/(z-α)m-1+..+a0+..と表わされることを意味します。

このときローラン展開の展開係数a-1を特にfのαでの留数と呼びRes(α;f)と書きます。

 

そして,ρ>0 が十分小さいときには実際に級数を項別積分すると{1/(2πi)}∫|ζ-α|=ρf(ζ)dζ=a-1となるので,Res(α;f)={1/(2πi)}∫|ζ-α|=ρf(ζ)dζが成立します。

特異点αが無限遠点=∞ のときには,z~≡1/zとおいてfのローラン展開をf(z)=Σn=-∞nnΣn=-∞-n~n ≡f~(z~)と置き,fの ∞ での留数をRes(∞;f)=-a-1={1/(2πi)}∫|1/ζ|=ρf(ζ)dζ={1/(2πi)}∫|1/ζ|=ρf~(1/ζ)d(1/ζ)で定義します。

αが1位の極のときには,Res(α;f)=limz→α(z-α)f(z)によって,具体的にfのαでの留数を求めることができます。

 

また,αがm位の極(m≧2)のときには,Res(α;f)={1/(m-1)!}[(dm-1/dzm-1)(z-α)mf(z)]z=αによって,fのαでの留数が求められます。

ここで,D上の有理型関数f(z)に対して対数微分(df/dz)/f=d(logf)/dzを考えると,α∈Dがfの零点でも極でもないなら,(df/dz)/fはα∈Dで正則です。

しかし,α∈Dがfのm位の零点なら,α≠∞ のとき,f(z)=Σn=mn(z-α)n,df/dz=Σn=mnan(z-α)n-1なので,(df/dz)/f=m/(z-α)+Σn=0n(z-α)nと表わせます。

 

よって,Res(α;(df/dz)/f)=mです。同様にα=∞ のときにもRes(∞;(df/dz)/f)=m を得ることができます。

また,α∈Dがfのp位の極ならα≠∞ のとき,f(z)=Σn=-pn(z-α)n,df/dz=Σn=-pnan(z-α)n-1なので,Res(α;(df/dz)/f)=-pです。同様にα=∞ のときも,Res(∞;(df/dz)/f)=-pを得ます。

それ故,CをD内で1点にホモトープな閉曲線であって,その上にはfの零点も極もないとき,Cが囲むDの領域内にfのmν位の零点αν(ν=1,2,..), およびpμ位の極βμ(μ=1,2,..)があるとすれば,{1/(2πi)}∫C(df/dz)/{f(z)}dz=Σmν-Σpμと表わすことができます。

さらに,d(logf)=(df/dz)/{f(z)}dzより,{1/(2πi)}∫C(df/dz)/{f(z)}dz={1/(2πi)}[(logf)]C=[argf]C/(2π)ですから,この積分はzが閉曲線Cをまわるときの"fの偏角:argfの変化を(2π)で割ったもの=回転数"を表わしていると考えられます。

さて,ルーシェの定理="Dをの有界領域としfをD上の正則関数,CをD内で1点にホモトープな閉曲線でその上にはfの零点はないものとする。

 

gをD上の正則関数でC上で|g(z)|<|f(z)|と仮定する。

 

このとき,Cの囲むm位の零点をm個と重複して数えると,fの零点の個数と(f+g)の零点の個数は等しい。"ことを証明します。

(証明)f,gはD上の正則関数なので,fも(f+g)もCの囲む領域に零点は持っていても極を持つことはありません。

 

m位の零点をm個と重複して数えたときのfの零点の総数をMとすると,(f+g)の零点の総数M'はM'={1/(2πi)}∫C{(f'+g')/(f+g)dz={1/(2πi)}∫C[(f'/f)+(g/f)'/{1+(g/f)}]dz=M+{1/(2πi)}∫C[(g/f)'/{1+(g/f)}]dz=M+{1/(2πi)}∫C(h'/h)dzとなります。ここでh≡{1+(g/f)}とおきました。

ところが,C上で|g/f|<1ですから,|1+(g/f)|≦1+|g/f|<2,かつ|1+(g/f)|≧1-|g/f|>0です。したがって,h={1+(g/f)}はC上に零点も極も持ちません。

またC上で|1-h|<1ですから,点1からhまでの距離は常に1より小さいことになります。そこでzがC上を1回転するときhがloghの分岐点h=0 のまわりを回転することは決してありません。

 

それ故,∫C(h'/h)dz=0 です。

 

以上から,結局M'=Mであることが示されました。

 

(証明終わり)

そこで,zのN次多項式f(z)=a0+a1z+..+aNN=Σn=0Nnn (0,N≧1) が任意に与えられたとき,(z)=aNN+g(z) (0,N≧1)とおけば,正則関数NN はN位の零点としてz=0 があるだけなのでNNの零点の総数はNです。

 

そしてルーシェの定理の閉曲線Cを円:|z|=Rに取れば,Rが十分大きいときにはC上で|(z)|<|NN|ですから,この定理によって任意のN次多項式は丁度N個の零点を持つことが結論されます。 

 参考文献:野口潤次郎 著「複素解析概論」(裳華房);岸 正倫,藤本担孝 共著「複素関数論」(学術図書);Benjamin Fine,Gerhard Rosenberger 著(新妻弘,木村哲三 訳)「代数学の基本定理」(共立出版) 

 

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2007年8月15日 (水)

揚力とベルヌーイの定理

 2007年8月2日の記事「ダランベールの背理(D'Alembert's paradox)」において,

 

 完全流体では流速がUの一様流の中に置かれた物体に働く揚力Fyの値を,物体のまわりを反時計回りにまわる流れの循環Γによって,Fy=-ρUΓと評価できることを述べました。

 

 F(Fx,Fy)は物体に働く力でFxは抗力,Fyは揚力です。 

そこではf(z)=Φ+iΨ(Φは速度ポテンシャル,Ψは流れ関数)とし,複素関数論を利用して,ベルヌーイの定理:∂Φ/∂t+p/ρ+v2/2+Ω=A(t)(空間的に一定)とブラウジウスの(第一)公式:FxiFyiρ∫C[(df/dz)2/2]dzを導出するプロセスを記述しました。

 

それによって,物体に働く力=-∫C dsを考察し,そして,クッタ・ジューコフスキーの定理を証明した後,この定理の一部分に従って上述の命題を得るという手続きを行ないました。

 しかし,このような扱いは,私には少々大げさだと感じられたので,今日は物体部分からは全く湧き出しがない:div=0 という前提の下で,簡略化されたベルヌーイの定理p+ρv2/2=A(一定)から直接的に揚力と循環の関係Fy=-ρUΓを導いてみたいと思います。 

 まず,ベルヌーイの定理からp=A-ρv2/2なので,物体に働く力は=-∫C ds=-∫Cds+(ρ/2)∫C2ds=(ρ/2)∫C2dsです。

 

