116. 弦理論

2016年5月15日 (日)

中性子の磁気モーメント(再掲載記事)

  閑話休題で,今から9年前の2007年7/25にアップした過去記事::

「中性子の磁気モーメント」を再掲載します。


  本ブ
ログは,2006年3/20に開始しましたが,,その年末に急に

心臓病になり2,007年4月には順天堂大で心臓バイパス手術を

受けて,そのため職も失なって,静養中の,ヒマばかりはあった頃

です。

,

 この頃は,せせと毎日のように張り切ってブログを書き,記事のネタ

にもいろいろと苦労していた磁気で,唐突に,学生時代を思い出して,

素粒子論のカラークォーク模型に基づいて,陽子と中性子の磁気

モーメントの評価をするというテーマの記事を書いたのでした。

  これは,丁度,今化学記事として進行中の「強い相互作用(湯川相互作用)」

の強い相互作用による核子の電磁構造の変化というテーマにピッタリの

話題のこの磁気を思い出したのでで,全文を再掲載しておきます。

 まあ,一種の手抜きですネ。

(※↓以下は,過去記事の丸写しです。)

 今日は昔の学生時代を思い出して少し素粒子論を復習してみよう

と思います。

 
現在ではハドロン(Hadron)を構成するクォーク(Quark)の

フレーバー(Flavor)の自由度は,2種類ずつ3世代あって,

アップ(up),ダウン(down);チャーム(charm),ストレンジ

(strange);ボトム(bottom),トップ(top)の6種類があると

されていますが,

 "核子=陽子p or 中性子n"を構成するだけなら,

"アップ=u"と"ダウン=d"の2種類だけで十分です。

 

 核子と,その核力を媒介する主要な粒子であるπ中間子を

uとd,あるいはこれらの反粒子の複合粒子として記述する

には,2次元特殊ユニタリ群:SU(2),すなわち,アイソスピン

(Isotopic spin;荷電スピン)の群の表現を考えるだけで

十分です。


 
"核子=陽子p or 中性子n"は,uとdの3体で構成される

バリオン(Baryon;(重粒子)であり,スピンが1/2のFermi粒子

(Fermion)です。

 
そして素電荷eを電荷の単位とすると,陽子pは電荷が1

であり,中性子nは,電荷がゼロである,ということによって

特徴付けられています。

 そして電荷をQ,アイソスピンベクトルを,バリオン数をBと

すると,Q=I3+B/2という等式が成立します。

 核子はそのアイソスピンがI=1/2で,陽子はI31/2,中性子

はI3=-1/2の固有状態です。

 
ただし,ストレンジネス(Strangeness):Sまで考慮に入れると,

Q=I3+Y/2;Y≡S+Bとなります。

 Yはハイパーチャージ(Hyperchage)といわれる量です。

 私くらいの世代の学生時代なら,丁度卒業の頃くらいにチャーム

(Charm)を与える(J/ψ)粒子が発見されたわけですから,わかって

いたのはこの程度までです。

 
ちなみにスピンがゼロの擬スカラー粒子であるπ中間子に

 ついては,B=0,I=1であり,π±0は,それぞれ,

 I3=±1,0 の固有状態です。

 一般に各素粒子はユニタリ群の既約表現の1つ1つに対応

 していて,超選択則(Superselection rule)により,崩壊現象

 を除けば異なる既約表現間の遷移は禁止されていると考え

 ます。

 一方,クォークu,dのスピンは1/2で,それらの電荷Qは,

 eを単位として,それぞれ,2/3,-1/3です。

 ということは,B=1/3なので,Q=I3+B/2からu,d

 のアイソスピンはI=1/2で,それぞれはI3がI31/2,

 -1/2の固有状態であるとしてよいことがわかります。

 
SU(2)群の2次元基本表現を表わすクォーク3体で構成される

 複合粒子=核子について,3体が合成された直積表現の既約表現へ

 の分解は, 2×2×2=2+2+4 となります。

(因みにストレンジネス:Sまで含めたSU(3)だと,

3×3×3=1+8+8+10 になります。)

 

さて,まず,2体での既約分解が,2×2=1+3となるのは

自明です。

 

つまり,Tij=T[i,j]+T{i,j};T[i,j]1/2(ij-Tji)(反対称=1)

{i,j}1/2(ij+Tji)(対称=3) ですね。

 
そして,2×2=1+3 から,さらに3体では,

2×2×2=(1+3)×2=2+(2+4)という既約分解

を得ます。

 
まず,右辺の最初の2はアイソスピン 0 と 1/2を合成して

アイソスピン 1/2を作ることに相当します。


 次の2はアイソスピン1と1/2を合成してアイソスピン1/2を

つくることです。

 

右辺の最後の4はアイソスピン 1と1/2を合成してアイソスピン

3/2をつくることに相当します。

 
アイソスピン3/2はTijkを完全対称にすることで得られますから

[i,j,k]です。

 このテンソルの成分の数はi,j,k=1,2の全ての組み合わせ

の数,つまり,2個から重複を許して3個を選ぶ組み合わせ

なので確かに4個あります。

 
これは核子ではなくて,π-pあるいはπ-n共鳴であり,

質量が,およそ,1230MeVのΔ粒子(デルタ)を表わしています。 

一方,2×2×2=2+(2+4)の右辺の最初の2はT[I,j]k,

すなわち,(1/2)(121-T211)と(1/2)(122-T212)を表わして

います。

よって右辺の残りの2はT{I,j}K[I,j,k]で与えられます。

これらのゼロでない独立な成分は,(1/3)(2112-T121-T211)

(1/3)(2221-T212-T122)の2つです。

そして,陽子pと中性子nは,この最後に示した方のI31/2,

-1/2の既約表現に対応するとされています。

 
これらはu,dという記号をそのままu,dを示す状態の波動関数

として表現すれば,規格化も含めて,

p=(1/6)1/2(2uud-udu-duu),

n=(1/6)1/2(2ddu-dud-udd)

となります。

 
ところで,こうした理論によるとアイソスピンとスピンが共に3/2

Δ++ 粒子において,スピン成分がsz=+3/2の状態は,

Δ++=u↑ となります。

 

これはフレーバー自由度,スピン自由度について共に

完全対称です。

 
ハドロンのクォークによる複合粒子としての表現が"軌道角運動量

がゼロの基底状態=S状態"で与えられるという仮定によれば,

Δ++はクォークの交換に対して位置座標の交換を含めて完全対称

な状態関数で表現されることになります。

 
しかし,これはFermi統計,つまり多粒子系の状態はFermi粒子の

交換に対して反対称であるべきである,という要請に矛盾します。 

そこで,実際の理論では,もう1つ別の自由度であるカラー(Color)

というものを導入し,カラー自由度については1重項(無色:Singlet)

であること,つまりクォークの交換についてカラー自由度について

完全反対称の状態にあるとして,この矛盾を解消しています。

そこで,今問題としている陽子:

p=(1/6)1/2(2uud-udu-duu)と,

中性子:n=(1/6)1/2(2ddu-dud-udd)

について考えると,これらは1番目と2番目のクォークの交換

について対称です。

 
しかし,カラー自由度については完全反対称ですから,スピン

の自由度についても1番目と2番目のクォークの交換について

対称であることが要求されます。

そこでスピン1/2に対する回転群SU(2)の既約表現についても

同じ変換性を持つ表現で,

|↑>=(1/6)1/2(2↑↑↓-↑↓↑-↓↑↑)と,

|↓>=(1/6)1/2(2↓↓↑-↓↑↓-↑↓↓)

を採用します。

陽子のスピンアップ状態としては,

(1/6)(2uud-udu-duu)(2↑↑↓-↑↓↑-↓↑↑)

と表現すればいいのでは?と推測されます。

そこで,結局アイソスピンとスピンの両方を考慮したとき,

クォークの交換に対して完全対称でなければならないこと

から,

|p>=(1/18)1/2[uud(2↑↑↓-↑↓↑-↓↑↑)+cyclic]

=(1/18)1/2[2u-u-u)+cyclic]

と表現さるべきであることが結論されます。

 
同様に,

|n>=(1/18)1/2[ddu(2↑↑↓-↑↓↑-↓↑↑)+cyclic]

=(1/18)1/2[2d-d-d)+cyclic]

です。

 
これらはかつて流行したことのあるフレーバー・スピン対称性;

SU(6)の対称な,56重項既約表現に対応するものです。

 余談ですが,このSU(6)というのは,対称性の帰結として

角運動量保存則が従う現実世界が等方的であるという性質,

つまり現実の空間での回転群:SU(2)~SO(3)というスピン

角運動量に関わる対称性と,フレーバーという内部空間,

アイソスピンならアイソ空間(荷電空間)での回転対称性

を含むSU(3)のフレーバー対称性を合成したものです。

 こうした現実空間と仮想内部空間を混合した対称性

というのは,非相対論で成り立つ近似的なものです。

 
こうした混合対称性は相対論まで含めた4次元時空という

実空間に対しては厳密には成立し得ないことが定理として

証明されています。

,

ただし,例外があって超対称性は,この限りではありません。
(※ワインバーグの「場の量子論」邦訳第5巻参照※)

 クォークは電子などのレプトン(Lepton;軽粒子)と同じく,

構造を持たないスピンが1/2の素粒子なので,その磁気回転比

gは,g=2で近似することができます。

そこで,クォークで構成された複合粒子の磁気モーメント

(磁気能率)をμとし,電荷を持つ構成粒子によって,これを

評価すると,μのz成分は,

 μzΣi{eic/(2Mi)}(liz+giz)

なる式で与えられると考えられます。

 

ここで,ei,Mi,i,iは,それぞれi番目の構成粒子の電荷,

質量.軌道角運動量,スピンです。

 また,h
c≡h/(2π)で,hはPlanck定数,cは光速です。

iz=σi3/2と書き,dの質量とuの質量は等しい:M~ Mu

とすると,

μz|p>=ehc/(2Mu)(1/18)1/2

[{(10/3)u(1/3)u(1/3)u}

+{(10/3)u(1/3)u(1/3)u}

+..] となります。

したがって,普通に,状態の期待値として陽子pの磁気モーメント:

μpz=<pz|p>を計算すれば,
 μ
pz{ehc/(2Mu)}×3×(1/18)×[(5/3)×4+(-1/3)+(-1/3)]

=ehc/(2Mu) が得られます。

 

同様に,中性子nでは,

μnz=<nz|n>={ehc/(2Mu)}×3×(1/18)

×[(-4/3)×4+(2/3)+(2/3)]=(-2/3){ehc/(2Mu)}

が得られます。
 

したがって,理論的には,中性子と陽子の磁気モーメントの

として,μn(-2/3)という結果を得ます。

 実験によると,Bohr磁子μB=ehc/(2mp)を単位として,

核子の磁気モーメントは,陽子pがおよそ2.79で,中性子nが

-1.91であることが古くからわかっています。

 
つまり,μp 2.79μBn ~ -1.91μB です。

 
実測値でも,中性子と陽子の磁気モーメントの比は,

μnp ~ -1.91/2.79 ~ (-2/3)で与えられること

になります。

それ故,先の理論的考察は実験事実を正しく評価しています。


 
普通,電荷を持たない物体では角運動量があっても,電流がない

ので磁気モーメントはゼロですから,これは中性子が総体として

の電荷はゼロでも,内部に電荷密度の分布を持つ構造がある証拠

を与えると考えられます。

さらに,μp がBohr磁子μB2.79倍であることが,陽子の質量:

pがクォークの質量:Mu  ~ udの~2.79倍程度であることを

示唆していると考えるなら,up,downクォークの質量が,

u ~ Md 330MeV程度であろうというクォーク質量の推定値

も得られます。

 参考となる書籍が,徒歩では行けないちょっと離れたトランク

ルームにあり,おまけに風邪で外出もままならないので,

ほとんど記憶に頼って計算したため,合理的な結果を得るまで,

かなり計算間違いを繰り返して苦労しました。

参考文献:S.Weinberg著(青山秀明他共訳)「場の量子論5」

(超対称性;構成と超対称標準模型)(吉岡書店)

(※以上,再掲載記事でした。)

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2010年1月30日 (土)

超弦理論(27)(2-16)(no-ghost theorem)

 ずいぶん,久しぶりですが,超弦理論(superstring theory)の続きです。

10年以上前に作った自分のノートを転載しているだけなんですが,ただの単純な書き写しでは却って疲れるので内容を吟味しながら書いています。

 

すると忘れていたり間違っていたりを発見して思いがけず写すという作業以外に時間を取られたりします。

さて,このシリーズのすぐ前の2009年12/13の記事「超弦理論(26)(2-15)」では,DDF状態|f>=-n1i1-n2i2..-nkik|0,p0>に対して|{λ,μ},|f>≡L-1λ1-2λ2..L-mλm-1μ1—2μ2...K-nμn|f>で定義される状態が26次元フォック空間(Fock space)の基底(basis)をなすという事実を見ました。

今度はこの結果を用いて1つか2つの更なるツールを収集した後,"ゴースト非存在の定理(no ghost theorem)"を証明します。

まず,を"擬似状態(spurious state)"の作る空間とします。

2009年4/13の記事「超弦理論(19)(2-8)」で見たように,擬似状態|s>はある|χ1>,|χ2>に対して|s>=L-11>+L-22>のように書ける状態と同じです。

 

これは,|s>=L-11>+L~-22'>,L~-2≡L-2+(3/2)L-12とも表現されます。

(訳注60):以前の記事「超弦理論(19)(2-8)」では擬似状態の定義を次のように与えました。 

すなわち,任意の状態:|φ>は,拘束条件としてLm|φ>=0 (m>0),かつ(L0-a)|φ>=0 を満たすなら物理的状態(physical state)であると言われます。

一方,(L0-a)|ψ>=0 に従う状態|ψ>があらゆる物理的状態|φ>と直交するとき,すなわち,|ψ>が全ての物理的状態|φ>に対して<φ|ψ>=0 を満たすなら|ψ>は擬似状態であるといわれます。

 

(訳注終わり)※

 

|s>=L-11>+L~-22'>,L~-2≡L-2+(3/2)L-12なる型の状態はゼロノルム状態を構成する過程から現われた結合です。

 

そして,この右辺でL-2の代わりにL~-2を用いることのメリットは後で明らかになります。

さて,擬似状態の作る空間に対し,それと直交する空間Πn=1-nμn|f>の形の状態から作られる空間とします。ここで|f>はDDF状態です。

超弦理論(26)(2-15)」で与えた|{λ,μ},|f>≡L-1λ1-2λ2..L-mλm-1μ1—2μ2...K-nμn|f>の型の任意の状態は,右辺の陽な展開の中にいくつかLを持つ擬似状態か,それとも全くLを持たずに属するかのいずれかです。

そして,この|{λ,μ},|f>がフォック空間の基底をなすことを前記事で示したので,∀|φ>∈は|φ>=|s>+|k>;|s>∈,|k>∈と書けることがわかります。

  

これは基底の定義によって,任意のの元|φ>はまたはの元である|{λ,μ},|f>の線形結合で与えられるからです。

|{λ,μ},|f>は一次独立なのでこの分割表現:|φ>=|s>+|k>は一意的(unique)です。それ故,|φ>がL0の固有状態なら|s>と|k>のそれぞれもL0の同じ固有値に属する固有状態です。

 

特に,もしも(L0-1)|φ>=0 なら(L0-1)|s>=0,かつ(L0-1)|k>=0 です。

(訳注61):(証明):|φ>=|s>+|k>(|s>∈,|k>∈)であって,かつ|φ>がL0の固有状態,すなわちL0|φ>=c|φ>ならL0|s>+L0|k>=c(|s>+|k>)です。

一方,アノマリーを含むヴィラソロ(Virasoro)代数:[Lm,Ln]=(m-n)Lm+n+(D/12)(m3-m)δm+n,および交換関係:[Km,Ln]=mKm+nから,[L0,Ln]=-nLn,[L0,Kn,]=-nKnなので0|s>∈,かつL0|k>∈です。

そこで,L0|φ>=c|φ>のの元との元への分割表現L0|φ>=L0|s>+L0|k>=c|s>+c|k>の一意性によってL0|s>=c|s>,かつL0|k>=c|k>です。(証明終わり) (訳注終わり)※

さて,|φ>=|s>+|k>(|s>∈,|k>∈)が物理的状態であって,それ故,Lm|φ>=0 (m=1,2,..)を満足するします。また,|φ>は(L0-1)|φ>=0 にも従います。(a=1に対応) そこで(L0-1)|s>=0,かつ(L0-1)|k>=0 です。

このとき,|s>と|k>もまた物理的状態で,Lm|s>=0 かつLm|k>=0 (m=1,2,..)に従うことを証明します。

実はこれは,m=1とm=2について成立することが示されれば十分です。何故なら,m>2のLmは全てL1,L2の交換子の繰り返しから得られるからです。

(訳注62):実際,ヴィラソロ代数:[Lm,Ln]=(m-n)Lm+n+(D/12)(m3-m)δm+nによりL3=[L2,L1]なので,もしもL1|s>=0,L2|s>=0ならL3|s>=[L2,L1]|s>=0 です。

 

 さらに,L4=2[L3,L1],=2[[L2,L1],L1]より,L4|s>=0,も得られます。以下はこれの繰り返しです。(訳注終わり)※

そしてまた,先に述べたように,任意の擬似状態|s>∈はある|χ1>,|χ2>に対して|s>=L-11>+L~-22>,L~-2≡L-2+(3/2)L-12と表現されます。

まず,(L0-1)|s>=0 からL01>=(L0+1)|χ2>=0 が導かれます。

(訳注63):記事「超弦理論(19)(2-8)」を見ると,次のようなことも書かれています。

 

