114 . 場理論・QED

2018年5月28日 (月)

対称性の自発的破れと南部-Goldostone粒子(20)

※16日から入院中ですが,ネットにアクセスが可能で,この 

項目はこれで終わる予定だったため,予め,病院まで 

持参していた参考ノートから原稿書きをしました。
 

さて,「対称性の自発的破れと南部-Goldostone粒子(19) 

から§6.7 Weinberg-Salam模型の続きです。
 

前回の最後では,小林・益川がクォーク2世代だけでは,模型に 

CPの破れを導入できないことに注目し,Ffが複素数となる 

自由度を得るために第3世代クォークの必要性を指摘した。 

というところで終わりました。
 

一般にクォークがn世代のときはqとq2n個あるため 

n×n複素行列:Ffのn2個の実パラメータ(22からn2個の 

ユニタリ条件:ΣFfFf=δffのn2を引いてn2) 

のうち,(2n-1)(とq2n個から全体の位相1を引く) 

は吸収できて,(22n+1)=(n-1)2個が残ります。
 

一方, n×n行列:Ffが実行列であれば,ユニタリ行列は回転の 

直交行列を意味し,その条件はΣFfFf=δff,これは 

{n+n(n-1)/2}個の独立条件なので,独立パラメータは

(n-1)/2個です。
 

以上から,n×n混合行列行列:Ffはn(n-1)/2の実回転角: 

θi(一般化Cabbibo)(n―1)(n-2)/2個の位相因子:δi 

(小林・益川位相)を含むことがわかります。
 

後者の位相因子:δirxp(iδj)が問題のCPを破る位相因子で, 

果たして,その個数はn=1,2ではゼロでn=33世代で初めて 

1個現われることになります。
 

小林・益川自身はCPの破れの起源として,このn×n混合行列 

の位相以外にも,例えばHiggs2重項を2種以上導入して,その間 

の相互作用項に位相を与える可能性も指摘しています。
 

※アノマリーの相殺

古典論の段階で存在するカレントの保存が量子論(loopグラフ) 

段階で成立しないことがあり,その現象を一般にアノマリー

(anomaly)(量子異常)と呼びます。
 

これは,くり込みなどの項目を論じた後の章で一般論として詳論 

する予定ですが,Weinberg-Salam模型に関わる部分だけを簡単に 

述べます。
 

Fermion場がカイラル(左手型,or 右手型)の場合には 

6.14に示した三角形のloopグラフがカイラルアノマリー 

を引き起こします。
 

ゲージ理論においては,ゲージ場の結合するカレントに,この 

アノマリーが存在すれば,ゲージ対称性,それ故,BRS対称性 

が壊され,S行列のユニタリ性,引いては理論のくり込み可能性 

まで成立しなくなります。
 

Weinberg-Salam模型は,正にカイラルFermionに結合するゲージ 

理論ですから,このアノマリーの危険性を孕んでいますが,実は, 

大変うまい具合にアノマリーへのレプトンの寄与とカラー 

3自由度のクォークの寄与が相殺します。
 

これを以下で説明します。
 

後章で示すように,一般に群Gのゲージ場Aμが表現T

属する左手型Fermion:Lと表現Tに属する右手型Fermin:

とに,int=Aμ(~γμL+R~γμ),結合

しているとき,ゲージ場:μ,ν,ρの3点頂点に対する

6.14のアノマリー,

abc=Tr[{,}]-Tr[{,}] 

=Tr(L-R)[{,}]に比例することがわかります。


 

今のWeinberg-Salam模型の場合,ゲージ場はSU(2)×U(1) 

(μ,μ)であり,AAA,AA,BB,BBBの4つの 

タイプのアノマリーを調べる必要があります。
 

μの結合する行列:は弱アイソスピンで,これは左手型の 

SU(2)-2重項の場合は(τ/2),右手型Fermionではゼロ 

です。また,μが結合するのは,弱超電荷:Yです。
 

そこで,AAAアノマリーはSU(2)×2重項ごとに. 

r[{τi,τ}τ]2δijr(τ)0に比例するので存在 

しません。
 

ABBタイプもTr(τ)0でTrもゼロですから 

r[YYτ]=Y2r(τ)0です。
 

AABアノマリーはTr(L-R)[{,}] 

(1/)r[{τi,τj}](δij/2)r() 

(δij/2)r( (Q-τ/2) (δij/2)r( ()
 

それ故,AABアノマリーは左手型Fermionの電荷の総和に 

比例します。
 

最後のBBBアノマリーは, 

r(L―R)(YYY)=Tr(L―R)[(Q-T)3] 

=Tr(L―R)()(3/4)r(Qττ)に比例します。
 

ところがTr(L―R)()は左手型Fermionと右手型Fermionの差 

,電荷は同じQについて左手型Fermionと右手型Fermion 

必ず,対で存在するので,相殺してゼロです。
 

そこでBBアノマリーもまた左手型Fermionの電荷の総和に 

比例します。
 

ここでレプトンの電荷は各世代ごとに 

(νe)+Q()=Q(νμ)+Q(μ)=Q(ντ)+Q(τ)=-1 

です。
 

一方,カラークォークの電荷は各世代ごとに 

3×{()+Q()}3×{()+Q()}

3×{()+Q()}3×(2/31/3)=+1です。
 

したがって,レプトンとクォークの寄与が相殺して.アノマリーは 

現われないことになります。
 

この相殺のために,クォークとレプトンの対応が常に成立している 

必要があります。発見されていないtクォークはこのためにも存在 

しなければなりません。(※実は,1995年に発見されました。)
 

