103. 電磁気学・光学

2019年10月12日 (土)

光の量子論8

※第2章 原子・放射相互作用の量子力学

の続きです。

※(余談)このブログをアップする時点で10/12に入った

真夜中です。まもなく,関東に大きい台風が来るらしい

ですが,ほぼ寝たきり生活の死に損ないジジイなので,

自分のことダケであれば,あまり気にしません。

15日に2ヶ月分の年金が入る予定で.まだ今月の家賃

も払っていません。ここ西巣鴨に引っ越してきたのは,

6年間住んでいた,巣鴨駅から健康な足で徒歩10分の

アパートの建てかえ,立ちのきのせいで,やむなく

2016年の10月に移ってきたので,ほぼ3年経ちました

が.以来,偶数月の家賃は僅かながら年金が入るまで常に

未払いですが,家主も管理会社も優しいのか,前に住んで

いたときの管理のエイブルと違って,義務的であろう家賃

の催促のクレームもないので助かっています。まあ,催促

されてもギリギリで暮らしていて,無いソデは振れません

が。。その代わり,次の奇数月は前月の残りの金で期限通り

に払っています。ときどき入院していても,支払いはネット

バンクからしているので,幸い半月以上の滞納はゼロです。

というわけで,年金前の今頃が最も金欠で食べ物も食事用

のモノくらいしかなく,好きな間食もできず,仕方なくブログ

書きなどに集中するしか,他に能動的なことはできないため,

入院中を除いて,大体2ヶ月ごとの金欠時期にブログ記事アップ

が増えるわけです。

村上春樹さん,また,ノーベル賞ダメでしたね。

まあ,アインシュタインもノーベル賞をもらったけど,

「相対性理論」にじゃなく,光量子論でしたかね。

大体,賞を選ぶ側が選ばれる側を正しく評価できるほど

優秀とは限らないので,お金が欲しいなら別ですが,ガッカリ

することもないような。ノーベル賞より上だから選ばれない

とかね。。(余談終わり※)

さて,本論に入ります。

  • 2.4 B係数の表式

多数存在する同種の原子数をNとし,それらに

同時に相互作用H1が加わったとします。

これらの原子は,時刻tで,ψ1に見出される確率

|C1|2と,ψ2に見出される確率:|C2|2を持ちます。

それ故,2つの状態にある平均粒子数は,それぞれ,

1=N|C1|2N,N2=N|C2|2.(2.50)となります。

同種の原子,または分子から成る気体であっても,

対応する電子状態の空間的配向は,原子(分子)から,

次の原子(分子)へと不規則に変化します。

前にx軸の正の向きにとった電磁波の電場の向き

の単位ベクトルをεとします。

すると,行列要素X12はX12εD12.(2.51)と,

書けます。ただし,12=∫ψ1ψ2dV(2.52)です。

与えられた1対の状態ψ1とψ2に対して,D12は,

空間的に,ある方向を向きますが,原子(分子)の配向が

乱雑なため,それは気体中では不規則な運動をします。

12と電場の単位ベクトルεのなす角をθとすると,

|X12|2を求めるための配向による平均は,<cos2θ>

=1/3.(2.53)で与えられる,cos2θの平均値を含んで

います。

※(注8-1):実際,具体的に計算すると,<cos2θ>

=∫-11d(cosθ)cos2θ/∫-11d(cosθ)=(2/3)/2

=1/3 です。(注8-1終わり※)

こうして,前記事の,|C2(t)|2=πe2{X12|2

×W(ω)t/(ε0c2)(2.49)の因子:|X12|2を,

<|X12|2>=(1/3)|12|2.(2.54)に置換する必要

があることがわかります。

そこで,前記事で得たB係数の評価式:(2.49)

のB12=πe2{X12|2/(ε0c2)と上の(2.54)から,

12=πe2{12|2/(3ε0c2).(2.55)という,

アインシュタイン係数に対する量子力学による

結果が得られます。

 

入射電磁波を遮断すると,H1は無くなるので,

ψ12はHだけから成る全Hamiltonianの定常

状態に戻ります。

(※H=T+V:原子のHamiltonianです。)

仮に,状態2が状態1よりエネルギーが低くても,

本章の議論では,入射ビ-ム照射が無いと1から2

への遷移は起こることが無いと結論されます。

何故なら,本章の「半古典的方法」では自発放出の

過程を含まないからです。

その過程を含む満足な扱いをするには,量子力学に

よる「放射場(量子化された輻射場)」を用いる必要

があります。ですが,そうした扱いは第5章までは

Pendingとします。

 

しかしながら,自発放出のA係数の正しい表式は,

既に,第1章の§1.6 (本ブログでは光の量子論2)

で,熱平衡の場合のアインシュタインの現象論を空洞

放射のPlanckの法則と比較することから,

21={hcω3/(π23)}B21(1.51),および,

(g1/g2)B12=B21.(1.50)なる式として得ています。

 

これに,上の(2.55)のB12=πe2|12|2/(3ε0c2)

とω~ω0を代入すれば,A21={hcω03/(π23)}

×(g1/g2){πe2|12|2/(3ε0c2)},すなわち,

21={g12ω03|12|2|/(3πε02c3)}.(2.56)

 

これからA係数の値は水素原子の場合には容易に

計算できます。

状態1を1s,状態2を2p状態として1と2の間

の遷移を考えます。1s状態と遷移速度が等しい3つ

の2p状態があり,それらを合成したB12係数は(2.55)

で与えられた,B12=πe2{12|2/(3ε0c2)の3倍の値

を有し,その場合のD12は1s状態と2p状態のどれか

1つの間の行列要素を意味します。

1=1,g2=3とし,前々記事で求めたボーア半径

の値:a0=4πε0c2/(me2)~ 5×10-11m(2.16)

や,Ω=215/2eE00/(35c)(2.27)の表式,そして,

ω0=(3/4)ω(2.28),hcω=me4/(32π2ε02c2)

(2.29).および,Ω­=eE012/hc(2.23)を用いて,

(2.56)の3倍のA21=e2ω03|12|2/(3πε0c3)

を計算します。|12|2=3|X12|2ですから,まず,

12を計算します。

定義によって,X12=∫ψ1()xψ2()d3

です。ただし,r|r|とおけばxrcosθです。

 

量子力学の初等的教科書によれば,

水素原子の1s(n=1,l=0)の状態の波動関数は

ψ1()=π-1/20-3/2exp(-r/a0)です。

また,2p(n=2,l=1)の状態でm=0の状態の

波動関数は,ψ2()=(2a0)-3/2(2-r/a0)

exp{-r/(2a0)}{3/(8π)}1/2cosθ です。

それ故,X12=π-1/20-3/2{3/(8π)}1/2(2a0)-3/2

×(2π)∫-11d(cosθ)cos2θ

×∫0[r3(2-r/a0)exp{-3r/(2a0)}dr

=(2-3/2/31/2)a0-3

×∫0[r3(2-r/a0)exp{-3r/(2a0)}dr

と書けます。

ここで,u=3r/(2a0)⇔r=(2a0/3)uと,

動径部分の積分変数をrからuに置換すると,

0[r3(2-r/a0)exp{-3r/(2a0)}dr

=(25/34)a040[(u3-u4/3)exp(-u)du

=(25/34)a04{Γ(4)-Γ(5)/3}=-(29/34)a04

です。

故に,X12=-(2-3/2/31/2)a0-3×(29/34)a04

=-(215/2/39/2)a0を得ます。そこで,|X12|2

=21502/39です。

したがって,|12|2=3|X12|2より.

21=e2ω03|12|2/(3πε0c3)

=e2ω03|X12|2/(πε0c3)}

=e2ω0321502/(39πε0c3)

となりますが.この右辺に,

ω0=(3/4)me4/(32π2ε02c3)

=3me4/(27π2ε02c3),および,

0=4πε0c2/(me2)を代入します。

ω03=33312/(221π6ε06c9),および,

02=24π2ε02c4/(m24) なので,

21=e2ω0321502/(39πε0c3)

=me10/(2236π5ε05c63)を得ます。

最後に,具体的な現在の観測値:

m~ 3.1×10-31kg,e~ 1.6×10-19C,

ε0~ 8.85×10-12F/m,c~ 3×108m/s.

c ~ 1.254×10-34Js,π=3.1415..

を代入して長い計算をすると,A21の分子

=me10~3.4×1021910kgであり,分母

=2236π5ε05c63~ 5.07×10-2285-263

ですから,結局,A21~ 6.7×108-1.(2.57)

を得ました。(※ 参考の教科書の(2.57)と

僅かに違うので,計算違いがあるかも

知れません。しかし,オーダー的には両者は

一致しました。)

 

※(注8-2):単位のチェックをします。

SI単位系での静電気力のCoulombの法則:

F=(4πε0)-12/r2から,誘電率の単位は,

0]=[e2/r2]/[F]を満たすはずです。

つまり,F/m=C2-2-1ですから,

F=C2-1-1です。ただし,誘電率の単位:

F/mのFはファラッド(Farad)です。また,

Nは力の単位:Newtonで,N=kgms-2でも

あります。

21の表式の分子の単位は,[me10]=C10kg

でしたが,分母の単位は,[2236π5ε05c63]

=F5―263=(C2-1-1)5-2(Nm)63

=C10-1Ns3=C10-1(kgms-2)s3

=C10 kgsです。

したがって,[A21]=[me10/2236π5ε05c63]

=s-1を得ました。(注8-2終わり※)

さて,前に,「光の量子論3」では,Aの逆数:I,

つまり,A=1/I(1.78)で与えられるIは,対象と

する遷移の「蛍光寿命」,または「放射寿命」として

知られています。 と書きました。

そこで,(2.57)のA21~ 6.7×108-1から,水素原子の

2p状態の放射寿命は,およそ,1.5×10-9sであることが

わかります。

このA21~ 6.7×108-1で示される自然放出の速さ

と比較して,これと同じ遷移の誘導放出の速さは,W(ω)

~ 108(W/m2)の強度と,dω~ 2π×1010-1程度の幅

を持ったビームの場合:B21W(ω)dω~3×107-1(2.59)

くらいで,自然放出の速さの100分の1以下です。

 

  • 2.5 Diracのデルタ関数

アインシュタインの係数を計算する上述の方法は広い

使い道があるので.この結果を他の問題にも適用しやすい

形に直しておきます。

まず,Diracのデルタ関数:δを次式で定義します。

すなわち,δ(ω0-ω)

=(2/π)limt→∞sin2{(ω0-ω)t/2}/{(ω0-ω)2t}

(2.59)です。

前記事では,積分因子:IntをInt

=∫ω0-Δω/2ω0+Δω/2dω[sin2{(ω-ω0)t/2}/{(ω-ω0)2]

(2.46)と定義し,これについて,Δω>>1なら,ω1=ω-ω0

として.Int~∫dω1[sin21t/2)/ω12]=πt/2.(2.48)

となることを,記述しました。

 それ故,∫δ(ω0-ω)dω=1.(2.60)です。

デルタ関数δ(ω0-ω)は,ω=ω0では無限大であり,

ω≠ω0では至るところゼロです。

したがって,もっと一般的に.ω1<ω0<ω2の場合

は,∫ω1ω2δ(ω0-ω)dω=1,その他の場合(ω0<ω1

またはω0>ω2)には.∫ω1ω2δ(ω0-ω)dω=0.(2.61)

と書けます。

そして(2.59)のデルタ関数δの定義:δ(ω0-ω)

=(2/π)limt→∞sin2{(ω0-ω)t/2}/{(ω0-ω)2t}

を利用すると,δ-関数の性質を証明することができます。

まず,ω=ω0を特異点としないωの任意関数をf(ω)

として,∫ω1ω2f(ω)δ(ω0-ω)dω

=(2/π)limt→∞ω1ω2dωf(ω)sin2{(ω0-ω)t/2}

/{(ω0-ω)2t}(2.62)を考えます。

(※左辺の積分が,右辺の積分の極限値によって定義

される,と解釈します。)

右辺の積分変数をx=(ω-ω0)tに置換すると

ω1<ω0<ω2の場合は,∫ω1ω2f(ω)δ(ω0-ω0)dω

=(2/π)limt→∞(ω1-ω0)t(ω2-ω0)tf(x/t+ω0)

|sin2(x/2)/x2}dx=(2/π)f(ω0)

-∞|sin2(x/2)/x2}dx=f(ω0)(2.63)であり,

その他の場合は,∫ω1ω2f(ω)δ(ω0-ω)dω=0 

という妹性質が得られます。

※(注8.3):(2.63)を証明します。

ω=ω0を特異点としない関数fでは,たとえ

ω=ω0で連続な関数でなくても被積分関数因子と

しては,limt→∞f(x/t+ω0)=f(ω0)と挙動し,

ω1<ω0<ω2の場合は,limt→∞(ω1-ω0)t(ω2-ω0)t

=∫-∞です。そして,∫-∞|sin2(x/2)/x2}dx

=π/2なる公式を用いると,右辺=f(ω0)です。

 その他のω0の場合には,limt→∞(ω1-ω0)t(ω2-ω0)t

=∫ or ∫-∞-∞=0ですから,(2.63)とその後の

言明の成立は明らかです。(注8.3終わり※)

 

さて,δ(ω0-ω)

=(2/π)limt→∞sin2{(ω0-ω)t/2}/{(ω0-ω)2t}

(2.59)で与えた特殊な極限,以外にも,これと等価な

δ関数の別の表わし方が多々あります。

それがδ関数である,という基準は,

ω1ω2f(ω)δ(ω0-ω)dω=f(ω0)(ω1<ω0<ω2)

(2.63),および,∫ω1ω2f(ω)δ(ω0-ω)dω

(それ以外)を満たすことです。

※(注8.4):次の式がDiracのδ関数を表わすこと。

つまり,δ(ω0-ω)

={1/(2π)}limT1,T2→∞-T1T2exp{i(ω0-ω)t}dt

=limT1,T2→∞[exp{i(ω0-ω)T2}-exp{-i(ω0-ω)T1}

/|2πi(ω0-ω)].(2.64)であること,を証明します。

これの特別な場合:T=T1=T2である場合には,,

δ(ω0-ω)=limT→∞[sin{(ω0-ω)T}/{π(ω0-ω)}]

=(2/π)limT→∞[sin{(ω0-ω)T/2}/(ω0-ω)}](2.65)

です。

また,別の表式;δ(ω0-ω)

=(1/π)limε→0[ε/{(ω0-ω)2+ε2}](2.66)

をも証明します。

[証明]:まず,{1/(2π)}limT1,T2→∞ω1ω2dω

-T1T2exp{i(ω0-ω)t}dtを計算します。

与式=(1/π)[∫-∞dt[exp{i(ω0-ω2)t}/(-2it)

-∫-∞dtexp{i(ω0-ω1)t}/(-2it)]です。

ところが,数学公式:

a>0なら∫-∞{sin(ax)/x}dx=πより,

-∞[{exp(iax)-exp(-iax)}/(2ix)]dx=π

です。そしてy=-xと置けば,

-∞{exp(iax)/x}dx=-∫-∞{exp(-iay)/(-y}dy

=-∫-∞{exp(-iay)/y}dy

故に,∫-∞exp(iax)/x)}dx

=-∫-∞{exp(-iax)/x}dxです。

それ故,a>0なら,

-∞[{exp(-iax)}/(-ix)]dx=πであり,

他方a<0なら,

-∞[{exp(-iax)}/(-ix)]dx=-πです。,

故に,ω1<ω0<ω2の場合,

-∞dtexp{i(ω0-ω1)t}/(-2it)]=π/2,。

-∞dtexp{i(ω0-ω2)t}/(-2it)]=-π/2,

したがって,(1/π)[∫-∞dt[exp{i(ω0-ω2)t}/(-2it)

-∫-∞dtexp{i(ω0-ω1)t}/(-2it)]=1を得ます。

一方,ω01,またはω0>ω2の場合は

-∞dtexp{i(ω0-ω1)t}/(-2it)]

=∫-∞dtexp{i(ω0-ω2)t}/(-2it)]となるため,

(1/π)[∫-∞dt[exp{i(ω0-ω2)t}/(-2it)

-∫-∞dtexp{i(ω0-ω1)t}/(-2it)]=0です。

以上から,δ(ω0-ω)

={1/(2π)}limT1,T2→∞-T1T2exp{i(ω0-ω)t}dt

が証明されました。

 

次に,(1/π)limε→0ω1ω22/{(ω0-ω)2+ε2}]dω

を計算します。

ε/(x2+ε2)={1/(2i)}{1/(x-iε)-1/(x+iε)}

と書けることを利用します。

複素z平面上での閉路:C1を(実軸)+(右回り下半円周)

にとれば.原点Oを通る虚数上の点z=-iεは,C1

囲まれた領域内の極であり,z=iεは極ではないので,

Cauchyの留数定理から.∫C1{1/(z-iε)}dz=0,

C1{1/(z+iε)}dz=-2πiです。

故に,∫C1[ε/(z2+ε2)]dz=πとなります。

他方,閉路:C2を(実軸)+(左回り上半円周)にとれば

z=iεの方がC2内の極ですから,

C2{1/(z-iε)}dz=2πi,∫C2{1/(z+iε)}dz=0

です。故に,やはり,∫C2[ε/(z2+ε2)]dz=πという

結果を得ます。

しかし,いずれの閉路でも,半円周の半径Rを∞の極限に

とると,ε→+0のとき,[ε/(z2+ε2)]dzは(1/R)の

オーダーで減衰するため,半円周上の積分の寄与はゼロです。

そこで,∫(実軸)dz[ε/(z2+ε2)]dz

=∫x1x2[ε/(x2+ε2)]dxは,実軸上の区間:[x1,x2]

が区間内に原点Oを含めばπに等しく,さもないとゼロです。

あるいは,関数論に頼らず,x=εtanθ,

dx=εsec2θdθと変数置換すれば,

x1x2[ε/(x2+ε2)]dx=∫θ1θ2dθ=θ2-θ1

=Tan-1(x2/ε)-Tan-1(x1/ε)を得ますから,x2>0 ,x1<0

の場合は,ε→+0の極限で右辺=π/2-(-π/2)=πであり,

1とx2が同符号の場合なら右辺=0 です。

以上から,(1/π)limε→0ω1ω22/{(ω0-ω)2+ε2}]dω

は.ω1<ω0<ω2なら1の等しく,さもないときはゼロです。

したがって,δ(ω0-ω)

