形式論理学(5)
ブログ記事の中には私自身の気紛れのために途中で他に関心が移り,数回の連載を意図して書き始めたにも関わらず,結局最後まで完遂することなくほったらかしになった記事もいくつかあります。
ときどきブログ全体を回顧して見ることがあるのですが,そうした途中やめになっている記事についても,日頃からいつかはそれらの続きを書きたいと思っています。
というわけで今回は2007年10月4日から10月18日にわたり4回だけ連載して中途になっている記事「形式論理学(1)」,「形式論理学(2) 」,「形式論理学(3) 」,「形式論理学(4)」の続きを書こうと思います。
シリーズ最後の記事「形式論理学(4)」は新しい"一般性を持った論理の規則=形成規則"を定める次の文章で終わっています。
(過去記事の再掲部分)↓
かくして,論理形式に適した文の新しい形成規則としては,出発点となる文の範囲(0)をやや拡張し,与えられている文から新しい文を作るための方法を定める規則:1~5 に,量化子∀,∃を扱う規則;6を追加したもので与えられることになります。
0:出発点.任意のn項述語の後ろにn個の名称を続けたものは文である。(n=2の場合の例:Tab,Tbbは文です。しかし,Txbは文ではありません。xは変項であって名称(名前)ではないからです。)
※新しい文を生み出す6つの操作
1:否定.任意の文の先頭に ¬ をつける。
2:連言:2つ以上の任意の文の列において隣り合う文の間に∧を書き,そうしてできたものを括弧でくくる。
3:選言:2つ以上の任意の文の列おいて隣り合う文の間に∨を書き,そうしてできたものを括弧でくくる。
4:条件. 任意の2つの文の間に⇒を書き,そうしてできたものを括弧でくくる。
5:双条件. 任意の2つの文の間に ⇔ を書き,そうしてできたものを括弧でくくる。
6:量化.何らかの名称rが現われているが変項が現われない全ての文,..r..において,rが現われる全ての箇所をxで置き換え,先頭に ∀x,または ∃xを付ける。
後にさらに改定した規則を与えるまでの間は,規則:0~6 から得られるもの以外に文であるようなものは存在しないとします。
↑(再掲終わり)
上述の形成規則を形成の木と呼びます。
これを用いる1例として,文:"∀x(Txb⇒Tab)"を作る場合なら,まず,出発点の規則(0)によりTcbとTabを作り,次に規則(4)によって(Tcb⇒Tab)とします。
そして,規則(6)によって,∀x(Txb⇒Tab)を作るわけです。
例えば "あらゆるxについて(xはモリアーティを捕まえることができる⇒ホームズはモリアーティを捕まえることができる);¬(ホームズはモリアーティを捕まえることができる):それ故,¬(モリアーティを捕まえることができるようなxが存在する)"という命題を考えます。
これは,ホームズをa,モリアーティをb,"捕まえることができる"をTという記号で表現すると"1.∀x(Txb⇒Tab)(前提);2.¬Tab(前提);⇒ 3.¬∃xTxb(結論)"という論理式になります。
そして,この命題の妥当性を示すことは3つの文の集合:"1.∀x(Txb⇒Tab);2.¬Tab;3.¬¬∃xTxb"の矛盾を示すことと同等になります。
そして既に前の記事で述べたことですが,これを示すには次のようにします。
まず,"1.∀x(Txb⇒Tab);2.¬Tab;3. ¬¬∃xTxb"なる3つの文の集合の中から,"3.¬¬∃xTxb"にチェック(✓)を付け,その代わりに"4.∃xTxb"なる行を追加します。
さらに,"1.∀x(Txb⇒Tab)"なる文の前提は∀xなので,これはxが何であろうと括弧の中の命題は成り立つことを意味しますから," 5.Tbb⇒Tab"が成立します。
しかし,命題1.からは,なおも5.とは別の独立な情報が獲得できる可能性があるので,まだ1.にはチェック印✓をつけません。
次に,"5.Tbb⇒Tab"は"¬Tbb∨Tab"と同値ですから,ここから"6a.¬Tbb"と"6b.Tab"の2つの文に分岐します。
この段階で,"6b.Tab"の方の分枝は,前に"2.¬Tab"があり,これと矛盾するので閉じますが,"6a.¬Tbb"につながる分枝はなお開いています。
一方,"4.∃xTxb"は,Txbを成立させるあるxが存在することを意味するので,この"bを捕まえることができる(Tb)少なくとも1人は存在する(∃x)誰か=x"の名称をcとして,"7.Tcb"と書くことができます。
そして,この 4.は1度しか使えないので,"7.Tcb"を作るのに使用したため,4.には使用済みのチェック印✓をつけます。