このクォークとレプトンの対応やアノマリーの相殺は

Weinberg-Salam模型では全く偶然的なことに過ぎませんが,

クォークとレプトンの間により深い関係だあることを示唆

しています。このことがSU(5)SO(10)などのゲージ群

に基づく大統一理論(grand unified theory)への1つの大きな

動機になったのです。
 

※電荷の普遍性
 

Weinberg-Salam模型での電荷の普遍性(charge universality)

の問題に,こで触れておきます。
 

電荷の普遍性とは光子の荷電粒子との質量殻上での合定数が,

厳密に普遍的であるかどうか?いうことです。
 

例えば電子(またはμ粒子)の電荷は陽子の電荷=結合定数と

非常な高精度(逆符号で)一致していることが知られています。
 

この問題はU(1)群に基づくQEDの場合は,ほとんど自明でした。 

(1)群の場合はWT恒等式が非常に簡単で,それから直ちに,

荷電粒子:φiの裸の結合定数:i0(つまり,Lagtrangian

現われる結合定数)観測される質量殻上の結合定数:iとが

比例するという関係が容易に導かれます。
 

先に述べたWT恒等式: 

-<0|[ψi()ψ~j()i()]|0 

=<0|[(i)()()ikψ()ψ~j()~()|0 

+<0|[ψi()igψ()()()j~()|0
 

ここで,(1)ゲージの場合はg=e0,=Qなので, 

[,ψi]=-()ijψ=-qiψi,つまり()ijψ=qiψi
 

そこで,-<0|[ψi()ψ~j()i()]|0 

=-i0i0|[()ψi()ψ~j()~()|0 

i0i0|[ψi()ψ()()~()|0
 

これは,ψi,ψjの同次式ですから,これらは既にくり込まれた 

Heisenberg場としていいです。
 

さらに,BはF.T<0|[()μ()]|0>=kμ/2のみを

ゼロでない連結Green関数として持ち,

μ=Z31/2renμ ⇔ Arenμ=Z1-1/2μ 

より,左辺=(i3-1/2μ/2)i'(p-k)

(iΓrenμi)i'() 

となります。
 

一方,,~QEDでは自由場ですから, 

.T<0|[()~()]|0>=-1/2です。
 

故に,右辺=i0i(-1/2){i'()i'(p-k)}
 

よって, 

3-1/2μΓrenμi=e0i{i'-1()i'-1(p-k)} 

これと,光子の質量殻近傍ではS'-1()-m, 

Γrenμ ~ γμから,i=Z31/20iを得ます。 

(証明終わり)
 

つまり,i=Z31/2i0=Z31/20iです。
 

ここで,3は光子場のくり込み定数で,iは裸の結合定数: 

ei0ei0e0iで与えられる荷電粒子の生成演算子φ 

運ぶ電荷演算子Qの量子数です。 

すなわち,[,φ]=qiφです。
 

3,30は荷電粒子φiと無関係な定数なので 

i=Z31/20iは電荷の普遍性を証明しています。
 

すなわち,質量殻上の結合定数eiは量子数qiに普遍的 

比例定数で比例していること,特に量子数qiの荷電粒子 

は等しい質量殻上の結合定数を持つことを示しています。
 

ところが,Weinberg-Salam模型では,WT恒等式はかなり 

複雑になり,それを直接用いることによって,求めるべき 

比例関係:i(定数)×ei0(定数)×e0iを導く 

のは容易なことではありません。
 

事実,Landauゲージ(α=0)以外では,この方法での証明 

は過去に与えられていないようです。
 

そこで,ここでは"Maxwell方程式"を用いたより強力な 

証明法を紹介します。
 

この方法では,Weinberg-Salam模型のSU(2)×U(1) 

の大局的不変性を尊重する任意の共変的ゲージ: 

GF=-(μ)μ+(1/2)α0の下で 

i(定数)×ei0(定数)×e0iが証明できます。
 

ここで群の添字:aはU(1)に対応する0から, 

SU(2)に対応する1,2,3まで走るものとします。
 

したがって,0μ,Lゲージ場(1/4)(μν-∂νμ)2 

(1/4)(μν-∂νμ)2,μと記したU(1) 

ゲージ場を表わすとします。
 

ここで以前に与えた"Maxwell方程式"により, 

ννμ=gJμ{,μ~}(a=1,2,3) 

ν0νμ=g0μ{,μ~0}です。
 

SU(2)×U(1)対称性はU(1)EMへと自発的に 

破れているので最終的には唯一の電荷演算子, 

つまり電磁的電荷演算子:Qのみが無矛盾となります。
 

量子数の関係式:Q=T3+Y(※これは正確には粒子φiごと 

の量子数間の関係式:qi=τ3+yiであり,場の理論の 

演算子:,3,Yの関係式ではないことに注意,実際, 

自発的対称性の破れのために, 3,やYなどは無矛盾 

な演算子としては存在しないことに注意されたい。)
 

そうして,"Maxwell方程式"のa=3成分と0成分の 

次の線形結合を考えます。 

ννμ=e0(3μ+J0μ){,μ^μ}, 

νμ('3νμ+gF0νμ)/(2+g'2)1/2, 

^μ('μ~3+gDμ~0)/(2+g'2)1/2 

です。
 

ここでe0=gg'/(2+g'2)1/2は先には電磁結合定数: 

eと定義したものと同じですが,に現われる裸の結合定数 

であることを強調するためe0と記しました。
 

この線形結合: 

ννμ=e0(3μ+J0μ){,μ^μ}では 

実際,νμ,場についての線形な部分が, 

丁度,先にZμと同時に与えた電磁場: 