 Cの線素ベクトルをd(dx,dy)とすると,=0 ですから,ds=(dy,-dx)となるので,結局,揚力はFy(-ρ/2)∫C2dx=(-ρ/2)∫C(vx2+vy2)dxなる式で与えられます。

ところで,物体の外では当然,連続の方程式が成立しており,また仮定によって物体内部に湧き出しがありませんから,空間のいたるところで div=0 が成立します。

 

すなわち,閉曲線Cで囲まれる任意の領域Sにおいて∫S divdS=∫S(∂vx /∂x+∂vy /∂y)dx∧dy=0 です。

 

これは任意の閉曲線Cの上で∫Cxdy-∫Cydx=0 が成立することを意味しています。それ故,y=f(x)なる任意の曲線上の点で常にvxdy=vydxです。

 

つまり,この曲線の傾きy'=dy/dx=f'(x)に対し常にy=y'vxが成立しています。

また,閉曲線Cの上での流れの循環ΓはΓ≡∫C=∫C(vxdx+vydy)で定義されます。

 

(これはΓ=∫S rotdS=∫S(∂vy /∂x-∂vx /∂y)dx∧dyと書き直すこともできます。)

 

故に,Γ=∫Cxdx+∫Cydy=∫Cx(1+y'2)dxです。一方,揚力FyもFy=(-ρ/2)∫C2dx=(-ρ/2)∫C(vx2+vy 2)dx=(-ρ/2)∫Cx2(1+y'2)dxと表わすことができます。

ここで,流れ(vx,vy)が,一様流=(U,0)に微小な流れ=(ux,uy)を重ね合わせたもの:で与えられるとします。

 

x=U+ux,vy=uyですから,これを上の循環と揚力の表式に代入して,Γ=∫C(U+ux)(1+y'2)dx=∫Cx(1+y'2)dx,およびFy=(-ρ/2)∫C(U+ux)2(1+y'2)dx=-ρU∫Cx(1+y'2)dx-(ρ/2)∫Cx2(1+y'2)dxを得ます。

ここで,∫C(1+y'2)dx=∫Cdx+∫Cy'dy=0 を用いました。さらに,∫Cx2(1+y'2)dx=∫C(ux2+uy2)dx=C2dx=CxdΓなのでy=-ρUΓ-(ρ/2)∫CxdΓです。

 

最後の表式で∫CxdΓがゼロになるための条件はdW=xdΓなるWが存在することです。

 

ポアンカレの補題によって,それはd(uxdΓ)=dux∧dΓ=[-ux(∂ux /∂y)+uy(∂ux /∂x)]dx∧dy=0 すなわち,-ux(∂ux /∂y)+uy(∂ux /∂x)=0 が成り立つことと同値です。

 

これ以上は,適切なモデルで考えないと無理です。

 

まず,線素を極座標で書くとd(dx,dy)=r(d(cosθ),d(sinθ))=rdθ(-sinθ,cosθ)となります。

 

湧き出しがない条件はS divdS=∫C(vxdy-ydx)=0 ですから,Cxdy=Cydx →C(U+ux)dy=Cydx,故にCxdy=Cydxです。

 

つまり,0ruxcosθdθ=-0ruysinθdθなので,rux≡-Bsinθ,ruy≡Bcosθ(Bはrだけの関数)というモデルを想定すると,これにより上述の湧き出しゼロ条件は自動的に満たされます。

 

また,循環はΓ≡C(xdx+vydy)=C(xdx+uydx)で与えられますから,Γ=0(-ruxsinθ+ruycosθ)dθ=2πB:つまりB=Γ/(2π)です。

 

そこでBは定数なので,∫Cx2(1+y'2)dx=CxdΓ=∫C(ux2+uy2)dx=-0(B2/r)sinθdθ=0 が得られます。

 

したがって,∫Cx2(1+y'2)dx=CxdΓ=0 となり,求める揚力と循環の関係y=-ρUΓが得られました。

 したがって,以上の私の試みによって流れが上の面に沿って速く下の面に沿って遅いときに,ベルヌーイの定理から上向きの力=揚力が生じるというメカニズムを考えれば,このとき負の循環Γ<0 つまり時計回りの循環があることに相当することがわかります。
 
 そこで,クッタ・ジュ-コフスキーの定理により上向きの力=揚力が生じる,という命題と同等である,ということを直接的に示せたのではないかと思います。
 
 逆に,循環がなくて(rot=0)湧き出しQがあるとき抗力Fxと湧き出しQの関係Fx=-ρUQが得られることも上とほぼ同様にして示すことができます。

 

そして循環も湧き出しも共に存在するときは,例えば電気回路の重ねの理と同じように,この場合を上記の2つの場合の重ね合わせと考えることによって,Fx=-ρUQとFy=-ρUΓが同時に成り立つことも言えます。

 

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2007年8月 2日 (木)

ダランベールの背理(D‘Alemdert's paradox)

 レイノルズ数(Reynords number)の大きい粘性流体の極限である完全流体(理想流体)について自分なりにまとめてみたのでそれを定式化しておきます。

ここでは対象とする流体を非圧縮性流体であると考えます。

 

すると質量保存の方程式=連続の方程式∂ρ/∂t+div(ρ)=0 と密度保存の方程式Dρ/Dt=∂ρ/∂t+gradρ=0 から,ρdiv=0 が得られ,ρ≠0 なので結局,div=0 が導かれます。

 

そこで非圧縮性流体では連続の方程式は,div=0 です。

そして,特に3次元空間内のある1つの直角座標については全く考える必要がない場合,つまり流れの速度が常に1つの平面Aに対して平行で,かつその平面に垂直な方向には全く変化しない場合を考えます。

 

このときには,面AがO:xyz座標系のxy面になるように選び,流れはz軸方向には変化しないものとします。こうした流れを2次元流と呼びます。

このとき,流れの速度ベクトル(u,v,0)と書けてx,y成分はu=u(x,y,t),v=v(x,y,t)と表わすことができます。

 

非圧縮性流体の場合,連続の方程式 div=0 は∂u/∂x+∂v/∂y=0 となります。

 

任意の2回連続偏微分可能な関数Ψ(x,y,t)に対して,u≡∂Ψ/∂y,v≡-∂Ψ/∂xとおけば,div=∂u/∂x+∂v/∂y=0 は自動的に満足されます。

 

この関数Ψ(x,y,t)を流れ関数と呼びます。

もしも流体が静止中に接線応力を持つと,それは耐えられずに流れてしまって静止状態であることに矛盾するので,流体であるなら静止中には接線応力を持ちません。

 

しかし,一般に運動中には接線応力を持ち,その応力は粘性と呼ばれます。運動中にも接線応力を持たない理想的な流体があると仮定して,そうした流体を完全流体あるいは理想流体と呼びます。

 

法線応力は常に存在しますが、流体の場合は圧力のみが存在し張力には耐えられません。

さて,非圧縮性完全流体を対象と考えると,最初それが無限遠では一様な流れであった場合には,そこでは一様流なので渦無し,つまりωrotを渦と定義すると一様流である場所では,ω=rotv=0 です。