=(1/π)limε→0[ε/{(ω0-ω)2+ε2}]が示されました。

(証明終わり)  (注8-4終わり※)

 

 途中ですが今回はここまでです。(つづく)

(参考文献):Rodney Loudon 著

(小島忠宣・小島和子 共訳)

「光の量子論第2版」(内田老鶴舗)

 

PS:最近は韓国のKPOPアイドルの方に魅かれます。

女子ゴルファーも美しいのは,私にはどちらかというと韓国人。

昔も女子フィギュアは,浅田真央の時代も非国民といわれながらも

キム:ヨナが好きで応援してた。好き嫌いは理屈じゃない。。

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2019年10月 4日 (金)

光の量子論7

※第2章 原子・放射相互作用の量子力学

の続きです。

余談抜きで本論に入ります。

  • 2.3 遷移速度

前の記事で,(2.13),(2.14)の方程式が,

2 exp(-iω0t)I12=i(dC1/dt),

1 exp(iω0t)I12=i(dC2/dt)

と簡単になる,と書きましたが,

これに,さらに,I12=Ωcos(ωt)を代入

すれば,それぞれの式から,

Ωcos(ωt)exp(-iω0t)C2=i(dC1/dt)(2.31),

Ωcos(ωt)exp(iω0t)C1=i(dC2/dt)(2.32)

を得ます。

※(注7-1):|C1|2+|C2{2が時間的に一定不変であり,

(2.31),(2.32)が規格化条件と矛盾しない,ことを証明

します。

(証明):(d/dt){|C1|2+|C2{2}

=C1(dC1*/dt)+(dC1/dt)C1

+C2(dC2*/dt)+(dC2/dt)C2

です。

これに,上記の(2.31),(2.32)を代入すると,

(d/dt){|C1|2+|C2{2}

=iC1*cos(ωt)exp(iω0t)C2}

+(-i){Ωcos(ωt)exp(-iω0t)C2}C1

+iC2{Ωcos(ωt)exp(-iω0t)C1}

+(-i){Ωcos(ωt)exp(iω0t)C1}C2

=0 が得られました。(証明終わり)

(注7-1終わり※)

 

※(注7-2):原子に作用する電場が時間的に一定

である特別な場合,つまりω=0の場合,について

(2.31).(2.32)を解き,まず,解のC2が,

22/dt2-iω0(dC2/dt)+|Ω|22=0

(2.33)を満たすことを示します。

そして,これから,ω=0では,

|C2|2={4|Ω|2/(ω02+4|Ω|2)}

×sin2{(1/2)(ω02+4|Ω|2)1/2t}(2.34)

となることを証明します。

そして,|C1|2は,規格化条件|C1|2+|C2|2=1

から決まります。

(証明);ω=0では,(2.31),()2.32)の

Ωcosωtexp(-iω0t)C2=i(dC1/dt)と

Ωcosωtexp(iω0t)C1=i(dC2/dt)は,

dC1/dt=(-i)Ωexp(-iω0t)C2,および,

dC2/dt=(-i)Ωexp(iω0t)C1です。

2番目の式をtで微分すれば,

22/dt2=(-i)Ωexp(iω0t)(dC1/dt)

+ω0Ωexp(iω0t)C1となります。

右辺の(dC1/dt)に(-i)Ωexp(-iω0t)C2

を,Ωexp(iω0t)C1に{i(dC2/dt)}を代入

すると,d22/dt2=-ΩΩC2+iω0dC2/dt

となります。よって,

22/dt2-iω0dC2/dt+|Ω|22=0

が得られました。

これは定数係数の2階線形常微分方程式です。

特性方程式は,λ2-iω0λ+|Ω|2λ=0で

解として,λ={iω0±(-ω02-4|Ω|2)1/2}/2

=(i/2){ω0±(ω02+4|Ω|2)1/}を得ます。

λ±=(1/2){ω0±(ω02+4|Ω|2)1/}(複号同順)

と置けば,C2=Aexp(iλt)+Bexp(iλt)}

ですが,t=0でC2=0ですからB=-Aです。

故に,C2=2Aexp(iω0t/2)

×sin{(1/2)(ω02+4|Ω|2)1/2t},となります。

これを,dC2/dt=(-i)Ωexp(iω0t)C1

に代入します。

(-i)Ωexp(iω0t)C1=2Aexp(iω0t/2)

×[(iω0/2)sin{(ω02+4|Ω|2)1/t/2}

+(1/2)(ω02+4|Ω|2)1/

2cos{(1/2)(ω02+4|Ω|2)1/2t}]より,

1=iA(Ω)-1exp(-iω0t/2)

×[iω0sin{(ω02+4|Ω|2)1/2t/2}

+(ω02+4|Ω|2)1/2cos{(1/2)(ω02+4|Ω|2)1/2t}]

ですが,t=0でC1=1なので,

iA(Ω)-102+4|Ω|2)1/2=1より.

Ω=iA(ω02+4|Ω|2)1/2 を得ます。

故に,A=(-i)Ω/(ω02+4|Ω|2)1/2

です。

結局,C2=(-i){2Ω/(ω02+4|Ω|2)1/2}

exp(iω0t/2)×sin{(ω02+4|Ω|2)1/t/2},

となります。

したがって,|C2|2=4|Ω|2/(ω02+4|Ω|2)

×sin2{(1/2)(ω02+4|Ω|2)1/t}が得られました。

(証明終わり)  (注7-2終わり※)

 

アインシュタインB係数の計算は,原理的に上

の(注)のω=0の例題に似ていますが,この場合は

ω0に近いωに対する(2.31),(2.32)の解を求める

必要があります。

解の満たすべき初期条件は,やはりC1(0)=1,

2(0)=0.(2.35)です。

この場合も,|C2(t)|2が,時刻tにψ2に原子

を見出す確率であり,|C2(t)|2/tが量子力学的

遷移速度と定義されるものを与えます。

これをアインシュタイン理論のB12の定義と比較

すると,B12W(ω)={C2(t){2/t(2.36)が成立

すべきである,ことがわかります。

しかし,(2.31),(2.32)の方程式:

Ωcos(ωt)exp(-iω0t)C2=i(dC1/dt),

Ωcos(ωt)exp(iω0t)C1=i(dC2/dt)

は,形は簡単ですが,これを一般のωに対して解く

のは,かなり困難なので.とりあえず,近似解を探す

必要があります。

ところで,前記事の最後では,「大抵の光ビーム

では,Ω<<<ω0.(2.30)が成立しています。」

と書きました。そこで,Ω<<<ω0を想定すると,

これはC1,C2をΩのベキ級数として求めるのが

有効ではないか?ということを示唆しています。

そこで,このベキ展開を次のように,逐次近似の

反復法で試行してみます。すまわち,まず,

初期値:C1=1,C2=0を,(2.31),(2.32)の.

Ωcos(ωt)exp(-iω0t)C2=i(dC1/dt),

Ωcos(ωt)exp(iω0t)C1=i(dC2/dt)

の左辺に代入すると,dC1/dt=0.,および,

dC2/dt=(-i)Ωcos(ωt)exp(iω0t)

=(-i/2)Ω

×[exp{i(ω+ω0)t}+exp{i(ω-ω0)t}]

を得ます。そこで第1近似値として.

1(t)=1,および,C2(t)

=(-Ω/2)[1-exp{i(ω+ω0)t}]/(ω+ω0)

+(-Ω/2)[1-exp{i(ω-ω0)t}/(ω-ω0)

(2.37)が得られました。

次に.これを,さらに,(2.31)の左辺に代入します。

すると,dC1/dt

=(i|Ω|2/2)cos(ωt)exp(-iω0t)

×[1-exp{i(ω+ω0)t}]/(ω+ω0)

+(i|Ω|2/2)cos(ωt)exp(-iω0t)

×[1-exp{i(ω-ω0)t}/(ω-ω0) です。

ここで,cos(ωt)exp(-iω0t)

=(1/2)[exp{i(ω-ω0)t}+exp{-i(ω+ω0)t}]

を代入すれば,

右辺=(i|Ω|2/4)[exp{i(ω-ω0)t}-exp(2iωt)

+exp{-i(ω+ω0)t}+1]/(ω+ω0)

+(i|Ω|2/4)[exp{i(ω-ω0)t}+exp{-2i(ω-ω0)t}]

+exp{-i(ω+ω0)t}-exp(-2iω0t}]/(ω-ω0)

となります。

したがって,長い式ですが,C1の第2近似値

として,C1(t)=∫01(dC1/dt)+C1(0)

=1+(|Ω|2/4)

×[-exp{i(ω-ω0)t}/(ω2-ω02)

+exp(2iωt)/{2ω(ω+ω0)}

+exp{-i(ω+ω0)t}/(ω+ω0)2+1/(ω+ω0)

-exp{i(ω-ω0)t}/(ω-ω0)2

+exp{-2i(ω-ω0)t}/{2(ω-ω0)2}

+exp{-i(ω+ω0)t}/(ω2-ω02)

-exp(-2iω0t}{2ω0(ω-ω0)}が得られます。

つまり,C1(t)=+(|Ω|2/4)×(tの関数)

(2.38)の形の第2近似値を得ます。

第3近似値も同様に求めることができて,

以下,同様に反復するわけです。

そして,

dC2/dt=(―i)Ωcos(ωt)exp(iω0t)C1

であり,C2(t)=∫01(dC2/dt)ですから,C1

|Ω|の偶数ベキ,C2はΩ,またはΩの奇数ベキに

展開されることはわかります。

Ωは,Ω=eE012/hc.(2.23)と定義されていた

ことを思い出すと,これら2つの級数は電場の強さ:

0のベキに展開したものと見なすこともできます。

 

 さて,前章で既に論じたことですが,電磁波の電場

が.E(,t)0cos(kr-ωt),磁場がB(,t)

0cos(kr-ωt)と表わされる場合,1サイクル

の周期はT=2π/ωですから,cos2(kr-ωt)の

サイクル平均は,<cos2(kr-ωt)>

=(1/T)∫0cos2(kr-ωt)=1/2です。

それ故,電磁場のエネルギー:

(1/2)∫(ε02+μ0-12)dVのサイクル平均が,

<(1/2)∫(ε02+μ0-12)dV>

=(1/4)∫(ε002+μ0-102)dVで与えられます。

 

ところが,Maxwellの方程式:∇×E=-∂B/∂t

より,k×E0=ωB0であり,kの向きをz軸正の向き

に取り,E0がxの正の向き,B0がyの正の向きに偏光

しているとして,kE0=ωB0を得ます。

そして,真空(自由空間)中では(k/ω)=c-1

=(ε0μ0)1/2ですから,結局,μ0-102=ε002が成立

します。したがって,この電磁波の総エネルギーの

サイクル平均は,(1/2)∫(ε02+μ0-12)dV>

=(1/2)∫ε002dVとなり,サイクル平均のエネルギー

密度は,(1/2)ε002で与えられることがわかります。

すなわち.周波数ωの光のサイクル平均の

エネルギー密度がW(ω)の定義ですから,

結局,W(ω)=(1/2)ε002です。

これは,第1章の(1.34)で与えた∫0W(ω)dω

={1/(2V)}∫ε0|(,t)|2dVに似ていますが.

今のW(ω)=(1/2)ε002の式では,既に,体積積分

が実行済みです。

Ωが小さいのでC2(t)の表式を,E0,または,Ω

or Ωの1次までのオーダーまで取り,(2.36)の等式

12W(ω)={C2(t){2/tの両辺のE0のベキを比較

すればBが求められるはずです。

アインシュタインB係数を計算すべき周波数

ω~ω0においては,(2.37)の第1近似解:C2(t)

=(-Ω/2)[1-exp{i(ω+ω0)t}]/(ω+ω0)

+(-Ω/2)[1-exp{i(ω-ω0)t}/(ω-ω0)は,

既に,この比較の目的にかなっています。

元々,アインシュタイン理論では,E0の高次

の項が重要という状況には対応していません。

ω~ω0の光を考えると,Ω<<<ω0より,

ω>>Ωであり,Ωの1次までとるのが良い近似です。

そして,(2.37)のC2(t)の第2項は第1項より

はるかに大きいことがわかります。

ω → ω0の極限では,C2(t)の第1項は,

(-Ω/2)[1-exp{i(ω+ω0)t}]/(ω+ω0)

→ {-Ω/(4ω0)}{1-exp(2iω0t)}

={iΩ/(2ω0)}exp{(iω0t)sin(ω0t)

となり,他方,第2項は,

(-Ω/2)[1-exp{i(ω-ω0)t}/(ω-ω0)

→ (iΩ/2)(ω-ω0)t/(ω-ω0)

=(iΩ/2)t となります。

したがって,ω~ω0では,C2(t)

~ (iΩ/2ω0)[exp{(iω0t)sin(ω0t)+ω0t}

を得ます。

後述するように,原子遷移が起こる特有の時間

間隔tは10-7sec程度か,それよりやや長いくらい

ですが,(2.65)より.ω0は1015Hz程度なので,

こうした対象では,ω0t>>1.(2.41)が極めて良く

成立しています。

それ故,(2.37)の第1項を無視するのが良い近似

になると考えられます。

そこで,ω→ω0とする前の元の式で第1項を無視

すれば,C2(t)~(-Ω/2)[1-exp{i(ω-ω0)t}

/(ω-ω0)=(iΩ)exp{i(ω-ω0)t/2}

×sin{(ω-ω0)t/2}/(ω-ω0) であり,

|C2(t)|2~|Ω|2sin2{(ω-ω0)t/2}/(ω-ω0)2

(2.42)なる近似を得ます。

そこで,ω~ω0のときは,

|C2(t)|2~(1/4)|Ω|22(2.43)が得られます。

これは,時間tの2乗に比例して増加しますが,(2.42)

からわかるようにωがω0と少しでも異なるなら時間的

に振動します。

このように,(2.37)の第1項を無視する近似は,

回転波近似と呼ばれています。

 

さて,これまでは遷移周波数ω0を厳密な数値を持った

確定値と見なしてきました。これは,ω0の数値には常に

若干の不安定さが伴なう,という実際の実験の際の事情

には合致しません。

如何なる分光器でも測定スペクトル線が,あるΔωと

いう量だけ,ぼやけているような有限の分解能を持ちます。

もしも,完全な周波数分解能を備えた理想的な実験装置

を目論んだとしても,スペクトル線の本来の幅には,より

根本的な限界が存在します。(※ ちまり,量子力学の基礎

を成す,Heisenbergの不確定性原理に根ざす限界です。)

ω0の不確定さを考慮に入れるには,|C2(t)|2の表式

をωのある範囲にわたって積分すればいいだけです。

そこで,ω0を遷移周波数の中心とすると,

|C2(t)|2=|Ω|2sin2{(ω-ω0)t/2}/(ω-ω0)2は.

Ω­=eE012/hcと,(1/2)ε002=∫W(ω)dωを

利用して,|C2(t)|2={2e2|X12|2/(ε0c2)}

ω0-Δω/2ω0+Δω/2[W(ω)sin2{(ω-ω0)t/2}

/(ω-ω0)2]dω.(2.44)とすれば得られます。

ここで,原子は広帯域の照射を受けているという

アインシュタイ理論の基礎となる仮定を採用し,Δω

の範囲にわたって放射エネルギー密度が一定値:W(ω0)

であるとします。

このとき,(2.44)は,|C2(t)|2

={2e2|X12|2/(ε0c2)} W(ω)(Int)(2.45)

と書けます。

ただし,Int=∫ω0-Δω/2ω0+Δω/2dω

[sin2{(ω-ω0)t/2}/(ω-ω0)2].(2.46)です。

 

この積分:Intは2つの極限で解析的に表わすこと

ができます。まず,tΔω<<1のときは,

Int=∫ω0-Δω/2ω0+Δω/2dω

[sin2{(ω-ω0)t/2}/(ω-ω0)2].