μ(gA3μ+g'0μ)/(2+g'2)1/2 

νA-∂μνに一致しており, (3μ+J0μ)は例えば 

物質場部分の電磁相互作用カレント(leptonμ+jquarkμ) 

に一致しています。
 

すなわち,形式的電荷演算子;∫d3(30+J00) 

正準交換関係を用いて,正しく電磁的電荷量子数:i 

をカウントする[,φ]=qiφを再現します。
 

しかしながら,既に詳述したように(30+J00)には, 

素4重項メンバーβ(a=3,0)のある線形結合βの 

零質量1粒子項:μβの寄与が存在するので,3次元 

積分の収束する無矛盾な電荷演算子Qとしては, 

Q=∫d3[(30+J00)-ω∂kk0] 

∫d3xJEM0としなければなりません。
 

k0はFνμ(,0)成分で,零質量電磁場:Aμを含んで 

いるので∂ννμ,上の零質量素4重項の1粒子状態; 

μβをある重みで含み,係数ωは(30+J00)の含む 

μβを丁度相殺するように選択されます。
 

(※このとき,ννμの含むβが,(30+J00)の含むβ3 

とβ0の線形結合:βと一致していることは,とにかく, 

電磁的量子数qiに対応するU(1)EM対称性が自発的破れ 

を起こさず残っているという仮定:つまり, 

Q=∫d3[(30+J00)-ω∂kk0] ∫d3xJEM0 

の形の(30+J00)を含む電荷が無矛盾なものとして存在 

するという仮定,から従う1つの必要条件です。)
 

ここでQ=∫d3xJEM0で定義されたカレント: 

EMμ(3μ+J0μ)-ω∂ννμを用いればMaxwell 

方程式は次の形になります。
 

すなわち,(1-e0ω)ννμ=e0EMμ|,^μ} 

です。この式を2つの任意の物理的1粒子状態:|i> 

|f>(phys)で挟めば, 

(1-e0ω)<f|ννμ()|i> 

=e0<f|EMμ()|i>を得ます。
 

ただし,|i>,|f>∈phys)より, 

<f||,^μ}|i>=0なることを用いました。
 

(1-e0ω)<f|ννμ()|i> 

=e0J<f|EMμ()|i>の両辺に∫d3exp(ikx) 

を掛けて計算し,μ0の極限を取ることを考えます。
 

NGボソンの低エネルギー定理と同様,μ0の極限で 

残るのはFνμチャネルの零質量1粒子,つまり,光子の 

つくる極部分だけです。
 

Heisenberg:νμ()に含まれる,くり込まれた光子の 

漸近場:asμ()の重みをYとすると,0→±∞で 

νμ()→Y{νasμ()-∂μasν()}.. 

です。ここでは無関係な質量を持つ粒子の漸近場の 

寄与である係数Yは, 

例えば2点関数:0|[νμ()ρσ()]|0>の 

20の留数から読み取れます。
 

νμ()→Y{νasμ()-∂μasν()}. 

,∫d4exp(ikx)0|[νμ()asρ()]|0 

=-Y(νμρ-kμνρ)/2を意味していること 

に注意すれば, 

limk→0∫d4x<f|ννμ()|i>(1-e0ω) 

=Y(1-e0ω)limf→pi(2π)4δ4(f-pi)fi(i+pf)ρ 

なることがわかります。ただし,くり込まれた光子とi, 

3点頂点:Γ(3)μfiが質量殻k20の近傍では, 

ifi(i+pf)μの形を取ることを用いました。

このefi,|i>,|f>が不変規格化された状態のとき, 

質量殻上光子の物理的結合定数です。
 

一方,右辺はμ=0成分を考えると,無矛盾な電荷演算子 

Qが,Q=∫d3[(30+J00)-ω∂kk0] ∫d3xJEM0 

で与えられること,および,Qが電荷量子数qをカウント 

することを用いて次式を導きます。
 

limk→0∫d4exp(i00)exp(ikx)0<f|EM0()|i> 

=∫dx00<f||i> 

=e0iδfilimf→pi (2π)4δ4(f-pi)2i0です。
 

ただし,i|i>の電荷量子数であり,不変規格化条件: 

<f|i>=(2π)32i0δ3(fi) 

(※ただし,∫dx02πδ(f0-pi0))を用いました。
 

limk→0∫d4exp(i00)exp(ikx)0<f|EM0()|i> 

=∫dx00<f||i> 

=e0iδfilimf→pi (2π)4δ4(f-pi)2pi0 

のμ=0成分と比較して,fi{(1-0ω)}-1δfi0i 

を得ます。
 

この式は質量殻上の光子の結合定数efiが荷電粒子の種類 

に関して対角的であると同時にY,ωやe0が明らかにiやf 

に依存しない定数なので,これは, 

求める電荷の普遍性:i(定数)×ei0(定数)×e0i 

証明しています。
 

この証明法のいいところは物理的粒子:|i>,|f>が上でQ 

が消えることを用いたステップです。
 

<f||,^μ}|i>=0は複雑なWT恒等式に埋もれた 

必要な情報を非常に簡潔に取り出していることに相当します。
 

また,QEDの場合でも,もちろん上の証明が成立しています。
 

その場合は,単にSU(2)部分を消去し,(1)部分を残せば 

いいです。(※つまり,g=0,=1,2,3μ0,かつ, 

→e0,0μ→jμ=ψ~γμψとすればいいです。)
 

そうすれば, 

ννμ=e0(3μ+J0μ){,μ^μ},通常の 

QEDMaxwell方程式:ννμ=e0μ+∂μ, 

(νμ=∂νμ-∂μμ,B={,~})となり,この場合, 

上で問題にした零質量粒子βはNL場:Bです。
 

容易にわかるように∂ννμはBをZ3μ,だけ含むため,

 

0μはBを(31)μBだけ含み,したがってからωを 

求めることができます。 

すなわち,QEDの場合,(1-e0ω)31,0ω=1-Z3-1 

です。このQEDの場合には,次の漸近式: 

νμ()→Y{νasμ()-∂μasν()}.. 