 "任意の擬似状態|ψ>は(L0-a+n)|χn>=0 に従う状態|χn>を用いて|ψ>=Σn>0-nn>と表わすことができます。

 

 そして,これは(L0-a+1)|χ1>=0,(L0-a+2)|χ2>=0 に従う状態|χ1>,|χ2>を用いて|ψ>=L-11>+L-22>の形に表現できます。

 

 さらに,(L0-a+2)|χ2~>=0 を満たす|χ2~>を用いて|ψ>=L-11>+L~-22~>とも表現されます。"

 

 と書かれています。

 

今の場合は,a=1としているので,これはL01>=0,(L0+1)|χ2>=0,かつ|s>=L-11>+L~-22>を意味します。

 

それ故,L01>=0 ,(L0+1)|χ2>=0 は最初から仮定されていますから証明の必要なしです。(訳注終わり)※

 

次に,m=1に対してLm|s>=0 かつLm|k>=0 を証明するためにL1|φ>=0 からのL1|s>+L1|k>=0 に着目します。

ここで,L1|s>=L1(L-11>+L~-22>でL1|k>=L1Πn-nμn|f> (|f>はDDF状態)です。

 

このとき,1|s>も擬似状態であり,L1|s>=L-11>+L~-22>と書けることがわかります。

(訳注64):実際,1-11>=(2L0+L-11)|χ1>=L-111>,L1L~-22>=(3L-1+3L0-1+3L-10+L~-21)|χ2>={6L-1(L0+1) +L~-21}|χ2>=L~-212>です。

そこで,1>≡L11>,|η2>≡L12>と置けばL1|s>=L-11>+L~-22>と書けます。

さらに,L01|s>=(-L1+L10)|s>=L1(L0-1)|s>=0 よりL1|s>もL0の固有状態です。(訳注終わり)※

また,L1|k>=L1Πn-nμn|f>(|f>はDDF状態)であり,DDF状態は物理的なのでL1|f>=0 であること,および交換関係[m,Ln]=mKm+nを用いると,L1|k>∈なることがわかります。

それ故,等式 0=L1|s>+L1|k>は 0 のへの一意的な分割表現を意味します。そこで,L1|s>=L1|k>=0 と結論されます。

後は,L2|s>=L2|k>=0,またはL~2|s>=L~2|k>=0 を証明するだけですが,これはL1|s>=L1|k>=0 を得た論旨を一般化すれば得られます。

 

※(訳注65):(証明)まず,L~2|φ>=0 から,L~2|s>+L~2|k>=0 に着目します。

~2|s>=L~2(L-11>+L~-22>で,L~2|k>=L~2Πn-nμn|f>(|f>はDDF状態)です。L2-11>=L-121>は容易に得られます。

一方,L~2L~-22>={D/2+13L0+18L0(L0+1)+18L-11(L0+1)|χ2>+L~-2L~22>=(13L0+D/2)|χ2>+L~-2L~22>ですが,D=26なのでL~2L~-22>=L~-2L~22>を得ます。

よって,1>≡L~21>,|η2>≡L~22>と置けばL~2|s>=L-11>+L~-22>と書けます。L~2|s>∈ですね。

また,L~2|k>=L~2Πn-nμn|f>とL~2||f>=0,および交換関係[m,Ln]=mKm+nから,L~2||k>∈なることがわかります。

それ故,結局 0=L~2|s>+L~2||k>は 0 のへの一意的な分割表現を意味するため,L~2|s>=L~2|k>=0 を得ます。(証明;訳注終わり)※

 

以上から,任意の状態:|φ>=|s>+|k>∈(|s>∈,|k>∈)について,もし|φ>が物理的状態なら|s>は擬似状態であると同時に物理的状態であり,|k>も物理的状態であることが示されました。

今や"ゴースト非存在の定理(no-ghost theorem)"は,ほぼ我々の手中にあります。

擬似状態についての以前の論議から物理的かつ擬似である状態はヌル(null)でありあらゆる物理的状態と直交することを知っています。それ故,<s|s>=<s|k>=0 です。

したがって,<φ|φ>=<s|s>+<s|k>+<k|s>+<k|k>=<k|k>となります。

ところで,|k>∈のノルムが常に非負であること,すなわち<k|k>≧0 であることは容易に示すことができます。

の任意の状態|k>は|k>=|f>+ΣαΠ'-nμnα|fα>と書くことができます。ただし|f>,|fα>はDDF状態です。

 

ここで,積記号:Π'におけるプライム(prime):"'"はK-nμnα(n=1,2,..,∞)におけるK-nのべきμnαが全てゼロであるような状態を除くことを意味します。 

この表現式を改めて|k>=|f>+|k~>;|k~>≡ΣαΠ'-nμnα|fαと書くと,DDF状態の性質から<k~|k~>=<f|k~>=0 です。

 

何故なら,前記事で述べたように,|f>がDDF状態ならn>0 に対してKn|f>=0 が成り立ちます。

 

そして,[Km,Kn]=0 なので<fβ|Π'mμmβΠ'-nμnα|fα>=<fβ|Π'-nμnα,Π'Kmμmβ|fα>=0,<f|Π'-nμnα|fα>=0 となるからです。

それ故,<k|k>=<f|f>≧0 です。ただしDDF状態では<f|f>=0 ⇔ |f>=0 です。

 

既に,<φ|φ>=<k|k>なることがわかっているので,これで任意の物理的状態|φ>が常に非負のノルムを持つことが証明されました。

したがってフォック空間の部分空間である物理的ヒルベルト空間(physical Hilbert space)にはゴースト(ghost)は存在しないことが示されました。

実際には,より強い命題をも示すことができます。 

すなわち,"任意の物理的状態:|φ>はDDF状態|f>と「擬似物理的状態」:|s>の和として|φ>=|f>+|s>と表現される。"という命題です。 

実際,交換関係:[Lm,Kn]=-nKm+n,およびm>0 の全てのLmはDDF状態|f>,|αを消滅させるという事実を用いると,|k>=|f>+|k~>が物理的なら|k~>0 なので|k>=|f>なることを容易に示すことができます。

 

※(訳注66):(証明):m>0 のとき,|k>=|f>+|k~>が物理的ならm|k>=0 ,かつm|f>=0 です。

 

そこで,m>0 のとき,Lm|k~>=ΣαΠ'm-nμnα|fα>=0 でm-nμnα|fα>は1次独立なので,m-nμnα|fα>=0 です。

m=nとすると,n-nμnα|fα>=cnα0μnα|fα>より,Π'nμnα-nμnα|fα>=c0λ|fα>=0 です。

 

そして,0=-k0α0=-k0(定数)ですから,任意のαについて|fα>=0 です。したがって,|k~>=ΣαΠ'-nμnα|fα>=0 が得られます。それ故,|k>=|f>となります。(証明;訳注終わり)※

 

この|k>=|f>と分解:|φ>=|s>+|k>から物理的状態に対して,|φ>=|f>+|s>なる表現が得られるわけです。

ここでの余分な擬似物理的状態:|s>の存在は一見すると厄介なもののように見えます。しかし,実際には弦(ひも)理論が興味深い理由と密接に関係しています。

 

つまり,変換:|f>→|f>+|s>がゲージ変換の弦理論におけるアナロジーとなっているからです。

今日は,曲がりなりにもボーズ弦(Bosonic string)のD=26次元の背景空間における"ゴースト-非存在の定理(no-ghost theorem)"の証明が完了したことに満足してここで終わります。

参考文献:M.B.Green,J.H.Schwarz,& E.Witten著「superstring theory」(Cambridge University Press)

  

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2009年12月25日 (金)

超弦理論(26)(2-15)

現在,計算中の問題の解釈等にかなり手間取っているので,ツナギとして超弦理論(superstring theory)の続きを書きます。

D次元振動子モードαnによって創られる状態空間全体を物理的空間とすることは望ましくありません。それは負ノルムを持つゴースト状態を含むからです。

そこで,前回は物理的状態の条件を満たす正ノルムの横波状態,すなわちDDF状態を作る方法を紹介しました。

そして,miの代数の横波振動子αmiのそれへの同型性から,Amiの作る部分空間の次元が(D-2)次元振動子に特有のそれであることは既に明らかです。

そこで,次に示すべき仕事は,この部分空間に直交する成分によって張られる状態の性質を明らかにすることです。

実際,以下ではDDF状態が本質的にa=1のとき,26次元(D=26)で,あらゆる物理的状態を網羅し,それ故,a=1,D=26ではそれの作る物理的状態には負ノルムの状態がないことを証明する予定です。

これはBrower,およびGoddard & Thorn によって初めて証明されましたが,以下では最近Thoneによって導入された議論の簡単化をも組み込んだものを論じます。

D≦26,a≦1に対してゴーストがないということはD=26,a=1に対する結果の簡単な系です。例えば26次元の物理的状態の部分空間としての25次元空間にゴーストがないことは明らかです。

DDFオペレータで用いられる運動学的形態の考察を続けます。

もしも,今考察中の"許される状態"の中に全くゴーストが存在しないなら,共変定式化のローレンツ共変性の故に物理的ヒルベルト空間でのゴースト非存在が保証されます。

をDDF状態全体で作られる空間とし任意のDDF状態を|f>と書くことにします。

そして,オペレータKmをKm≡-k0αm=-kαmμで定義します。ただし,k0はDDF状態を作る際に導入された光的(k02=0)ベクトル:k0=-1,k0=k0i=0 です。

これらのオペレータは交換子代数[Km,Ln]=mKm+n,[Km,Kn]=0 を満たすことも容易にわかります。

実際,開弦ではmμnν]=-mδm+nημνで,Ln=(-1/2)Σk=-∞αn-k,μαkμなので,[Km,Ln]=(1/2)kmμ,Σk=-∞αn-k,ναkν]=-mk0αm+n=mKm+n,[Km,Kn]=k02δm+n=0 です。

そこで,|f>∈,すなわち|f>がDDF状態ならn>0 に対してKn|f>=0 が成り立ちます。

(※:n=0 のときのK0は,ただのc-数でK0=-k0α0=-kα0μ=-kμ,かつpμ=p0μ-Nk0μです。

 

つまり,0|f>は単に|f>の定数倍でK0|f>=0|f>=k00|f>=(-1)|f>≠0 です。)

 

※(訳注59):n>0,m>0 のとき,A-mi=(2π)-10id(τ)exp{-imX(τ)}dτより,[Kn,A-mi]=-k(2π)-10dτexp{-imX(τ)}[αnμid(τ)]です。

 

id(τ)=pi+Σk≠0αkiexp(-ikτ)よりn>0 では,αnμ,Xid(τ)]=-nα-niημiexp(inτ)でk0i=0 ですから,[Kn,A-mi]=-nk0i(2π)-10exp{-imX(τ)+inτ}dτ=0 です。

 

DDF状態:|f>は|f>=ΣkΣn1,n2,..nk{c(n1,n2,..nk)A-n1i1-n2i2-nkik|0,p0>}なる形で与えられますが,n>0 ではn|0,p00 なのでKn|f>=0 です。

次にDDF状態:|f>に一連の演算子-n,L-mを作用することによって作られる状態を調べたいと思います。

これらを,|{λ,μ},f>≡L-1λ1-2λ2..L-mλm-1μ1—2μ2...K-nμn|f>と定義します。さらに,後の便宜のためにP≡Σrrλr+Σsμsなる値を定義しておきます。

|{λ,μ},f>の表式において演算子L-rの順序はrが左から右に向かって増加するように取ると規定します。

 

これは任意な選択のうちの1つですが,一般にLは交換しないので規約を与えて固定することは重要です。

そして全てのK-sはL-rの右に来るように選びました。このとき任意のPに対して,これらの状態|{λ,μ},f>は1次独立であることを証明することができます。

以下証明です。

(証明) まず,Thoneによる現代的扱いに従って与えられたPの値での状態の内積の行列 Pを考えます。

すなわち,各P値について行列要素が P{λ,μ};1{λ',μ'}≡<f|Knμn..K1μ1mλm..L1λ1-1λ1'..L-mλm'-1μ1'...K-nμn'|f>で与えられる行列Pを定義します。

 

ただし,Σrrλr+Σsμs=Σrrλr'+Σsμs'=Pです。

これらの行列要素は先に得られている交換関係,[Lm,Ln]=(m-n)Lm+n+A(m)δm+nおよび,[Km,Ln]=mKm+n,[Km,Kn]=0を用いると状態:|f>についてのK0=-k0α0≠0,およびL0の値のみの関数と考えられます。

この行列 Pの行列式がゼロでないことを示せれば,与えられたPに対して|{λ,μ},f>≡L-1λ1-2λ2..L-mλm-1μ1—2μ2...K-nμn|f>が1次独立なことが言えます。

例えば,P=1に対しては 1の要素は 1{1,0};{1,0}=<f|L1-1|f>=2L0, 1{1,0};{0,1}=<f|L1-1|f>=K0=<f|K1-1|f>= 1{0,1};{1,0}, 1{0,1};{0,1}=<f|K1-1|f>=0です。

そこで, 1の行列式としては,確かにdet 1=-K02≠0を得ます。

そして,任意のPに対して Pがゼロでない行列式を持つことの一般的証明はこの行列の右上から左下への対角線の下の要素は全てゼロで対角線に沿ってはゼロでない要素ばかりから成る上三角行列の形に帰するという事実によって示されます。

つまり, Pの行列式は符号を除けばこの対角線上の要素の積で与えられますから,それが非ゼロとなることがいえるわけです。

そこで,実際に状態の適当な順序付けで行列がこうした上三角行列にできることを示すことができれば, Pの行列式det Pが常に非ゼロであることが証明できます。

P=2の場合には,|{λ,μ},f>における|{λ,μ}の適当な順序は(L-1)2,L-2,L-1-1,K-2,(K-1)2で与えられます。これらを|f>に作用させた状態の行列要素を評価するにはLとKをお互いに通過させて交換させます。

しかし,[Lm,Ln]=(m-n)Lm+n+A(m)δm+n,[Km,Ln]=mKm+n,[Km,Kn]=0なので,この操作では決してKの数を減らすことはできません。

ゼロでない行列要素を得るためには,<f|K-n=0 (n>0)によりKが|f>の共役状態を消すことを防ぐ必要がありますが,これには全てのKを因子0にするに十分なLが存在することが必要です。

なぜなら,任意のDDF状態の対:|f>,|f'>に対して,もしもn1=n2=..=nk=0でないなら,要素<f'|Kn1n2..nk|f>は必ず消えるからです。

そして,先のP=2の例:(L-1)2,L-2,L-1-1,K-2,(K-1)2のような配列が上三角行列の一般形を与えるのを見るのは容易ですから詳細は省略します。

これをより高い質量レベルへと一般化するやり方は次の通りです。

まず,最初にLの連鎖の組{λ}の順序を定義します。

すなわち,(ⅰ)Σrλr>Σrλr'(ⅱ)Σrλr=Σrλr'かつλ1>λ1',または(ⅲ)Σrλr=Σrλr'かつλ1=λ1',λ2>λ2'.etc.なら,{λ}>{λ'}であると定義します。

同様に,Kの連鎖の組{μ}の順序,{μ}>{μ'}についても同じ定義を与えます。

次に,LとKの結合した連鎖の組{λ,μ}の順序の規則を与えます。

(ⅰ){λ}<{λ'},または(ⅱ){λ}={λ'},かつ,{μ}>{μ'}なら{λ,μ}<{λ',μ'}であると定義します。

そして,行列 Pの要素の行と列をこの規則に従って昇順に並べると,右上から左下への対角線の下ではKを全てK0にするに十分なLが不足しているので到るところの要素がゼロとなり望ましい上三角行列の形が得られます。

 

しかも対角線に沿う要素は符号を除いてK0P≠0 なる行列式を与えることがわかります。

この計算は純粋に代数的でL-mやK-nの形には関係しません。一方, Pが特異行列でないという事実はK-nの存在に決定的に依存します。

 

ただし,L-mだけで作られる状態に対応する行列では行列式がゼロとなる特異性が生じます。

さらに,|f>,|g>を<f|g>=0を満たす任意の2つのDDF状態とします。また,この|f>,|g>は共にL0の固有状態であると仮定します。

そして,|f~>≡|{λ,μ},|f>,|g~>≡|{λ',μ'},|g>と定義します。すなわち,|f~>,および|g~>はそれぞれ|f>,および|g>にLやKの連鎖を作用させて得られる状態とします。

このとき,<f|g>=0 なら<f~|g~>=0 が成立することを示すことができます。

実際,|f~>,|g~>を陽に|f~>=L-1λ1-2λ2..L-mλm-1μ1—2μ2..-nμn|f>,|g~>=L-1λ1'..L-mλm'-1μ1'..-nμn'|g>と表現して<f~|g~>=<g|nμn'..1μ1'm1λm'..L1λ1'-1λ1-2λ2..L-mλm-1μ1—2μ2..-nμn|f>を作ります。

添字kが正のL-k,K-kを左の方にk,Kkを右の方に交換させていくと,結局<f~|g~>は単に<f|g>の倍数となることがわかります。

 

そこで,<f|g>=0 の仮定では<f~|g~>=0 がいえます。

こうして直交する|f>に基づく状態の塔同士が互いに直交することが示されました。

 

そして,既に,行列 Pの行列式を調べることによって与えられた|f>に基づく状態の塔は1次独立であることも証明しました。

こうして全てのDDF状態にわたる|f>と全てのLとKの連鎖にわたる{λ,μ}を持つ状態|{λ,μ},|f>=L-1λ1-2λ2..L-mλm-1μ1—2μ2...K-nμn|f>は,1次独立であることの証明が完了しました。(証明終わり)

状態:|{λ,μ},|f>が1次独立であるという命題とその証明は幾分技巧的なものですが,結果自体は驚くほど強力な道具になります。

このことから,ボソン弦のフォック空間における任意の状態は,|{λ,μ},|f>の形の1次結合で表現できることが導かれます。

これを理解することは,単純に状態数の勘定の問題に帰着します。

既に述べたようにフォック空間の任意の状態は振動子演算子αを用いてn=1Πρ=025-nρ)εn,ρ|0>の形に表現されます。

フォック空間の状態の総数は無限大ですが,N=-Σn=1Σρ=025α-nραρの与えられた固有値を持つ有限個の状態が存在します。

 

Πn=1Πρ=025-nρ)εn,ρ|0>の状態は,もちろん1次独立で,固有値:<N>=Σn=1Σρ=025nεn,ρを有するNの固有状態です。

一方,あるλnnn,iを使って|{λ,μ},|f>の1次結合の一般状態をΠn=1-nλn-nμnΠi=124(A-ni)βn,i|0>の形に書きます。

 

これもN=-Σn=1Σρ=025α-nραρの固有状態で,固有値として<N>=Σn=1{n(λn+μn,+Σi=124βn,i)を得ます。

なぜなら,[N,A-ni]=nA-ni,K-n=-k0iα-nより[N,K-n]=nK-n,です。また,[L0,L-n]=nK-n,L0=-(1/2)α02+Nから[N,L-n]=nL-nだからです。

得られた結果:<N>=Σn=1Σρ=025nεn,ρと<N>=Σn=1{n(λn+μn+Σi=124βn,i)を比較すると,両方の形で与えられたNに対する状態数が全く同じであることがわかります。

|{λ,μ},|f>の形の状態,およびΠn=1Πρ=025-nρ)εn,ρ|0>の状態は各質量レベルで共に1次独立で数も同じなので同じフォック空間の基底となる必要があります。

今日はここまでにします。

参考文献:M.B.Green,J.H.Schwarz,& E.Witten著「superstring theory」(Cambridge University Press)

 

PS: オノ・ヨーコ 素晴らしいですね!!