~[sin2{(Δωt/4}/(Δω/2)2]Δω,

つまり,Int~(1/4)t2Δω.(2.47)となります。

一方,tΔω>>」1なら,∫ω0-Δω/2ω0+Δω/2dω

~∫-∞dω11=ω-ω0) ですから,

公式:∫0[sin2(ax)/x2dx=πa/2より,

-∞[sin2(ax)/x2dx=πa なので,

Int~∫-∞dω1[sin21t/2)/ω12]=πt/2

(2.48)を得ます。

アインシュタインB係数は(2.36)のB12W(ω)

=|C2(t)|2/tにより,原子遷移確率が経過時間t

に比例する理論と結びついています。

そこで,|C2(t)|2={2e2|X12|2/(ε0c2)}

×W(ω)(Int)(2.45)なる式にtΔω>>1のとき

の近似値Int=πt/2(2.48)を代入した式:

|C2(t)|2=πe2|X12|2W(ω)t/(ε0c2)(2.49)

から,B12=|C2(t)|2/{W(ω)t}(2.36)によって,

12=πe2|X12|2/(ε0c2)が得られます。

 

(2.49)の近似は規格化条件:|C1|2+|C2|2=1に

反するような|C2(t)|2が1を超える大きいtに

対しては破綻します。しかし,一旦,Bの大きさが計算

されると,原子の励起度の長時間挙動は,先の記事:

「光の量子論3」の第1章(§1.9原子励起)の

項で与えた,(1.70)のN2の評価式:

2={NBW/(A+2BW)}

×[1-exp{-(A+2BW)t}]において,

(A+2BW)t>>1.(1.73)

の長時間が過ぎると,定常状態の値:

2=NBW/(A+2BW)(1.74)に近づく,

と述べた方法で,決定することはできます。

今回はここまでにします。(つづく)

(参考文献):Rodney Loudon 著

(小島忠宣・小島和子 共訳)

「光の量子論第2版」(内田老鶴舗)

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2019年9月27日 (金)

光の量子論6

※(余談):眼が良くて本が読めていた頃は,これは,

と思った専門書をノートに写経しながら読むとき

は1冊入魂で,日本語なら,大体300ページくらい

の本を3ヶ月くらいで読了するというペースでした。

大体3~4ページ/日ですね。文庫本の小説程度

ならせいぜい2~3日で読了ですがね。

 

 まあ,研究者じゃないし,普通は日々の生活の

糧を得るための無関係な労働があるので,

入魂とはいっても,それだけに時間を集中する

ことはできませんでしたが。入院中は1ヶ月以上

もヒマなので,読書三昧,昔購入していていつかは

読もうろおもいながら積ん読状態の本を持ち込んで

読みました。

ちなみに2007年3/24に帝京病院循環内科に

入院時は「常微分方程式論」でフロベニウスの方法

確定・不確定特異点などの勉強を10日程度で読了,

4/3に心臓手術のため順天堂心臓血管外科のCCU

に転院後は詠む本がないので見舞いの友人に自宅

のカギを貸して「ポアンカレを読む」という副題のフックス

型微分方程式論の第1巻をもってきてもらい,4/10の10

時間程度の手術当日と次の日は休みましたが,ICUから

戻って4/22の退院の前日まで読書にふけりました。教授

回診の主治医天野先生私の枕元の専門書をひっくり返

して首をかしげていたような記憶が。。。

 ときどき,お金にもならないのに,40~50面下げて,

いつまでも何やってんだろう?と思うことも多々あり,

生きてた頃のオフクロにも,帰省して夜コツコツ

やってると,「まだやってんの?」と言われました

しかし,受験勉強でもなく,それだけに完全に没頭する

わけでもなく,適当に飲み屋でダベったりウタったり,

PCでネットの買い物やゲーム,そして,AV

(オーディオ・ヴィジュアルだよ,アレもあるけど),将棋

を指したりで,インドアな受け身の趣味ばかりですが,

それほど金かからない遊びも適当にやっていました。

それでメシを食おうと思わなければ, 理論物理では

文献や書物さえ読めばいいし,それが好きなら野球ならプロ

になれなきゃ草野球でもいい,という感じで,細々とでも

やり続ける。やめるという選択肢は元々頭になく,

しつこい(偏執狂の)性格ですからね。

発明,発見をしなくても,誰かが見つけてくれて,それ

を納得できれば十分,あるのは毒にも薬にもならない好奇心

だけです。なので,元々研究者向きではない。もちろん,誰も

見つけてないモノゴトにも好奇心があるので,万が一という

ことも有り得るけど,宝くじ1等当選なみですから無理

でしょう。

何せ,この世界,頭がいいのに実験物理で折角.大学の助手

になっても,教授に院生時代から実験でこき使われ疲れて

ウツ病になったり,あるいは挫折してユメ半ばで事故か自殺

かわからないような死に方をした奴も知っているし,

博士を取ったけど,ずっと希望のポストにありつけず,

貧乏なフリーター続けて優秀でも普通の人間の生活

もできない奴もいるし,逆に完全に興味が移って,別の

ことで金銭的に大成功した人たちもいるらしいです。

 

私は来年70歳の未だにブログ原稿で過去の読書を

反芻してるけど.これも入魂状態で,寝食を忘れて何時間

もやってると,よく低血糖でフラフラになります。

糖尿病だけど主食のチョコなどを食べないとね。

 

もっとも,昔の3ヶ月で読了というのは,途中で

わからない箇所に遭遇してつまづくことがなければ,

の話です。ほとんどの場合は,ただ1行の式がどうしても

わからず,本屋や図書館めぐりで10冊以上も参照した挙句

1年,2年も経つうちにその読書を止めてしまう。半永久的

Pendingというのも多々ありました。

大学や研究所勤めでもなく,近くに気軽に相談できる相手

はいないし,そもそもこの分野,相談しても自分が理解でき

なきゃ無意味ですしね。

昔の人がちゃんと証明したことだから,その式を認めて.

とりあえず先に進むという器用なことができないんですね。

それができていたらヒョットして別の道に進めたかも。。

所詮,専門を学ぶ学生時代は大学と大学院を足しても10年

も無いですから。今も原稿を書いてて,自分が理解できない

なら書くの中止です。先はもう無い。棺おけ片足半なのに

(余談おわり※)

 

第2章 原子・放射相互作用の量子力学

前章の,Planckの放射法則とEinstein係数

では,現象論的なアインシュタイン理論の不備

な点を幾つか露呈しています。

 

まず,この理論からは,A,B係数の値を計算

する処方箋が得られません。

そこで,これは遷移確率の量子力学的理論

に期待する他ないです。

 

より深刻なことはアインシュタイン理論

は入射光の周波数分布が,原子遷移の線幅に

わたって滑らかな,広帯域照射の場合にしか

当てはまらない,という点です。

しかし,レーザー光源による実験などでは,

周波数分布が原子遷移の線幅より狭いビーム

を使用することが珍しくないです。

 

そこで,本章は,B係数の量子力学的計算から

始めます。

原子状態は量子論で,電磁場は古典論で,と

いう半古典論を用いる,(光+量子論)としても,

得られる結果は全く同一ですが,原子・放射

相互作用の効果に関する,より一般的な理論と

して,本章の後部では「光学Bloch方程式」を

与えます。

 

  • 2.1 時間に依存する量子力学

※アインシュタインのB係数の計算

(誘導放出プロセスの時間的速さ)

出発点として,時間に依存する波動方程式

Ψ=ihc(∂Ψ/∂t)(2.1)を用います。

 まず,放射がない場合の孤立した原子の問題

を考えます。

 原子のHamiltonian:HはT+Vという形で

あり,時間tを陽に含まないものです。

このとき,H=Hとした波動方程式

Ψ=ihc(∂Ψ/∂t)は,

Ψ(,t)=exp(-iEt/hc()(2.2)

という,時間に依存する位相因子と,

時間に依らない,ψ()=Enψ()(2.3)

なる,エネルギー固有値方程式を満たす波動関数

ψ(r)との積に分離できる解を持ちます。

(2.2),(2.3)を満たす,こうした形の解で

表わされる原子状態は,定常状態として知られて

います。

B係数の計算では,エネルギー固有値がE1とE2

(E2>E1)である,という,次の2つの固有値方程式

を満たす,2つのエネルギー固有状態:

ψ1()とψ2()のみを考えます。

ψ1()=E1ψ1().(2.4a)

ψ2()=E2ψ2().(2.4b)

だけを問題とするわけです。

対応する時間に依存する波動関数は.

Ψ1(,t)=exp(-iE1t)ψ1()(2.5a)

Ψ2(,t)=exp(-iE2t)ψ2()(2.5b)

です。

そして,hcω0=E2-E1(2.6)を満たす角周波数

ω0を「遷移周波数」と呼びます。

 

nは原子のみのエネルギーですが,原子と放射

電磁波の系については,Hamiltonian:Hに電磁波

のエネルギー:Hを付け加えることで記述できます。

ただし,Hは位置だけでなく時間tにも依存

する量(演算子)です。

それ故,系のトータルのHamiltonianは,

H=H+H.(2.7)で与えられます。

 

さて,ある瞬間tに,原子は状態ψ1にあるとします。

しかし,Hがあるため,ψ1は定常状態ではなくなり

その後のある時刻にψ2に見出される確率が,ゼロでは

なく有限になります。

この確率を1から2への遷移速度として表わす

ことができます。

光の周波数がω0に近いときは,放射過程に関与

するのは,この選ばれた2つの原子状態だけです。

したがって,如何なる時刻tでも,原子波動関数Ψ

は,Ψ(,t)

=C1(t)Ψ1(,t)+C2(t)Ψ2(,t)(2.8)と

表わすことができます。

そして,ψ12が,

∫ψ(()dV=δmn(m,n=1.2)と直交

規格化されているとすれば,Ψが確率振幅という意味

を持つための条件は,

∫|Ψ(,t)|2dV=|C1(t)|2+|C2(t)|2=1(2.9)

で与えられます。

 

こうした条件下で,(2.8)のΨ(,t)

=C1(t)Ψ1(,t)+C2(t)Ψ2(,t)を,

Ψ=ihc(∂Ψ/∂t)(H=H+H)に代入すると,

(C11Ψ1+C22Ψ2)+H(C1Ψ1+C2Ψ2)

=(C11Ψ1+C22Ψ2)

+ihc1(∂C1/∂t)+Ψ2(dC2/dt)},

すなわち,H(C1Ψ1+C2Ψ2)

=ihc1(∂C1/∂t)+Ψ2(dC2/dt)}(2.10)

を得ます。

これに,左からΨ1を掛けて全空間で積分

すれば,C1∫ψ1ψ1dV+C2exp(-iω0t)

×∫ψ1ψ2dV=ihc(dC1/dt)(2.11)

となります。

ここで,Hのψ()による行列要素;Iij

をhcij=∫ψiψdV(i,j=1,2)(2.12)

なる記号で定義すれば,(2.11)は.

111+C2 exp(-iω0t)I12=i(dC1/dt)

(2.13)と簡単になります。

一方,同じ(2.10)に,左からΨ2を掛けて

全空間で積分すれば,

1 exp(iω0t)I21+C222=i(dC2/dt)(2.14)

が得られます。

そこで,原理的に(2.13)と(2.14)の連立方程式を

解けば,C1(t),C2(t)を陽に得ることができる

ため,(2.8)式のΨ(,t)

=C1(t)Ψ1(,t)+C2(t)Ψ2(,t)

によって.Ψ(,t)が決定されること

になります。

 

  • 2.2 相互作用Hamiltonianの形

電磁場と原子の相互作用hamiltonianの完全な形

はやや複雑で,詳しい議論は第5章まで保留します。

しかし,Bを計算するには,相互作用の完全な形で

はなく,主な特徴を知るだけで十分です。

 

さて,電荷が(-e)(e>0)のZ個の電子で囲まれた

電荷Zeの原子核から成る原子を考えます。

この系の原点Oは,この核の位置とします。

そして,これが直線偏光の電磁波と相互作用

するとします。

 

本章では,電磁波の場の形として時間に依存

する部分が実数のものを用います。すなわち,

電場は,0cos(kz-ωt)であり,磁場

0cos(kz-ωt)であって,

0はx方向に,0はy方向に偏光していると

します。

 

原子内電子の典型的軌道半径は,mを電子質量

として,a0=4πε0c2/(me2)~ 5×10-11

(2.16)というBohr(ボーア)半径で与えられます。

周波数が約1018Hzより小さいとすると,この半径

は電磁波の波長:λよりも,ずっと小さいです。

k=2π/λですから,こうした周波数では

ka0<<1であり,原子内部での電磁場の空間的

変化は非常に小さいと考えられます。

したがって,0cos(kz-ωt)の中のkz

を無視するのが良い近似となります。

そうして,原子の全双極子モーメントは=Σjj

(2.17)と置けば,=-eで与えられます。

ただし,jは核を原点Oとした各電子:jの位置

ベクトルです。

このとき,相互作用Hamiltonian:Hは.

=-PE=eDE0cosωt(2.18)と書けます。

(※Hへの他の寄与は,第5章の§5.3で詳述する

予定ですが,それらは上記の(2.18)よりはるかに

小さいものです。上記は,Hの主要項だけを

取った,いわゆる「双極子近似」です。)

 

(2.18)は実数で,奇のパリティを持っています。

つまり,j→ --jの置換でHは符号を変えます。

そこで,(2.12)で定義した行列要素Iijのうち,

体積積分の被積分関数が奇関数となるものは,消えて

ゼロになるため,I11=I22=0.(2.19)です。

 

一方,2つの原子状態;ψ1とψ2が逆のパリティを

持つときには,I12とI21はゼロになるとは限らず,

これらはI21=I12(2.20)の関係があります。

 

以上を考慮すると,(2.13),(2.14)の方程式;

111+C2 exp(-iω0t)I12=i(dC1/dt)

1 exp(iω0t)I21+C222=i(dC2/dt)は,

2 exp(-iω0t)I12=i(dC1/dt),

1 exp(iω0t)I12=i(dC2/dt)

と簡単になります。

 

ところで,0はx方向を向いている,としている

ので,I12の陽な形はI12=(eE012/hc)cosωt

(2.21)と書けます。

ただし,X12=∫ψ1Xψ2dV.(2.22)です。

ここで,Xはのx成分です。

つまり,=(X,Y,Z)であり,電子の位置を

j=(xj,yj,zj)とすれば,X=Σjjです。

さらに,Ω=eE012/hc.(2.23)と置けば,

12=Ωcosωt(2.24)と,より簡単になります。

 

1例として水素原子の1sから2pへの遷移を

考えてみます。

電子のスピン自由度を考慮すると,1s状態は2重に

,2p状態は6重に縮退しています。しかし,相互作用

Hamiltonianは,電子のスピンには無関係なので,遷移

でスピン量子数に変化はありません。

それ故,与えられたスピン量子数を持つ1s基底状態

の電子に対して遷移が許される2p状態は3つです。

その上,x方向に偏った電磁波のΩの中の積分X12は,

2p状態への遷移に対するもの除いてゼロになります。

 

※(注6-1):上述の水素原子の2つの状態:

ψ1()=π-1/20-3/2exp(-r/a0) (2.25)

ψ12()=π-1/2(2a0)-5/2xexp{-r/(2a0)}

(2.26)に対して,Ω=215/2eE00/(35c)(2.27)

であることを証明します。

そして,hcω0=E2-E1を満たす遷移周波数:

ω0は,ω0=(3/4)ω,(2.28),

ただし,hcω=me4/(32π2ε02c2)(2.29)

で与えられることを,以下に示します。

さらに,Ω=eE012/hc ~ ω0,

つまり,hω0~eE012であるためには,

3×1011(V/m)程度の強さの電場E0が必要である

ことを示します。(V=ボルト;volt)

(証明):まず,X12=∫ψ1xψ2dV

=2-5/2π-10-4(2π)∫-11d(cosθ)cos2θ

×∫0drr4exp{-3r/(2a0)}

=(4/3)2-5/20-4(2a0/3)5

0duu4exp(-u)=215/20/35です。

何故なら,∫0duu4exp(-u)

=4!∫0duexp(-u)=24

=3×23 であるからです。

それ故,Ω=eE012/hc=215/2eE00/(35c) 

が得られます。

また,量子力学参考書によれば,水素様原子の

束縛状態の電子のエネルギー固有値は,主量子数:n

(n=1,2..)に対して,E=-{hc2/(2m)}(Z/a0)2

×(1/n2)で与えられます。

故に,Z=1の水素原子で,2pと1sの間の遷移

周波数:ω0は,hcω0=E2-E1=(3/4){hc2/(2ma02)}

を満たします。

これに,a0=4πε0c2/(me2)を代入すると,

結局,hω0=(3/4){me4/(32π2ε02c2)}となります。

そして,hcV=eE012=215/2eE00/35,かつ,

cω0=(3/4){hc2/(2ma02)}より,hcV~hcω0

すれば,E0~ |36/(210√2)}{hc2/(me)}(1/a03)

が必要です。

この右辺に具体的数値を代入します。

すなわち,a0=4πε0c2/(me2)~ 5×10-11m,

e~1.6×10-19C,hc ~ 1.054×10-34Js,また,

mc2~ 0.51 MeV=5.1×106eVより,

m ~ 0.51×106(eV/c2)です。

そして,c2~9×10162/s2です。

したがって,E0~ |36/(210√2)}{hc2/(me)}

×(1/a03)={(729/1024√2)×1.0542×10-68(J22)

×(1/125)×1033-3)}

/{0.51×106(eV/c2)(1.6×10-19C)}です。

ここで,V=J/Cを用いると,

eV~1.6×10-19((CV)=1.6×10-19

なので,左辺 ~ 3.1×1011

(J22-3-12-2-1)となります。

結局,E0~3.1×1011V/m を得ました。

(証明終わり)  (注6-1終わり※)

 

大抵の光ビームでは,それに対してΩ<<<ω0

(2.30)が成立しています。

光ビームが強い場合は第9章で記述する予定です。

 

 今回はここまでです。

 

(参考文献):Rodney Loudon 著

(小島忠宣・小島和子 共訳)

「光の量子論第2版」(内田老鶴舗)

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2019年9月22日 (日)

光の量子論5

※光の量子論の第1章の続きの第4弾,

最後です。次からは第2章もアップする

予定ですが。。イツになるか?