そして流体の従う運動方程式は通常のニュートンの運動方程式=運動量の保存方程式を流体素片に適用すれば得られます。

 

これは非圧縮性粘性流体についてはナビエ・ストークス方程式になります。特に非圧縮性完全流体なら,運動方程式はオイラーの運動方程式ρD/Dt=-gradp+ρ,またはD/Dt=-gradp/ρ+で与えられます。

 

ここでρは流体の密度,pは流体の圧力,は単位体積当たりの流体が受ける重力などの外力(体積力)です。

Eulerの運動方程式D/Dt=-gradp/ρ+のラグランジュ微分D/Dtをオイラー微分に直すと∂/∂t+(grad)=-gradp/ρ+となります。

 

熱力学の状態方程式からρ=f(p)と書ける場合,これは∂/∂t=-grad(P+2/2)+×rotと変形されます。

ここで,P(p)≡∫dp/ρ(p)で,これは例えば流れがDS/Dt=0 と等エントロピー的な場合などには,こう書けますから通常の断熱的な流れなら成立しています。

 

そして一般に重力などの外力は,摩擦などによるエネルギーの熱散逸がない保存力であるとすれば,rot0 であって,外力のポテンシャルΩが存在して=-gradΩと書けます。

 

そこで,こうした通常の場合には,結局,運動方程式は∂/∂t=-grad(P+2/2+Ω)+×rotと表わされます。

流れが,ある時刻tにある場所で渦無し:ω=rot=0 なら,そのとき,そこでは×rot0 です。

 

そして,Δtを微小時間とすれば運動方程式によって,(,t+Δt)=(,t)-grad(P+2/2+Ω)Δtとなります。

 

両辺の空間回転:rotを取れば,rot[(,t+Δt)]=rot[(,t)]=0 が成立します。

 

つまり,非圧縮性完全流体では,ある時刻に元々は一様流のようであって,渦無しの流れであれば未来永劫渦が生じることはない,という定理が導かれます。(渦定理)

今,対象とする領域全体で渦無し,つまりωrot0 であるような非圧縮性完全流体を仮定します。rot0 であることから,あるスカラー関数Φ=Φ(,t)が存在して=gradΦと書くことができます。

 

このスカラー関数Φを速度ポテンシャルと呼び,こうした速度ポテンシャルが存在する完全流体の流れをポテンシャル流といいます。

 

そして,非圧縮流体では連続の方程式はdiv=0 ,つまりdiv(gradΦ)=△Φ=0 となります。すなわち,関数Φはラプラスの方程式を満足します。言い換えると,速度ポテンシャルΦは調和関数です。

ここで,問題を2次元の流れに戻すと,速度ポテンシャルΦ=Φ(,t)はΦ=Φ(x,y,t)と表わすことができて,=gradΦはu=∂Φ/∂x,v=∂Φ/∂yになります。また,△Φ=0 は∂2Φ/∂x2+∂2Φ/∂y20 を意味します。

そこで,先の流れ関数Ψによる表現u=∂Ψ/∂y,v=-∂Ψ/∂xと合わせると,u=∂Φ/∂x=∂Ψ/∂y,v=∂Φ/∂y=-∂Ψ/∂xと書けます。

この式を見ると,これは点(x,y)を複素平面上の点z=x+iyと同一視しzの複素関数f(z)をf(z)=f(x,y)≡Φ(x,y)+iΨ(x,y)と定義したときのf(z)のzにおける正則性の条件と一致していることがわかります。

 

この条件f(z)=Φ+iΨに対し,∂Φ/∂x=∂Ψ/∂y,∂Φ/∂y=-∂Ψ/∂xなる式をコーシー・リーマンの関係式(Cauchy-Riemann's relation)といいます。

 

(ここでは便宜上,関数の時間t依存性を省略表記しました。)

複素関数f(z)が微分可能であるためには,Δz=Δx+iΔyが微小であるときの微小差分Δf=f(z+Δz)-f(z)において,Δz=ΔxのときとΔz=iΔyのときの両方で(Δf/Δz)が完全に一致することが必要です。

つまり,(Δf/Δx)=(ΔΦ/Δx)+i(ΔΨ/Δx)=[Δf/(iΔy)]=-i(ΔΦ/Δy)+(ΔΨ/Δy)であることが必要です。

 

そこで.Δx, Δy→ 0 の極限でu=(ΔΦ/Δx)=(ΔΨ/Δy),かつv=(ΔΦ/Δy)=-(ΔΨ/Δx)となることがf(z)が微分可能であるための必要条件となります。

 

さらに,実関数ΦやΨが2回連続微分可能ならこれは微分可能であるための十分条件にもなります。

この複素関数としての微分可能の条件:∂Φ/∂x=∂Ψ/∂y,かつ∂Φ/∂y=-∂Ψ/∂xをコーシー・リーマンの関係と呼ぶのです。

 

そして,この条件式が満たされるとき,f(z)は正則(微分可能)であるといわれ,f(z)を複素速度ポテンシャルと呼びます。

 

そして微分係数df/dz=(∂Φ/∂x)+i(∂Ψ/∂x)=u-ivを複素速度と呼びます。

このとき必然的に∂2Φ/∂x2+∂2Φ/∂y20 ,かつ∂2Ψ/∂x2+∂2Ψ/∂y20 が成立します。Φ,Ψは2次元調和関数となります。

 

複素関数論によれば,f(z)=f(x,y)≡Φ(x,y)+iΨ(x,y)は無限回微分可能であって,しかも解析的,つまりこの点のまわりでzのベキ級数として展開可能な解析関数になります。

 

すなわち,複素変数で考えると微分可能という性質だけで関数としての範囲が非常に厳しく限定されることになります。

したがって,正則な複素関数f(z)を1つ指定すれば,それによって直ちに速度ポテンシャルΦと流れ関数Ψが1つずつ決まって,2次元非圧縮完全流体のポテンシャル流が決まります。

 

これで決まる流れは∂2Φ/∂x2+∂2Φ/∂y20 ,かつ∂2Ψ/∂x2+∂2Ψ/∂y20 によって連続の方程式 div=0と渦無し条件rot=0 を確かに満足しています。

 

しかし,rot=0 のときの運動方程式である∂/∂t=-grad(P+2/2+Ω)を満足しているのでしょうか?

gradΦですから,運動方程式はgrad(∂Φ/∂t+P+2/2+Ω)=0 と書けます。これは,∂Φ/∂t+P+2/2+Ω=(空間領域全体で一定),を意味します。

 

これは広義のベルヌーイ(Bernoulli)の定理です。もしも,定常流:∂/∂t=0 であれば,=gradΦのΦ(,t)としてtを陽に含まない形のΦ=Φ()を取ることができて,∂Φ/∂t=0 とできます。

 