 

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2009年12月13日 (日)

超弦理論(25)(2-14)

 ずいぶん間があきましたが超弦理論(superstring theory)の続きです。

実は記事にも書いたように2009年6/1に最後の投稿をした後,6/8にPCがクラッシュしてしまいました。

 

そこで「超弦理論(25)」の原稿は途中まで出来上がっていましたが,それを含めてマシン上に保存してある(23),(24)の草稿も失いました。

幸いにして(23),(24)は既に投稿済みだったので原稿がブログに残りました。

 

しかし,(23),(24),(25)はボソン弦の背景空間の次元Dが26であるべきことを示すという佳境の部分でもあったので,このクラッシュで何故か続きを書く気力が失せてしまっていました。

まあ,ワープロでなく手書きの元のノートはあるので,久しぶりに弦理論について書きます。ほぼ半年ぶりですね。

古典的レベルでは共変的議論と光錐(光円錐)ゲージ(light-cone gauge)の関係は全く明瞭です。光錐ゲージは共形(conformal)なゲージ選択を十分に指定することで得られます。

しかし,量子的レベルでは2つの定式化の間の関連は明瞭さとは程遠いものです。これを明確にすることが以下の仕事です。

元の共変量子化については本シリーズ記事の「超弦理論(17)(2-6)」から「超弦理論(21)(2-10)」で展開しましたが,そこでは物理的状態が従うべきヴィラソロ条件(Virasoro condition)を定式化しました。

しかし,そのときはこうした条件に従う状態の一般的記述を与えることはできませんでした。

 

今想定しているゴールは,このギャップを埋めて全ての物理的励起状態を陽に構成することです。

 

特に,共変定式化が光錐ゲージ定式化と同等であることを明らかにします。既にこれまでの論議で光錐ゲージ定式化はある条件の下でゴースト・フリーであることが示されたので,この定式化の同等性を通して共変定式化に対しての「ゴースト非存在の定理(no-ghost theorem)」の証明が可能になります。

こうしたアプローチは,Del.Giadice,Di Veccia,Fubini(通称:DDF)によって開拓されました。

彼らは,ヴィラソロ演算子と交換し基底状態に続けて作用させることであらゆる可能な物理的状態を与えることができる演算子のセットを構成しました。これを「DDFの構成」と呼びます。

DDFの構成については以下で詳細に記述する予定ですが,これはスペクトルが生成する演算子のセット:{Ami}で与えられます。ここで上添字iは(D-2)個の横波添字にわたり下添字nは任意の整数です。

 

こうした演算子はαmμの横波成分と1対1対応にあり,弦の横波モードを記述します。

ヴィラソロの拘束は各nの値に対して1つの制限を与えます。そこでスペクトルが生成する代数が各nの値に対して(D-1)個の演算子を含む必要があると予期されます。

 

それ故,失なわれていた縦波演算子Amも理論に入ってきます。

まず,|0;p0>によって運動量p0μを持つ開弦のスペクトルのタキオン基底状態を記述します。これはa=1と取るとp02=-2の状態を意味します。

 

なぜなら,ヴィラソロ演算子の1つはL0=(-1/2)Σ-∞α-nαn=-α'p2-Σn=1α-nαnですが,p2|0;p0>=p02,かつαn|0;p0>=0により質量殻条件(mass-shell condition):(L0-a)|0;p0>=0,またはL0=aはα'p02=-aを意味するからです。α'=1/2です。

このタキオンは01,p0=-1,p0i=0 で記述される特別な運動状態にあると仮定します。これは確かにp02=2p00-Σi=1D-20i0i =-2を満足しています。

便宜上,1つのヌルベクトル(null vector)k0μをk0=-1,k0=k0i=0 で導入します。明らかにk02=2k00-Σi=1D-20i0i =0 を満たしノルムがゼロ(null)なので確かにヌルベクトルです。

そして,k00=k0+0-+k0-0-Σi=1D-20i0i =-1です。

2≡p2,N≡Σn=1α-nαnと置けば,L0=-α'p2-Σn=1α-nαn=-α'M2-N=a=1なので,質量Mがこれに従ってα'M2=N-1で与えられる場合,その運動量がpμ=p0μ-Nk0μで与えられる状態のみを調べてみます。

01,p0=k0=-1,p0i=k0i=k0=0 なのでpi=p0i-Nk0i=0,p=p0-Nk0=1,p=p0-Nk0=N-1ですから,p2=2p=2(N-1)です。

それ故,α'=1/2,M2=p2ならpμ=p0μ-Nk0μの粒子状態の質量Mは確かにα'M2=N-1を満たします。

そして,pμ=0 を除く任意の物理的粒子の運動量状態は条件:p0=1,p0i=0 に従う状態へとローレンツ変換され得ます。

すなわち,この条件はp0i=0 でかつ,p0=(p00+p0D-1)/21/2=1,p0=(p00-p0D-1)/21/2=N-1ですが,後者はp00=2-1/2N,p0D-1=2-1/2(2-N)を意味します。

これはエネルギーがゼロでなく,横成分はゼロの粒子という意味ですが4次元空間なら単に粒子の進行方向を3軸とする座標系を取るという意味に過ぎません。エネルギーゼロの状態でない限りこうした座標系選択は常に可能です。

「超弦理論(21)(2-10)」で与えたように,質量がゼロの開弦の頂点演算子:ξ(k,τ)はVξ(k,τ)≡-ξμ(dXμ/dτ)exp(-ikX)=-ξXdexp(-ikX)で定義されますがこれはスペクトルが生成する代数の構成に決定的役割を果たします。

 

この頂点演算子はμ(0,τ)のモード展開におけるpμτから生じる因子exp(-ikpτ)を除けば周期が2πのτの周期関数です。

もし整数nに対してkμ=nk0μを持つ質量ゼロのベクトル頂点のみを扱うなら,許される状態に作用するときには-kpが整数なのでexp(-ikpτ)もまた周期が2πのτの周期関数になります。

そうした状況では横偏極に対応する頂点演算子はVi(nk0,τ)=Xid(τ)exp{inX(τ)}(i=1.2,..D-2)です。ただしXμ(τ)はXμ(0,τ)の略記でありXid(τ)≡dXi(τ)/dτです。

これはヒルベルト空間Hの許された部分空間(つまり,{|M=0(J=1);k,ξ>:kμ=nk0μ}⊂H)の上ではτについて周期的なので,その部分空間の上では明確にフーリエ(Fourier)成分が定義できます。

すなわち,Ani≡(2π)-10i(nk0,τ)dτ=(2π)-10id(τ)exp{inX(τ)}dτと定義してこれを「DDFオペレータ(演算子)」と呼びます。

(訳注57):特に,光錐ゲージではX(τ)=X(0,τ)=X(σ,τ)=x+pτで今の場合p=p0-Nk0=1 なので,Xid(τ)=pi+Σm≠0αmiexp(-imτ)によりni(2π)-1exp(inx)0id(τ)exp(inτ)exp(inxniです。(α0i=pi)

それ故,DDFの定義したni光錐ゲージでVi(τ)=Σ-∞αni exp(-inτ)とフーリエ展開したときの係数=フーリエ成分の共変ゲージでのアナロジーになっています。※

DDFオペレータは2つの重要な性質を持ちます。それらは第1にはLnと交換するという性質です。そして,もう1つ以下に述べるような単純な代数に従います。

「超弦理論(20)」で紹介した共形次元の定義によれば,任意の演算子A(τ)が次元Jを持つための条件は[Lm,A(τ)]=exp(imτ){-i(d/dτ)+mJ}A(τ)が成立することです。

そこで,V(τ)がJ=1を持てば[Lm,V(τ)]=(-i)(d/dτ){exp(imτ)V(τ)}が成立します。

したがって,ni(2π)-10i(nk0,τ)dτの被積分関数が周期的であるような制限下では[Lm,ni]=-i(2π)-10[d/dτ{exp(imτ)Vi(nk0,τ)}]dτ=-i(2π)-1[exp(imτ)Vi(nk0,τ)]0からniは第1の条件[Lm,ni]=0 を満たします。

 

特に,これのL0条件から得られる系は[N,ni]=-nniです。

(訳注58)[L0,ni]=0 ですがL0=-p2/2+Σn=1α-nαn=-p2/2+N=-p+pii/2+Nですから,0=[L0,ni]=[N,ni]-p[p,Ani],つまり[N,ni]=p[p,Ani]です。

 

 そして,既に見たようにp=α0=(1/p){(1/2)Σm=-∞miα-mi:-a}でかつXid(τ)=pi+Σn≠0αniexp(-inτ)ですから,[p,Xid(τ)]=(1/p)[(1/2)Σm,nmjα-mjni]exp(-inτ)=(-1/pm≠0mαmiexp(-imτ)=(-i/p)dXid(τ)/dτを得ます。

  

 ni=(2π)-10id(τ)exp{inX(τ)}dτですから,p[p,Ani]=-i(2π)-10{dXid(τ)/dτ}exp{inX(τ)}dτ=-n(2π)-10id(τ)exp{inX(τ)}dτ=-nniです。

 

 それ故,[N,ni]=-nniなる式が得られます。

これらの条件:[Lm,ni]=0,[N,ni]=-nniから,|ψ>≡-n1i1-n2i2..A-nkik|0,p0>の形の任意の状態は,ヴィラソロ条件(Lm-aδm0)|ψ>=0 を満たしN=Σj=1kjを有することがわかります。

 

(つまり,(Lm-aδm0)|0,p0=0,N|0,p0=0 ,および[Lm-aδm0,ni]=0,[N,ni]=-nniから,(Lm-aδm0)|ψ>=0,N|ψ>=Σj=1kj|ψ>が従うわけです。)

 

niの代数を決定するためには非同時のτにおけるXid(τ)の交換子が要求されます。

 

これについては,モード展開Xid(τ)==pi+Σm≠0αmiexp(-imτ)=Σ-∞αmiexp(-imτ)を考えることにより,[Xid1),Xjd2)]=2πiδijδ'(τ1-τ2)が見出されます。

 

なぜなら,[Xid1),Xjd2)]=δijΣ-∞[m・exp{im(τ1-τ2)}=iδij[d/dτ{Σ-∞exp(-imτ)}τ=(τ1-τ2)であり,n→∞に対しΣm=-nn exp(-imτ)=sin{(n+1)τ/2}]/sin(τ/2)→ 2πδ(τ)となるからです。

 

そこで,非同時刻でもXはそれ自身やXiと交換することに着目すると,容易にniの交換子を計算できます。

 

すなわち,[mi,nj]=(2π)-20[Xid1),Xjd2)]exp{imX1)+inX2)}dτ1dτ2=(m/2π)δij[∫0dτ[X+d(τ)exp{i(m+n)X(τ))=mδijδm+nを得ます。

 

ここでX(τ)=x+pτ,p=1 を用いました。

この,[mi,nj]=mδijδm+nを見ると,mi代数は丁度横波振動子αmiのそれと同じであることがわかります。

 

((訳注57)で光錐ゲージではmi=-exp(imxmiとなることを示しました。そこでゲージ不変な理論であれば,Amiの交換関係とαmiのそれ:[αmi,αnj]=mδijδm+nが一致するのは当然です。)

 

niはまた実数性Ani+=Ani,およびn>0 に対してAni|0;p0>=0 なる性質=横波振動子αniと同一の性質を持ちます。

これらの事実はDDFオペレータを基底状態に作用させることによって得られる物理的状態:-n1i1-n2i2..A-nkik|0,p0>が全て正計量(正のノルム)を持ち,光錐ゲージにおいてタキオン状態に横波振動子を作用させろことから得られる状態と一致することを保証します。

こうした-n1i1-n2i2..A-nkik|0,p0>なる形で与えられる状態を「DDF状態」と呼びます。

 

我々は,既にD>26に対する物理的部分空間にはゴ-ストが存在することを知っています。そこで一般の次元Dに対してはniは物理的状態以外の全てのスペクトルを生成するわけではないはずです。

今日はここまでにします。

参考文献:M.B.Green,J.H.Schwarz,& E.Witten著「superstring theory」(Cambridge University Press)

 

PS:スパコン,スパコンとか騒いでいるけど,いくら演算スピードが速くても例えば天気予報とか地震予測とかカオス関係の数値シミュレーションの結果は,所詮,そのモデル(模型),つまり計算式や数値計算のアルゴリズムの優劣次第で決まります。

 

 乱流やカオスの予測の明確な計算法は未だ確立されてないはずです。

 極端な話,間違った方程式や解法で計算すれば,いくら演算速度が速かろうと意味ないです。

 

 円周率の計算にしたって,これはカオスじゃないので計算式自体が誤りということはありませんが,アルゴリズムや式の選択次第で計算速度は全く違います。

 

 ソフトがちゃんとしてなければハードがいくら速くても無意味なことが多いですね。

  

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2009年6月 1日 (月)

超弦理論(24)(2-13)

  超弦理論(superstring theory)の続きです。

 前回は,アノマリー(ゴースト)を生みだす可能性のある交換関係[Ji-,Jj-]が,[Ji-,Jj-]=-(1/p)2Σm=1m-miαmj-α-mjαmi)}なる形に表現できる,というところまで書きました。

 今日は,これの右辺の係数Δmの具体的な形を計算して,非共変な光錐ゲージを採用した場合も,弦理論がゲージ不変な理論として本質的にはローレンツ共変であるための条件:[Ji-,Jj-]=0 ,あるいはΔm=0 を満たすために,Dとaに課せられる条件を決定します。

 

 そのために,Ji-=li-+Ei-=xi-xi+Ei-,Jj-=lj-+Ej-=xj-xj+Ej-と分解して,各項ごとの交換関係を求めます。

 

 まず,[x,1/p]=i(p)-2です。

※(訳注53) 正準交換関係:[xμ,pν]=-iημνから,[x0,p0]=-i, [xD-1,pD-1]=i,かつ,[x0,xD-1]=[p0,pD-1]=[x0,pD-1]=[xD-1,p0]=0 です。

 

 そして,x=(x0-xD-1)/21/2,p=(p0+pD-1)/21/2ですから,[x,p]=-iです。よって,p[x,1/p]p=p-x=-[x,p]=iなので,[x,1/p]=i(p)-2を得ます。

 

さらに,[x,p]=i(p)-1です。

 

これは質量殻条件:M2=2p-Σk=1D-2kkにより,0=[x,p]=[x,p]p+p[x,p]=-ip+p[x,p]から得られます。(訳注53終わり)※

次に,Ej≡pj-によってEjなる量を定義すると,[xi,Ej]=-iEjjです。

※(訳注54)j=pj-=-ipΣn=1[(α-niαn-α-nαni)/n]=-iΣn=1[{1/(2n)}{α-nik=1D-2Σm=-∞n-mkαmk:)-(Σk=1D-2Σm=-∞n-mkαmk:)αnj}]です。

そして0k=pk故,[xi0k]=[xi,pk]=iδikでxiはこれ以外のαnkとは交換します。

 

jj-=-iΣn=1[{1/(2n)}{α-nik=1D-2Σm=-∞n-mkαmk:)-(Σk=1D-2Σm=-∞n-mkαmk:)αnj}]なので,[xi,Ej]では,右辺のΣm=-∞n-mkαmk:で,xiとαn-mkαmkが交換しないm=nとm=0 の項だけに着目します。

 

これから,[xi,Ej]=i×(-i)Σn=1[(α-njαni-α-niαnj)/n]=-iEijが簡単に得られます。(訳注54終わり)