 

  • 1.12反転分布,レーザー(Lasar)

方程式(1.98):∂I/∂z

=-(N1-N2)F(ω)BI(hcω)/(Vcη)

から,励起原子の数N2が,基底状態の原子の数

1より大きくなることができれば,ビーム強度

は原子気体を通過する距離と共に増大すること

になります。

その依存性は吸収係数Kが負(K<0)である

ことを別にすれば,巨視的理論の(1.101)の

I(z)=I0exp(-Kz)と同じです。

 

2>N1という条件の式は,「反転分布」

として知られ,Boltzmannの法則:

1/N2=(g1/g2)exp{hcω/(kT)},

1/g2=1を.そのまま適用すれば,T<0

となるので,負の温度条件として

知られています。

さらに,一般的にエネルギー準位が縮退

している場合は,ビーム強度が増大する条件

はN2>(g2/g1)N1です。

 

もちろん,熱平衡では反転分布(T<0)は

決して起こり得ず,先に示した通り2状態間

の遷移周波数で光の共鳴吸収を起こさせても,

それを実現させることはできません。

 

しかし,準位1と準位2についての反転分布

は,その原子の他のエネルギー準位を利用する

実験で実現させることができます。

 

最も簡単な過程は3つの準位を使うものです。

ここでは原子の基底状態を準位3と名付け,

準位1と準位2は,それぞれ,第1と第2励起

状態とします。

 

エネルギー密度:Wのビームを使って遷移

3→2を起こさせ,N2個の原子を状態2に励起

させます。こうした使い方をする光ビームを

ポンプと呼びます。

こうした方法で汲み上げられた励起原子の

総数の比率:N2/Nは通常はかなり小さくて,

100万分の1程度というのが.その代表的数字

なので,遷移:3→2は飽和条件から遠く

離れています。

 

準位2の原子は下向きの遷移:2→1,or

2→3により光を放出し,また,準位1の原子

も光エネルギーを失なって,基底状態3に戻る

ことができます。

 

次に,アインシュタイン係数がある適当な値

を持つ場合には,N2>N1の条件を満たすことが

有り得ること,したがって周波数;

ω=(E2-E1)/hcの光の増幅が可能であること

を示します。

 

3準位系の遷移速度を求める方程式は,

2準位系のレート方程式を単に一般化した式です。

ポンプビーム:Wの他に.周波数ωの

エネルギー密度Wのビームがあるとします。

各原子は今考えている3つの準位だけを

占めているとすると,N1+N2+N3=N.(1.106)

です。

 

レート方程式は,dN2/dt=-N221-N223

+W23(N3-N2)+WB21(N1-N2)/(1.107),

dN1/dt=N221-N113-WB21(N1-N2)

(1.108),および.

dN3/dt=N223+N113

-W23(N3-N2).(1.109)と書けます。

この3つの速度の和はゼロであり,これは

(1.106)に合致しています。

 

定常状態は,これらの左辺の時間微分を

全てゼロとした状態であると考えられます。

その結果として,N1,N2,N3に対する解を

N,W.Wで表わすことができます。

 ここでポンプ速度:rを

r=W23(N3―N2)/N.(1.110)で定義して

おきます。

 

すると,定常状態では,(1.108)より,

2(A21+B21W)

=N1(A13+B21W).(1.111)となります。

また,(1.109)より,

223+N113=rN.(1.112)となります。

(1.107)は不要で,N3は,

3=N-(N1+N2)から決まります。

 

(1.111)より,N2/N1

=(A13+B21W)/(A21+B21W)

ですから,N2>N1となるためには,

13>A21(1.113)が必要です。

一応,連立方程式:(1.111),(1.112)

を解くと.N1=rN(A21+B21W)

/[A13(A23+A21)+B21W(A13+A23)]

(1.114),および,N2=rN(A13+B21W)

/[A13(A23+A21)+B21W(A13+A23)]

(1.115)を得ます。

それ故,N2-N1=rN(A13-A21)

/[A13(A23+A21)+B21W(A13+A23)]

です。

13>A21.を満たす原子気体は粒子密度

Wの放射の通過距離zによる増幅が可能です。

その理論は光の吸収に対して,前述した理論

と同様であり符号を適当に変えるだけの違い

です。

(ⅰ)Wが弱い場合,

2-N1=rN(A13-A21)

/[A13(A23+A21)+B21W(A13+A23)]

~r(A13-A21)/[A13(A23+A21)]となり,

(N2-N1)が事実上,Wに無関係になること

がわかります。

(ⅱ)一方,Wが強い場合

2-N1~rN(A13-A21)/[B21W(A13+A23)]

となり,(N2-N1)はビームの強度Wに反比例

して準位1と2の間の遷移は飽和に近づきます。

 

この場合.増幅は減少しますが,ビーム強度は

距離zに比例して増大します。

(以下の注を参照)

 

※(注5-1):増幅の場合;前の減衰の(1.100)

(1/I){1+2BI/(Acη)}(∂I/∂z)

=-NBhcωF(ω)/(Vcη)

の類似の式: (1/I)(1+I/I0)(∂I/∂z)

=G.(1.116)が成立することが示せます。

ただし,I=|A13(A23+A21)

/(A13+A23)}×(c/B21).(1.117),であり,

G=r(A13-A21)/|A13(A23+A21)}

×{NB21cωF(ω)/V}.(1.118)です。

 

(1.116)の一般解は,

ln(I/I0)+(I-I0)/Ic=Gz(1.119)で

あり,ビーム強度は弱い場合と強い場合

で,それぞれ,I(z)=I0exp(Gz)(I<<Ic)

(1.120).および,I(z)=I0+IcGz(I>>Ic).

(1.121)となります。

(証明):エネルギー保存の(1.93)式でη=1と

すると,(∂/∂t)(Wdωadz)

=(N2-N1)F(ω)B21W(hcω)dω(adz/V),

つまり,

∂W/∂t=(N2-N1)F(ω)B21W(hcω)/V

であり,∂W/∂t=∂I/∂z,および,cW=I

から,∂I/∂z

=(N2-N1)F(ω)B21I(hcω)/(cV)です。

そして,N2-N1=rN(A13-A21)

/[A13(A23+A21)+B21W(A13+A23)]でしたから,

[A13(A23+A21)+B21I(A13+A23)/c]

×(∂I/∂z)

=rN(A13-A21)F(ω)B21I(hcω)/(cV)

or [1+I{(B21/c)(A13+A23)/{A13(A23+A21)}]

×(∂I/∂z)=[r(A13-A21)/{A13(A23+A21)}]

×NB21I(hcω)F(ω)/(cV)と書き直せます。

 

ここで,Ic=|A13(A23+A21)/(A13+A23)}

×(c/B21),および,

G=r(A13-A21)/|A13(A23+A21)}

×{NB21cωF(ω)/V}を用いると簡単化され,

(1/I)(1+I/I)(∂I/∂z)=Gとなります。

 

この両辺を,積分してz=0でI=I0とすると,

確かに一般解:ln(I/I0)+(I-I0)/I=Gz

を得ます。

そこでI<<Iなら,ln(I/I)=Gz

より,I(z)=I0exp(Gz)と近似されます。

一方,I>>IcならI(z)=I0+IcGz 

と近似されます。(証明終わり)

(注5-1終わり※)

 

以上のような光増幅器を「3準位レーザー」

と呼びます。

元々のWが存在せず,W=0であったときで

さえ,A21のために,周波数ωの放射が発生する

ため,謂わゆる「自励振動子」の役目を果たす,

ということもできます。

 

  • 1.13 放射圧

波数の進行電磁波を構成する光子は,

いずれも運動量hcを持っています。この運動量

が光子に実在することは.1922年にンプトン

(Compton)による散乱の実験によって,

立証されました。

合わせて,運動量は真空中ではhcであり,

屈折率ηの物質中では(ηhc)であること

も立証されました。

以下,光ビームと原子気体との3種類の基本

相互作用に及ぼす光子運動量の効果を考察

します。

 

吸収過程では運動量hcが光のビームを吸収

する原子に移り,原子質量をMとすると,その原子

はビームに平行に(hc/M)という速度を得ます。

そして,もし,その励起原子がその後,誘導放出

で減衰するなら,放出された光子は,入射ビームに

平行な運動量hcを受け取り,原子は直前に得た

速度を失ないます。

(光子ビーム速度は元に戻ります。)

しかし,もしも励起原子が自然放出で減衰する

なら,放出された光子は立体角4πの任意の向き,

つまり,勝手な方向に反跳を受けることになり,

平均すると寄与はゼロとなるため,原子が直前に

出していた速度は打ち消されない,ということに

なります。

 

それ故,各原子が光子を吸収した後,自然放出が

起こるときに限って.光子から原子に平均してhc

の運動量が移ります。これは,原子と放射の系が

定常状態に達しているか否かを問わず正しいこと

です。このことは,定常状態に達すると原子への

励起エネルギーhcωの移動が起こらなくなる。

という以前,(1.75)に関連して強調したこととは

対照的です。

 

故に,原子への運動量の移動は放射が気体に

及ぼす圧力と等価である,と考えられます。

(※ 多くの原子が,空洞内に閉じ込められている

系が対象なので,個々の原子速度の増加は壁で

反射される,という意味で,内力=応力の増加に

寄与するのみです。)

 

空洞内の総原子数Nは,通常,莫大なので,

原子占位数の時間依存性は滑らかである,と仮定

します。ある周波数ωにおけるエネルギー密度が

Wであるような放射があって,そのωが,原子の

基底状態と,ある単一の励起状態との間の遷移に

共鳴しているとき,全原子の総運動量Πの変化速度

は,吸収の速度と誘導放出の速度の差に比例します。

 

すなわち,dΠ/dt=(N1-N2)hcBW.

(1.122)です。何故なら,各原子が光子を吸収後,

自然放出が起こるときに限り,光子から原子に

cの運動量が移りますが,定常状態

(滑らかな状態)では,原子からの自然放出の総運動量

は,原子気体の吸収運動量から誘導放出運動量を

差し引いたものに等しく,そこで,それは,N2Ahc

=(N1-N2)BWhckで与えられるからです。

Π/dt=(N1-N2)hcB.W

の右辺は,1>N2を満たす2準位の実験では常に

正ですが,3準位以上の場合は,1<N2のときも

あるので負になることもあります。ただし,ここ

では2準位の場合のみを取り上げます。

 

※[(注5-2):§1.9原子の光励起の項目で考察した

実験で実験開始の瞬間に,光ビームを基底状態に

ある原子気体に照射するものとして,運動量移動の

速さを計算します。

原子の運動量が時刻tで,

Π(t)={NBWhc/(A+2BW)}At

-{NBWhc/(A+2BW)}{2BW/(A+2BW)}

[exp{-(A+2BW)t}-1])(1.123)である

ことを示し,短時間後と長時間後の両極端での,

その形について議論します。

(解):今想定しているのと同じ実験のN2

対する解(1.70):N2={NBW/(A+2BW)}

×[1-exp{-(A+2BW)t}]と,N1=N-N2

より,N1-N2=N-2N2

=N(A+2BW)/(A+2BW)

-{2NBW/(A+2BW)}

×[1-exp{-(A+2BW)t}]

=NA/(A+2BW)

+{2NBW/(A+2BW)}

×exp{-(A+2BW)t} を得ます。

故に.dΠ/dt=(N1-N2)hcBW

=NABWhc/(A+2BW)

+{2N(BW)2c/(A+2BW)}

×exp{-(A+2BW)t} です。

t=0でΠ=0として,tで積分すると,,

Π(t)={NBWhc/(A+2BW)}At

-{NBWhc/(A+2BW)}

×{2BW/(A+2BW)}

×[exp{-(A+2BW)t}-1]

が得られます。

 

t~0のときは,At~0であり,

[exp{-(A+2BW)t}-1]

~ -(A+2BW)tなので,

tが小さいときは,

Π(t)~{2N(BW)2c/(A+2BW)}t

となって,Πはtと共に直線的に増加します。

一方,t~∞の極限では,

[exp{-(A+2BW)t}-1]~ -1なので,

tが大きいときには

Π(t)~{NBWhc/(A+2BW)}At

+{2N(BW)2c/(A+2BW)2}

={NBWhc/(A+2BW)}

×[At+BW/(A+2BW)]となります。

そこで,平衡状態でもAtは常に存在します。

(解答終わり)(注5-2終わり※)

 

励起原子の数N2が,

2=NBW/(A+2BW)(1.74)

で与えられる定常状態では運動量移動の

速さは,dΠ/dt=hc2

=hckNBWA/(A+2BW).(1.124)

となります。

光ビームを非常に強くすると移動

の速さは飽和値:

Π/dr=-hc(N/2)A(BW>>A)

(1.125)に近づきます。

一旦,飽和領域に達すると.それ以上,

ビーム強度を大きくしても運動量移動の速さ

には,ほとんど変化がありません。

定常状態での運動量の速度:dΠ/dt

=hckNBWA/(A+2BW)は,原子ごと

に平均して,=hckBWA/(A+2BW)

(1.126)の力が加わっているのと,等価です。

 

ビームの方向をz方向に取り,座標zでの

原子密度をN(z)とすれば温度Tでの原子分布

はN(z)=N(0)exp{Fz/(kT)}.(1.127)

の形を取ります。

(何故なら,Uを構成原子の位置エネルギー

とすればBoltzmann因子により,平衡分布は,

N(z)∝exp{-U/(kT)}で与えられます

が,F=-∂U/∂zで,U=-Fzです。)

 

この空間依存性はナトリウム原子のガスを

管に封入して,その管の長さ方向にレーザー

ビームを当てることにより,

実験検証されました。

 

光子と原子との間の運動量移動は,原子

をビームの形にして強い光ビームと直交して

走らせることによって,実用的な応用を生み

出します。原子は光子を吸収すると元の径路

から偏向します。さらに,誘導放出が起きると

原子の軌跡は横方向に僅かにずれるだけで

方向は変わりません。主要な偏向は吸収+

自然放出のために生じるのです。

(2006年6/5(月) 第1章終了※)

 

(参考文献):Rodney.Loudon著

(小島忠宣・小島和子共訳)

「光の量子論第2版」(内田老鶴舗)

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光の量子論4

※光の量子論の第1章の続きの

第3弾です。

 

  • 1.11 吸収の微視的理論

※厚い空洞に詰まった原子気体を光ビーム

が通過する際の前記の減衰過程を微視的観点

から考察します。

その目的は減衰速度,したがって,吸収係数

を,以前のアインシュタイン理論の2つの係数

A,Bに結びつけることです。

 

空洞内が定常状態に達していれば,

レート方程式:dN1/dt=-dN2/dt

=N2A+(N2-N1)BWの両辺はゼロに

等しいです。しかし.このレート方程式は,

誘電体が存在する場合には,どうしても

避けられない小さな変化が生じます。

 

アインシュタイン係数は自由空間(真空)

内の単一原子に入射する電磁波について

定義されており,その場合には,場の

エネルギー密度は全エネルギーがサイクル

平均で,(1/2)∫(空洞)ε0|(,t)|2dVで

与えられる.または,単位体積当りでは,

0W(ω)dω

={1/(2V)}∫(空洞)ε0|(,t)|2dV

で与えられる,という式を満たすW(ω)

のことでした。

 

この(1/2)∫(空洞)ε0|(,t)|2dV

を,(1.87)の(1/2)∫(空洞)ε0η2|(r,t)|2

のように,η2因子を付けて,

誘電体内のエネルギー密度にとった

ときには,アインシュタインの自由空間の

理論における吸収と誘導放出の速さでは,

この因子を除いておく必要があります。

 

そこで,定常状態となる条件

は,誘電体内では,

0=dN1/dt=-dN2/dt

=N2A+(N2-N1)BW/η2

となるべきです。

故に,

2A=(N1-N2)BW/η2.(1.92)

が成立する必要があります。

 

自発放出により放射されるエネルギー

の放出速度はN2A(hcω)で,これは

エネルギー減衰速度であり,自由空間では,

吸収によるN1BW(hcω)から誘導放出に

よるN2BW(hcω)を引いたものに等しい,

という式の構造でしたが,

誘電体が存在すれば,Wの代わりに,これ

を(W/η2)で置き換える必要があるため,

(1.92)を得るわけです。

 

次に,N2A=(N1-N2)BW/η2の右辺

によってビーム減衰速度を計算します。

 

その前に原子遷移速度について,さらに

詳述する必要があります。

これまでは,どの原子も確定した1つの

遷移周波数ωを持つと見なしてきました。

しかし,次の第2章で述べることですが,

各原子に対して同じ1対の状態を考える

ときでさえ,原子が吸収or放出できる光子

の周波数ωには,ある統計的広がり

があります。

 

そこで,ωの付近のdω中に光子の周波数

が入っている遷移比率をF(ω)dωとします。

(∫F(ω)dω=1と規格化しておきます。)

差し当たり,ωが特定範囲にある遷移だけ

を考えます。

 

1個の原子が下の準位にありN2個の原子

が上の準位にあるような定常状態では,dω

に含まれるビームのエネルギーの変化速度は,

-(N1-N2)F(ω)dωBW(hcω)/η2

に等しくなります。

光のビームの進行方向はz軸に平行とします。

すると,Wはその向きに減衰するため,zの関数

です。

 

ここで,厚みdzと断面積aのzに垂直な

薄い空洞の切片を考えます。

Wはこの微小厚さの切片内では位置座標:

には無関係とすると.切片内のビームの

エネルギーでdωに含まれるものは.

Wdωadzです。

そして,空洞の全体積はVですから,

(adz/V)は,切片内にある原子数の比率

を示しています。

 

故に,エネルギー保存条件は,

(∂/∂t)(Wdωadz)

=-(N1-N2)F(ω)dωBW(hcω)/η2

×(adz/V).(1.93)

で与えられることになりますが,

これはつまり,∂W/∂t

=-(N1-N2)F(ω)BW(hcω)/(Vη2)

(1.94) を意味します。

 

かくして,アインシュタインの理論が,

ビ-ムのエネルギー密度Wの時間依存性

を表わす方程式を導く,ことが

わかりました。

これに対して,先の巨視的理論で得られた,

(1.90)のI(z)=I0exp(-Kz)で導入された

吸収係数Kを含む議論は,ビーム強度の空間的

変化を与えます。

 

ところで,∂W/∂tに対する式(1.94)は

(1.93)の左辺の-(∂/∂t)(Wdωadz)

が体積(adz)の切片でビームエネルギー

が失われる速さ­=空洞切片が同じエネルギー

を受け取る速さ,を示しており,これが断面積

aの切片境界を横切って流入するエネルギー

に等しい,という形に表わすことができます。

 

すなわち,Idωをωとω+dωの間に存在

する電磁エネルギーの強度とすると,

-(∂/∂t)(Wdωadz)

=-a(∂I/∂z)dzdω.(1.95)によって,,

∂W/∂t=(∂I/∂z).(1.96)なる関係式

を得たわけです。

 

※(注4-1):上の(1.96)式は,

Δtの間のビームのエネルギー密度Wの増分:

ΔW={W(t+Δt)-W(t)}に逆符号を

付けたものが

断面積を横切って通過する,厚さΔzの間の

エネルギー強度の増分:ΔIに逆符号を

付けたもの=流入速度:-ΔI

=-{I(z+Δz)-I(z)}で表わせる,

という形のエネルギー保存則の形式です。

 

つまり,空洞切片において,

「Δtの間の空洞エネルギーの増分:

-ΔWdω(aΔz)

=-{W(t+Δt)-W(t)}dω(aΔz)

=-(∂W/∂t)Δtdω(aΔz)

が空洞切片へのΔtの間のエネルギー流入量:

-aΔIdω(Δt)

=-a{I(z+Δz)-I(z)}dωΔt

=-a(∂I/∂z)ΔzdωΔtに等しい。」

という形のエネルギー保存則の表現です。

 

故に,確かに∂W/∂t=∂I/∂z

を得ますが,これは流体の質量や電荷の保存

を示す連続の方程式∂ρ/∂t+∇=0

(j=ρ)のアナロジーである.