そこで,∂Φ/∂t+P+2/2+Ω=(空間領域全体で一定)はP+2/2+Ω=(空間領域全体で一定)となります。

つまり,非圧縮完全流体のポテンシャル流においては,流れに対する運動方程式とベルヌーイの定理は同じものになるのですね。

もう1つ忘れてならないのは境界条件です。普通,流体は無限に広がっているわけではなくて,どこかにその流体以外の物体でできた境界があります。

 

現実の粘性流体なら,その境界上で流体は粘着してその境界に対して静止します。

 

つまり境界が止まっていようと動いていようと流体はそこで境界に対する相対速度がゼロになるというのが現実に即した粘性流体に対する境界条件であるべきです。そしてそれ故,粘性流体なら境界があればそこで流線は途切れます。

実際の流体を非圧縮の"線型粘性流体=ニュートン流体"として近似した運動方程式であるナビエ・ストークス方程式で,上述の境界条件が解の存在と一意性にとって必要十分であるかどうか?というのは一般的な問題としてはまだ未解決です。

 

しかし,この方程式が解析的あるいは数値的に解けるときには多くの場合,これは肯定的であるとされています。

通常の微分方程式ではいわゆる力学系として初期条件を満たす一般解の描く曲線族は解の存在と一意性が成立するが故に,互いに決して交わることはないです。

 

ところが,先に述べたように粘性流体の問題では,境界で流線が途切れて終わってしまうことがあります。

 

これがナビエ・ストークス方程式で解の存在と一意性の問題を解決するためのネックになっているのではないかと推察します。

しかし,完全流体では粘性流体と同じ境界条件を仮定したのでは方程式の解を決めるのには過剰な条件になります。

 

そこで境界で流体がその表面から境界の内部へと侵入して対象領域の外へ出て行くような法線方向の速度成分を全く持たないという条件,つまり境界上ではすべっていく,というのが完全流体の境界条件です。

 

実際こちらの条件は,既にそれが解の存在と一意性のための必要十分条件であるということで解決しています。そして完全流体なら境界があっても,そこで流線が途切れたりすることはなくずっと続いています。

つまり,今のポテンシャル流の場合,境界条件は境界表面の法線方向をとし境界速度をbとすれば境界上で(v-vb)=0 です。

 

境界が静止していろポテンシャル流の場合なら,境界上では=gradΦ=0 :境界上でΦ=一定,というのは過剰な条件で,境界上で=∂Φ/∂n=0 というのが必要十分な条件です。

 

この場合,速度ポテンシャルΦにとってはノイマン問題となるので解Φには定数だけの任意性があります。

いずれにしろ,2次元では境界に沿った任意の変分Δに対してΔ=Δxnx+Δyny0 となります。

 

そして,2次元の定常問題では解は正則関数f(z)=Φ+iΨで与えられ,静止した境界形状であるなら境界条件は=∂Φ/∂n=0 なので,これは=gradΦ=(∂Φ/∂x,∂Φ/∂y)=(∂Ψ/∂y,-∂Ψ/∂x)とΔが平行であることを意味します。

すなわち,dx/(∂Ψ/∂y)=-dy/(∂Ψ/∂x),またはdΨ=(∂Ψ/∂x)dx+(∂Ψ/∂y)dy=gradΨΔ=0 ですから,境界上では流れ関数Ψ=一定です。

 

そこで,正則関数f(z)=Φ+iΨであって,Ψ=一定で与えられる曲線群のうちの1つが境界線に一致するようにf(z)を定めれば解が求められたことになります。

 

Ψ=一定で定まる境界線以外の曲線群は流線群を表わしています。

ここで,ポテンシャル流の流れの中に1つの境界を与えるものとして流れとは無関係な力によって固定された物体があって静止しているとします。

 

2次元なのでこの物体自身の領域をSとするとその境界はある閉曲線Cで与えられます。そこで物体に働く正味の力はiCijjds=-∫C dsです。

簡単のためにこの完全流体は単に非圧縮というだけでなく密度ρが一様であるとします。

 

そうすれば,P=p/ρであり,体積力=2次元では面積力である外力ρはgrad(ρΩ)に等しく.運動方程式=ベルヌーイの定理は∂Φ/∂t+p/ρ+2/2+Ω=A(t)(空間領域全体で一定)となります。

 

そこで,p=ρA(t)-ρ[∂Φ/∂t+2/2+Ω]より,=-∫C ds=ρ∫C[∂Φ/∂t+2/2+Ω]dsです。

=-∫Cdsから,FxiFy=- iCpdz*です。

 

∂Φ/∂t=Re(∂f/∂t),2|df/dz|2なので,∂Φ/∂t+2/2+Ω=Re(∂f/∂t)+|df/dz|2/2+Ωにより,FxiFyiρ∫C[Re(∂f/∂t)+|df/dz|2/2+Ω]dz*となります。

そこで,流れが定常であって外力がないときには,FxiFyiρ∫C(|df/dz|2/2)dz*です。

 

ところで,物体表面=境界Cの上ではΨ=一定であって,df=dΦ=df*なので|df/dz|2dz*(df/dz)(df*/dz*)dz*(df/dz)2dzです。

 

したがって,FxiFyiρ∫C[(df/dz)2/2]dzとなります。

これを,ブラウジウスの(第一)公式(Blausius)といいます。

ここで,境界となる物体が一様流の中の原点O:z=0 の位置を中心として置かれているとします。

 

物体の外部領域では流れは1価正則なポテンシャル流であってz→ ∞ で一様な流速Uになるとすればdf/dzのローラン展開はdf/dz=U+Σν=1ν/zνとなります。

 

そこで,複素速度ポテンシャルは(z)=Uz+a1logz-Σν=1(aν+1/ν)zと書くことができます。

(z)はz=0 を極や分岐点とし,z=0 の近傍では多価関数になったりしますが,物体の存在する境界Cの特異点z=0 の外側の対象としている流体領域ではf(z)は1価正則な解析関数です。

 

そこで,このf(z)の表わす流れが2次元非圧縮完全流体のポテンシャル流であることは間違いありません。

そして,(df/dz)2=U22Ua1/z+(1/z2)[Σν=0ν/zν]と書けます。

 

それ故,物体の受ける力=(Fx,Fy)はf(z)=Uz+a1logz-Σν=1(aν+1/ν)zlogzの項の係数1のみを用いて,xiFyiρ∫C[(df/dz)2/2]dz=-2πρUa1と書くことができます。

 

また,∫C(df/dz)dz=2πia1=∫C(u-iv)(dx+idy)=∫C(udx+vdy)+i∫C(udy-vdx)=∫Ci∫S(div)dS=Γ+iQです。

 