以上から,[Ji-,Jj-]=-(p)-2ij,Cij=2ipα0ij-[Ei,Ej]-iEij+iEji-ipα0lijが得られます。

(訳注55)Ji-=li-+Ei-=xi-xi+(p)-1iですから,[Ji-,Jj-]=[xi,Ej]p(p)-1-[xj,Ei]p(p)-1+(p)-2[Ei,Ej]-[x,1/p]pij+[x,1/p]pji-xi[p,x]pj-xji[x,p]です。

これに,[x,1/p]=i(p)-2,[xi,Ej]=-iEjj,および[x,p]=i(p)-1を代入して最後にpをα0と書きます。

そうすれば,[Ji-,Jj-]=-2iEjj(p)-1α0+(p)-2[Ei,Ej]-i(p)-2ji+i(p)-2ij+i(p)-1α0jj=-(p)-2{2ipα0jj-[Ei,Ej] -iEij+iEji-ipα0jj}が得られます。(訳注55終わり)※

 

したがって,結局,[Ji-,Jj-]=-(p)-2ij=-(p)-2Σm=1m-miαmj-α-mjαmi)}です。

 

それ故,Cij=Σm=1m-miαmj-α-mjαmi)},かつCij=2ipα0ij-[Ei,Ej]-iEij+iEji-ipα0lijです。

ijの前者の表現と,[αminj]=mδijδm+n(i,j=1,2,...,D-2)により,簡単に<0|αmkijα-ml|0>=m2Δmikδjl-δjkδil)が得られます。

 

一方,pαn=Σn=1[(1/2){Σk=1D-2Σm=-∞n-mkαmk:-aδn}および,[αminj]=mδijδm+nから,[αnmi]=-mαm+ni/p,min]=mαm+ni/pを得ます。

そこで,<0|αmkijα-ml|0>=<0|{2m(m-a)δikδjl-mpjlδki+mpjkδil+(δkiαm-mΣn=1αm-nkαni)(mΣn=1α-njαn-ml-δjlα-m)|0>-(i⇔j)です。

以前の記事で計算したように,[pαm,pαn]=(m-n)pαm+n+[{(D-2)/12}(m3-m)+2am]δm+nですから,[pαm,pα-m]=2mpα0+{(D-2)/12}(m3-m)+2amです。

そして<0|pα0|0>=-aですから,特に(p)2<0|αmα-m|0>={(D-2)/12}(m3-m)が成立します。

 

また,p<0|αmΣn=1α-njαn-ml|0>=pjl+Σn=1m-1(m-n)δjl=pjl+δjlm(m-1)/2も成り立ちます。

さらに,p<0|αmΣn=1{(α-nkαn-mi)/n}|0>=pki+Σn=1m-1(m-n)δki=pki+δkim(m-1)/2,同様にp<0|αmΣn=1{(α-njαn-ml)/n}|0>=pjl+δjlm(m-1)/2です。

そして,<0|Σn=1m{(α-nkαn-mi)/n}Σp=1m{(α-pkαp-mi)/p}|0>=-(m-1)(δikδjl-δjkδil)です。

 

これらのことから,Δm={(26-D)/12}m-{(D-26)/12+2(1-a)}/mと書けることがわかります。

  

※(訳注56) 詳細な計算は,<0|αmkijα-ml|0>=2m(m-a)(δikδjl-δjkδil)-mpjlδki+mpjkδil+mpilδjk-mpikδjl-(δikδjl-δjkδil){(D-2)/12}(m3-m) mpjlδik+mpikδjl-mpilδjk-mpjkδil+δikδjlm(m-1)/2+δikδjlm(m-1)/2-δjkδjlm(m-1)/2-δjkδilm(m-1)/2+m2(m-1)(δikδjl-δjkδil)となります。

 

結局,m2Δmikδjl-δjkδil)=(δikδjl-δjkδil)[{(26-D)/12}m3-{(D-26)/12+2(1-a)}m]が得られるわけです。(計算の詳細はかなり省略しています。)(訳注56終わり)

 

したがって,最終的に[Ji-,Jj-]=-(1/p)2Σm=1m-miαmj-α-mjαmi)},Δm={(26-D)/12}m-{(D-26)/12+2(1-a)}/mなる詳細な表現が得られました。

 

そこで,[Ji-,Jj-]=0 ,あるいはΔm=0 を要求すると,予期したように,D=26,かつa=1が必要です。

短かいですが,今日はここまでにします。

参考文献:M.B.Green,J.H.Schwarz,& E.Witten著「superstring theory」(Cambridge University Press)

 

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2009年5月27日 (水)

超弦理論(23)(2-12)

 超弦理論(superstring theory)の続きです。

 

 ずいぶん間が空きましたが,またまた,超弦理論でツナギです。

 

 前記事の最後で述べたゼータ関数正則化の幾分発見的な手法の示すところは,光錐(light-cone)定式化のローレンツ共変性が,a=1,D=26なる条件を要求することでした。

 以下では,ローレンツ生成子Jμνの体系的研究により,こうした条件a=1,D=26が実際にローレンツ不変性にとって必要十分であることを厳密に証明します。

さて,D次元の"ローレンツ生成子=角運動量演算子":Jμνは以前に次の形で定義しました。  

すなわち「超弦理論(15)(2-4)」において,μν=lμν+Eμν,

μν=xμν-xνμ, Eμν=-iΣn=1[(α-nμαnν-α-nναnμ)/n]と定義しました。

今の,光錐ゲージではゲージがローレンツ不変でないので,座標へのローレンツ変換の効果はゲージに敏感なものでなければなりません。

変換の幾つかは,+方向を他の方向に回転し,そこでゲージ条件を復元するためには,再パラメータ化(これもゲージ変換です)を実行する必要があります。

 

これを補償再パラメータ化と呼びます。

ゲージ条件に影響する変換はJ+-とJi-によって生成されるはずです。そして,これらは潜在的にアノマリーを有する変換であろうと予期されます。

 

このアノマリーを相殺させることが,aとDにある種の制限を与えると予想されます。

 

残りの,ローレンツ生成子Jij(i,j=1,2,...,D-2)は,光錐ゲージの持つ明白な対称性であるSO(D-2)を生成する横波空間に関連したものです。

まず,任意の再パラメータ化ξα(σ,τ)を許しながら,古典論での座標への無限小ローレンツ変換に対する一般的表現を考えます。

 

これはδXμ(σ,τ)=aμνν(σ,τ)+ξα(σ,τ)∂αμ(σ,τ)です。ただし,ξαはゲージ条件hαβ=ηαβと両立するように制限されています。

この制限は,既に述べたように,ξαが∂αξβ+∂βξα=Ληαβを満足すべきことを意味します。 

一方,ゲージ条件X(σ,τ)=x+pτは,新座標系でもこれが保持されるために,δX=aνν+aνντ=aν(xν+pντ)に従って変換されることを要求します。

なぜなら,ゲージ条件X=x+pτはδX=δx+δpτなら保持されますが,δxμ=aμνν,δpμ=aμννより,δx=aνν,δp=aννですから,δX=δx+δpτはδX=aν(xν+pντ)を意味するからです。

一方,δXμ=aμνν+ξααμより,δX=aνν+ξ00+ξ10=aνν+ξ0δpです。

 

そこで,δX=aν(xν+pντ)はaνν+ξ0=aν(xν+pντ)=aνν(τ)となります。ただし,xμ(τ)≡xμ+pμτです。

したがって0=aν{xν(τ)-Xν(σ,τ)}/pによって変換のパラメータ成分ξ0が決まります。

 

そして,∂αξβ+∂βξα=Ληαβより∂0ξ1-∂1ξ0=0 ですから,ξ1=∫τdτ'(∂ξ0/∂σ)によりξ1も決まります。

これらの,座標Xνの1次関数であるξαの表現をδXμ(σ,τ)=aμνν(σ,τ)+ξα(σ,τ)∂αμ(σ,τ)に代入すると,非共変なゲージ固定を考慮したローレンツ変換の作用形式が得られます。

新しい重要な特徴はαがXνについて1次なので,aiを伴なうそうしたローレンツ変換が横座標Xiに非線形に作用することです。

 

量子論では,そうした双線形項はローレンツ代数でアノマリー源となる可能性があり,それを正規順序(normal-ordering)等で処理する必要があるかどうか?という繊細な争点を生み出します。

それ故,Jμν=lμν+Eμν,lμν=xμν-xνμ,Eμν=-iΣn=1[(α-nμαnν-α-nναnμ)/n]なる表現の生成子が,本当に正しくローレンツ代数:[Jμν,Jρλ]=iηνρμλ-iημρνλ-iηνλμρ+iημλνρを生成するかどうか?をチェックすることが重要になります。

交換子のほとんどは直線的にチェックできて,如何なるDに対しても正しい答を与えることがわかります。

しかし,Ji-の変換については注意が必要であると予期されます。

 

特に交換子:[Ji-,Jj-]はローレンツ不変性が成り立つなら消えてゼロとなる必要があります。しかし,特殊な制限下を除いてアノマリーに導きます。

(訳注51):[Jμν,Jρλ]=iηνρμλ-iημρνλ-iηνλμρ+iημλνρをが成立するとします。

 

 まず,Ji-=(Ji0-Ji,D-1)/21/2ですから,1≦i,j≦D-2 に対して[Ji-,Jj-]=(1/2)[Ji0-Ji,D-1,Jj0-Jj,D-1]=(1/2){[Ji0,Jj0]+[Ji,D-1,Jj,D-1]}となります。

 

(なぜなら,[Ji0,Jj,D-1]=[Ji,D-1,Jj0]=0 です。)

そして,[Ji0,Jj0]=-iη00ij=-iJij,[Ji,D-1,Jj,D-1]=-iηD-1,D-1ij=iJijです。

 

そこで,確かに[Ji-,Jj-]=0 となることが必要です。

 

(訳注51終わり)※

さて,光錐ゲージではEμ+=E+μ=0 です。

 

一方,Ei-はαnの光錐ゲージでの展開:αn=(1/p)[(1/2){Σi=1D-2Σm=-∞n-miαmi:}-aδn]を代入すると,横波振動子について3次式になります。

結果として,交換子[Ji-,Jj-]は6次ですが,高次の項は相殺されて,[Ji-,Jj-]=-(1/p)2Σm=1m-miαmj-α-mjαmi)}(係数Δmはc-数)なる形になり,振動子の2次の項で表わせることがわかります。

(訳注52):(証明)Ji-=li-+Ei-=xi-xi-iΣn=1[(α-niαn-α-nαni)/n], αn=(1/p)[(1/2){Σi=1D-2Σm=-∞n-miαmi:}-aδn],p=α0です。

そして,[Ji-,Jj-]=[li-,lj-]+[li-,Ej-]+[Ei-,lj-]+[Ei-,Ej-]です。

 特に,4つ以上の振動子を含んで6次の項となるのは交換子[Ei-,Ej-]です。

これは,[Ei-,Ej-]=-Σn,m=1({1/(nm)}[α-niαn-α-nαni-miαm-α-mαmi])=-(1/p)2Σn,m=1({1/(4nm)}[Σs=-∞Σk=1D-2-nin-skαsk:-:αn-skαsk: α-ni},Σt=-∞Σl=1D-2-mjm-tlαtl:-:αm-tlαtl-mj}]です。

 

これは,確かにαniの6次の項になります。

特に,[Ei-,Ej-]=-(1/p)2Σn,m=1({1/(nm)}[α-niαn-pα-nαni-miαm-pα-mαmi])と書きます。

既に,[pαm,pαn]=(m-n)pαm+n+A(m)δm+nであり[pαnmj]=-mαn+mj,or [αni,pαm]=nαn+miであることを知っています。

 

交換子の恒等式:[AB,CD]=A[B,C]D+AC[B,D]+[A,C]BD+C[A,D]Bを使用します。

そうして,具体的に[Ei-,Ej-]を計算すると,[Ei-,Ej-]=-(1/p)2Σn,m=1({1/(nm)}[mα-niαn-mjαm+(n-m)α-niαm+n-nα-miαm-njαm+pα-nnαn-miαmjp+

 

(m-n)pα-n-mαmjαni-pα-mmαm-njαni-α-ni{(n+m)pαn-m+A(n)δn-mmj+αniα-mmαn+mj

 

nαn+miαmjαn+pα-mαnnδm-nδij-nδn-mδijα-nαm-pα-nα-mjnαn+mi-mα-n-mjαmαni+αmj{(n+m)pαm-n+A(m)δm-nni])となります。

i-=-n=1[(α-niαn-α-nαni)/n]=(-i/2)Σn≠0[(:α-niαn:-:α-nαni:)/n]と書けるので,αnとα-nの順序を気にせずnと-nの変換が許されます。

 

また,n-m→-mなどの変換も,n,mが単なるパラメータなので許されます。

そこで,pαの添字をpαm+niをα-niにαjをα-mjにそれぞれ添字を統一すると,{-(p)2][Ei-,Ej-]=Σn,m≠0{(1/m)(pαm+nα-niα-mj+α-mjα-niαm+n-α-niαm+nα-mj-α-mjαm+nα-mj)}-Σn0{A(n)(α-niαnj-α-njαni)/n2]と書けます。

さらに,{-(p)2][Ei-,Ej-]=-Σn≠0{A(n)(α-niαnj-α-njαni)/n2]+Σn,m≠0{(n/m)(α-miαmj-α-mjαmi)}です。

 

よって,結局αniの高次の項は消えて2次の項だけが残りアノマリーの形も決まります。(まだ,正規順序を考慮していないのでこれで最終形ではありません。)

そこで,[Ji-,Jj-]=-(1/p)2Σm=1m-miαmj-α-mjαmi)}と書けるはずです。係数Δmはc-数です。

 

(訳注52終わり)※

短いですが,今日はここまでにします。

参考文献:M.B.Green,J.H.Schwarz,& E.Witten著「superstring theory」(Cambridge University Press)

 

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2009年5月 9日 (土)

超弦理論(22)(2-11)

 超弦理論(superstring theory)の続きです。

 

 これまでは共変ゲージαβ=ηαβで物理的状態になるべき補助条件としてヴィラソロ条件(Virasoro条件)を課して自由ボソン弦の量子化を調べてきました。

 しかし,以前に指摘したように計量(metric)をhαβ=ηαβと固定した後に,なお特殊な弦の座標選択を可能にするゲージ対称性が残っています。

 実際,特殊な非共変選択をすることによってヴィラソロ拘束方程式を陽に解き,物理的自由度のみを記述するフォック空間の理論を展開できるようになります。

 以下で述べる自発的に破れたゲージ理論のユニタリゲージに類似した定式化は元々1973年にGoddard,Goldstone,Rebbi,Thornによって展開されたものです。

 これは光錐(光円錐)定式化(light-cone定式化)と呼ばれるものです。この定式化は明白に共変なわけではありませんが明白にゴースト・フリー(ghost-free)です。

 

 逆に,ゴースト・フリーではないけれど明白に共変な共変定式化とこれの同等性を証明することによって,「ゴースト非存在の定理(no-ghost theorem)」の厳密な証明を得ることができます。

 光錐定式化を,ここで述べるのには他にも多くの理由があります。 

歴史的には,双対模型(dual model)が弦理論であるということを確立させたのも光錐量子化でした。

 

光錐描像は非常に物理的なものです。そしてまた,多くの計算やa=1,D=26という選択の必要性を理解する上で有益な理論的枠組みを与えるものです。

 さて,既に見たように,共変ゲージhαβ=ηαβで開弦の境界条件を満たす弦座標:Xμ(μ=0,1,..,D-1)は,Xμ(σ,τ)=xμ+pμτ+iΣn≠0[(αnμ/n)exp(-inτ)cos(nσ)なるモード展開の形で表わされます。

 そして,これがヴィラソロ補助条件T++=T--=0 を満足することにも留意しておきましょう。

 

 さらに,世界面の再パラメータ化:σα→σα+δσα (δσα=ξα)において,∂αξβ+∂βξα=Ληαβを満たす任意の変換,または生成子V≡ξ)(∂/∂σ),V≡ξ)(∂/∂σ)で生成される変換に対応するゲージ対称性が残っていることを見ました。

この残りの対称性を追加のゲージ条件として用いるわけです。これは非共変ですがとても便利なものです。 

まず,時空において光錐座標として,,X導入することから始めます。

 

,XをX≡(X0+XD-1)/21/2,X≡(X0-XD-1)/21/2で定義します。これらは,以前弦の世界面に導入した光錐座標σ±に似ていますが大きな違いがあります。

時空においては,D個の座標があり,それらの中で2つ,X0とXD-1を任意の非共変な方法で選抜することを伴ないます。

 

一方,世界面上では,元々たった2つしか座標がなく,σ±を定義する選択に何の任意性の余地もありません。

さて,光錐座標ではD個の時空座標はX±と残りの横波の空間座標Xi(i=1,2,..,D-2)です。

 

ここでミンコフスキー計量(Minkowski metric)ημνのゼロでない成分はη+-=η-+=1,ηii=-1 (i=1,2,..,D-2)です。

この座標系では,任意のベクトルVμの成分もV±=(V0±VD-1)/21/2とVi (i=1,2,..,D-2)になります。

 

2つのベクトルVとWの内積はVW=V+V-Viiで与えられます。また,反変⇔共変の添字の上げ下げは,V=V,V=V,Vi=-Viなるルールに従います。

それでは,残るゲージ対称性からは,どのような簡単化が可能なのでしょうか?