さらに,もう1度"1.∀x(Txb⇒Tab)"を用いて,"8.Tcb⇒Tab",すなわち"8.¬Tcb∨Tab"が成立します。
この8.は"9a.¬Tcb","9b.Tab"と展開できます。
そして,左の分岐"9a.¬Tcb"は前の文"7.Tcb"と矛盾するので閉じます。
一方,右側の分岐"9b.Tab"は,再び"2.¬Tab"との矛盾によって閉じます。
上のように,文を∀xで表現する規則を普遍例化(UI)といいます。
(UIはuniversal instantiationの略)
"∀x..x.."というような形の行を持つ開いた経路がある場合,その行にはチェック済みの印✓を付けず,その経路に現われる名前nの全てについて,上のxにnを代入した,"..n.."をその経路の下端に書き足します。
しかし,もしもその経路にどんな名前も現われていないなら,適当な名前nを取って"..n.."を書き足します。
また,文を∃xで表現する規則を存在例化(EI)といいます。
(EIはexistential instantiationの略)
"∃x..x.."というような形の行のうち,まだチェックされていないものがあれば,まずそれにチェック済みの印✓を付けます。
そして,その行を含む全ての開いた経路を見て,それが上のxにnを代入した,"..n.."という形の行を含んでいればそのままにしておき,一方,そうした行がないなら,まだその経路に現われていない適当な名前nを選んで経路の下端にxにnを代入した"..n.."を書き足します。
ただし,この2つの規則は括弧を省略せず,形成規則通りに書いたときに,文字通り先頭に量化子が来ている行だけに適用できます。
そこで,例えば上のUIの規則を∀x(Mx⇒H)には適用できますが,∀xMx⇒Hには適用できません。
後者は(∀xMx⇒H)の省略形でこれの先頭は括弧であって量化子∀ではないからです。
また,こうした量化子を含む文の否定は単に¬∀xを∃x¬に,¬∃xを∀x¬に,と書き換えればよくて,これによって行を簡単に処理できることもわかります。
実際,ド・モルガンの規則などの説明と同じく,論理的に考えると"¬∀x○"は空でない論理領域の中での全てのものが○という属性を持つことの否定ですが,これはその論理領域の中に属性○を持たないものがあるということ:"∃x¬○"と同値です。
そして,"¬∃x○"は論理領域の中に属性○を持つものがあることの否定ですが,これはその論理領域の中の全てのものが属性○を持たないということ:"∀x¬○"と同値ですね。
そこで,¬∀xを∃x¬に,∀xを¬∃x¬に,¬∃xを∀x¬に,∃xを¬∀x¬に書き換えてよい,という簡単な規則が得られます。
例として,"∀xMx⇒∃xMx"なる文の妥当性の論証を考える場合なら,これは"∀xMx,¬∃xMx"の矛盾を示すことと同値です。
これの真理の木は,"1.∀xMx","2.✓¬∃xMx"3.∀x¬Mx","4.¬Ma"(3より),"5.Ma"(1より)です。
したがって,4,5から木は閉じているので,この枝に×印をつけて最初の命題は妥当であることがわかります。
もう1つ例を出します。
それは命題:"(∃xMx⇒H)⇒∀x(Mx⇒H)"です。
この命題の意味は,例えばMが母親であること,Hが大人であることを意味する場合であれば,"ある人の母親であるなら彼女は大人である。"ということが正しいなら"xの母親なら彼女は大人である,ということがどんなxについても成り立つ。"ということを表わします。
これの妥当性の論証は"∃xMx⇒H;¬∀x(Mx⇒H)"の矛盾を示すことと同値です。
これの真理の木は,"1.✓∃xMx⇒H","2.✓¬∀x(Mx⇒H)","3.✓∃x¬(Mx⇒H)"(2より),"4.✓¬(Ma⇒H)"(3より),"5.✓Ma∧¬H"(4より),"6.Ma"(5より),"7.¬H"(5より),"8.✓ ¬(¬∃xMx∧¬H)"(1より),"9.✓H∨∃xMx"(8より),"10a.H"(9より) ←この枝は×です(7より)。
また,"10b.✓∃xMx"(9より),"11.∀x¬Mx"(10bより),"12.¬Ma"(11より) ←この枝は×です(6より)。
以上からこの木は閉じていることが示されました。
この論題について述べるのは久しぶりなので,思い出すという意味で,今日のところはこれで終わります。
参考文献:Richard Jeffrey著(戸田山和久 訳)「形式論理学」(その展望と限界)(産業図書)
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