すなわち,∫C(df/dz)dz=2πia1=Γ+iQ,あるいはQ-iΓ=2πa1となります。

ここでQ≡∫S(div)dは物体の領域で発生する流体体積の湧き出し量であり,Γ≡∫Cは物体のまわりを反時計回りにまわる循環を表わしています。

 

xiFy=-2πρUa1=-ρUQ+iρUΓですから,物体に働く力は物体の形などには関係なく,流体の運動方向であるx方向の力=抵抗力Fx=-ρUQは湧き出しρQに比例します。

 

また,物体に働く流体の運動方向に垂直なy方向の力=揚力(xy面を鉛直面と考えたときの上向きの力):Fy=-ρUΓは循環ρΓに比例することがわかります。

 

この関係式をクッタ・ジューコフスキーの定理(Kutta-Joukowskis theorem)と呼びます。

ここで,仮にz=0 のε-近傍の2つの特異点として同じ大きさの湧き出しと吸い込みの両方があって特異点以外ではポテンシャル流である2次元の流体,つまり,"双極子=2重湧き出し"のある2次元ポテンシャル流を考えます。

 

原点近傍の2つの特異点をz1,z2とすると速度ポテンシャルはf(z)=mlog(z-z1)-mlog(z-z2)=mlog[(z-z1)/(z-z2)]=mlog[(z-εe)/(z+εe)]となります。

ここで,ε→ 0,m→ ∞,2εm=μ(一定)の極限をとると,f(z)=-μe/zとなります。これの表わす流れをを2次元2重湧き出しと呼びます。

 

このときには,(z)=-μe*/r2より,im(z)=Ψ(r,θ)=μsin(θ-α)/rですから,これは原点r=0 を通過するあらゆる円をΨ(r,θ)=(一定)の流線としています。それ故,このポテンシャル流は原点r=0 を通るある円を境界とする流れです。

(z)=Uz-μe/zと書けば,この流れはr=∞での一様速度がゼロではなくUであるという違いだけでf(z)=-μe/zで与えられるものと同じ流れを表わしています。

 

このとき df/dz=u-iv=U+μe/z2=U+μe-i(2θ-2α)/r2 なので,u=U+μcos(2θ-2α)/r2,v=μsin(2θ-2α)/r2と書けます。

  

これは3次元で一様流の中に球が固定して置かれた場合と同様,2次元で一様流の中に円が置かれた場合に相当しています。

そして,この円のまわりの2重湧き出しの流れは,湧き出し+吸い込み= 0 なので,その他に特異点がないなら流れがあるにもかかわらず物体には全く抵抗力が働かない,という例になっています。

 

完全流体において必然的に生じるこうした非常識的な計算結果をダランベールの背理(D'Alemdert's paradox)といいます。

(z)=-μe/z=(μe)[d(logz)/dz]と書けば,3次元の場合の単湧き出しのポテンシャルΦ1=-m/r+Cに対して,2k重湧き出しのポテンシャルがΦk=μi1i2..iki1i2..∂ik(1/r)で与えられるのと同様,2次元ではΦ1=mlogr+C, or f=logzに対してΦk=μi1i2..iki1i2..∂ik(logr) or fk=μi1i2..i(dkf/dzk)が 2k重湧き出しのポテンシャルを示しています。

既に述べた論旨から完全流体の場合,物体にゼロでない抵抗力が働くのは単湧き出しΦ1=-m/r+C (3次元)や,Φ1=mlogr+C, or f=logz+C'(2次元)がある場合に限られ,2重湧き出し以上の多重湧き出しは物体に働く抵抗力への寄与はありません。

 

一方,揚力の方は物体が回転していて流体が引きずられるような場合などにもゼロでない寄与が生じます。 

 上に見てきたようにブラウジウスの公式とクッタ・ジューコフスキーの定理の組み合わせも,実は基本的な運動方程式であるベルヌーイの定理の単なる書き換えに過ぎません。

 

 例えば飛行物体などで,循環Γ< 0 の存在のおかげで上向きの揚力が生じるというクッタ・ジューコフスキーの定理も,ベルヌーイの定理によってその物体付近の上部の領域より下部の領域の圧力が大きいことと同値です。

 

 この圧力差が生じる理由は,結局上部のその領域での流速が下部の流速より大きいということを意味し,これは循環Γ< 0 と同じ意味です。

 

 そして,運動量あるいはエネルギーの保存という意味では,これは何らかの理由で運動量あるいは運動エネルギーが下部領域から上部領域へと輸送される結果であると考えられます。

 

 また,書き換えという意味では流体も含めて物理学の理論を数学的に定式化するプロセスでは,ある種の"トートロジー=同義語反復"という過程が多く含まれています。

 

 流体でいえば同じことを別の表現で述べているだけであることが多く,例えばベルヌーイの定理は圧力差の話を流体の速度差あるいは運動エネルギーの差の話に置き換えているだけです。

 

 圧力差による力とかベルヌーイの定理であるとか言っても,結局はニュートンの運動の法則や作用反作用の法則を書き換えた運動量保存則やエネルギー保存則などを流体力学特有の用語に置き換えて説明しているに過ぎない,と言えばその通りかもしれません。

 こうして,これらの定理によって形式上は完全流体の揚力についても一応の合理的な説明ができたような気にはなります。

 

 しかし,この説明において,揚力を生み出す源となる,循環Γ,あるいは上下の流速差がどういうメカニズムで生じるのか?,という本質的な問題に論及しなければ数学的整合性がある,というだけの理論=単なる同義語反復理論です。

 

 元の複雑だった問題を比較的理解しやすい問題へと翻訳還元したに過ぎません。

 

 しかし,こうした循環や流速差などの運動学的量の発生する起源として合理的な説明を与えることはかなりむずかしく単純な翼形状などにその理由を求めることができるのかどうかもわかりません。

 

 過去には既存の教科書や通俗書などで翼の上部の領域での流速が下部の流速より大きい理由として「翼上縁が翼下縁より流体素片の進む行路が長いのに翼先端で分かれた流体素片が後端に同時に到着すべきであるから上縁における流速が下縁上の流速より大きいのである。」というような仮説による説明がまことしやかになされていました。

 

 しかし,飛行中に必ずしも翼の上下の向きなどが所定の方向に決まっている必要はないし流体素片が後端に同時に到着すべきであるという主張に理論的な根拠も無く,また,これについては多くの実験事実で結果は否定的であるということで.この通俗仮説は現在では誤った説明であるとするのが主流です。

 

これよりもむしろ平板翼の迎え角の理論などを主眼とした説明の方が現実的であり実際に近くて理にかなっていると思われます。

 さらに現実の流体は明らかに完全流体ではなく,たとえレイノルズ数が大きいとしても境界表面には層流境界層や乱流境界層があって境界条件を単純に完全流体のそれでおきかえるわけにはいきません。

 

 また,境界層の剥離現象や失速,Wake(伴流;ウェーキ)の内部のカルマン渦列などの複雑な現象やさらにカオス的で解明のむずかしい複雑な乱流現象などもあります。

 