これに関し,2009年3/14の過去記事「超弦理論(14)(2-3)」において,以下のような記述があります。

 

"共変ゲージの典型的な形としてhαβ=ηαβと置くだけではまだゲージ自由度を完全には使い尽くしていません。

 

αξβ+∂βξα=Ληαβを満たす任意の組合わせに対する再パラメータ化:σα→σα+δσα (δσα=ξα)をすれば,この(再パラメータ化)+(ワイルスケーリング:Weil-scaling)の後で,なお特殊な共変ゲージ選択hαβ=ηαβが保持されます。

このとき,∂τξ0=∂σξ1=Λ/2,∂τξ1=∂σξ0より∂τ0+ξ1)=∂σ0+ξ1),∂τ0-ξ1)=∂σ1-ξ0)です。

 

これは,ξ±=ξ0±ξ1なる光錐系の言葉では,∂ξ=0 ,∂ξ=0 なること,つまりξはσ=τ+σの任意関数であり,ξはσ=τ-σの任意関数であることを意味します。"

すなわち,世界面の光錐座標σ±=τ±σで表現すると,残りのゲージ不変性は任意の再パラメータ化の可能性:σ→σ~),σ→σ~)に対応します。

 

閉弦ではσとσは独立に再パラメータ化されますが開弦の場合には両者は境界条件でつながっています。

つまり,τ=(σ+σ)/2 → τ~=[σ~(τ+σ)+σ~(τ-σ)]/2,σ=(σ-σ)/2 → σ~=[σ~(τ+σ)-σ~(τ-σ)]/2なる再パラメータ化が許されます。

  

これはτ~が質量のない自由な波動方程式:(∂2/∂σ2-∂2/∂τ2)τ~=0 の任意の解であることを意味しますから,τ~が決まればσ~も完全に決まります。

では質量のない自由な波動方程式の解τ~を選ぶ自然な方法とはどんなものでしょうか?

τ~について唯一要求される条件は,それが自由な波動方程式:(∂2/∂σ2-∂2/∂τ2)τ~=0 の解であることです。

 

この方程式は以前に見た共形ゲージ(conformalゲージ)で,時空座標Xμ(σ,τ)が従うべき方程式:□Xμ=(∂2/∂τ2-∂2/∂σ2)Xμ=0 と全く同じ形をしています。

そこで,残るゲージ自由度は,望むならパラメータτ~が正確に弦の座標Xμの1つに一致するように再パラメータ化してもよい,という事実に対応します。

 

これは,光錐ゲージではτ~=X/p+const.と選んでもよいことを意味します。通常これはX(σ,τ)=x+pτなる光錐ゲージ選択をすることで表現されます。

このことは古典的記述において,n≠0 の振動子座標αnを全てゼロと置くことに相当します。

 

弦座標のX成分は弦が無限大運動量で運動するような系で見られる時間座標に対応します。このゲージ選択ではXがσに依存しないので,弦のあらゆる点が同じ時間での値を取るという概念的な利点を有します。

そこで,X(σ,τ)=x+pτによってX(σ,τ)を固定することにします。

 

このとき,ヴィラソロ拘束方程式(d±')2=0 はX-d±X'={Σi=1D-2(Xid±Xi')2}/(2p)となります。

この式から簡単に陽に解くことができて,これをXiと未知の積分定数で表わせることがわかります。

 

つまり光錐ゲージでは,XとXの両方を消去できて,横波の振動子Xiのみが残ります。

(訳注48):すぐ前で参照した「超弦理論(14)(2-3)」にあるように,世界面光錐座標でのエネルギー運動量のゼロでない成分はT++=-∂,T--=-∂です。

 

 ∂=∂LLd,∂=∂RRdですから,これらはT++=-(Ld)2,T--=-(Rd)2と書けます。

そこで,拘束条件:T--=T++=0 は(Rd)2=(Ld)2=0 なることを意味します。

 

逆に,(Rd)2=(Ld)2=0 は∂X==0 であり,∂±=(∂τ±∂σ)/2 ですから,元の拘束条件は(d±')2=0 とも表現できます。

 

(訳注48終わり)※

開弦のXのモード展開は,Xμ=xμ+pμτ+n≠0[(αnμ/n)exp(-inτ)cos(nσ)]から,X=x+pτ+iΣn≠0[(αn/n)exp(-inτ)cos(nσ)]となります。

 

そこで,X-d±X'={Σi=1D-2(Xid±Xi')2}/(2p)から得られるαnの陽な解は,αn=(1/p)[(1/2){Σi=1D-2Σm=-∞n-miαmi:}-aδn]となります。

 

ここで共変的扱いとしてα0に未知の正規順序(normal-ordering)定数:aを導入しました。

(訳注49):X-d±X'={Σi=1D-2(Xid±Xi')2}/(2p)にX=x+pτ+iΣn≠0[(αn/n)exp(-inτ)cos(nσ)]を代入すると,p+Σn≠0nexp{-in(τ±σ)}]=[Σi=1D-2Σm,n=-∞αm-niαniexp{-im(τ±σ)}]/(2p)となります。

そこで,この式の左辺のn=0 と右辺のm=0 の項を比較して等置すると,α0=p={Σi=1D-2Σm=-∞α-miαmi}/(2p)=(1/p)[(1/2){Σi=1D-2Σm=-∞-miαni:}-a]を得ます。

 

左辺のn≠0 の項からはαn={Σi=1D-2Σm=-∞n-miαmi}/(2p)=(1/p)[(1/2){Σi=1D-2Σm=-∞n-miαni:}が得られます。

 

(訳注49終わり)※

光錐ゲージではα0とpを同一視することは質量殻条件そのものを意味します。

 

実際,α0=p=(1/p)[(1/2){Σi=1D-2Σm=-∞n-miαmi:}-a]から,Mを質量としてM2=2p-Σi=1D-2ii=2(N-a),N=Σi=1D-2Σn=1α-niαniが得られます。

以下では,縮約の規則を採用し,必要がある場合を除いてΣi=1D-2iiをpiiと書くことにします。こうすれば,質量殻条件はM2=2p-pii=2(N-a),N=Σn=1α-niαniと簡単になります。

また,この式は22p-pii=-2a+2Σn=1α-niαniと表現できますから,先に共変的扱いで見出されたM2=-2a-2Σn=1α-nαn (ただしα-nαnα-nμαnμ)と同じ質量殻条件です。

 

もっとも今の場合,N=Σn=1α-niαniには横波振動子のみが寄与するという違いがあります。(「超弦理論(17)(2-6)」参照) 

ところで,量pαn=(1/2){Σm=-∞n-miαmi:}-aδnはヴィラソロ代数を満足します。

 

すなわち,交換関係:[pαm,pαn]=(m-n)pαm+n+[{(D-2)/12}(m3-m)+2am]δm+nが成立します。

 

これを得るための計算は共変量子化でのヴィラソロ代数の論議と正確に同じです。これは光錐量子化における基本公式と考えられます。

(訳注50):[pαm,pαn]=(m-n)pαm+n+A(m)δm+nと書けば超弦理論(18)(2-7)」と同様にして,(m)=c33+c1mですが,[pα1,pα-1]=2pα0+c3+c1で,かつ2pα0= 2p=pii-2a+2Σn=1α-niαniです。

n≠0 なら,pαn=(1/2){Σm=-∞n-miαmi:}ですから,0=<0;0|[pα1,pα-1]|0;0>=-2a+c3+c1です。

 

また,[pα2,pα-2]=4pα0+8c3+2c1より(D-2)/2=<0;0|[pα2,pα-2]|0;0>=-4a+8c3+2c1を得ます。

それ故,c1=-(D-2)/12+2a,c3=(D-2)/12が得られます。すなわち,A(m)={(D-2)/12}(m3-m)+2amです。

 

(訳注50終わり)※

さて,理論がこの光錐ゲージで本当にローレンツ共変かどうかを調べたいと思います。

 

素朴に考えると,そうあるはずです。

 

なぜなら,これはローレンツ共変性が基本にあるゲージ不変な理論において,単にゲージを1つに固定することによって得られたものであるからです。

aとDの幾つかの値に対して理論に何か不都合があるとすれば,それはローレンツ不変性が陽には維持されない光錐ゲージにおいて,具体的にローレンツ不変性の欠如を示す良い機会を与えると考えられます。

さて,光錐ゲージにおいては,全ての弦の励起は横波振動子αniによって生成されます。

 

例えば,第1励起状態はα-1i|0;p>で与えられます。これは横波による(D-2)次元回転群SO(D-2)の(D-2)成分のベクトル表現です。

横に偏極した運動量ベクトルでも,質量がゼロでないなら一般にローレンツ変換によって縦の偏極成分を獲得します。

 

これは,"質量のある粒子のスピンはSO(D-1)の既約表現で分類され,一方,質量の無い粒子はSO(D-2)の既約表現に対応する。"というよく知られた事実の言明です。

 

(ただし今はボーズ粒子の弦ですが,フェルミ粒子の話なら,これをカバーする群であるスピン群:Spin(D-1)とSpin(D-2)を回転群SO(D-1)とSO(D-2)の代わりに用いる必要があります。)

したがって,もしもベクトル状態:α-1i|0;p>が質量の無い粒子状態でないなら光錐ゲージにおいてローレンツ共変な弦理論を与えることができないことは明らかです。

 

それ故,理論がローレンツ共変であるためには,状態α-1i|0;p>に対するM2=2p-pii=2(N-a)の固有値がゼロであることが要求されます。

 

そこで,N=Σn=1α-niαniからNα-1i|0;p>=1より,結局a=1でなければならないと結論されます。

次に時空次元Dに対する制限を理解するというより困難な問題に向かいます。

最初に,たった今得たローレンツ共変な弦理論であるための必要条件:a=1を用いた発見的な議論をします。

そのために,正規順序定数aを直接計算で求めることを試みます。

まず,[αmμnν]=-mδm+nημνより,横波成分については[αminj]=mδm+nδijですから,[αn-n]=[αni-ni]=n(D-2)が得られます。

 

そこで,(1/2){Σn=-∞α-niαni}=(1/2){Σn=-∞-niαni:}+{(D-2)/2}{Σn=-1n}です。

 

もちろん第2項の和は発散するので何らかの正則化がなされる必要があります。

  その正則化の1つの方法として,一般的な場の理論でも同様な正規順序の問題でよく用いられる'ゼータ関数正則化'を使用してみます

一般的な和n=-1-sを考えます。Res>1に対しては,この和はリーマンのゼータ関数ζ(s)として知られている関数に収束します。

 

そしてゼータ関数ζ(s)の方は点s=-1にも一意的に解析接続できて,ζ(-1)=-1/12となります。

そこでn=-1-sにおいてs=-1とおいた和:Σn=-1nに,このζ(-1)の値-1/12を強引に'代入する'と{(D-2)/2}{Σn=-1n}=-(D-2)/24なる式が得られます。

 

(これは,もちろん正しい等式ではありませんが,"くりこみ"における擬似等式ではそれは承知の上です。)

ところで,我々は既にα0=(1/2){Σn=-∞α-niαni}=(1/2){Σn=-∞-niαni:}-aの定数aが1であるべきことを知っているので,(D-2)/24=1と等置することから,時空次元Dが26であることが示唆されます。

こうしたゼータ関数正則化は幾らか形式的なものですが,後章で零点エネルギーを正則化するという,より物理的な方法からも同じ答を得ることになります。

今日はここまでにします。 

参考文献:M.B.Green,J.H.Schwarz,& E.Witten著「superstring theory」(Cambridge University Press)

 

PS:しかし,ビーチバレーの報道でよく思うのですが,浅尾・西堀ペアのスポーツニュースではいつも浅尾さんばかりがクローズアップされるのが少し不満です。

 

 私は昔から双子の西堀姉妹のお姉さん?の方の「西堀健実」さんの方がはるかに好みのタイプです。

  http://ameblo.jp/takemi0820/  

 

 まあ「浅尾美和」さんの方が圧倒的に人気があるのかも知れませんが,ペアの勝敗などのニュースでも,浅尾さん1人だけのインタビューや1人だけの映像でニュースが終わってしまうのには,個人的にいつも不満に思っています。

 

 西堀さんの方は,なんとなく私の姪の「N子=ハンドル名:いくよくるよ」や,ときどきここにコメントくれる「れな(れい)ちゃん」にも似ているようで親しみを感じますしね。。。

 

http://folomy.jp/heart/「folomy 物理フォーラム」サブマネージャーです。

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2009年4月21日 (火)

超弦理論(21)(2-10)

超弦理論(superstring theory)の続きです。

物理的状態を解析するという現在の目的にとって明確な共形次元を持つ演算子の導入が有益な理由は,こうした演算子はその作用によって古い物理的状態から新しい物理的状態を作るという作業に使用可能であるということです。

実際,|φ>が物理的状態である,つまり(Lm-aδm)|φ>=0 (m≧0)を満たすとき,演算子A(τ)が明確な共形次元J=1を持つなら,定義式[Lm,An]={m(J-1)-n}Am+nにJ=1を代入すると,[Lm,An]=-nAm+nとなりますから[Lm,A0]=0 となることがわかります。

 

このことから,|φ'>≡A0|φ>もまた(Lm-aδm)|φ'>=0 (m≧0)を満たすので,|φ'>も物理的状態の条件を満たします。

 反応1→1'+2における質量固有状態2の放出と関わる頂点演算子は,物理的始状態1を物理的終状態1'に写すべきなので,上の|φ'>≡A0|φ>による|φ>→|φ'>の物理的状態間の移行規則は,開弦放出の頂点演算子の共形次元が1であるべきことを示唆しています。

既に記術した記事「超弦理論(1)~(11)」の序章(introduction)においては,開弦の頂点演算子が次元1の局所演算子であるべきことを別の方法で学びました。

すなわち,2009年1/6の記事「超弦理論(10)(開弦とチャン・パトン因子)子)」において,"外粒子の開弦は世界面の境界にのみ挿入されているため,V=∫dτ[hττ1/2U(τ)]の形の頂点演算子の挿入で記述されるはずです。

ここでのτは単に世界面の境界上の1つのパラメータを示しているだけです。そしてhττ→ (expφ)hττなる計量(metric)の共形的再縮尺の下での演算子Vの不変性は開弦の場合にはU=U(τ)の次元が1であるべきことを要求します。"と書きました。

さて,ある時刻τとσ=0 で運動量が(-kμ)の物理的粒子の放出,または運動量がkμの物理的粒子の吸収に対する頂点演算子:V(k,τ)≡V(k,0,τ)は,その演算子が如何なる運動量状態に作用するときでも,運動量の総量をkμだけ増加させる必要があります。

それ故,弦の波動の質量中心座標への依存性は,exp{-ikμμ(τ)}のようである必要があります。

 

ここでxμ(τ)=xμ+pμτであり,これは時刻τにおける弦の質量中心のD次元時空内での位置を示しています。

弦という環境の下で,これを実現するための明確なやり方はV(k,τ)にexp{-ikμμ(0,τ)}なる因子を持たせることです。

 

実際,世界面パラメータ(σ,τ)=(0,τ)に対応する時空位置Xμ(0,τ)において運動量kμの質量固有状態を吸収する弦がexp{-ikμμ(0,τ)}なる因子で修正された波動関数を持つのは当然です。

もしも,吸収または放出される粒子としての弦が,状態として運動量の他には個を区別する量子数を全く持たないなら,頂点演算子V(k,τ)は単にV(k,τ)=exp{-ikμμ(0,τ)}で与えられるとしてもいいと思われます。

 

実際には,これだけではダメで正規順序による表現を併用することも必要です。

開弦ではXμ(σ,τ)=xμ+pμτ+iΣn≠0[(αnμ/n)exp(-inτ)cos(nσ)]より,Xμ(0,τ)=xμ(τ)+iΣn≠0[(αnμ/n)exp(-inτ)]です。

 

それ故,V(k,τ)=:exp{-ikμμ(0,τ)}:≡exp(-kΣn=1[(α-n/n)exp(inτ)]exp{-ikμμ(τ)}exp(kΣn=1[(αn/n)exp(-inτ)]と定義します。

この定義式での指数関数の指数は"正規順序=::"を取らなかった場合の値とは,発散する総和項α'k2Σn(1/n)だけ異なっています。

 

(それ故,k2=0 の特別なケースには正規順序の効果は無しです。)

(訳注42):線型演算子A,Bの交換子:[A,B]が[A,[A,B]]=0,または[B,[A,B]]=0 を満たすなら,expA・expB=exp(A+B+[A,B]/2)なる公式が成立します。

 

(これについては2006年10/27のブログ過去記事「量子力学の交換関係の問題(その2)」を参照ください。)

 そして,A=-lkΣn=1[(α-n/n)exp(inτ),B=lkΣn=1[(αn/n)exp(-inτ)とおけば,[αmn]=-mδm+nより,[A,B]=-l22Σmn[{1/(mn)}[α-mn]exp{-i(m-n)τ}]=2α'k2Σn(1/n)となって,A,Bの交換子:[A,B]は無限大に発散します。

 

 それでも,ともかく[A,B]は単なるc-数ですから,expA・expB=exp(A+B+[A,B]/2)が成立します。

それ故,:exp(A+B):≡expA・expB=exp(A+B)exp([A,B]/2)なる等式が得られます。

 

これは,exp(A+B)の正規順序を取らなかった場合と,因子にしてexp([A,B]/2),指数にして[A,B]/2=α'k2Σn(1/n)だけ異なります。

 

(訳注42終わり)※

そして,正規順序で定義した頂点演算子V(k,τ)の共形次元を計算してみます。

先に示したように,Xμ(τ)は共形次元J=0 を持つので,Xμ(τ)Xν(τ)のような積や,より一般のXμ(τ)の任意関数f(Xμ(τ))のような形の合成演算子もまた共形次元:J=0 を持つと予想されます。