と考えられます。(注4-1終わり※)

 

さて,(1.87)から,∫0W(ω)dω

={1/(2V)}∫(空洞)ε0η2|(r,t)|2dV

であり,他方,(1.89)から∫0I(ω)dω

={1/(2V)}∫(空洞)ε0cη|(r,t)|2dV

となるはずです。これらを比較すれば,

cW=ηI(1.97)なる関係があることが

わかります。

 

∂W/∂t=∂I/∂zを,(1.93)の∂W/∂t

=-(N1-N2)F(ω)BW(hcω)/(Vη2)と

組み合わせた式において,右辺にW=ηI/c

を代入すると,∂I/∂z

=-(N1-N2)F(ω)BI(hcω)/(Vcη)

(1.98)を得ます。

これは,エネルギー準位が縮退している場合

この式の右辺ののN1に(g2/g1)という因子を

掛けることで一般化されます。

しかし,以下ではg1=g2,つまり,g2/g1=1

の場合だけを扱うことにします。

 

右辺のN1,N2そのものがWに,それ故Iに

依存するため,方程式(1.98):∂I/∂z

=-(N1-N2)F(ω)BI(hcω)/(Vcη)

は思ったよりも複雑です。

 

しかし,定常状態では.

2A=(N1-N2)BW/η2(1.92)が成立する

ので,N1+N2=Nにより,N1を消去して,

2=(NBW/η2)/(A+2BW/η2)を得ます

から,さらにW=ηI/cを用いて,(N1-N2)

は,N1-N2=N-2N2=NA/(A+2BW/η2)

=NA/{A+2BI/(cη)}(1.99)と表わせる

ことがわかります。

 

これを,(1.98)の∂I/∂z

=-(N1-N2)F(ω)BI(hcω)/(Vcη)

に代入し,分母を払えば,

{A+2BI/(cη)}(∂I/∂z)

=-NABF(ω)(hcω)I/(Vcη)

となります。

そこで,最終的に,(1.98)は

(1/I){1+2BI/(Acη)}(∂I/∂z)

=-NBhcωF(ω)/(Vcη).(1.100)

と書き直せます。

 

さて,2つの極端な場合を考えます。

(ケースⅠ):普通のビームでは,(1.100)の

左辺の括弧の中の第2項:2BI/(Acη)

=2BW/(Aη2)は常に第1項の1より

ずっと小さいです。

そこで,これを無視しますが,この項を

無視するのは.全体の原子数Nに比して

励起原子の数:

2=N(BW/η2)/{1+2BW/(Aη2)}

を無視することに相当します。

このケースでは,(1.100)は,

(1/I)(∂I/∂z)

=-NBhcωF(ω)/(Vcη)となるため,

間単に積分できて,

I(z)=I0exp(-Kz)(1.101)を得ます。

ただし,K=NBhcωF(ω)/(Vcη)

(1.102)です。

 

この式は巨視的理論の(1.90)と全く同じ

ですから,このKは(1.91)の吸収係数:

K=2ωκ/cと全く同じものです。

Kが周波数と共に変わる様子は原子遷移

周波数の分布F(ω)に似ていますが,さらに

周波数に依存する因子が掛かっています。

ここで,(1.92)の,

K=NBhcωF(ω)/(Vcη)の右辺の因子

cω/(cη)を左辺に移して,両辺をωで

積分すると,∫F(ω)dω=1より,

∫[Kcη/(hcω)]dω=NB/V.(1.103)

を得ます。それ故,Kとηが測定できれば,

実験からBの値を決定できます。

 

希薄な原子気体ではηは自由空間の値1

に近いです。そして,大抵の吸収線はKが

著しく大きくなる場所の周波数に比べて,

小さい幅を持っているため,ωは吸収線全域

で近似的に一定です。

(1.103)より,BはK-ωグラフのKの

描く曲線の下の面積に比例しますが,

このケースには面積はKωで近似されます。

(※Kの具体的関数形は第2章で論じます。)

 

∫[Kcη/(hcω)]dω=NB/Vは,

(1.91)のK=2ωκ/cと(1.94)2ηκ=χ”

により,Kcη/(hcω)=χ”/hcとなる

ため,∫χ”dω=hcNB/V.(1.104)

と書き直せます。

 

(ケースⅡ):光ビームが非常に強い,

というのが,もう1つの極端な場合です。

これは,2BI/(Acη)

=2BW/(Aη2)>>1の場合で,

このときは,(1.100)の方程式:

(1/I){1+2BI/(Acη)}(∂I/∂z)

=-NBhcωF(ω)/(Vcη).の左辺の

括弧の中の1の方が無視できて,方程式は,

2B/(Acη)}(∂I/∂z)

~ -NBhcωF(ω)/(Vcη),つまり,

(∂I/∂z) ~ -NAhcωF(ω)/(2V)

となり,これを積分することで.

I-I0=-NAhcωF(ω)z/(2V)

(1.105)を得ます。

 

したがって,この場合,ビーム強度は,

(ケースⅠ)の(1.90)や(1.101)のような指数関数

的減衰ではなく,自発放出の係数:Aから決まる

速さで,空洞を通過する距離zに比例して

減衰します。

 

(1.98)のIの減衰方程式:∂I/∂z

=-(N1-N2)F(ω)BI(hcω)/(Vcη)

の右辺は,N1-N2=N-2N2が正,つまり,

2>(N/2)になれば,Iは減少から増加に

転じます。

それ故,∂I/∂z=0はIの極大値を

与えます。

ビームの光子が散乱されてビ-ムから出て

いくエネルギーの速さは,(1.94)の空洞内原子

気体への流入率の式:∂W/∂t

=-(N1-N2)F(ω)BW(hcω)/(Vη2)の

右辺に逆符号を付けたもの:

(N1-N2)F(ω)BI(hcω)/(Vcη)

ですが(1.92)より,N2A=(N1-N2)BW/η2

ですから,これはN2Ahcωに比例します。

 

そこで,N2Ahcωがその極大値:

(NAhcω/2)に近づくと,強度Iの減衰が鈍化

して,飽和していくことになります。

すなわち,原子遷移は飽和に近づき,吸収が

減少していくわけですが,これは,ビームの

エネルギーが散乱されて出て行く速さ:N2Ahcω

が,その極大値:(NAhcω/2)に近づくからです。

ビーム強度Iが,これ以上増加しても散乱の

起こる速さには,それに見合った増加が有り得ない

のでIが増加すると,気体を通過するときのIの

変化率は減少するわけです。

そこで,Maxwell方程式を基にした巨視的な

吸収理論は飽和の状況では適切でないです。

故に,極端な(ケースⅠ)の(1.103)で実験結果

を説明するには,その実験ではKを測る際には,

当然,飽和が起こらないようにする必要が

あります。

今回はここまでです。

次が第1章最後です。(つづく)

(参考文献):Rodney.Loudon著

(小島忠宣・小島和子共訳)

「光の量子論第2版」(内田老鶴舗)

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2019年9月21日 (土)

光の量子論3

※光の量子論の第1章の続きの第2弾

です。

 

  • 1.8 微視的過程の性質

本章の残りでは,光ビームが原子(分子)気体

を詰めた空洞内を通過する際に起こり得る光学

過程を取り上げます。アインシュタイン理論に

現われる3つの基本過程の性質と,特に2種類の

放出過程の間の差異について,より詳しい議論が

必要です。

 

輪郭の明確な単一の空洞モードに励起された

光の入射ビームを考えます。

光の周波数は,アインシュタイン係数A,Bで

表わされる原子遷移と共鳴している,とします。

 

起こるべき3種類の励起の最も重要な特徴

は,励起原子から誘導放射で発生する光は,それ

を引き起こした入射光と同一の空洞モードで

現われる,という事実です。

また,放出光は入射ビームと位相も同じです。

そこで,誘導放出は入射ビーム強度を増幅

する傾向があります。

一方,自然放出によって生じた光は,入射

ビームとは完全に独立で,この光はエネルギー

保存則を満たしさえすれば,どのような空洞

モードでもいいです。

よって,自然放出光の伝播方向は入射光の

ビームに対して勝手な向きを持ち,位相も

決まりません。

 

さて,光と原子が安定な平衡状態に落ち着く

と,下の状態も上の状態も,その原子数N1,N2

は一定になります。

 

光ビ-ムが気体中を通過するとき,吸収過程

により,hcωが次から次へと消えてゆきます。

こうして励起された原子は,結局は基底状態

に戻り,誘導放出によって光子hcωを再生します。

もしも,この過程が1種類の誘導放出のみで,

2種類目がないなら定常状態の後,ビームは強度

を変えずに,ただ通過するだけと考えられます。

 

しかし,かなりの原子は自発放出によって,

基底状態に戻るため,吸収されたエネリギーの

うちで,次の割合:A/(A+BW)

=1/{1+π23W/(hcω3)}.(1.64)で,勝手な

向きに再放出され,残りの僅かな部分だけが,

偶々,入射ビームと同じ方向に自然放出されます。

こうして,自然放出は,光の散乱と,これに伴なう

入射光の減衰をもたらします。

 

こうした散乱が外部ビ-ムの気体通過の際に

生じる「見掛け上の」吸収の微視的原因です。

吸収という言葉を使ってはいますが,入射ビーム

が減光されるのは,原子による吸収ではなく散乱

のためです。

 

上記の基礎的現象は,吸収係数の測定,または

散乱光の強度の観測のいずれか,によって,実験

的に検証ができます。

 

誘導放出と自然放出の相対的重要度は(BW/A)

という比の大きさに左右されます。BW/A=1の

ときは,2種類の放出速度は等しい,ということに

なります。

 

例えば,5×1014Hzの領域の周波数を持つ可視光

では,ω~3×1015Hz.(1.65)なので,1つの光子は,

cω~3×10-19J.(1.66)程度のエネルギーを

持ちます。

一方,先に与えたモード密度は,この周波数の

領域で,(1.10)によればρωdω=ω2dω/(π23)

~ 3.4×10-dω/m3.(1.67)となります。

そこで,(1.66)×(1.67)を実行すると,

(hcω)ρωdω=hcω3dω/(π23)

~ 10 -14dωJ/m3 となりますが,

(1.51)のA21={hcω3/(π23)}B21より

A/B={hcω3/(π23)} です。

故に,BW/A=1のときには,Wdω

=(A/B)dω={hcω3/(π23)}dω

=(hcω)ρωdω~ 10–-14dωJ/m3.(1.68)

を得ます。

(※ W=W(ω)は元々,光のエネルギー密度

と定義されていたのですから当然です。)

 

後述の,誘電率がε=(1+χ)ε0の誘電体中の

光のビーム強度(Poyntingベクトル)×

×0の大きさとエネルぎー密度Wの

関係:cW=ηI(1.97)(※(η+iκ)2=1+χ)

によって密度Wから強度Iが決まります。

(※誘電体のない自由空間ではκ=0,η=1)

 

そこで,(1.68)のWdωに,c~3×108m/s

を掛けて,Idω~3×10–-6dωW/m2.(1.69)

です。

 

普通のスペクトル光源の狭い発光源が持つ

周波数のひろがりの標準的な値は1010Hzで,

これは(2π)×1010Hzのdωに相当します。

この幅のdωを使って,BW=Aを達成する

ために必要なIdωは,上記(1.69)の

Idω~3×10–-6dωW/m2より,

Idω ~ 2×10 5 W/m2程度であること

がわかります。

 

ところが,通常の光源のうち,最も強いもの,

例えば水銀灯でさえ,Idω~10 4W/m2程度

なので,誘導放出を自発放出に等しくするには

不充分です。これらの場合,自発放出により,

原子吸収分のほとんどが散乱され入射ビーム

から消えて無くなります。

 

しかし,レーザー光線,特にパルスレーザー

ではIdω~1013W/m2より,Aかそれ以上の

BWが得られます。この場合は誘導放出が重要

になり,後述するBW<<Aの条件と,

BW>>Aの条件では,ビームの吸収や増幅の型

は異なったものとなります。

 

  • 1.9 原子の光励起

※吸収係数に対する微視的表式を導き出すため

の準備として,光ビームの照射によって原子の

占位数がどのようになるか,について考えます。

 

N個の原子を含む空洞は,原子を通過するとき

のビーム強度の変化が無視できる程度に十分薄い

と仮定します。そして,全ての原子が基底状態に

ある時刻:t=0で,一定のエネルギー密度Wの

ビームが流れ始めたとします。

このとき,時刻tに励起状態にある原子の数

2はN2=N-N1と(1.63)のN1の解:

1={N10-N(A+BW)/(A+2BW)}

×exp{-(A+2BW)t}+N(A+BW)

/(A+2BW)でN10=Nとしたものから,

2={NBW/(A+2BW)}

×[1-exp{-(A+2BW)t}].(1.70)になります。

よって,短かい時間:(A+2BW)t<<1(1.71)

では,N2=NBWt.(1.72)となり,励起はtと

共に直線的に増加します。

一方,(A+2BW)t>>1.(1.73)の長時間が

過ぎると,定常状態の値:N2=NBW/(A+2BW)

(1.74)に近づきます。

 

光ビームを照射し始めると,原子は励起状態

に上がり,エネルギーが光から原子に移ります。

定常状態に達すると原子は,エネルギー;

2cω=NBWhcω/(A+2BW)

=NWhcω/[hcω2/(πc3)+2W] (1.75)

を蓄えることになり,その後は放射から原子に

エネルギーが移されることは無くなります。

 

そして,光と原子の相互作用は,光子の空間的

方向の分布を変える効果を与えます。

定常状態におけるN2の値は普通の光源,つまり,

BW<<Aの場合,N2はNよりずっと小さいので,

大部分の原子は基底状態に留まっています。

このときには,N2は入射ビームのエネルギー

密度:W=Wに比例します。

一方.レーザー光源が強力でBW≧Aのとき,

2のビーム強度への依存は非線形になり,

BW>>1の場合には,N2/Nは1/2に近づく

ような曲がり方をします。

この線形でない挙動を「原子遷移の飽和」と

いいます。しかし,上に述べた型のような実験では,

2>N1,つまり,(N2/N>1/2,という条件を達成

することは不可能です。

 

ここで,再び,入射ビームが切られたとすると

励起原子は基底状態に戻り,先に,

NWhcω/[hcω2/(πc3)+2W]で表わされた

蓄積エネルギーは,光子として再放出されます。

 

20を(1.74)で得た定常状態の励起原子数の

値:N2=NBW/(A+2BW)とし,t=0を定常

状態から入射ビームが打ち切られた瞬間と定義

し直します。そして,レート方程式:dN1/dt

=-dN2/dt=N2A+(N2-N1)BW.(1.62)

はビーム打ち切りで,W~W=0となるため,

dN2/dt=-N2A.(1.76)となり,その解は,

2=N20exp(-At).(1.77)で与えられます。

 

エネルギーを失なう原子は,いずれも光量子

cωを放出するので,放出光の強度も,

exp(-At)に比例して減衰します。

 

この謂わゆる「蛍光放出」の時刻変化を観測

するのがアインシュタインのA係数を測る1つ

の実験となります。(※ 蛍光とは,自発放出光の

一種であって,誘導放出光ではありません。)

Aの逆数:I,つまり,A=1/I(1.78)で

与えられるIは,対象とする遷移の「蛍光寿命」

または,「放射寿命」として知られています。

 

本節の結論としてN2={NBW/(A+2BW)}

×[1-exp{-(A+2BW)t}],

2=NBWt ((A+2BW)t<<1),および,

2=NBW/(A+2BW)((A+2BW)t>>1),

で表わされるN2は,エネルギー密度Wのビーム

照射の下で,励起状態にある平均原子数を示して

いる,あるいは,選択した原子が励起状態にある

確率がN2/Nである,といえます。

 

  • 1.10 吸収の巨視的理論

※まず,誘電体に関連した古典的電磁理論を

復習,要約します。

 

空洞中に誘電体が存在すれば,印加電場

より,それには分極が生じます。

印加電場があまり強くない場合,に比例

し,χを電気感受率とすると,=ε0χ(1.79)

と書けます。

そして,このχは一般に周波数ωの関数であり,

その関数形は誘電体を構成する原子のエネルギー

準位と波動関数に依存します。

この場合もMaxwell方程式は波動型の解を

持ちますが,周波数ωと波動ベクトル:との

関係は,真空中のω=ck(1.9)を一般化した

もの:(ck/ω)2=1+χ.(1.80)となります。

自由空間(真空)ではχ=0であり,ω=ck

に一致します。

 

※(注3-1):分極は電場より,工学で使用

されることが多い電束密度に関連する量と

して定義されます。

誘電率をε=(1+χ)ε0とすると,D=ε

=ε0=(1+χ)ε0Eなる関係があります。

こうして,誘電体や磁性体の中でも,便宜的に

誘電率ε,透磁率μなるパラメータを導入すれば

一応,真空中と同じ形のMaxwell方程式が成立

する,という形式にできるため,こういう形式の

理論を「Maxwellの」現象論と呼びますが,以下,

これを想定します。

 

そこで,電場(電界),磁束密度(磁場)の他

に電束密度:D=ε,および,磁場の強さ(磁界);

/μという,Bに比例する,非独立な量:

,を追加して,Maxwellの方程式を,

∇×H=∂D/∂t,∇×E=-∂B/∂t

を満たす形に書き変えます。

そして,εやμは座標や時間tには独立で

あると仮定すると,

∂(∇×H)=∂2D/∂t2,および,∇E=0から

(1/μ)∇×(∂B/∂t)=ε(∂2E/∂t2)

∇×(∇×E)=-(με)(∂2E/∂t2)となり,

2E=(με)(∂2E/∂t2),

つまり,{(με)∂2/∂t2-∇2}E=0なる

波動方程式を得ます。

 

誘電体では,誘電率はε=(1+χ)ε0≠ε0

ですが,透磁率の方は真空と同じμ=μ0

あるとすれば,波動方程式型の方程式:

{(μ0ε)∂2/∂t2-∇2}E=0が得られ,

結局,{(1+χ)/c2)∂2E/∂t2=∇2

に帰着します。

 

これは,exp{i(kx-ωt)}という形の

平面波の解を持ち,これから位相速度をv

とすると.これは明らかに,

v=fλ=(ω/k)(ω=2πf,k=2π/λ)

ですが,これは,

1/v2=(1+χ)/c2=(ε/ε0)/c2 or

2=c2/(1+χ)=(ε0/ε)c2を満たすため.