 そこで,例えば翼理論についてもここで述べたような完全流体の模型による理論的扱いよりも現状では実験的あるいは数値的な扱いの方がより有効なことが多いと思います。

ここで最後に上記では簡単な話でもあるので省略していた重力など物体にかかる外力ex=ρ∫CΩdsを計算しておきます。

 

これについてはCの内部の面積領域に外力の渦などの特異性があると考える必要はないので単連結領域に対して成立するストークスの法則∫S ω=∫Sdωを用いるとex=ρ∫CΩds=ρ∫SgradΩdS=-ρ∫SdSとなります。

 

ここで最も通常の例として,外力が重力であるとすれば=-gyとなりex=ρSgyが得られます。

ただしyは鉛直上向きの単位ベクトルでありρSgは物体の面積Sと同じ面積の流体の重さですからが重力ならex=ρSgyは浮力を表わしています

 

この記事の続きとなるような流体力学の話題については2006年9月25日の記事「ベナール対流の安定性とレイリー数」があります。

 

これは非圧縮性完全流体に浮力(つまり重力)の効果だけ圧縮性を与えたいわゆるブジネスク近似をした方程式において,上下に温度差があるために重力に起因する浮力が生じて対流=ベナール対流が生じます。

 

この対流の安定性の限界の臨界レイリー数において不安定な交代渦などが生じる条件などについて考察したものです。

 

参考文献:色々なので省略します。もっとも,ほとんど記憶だけに頼ったのですが。。。

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2007年6月 7日 (木)

フックス関数の理論(2)(ポアンカレの理論)

 続きです。2つ目の初期論文です。

同じフックス群に対応し,正の整数mの値が同じである2つのテータフックス関数の比F(z)はzの1価関数であって,F(zKi)=F(z)が成り立つ。

 

故に,前に与えた定義からF(z)は1つのフックス関数である。

 

つまり,定数a,b,c,dの無数の値に対して,恒等的にF([(az+b)/(cz+d)]=F(z)が成り立つ。

 私(Poincare')は次の2つの定理を証明する。

 

1°同じ群に属しその定義の結果として生ずるもの以外には真性特異点を持たない2つのフックス関数の間には代数的関係が存在する。

 

※(注1)基本領域が基本円の上に集積する結果としてフックス関数は基本円上に真性特異点を持ちます。定義の結果として生ずる真性特異点とはこれを指しています。

 

 以下,このようなもの以外には真性特異点を持たないフックス関数を2つ取るとそれらは互いに他の代数関数になっているという意味です。(注1終わり)※

  

2°全てのフックス関数F(z)は次のようにして代数関数を係数とする線型方程式を積分することができる。

 

 すなわち,もしx=F(z),y1(dF/dz)1/2,y2=z(dF/dz)1/2と置くなら,y1,y2は微分方程式:d2/dx2=yφ(x)を満足し,φ(x)は代数関数である。

※(注2)y1,y2を解とする2階線形常微分方程式は,det(,',")=0 ,すなわち,y"-[(y12"-y1"y2)/(y12'-y1'y2)]y'+[(y1'y2"-y1"y2')/(y12'-y1'y2)]y=0 で与えられます。

 

 t(y,y1,y2),'≡d/dx,"≡d2/dx2です。

 今,x=F(z),y1(dF/dz)1/2,y2=z(dF/dz)1/2と置けば,具体的に,1'=(dF/dz)-3/22/dz2,y2'=(dF/dz)-1/2(z/2)(dF/dz)-3/22/dz2,

 

 そして,y1"=-(3/4)(dF/dz)-7/2(d2/dz2)2(1/2)(dF/dz)-5/23/dz3,y2"=-(3z/4)(dF/dz)-7/2(d2/dz2)2(z/2)(dF/dz)-5/23/dz3と計算されます。

 

 それ故,12'-y1'y2 1,y12"-y1"y2 =0,y1'y2"-y1"y2'=-[(1/2)(dF/dz)-33/dz3(3/4)(dF/dz)-4(d2/dz2)2]です。

 すなわち,方程式はy"-[(1/2)(dF/dz)-33/dz3(3/4)(dF/dz)-4(d2/dz2)2]y=0 となります。

 

  故に,φ(x)≡[(1/2)(dF/dz)-33/dz3(3/4)(dF/dz)-4(d2/dz2)2]={1/(2F’2)}{F,z} (z=F-1(x))と定義すれば,d2/dx2=yφ(x)が満足されます。

 そして,Fはフックス関数なので,それの属する任意の変換をz→z1(az+b)/(cz+d)とし,F(z)のzに関する1階,2階,3階導関数を,それぞれF',F",F(3)と書けば,F(z1)=F(z),F'(z1)dz1/dz=F'(z),F"(z1)(dz1/dz)2+F'(z1)d21/dz2=F"(z),F(3)(z1)(dz1/dz)33F"(z1)(dz1/dz)(d21/dz2)2+F'(z1)d31/dz3=F(3)(z)となります。

これらの式から,具体的計算を行なうことにより,xの関数φ(x)≡φ(F(z))≡[(1/2)(F'(z))-3(3)(z)-(3/4)(F'(z))-4(F"(z))2]について,φ(F(z1))=φ(F(z))が成立することを陽に導くことができます。

 

故に,φ(x)≡φ(F(z))はzのフックス関数です。

 

x=F(z)もフックス関数なので,φ(x)はxの代数関数です。

つまり,φ(x)≡φ(F(z))はx=F(z)の関数であって,F(z)はフックス関数ですから,F(z1)=F(z)が成立します。

 

それ故,φ(F(z))=φ(F(z1))となるのは自明なことであって,そもそも具体的計算で証明することなど不要ではないかと思われます。

 

しかし,x=F(z)は一般にzの1価関数であるかどうかもわかっていないので,φ(F(z))=φ(F(z1))が成り立つことは必ずしも自明であるとはいえないわけです。

 

実際,y1(dF/dz)1/2,y2=z(dF/dz)1/2もx=F(z)の関数ですが,こちらの方は明らかにzについて1価関数ではなく,(z)=0 なるz(F(z)の零点)に分岐点を持ちます。

 したがって,x=F(z)がたとえzの多価関数であっても,F(z)がフックス関数でありさえすれば,φ(x)≡φ(F(z))の方は必ずフックス関数になるというのが,上の具体的証明の内容であることを述べているのだろうと思います。

 

 まだ,複素関数の多価性を表わすモノドロミー群が登場していませんから,これとフックス群の準同型な関係についての議論などは示されていないので,上に述べたことは「フックス関数であることと1価関数であるということは同値である。」ことを示唆していると思われます。

「φ(x)≡φ(F(z))はzのフックス関数です。x=F(z)もフックス関数なのでφ(x)はxの代数関数になります。」と書きました。

 

これはポアンカレが証明したと称している「1°同じ群に属しその定義の結果として生ずるもの以外には真性特異点を持たない2つのフックス関数の間には代数的関係が存在する。」という命題を認めて,これを用いた結果です。(注2終わり)※