実際,演算子A(τ)がA(τ)=Σm=-∞m exp(-imτ)なる形にモード展開が可能なとき,[Lm,An]={m(J-1)-n}Am+nが成立すればA(τ)が明確な共形次元Jを持つという性質があります

 

これを直接用いると,もしも2つの演算子A1(τ),A2(τ)がそれぞれ共形次元J1,J2を持つなら,積A1(τ)A2(τ)は共形次元(J1+J2)を持つことを示すことができます。

(訳注43):A1(τ)=Σm=-∞1mexp(-imτ),A2(τ)=Σm=-∞2mexp(-imτ)と展開されるとき,B(τ)=Σn=-∞n exp(-inτ)≡A1(τ)A2(τ)=Σj,k[A1j2kexp{-i(j-k)τ}]とすれば,Bn=Σj+k=n1j2kと書けます。

 そして,[Lm,A1n]={m(J1-1)-n}A1,m+n,[Lm,A2n]={m(J2-1)-n}A2,m+nと仮定します。

 

 このとき,[Lm,A1j2k]=[Lm,A1j]A2k+A1j[Lm,A2k]={m(J1-1)-j}A1,m+j2k+{m(J2-1)-k}A1j2,m+kですから,[Lm,Bn]=Σj+k=n[Lm,A1j2k]=Σj+k=n[{m(J1-1)-j}A1,m+j2k+{m(J2-1)-k}A1j2,m+k]=Σk[{m(J1-1)-(n-k)}A1,m+n-k2k+Σj[{m(J2-1)-(n-j)}A1j2,m+n-j]=Σj[{m(J1-1)-(j-m)+m(J2-1)-(n-j)}A1j2,m+n-j]が得られます。

それ故,B(τ)=A1(τ)A2(τ)のフーリエ・モード:Bnに対し形式的には,[Lm,Bn]=Σj[{m(J1+J2-1)-n}A1j2,m+n-j]=Σj+k=m+n[{m(J1+J2-1)-n}A1j2k]={m(J1+J2-1)-n}Bm+nが成立します。

 

(訳注43終わり)※

これは,演算子A1(τ)とA2(τ)を別々に定義するために必要とされるもの以外には,どんな"引き算"や"くりこみ"といった曖昧な手続きなしに積A1(τ)A2(τ)が明確に定義されて,well-definedな場合,

 

言い換えると,2点演算子積A1(τ)A2(τ')がτ'→τの極限で如何なる近距離特異性も持たない場合には,いつでも真なる性質です。

実際には,:Xμ(τ)Xν(τ):のような典型的な正規順序積は明確な共形次元を持ちません。

 

しかし,V(k,τ)=:exp{-ikμμ(τ)}:はゼロでない明確な共形次元を持つことがわかります。

(k,τ)において演算子の順序を変える効果の足跡を保持することに留意すれば,直接的に各振動子項の操作から[Lm,V(k,τ)]を計算することで,(k,τ)の共形次元を決定することができます。

(k,τ)=exp[-kΣn=1{(α-n/n)exp(inτ)}]exp{-ikμμ(τ)}exp[kΣn=1{(αn/n)exp(-inτ)}]に対して[Lm,V(k,τ)]を評価するためには,まず[αpμ,exp(-kα-n)]=pδp-nμexp(-kα-n)なる式が成立することに着目します。

(※これはp=0 のときにも成り立つ式です。これの証明については,2006年10/16のブログ過去記事「量子力学の交換関係の問題 を参考にしてください。)

pμ,exp(-kα-n)]=pδp-nμexp(-kα-n)とヴィラソロ演算子Lmの表現式Lm=(-1/2)Σqαm-qαqを用いると,[Lm,exp(-kα-n)]=(-1/2)Σqm-qq,exp(-kα-n)]+[αm-q,exp(-kα-n)]αq}=(-1/2)Σq{nkαm-n,exp(-kα-n)}となります。

 

ただし,最右辺の括弧の記号{ , }は反交換子:{A,B}≡AB+BAを意味します。

これを,V(k,τ)=exp[-kΣn=1{(α-n/n)exp(inτ)}]exp{-ikμμ(τ)}exp[kΣn=1{(αn/n)exp(-inτ)}]に対して,[Lm,V(k,τ)]を評価するのに用いるに際して,m>0と仮定します。(m<0 の場合にも論旨は同じです。)

フーリエ・モードに頼らない表現では,演算子A(τ)が共形次元Jを持つという性質は[Lm,A(τ)]=exp(imτ){-i(d/dτ)+mJ}A(τ)で与えられます。

 

そして,もしも"正規順序という論点を無視するなら"計算結果からは頂点演算子V(k,τ)が共形次元J=0 を持つという結果:[Lm,V(k,τ)]=(-i)exp(imτ)(dV/dτ)を得ます。

(訳注44):正規順序を無視して頂点演算子を,V(k,τ)≡exp{-ikμμ(τ)}=exp[-kμΣn≠0{(α-nμ/n)exp(inτ)-ikμμ(τ)}]と定義するなら,(-i)(dV/dτ)=-kμΣnα-nμexp(inτ)V(k,τ)が得られます。

 

 一方,[Lm,V(k,τ)]=-kμΣnαm-nμexp(inτ)V(k,τ)=-kμΣnα-nμexp{i(m+n)τ}V(k,τ)=exp(imτ)[-kμΣnα-nμexp(inτ)V(k,τ)]より,確かに[Lm,V(k,τ)]=(-i)exp(imτ)(dV/dτ)が成立します。

 

 (訳注44終わり)※

しかし,実際には頂点演算子V(k,τ)は,正規順序表現V(k,τ)=:exp{-ikμμ(τ)}:で定義され,これはVの微分dV/dτもまた自動的に正規順序であることを意味します。

しかし,交換子[Lm,V(k,τ)]を得るために,[Lm,exp(-kα-n)]=(-1/2)Σq{nkαm-n,exp(-kα-n)}を用いると,こちらの方はV(k,τ)が正規順序でも一般には正規順序ではない表現を得ます。

すなわち,V(k,τ)=exp[-kΣn=1{(α-n/n)exp(inτ)}]exp{-ikμμ(τ)}exp[kΣn=1{(αn/n)exp(-inτ)}]の無限積の各項に対する[Lm,exp(-kα-n)]=(-1/2)Σq{nkαm-n,exp(-kα-n)}の右辺の寄与のうち,有限個については正規順序の形になりません。

それら個々の項は,V(k,τ)において,モードを下げる(消滅)演算子を上げる(生成)演算子の左側に持ちます。

 

それは,[(-1/2)Σn=1mkαm-nexp(inτ)]V(k,τ)です。

 

これらは,正規順序表現での値に加えて,別に交換子の寄与[(-1/2)Σn=1mkαm-nexp(inτ),V(k,τ)]=(-1/2)Σn=1m2 exp(imτ)V(k,τ)=(-1/2)mk2exp(imτ)V(k,τ)を与えます。

(訳注45):[αm-n,exp{-(kα-l/l)exp(ilτ)}]=(m-n)δm-n-l(kμ/l)exp{-(kα-j/l)exp(ilτ)}ですから,[(-1/2)Σn=1mkαm-nexp(inτ),exp{-kΣl-l/l)exp(ilτ)}]=(-kμ/2)kμexp(inτ)exp{i(m-n)τ}exp{-kΣl-l/l)exp(ilτ)}=[(-1/2)Σn=1m2exp(imτ)]exp{-kΣl-l/l)exp(ilτ)}を得ます。

 

 (訳注45終わり)※

 こうして,結局[Lm,V(k,τ)]=exp(imτ){-i(d/dτ)-mk2/2}V(k,τ)なる評価式が得られます。

 

 これを演算子A(τ)が共形次元Jを持つという定義式[Lm,A(τ)]=exp(imτ){-i(d/dτ)+mJ}A(τ)と比較すると,頂点演算子V(k,τ)の共形次元JがJ=-k2/2で与えられることが導かれます。

序章では2点関数の計算によって,同じ演算子exp(-ikμμ)の異常次元を計算しました。

 

そして,閉弦境界へ挿入したときには,この演算子はJ=-k2/4,開弦境界へ挿入したときには,J=-k2/2の異常次元を与えるという結果を得ました。

 

(2008年12/14の記事「超弦理論(9)(タキオン(続き)と重力子の散乱振幅)」,および,2009年1/6の記事 「超弦理論(10)(開弦とチャン・パトン因子)」を参照)

一方,たった今振動子による方法から得た値:J=-k2/2が,序章において開弦について得た結果と完全に一致することに着目すると,これまでの弦についての手法の正当性に関して心強いものがあります。

 以上から,もしもk2=-2ならJ=1が得られ,V(k,τ)=Σm=-∞m(k)exp(-imτ)と展開したときの係数について,共形次元がJ=1で[Lm,V0(k)]=0 を満たす物理的な頂点演算子V0(k)を与えることがわかります。

 

 これは具体的には平方質量を試験的にM2=-2と割り当てた基底状態タキオン(tachyon)の放出に対する頂点演算子です。

 V(k,τ)が正規順序を要求しない唯一の場合はk2=0 の場合です。

 この場合はV(k,τ)=:exp(-ikX):の共形次元Jはゼロです。

 

 しかしk2=0 の条件は,質量がゼロのベクトル・メソンに対してのみ正しい条件ですから,この場合には頂点演算子としては共形次元のJ=0 は不適切な次元です。

 

 (※なぜなら,質量殻条件は,-α'k2-Σn=1α-nαn=L0=a=1によりα'k2=n-1ですから,質量殻の上にある物理的粒子でk2=0 ならこれはn=1(ベクトル)を意味します。)

 前に述べたように,dXμ/dτの共形次元は1なので,Vξ(k,τ)≡-ξμ(dXμ/dτ)exp(-ikX)が偏極ξμ(k)を持つゼロ質量のベクトル中間子放出に対する頂点演算子と解釈するのが自然です。

 

 そして,このようにVξ(k,τ)が,{ξμ(dXμ/dτ)}とexp(-ikX)の演算子積から成ることは,kξ=kμξμ=0 なら,Vξ(k,τ)の共形次元Jが1になることを保証します。

 

 また,これらには近距離特異性もありません。

 質量がゼロのベクトル粒子には制限があって,許される偏極は限られているというのはQED(量子電磁力学)ではお馴染みの事実であり,前に物理的状態スペクトルの解析でも遭遇しました。

 

 ここでのこうした出現は,共形次元が1の頂点演算子が物理的状態と1対1対応するという事実の実例です。

 スペクトルにおいて出現する他の状態に対応する頂点演算子は,より複雑です。

 

 質量殻条件α'2=n-1を満たす物理的粒子状態に対応する頂点演算子は,一般に:f(Xd,X2d,..,)exp(-ikX):なる形をしています。

 

 ここでfの中にあるXのτ微分の総数がnとなります。しかし,J=1なる完全な状態を得るためには,さらに付加的制限が必要です。

 次に,ゼロノルム状態に対する頂点演算子は次のように記述されることがわかります。

 まず,W(k,τ)が因子:exp(-ikX):を含む共形次元がゼロの演算子であるとすれば,V(k,τ)≡-i{dW(k,τ)/dτ}=[L0,W(k,τ)]の共形次元はJ=1で与えられます。

(訳注46):なぜなら,Lmはτによらない演算子なので,[Lm,W(k,τ)]=(-i){exp(imτ)(dW/dτ)}により,[Lm,V(k,τ)]=[Lm,-i{dW(k,τ)/dτ}]=(-i)(d/dτ)(-i)exp(imτ)(dW/dτ)=(-i)exp(imτ)(dV/dτ)+m・exp(imτ)Vです。

 

 [Lm,V(k,τ)]=exp(imτ){-i(d/dτ)+m}V(k,τ)です。

 

 (訳注46終わり)※

 そして,例えばk2=0 のW(k,τ)=exp(-ikX)なるJがゼロの演算子を取り上げれば,V(k,τ)=-i{dW(k,τ)/dτ}は縦偏極:ξμ=kμを持つゼロ質量中間子の放出に対する頂点演算子を与えると考えられます。

 実際にWがJ=0 を持つときのV(k,τ)=-i(dW/dτ)の形の演算子は,常にゼロノルム状態の放出を記述します。

 

(なぜなら,V(k,τ)=-i(dW/dτ)の偏極は,必ず縦偏極kμであり,J=-k2/2=0 からk2=0ですが偏極がkμであることと合わせうとこれはノルムがゼロなることを意味します。)

 論旨がかなり先の話まで飛躍することを承知で,ゼロノルム状態が分離される理由を述べると,V=-i(dW/dτ)は1つのτによる全微分項であるため,物理的状態|φ>を物理的状態V0|φ>に移すVのゼロ振動数成分V0は消えるという事実にその理由があることです。

 さらなる例として,α'k2=1を持つ第2励起レベルの状態の放出についての頂点を考えます。

 

 この場合,因子V0(k)はJ=-1を持ち,それ故ξμνμdνd:exp(-ikX):は,もしもこの演算子積に近距離特異性がないならJ=1を持ちます。そして,これはkμξμν=Trξ=0 (トレースレス=対角和がゼロ)のケースです。

 

 これらは,ξμν(k)が質量を持つスピンが2の状態の偏極テンソル:SO(D-1)の対称トレースレステンソルとなるための条件です。

 同じ質量レベルでスピン1と偏極ημの物理的状態に対する頂点演算子Yk,η=ημ(dXμd/dτ)exp(-ikX)の存在も仮定できます。

 

 しかし,ημμ=0 ならημμd:exp(-ikX):のτによる全微分(-i)[d{ημμd:exp(-ikX):}/dτ]={-iημ(dXμd/dτ)-ημμdννd}:exp(-ikX):の記述するところは,L-1ημα-1μ|0;k>で表わされるゼロノルム状態の放出と,Yの(D-1)個の可能な成分を説明します。

(訳注47):先に述べたように,J=0 のWに対して-i(dW/dτ)は常にゼロノルム状態の放出を意味します。

 

 W=ημμd:exp(-ikX):とすると,Wはημα-1μ|0;k>の頂点ですから,この物理的状態に対して,これの最も簡単なゼロノルム状態はL-1ημα-1μ|0;k>です。

 

 一方, (-i)[d{ημμd:exp(-ikX):}/dτ]={-iημ(dXμd/dτ)-ημμdννd}:exp(-ikX):の右辺第1項はημμ=0 の条件1つを持つ1個の頂点演算子Yk,ηです。(訳注47終わり)※

 それ故,Yのこれらの成分はξμνμdνd:exp(-ikX):の形の表現とゼロノルムに対応する成分だけ異なっており,残りの偏極はημ=kμに対応しています。

 D=26のケースには,これは新しい物理的状態の放出を与えません。

 

 なぜなら,こうしたYは,ξμνμdνd:exp(-ikX):の形の状態の放出とゼロノルム状態:{L-2+(3/2)L-12}|0;k>の放出の線型結合に対応しているからです。

 

 それ故,26次元の第2励起質量レベルでは,総じて唯一の適切な開弦頂点演算子はξμνμdνd:exp(-ikX):の形です。

 

 これはスピン2の質量のある粒子(k2=1/α’),すなわち,SO(25)の対称トレースレス2階テンソルとして変換する粒子の放出,または吸収を記述します。

今日はここまでにして,次回からは共変ゲージではなく,電磁場ならクーロンゲージに相当する光(円)錐(light-cone)ゲージの定式化について述べる予定です。

参考文献:M.B.Green,J.H.Schwarz,& E.Witten著「superstring theory」(Cambridge University Press)

 

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2009年4月18日 (土)

超弦理論(20)(2-9)

超弦理論(superstring theory)の続きです。取りあえずここまで来たら,行き詰まるところまで行きましょうか。

この時点で序文(introduction)で紹介した弦のグラフにおける頂点演算子について考察します。

開弦の相互作用はツリーグラフでは基本的に単一の弦が2つに分岐したり,逆に2つの弦が結合して1つになるというプロセスと見ることができます。これらは3つの開弦の世界面が真ん中で連結したグラフになります。

一般的な相互作用としては,こうした過程に関係する3つの開弦の全てが質量殻の上にはないと予期しますが,特に3つの開弦のうちの1つは物理的な質量殻の固有状態であるような場合について考察します。

3つの開弦の状態を1,1',2と名付けて1→1'+2という反応過程を考え,特に2は質量固有状態であるとします。1と1'については質量固有状態にあるかもしれないしそうでないかもしれません。

 

弦の質量固有状態というのは量子力学的概念であって,古典的概念ではありません。単位としてプランク定数"hc=h/(2π)"を復活させるなら質量固有状態はhcのオーダーの幅と平方質量を持つはずです。

 

それ故,古典的極限では弦の如何なる質量固有状態もある意味では点粒子に類似していると言えます。

質量殻状態2の放出を伴なう1→1'の遷移過程では,弦1'の量子状態は,ある線型変換によって弦1の量子状態と関連付けられる必要があります。

 

そして,この線形変換は弦2の状態に依存するはずです。変換が線型であるのは量子力学を論じているからです。

2が質量固有状態であり従って点状であることから,弦1'は弦1から2が放出された端点において,ある局所演算子の作用によって得られると考えるのが自然です。

 

この局所演算子は質量殻状態2の放出に対する頂点演算子ですが,状態2と関わる頂点の演算子なので通常V2と表記します。

発見的議論の導くところによれば,序章で異なるやり方で論じたように任意の質量殻状態|φ>には適切な頂点演算子Vφを結び付けるべきであろうと推察されます。

頂点演算子を論じるに当たって,我々がここで目指すゴールは実際に相互作用を解析して具体的に計算することではありません。これは後章での課題です。

 