において,Y=Z31/2なので, 

fi{(1-0ω)}-1δfi0iはefi=qiδfi31/20 

となるわけです。
 

最後に,上の証明は荷電粒子:|i>,|f>がLagrangian 

に現われる素な場である,ということを全く仮定してない点に

注意します。
 

それ故,|i>や|f>は,クォーク3体結合状態である陽子 

でもよく,その光子結合定数e陽子|電子|と一致すること 

を証明しています。第6章の「対称性の自発的破れ」の項目 

はこれで終わりです。
 

そこで,今回はここまでです。
 

(参考文献):九後汰一郎 著「ゲージ場の量子論() 

(培風館) 

 

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2018年4月28日 (土)

対称性の自発的破れと南部-Goldostone粒子(19)

「対称性の自発的破れと南部-Goldostone粒子(18) 

から§6.7 Weinberg-Salam模型の続きです。
 

※クォークの結合 

何百と存在するハドロン(Hadron=バリオン(Baryon:重粒子) 

とメソン(Meson:中間子))に関しては,それらをqqqやqq~ 

の結合状態として実現している基本構成子:クォーク(quark) 

:()を用いてLagrangian密度を書きます。
 

クォーク場:(),強い相互作用(QCD:量子色力学: 

:Quantum Color Dynamics)のカラーSU(3)以外にそれと 

直交する自由度:フレイバー(Flavor)の添字fを持っています。
 

以下では,カラー添字は省略します。
 

クォークのフレイバーの種類として,質量の順に軽い方から, 

(up),(down),(dtrange),(charm),(bottom)の5種 

が既に観測されており,後にわかる理由によって,もう1つ 

(top)があると考えられています。
 

これら6種のクォークの電荷は,eを単位として, 

,,tのq(F=1,2,3),Q=2/3,,,bのq 

(f=1,2,3)が Q=-1/3を与えられ,Q=2/3 

Q=-1/3の2系列に分けられます。
 

Q=2/3の系列を上系列(upper quarks)と呼んでq 

で表わし.Q=-1/3の系列を下系列(lower quarks) 

と呼んでqで表わすことにします。
 

これらのクォークの左手型成分はSU(2)-2重項, 

右手型成分はSU(2)-1重項とし,弱超電荷Yは,公式: 

Q=T3+Yで決めてSU(2)×U(1)の多重項を得ます。
 

[,d'],[,s'], [,b'] 

(Y=1/6),=u,=c,=t(Y=2/3), 

=d,=s,=b(Y=-1/3)です。
 

そこで,クォークもレプトンと同じく3世代構造 

になります。
 

レプトンと異なるのはSU(2)-2重項,の下成分;  

'=(d',s',b')(F=1,2,3),質量固有状態:  

(,,)(f=1,2,3),必ずしも一致せず, 

一般にユニタリ回転を受けてq'=Σf=13Ff 

となる点です。

このユニタリ回転Uの存在は.まだ3種のクォークu,, 

しか知られていなかった1960年代にまずCabbiboが導入 

したもので,続いて1970年に, 

Glashow-Illiopoulpus-Miani(GIM)が第4のクォ-クcを 

導入しクォーク2世代を完結させて

 と書きました。
 

回転角θCabbibo(Cabbibo angle)と呼ばれ,実験値 

ではsinθ0.22 です。
 

(※私が大学院に入学した1974年には(J/ψ)と呼ばれる新粒子 

が発見されましたが,当時は,正体が不明の未知の粒子でした。 

後にこれが,(charmクォークを含むメソンであると判明した 

のでした。私の論文では,8重項グルノンの1つか?という予想

がありました。。)
 

さらに1973,小林-益川はCP不変性の破れを説明する 

ために第3世代:,bの存在を予言し,上の2×2行列の 

Uを3×3行列としたユニタリ回転に拡張しました。
 

この3×3行列:Uは小林-益川混合行列と呼ばれ, 

その1つのパラメータの取り方は.次で与えられます。
 

ただし,icosθi,isinθi(i=1,2,3)です。
 

この行列は実験的には対角成分が支配的です。
 

[,'],[,'], [,'] 

のSU(2)-2重項においては, SU(2)-2重項,の上成分 

(3=1/2)が丁度上系列クォーク(質量固有状態):,, 

となるように取りましたが,この3つの線形結合に 

取り直せば下成分(3=1/2)が丁度下系列クォーク: 

,,bに一致するようにもできます。
 

[,']=UFf]=UFf[fF'F',] 

=UFfと書けて,は下系列対角なSU(2)-2重項です。
 

さて, 

[,'],[,'], [,'] 

=u,=c,=t,=d,=s,=b 

を用いて,クォーク部分のLagrangianを書くと. 

kinquark=ΣF[~iγμ{μ(i/6)'μ 

(i/2)(τAμ)]+ΣF{~iγμ{μ(2i/3)'μ}} 

+Σ[~iγμ{μ(i/3)'μ}].
 