例えば,特に方程式を,(1)d2/dx2=y[(1/α21)/4x2(1/β21)/{4(x-1)2}+(1+1/γ21/α21/β2)/{4x(x-1)}]とする。

 

ここに,α,β,γは有限または無限の正の整数で,1/α+1/β+1/γ<1とする。zがこれの積分の比(つまりこれの解の比)なら,x=f(z)とするとf(z)は群(α,β,γ)に関するフックス関数である。

この関数は基本円の内部でしか存在しない。そして次の2つのテータフックス関数の比とみなされる。

 

(df/dz)/[{f(z)}{f(z)-1}],および(df/dz)(z)/[{f(z)}{f(z)-1}],m,p,qは次の不等式を満たす整数である。

 

1-p/m≧1/α,1-q/m≧1/β,(p+q-1)/m-1≧1/γ。この不等式は同時に成立可能である。

基本円の内部でしか存在しないこれら2つのテータフックス関数はこの円の内部で正則である。α=β=γ=∞ならば,(1)はsinamxの周期をそのモジュラーの平方の関数として定める方程式に帰着する。

 ※(注3)(1)は超幾何微分方程式と本質的には同じものです。

 

 一般に2階線形常微分方程式:u"+p(x)u'+q(x)u=0 に対して変換u=exp{-(1/2)∫p(x)dx}yを行なうと,y"=[p'(x)/2+p(x)2/4-q(x)]yと変換されます。

そこで,特に超幾何微分方程式x(x-1)u"+[(a+b+1)x-c]u'+abu= 0 ,すなわちu"+[c/x+(a+b-c)/(x-1)]u'+[ab/{x(x-1)}]u=0 を取ります。

 

上で与えた変換:u=x-c/2(x-1)-(a+b-c)/2yを行なって,さらに|1-c|=1/α,|c-a-b|=1/β,|a-b|=1/γと置けば,(1)d2/dx2=y[(1/α21)/4x2(1/β21)/{4(x-1)2}+(1+1/γ21/α21/β2)/{4x(x-1)}]が得られます。

変換u→yの形から見て,(1)の2つの解の比とそれに対応する超幾何微分方程式の解の比は全く同じなのでzは超幾何方程式の解の比と考えてよいと思われます。

 

また,α,β,γは各特異点における決定方程式の根の差の絶対値の逆数なので,シュワルツの研究において現われたm,n,pに相当します。

 

そこでは,既にシュワルツの研究を通じて,x=f(z)がフックス関数になるための条件はα,β,γが全て正の整数で1/α+1/β+1/γ<1であることを見たし,それに対応するフックス群が(α,β,γ)であることも見ました。

 すなわち,ポアンカレはここでもシュワルツが既に得ていた結果を彼の名に触れることなく述べています。 

 Kをフックス群の任意の元とすれば,f(z)がフックス関数ならf(zK)=f(z)ですが,両辺をzで微分するとf'(zK)d(zK)/dz=f'(z)より,[f'(zK)][f'(z)][d(zK)/dz]-mを得るので[f'(z)]は1つのテータフックス関数です。

 

 そして,(z)がフックス関数なのでf'(z)をdf/dzと書いて(df/dz)/[{f(z)}{f(z)-1}],(df/dz)(z)/[{f(z)}{f(z)-1}]もやはりテータフックス関数です。

 

 そして,f(z)はこれらの比として得られます。

 条件:1-p/m≧1/α,1-q/m≧1/β,(p+q-1)/m-1≧1/γは,これらのテータフックス関数が基本円の内部で正則になることを保証する条件です。

 

 実際zとf(z)の対応は,(1)の特異点であるx= 0,1,∞ を除けば,局所的に1対1正則なので,群の基本領域の頂点以外では正則です。

 

 zは微分方程式の2つの解の比なので,zの選び方はいろいろありますがどれを選んでも結論は同じです。

 

 そこで,特にf(0)=0 となるようにzを選べば,その近傍でz=x1/α(1+..);(ただし'..'は定数項を含まないxのベキ級数)と書けるため,x=f(z)=zα(1+..)となります。

 

 これから,(df/dz)=α(α-1)(1+..),よって(df/dz)/[{f(z)}{f(z)-1}]=(定数)×z(α-1)-pα(1+..),(df/dz)(z)/[{f(z)}{f(z)-1}]=(定数)×z(α-1)-pα+α(1+..)が得られます。

 m,α,pは正整数なので,これらがz=0 で正則であるための条件として,m(α-1)-pα≧ 0 ,すなわち,1-p/m≧1/αを得ます。

 

 同様に,x=f(z)=1,およびx=f(z)=∞ の近傍で,それぞれf(0)=1,f(0)=∞ となるようにzを選んで,z=1,およびz=∞でのx=f(z)の正則条件から,1-q/m≧1/β,および(p+q-1)/m-1≧1/γを得ることができます。

 最後に,sinamxと書いてあるのは,現在ではsnxという記号で示される関数のヤコービの記号です。

 

 既にガウスの項で示したように, snx=sinamxは,∫0xdx/{(1-x2)(1-k'22)}1/2の逆関数です。

 これにおけるモジュラスをkとすると,K=∫01dx/{(1-x2)(1-k22)}1/2(π/2)F(1/2,1/2,1;k2),K'=∫01dx/{(1-x2)(1-k'22)}1/2(π/2)F(1/2,1/2,1;k'2)となります。

 

 そこで,ξ≡k2と置けば,snxの2つの周期:4K,2iK'はa=b=1/2,c=1 に対応する超幾何微分方程式:ξ(ξ-1)u"+(2ξ-1)u'+u/4=0 の解となります。

 

 このとき,1/α=|1-c|=0, 1/β=|c-a-b|=0, 1/γ=|a-b|=0 となりますから,α=β=γ=∞です。

 

 最後の文章はこのことを述べています。(注3終わり)※

 私は,次に私が1879年11月にアカデミーに提出する栄を得たノートの中で定義した数論的な不変式をテータフックス関数に帰着させる。

(z)を任意のフックス関数とし,x=F(z)と置く。

 

zの1価関数の系:θ1(z),θ2(z),..,θn(z)で,これから行列式 det(dα1θ/dxα1,dα2θ/dxα2,..,dαnθ/dxαn) (θ(z)≡t1(z),θ2(z),..,θn(z)))を作ったときに,α12,..,αnがどんな整数であっても,これがフックス関数であるようなものをゼータフックス関数の系と呼ぶ。 

 θ12,..,θnが,それらをx=F(z)の関数と見たときに係数がxの代数関数であるような1つの線形微分方程式を満たすことは明らかである。

※(注4)θ12,..,θnの任意の線形結合を一般解に持つ線形常微分方程式は行列式の等式 det(,',",..,(n))=0 で与えられます。

 

 ここで,t(y,θ12,..n),'≡d/dx,"≡d2/dx2,..,(n)≡dn/dxnです。

 