今の目的は取りあえず物理的状態のスペクトルを解析できる道具を開発することです。

以下で論じる話は序章で述べたことへの有用な補完となるはずです。ここでの目的のためには,議論の対象を開弦のみに集中することで十分であると思われます。

 

頂点演算子は閉弦理論においても重要であることに変わりはないですが,ここで開弦について論じることは閉弦に直線的に流用できます。

さて,開弦状態を与えるヒルベルト空間の元に作用する一般の局所演算子A(σ,τ)を考察します。ここでは,特にσ=0 とおいて弦の端点での演算子A(0,τ)を調べます。簡単のためにA(0,τ)を単にA(τ)と書くことにします。

物理的状態であるための拘束条件を与える開弦の"エネルギー運動量テンソルTのフーリエ・モード=ヴィラソロ(Virasoro)演算子"Lmの第ゼロ成分(周波数によらない部分)(L0-a)はハミルトニアンHに等しいので,局所演算子A(τ)はA(τ)=exp(iτH)A(0)exp(-iτH)=exp(iτL0)A(0)exp(-iτL0)と表現されます。

我々が関心あるのはヴィラソロ代数によって自分自身に変換される演算子A(τ)です。

 

演算子A(τ)は,変数τの任意の変換τ→τ'(τ)の下でA(τ)→ A'(τ')=(dτ/dτ')JA(τ)なる変換を受けるとき,そのときに限って共形次元Jを持つと定義されます。

 

ここでの共形次元という概念は,以前2008年12/14の記事「超弦理論(9)(タキオン(続き)と重力子の散乱振幅))」において論じた閉弦における頂点演算子exp{-ikX(z)}の"異常次元=アノーマリー次元"と同じものです。

この記事では,閉弦での頂点演算子:exp(-ikX)の異常次元を求める際,スケール不変な理論では次元がpを持つ演算子Yの2点関数が<Y(z)Y+(0)>=C|z|-2pとなるべきであるという論旨から,exp(-ikX)は異常次元として-k2/4を持つべきことが導かれ,

 

別の論点からexp(-ikX)の次元は2であるべきという要求があることと合わせて閉弦の基底状態のタキオン(tachyon)の質量がm2=k2=-8であると結論されました。

また,2009年1/6の記事「超弦理論(10)(開弦とチャン・パトン因子:Chan-Paton factor)」において,開弦では頂点演算子exp{-ikX(x)}の座標変数が1次元の実変数xになることから,これの異常次元が-k2/2で与えられ,一方別の論点からexp(-ikX)の次元は1であるべきという要求があることと合わせて開弦の基底状態タキオンの質量はm2=k2=-2であると結論されています。

さて,τの変換が無限小変換τ→ τ'=τ+ε(τ)であるケースを考えると,共形次元がJの場A(τ)の変換規則:A(τ)→ A'(τ)=A(τ)+δAはδA=-ε(dA/dτ)-JA(dε/dτ)で与えられます。

(訳注38):無限小変換:τ→ τ'=τ+ε(τ)においてはdτ'/dτ=1+dε/dτですから,(dτ/dτ')J=1-J(dε/dτ)です。

 

 そこで,共形次元Jの定義によればA'(τ')=(dτ/dτ')JA(τ)=A(τ)-JA(dε/dτ)です。

 

 一方,場の変分δAはδA≡A'(τ)-A(τ)で定義されます。

それ故,A'(τ')-A(τ)=A'(τ')-A'(τ)+δAですが,τ→ τ'=τ+ε(τ)はε(τ)が無限小の無限小変換なので,A'(τ')-A'(τ)=A(τ')-A(τ)=ε(dA/dτ)が成立します。

 

そこで,A'(τ')-A(τ)=ε(dA/dτ)+δA=-JA(dε/dτ)となりますから,結局δA=-ε(dA/dτ)-JA(dε/dτ)が得られます。

 

(訳注38終わり)※

ヴィラソロ演算子mはε(τ)=exp(imτ)に対して,τ→ τ'=τ+ε(τ)なる変換を生成します。すなわち,共形次元Jを持つ任意の演算子A(τ)に対して[Lm,A(τ)]=exp(imτ){-i(d/dτ)+mJ}A(τ)を成立させます。

(訳注39):δA=-ε(dA/dτ)-JA(dε/dτ)にε=exp(imτ)を代入すると,δA=-exp(imτ)(dA/dτ)-imexp(imτ)JA=(-i)exp(imτ){-i(d/dτ)+mJ}A(τ)となります。

一方,演算子Lmが変換を生成するということはA(τ')=A(τ)+δA(τ)=exp(-iLm)A(τ)exp(iLm)を意味しますが,これはもしも(iLm)が無限小なら(1-iLm)A(τ)(1+iLm)=A(τ)+δA(τ),または[Lm,A(τ)]=iδA(τ)と解釈されます。

しかし,これでは私は納得できません。

 

私が腑に落ちないのは前の論旨では変換τ→ τ'=τ+ε(τ)が無限小変換であると仮定していたのに,今のε(τ)=exp(imτ)という設定では,右辺の絶対値が常に1なのでε(τ)は無限小では有り得ないということです。

そこで,通常仮定するようにεm>0 を任意の無限小定数のパラメータとし,ε(τ)=exp(imτ)ではなくε(τ)≡εm exp(imτ)とします。

すると,前の一連の式は単にεがεm倍されるに過ぎないので,δA(τ)=-ε(dA/dτ)-JA(dε/dτ)=(-iεm)exp(imτ){-i(d/dτ)+mJ}A(τ)となります。

そして,通常の生成子の定義のように,LmをA(τ)+δA(τ)=exp(-iLmεm)A(τ)exp(iLmεm)を与える演算子とすれば,(iLmεm)は確かに無限小なので,exp(-iLmεm)A(τ)exp(iLmεm)=A(τ)-iεm[Lm,A(τ)]となります。

 

そこで,δA(τ)=(-iεm)exp(imτ){-i(d/dτ)+mJ}A(τ)をexp(-iLmεm)A(τ)exp(iLmεm)-A(τ)=-iεm[Lm,A(τ)]に等置すれば,前と同じ式:[Lm,A(τ)]=exp(imτ){-i(d/dτ)+mJ}A(τ)が得られます。

 

私は,こちらの解釈の方が辻褄が合うと思うので,そう解釈します。

 

 (訳注39終わり)※

さて,この局所演算子A(τ)がフーリエ・モード展開:A(τ)=Σm=-∞m exp(-imτ)を有するなら,上の関係式[Lm,A(τ)]=exp(imτ){-i(d/dτ)+mJ}A(τ)はフーリエ・モードの係数演算子に対する式:[Lm,An]={m(J-1)-n}Am+nに帰着します。

これは容易に証明できて,ヴィラソロ代数やヤコービ恒等式などと共立します。

(訳注40):実際,[Lm,A(τ)]=exp(imτ){-i(d/dτ)+mJ}A(τ)にA(τ)=Σm=-∞m exp(-imτ)を代入すると,Σn=-∞[Lm,An]exp(-inτ)=Σn=-∞exp{i(m-n)τ}{-n+mJ}Anです。

 

 そこで,右辺のnをn→m+nとシフトすれば,Σn=-∞exp{i(m-n)τ}{-n+mJ}An=Σn=-∞exp(-inτ){m(J-1)-n}Am+nとなり,確かに[Lm,An]={m(J-1)-n}Am+nが得られます。

 

 (訳注40終わり)※

 [Lm,A(τ)]=exp(imτ){-i(d/dτ)+mJ}A(τ),または[Lm,An]={m(J-1)-n}Am+nによる演算子A(τ)の共形次元Jの定義によれば,例えば弦座標Xμ(τ)は次元J=0 を持ち,運動量演算子(係数略)Xμd(τ)≡dXμ(τ)/dτは次元J=1を持つことがわかります。

(訳注41):開弦の座標のフーリエ展開はXμ(τ)=Xμ(0,τ)=xμ+l2μτ+ilΣn≠0{(αnμ/n)exp(-inτ)} 0μ=lpμ)なので,Xnμ≡ilαnμ/n(n≠0)と置けば,Xμ(τ)=xμ+lα0μτ+Σn≠0nμexp(-inτ)となります。

そして,Xnμd≡lαnμと定義すれば,Xμd(τ)=dXμ(τ)/dτ=lα0μ+lΣn≠0αnμexp(-inτ)=Σn=-∞nμdexp(-inτ)と書けます。

 一方,Lm=(-1/2)Σk=-∞αm-kαkですから,[AB,C]=ABC-CAB=A[B,C]+[A,C]B,および[αmn]=-mδm+nを用いると,[Lmn]=(-1/2)Σk=-∞m-kkn]+[αm-knk)=-nαm+n,つまり[Lmn]=-nαm+nを得ます。

 そこで,[Lm,Xn]=-ilαm+n=-(m+n)Xm+n (n≠0),および [Lm,Xnd]=-nlαm+n=-nXm+ndが成立します。

 

 これらは,次元Jの定義式[Lm,An]={m(J-1)-n}Am+nにおいて,An=Xn,J=0 ,およびAn=Xnd,J=1を代入したものです。

ただし,Xnのn=0 の項:X0については定義されていませんが,n→ 0 の極限でXnμexp(-inτ)→ X0μ(1-inτ)=xμ+lα0μτとなるとでも考えれば,X0μ≡xμ=lim n→0(ilαnμ/n)とか何とかで定義可能と思えます。

 

しかし,[Lmn]=-nαm+nを用いると,n→ 0 の極限を先に取るか後で取るか次第で,[Lm,X0]=-ilαm=-mXmであると考えるべきか,[Lm,X0]=0 であると考えるべきか微妙ですね。

 

(訳注41終わり)※

(後で,ゲージ固定に必要なFPゴースト(Fadeev-Popov ghost)を論じる際には,ゴーストcの座標はJ=-1を反ゴーストbのそれはJ=2を持つことを見ることになります。)

 

ある明確なJの値について,[Lm,A(τ)]=exp(imτ){-i(d/dτ)+mJ}A(τ)のように変換する演算子は一定の共形次元を持つといわれますが,それらはヴィラソロ代数の下で"うまく"変換するものです。

 

(一般には,このように一定の共形次元を持つ演算子の方がむしろ特殊であり珍しいものです。)

 

短かいですが今日はここまでにします。 

参考文献:M.B.Green,J.H.Schwarz,& E.Witten著「superstring theory」(Cambridge University Press)

 

PS:別にP&Gという会社のまわしものじゃないですが,ここのところ「ジョイ」という台所用洗剤を使ってみて,今まで使っていた洗剤と比べてかなり気に入りました。。。

 

 ここは個人の日記ですからCMではないし,万人にとっていいかどうかはわかりませんが,ウソじゃなく私がいいと思ったものをいいと書いて文句を言われる筋合いはないですね。。←何突っ張ってるんだ?ソデの下でも当てにしてんのかい?

 

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2009年4月13日 (月)

超弦理論(19)(2-8)

超弦理論(superstring theory)の続きです。

 

ツナギ,ツナギと言いながら,ずーっとこればっかしですみません。今は丁度季節的に「木の芽どき」でもあり,なぜか精神に余裕がなくブログも滞りがちです。

 さて,ヴィラソロ条件(Virasoro-condition)(Lm-aδm0)|φ>=0 (m≧0)が課された場合,負ノルムの物理的状態が全く存在しないことを保証するような定数パラメータaと時空次元Dの満たすべき条件について予備的な検査をしてみます。

結果として,aとDのある領域では負ノルム状態が存在し,他の領域では負ノルム状態は全く存在しないという結論が得られます。

 

以下,その内容を詳述します。

 物理的ヒルベルト空間に全く負ノルム状態がないようなパラメータaとDの領域を記述するためには,ゼロノルムの物理的状態を探すことが非常に有用な手段になります。

物理的ヒルベルト空間が非負定値ノルムを持つ領域から負ノルムを持つ領域までを横切ってaとDを変動させれば,それら2つの領域間の境界にはゼロノルムを与える物理的領域が存在すると考えられます。

 そして後述する理由のために,これらある意味では余分のゼロノルム状態が重要な物理的原理に関連付けられ,最も関心のある物理的ヒルベルト空間が発展する際のゴースト状態の縁にある臨界の場合に相当するという結論を得ることになります。

 以下の理論展開では開弦のみを対象にしますが,振動子とヴィラソロ条件を二重にすれば,閉弦の話もほとんど同じです。

 

 実際,拘束Σn=1α-nαn=Σn=1α~-nα~nを除けば,閉弦のn番目の質量レベルは左移動演算子から作られる物理的状態のヒルベルト空間の元と,右移動演算子から作られる物理的状態のヒルベルト空間の元のテンソル積で表現されます。

したがって,左移動と右移動の物理的状態は開弦の物理的状態と全く同等ですから,負ノルム状態を探すという今の論題においても開弦と同等であり,開弦のみが対象の理論展開は,そのまま閉弦にも当てはまるといえます。

さて,運動量kμを持つ開弦の基底状態を|0;k>で記述します。

 

このとき,L0=(-1/2)Σ-∞α-nαn=-α'p2-Σn=1α-nαn,およびp2|0;k>=k2,かつαn|0;k>=0 によって,質量殻条件(L0-a)|0;k>=0,またはL0=aは,α'k2=-aなる等式を意味します。

 

(パラメータα'は後に1/2と置きます。)

基底状態|0;k>からの第1励起レベルの状態ξα-1|0;k>を考えます。ここで,ξ=ξμ(k)はゲージ拘束を考慮する前には,D個の独立成分を持つ偏極ベクトルであり,ξα-1|0;k>なる状態は,詳しく表現すればξμ(k)α-1μ|0;k>です。

この第1励起状態に対して,質量殻条件L0=-α'p2-Σn=1α-nαn=aは-α'k2=a-1を与えます。

 

また,L1補助条件L1(ξα-1)|0;k>=0 は,L1=(-1/2)Σ-∞α1-nαnによって,ξk=ξμμ=0 を与えます。

 

後者のξk=ξμμ=0 は,ゲージ拘束条件であり,D個の成分を持つ一般のベクトルξ=(ξμ)において,実際に許される独立な偏極の数は(D-1)個であることを示しています。

状態:ξα-10;k>のノルムは,-ξ2=-ξμξμです。そこで,特に,ベクトルk=(kμ)が(0,1)平面内にある,つまりk=(kμ)=(k0,k1,0,0,..,0)であるような座標系を選択すれば,kに垂直で空間的な偏極を持つ(D-2)個の状態は正のノルムを持ちます。

例えば,ξ=μ)=(0,0,1,0,0,..,0),(0,0,0,1,0,..,0),..,(0,0,0,0,0,..,1)のような(D-2)個の空間的偏極ベクトルを考えることができます。

そして,もしも状態がk2=M2<0 のタキオンなら,ベクトルkは空間的なので時間成分k0がゼロであるようにkの座標を選ぶことができます。すると,最後の(D-1)個目の状態の偏極ξ=(ξμ)は時間的(time-like)であり,-ξ2=-ξμξμ<0 となってノルムは負になります。

すなわち,ξk=ξμμ=0 を与える最後の偏極ベクトルとして例えば,ξ=(ξμ)=(1,0,0,0,0,..,0)と取ることができるわけです。

一方,もしもk2=M2>0 なら最後の(D-1)個目の状態のξも他の(D-2)個の状態と同じく空間的で,偏極ξは-ξ2=-ξμξμ>0 を満たし正のノルムを持ちます。(例えばξ=(ξμ)=(0,1,0,0,0,..,0)と選べます。)

最後に質量がゼロ,つまりk2=M2=0 (光的)なら(0,1)平面内のベクトルkの成分はk0=±k1となります。

 

このとき,ξμμ=ξ00-ξ11=0 なる必要条件から,(D-1)個目の偏極ベクトルはξ=(ξμ)=(ξ01,0,0,..,0),ξ0=±ξ1,例えばξ=(ξμ)=(1,1,0,0,0,..,0)と選ぶことができて,-ξ2=-ξμξμ=0 となり,この状態のノルムはゼロです。

以上から,-ξ2=-ξμξμ<0 によって負ノルムが生じない条件はベクトルkが空間的または光的であること,つまりk2=M2≧0 であることが必要と考えられます。

 

この条件は,等式-α'k2=a-1 により,a-1≦0 を意味します。よって,ゴーストが存在しないための最初の条件:a≦1が得られます。

特に,この条件の境界のa=1 の場合には,スカラー基底状態|0;k>はα'k2=-a=-1 により,k2=M2=-1/α'<0 のタキオン状態ですが,最初の励起状態であるξα-1|0;k>ではk2=M2=0 となるので,これの示すベクトル粒子の質量はゼロです。

質量がゼロのベクトル粒子のケースにはL1補助条件:L1(ξα-1)|0;k>=0 ,またはξk=ξμμ=0 は丁度質量がゼロの光子(電磁場Aμ)のQED(量子電磁力学)における共変ゲージ条件∂μμ=0 に対応しています。

そして,丁度,QEDの共変グプタ・ブロイラー(Gupta-Bleuler )量子化での∂μμ=0 と同じように,L1補助条件ξk=ξμμ=0 は"横偏極を持つ(D-2)個の正ノルム状態=(D-2)個の横波状態"と1個のゼロノルムの縦波状態:ξμ=kμを許される偏極として残します。

そして,観測にかかるS行列からは最後の縦波のゼロノルム状態が解離することを示す必要があります。

場の理論では縦波ゼロノルム状態の解離はゲージ不変性とカレントの保存から導かれましたが,弦理論でもこのことを具体的に証明することは可能です。

 