(ck/ω)2=1+χ=ε/ε0 を得るわけです。

(注3-1終わり※)

 

ここで,感受率χを,複素数に拡張して,これ

を,χ=χ’+iχ”(1.81)(χ’,χ”は実数)

と表わすことにします。

このとき,(ck/ω)2=1+χの平方根も

複素数ですから,これを,ck/ω=η+iκ

(η,κは実数)(1.82)と書くことにします。

(※こう定義すると,光学においては,ηが

屈折率,κが吸収係数に相当することが

わかります。)

 

この(1.82)を(ck/ω)2=(1+χ’)+iχ”

に代入すれば,η2-κ2=1+χ’.(1.83),

および,2ηκ=χ“.(1.84)を得ます。

 

そこで,感受率χの周波数ωへの依存性が

わかれば,ηやκの周波数依存性もわかります。

 

ここでは,Maxwellの波動方程式の進行波解を

考えた方が真空の方程式の解(1.3)のような境界

条件を満たす定常波を考えるより都合がいいです。

z方向に伝播する波を考えると,これに対する

の空間,時間依存性は,

exp{i(kz-ωt)}

=exp{iω(ηz/c-t)-ωκz/c}.(1.85)

で与えられます。

 

ところで,E,B場と,その振幅E0,B0

間の関係は,∇×E=-∂B/∂tより,

kE0=ωB0です。

故に,(ck/ω)E0=(μ0ε0)-1/20,

つまり.(η+iκ)E0=(μ0ε0)-1/20です。

 

したがって,B0=(μ0ε0)1/2(η+iκ)E0.

(1.86)となります。

 

自由空間では, 空洞内の全エネルギーを,

(1/2)∫(空洞)ε0|(r,t)|2dV(1.19)という

式で積分を実行して,サイクル平均という形で

求めたのでしたが,その際の被積分関数の複素

エネルギー密度は,(1/2)ε0|(r,t)|2でした。

 

しかし,誘電率がεの誘電体が存在するときには.

電場のエネルギー密度(1/2)ε0||2を(1/2)ε||2

に変えるべきとであろう,と考えられます。

しかし,実際の,場のエネルギーのサイクル平均

をとる前の電場の部分は,(1/2)ε||2のうちの

実部:(1/2)Re{ε||2}ですから,ε=ε0(1+χ)

の実部であるε0(1+χ’)によって,

(1/2)ε0(1+χ’)Re||2に変わるであろう,

と予想されます。それ故,(1.83)で(η+iκ)2

=1+χから,(1.84)の1+χ’=η2-κ2

得ていましたから,この議論からは,実電場の

寄与は,(1/2)ε02-κ2)Re||2となる

はずです。

 

しかしながら,磁場部分の寄与を考えると,

振幅が(1.86)のB0=(μ0ε0)1/2(η+iκ)E0

を満たすため.それは(1/2)Re||20

=(1/2)ε0η2Re||2となります。

 

ところで,実電磁場のみのMaxwellの現象論

の考察では誘電体の中の場のエネルギーにも,

自由空間と同様,電場の寄与と磁場の寄与は

同じになるため,実は,電場の寄与も

(1/2)ε02-κ2)Re||2ではなく,

(1/2)ε0η2Re||2となり,場の全エネルギー

も自由空間の(1.19)式から,

(1/2)∫(空洞)ε0η2|(r,t)|2dV

(1.87)へと一般化される,と考えるのが

妥当と思われます。

 

また,単位時間に単位面積を通過する場の

エネルギーとして定義される電磁波の強度I

は,通常の電磁場のPoyntingベクトル:

××0.(1.88)で与えられる

と考えられます。

 

上記と同様.E,の振幅については,

0=(μ0ε0)1/2(η+iκ)E0ですから,

自由空間であれば,B=(μ0ε0)1/2Eより

0=ε0cEであり,EとBは直交する

という事実から,Iの大きさは,

I=ε0cRe|(r,t)|2となります。

 

そこで,誘電体があれば,その中では,

Re0=ε0cηReEとなるため,

I=ε0cηRe|(r,t)|2と書けます。

 

よって,Wと同じく,Iのサイクル平均を

取れば,<I>=(1/2)ε0cη|(r,t)|2

(1.89)を得ます。

 

ただし,E(r,t)は空間的,時間的に

変動しますが,先に与えたz軸向きの進行

の形の(r,t)=0exp{i(kz-ωt)}

0exp{iω(ηz/c-t)-ωκz/c}を

想定すれば,サイクル平均として,|(r,t)|2

はzだけに依存すると考えられます。

 

それ故,サイクル平均強度:<I>を,改めて単に

I=I(z)と書き,I0をz=0におけるサイクル

平均強度とすれば,I(z)=I0exp(-Kz)(1.90)

と書けます。

ただし,K=2ωκ/c.(1.91)です。

 

このように定義されたKという量を吸収係数

と呼び,これは電磁波の強度が(1/K)の距離で

z=0の値の1/eに減少することを意味します。

今回はここまでです。(つづく)

 

(参考文献):Rodney.Loudon著(小島忠宣・小島和子共訳)

「光の量子論第2版」(内田老鶴舗)

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光の量子論2

※光の量子論の第1章の続きをアップします。

そもそも,蛍光灯やLEDの原理などを説明を

しようとしたのが原因で,この過去ノートの

読み返しを想起したのですが,大体ミイラ取り

でイツモ脱線して舟が山にノボリます。

 

※(余談)

さて,第1章の続きを,2006年の6/5完了

までのノートから.ブログ草稿として”写経”

するだけで8/26から9/20まで約1ヶ月,

ワード文章として34ページにもなりました。

 

眼が悪くて,身体も入院続きで弱って首など

もスグ疲れるので,若かった昔から見ると非常

に遅筆なんですね。

まあ,誰かにせかされたりして締切りがある

ような急ぐ旅でもなく,突然,事故で末筆未了

となろうが,それはそれでかまわない,と思って

いるようなものですから,休み休み,やったり

やらなかったりで,ある意味気楽なもんです。

そこで,この間はツイツイ草稿書きに夢中で

ブログアップの方はお休みでした。

いつもながら,写経のようなブログ草稿書き

は過去に納得して綴ったモノの反芻作業なので,

またまた,あの世まで持っていくだけで何の役

にも立たない自己満足薀蓄を,温故知新で再発見

があったり,懐かしく思い出しながら賽の河原に

でも積み上げる,というようなものです。

 

私には,あれば幸せだろうと想像するだけの

保護してあげるべき伴侶や子供なども知己も

ないですが,そうした愛すべき家族があったり

または,自分が生きるための日々の糧を得るため

に頑張っておられる方々には申し訳ないけれど,

貧乏人の金のかからない死ぬまでの「ヒマツブシ」

という意味では,それでも,ただ寝て起きて

食って,というだけで未来の希望はトックに

諦めた老醜の生活にライフワークというには

オコガましいけれど,僅かな生きる動機を

くれています。(自ら死ぬという勇気はない。)

写経とはいえ,ときどきノートからは理解

できない場合,元本をルーペなどで判読すると

式はともかく文章部分が「てにおは」から

「こそあど」まで丸写しであったりすると

自己満足の覚え書き日記で,参照文献を明示

しているので盗作じゃないとはいえ,汗顔の

至りですね。

 歳と慢性病のせいで,たとえリハビリしても

もはや,普通人ならできることが,ダメで

できなくなったことが増えてきてますが,

それらは既に回復をあきらめています。

 人生いつでもやり直しがきく,という歌の文句

ありますが若いとき,若い心身でなければ

できないことは老人じゃやり直せません。

 今は生きていくために不可欠な病気治療

には金銭的補助が出ていますが,

 例えばもはや子をなす必要もない老人の

ED治療などには補助はでないでしょうね。

 私は他の機能回復はともかく.遠く

は見えなくても好きな本さえ読めれば

まだ生きていたいという意欲が大いに

わいてくると思うのですが視力回復

手術などは病気治療ではないので

自腹でしょうから無理ですね。うーん

(余談終わり※)

 

※さて,第1章の残り34ページをイッペンに

アップするのも何ですから,4つに分けて連載

します。以下は第1弾です。

 

  • 1.4 光子数のゆらぎ

光子の吸収,放出が起こると,空洞内の放射場

の各モードにおける光子数のゆらぎが生じます。

このゆらぎは,ある特定の時間スケールで

起きます。(※第3章で詳述)

 

ここで,長時間平均と集団平均が同等である。

という次の定理を利用します。

[統計力学のエルゴード定理(Ergodic theorem)]

ある系における時間平均は,一定の状態に

保たれた,その系と厳密に相似な多数の系全体

についての平均と同等である。

 

この定理で現われる相似な系の仮想的集団は,

「アンサンブル」と呼ばれます。

空洞内のある特定のモードにある光子の場合

には,多数の相似な空洞内のそれと同じ場のモード

から成るアンサンブルを考える必要があります。

 

アンサンブルの中の空洞モードは,それぞれ,

ある一定の個数の光子を持ちます。

 そして,n個の光子を持つ空洞モードの比率は,

先の,P=(1-U)U=exp{-nhcω/(kT)}

×[1-exp{-hcω/(kT)}](1.26)で与えられる

によって決まります。

 

そこで,平均光子数<n>は,既にやった(1.27)

の<n>=Σn(nPn)の計算と同じ計算で得られ,

その結果として得た(1.28)の<n>=U/(1-U)

=1/[exp{hcω/(kT)}-1]は

は,アンサンブル平均であると見てもいいです

が,同時に,エルゴード定理から,

「現実の1つの空洞モードにある光子数の時間平均」

と見なすこともできます。

この時間平均をとる期間は特性時間スケール

と比べて長くなければなりません。

 

は<n>のまわりの「ゆらぎ」の程度

を決めるのにも利用できます。

まず,<n>=U/(1-U)より,

U=<n>/(1+<n>),1-U=1/(1+<n>)

(1.35)が成立します。そこで,空洞の光子数が

nの確率(=アンサンブル中で光子数がnの空洞

モードの比率):Pは,P=(1 -U)Uより,

=<<n>/(1+<n>)(n+1).(1.36)

と書けます。

 

さて,ここで,任意の正の定数(整数)r

について,「r次の階乗モーメント」を,

<n(n-1)(n-2)..(n-r+1)>

=Σn(n-1)(n-2)...(n-r+1)P.

(1.37)で定義します。

すると,r=1の1次階乗は平均:<n>

と同じです。

 

※[注2-1]:Planckの確率分布:(1.26).

または(1.36)のr次階乗モーメントは,

<n(n-1)(n-2)..(n-r+1)>

=r!<n>.(1.38) に等しい。ことを

証明します。

[証明]:定義によって,

<n(n-1)(n-2)..(n-r+1)>

=Σn(n-1)(n-2)..(n-r+1)P

です。

これに(1.26)式のP=(1-U)U

=exp{-nhcω/(kT)}

×[1-exp{-hcω/(kT)}]を代入

すると,右辺

=Σn(n-1)(n-2)..(n-r+1)

×(1-U)U

=(1-U)U[(∂/∂U)n)]

=(1-U)U[(∂/∂U)(1-U)-1]

=(1-U)Ur!(1-U)-(r+1)

=r!{U/(1-U)}となります。

そこで,(1.28)の<n>=U/(1-U)より,

結局,<n(n-1)(n-2)..(n-r+1)>

=r!<n>r が得られました。

(証明終わり).(注2-1終わり※)

 

さて,光子数のゆらぎの大きさは,

分布の分散の平方根=平均からの偏差

の2乗平均の平方根=標準偏差:Δnで

特徴付けられます。

 

すなわち,(Δn)2=Σn(n-<n>)2

=Σn2-<n>2=<n2>-<n>2

です。ところが,先の注2-1から,

<n(n-1)>=<n2>-<n>=2<n>2

より, <n2>=2<n>2+<n>です。

故に,(Δn)2=<n2>+<n>,であり,

光子数nのゆらぎの式として,

Δn={<n>2+<n>}1/2.(1.41)

が得られます。

 

それ故,nのゆらぎは,常に<n>よりも

大きいことになります。そして,<n>>>1

と平均数<n>が大きいと,ゆらぎは,

Δn~ <n>+1/2.(1.42)と近似されます。

 

  • 1.5 EinsteinのA係数とB係数

※空洞内の光子数変化の機構

空洞壁の原子や分子により,光子の吸収,

放出が生じるため,空洞内の光子数は変化

します。

さて,以下で述べる

「Einstein(アインシュタイン)の理論」は,

吸収,散乱,光子ビームの増幅を定性的に理解

するのに.役立ちます。

放射と空洞壁原子との相互作用よりも,放射と

空洞内にある原子(分子)との相互作用を考える

方が簡単です。

 

N個の同じ原子から成る気体が空洞内にあり

各原子は,エネルギーがE1とE2である1対の

束縛状態を持ち,hcω=E2-E1.(1.43)とします。

この2つの原子準位は,縮退度g1,g2を持つ

多重項であるとし,簡単のため,それら以外の準位

は無視します。

そして,空洞内でエネルギー:E1,E2,を持つ原子

の数は,それらの準位を占める占位数ですが,これを

1,N2で表わすことにします。

 

例えば,周波数ωのビームに空洞を通過させて

空洞内で失うビーム強度の比率を測定するとします。

標準的実験では,周波数ωの放射のサイクル平均

を取ったエネルギー密度は.外部電磁波源からの寄与:

(ω)だけ,元のW(ω)より大きいはずです。

そこで,全エネルギー密度をW(ω)と

すると,W(ω)=W(ω)+W(ω).(1.44)

です。一般には,W(ω)は位置の関数ですが,

差し当たり,それは無視します。

しかし,アインシュタイン理論が成功するため

には,原子遷移周波数近傍で全エネルギー密度:

W(ω)がωと共に緩やかに変動する関数である

ことが不可欠です。

 

※光子の吸収と放出の確率

状態2にある1つの原子が「自発的に」状態1

に落ちて,エネルギー:hcωの光子を放出する,

単位時間当りの有限確率(遷移速度)があるとして,

それをA21とします。状態1にある原子は周波数

がωの放射が存在しないなら状態2に移り得る道

はありません。

しかし,エネルギー密度:W(ω)の放射が存在

すれば,hcωの吸収によって遷移:1→2が起こる。

この遷移速度はW(ω)に比例するとして,その係数

をB12とします。W(ω)の放の存在は遷移:2→1

の遷移速度も増加させます。この過程の遷移速度

をB21W(ω)と書いておきます。

この第3の放射過程は「誘導放出」,または,

「刺激放出」と呼ばれます。これらの3つの係数:

21,B12,B21はW(ω)には無関係であるように

定義されています。

 

そうするとN1,N2の変化速度は

dN1/dt=-dN2/dt

=N221-N112W(ω)+N221W(ω)

(1.45)と書けます。

 

  • 1.6 熱平衡の場合

熱平衡のときには,N1,N2は時間的に一定

ですから.N221-N112W(ω)+N221W(ω)

=0.(1.46)です。

そして,外部の放射が空洞に侵入してこない

場合:W(ω)=W(ω)です。よって,このW

対する(1.46)の解は,

(ω)=A21/{(N1/N2)B12-B21}(1.47)です。

ところが,熱平衡では,N1,N2はBoltzmannの

法則(=大正準分布)によって,N1/N2

=g1exp{-E1/(kT)}/g2exp{-E2/(kT)}

=(g1/g2)exp{hcω/(kT)}.(1.48)ですから,

これを代入して,W(ω)

=A21/[(g1/g2)exp{hcω/(kT)}B12-B21]

(1.49)が得られます。

 

この結果は先の(1.29)のPlanckの法則:

(ω)

={hcω3/(π23)}/[exp{hcω/(kT)}-1]

と矛盾してはなりませんが,これらが一致する

のは,(g1/g2)B12=B21.(1.50),かつ,

21={hcω3/(π23)}B21(1.51)が成立する

場合に限られます。

それ故,ある1対の準位間の遷移速度は全て,

どれか1つの係数が決まれば全て決まることに

なります。

 

Planckの法則は(1.29)の

(ω)={hcω3/(π23)}

/[exp{hcω/(kT)}-1]ですが,

これと,(1.28)の<n>=U/(1-U)

=1/[exp{hcω/(kT)}-1] により,

(ω)={hcω3/(π23)}<n>

が成立します。

それ故,(1.51)A21={hcω3/(π23)}B21

から,W(ω)=(A21/B21)<n>,つまり,

21(ω)=A21<n>.(1.52)を得ます。

故に,2→1の2種類の遷移速度=放出速度

の和は,B21(ω)+A21=A21(<n>+1)

(1.53)となります。

 

2種類の放出速度の大きさを光子の周波数

ωの関数として比較するのは興味深いことです。

(自発放出)/(誘導放出)=A21/{B21(ω)}

=1/<n>=exp{hcω/(kT)}-1.(1.54)

ですから,

室温(T~300K)で,hcω/(kT)~1となる

のは,遠赤外領域:ω/(2π)=f~6×1012Hzに

相当して波長がλ~50μm.(1.55)の場合です。

 

よって,より波長の長いマイクロ波や無線慮域

に対応する放射では,hcω<<(kT)であり,

21<<B21(ω).(1.56)です。

これに対し.近赤外.可視.紫外,orX線領域

では.hcω>>(kT)であり,

21>>B21(ω)(1.57) です。

 

※次にPの別の表わし方を示します。

U=exp{-hcω/(kT)},

U=<n>/(1+<n>),および,

1/N2=(g1/g2)exp{hcω/(kT)}

から,<n>/(1+<n>)=g12/(g21)

(1.58)です。

故に<n>=g12/(g21-g12).(1.59)

と書けます。

そこで,(1.36)のP=<<n>/(1+<n>)(n+1)

は,P={g12/(g21)}{1-g12/(g21)}

(1.60)となります。

こうして.熱平衡の分布は,量子のエネルギー

準位に関係した量だけで表わせます。

 

  • 1.7 簡単な光学過程の理論

※多種多様な放射プロセスは,レート方程式:

(1.45),つまり,dN1/dt=-dN2/dt

=N221-N112W(ω)+N221W(ω)を解き,

そのN1,N2の解にアインシュタイン係数A,B

の関係式(1.50),(1.51)の(g1/g2)B12=B21.