nmassquark=-Σ{(~Φ)+R~(Φ)} 

 -Σ{(~Φ~)+R~(Φ~)} 

となります。
 

ただし,Fは上系列クォーク:,,tを,fは下系列クォーク: 

,,bを表わしています。
 

また,μQCDのグルオン(guluon:膠粒子):μを用いた 

カラーSU(3)の共変微分: 

つまり,μq={μicμ(λ/2)}qです。
 

nmassquarkの右辺第2項に現われるΦ~,レプトン部分の質量項: 

nmasslepton=Σj=e,μ,τ(-fj){(~Φ)+R~(Φ)} 

でのHiggs:Φに対して,Φ~iτ2Φで与えられ,真空期待値は 

0|Φ|0>=[0,/2,0]に対して,0|Φ~|0>=[/2,0] 

です。これは上系列クォークに質量を与えるためです。
 

ここでも,レプトンの場合と同じ関係式:=√2/ 

=gm/(2)が成立し、Higgs場との湯川結合定数:, 

はクォークの質量:,に比例します。
 

ゲージ場との相互作用項も,レプトンの場合と同じく 

int=-{/(22)}(μμ+Wμμ+) 

-eAμemμ(/cosθ)μμ で与えられます。
 

ここでの荷電カレント:μはクォーク部分を意味し, 

μ=Jquarkμ=Σ,~Ffγμ(1-γ5)f です。
 

また,電磁相互作用カレント:emμ, 

emμ=Jquarkemμ(2/3)(~γμu+c~γμc+t~γμ) 

(1/3) (~γμd+s~γμs+b~γμ)です。
 

Zボソンの結合する中性カレント:μ, 

ZμquqrkZμ(3) quqrkμsin2θquarkemμであり 

(3) quqrkμ=Σ{~γμ(τ3/2)} 

=Σ(1/4)[~γμ(1-γ5) 

-Σ,Ff{~fFγμ(1-γ5)Ff'}] 

(1/4){Σ~γμ(1-γ5)-Σ~γμ(1-γ5)} 

です。
 

GIM機構 

荷電カレント:quarkμ=Σ,~Ffγμ(1-γ5)f  

おいては,SU(2)-2重項にクォーク混合(mixing)がある反映 

として混合行列UFfが現われています。
 

話を簡単かつ明確にするため,混合行列が次 

で与えられるクォーク2世代しかない場合,を考える 

ことにすれば
 

(2世代)μ(~cosθ+s~sinθ)γμ(1-γ5) 

(-d~sinθ+s~cosθ)γμ(1-γ5)c となります。
 

混合行列は対角成分が支配的(cosθ>>sinθ)ですから, 

同一世代的遷移(Cabbibo favered process):u⇔d,c⇔s 

が主で,世代間遷移(Cabbibo suppressed process):u⇔s, 

c⇔dは相対的に少ないです。
 

しかし,たとえ因子sinθが微小とはいえ,世代間遷移が 

存在することが重要です。例えば(us~)結合状態である 

中間子は,-d~sinθγμ(1-γ5)cの項を通してのみ 

崩壊できるのです。
 

これに対し,中性カレント:Zμでは,クォ-ク混合の効果は 

消えて,フレイバーについて対角的なことが重要です。 

つまり,(2世代)Zμ(3) (2世代)μsin2θ(2世代)emμ 

(3)(2世代)μ(1/4){Σ~γμ(1-γ5) 

-Σ~γμ(1-γ5)} 

(2世代)emμ(2/3)(~γμu+c~γμ) 

(1/3)(~γμd+s~γμ)です。
 

これは,混合行列の積:ΣfFFf,Uのユニタリ性から 

δff'になるからです。
 

ところが,もしもクォークがu,,sの3種しかなかったらどう 

でしょうか? 
 

その場合は,cがないのでSU(2)-2重項はLしか無く, 

そこで,ΣfFFfのFはF=uのみなので,δff'には 

なりません。
 

すなわち,(3) (2世代)μ=Σ{~γμ(τ3/2)}  

(1/4)[~γμ(1-γ5)(~cosθ+s~sinθ) 

γμ(1-γ5)(cosθ+ssinθ) となり,特に, 

(1/4)cosθsinθ{~γμ(1-γ5)+h.} 

項はフレイバーについて対角的ではなく,フレイバーを 

変える中性カレント(Flavor changing neutral current) 

略してFCNC呼ばれます。
 

このようなFCNCがあれば,例えば(ds~-sd~)結合状態の  

 0中間子の崩壊過程K:0 → μ++μ-が,主崩壊モードである 

0 → π+e+ν, 0 → π+μ+νμと同程度  

の確率で起こるはずです。
 

しかし.実験によると,この崩壊過程の分岐比(branching ratio:  

全崩壊確率中に占める割合)の値は,(0 → μ+μ)  

(7.3±0.4)×10-9と極めて小さいです。
 

したがって.このようなFCNCtreeレベルでは存在禁止で 

あるはずです。
 

このため,GIM,当時未発見のcクォークを導入して,  

2世代分のSU(2)-2重項を作り,それぞれ'FCNCの寄与が  

相殺するようにしたのです。すなわち,f≠fに対しては  

ΣfFFf'0 となるようにしました。
 

このような相殺の機構をGIM機構と呼びます。
 

この機構は,クォークが何世代存在しても同様ですから,3世代目 

の下系列のbクォークが発見された今は,bの関係するFCNC 

相殺するため,(この参考文献著書発行当時は未発見だった)上系列  

のtクォークの存在が必要とされるわけです。
 

0 → μ+μの分岐比が完全にゼロではなく, 

B=(7.3±0.4)×10-9の値を取るということは,GIM機構  

を持つゲージ理論を支持する証拠になっています。
 

つまり,0 → μ+μの過程はtreeレベルでなく,6.13  

のような1-ループ(1-loop)グラフが寄与しています。
 

uを媒介とするs~u~u~dには係数sinθcosθ,cの媒介  

では,~c~c~dで係数は-cosθsinθ,符号が違うので  

uとcの質量の2乗差が効いてきます。
 

すなわち,その過程の振幅:,大雑把に計算して, 

{4/2}{(22)/ 2}sinθcosθ 

~α(2/ 2)sinθ×Gとなりますが,これは主崩壊モード  

の通常の振幅:sinθに比べて,因子α(2/ 2)  