(第1章序文(introduction)では重力のワード・高橋恒等式(Ward-Takahashi identity)の項目の議論で,これを証明する1つのアプローチをスケッチしました。)

しかし,我々は今のところ明らかにされているより深い構造について不完全な理解にしか到達していません。

aが臨界値a=1を取るときの最初の励起レベルξα-1|0;k>は,一般には無限個存在する"ゼロノルム状態=ヌル状態"の最初の例を与えています。この特殊な励起状態に関して見出される結果は,以下の考察によって一般化することができます。

任意の状態|φ>は,それが拘束:Lm|φ>=0 (m>0),かつ(L0-a)|φ>=0 を満たすなら物理的状態と呼ばれます。

 

一方,(L0-a)|ψ>=0 に従う状態|ψ>が,あらゆる物理的状態|φ>と直交するとき,すなわち,|ψ>が全ての物理的状態|φ>に対して<φ|ψ>=0 を満たすなら,これは"擬似状態"であるといわれます。

任意の擬似状態|ψ>は,(L0-a+n)|χn>=0 に従う状態|χn>を用いて,常に|ψ>=Σn>0-nn>と表わすことができることがわかります。

(訳注30):(L0-a)L-nn>={[L0,L-n]+L-n(L0-a)}|χn>=L-n(L0-a+n)|χn>=0 より,|ψ>=Σn>0-nn>なら(L0-a)|ψ>=0 であって,|φ>が物理的状態なら,n>0 のときLn|φ>=0 ですから,<φ|L-nn>=<χn|Ln|φ>*=0 となります。

 

 そこで,|ψ>=Σn>0-nn>と表わせることは|ψ>が擬似状態であるための十分条件になっています。

 

 (訳注30終わり)※

|ψ>=Σn>0-nn>の右辺の無限級数は実際にはn≧3 に対する項:L-nn>のL-nをL-1とL-2の交換子の繰り返しによって表現することができることがわかります。

すなわち,例えばL-3~[L-1,L-2]なる同一視が可能であり,L-4はL-1,L-2,L-3で表現できるので,|ψ>=Σn>0-nn>は右辺を短縮して切り取った表現として|ψ>=L-11>+L-22>,(L0-a+1)|χ1>=0,(L0-a+2)|χ2>=0 と簡単に書くことができるわけです。

(訳注31):(L0-a+3)|χ3>=0 を満たす|χ3>に対して|χ1>≡L-23>,|χ2>≡-L-13>と置けば,(L0-a+1)|χ1>=0,(L0-a+2)|χ2>=0 が満たされ,L-11>+L-22>=[L-1,L-2]|χ3>=L-33>が成立します。

そこで,L-33>はL-33>=L-11>+L-22>なる形で表現されることがわかります。

 

そして,n≧4のL-nn>もこうした [L-1,L-2],[[L-1,L-2],L-1]etc.のような交換子の繰り返しの組み合わせによってL-nn>=L-11>+L-22>なる形に表現可能であると予想されます。

 

(訳注31終わり)※

|ψ>=Σn>0-nn>,あるいは|ψ>=L-11>+L-22>は確かに全ての物理的状態|φ>と直交します。なぜなら,<φ|ψ>=Σm=12<φ|L-mm>=Σm=12<χm|Lm|φ>*=0 となるからです。

任意の擬似状態|ψ>が(L0-a+n)|χn>=0 に従う状態|χn>を用いて|ψ>=Σn>0-nn>と表わすことができること,したがって(L0-a+1)|χ1>=0,(L0-a+2)|χ2>=0 に従う状態|χ1>,|χ2>を用いて|ψ>=L-11>+L-22>の形に表現できることを見るために,|ψ>が|ψ>=Σn>0-nn>の形なら演算子:O≡|ψ><ψ|があらゆる物理的状態を消滅させることに着目します。

(既に,|ψ>=Σn>0-nn>が擬似状態であるための十分条件であることは示しましたが必要条件であることを示します。)

(訳注32):(訳注30)で既に示したように,任意の物理的状態|φ>について<φ|L-nn>=<χn|Ln|φ>*=0 が成立しますから,O|φ>=Σm,n>0-mm><χn|Ln|φ>=0 です。

 

 つまり演算子O≡|ψ><ψ|は,全ての物理的状態を消滅させます。

 

 (訳注32終わり)※

一般的な物理的状態に対する唯一の制限はm>0 の任意のLmによって消滅させられることですから,Oが任意の物理的状態を消滅させるということは演算子群:X-nを係数としてO=Σn>0-nnと展開できることを意味します。

O=|ψ><ψ|なので,これは任意の擬似状態|ψ>が(L0-a+n)|χn>=0 に従う状態|χn>を用いて|ψ>=Σn>0-nn>と表わせることを示しています。

(訳注33):|ψ><ψ|=Σn>0-n-nより,<x|ψ>≠0 なる任意の状態|x>に対し<x|ψ><ψ|=Σn>0<x|X-nnです。これのエルミート共役を取ると,<ψ|x>|ψ>=Σn>0-n-n|x>です。故に|ψ>=Σn>0-n-n|x>/<ψ|x>です。

そこで,|χn>≡X-n|x>/<ψ|x>と定義すれば,|ψ>=Σn>0-nn>となります。さらに,(L0-a)|ψ>=0 なる仮定によって(L0-a+n)|χn>=0 が成立することもわかります。

 

(訳注33終わり)※

さて,擬似状態|ψ>が物理的状態でもあるときには,何か特別のことが生じます。|ψ>は擬似状態なので全ての物理的状態|φ>と直交しますから<φ|ψ>=0 ですが,物理的状態でもあるので,Lm|ψ>=0(m>0),(L0-a)|ψ>=0 を満たします。

それ故,特に自分自身とも直交しますから<ψ|ψ>=0 です。あるいは|ψ>=Σn>0-nn>と表わせば,<ψ|ψ>=Σm>0<χm|Lm|ψ>=0 です。

 

よって,こうした擬似状態かつ物理的状態である状態|ψ>はゼロノルムを持つことがわかります。これらをヌル物理的状態と呼びます。

特に,Lm|χ~>=0 (m>0),(L0-a+1)|χ~>=0 を満たす任意の状態|χ~>によって|ψ>≡L-1|χ~>なる形の擬似状態を作ると,これのノルムは<ψ|ψ>=<χ~|L-1|ψ>=0 となるので,これはゼロノルム状態となっています。

|χ~>は演算子α0μの固有状態としてはゼロ運動量状態:|0;0>であることも可能ですが,任意の状態はpμだけシフトできます。

|ψ>≡L-1|χ~>はさらに擬似状態であることに加えて,L1|ψ>=0なるL1補助条件を除いて物理的状態であるためのあらゆる条件を満足しています。

 

そして,アノマリーを含むヴィラソロ代数[Lm,Ln]=(m-n)Lm+n+(D/12)(m3-m)δm+nを用いると,L1|ψ>=L1-1|χ~>=2L0|χ~>=2(a―1)|χ~>となります。そこで,a=1ならL1|ψ>=0 も満足されます。

しかし,D=26次元ではゼロノルム状態の数はもっと劇的に増加します。これは,|ψ>≡(L-2+γL-12)|χ~>なる構造を持つ擬似状態を考えることで発見できます。ただし,a=1とし|χ~>は(L0-a+2)|χ~>=(L0+1)|χ~>=0 を満足するとします。

 

これから,擬似状態であるための条件であり物理的状態であるための条件の1つである(L0-a)|ψ>=(L0-1)|ψ>=0 が確かに満たされていることがわかります。

さらに,|ψ>は明らかにm≧3のLmによっては消滅されるので,アノマリーを含むヴィラソロ代数:[Lm,Ln]=(m-n)Lm+n+(D/12)(m3-m)δm+nを用いて,|ψ>が残りの条件L1|ψ>=0,L2|ψ>=0 をも満足することが可能かどうかを調べます。

簡単な計算によって,これら2つの条件は3-2γ=0 とD/2-(4+6γ)=0 を与えることがわかります。これから,γ=3/2,D=26が得られます。

(訳注34):L1|ψ>=(L1-2+γL1-12)|χ~>=(3L-1+2γL-10)|χ~>=(3-2γ)L-1|χ~>=0より3-2γ=0 です。また,L2|ψ>=(L2-2+γL2-12)|χ~>=(4L0+D/2+6γL0)|χ~>={D/2-(4+6γ)}|χ~>=0 よりD/2-(4+6γ)=0を得ます。

 

 (訳注34終わり)※

そこで,|ψ>={L-2+(3/2)L-12}|χ~>とすれば,これは擬似状態かつ物理的状態ということになります。もちろん,<ψ|ψ>=<χ~|L2+(3/2)L12|ψ>=0 となっています。

こうして,a=1,D=26の場合には|ψ>={L-2+(3/2)L-12}|χ~>の形のはるかに多くのゼロノルム物理的状態が存在することがわかりました。

 

前の|ψ>=L-1|χ~>のゼロノルム物理的状態とは異なり,この2番目のタイプの状態のノルムはD=26のときに限ってゼロになります。

|ψ>={L-2+(3/2)L-12}|χ~>の形の最初の例としては,{L-2+(3/2)L-12}|0;p>なる形が考えられます。

 

計算すると,これは|ψ>={L-2+(3/2)L-12}|0;p>={-(1/2)α-1α-1-(5/2)pα-2+(3/2)(pα-1)2}|0;p>と書けます。

 

ただし,a=1であり|χ~>=|0;p>は(L0+1)|0;p>=(-p2/2+1)|0;p>=0 を満たすのでp2=2です。この|ψ>のノルムは(D-26)/2となるので,予期したようにD=26で消えます。

(訳注36):L-2=(-1/2)Σn=-∞α-2-nαn,L-1=(-1/2)Σn=-∞α-1-nαnです。そこで,L-2の右辺の級数で状態L-2|0;p>にゼロでない寄与をする項はn=0,-1,-2の項だけです。

 

 それ故,L-2|0;p>=(-1/2)(α-2α0+α-1α-1+α0α-2)|0;p>={-(1/2)α-1α-1-α-2α0}|0;p>={-(1/2)α-1α-1-pα-2}|0;p>となります。

 一方,L-1の右辺の級数の項でL-12|0;p>にゼロでない寄与をするのはn=0,1,-1,-2の項だけです。

 

 L-12|0;p>=(1/4)(α-1α0+α-2α1+α0α-1+α1α-2)(α-1α0+α-2α1+α0α-1+α1α-2)|0;p>=(1/4)(α-1α0+α-2α1+α0α-1+α1α-2)(α-1α0+α0α-1)|0;p>=(α-1α0)2-α-2α0)|0;p>={(pα-1)2-pα-2}|0;p>となります。

 そして,|ψ>={-(1/2)α-1α-1-(5/2)pα-2+(3/2)(pα-1)2}|0;p>より,|ψ>のノルムは<ψ|ψ>=(1/4)<0;p|α1μαα-1να-1ν|0;p>+(25/4)p2<0;p|α2α-2|0;p>+(9/4)pμνρσ<0;p|α1μα1να-1ρα-1σ|0;p>-2(3/4)<0;p|α1μανα-1νρα-1ρ|0;p>となります。

 この式の右辺の第1項は,(1/4)<0;p|α1μαα-1να-1ν|0;p>=-(1/2)ημν<0;p|α1μα-1ν |0;p>=(1/2)ημνημν=(1/2)Dとなり,第2項は(25/4)p2<0;p|α2α-2|0;p>=-(25/2)p2=-25となります。

 

 また,第3項は(9/4)pμνρσ<0;p|α1μα1να-1ρα-1σ|0;p>=(9/2)(p2)2=18,第4項は-2(3/4)<0;p|α1μανα-1νρα-1ρ|0;p>=-3p2=-6 となりますから,結局<ψ|ψ>=(1/2)D-25+18-6=(1/2)D-13=(D-26)/2 です。

 

 (訳注36終わり)※

 時空次元が26より小さいとき,すなわちD<26のときには,|ψ>のノルム:<ψ|ψ>=(D-26)/2が負になるという事実は重要ではありません。というのは,D<26の場合には|ψ>={L-2+(3/2)L-12}|0;p>はL1|ψ>=0 を満足しないので物理的状態ではないからです。

 現実に負ノルムの物理的状態が出現するのはD>26の場合です。例として|φ>={c1α-1α-1+c2pα-2+c3(pα-1)2}|0;p>なる形の状態|φ>を考えます。ただし,(L0-a)|φ>=(L0-1)|φ>=0 が満たされるようにp2=2とします。

 簡単な計算から,この状況で状態|φ>がL1|φ>=L2|φ>=0 に従うのは,c2=c1(D-1)/5,c3=c1(D+4)/10 のときであることがわかります。

(訳注37):α02=p2=2 とすると,0α-1α-1|0;p>={(-1/2)α02-α1α-1-1α-1|0;p>=(-1+2)α-1α-1|0;p>=α-1α-1|0;p>です。

 

 それ故,L0(pα-1)2|0;p>=(pα-1)2|0;p>も成立します。また,L0α-2|0;p>={(-1/2)α02-α2α-2-2|0;p>=α-2|0;p>も成立します。

 

 以上から,p2=2 で|φ>={c1α-1α-1+c2pα-2+c3(pα-1)2}|0;p>なら,0|φ>=|φ>なる等式が成立し,確かに(L0-1)|φ>=0 なる条件が満たされることがわかります。

次に,L1=(-1/2)Σn=-∞α1-nαnなので,L1α-1α-1|0;p>=-α0α1α-1α-1|0;p>=2α0α-1|0;p>=2(pα-1)|0;p>です。

 

同様に,L1(pα-1)2|0;p>=-α0α1(pα-1)(pα-1)|0;p>=2p2(pα-1)|0;p>=4(pα-1)|0;p>,L1(pα-2)|0;p>=-α-1α2(pα-2)|0;p>=2(pα-1)|0;p>です。

そこで,L1|φ>=0 なる条件が満たされるためには2c1+2c2+4c3=0,すなわちc1+c2+2c3=0 が成立する必要があります。

一方,L2=(-1/2)Σn=-∞α2-nαnですから,L2α-1α-1|0;p>=(-1/2)α1α1α-1α-1|0;p>=-D|0;p>,L2(pα-1)2|0;p>=(-1/2)α1α1(pα-1)(pα-1)|0;p>=p2|0;p>=2|0;p>,L2(pα-2)|0;p>=-α0α2(pα-2)|0;p>=2p2|0;p>=4|0;p>ですから-c1D+4c2+2c3=0 を得ます。

そして,連立方程式:c1+c22c3=0,-c1D+4c2+2c3=0 を解けば,c2=c1(D-1)/5,c3=c1(D+4)/10 が得られます。

 

(訳注37終わり)※

この場合,|φ>={c1α-1α-1+c2pα-2+c3(pα-1)2}|0;p>のノルムを計算すると,<φ|φ>=2c12D-4c22+8c32-8c13=2c12(D-1)(26-D)となります。

 

それ故,D>26の場合には物理的スペクトルの中にゴーストが存在することになります。

後に証明される一般的規則では,a=1,かつD=26,またはa≦1,かつD≦25であれば物理的状態のスペクトルはゴーストを持たないということがわかります。

a=1,かつD=26の場合には多くの余分なゼロノルム状態が存在し,物理的状態のスペクトルはα振動子の"(D-2)個=24個"のセットによって生成されるものと同数の伝播モードを持ちます。

 

一方,後者のa≦1,かつD≦25の場合にはゼロノルム状態ははるかに少なく,物理的状態のスペクトルは"(D-1)個≦24個"のセットから生成されます。

また,a=1,かつD=26の場合には弦は横波励起のみを持ち,一方,a≦1,かつD≦25の場合には横波だけでなく縦波モードも有するともいえます。こうした事実は「ゴースト非存在の定理(no-ghost theorem)」の証明に関連して出現してきます。

ここでの定式化での自由理論の研究だけからは時空次元が26に等しくなければならないと結論付けることはできません。

その理由は,理論がD=26に対してゴーストを持たないなら,そのαnμ振動子(μ=0,1,2,..,25)が例えばμ=25の基底状態,つまり成分αn25がゼロの状態から成るD=25の部分空間もまたゴーストを持たないからです。

この定式化においてツリーレベルで示すのが可能と思われる最大のことは,D=26の空間が最も自然であり,D<26の空間は全体の26次元空間に属しそれから任意に切り取った部分空間であろうということです。

D=26のみに存在する余分なゼロノルム状態の発見が,このことの第一のしるしです。というのは,このゼロノルム状態は非常に便利な意味を持つからです。

前に述べた質量がないベクトルメソンの縦波モード状態の解離のように,物理的に有意な理論においてはゼロノルム状態は場の理論のゲージ不変性に類似したある根底的な原理によってS行列から分離される必要があります。

そこで,D=26に対して余分なゼロノルム状態が発生することは,この理論が拡張されたゲージ不変性を持ち,最も興味深い可能性を含む理論であることを示唆していると思われます。

 

同様に,正確にa=1に対してゼロノルム状態の無限個の連鎖があることも,これが最も興味深いケースであることを暗示しています。

そこで,以下に続く節では,試しに開弦の基底状態をa=1に対応した平方質量が-2のタキオンと考え,第1励起レベルを質量がゼロのベクトルメソンと考えます。

 

こうした質量がゼロのゲージ粒子の存在は臨界次元における弦理論の非常に特別な性質の1つの側面を示していると言えます。

今日はここまでにします。 

参考文献:M.B.Green,J.H.Schwarz,& E.Witten著「superstring theory」Cambridge University Press)

 

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