21={hcω3/(π23)}B21を使用して扱う

ことができます。

ここでのテーマは,近赤外,可視,紫外領域の

電磁放射を用いた光学実験です。

室温ではW(ω)は非常に小さく,既に(1.57)

で述べたように,近赤外,可視,紫外領域のωでは,

cω>>(kT)であり,A21>>B21(ω)

なので,自然放出(自発放射)の速さは熱的な放射,

吸収の速さより,はるかに大きくなります。

 

それ故,周波数がω~1013Hz程度かそれ以上

の場合は,熱エネルギー密度:W(ω)を無視

するのが,非常に良い近似になります。

このとき,全エネルギー密度:W(ω)は,(1.44)

のW(ω)=W(ω)+W(ω)より,外部光源

からの寄与:W(ω)のみで近似されます。

そこで,以下ではWの添字Eを省きます。

 

そして,今,テーマとして興味ある放射過程では,

外部光源と結びついた吸収と誘導放出が関わります。

対象の光周波数の領域にある原子の励起状態は,

室温では無視できる程度の熱的な占位数しか持ち

ません。

今,単一の低い状態=原子の基底状態と,多数

の光励起状態を持つ原子を考えます。

低い方の準位を基底状態にとると熱平衡では

1=Nです。そして,ある特定の励起準位E2

への選択的励起は,しばしば,周波数ωの単一の原子

遷移への共鳴条件:hcω=E2-E1を満たす外部光源

からの光で原子を照射することで達成されます。

このとき,系は事実上2準位原子として挙動する

ため,占位数はN1+N2=N.(1.61)を満たします。

 

2準位の場合は特に簡単で,どちらの準位も縮退

していない:g1=g2=1とすれば,(1.50)式の

(g1/g2)B12=B21によって,2つのB係数:

12とB21は等しくなり,さらに簡単に

なります。

そこで,A21とB12=B21の下添字を省略する

と,(1.45)のdN1/dt=-dN2/dt

=N221-N112W(ω)+N221W(ω)は

dN1/dt=-dN2/dt

=N2A+(N2-N1)BW.(1.62)となります。

 

※[注2-2]: N1+N2=Nの条件下で,

dN1/dt=-dN2/dt

=N2A+(N2-N1)BWの解は,

1={N10-N(A+BW)/(A+2BW)}

×exp{-(A+2BW)t}

+N(A+BW)/(A+2BW).(1.63)となる

ことを証します。ただし,N10はt=0に

おけるN1の初期値です。

2はN2=N-N1より導かれます。

(証明):dN1/dt=N2A+(N2-N1)BWの

右辺にN2=N-N1を代入すると,

dN1/dt=NA-N1A+(N-2N1)BW

=N(A+BW)-N1(A+2BW)です。

故に,dN1/{N1(A+2BW)-N(A+BW)}

=-dtです。

両辺を0からtまで積分すれば,

ln{N1-N(A+BW)/(A+2BW)}

-ln{N10-N(A+BW)/(A+2BW)}

=-(A+2BW)tとなります。

したがって,

1={N10-N(A+BW)/(A+2BW)}

×exp{-(A+2BW)t}

+N(A+BW)/(A+2BW)

が得られます。(証明終わり)(注2-2終わり※)

今回はここまでです。(つづく)

 

(参考文献):Rodney.Loudon著

(小島忠宣・小島和子共訳)

「光の量子論第2版」(内田老鶴舗)

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2019年8月26日 (月)

光の量子論1

※今回は,長年の糖尿病の末に心臓病となり,

2007年4月に心臓手術を受けて,私が心不全

の障害者になった頃より,約1年前のまだ普通

に仕事をしていて,ブログを始めた2ヶ月後の

2006年5/28頃の読書ノートからです。

 

2019年の今は新しく継続的に本を読んでノート

にまとめる,という作業は,視力の関係で困難と

なってきていますが,本を読める程度の視力が

あった2016年頃までは新しいノートも続々と

できていました。(※ 私の本格的に読んで理解

しようとする行為は,まさに写経ですから。※)

 

ブログを始めた56歳の2006年3月以前に作成

したノートたちの回顧録だけじゃなく,それ以後に

好奇心で,さらに読み学んだことも書いてきました。

 

まだ,命があって,機会があればこれはと思うモノ

については,またブログで回顧したいと思います。

 

第1章Planckの放射法則とEinstein係数

  • 1.1 空洞内の場のモードの密度

電磁放射は,空洞内に閉じ込められているものと

考えると好都合です。

すなわち,理論的な扱いでは,対象空間を有限範囲

に制限することが役に立ちます。

ただし,これは方便です。一般に,計算結果が空洞

の大きさ,形,性質に依存することはないからです。

 

そこで,対象を一辺がLの立方体空洞に選んでいい

です。そして,空洞の壁は完全な導体であるとすると,

電場の接線成分はゼロというk境界条件を満たす

べきです。(さもないと壁に電流が流れてしまう

からです。)

 

Planckの法則は,温度Tで熱平衡になっている

空洞内部の電磁放射のスペクトル分布を表わした

ものです。

この放射は黒体放射(黒対輻射)と呼ばれています。

 

さて,真空中の電場は,光速をcとすると,

それは,

波動方程式:∇2=(1/c2)(∂2E/∂t2)(1.1)

とMaxwell方程式,および,横波条件:

==0.(1.2)を満たします。

 

境界条件を満たす上記方程式の解を,

(,t)

=(E(,t),E(,t),E(,t))

と書くと,成分は次のように表わされます。

(,t)

=E(t)cos(kx)sin(ky)sin(kz)

(,t)

=E(t)sin(kx)cos(ky)sin(kz)

(,t)

=E(t)sin(kx)sin(ky)cos(kz)

(1.3) です。

 

ただし,

(t)=(E(t),E(t),E(t))

は,位置には無関係な時間依存ベクトルです。

そして,波動ベクトル:=(k,k,k)

は,境界条件故に次の成分を持ちます。

=πν/L,k=πν/L,

=πν/L.(1.4)

;ν=0,1,2,..(1.5) です。

 

そして,整数=(ν)の成分は

3つのうちの2つがゼロだと無意味なゼロ解

となるので,1つの成分しかゼロになることが

できない,という制限を持ちます。

 

さらに,∇==0.(1.2)という条件は,

解に,kE(t)=0.(1.6)という束縛条件

を与えます。これは(t)がに垂直である

という条件であり,それ故,が決まると,

これに対して(t)には特別な方向が存在する

ということになります。

(kに垂直な2つの偏り方向です。)

 

整数の組:(ν)の各々は,空洞内

の放射場の1つのモードと定義されるモノを

定めますが,2つの偏りを考慮すると,この1つ

のモードには2つの自由度が対応します。

 

電磁場の励起は全て,これらのモードの場の

線型和で表わすことができます。

 

ここで,求めたいのは,波動ベクトルの大きさ

がkとk+dkの間にある場のモード数を

与える式です。

 

これは丁度半径kとk+dkで囲まれた

8分球殻内の格子点の数に等しいはずです。

そこで,求める個数は,

(1/8)(4πk2dk)×(π/L)-3×2  .(1.7)

と書けます。

場のモードの密度:ρdkは,上述の範囲内

に,その波動ベクトルを持つ空洞の単位体積当り

のモード数として定義されます。

よって,(1.7)から,ρdk=(k22)dk.(1.8)

となります。これは一般に成立する式であり,これ

を導く際に用いた特殊な空洞の実体とは無関係です。

 

一方,角周波数ω=2πνは,波数k=2π/λ,

および,光速c=νλと合わせてω=ck.(1.9)

なる関係があります。

 

それ故,ωとω+dωの間にあるモードの密度

ρωdωを,(1.8)のρdk=(k22)dkから

求めると,ρωdω={ω2/(π22)}dω.(1.10)

と変換されます。

 

こうして,体積Vの中のモードの総和,Σ

を積分:∫(Vk22)dk,あるいは,

∫{Vω2/(π22)}dω.(1.11)に置換して

いいことになります。

 

  • 1.2 場のエネルギーの量子化

次に,第2段階として,温度Tの各々の場の

モードに蓄えられたエネルギー量を決定します。

 

電場の時間依存性は,(1.1)の波動方程式:

2=(1/c2)(∂2E/∂t2)に,(1.3)の

モード解を代入し.ω=ckを用いることで得られ,

2(t)/dt2=-ω2E(t).(1.12)となります。

これの各周波数ωが正と限定した解は次の形です。

E(t)=E0exp(-iωt) .(1.13)

 

※(注:1.1):(1.13)は数学的で形式的な複素表現の

解です。これとは独立にE0exp(iωt)なる解も

あります。

しかし,もちろん,現実の電場は実数であるべき

ですから.E0exp(-iωt),E0exp(iωt)という

独立解の代わりに,それらの線型和で実数となる

独立解:E0cos(ωt),E0sin(ωt)を採用すべき

とも考えられますが,必要なら適宜実部を取ると

して,この形のまま,複素電場ということで議論

を先に進めます。(注:1.1終わり※)

 

ところで,古典電磁気学によれば,

時刻tに空洞内の電磁場が持つエネルギー

は,(1/2)∫(空洞)0220)dV (1.14)

で与えられることがわかっています。

 

ただし,,はそれぞれ実電場,実磁場であり,

ε00は,それぞれ,真空の誘電率,透磁率です。

そして,これら真空の誘電率,透磁率は,光速cと,

c=1/(ε0μ0)1/2>(1.15)なる関係にあります。

 

今,考えている場のモードについての複素電場

はモード解(1.3)において,その時間依存の係数

が,(1.13)の]複素解E(t)=E0exp(-iωt)と

いう形で与えられる,とします。

 

振動の1サイクル:T=2π/ωの間のエネルギー

の変化は,一般に測定には影響されないので,便宜上,

振動の1サイクルについて場のエネルギーを平均

したものを,場のエネルギーrとして採用すること

にします。

 

ここで,必要な次の定理を与え,証明しておきます。

※[サイクル平均定理]:

exp(-iωt)の形で時間変動する2つの複素数

をA,Bとすると,A,Bの実部の積を振動の

1サイクルについて平均したものは.この平均

を記号:< >で表わすと,

<(ReA)(ReB)>=(1/2)Re(AB)(1.16)

である。

 

(証明):A0,B0を実数として,

A=A0exp(-iωt),B=B0exp(-iωt)と

おくと,ReA=A0cos(ωt),ReB=B0cos(ωt)

なので,(ReA)(ReB)=A00cos2(ωt)です。

 

故に,1周期:T=ω/(2π)についての平均は,

<(ReA)(ReB)>

=(1/T)∫0[(ReA)(ReB)]dt

=(A00/T)∫0[{1+cos(2ωt)}/2]dt

=(A00/T) [t/2+sin(2ωt)/(4ω)]0

=A00/2 となります。

一方,AB=A00ですから,結局,

<(ReA)(ReB)>=AB/2 を得ます。

(証明終わり)

 

さて,真空中の磁場は,電場と次の

関係式:∇×=-∂/∂t.(1.17)を

満たします。

 

そして,モード解(1.3)を再掲すると,

電場:=(E,E,E)の陽な形は,

=E(t)cos(kx)sin(ky)sin(kz)

=E(t)sin(kx)cos(ky)sin(kz)

=E(t)sin(kx)sin(ky)cos(kz)

です。

 

また,Bの時間依存部分:B(t)は,Eと同じ

モードでは,B(t)=B0exp(-iωt)の形である

はずなので,∂/∂t=-iωB を満たします。

 

それ故,このの具体的な形から,∇=0は,

x(t)+ky(t)+k(t)=0

を意味します。

一方,∇×E=-∂/∂tのx成分は,

∂E/∂y-∂E/∂z=-∂B/∂t

ですが,これは,

(k(t)-k(t))

×{sin(kx)cos(ky)cos(kz)}

=-∂B/∂t を意味します。

 

そこで,電場,磁場の時間係数部分:E(t),

(t)のみに着目すれば,∇=0,

および,∇×=-∂/∂tは,

それぞれ,kE(t)=0,および,

k×E(t)=-∂(t)/∂t と読み換

えられます。これらについては前にも指摘

していますが,具体的に検証しました。

 

ここで,k0=0より,kとE0は直交して

いるため,|k×0|=kE0です。

また電場と磁場の時間依存性の具体形:

(t)=0exp(-iωt),および,

(t)=0exp(-iωt)を考慮します。

 

 

すると,k×E(t)=kE0exp(-iωt),

=-∂(t)/∂t=iωB0exp(-iωt)

となりますが,この等式の実電場,実磁場

の意味での対応を書き下すと,,

kE0cos(ωt)=ωB0cos(ωt),および,

-ikE0sin(ωt)=iωB0sin(ωt)

です。

 

したがって,振幅の比較では,

kE0=ωB0なる関係式を得ます。

それ故,B0=(k/ω)E0

=E0/c=(ε0μ0)1/20.(1.18)です。

 

すなわち,振幅についてB020=ε002

なので,20=ε02と結論されます。

つまり,場のエネルギーへの電場と磁場の

寄与は全く同じです。

 

以上から,場のサイクル平均エネルギーは,

<(1/2)∫(空洞)0220)dV>

=(1/2)∫(空洞)ε0|(r,t)2|dV.(1.19)

となることがわかります。

ただし,ここでの(r,t)は実電場ではなく

複素電場を意味します。

 

※ここでPlanckの量子仮説を導入します。

(1.13)の(t)=0exp(iωt)の0は,どの

ような大きさでもいいので,古典論では(1.19)

で与えられる場のエネルギーは,正でありさえ

すれば,どんな値でも取ることができます。

しかし,電場E(t)は調和振動子の方程式:

2(t)/dt2=-ω2E(t)を満たしていて,

これは,量子論では調和振動子のエネルギーは,

=(n+1/2)hcω(n=0,1,2.).(1.20)

という離散的値しか取ることができません。

 

そこで,電磁場を各モードが調和振動子であり

電磁場全体は振動子の集合体であると見なして

量子化すると,(1/2)∫(空洞)ε0|(r,t)2|dV

=(n+1/2)hcω.(1.21)と書けます。

 

この条件は,Eの振幅E0が取り得る大きさを

制限します。しかし,当分は電磁場は量子化せず,

半古典的に扱い,後の第4章から全体を量子力学

の系として扱いに戻ることにします。

 

ここでは,Planckの法則の説明に必要なので,

量子論的議論を続けます。

 

n=0のときの基底状態でのエネルギー:hcω/2

は,零点エネルギーといわれます。

また,モードの電磁エネルギーが.n番目の

n=(n+1/2)hcωにあるときには,第n励起

状態にあるといいます。

 

量子化された場理論では,量子数nが1だけ

増加(減少)したときには光子が1個生成(消滅)

したといわれます。

 

  • 1.3 Planckの法則

温度がTで熱平衡にあるときに.モードの振動子が

第n励起状態に熱的に励起されている確率をP

すると,これは,通常のBoltzmann(ボルツマン)因子

を用いて,P=exp{-E/(kT)}

/[Σexp{-E/(kT)}].(1.22)で与えられる

と考えられます。

 

これにEn=(n+1/2)hcωを代入して.

U=exp{-hcω/(kT)}.(1.23)とおけば,

分子,分母でhcω/2に関わる項は相殺されて

=U/(Σn=0) (1.24)と書けます。

 

ω>0で,U=exp{-hcω/(kT)}<1なので、

Σn=0=1/(1-U).(1.25)となりますから,

=(1-U)U.(1.26)を得ます。

 

そこで,温度Tにおける平均光子数(励起準位数)

<n>は,<n>=Σn(nPn)=(1-U)Σn(nU)

=(1-U)U・(∂/∂U)[Σn]

=U/(1-U).(1.27)です。

これに,U=exp{-hcω/(kT)}.を代入して,

<n>=1/[ exp{hcω/(kT)}-1](1.28)

を得ます。この注目すべき結果が,

「Planckの熱励起関数」と呼ばれるものです。

 

ここで,(1.18)式のωに対するモードの密度:

ρωdω=ω2dω/(π23)と,上記の(1.28)から

零点エネルギーを無視して,温度Tでの平均の

電磁エネルギーは<n>hωであるとすると,

温度Tでの平均の電磁エネルギー密度を,

(ω)dωと定書くとき,これは,

(ω)dω=<n>hcωρωdω

=<n>hcω3dω/(π23)であり,

 

結局,,

(ω)dω={hcω3/(π23)}dω

/[exp{hcω/(kT)}-1].(1.29).