(1/137)(2/ 2)0.3×10-4だけ小さく,確率はその2 

10-9に比例するので,分岐比:B=(7.3±0.4)×10-9をうまく  

再現しているからです。
 

CPの破れ  

弱い相互作用は,例えば荷電カレントがV-A型なのでパリティ 

を最大限に破っています。
 

このの破れは,Weinberg-Salam模型ではFermi粒子のカイラル  

(左手型,右手型)成分を基本的な場として扱っているため,うまく  

取り入れられています。
 

ところが,弱い相互作用では,さらにCP不変性も破れています。
 

例えば,CP=-1の長寿命モードK0中間子:0 CP=+1 

2π状態にも崩壊します。
 

0の添字Lはlongtime(長寿命)のLですが,=-1,

=+1です。 

一方,2πはπ+πでもπ0+π0でも=+1,内部パリティは  

(1)2=+1ですが,0 のスピンはゼロなので,その崩壊  

過程では2πはl=0 の軌道s状態にあるはずですから,結果  

CP=+1となりCPは破れています。
 

CPの破れが,Weinberg-Salam模型で起こるためには,  

そのLagrangianの結合定数のどれかが実数ではなく,複素数 

である必要があります。
 

ゲージ場部分やHiggs場の自己相互作用部分(Higgs2重項が  

1種類だけならHermite性からこれは起こり得ません。
 

Higgs場とクォークやレプトンとの湯川相互作用部分もFermion  

場の定義を取り直せば結合定数:,f,を全て実数()  

に取れるので.CPは破れません。
 

nmasslepton=Σj=e,μ,τ(-fj){(~Φ)+R~(Φ)} 

,nmassquark=-Σ{(~Φ)+R~(Φ)} 

 -Σ{(~Φ~)+R~(Φ~)}では,既にこうした 

操作を実行して湯川結合定数を,Fermionの種類について対角的な 

実数,かつ,正の量にした形を与えたので,実は常にそうできること 

,ここで示しておきます。
 

(証明):クォーク・セクター:nmassquarkに限定して話をすると,  

SU(2)-2重項の左手型クォーク場:i,SU(2)-1重項の  

右手型上系列クォーク場:Iと右手型下系列クォーク場:i  

とが,n世代分(i=1,..,)存在する場合,そのHiggs-2重項  

Φとの湯川相互作用項の最も一般的な形は  

= -Σi,j=1{ij(~iΦ)j+gij(~iΦ~)j 

+h.} です。ただし,ij,およびgijは一般に複素数の 

湯川結合定数であり,それぞれ,2個あります。
 

まず,任意のn次複素行列:Mはユニタリ行列U,Vを用いて対角化 

できる。つまり,UMVが対角成分:λ1,..,λが全て実数,かつ 

正の対角行列になるようにできる。という 

「特異値標準形の定理」の成立することが知られています。
 

そこで,湯川結合定数:(ij),および,(ij),それぞれ,n次  

の複素行列とみなせば,それぞれ2個のユニタリ行列で対角化

できます。つまり,Σijiijj=fδFF',および,  

Σijiijjf'=fδffとできるユニタリ行列:  

,,,が存在します。f,は正の実数です。
 

初めのクォーク場:i,I,iの代わりにそれらをユニタリ変換  

した次の場,=ΣUii,=ΣUii, =ΣVii

=ΣViiを用いれば,  

= -Σi,j=1{ij(~iΦ)j 

+gij(~iΦ~)j+h.},標準形である 

nmassquark=-Σ{(~Φ)+R~(Φ)}  

 -Σ{(~Φ~)+R~(Φ~)}に帰着します。  

(証明終わり)
 

,,,をL=UFfのUFfと比較すれば  

Ff(下+)Ff

と書けて,小林・益川行列:UFfは,

湯川結合定数行列をそれぞれ対角化する上系列

ユニタリ行列と下系列ユニタリ行列のずれから

生ずることが明らかです。
 

一旦,nmassquarkのような標準形に書けば,湯川相互作用が 

CP不変性破らないことは直ちにわかります。

実際, Higgs場Φのt’Hooftパラメトリゼーション: 

Φ()(1/2){v+ψ()iχ()τ}[0,1] 

(1/2)[-χ2()-iχ1(),v+ψ()+iχ3()] 

(ψ,χ[χ1,χ2,χ3]は実スカラー場)において, 

χ()0に取るユニタリ・ゲージでは,(※このゲージ以外では 

非物理的Higgs:χが残っており,χの関わる湯川相互作用 

,Ffが複素数のとき,CPを破ります。しかし,これは次に 

論じる荷電カレント相互作用と本質的に一体の効果です。)
 

ΦはΦ()(1/2) [01,v+ψ()]となり, 

これを代入すれば,標準形の湯川相互作用は, 

nmassquark=-{Σ(+fψ/2)~}(f → F) 

となります。(j=f/2)
 