 したがって,θ12,..,θnがゼータフックス関数の系としての性質を持つならば,この線形微分方程式の係数は全てzのフックス関数になります。一方,x=F(z)もフックス関数ですから,1°によって微分方程式の係数はxの代数関数であるということになります。(注4終わり)

 私は,無数のゼータフックス関数を作ることができることを証明し,それにいろいろな級数による表現を与える。

 

 そして,これらは無数の微分方程式,とりわけ有限の範囲に2つ,無限遠に1つの特異点を持つ有理関数の線形微分方程式の全てを積分することができる。 

 1つの特別な応用を与える。 

 K,K'が楕円関数の周期でωがそれのモジュラスであるとする。

 

 φは,ω=φ[(K+K'√-1)/(K-K'√-1)]で定まる関数とする。そして,x=0,x=1,x=∞ に特異点を持つ有理係数の線形微分方程式があるとする。x=φ(z)と置き,この微分方程式の積分をθ1(z),θ2(z),..,θn(z)とする。

 

 このとき,φ(z)はフックス関数でθ12,..nはゼータフックス関数である。これらは基本円の内部でしか存在しない。これらはこの円の内部で正則で,したがって常に整級数で表わされ.その係数は容易に計算できる。 

 要するに,楕円関数がその特別の場合であるような極めて広い関数のクラスが存在する。

 

 これらの関数は多数の微分方程式を積分することができる。

 

 いろいろな性質がこの関数と楕円関数の類似を,そしてテータフックス関数,およびゼータフックス関数と関数Θ,およびΖとの類似を顕著にしている。 

 ※(注5)(φは楕円モジュラー関数であって,これは超幾何微分方程式ω(ω-1)u"+(2ω-1)u'+u/4= 0 (ただしu'=du/dω,u"=d2/dω2)の解の比の逆関数として得られるフックス関数であり,それの属するフックス群は群(∞,∞,∞)です。

 

 このことから,上に述べられていること,すなわち,0,1,∞のみに特異点を持つ有理係数の全ての線形微分方程式が,フックス関数φ(z)とゼータフックス関数θ1(z),θ2(z),..,θn(z)を用いてx=φ(z),y=c1θ1(z)+c2θ2(z)+,..,+cnθn(z) (c1,c2,..,cnは任意定数)のような形に積分できることが証明できます。

 

 これについての詳しい説明は,いずれ後の主論文で与えられます。

 なお,Θ,およびΖはヤコービの記号で,現在の記法ではθ,およびζに相当します。(注5終わり)※

 ところで,本文の中で「これらの関数が微分方程式を積分する。」という表現がありますが,これは「これらの関数が微分方程式の解になる。」という意味であると考えられます。 

 これで,ポアンカレ(Poicare')の項の第1章が終わり,以下は本論の第2章へと続きます。

 

 ここまでを退院前日の4/21(土)PM4:04 に読了し,一応ノルマと課していたフックス関数の理論での序論の部分を全て読んで理解し終えたので,これで満足して病院での読書を全て終わりにし,翌日4/22(日)のAM9:30ごろに無事退院しました。

その後,自宅にてポアンカレの第2章フックス群の理論に入ったのは退院してから1週間以上を経た4/30(月)のことでした。

 

気紛れな私は,やはり退院してからは入院中のような情熱は失せてしまったようです。

 

 以後はこの本については数ページしか読み進んでいません。したがって,この続きがブログ記事になるのは,かなり先のことになるかもしれません。※

参考文献:斎藤利弥 著「線形微分方程式とフックス関数I(ポアンカレを読む)」(河合文化教育研究所)

 

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2007年6月 6日 (水)

ポアンカレに関する1つの挿話

コーヒーブレイクとして,フックス関数の研究の際にポアンカレに生じた精神的変化に関する興味深い話題を述べてみようと思います。

既に記したように,ポアンカレは1880年5月にフックスの論文を入手し,それに刺激されてわずか1ヶ月足らずの間にコンクール論文を書き上げました。

しかしその内容はかなり未熟でした。

 

すなわち,2階線形微分方程式の2つの解f(x),φ(x)の比z=f(x)/φ(x)の逆関数x(z)がz平面全体で1価有理関数となるケースのみを考え,実は理論の中に有理関数と楕円関数は含まれていますが,肝心のフックス関数が含まれていませんでした。

ところが1881年になって投稿された彼の論文を見ると,この時には既にポアンカレはフックス関数の全貌をほぼつかんでいます。

このようなポアンカレの精神の中に起こった劇的な変化を説き明かす1つの興味深い挿話,つまり科学者,数学者としての発見のプロセスにおけるひらめきの瞬間がどのように訪れたのか?ということについての挿話を,彼自身がパリでの講演の中で語ったのですが,これは彼の著書「科学と方法(1908)」の中で読むことができます。

「2週間にわたって私は自分が後にフックス関数と名付けたものと類似の関数は存在しないということを証明しようと努力していた。

 

その頃私は全く無知だったのである。...(中略)....

 

ある晩,私は習慣に反してブラックコーヒーを飲み,眠ることができなかった。いろいろな考えが群をなして押し寄せてきた。

 

私はこれらが互いにぶつかり合い,遂にそのうちの二つが互いに引っ掛かり合って,いわば安定な組合わせを作るのを感じた。

 

朝になったとき,私は超幾何級数から導かれるフックス関数の1つのクラスの存在を証明できた。私はその結果を書き上げるだけでよく。。

次に私はその関数を2つの級数の比として表わそうと思った。

 

このアイディアは完全に意識的で熟考を経たものであった。楕円関数との類推が私を導いてくれた。私はそのような級数がもし存在すればそれはどんな性質のものでなければならないかを自問し,何の困難もなく,私がテータフックス級数と名付けた級数を作ることができた。

この頃私は....地質調査旅行に加わった。

 

旅行中の環境が私に数学の仕事を忘れさせた。..乗合馬車に乗った。その階段に足を掛けたとき,それまでそのことについて心の中に何の準備もしていなかったのに,一つの考えが浮かんできた。

 

それはフックス関数を定義するのに用いられた変換が非ユークリッド幾何の変換と同一のものだということであった....私はカアンに帰ってから良心をなだめるためにそれをゆっくりと検証した。

次に私はある数論の問題の研究を始めたが....うまくいかないのに嫌気がさして,私は海岸で数日を過ごし全く別のことを考えていた。

 

ある日,崖に沿って歩いていたとき,一つの考えがいつもと同じような独特の簡潔さ,唐突さ,そして間髪を容れない確実さをもって浮かんできた。それは三元不定値二次形式の数論的変換は非ユークリッド幾何の変換と同じものだということである。

....この二次形式の例は私に超幾何級数に対応するもの以外にもフックス群が存在することを教えてくれた。...」

初期の2つの論文に述べられている理論が,どのようにしてポアンカレの頭の中に形を成していったかを,この文章は生々しく伝えてくれています。

 

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