となります。

これが放射エネルギー密度: W(ω)に

対する有名な「Planckの法則」です。

 

Planckの法則は高温と低温では少し簡単な

形になります。

まず,(kT)>>hcωのときは,

(ω)~ ω2T/(π23).(1.30)です。

これは,1900年にRaylei(レーリー)によって

導かれた放送であり,h→ 0 の極限です。

 

一方,(kT)≦hcωのような低温では,

(ω)

~{hcω3/(π23)}exp{-hcω/(kT)}

(1.31)となります。これはWienの公式です。

 

(1.29)をωで微分してゼロと置きます。

0={hc/(π23)}

(-{hcω3/(kT)}exp{hcω/(kT)}

+3ω2[exp{hcω/(kT)}-1])

/[exp{hcω/(kT)}-1]2.です。

故に,{3-hcω/(kT)}exp{hcω/(kT)}

=3で,これが成立します。

よって,これはhcω/(kT)~2.8で成立します。

 

それ故,hcωmax~2.8kT.(1.32)を満たすωmax

で,エネルギー密度分布が最大になります。

これをWienの変位則といいます。

 

空洞内の光子(放射電磁波)の全エネルギー密度

(単位時間,単位面積当りの放射エネルギー)は,

0(ω)dω=∫0dω({hcω3/(π23)}

/[exp{hcω/(kT)}-1])

={k44/(π23c3)}

×∫0[x3/{exp(x)-1}]dx

=π244/(15c3c3).(1.33)となります。

※ここで,ゼータ関数の考察から,

0[x3/{exp(x)-1}]dx=π4/15となる

ことを用いました。

 

放射の全エネルギー密度がT4に比例する

というのは1879年に定式化された,

Stephan^Boltzmann(ステファン・ボルツマン)

の放射法則です。

 

(,t)を空洞内の放射場の全てのモード

から成る温度Tの全電場とすると,

0(ω)dω

={1/(2V)}∫(空洞)ε0|(,t)|2dV

(1.34)が成立しています。

 

(参考文献):Rodney.Loudon著

(小島忠宣・小島和子共訳)「光の量子論第2版」

(内田老鶴舗)

 

※例によって参考文献とか言いながら,元の著書

そのままの丸写しじゃないか。との批判がある

かも知れませんが,まあ,私自身の自己満足の

ウェブ日記でもあり,それでも,この種の専門書,

はそのまま読んでも浅学者には意味不明の不親切

な箇所がありがちで,私としては,そこを自分なりに,

わかりやすく書き下したつもりです。

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2019年8月 8日 (木)

光源(電球・蛍光灯・LED)(1)(電球)

前回は素朴な疑問としてエアコン,冷蔵庫などの

主要システムである熱交換器に関わる話をしました。

 

今回は,まず,世間ではエジソンが創ったと思われている

けれど,最初に発明したのはスワンという人物でエジソンは

フィラメントとして適切な物質の竹などを用いて実用化した

とされている電灯,白熱電球の話から始めて,蛍光管からLED

(発光ダイオード;ight emitting diode)まで,回路の電流に

より光(可視周波数帯の電磁波)が発生する原理を考察します。

 

今回の第1弾は,単純な電灯,電球です。

全体のストーリーは,次の通りです。

 

電気が流れて回転して戻ってくる回路という

モノを考えます。電気の通り道の役割をする導線

で回路をつくり,途中にロスに対抗して恒常的に

電流を流す電流源としてエネルギーを供給する

電池のような,「起電力」を持つ機器を挿入した

電気回路を想定して考察します。

 

 ただの電気の通り道として,は銅のように電気抵抗

が小さくエネルギーロスの少ない材質の金属導線を

使用し,逆に「ジュール熱」の発生を促して,それを

有用な機器として利用したい部分には,その用途に

応じて,ニクロムやタングステンなど抵抗が大きい

材質の導線をつなぎます。

 

発生した熱は,それを完全断熱の理想的保温容器

に閉じ込めない限り,伝導,対流.放射(輻射)によって

次第に逃散してゆきます。

特に,熱を得て有限な温度を持つどんな物体からも,

黒体輻射のプランク分布に比例した,波長-強度対応

で,多かれ少なかれ,あらゆる波長(周波数)の電磁波

を放射します。

この色-温度関係が黒体でない一般物質でも黒体

輻射のそれに形としては比例する,という性質が

「キルヒホッフの法則」として知られています。

 

放射される電磁波(光子)は波長が短かい方から

(周波数が高い=エネルギー大きい方から)順に

γ線,X線,紫外線,可視光線,赤外線.etc.という

名称が付いていますが,そのうち灯りとしての

使用目的で,可視光線が多く放射されることが

期待される抵抗導線部分を,外から見えるように

透明な壁で内部が真空な容器や希ガスの入った

容器を被せたモノが,(白熱)電球というわけです。

 

抵抗導線を閉じ込めても電磁波は内壁で完全反射

れない限り,透過して出てきますからね。

 

これだけのストーリーを説明するために,本ブログ

過去記事を再編集して「電気伝導まとめ(1),(2)」では.

「オームの法則」と「ジュール熱」発生のメカニズム

の詳細を,そして「黒体輻射(キルヒホッフの法則)」など

の過去記事を修正,再掲載して羅列しました。

これで全体説明の準備が完了したというわけです。

 

最終的には,平衡が保持されない放置の状態では

高温の物体からは(低温の物体でも)熱が逃げていくの

ですが,熱が失われてゆく手段には伝導,対流,放射しか

なくて,真空中や気体中に接触しないで逃げていく形態

は熱輻射(電磁波放射)の形だけです。

 

そして,それは先にも述べたように振動数(波長)に

よっては,赤外線,可視光,紫外線,X線と呼ばれる光線

を全て分布として含んでいるため,可視光も出ています

から,後は便利で効率よく利用できる機器に整えるだけ

です。

 

 

(※ 余談ですが空気や水の中で対流が起きるのは,

地球の重力(引力)のせいですね。一般に空気も水

も温度が高い方が軽く,低いほうが重いので,重力

落下で混合されるのは,高度が上の温度よりも下

の温度が高いとき,(気圧で言えば上空が高気圧で

低空の地上付近が低気圧のとき)でないと,対流は

生じません。

 

しかも,上の温度が低く,下の温度が高くても

温度差が小さい場合は,空気や水自体は静止して

いて,熱伝導だけの熱移動で,平衡状態を保つのに十分

なので対流は起きず,気象の意味では大気が安定した

状態にあるといわれます。

 逆に,地上が熱せられたりして,上下の温度差が大きく

なると,熱伝導だけでは熱移動が不十分になり,熱を持つ

空気や水自身も移動する必要性が生じて対流が起きると

いうわけです。

 

温度差がかなり大きいと急激な下降気流が起きます。

しかし,一方的に下降し続けるということはないので,下降

気流と上昇気流は,必ずセットで起こり,これが大気不安定

なときの対流現象です。

(※本ブログ過去記事「ベナール対流」参照)

 

水の場合,昔は岡山県の田舎の実家では五右衛門風呂

をマキで炊いて沸かしていたのですが,偶の一番風呂だと

上面が熱くても,その下は水のまま,ということもあって

まず,かき回して人工対流を起こしてから入ったのが昭和

30年頃のなつかしい思い出です。(以上,余談終わり※),

 

さて,全体のストーリーよりも少しだけ詳しく本題

を要約します。

 

まず,電気回路に電気を流すと,一般に導線部分には,

それが超伝導体でない限り,ゼロでない電気抵抗という

ものがあり,その大きさをオーム(Ω)という単位でRと

書くとき,回路に挿入した直流起電力,または,抵抗を

挿入した部分の端子間電圧(電位差)をV(ボルト)とし

そこを流れる電流をI(アンペア)とすればV=IR

という関係式が成立する,という「オームの法則」が

あります。

 

「電気伝導まとめ(1),(2)」では2006年6月の一連

の電気伝導の過去記事:「電気伝導(オームの法則)」

「電気伝導(つづき1)(ジュール熱)」,および,

「電気伝導(つづき2)(衝突の正体)」を再整理して,

アップし直しました。

 

「オームの法則」では,ブラウン運動などを規定する

確率過程で現われる,ラン・ジュバン(Langevin)方程式

m(d/dt)=-γ(t)という方程式が

ありますが,これのアナロジー的理論を展開しました。

 

この方程式は,水中で花粉が複雑な運動をする

のを,花粉の質量をm,速度をとして運動方程式

を立てたものです。

 

(-γv)は水の粘性抵抗を表わしたものですが

これは,水などの流体中に,ある半径aの小球がある

と仮定すると,巨視的に連続体と見なされた流体の

流れが遅いときには,これを変形速度が応力に比例

する,というNewton流体で近似して,接線応力のため

ηを粘性率として,小球は6πηaという値で評価

されるに比例した抵抗力を受けるという,

「ストークス(Stokes)の法則」の表現です。

(※ ↑2007年7/27,7/28の本ブログの過去記事:

「遅い粘性流(1),(2)(Stokes近似)」参照※)

 

また,水とは独立に花粉だけが受ける外力があれば,

それをFとします。

 

そして,普通量の水は微視的には莫大な個数の水分子

の集まりですから,花粉がそれらの水分子と絶えず

衝突することで受けると考えられる,我々には

確率的にしか評価できないと思われる乱雑な水の

分子運動由来の力をR(t)と書くとき,Newtonの

運動方程式は,巨視的見地,微視的見地を折衷した形

で,先述のLangevin方程式:

m(d/dt)=―γ(t)

で与えられると考えたわけです。

 

これは花粉に限らず,流体分子と比較できる

サイズの微粒子が水や空気などの流体中で複雑

なジグザグ運動をするのを,発見した人物の名を

とって「ブラウン運動」と呼びますが,これは

時間的に確率が変動する確率過程という現象の

解析に用いられる方程式です。

 

今の電荷の運動では,対象媒体の金属は常温では固体

であり,流体ではないですが,微視的には格子状に並ぶ

金属原子の集まりですから,金属原子の束縛から解放

された電子たちが陽イオンの海を流れるという描像で

流体中の微粒子のアナロジーとして考えます。,

 

電場がある場合の金属固体中の電荷eの電子

なら,金属格子の運動に起因するランダムな力は

平均的にはゼロで(t)=0であり,また,=e

です。(※Eは電場です。)

 

そして,巨視的な変形速度が応力に比例する粘生抵抗:

-γは,原子の束縛から解放された電子が古典論的

には陽イオンのイオン芯と衝突するとされ,量子論的

にはイオンの格子振動波のフォノンと衝突して,その

過程での電子の平均の自由運動時間を緩和時間;τと

定義して導入すれば.(-γv)は(-mv/τ)に

置き換えられて,先のLangevin方程式は

md/dt=eE-m/τと変更されるわけです。

 

これを満たすイオンと電子流の系が十分時間が

経って平衡に達し,電流が一定:d/dt=0と

なった場合には,e=τe2E/mとなり抵抗部分

の全体積:(LS)(断面積S,長さL)の中にN個の

可動電子が電荷eで存在すれば,数密度:

n=N/(LS)を用いて.電流密度は=nev

=nτe2/m.であり,これをJ=σE,

σ=ne2τ/mと書けば,σは電気伝導率です。

電流Iは,S=σSEですから.R=L/(σS)

と置けば,V=ELで,I=V/R,つまり,V=IRとなり,

σ=ne2τ/mからR=mL/(nSe2τ)と,電気抵抗:

Rの値が評価されます。

こうした形でオームの法則:V=IRが成立

することが説明されます。

 

そして,次の「ジュール熱」の項では,

まず,ポテンシャル(電位)V()(ボルト)を導入

して,電気力をeE=-∇(eV) と書きます。

 

「オームの法則」の項で与えた運動方程式は,

md/dt+∇(eV)=-m/τとなり,両辺

を乗じた結果,エネルギーの時間発展方程式:

(d/dt){(m2/2)+eV}=-m2/τを

得ます。これは,つまり,力学的エネルギー:

{(m2/2)+eV}が抵抗の存在のために保存

されず,単位時間に電子1個当り,(m2/τ)の

率で損失(ロス:散逸)があることを意味します。

 

これは,電流が一定の平衡に達してd/dt=0

となってもd(eV)/dt=-m2/τという形で

位置エネルギーの損失という形で残ります。

 

力学的エネルギー損失率の(m2/τ)は,N個の

電子では,Nm2/τですが,電場が一定でその方向

がx軸正なら,V()=-Ex+(定数)ですから抵抗

端子間の電位差を単にV(定数)とすればV=ELです。

 

また,前と同様,数密度;n=N/(LS)で電流密度J

=nev=σE(σ=ne2τ/m)と書くことが

できて,電流は,I=JS=nSev=σSE,Vです。

 

それ故,IV=(nSev)(EL)=NevEですが,

=τe2/mより,逆に,E=mv/(eτ)なので

IV=NevE=Nmv2/τを得ます。

 

右辺は,丁度先に評価した単位時間当りの

全エネルギー損失に一致していますから,結局,

このP=IVが.単位時間に抵抗部分から散逸

してゆくエネルギーを意味します。

 

これは,もちろん,力学的エネルギーではなく,

熱というモノを発生させるエネルギーですから,

「ジュール熱」と呼ばれるものです。また,

いわゆる「消費電力(Power)」とも呼ばれるモノで

単位はワット(W=J/sec)です。

 

そして,次の「衝突の正体」の項目では,古典的には

電気抵抗の原因となる緩和時間τを生じさせる衝突

散乱が,キャリアである金属内の自由電子近似の電子

が陽イオン芯と衝突であろうと推測されたモノが,

 

実は,格子状に並ぶ陽イオンの周期的ポテンシャルに

弱く束縛された「ブロッホ電子」が,静止したイオンの

格子群ではなく,量子的にはフォノンと呼ばれる運動

する格子:格子振動波にり進路を曲げられる散乱の結果

であることを述べました。

 

 その過程で,固体物理学では,こちらの方がより重要

かも知れない,格子ポテンシャルの周期性が原因で,

ブロッホ電子の取りえるエネルギー準位がバンド構造

を持ち,結果,固体が絶縁体,半導体,導体の電気的性質

をとるメカニズムを説いた「バンド理論」の概略に

ついても記述しました。

 

そして,また,超流動,超伝導現象の主因となるらしい

「ボーズ・アインシュタイン凝縮」の話や緩和時間の

定義を与える「ボルツマン方程式」についての過去記事

を復習しました。

 

「黒体輻射とキルヒホッフの法則」では,有限な空洞

(箱)の中にある絶対温度Tの物体からは,熱平衡では強度

の周波数(波長)への対応が,黒体輻射のプランクの分布に

比例した形で電磁波が放射(輻射)されることを述べました。

熱平衡になくても,温度が安定していれば,ほぼ同じです。

 

今回はこれで終わりです。

 

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2019年7月29日 (月)

再掲記事「黒体輻射記事の補足」

 前再掲記事の短かい数学的補足で,2006年7/22の

「黒体輻射(空洞輻射)と空洞の形状」を追加します。

※ 以下再掲記事です。

以前の記事で「空洞輻射の波数の分布が空洞の形状

には依らない。」と述べたことがありましたが,このこと

を証明してみようと思います。

 

一般に,自由電磁波の電場Eに着目すると,それは横波

であり,真空中のマクスウェル(Maxwell)方程式」を満足

します。

 

そして,まずは空洞を導体と考えて,その形が一辺がL

の立方体である,と理想化しておきます。

 

その境界条件は,境界での接線成分が 0 である必要

がありますから電場=(Exyz)は,sinやcos関数

を用いてEx=Ex(t)cos(kxx)sin(kyy)sin(kzz) etc.

と表わされ,波数ベクトル:=((kx ky kz)の成分は,

x=mπ/L,ky=nπ/L,kz=pπ/L

(m,n,p=0,1,2,3...) となります。

 

つまり波数ベクトルkは(π/L)を格子定数とする

格子点のみを許容値とするので,そのkの分布と

しては負でない整数m,n,pのみをとる8分球を

とり,kを連続化して横波の2つの自由度を考慮

すると,半径kとk+dkの間の波数kの個数が,

(1/8){(4πk2dk)/(π/L)3}×2

=(πk2dk)(V/π3) となります。

 

そして,この最終形では立方体であったという仮定

は必要なく,容積Vが有限でありさえすればいいと

いう形になっています。しかし,本当に立方体という

形状は関係ないのでしょうか?

 

簡単のために,3次元でなく2次元の空洞なるもの

を仮定し立方体を正方形に変更しても同様であると

すると,kx=mπ/L,ky=nπ/L(m,n=0,1,2,.)

であり,半径kとk+dkの間の波数kの個数は.

(1/4){(2πkdk)/(π/L)2}×2

=(πkdk)(S/π2)と体積Vの代わりに面積Sで

表わした形になります。

 

そうして,正方形ではなくて一般の単連結な閉曲線

で囲まれた任意の領域を“空洞”と考え,その面積がS

の場合も,波数の分布がやはり,(πkdk)(S/π2)と

なることを証明したい,と考えるわけです。

 

まず.この閉曲線を(f(t).g(t))(0 ≦t≦1)

(f(0),g(0)=(f(1),g(1))で定義します。

f,gは微分可能でtによる微分係数を,

f’=df/dt、g’=dg/dtとすると,

これらはtの連続関数であるとします。

 

この閉曲線を,

「一辺Lの正方形を反時計回りに1回転する閉曲線」

に変換する写像を汎関数:F,Gによって.

(u,v)=(F(f,g ),G(f,g ))とします。

 

微小変換はF,Gのヤコービ行列を,

J=(∂(F,G)/∂(f,g)) とすれば

(du,dv)=J(df,dg )となりますから,

外微分を使って,dS=df∧dg

=(1/|J|)du∧dvを得ます。

(※|J|はJの行列式です。)

 

電場の波数ベクトルkの境界条件はの閉曲線上

の接線成分がゼロ,=kxdf+kdg=0

ですから,これは(kx,ky)(df,dg)= 0 と

書けます。

したがって,(kx,ky)J-1(du,dv)=0 である

ことから,(kx’,ky’)=(kx,ky)J-1とおけば.

(kx’,ky’)は一辺Lの正方形のu-v空間の波数

ベクトル:k’の分布をするので.先の考察によって,

dkx’∧ dky’=(π/L)2dm∧dnの分布形

となるはずです。dm,dnは個数空間の微分で

dm∧dnを1つの格子,つまり1と同一視します。

 

よって,dkx∧dky=|J|dkx’∧ dky

=|J|(π/L)2dm∧dnです。

(kx’,ky’)の空間は格子間隔(π/L)のu-v

空間の逆格子空間としてよいわけで.この式は(kx,ky)

の空間が,f-g空間の逆格子空間でその格子定数の

平方が(π/L)2|J|=π2/(L2|J|-1) である

と考えるべきことを示しています。

ところでL2=∫du∧dvであり,

∫|J|-1du∧dv=∫df∧dg=Sですから

Lの任意性を考慮して,

dkx∧dky=(π2/S)dm∧dn,

 

すなわち,半径kとk+dkの間の波数kの個数は

(πkdk)(S/π2)となって,Sだけに依存し形状には

依らない形になります。

 

このように,黒体輻射,あるいは,空洞輻射では,

空洞の「壁面の形状の多様性や面の乱雑さ」などが

あれば,無限に多様な乱反射のモードを持つであろう

という予測は誤りであり,そのモードの個数分布は

空洞の体積のみで決まり,それが離散的であるのは,

大きさ=体積が有限であるためであるということが

確かに云える,ことが証明できたと考える次第で

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