これは,クォーク質量項と実結合定数の湯川相互作用:~qψ 

を与え,明らかにCP不変です。
 

それ故,Weinberg-Salam模型でCP不変性の破れを起こす唯一の 

可能性はクォーク場の荷電カレント相互作用部分: 

(/22){μ~γμ(1-γ5)Ff+h.}の結合定数: 

gUFfが複素数,つまり,混合行列UFfが複素数になることです。
 

(19-1):まず,CPμ(,)-1-1=Wμ(-x,)です。 

CP(,)-1-1=C(γ0)~(-x,)=Cq+T(-x,) 

故に,CP(,)-1-1=q(-x,)
 

そこで,CP{~γμ(1-γ5)(,)}-1-1 

=qγ0γμ(1-γ5)Cq(,) 

=-q~γμ(1-γ5)Cq(,) 

何故ならFermionについては,荷電共役行列:Cが 

あって,γμC=C-1γμC=-γμ,γ5C=γ5=γ5 

を満たします。そして,γ0γμγ0=γμです。
 

よって,{μ~γμ(1-γ5)Ff+h.}の第1項は 

CP変換でWμ~γμ(1-γ5)Ff(,) 

変わりますが,一方,2:.cの-,tでの式は, 

μ~γμ(1-γ5)Ff(,)ですから, 

(,).Ffが実でないなら,CP変換で(,) 

に変わらないため,CPが破れることになります。 

(19-1終わり※)
 

ところが,定義が示すように混合行列:Ffは左手型クォークの 

上系列場qのSU(2)-2重項の相棒(下成分)の下系列場 

との相対的関係を与えるものですから,場の位相と(従って 

F'も共通に)場の位相を取り直す自由度を使えば行列要素; 

Ffの位相も変えることができます。
 

例えば,クォークが2世代のときは.Ffは2×2ユニタリ行列 

で元来4つの複素数要素=8自由度から4つのユニタリ性条件 

で4実パラメータの自由度なので,,,,sの4つの位相を 

使えば413個を吸収できます。(1を引くのは全体にかかる 

共通位相を除外したからです。)
 

そこで,残る1実パラメータをCabbibo角θとして,Ffを実数 

に取れて2世代では,CPの破れを導入できません。
 

小林-益川は,このことに初めて注目し,Ffが複素数と 

なる自由度を得るために第3世代クォークの必要性を 

指摘したのです。
 

途中ですが,今回はここまでにします。
 

(参考文献):九後汰一郎 著「ゲージ場の量子論() 

(培風館)


PS:小林・益川は2008年南部先生と共にノーベル物理学賞

を受けました。私,1975年か1976年に小林先生の集中講義

を受けた記憶ありますが,当時は浅学のため,内容は理解

できていませんでしたね。(猫にコンバンワ!です。)

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2018年4月21日 (土)

対称性の自発的破れと南部-Goldostone粒子(18)

対称性の自発的破れと南部-Goldostone粒子(17) 

から§6.7 Weinberg-Salam模型の続きです。
 

※レプトンとの結合 

弱い相互作用の電荷の変化する部分に関しては(V-A) 

の相互作用であることから,レプトン場は左手型成分: 

ψ((1-γ5)/2}ψのみがSU(2)-2重項で,右手型成分: 

ψ((1+γ5)/2}ψはSU(2)-1重項を取らねばなりません。
 

現在ではe.μ以外に,より重いレプトン:τ粒子の存在が 

知られているので, 

[ν,], μ[νμ,μ],τ[ντ,τ] 

(Y=-1/2),=e. μ=μ. τ=τ(Y=-1) 

と定義します。ここで超弱電荷:Yの値は,Q=T3+Yによって 

決まるものです。
 

こうすれば,. μ.τに対応するニュートリノ:ν.νμ.ντ 

の右手型成分が現われない,ことは注目に値します。
 

零質量?のニュートリノは謂わゆるWeyl場であり 右手型成分 

は元々無いからです。
 

τ粒子の存在が未知であった昔から,質量の違いを除けば全く 

同一の性質を持つ,電子eとμ粒子が何故,存在するのか?という 

ことが謎であり,これは「e-μパズル」と呼ばれていました。
 

現在では,τ粒子まで加わっているため,「e-μパズル」は 

「自然は,何故3度も同じことを繰り返すのか?」という問い 

に直されます。
 

今では,[ν,], μ[νμ,μ],τ[ντ,τ] 

(Y=-1/2),=e. μ=μ. τ=τ(Y=-1) 

に現われる,,μ,τの多重項の繰り返しを.3世代構造 

(3-generation structure)と呼んでいます。
 

これらを用いてレプトン部分のLagrangian:では, 

-2重項がY=-1/2,-1重項がY=-1に対応して,演算子 

Yを,それぞれの固有値に置き換えます。また,(j=e,μ,τ) 

については,1重項なのでT=0です。
 

そこで,Dirac運動項は 

kinlepton=Σj=e,μ,τ[~iγμ{μ(i/2)g'Bμ 

(i/2)(τAμ)}L+R~iγμ(μig'Bμ)], 

nmasslepton=Σj=e,μ,τ(-fj){(~Φ)+R~(Φ)} 

と書けるはずです。
 

(18-1):何故なら、仮にRjもニュートリノを上成分に持つ 

2重項と仮定すれば, 

Dirac質量項=-Σj=e,μ,τ{(~+R~)ij(+R)} 

ですが,~,~に比例する項は恒等的にゼロなので, 

Dirac質量項=-Σj=e,μ,τ{(~ij)+R~ij} 

なります。
 

そして,質量行列:ijはMij=-fiδijと書くことができ,しかも 

この質量も2重項場(Higgs)Φに起因するとして,jを1重項 

に戻し,Hermite性を保持しながら,湯川型を仮定すると, 

質量項=Σj=e,μ,τ(-fj){(~Φ)+R~(Φ)} 

と書けます。  (18-1終わり※)
 

レプトンのDirac質量項は,Higgs-2重項Φとの湯川相互作用 

から,真空期待値:0|Φ()|0>=[0,/2]を得た後に 

初めて現われます。
 

例えば,電子項;j=eの部分は, 

-f{[ν~,~][0,/2]+h,} 

=-(/2)~e=-m~e と解釈されます。 

(※mは電子質量,.cはHermite共役項の意です。)
 

したがって,レプトンの,Higgs-2重項の湯川結合定数: 

,treeレベルで,それぞれの質量に比例し,v=2/gと 

いう以前の評価から,=√2/v=gm/(2) 

書けることになります。
 

そこで,湯川結合定数f,通常,(/)~ m/(2) 

<<1なので,SU(2)の結合定数gに比べてかなり小さい 

ことがわかります。
 

次に,kinlepton=Σj=e,μ,τ[~iγμ{μ(i/2)g'Bμ 

(i/2)(τAμ)}+R~iγμ(μig'Bμ)]μ, 

μ,μ,μ,μ,μに書き換えます。
 

結果,int=-{/(22)}(μμ+Wμμ+) 

-eAμemμ(/cosθ)μμ が得られます。
 

ただし,μ4-Fermi相互作用の荷電カレントのレプトン  

部分:leptonμ2(1i2)leptonμであり  

leptonμ=e~γμ(1-γ5)ν+μ~γμ(1-γ5)νμ 

+τ~γμ(1-γ5)ντ で与えられます。
 

emμは電磁相互作用カレントで,これは  

leptonemμ=-(~γμe+μ~γμμ+τ~γμτ)の意味です。
 

また,μはZボソンの結合する中性カレントで 

Zμ(3)leptonμsin2θleptonemμであり 

(3)leptonμ=Σj=e,μ,τ{~γμ(τ3/2)}です。
 

(18-2):Dirac相互作用における電子項;j=eの部分のみ 

に着目し,1μ(1/2)(μ+Wμ),

2μ(i/2)(μ-Wμ), 

3μcosθμsinθμ,

μ=-sinθμcosθμ を代入します。

特に,τAμ=τ11μ+τ22μ+τ33μ 

(1/2){(τ1iτ2)μ(τ1iτ2)+μ} 

τ3(cosθμsinθμ) です。
 

~iγμ{μ(i/2)g'Bμ(i/2)(τAμ)} 

+R~iγμ(μig'Bμ) 

=e~iγμμe+νeL~iγμμνeL 

(g'/2)(~γμ+e~γμ+νeL~γμνeL) 

(sinθμcpsθμ) 

(/2)}[νeL~,~]γμ 

×[(1/2){(τ1iτ2)μ(τ1iτ2)+μ} 

+τ3(cosθμsinθμ)][νeL,]
 

=e~iγμμe+νeL~iγμμνeL(~γμ)(eAμ) 

(~γμ)(’sinθμ) 

+(1/2)(~γμ-νeL~γμνeL)gZμ/cosθ 

(/2)}(νeL~γμ )μ(νe~γμνeL )+μ} 
 

(※※ここで,紛らわしいのですが,(eAμ)の係数eは素電荷 

でe=gsinθ=g’cosθW 0 であり, 

cosθ=g/(2+g'2)1/2,sinθ=g'/(2+g'2)1/2 

より,g'sinθW +gcosθW (2+g'2)/(2+g'2)1/2 

(2+g'2)1/2=g/cosθ,っです。それ故 

g'sinθμ=g'2μ/(2+g'2)1/2 

=gsin2θμ/cosθを用いました。)
 

μ粒子部分,τ粒子部分についても同様です。
 

(18-2終わり※)
 

電磁相互作用項:-eAμemμ,丁度,荷電レプトンの 

運動項:Σj=e,μ,τψ~iγμμψの∂μを共変微分の形の 

極小相互作:iμ(iμ-eAμ),or μ(μieAμ) 

にすることに相当しています。
 

Wボソンの荷電カレントのレプトン項: 

{/(22)}(μμ+Wμμ+)を用いて前掲の図6.12 

の型no]Feynmanグラフの寄与を計算すれば,Wボソンの質量 

に比して低エネルギーの領域(2<<M2)では実質上 

4-Fermi相互作用:Fermi=-(/2)μμ を再現します。
 

つまり,2<<M2)では,(2-M2)~ -M2より, 

{i/(22)}2μ(iμν)(2-M2)-1μ  

~-i(/2)μμ  なる対応です。
 

よって./2=g2/(82)より,Wの質量は, 

{22/(8)}1/2{22/(8sin2θ)}1/2 

(37.3/|sinθ|)GeVと評価されます。
 

2(2+g'2)2/4=M2/cos2θを用いると 

=M/|cosθ|~(74.6/|sinθ|)GeV, 

/2=√2/g={2/(4)}1/2 174 GeV,
 

こうして, /2がパラメータ無しで決まったことに 

着目します。これはSU(2)×U(1)→ U(1). 

自発的破れの特徴的スケ-ルが100 GeV程度であること 

を示しています。
 

さらに電荷を持たないZボソンと中性カレントJμ 

相互作用項があり,Zボソンを媒介とする図6.12,旧来 

4-Fermi相互作用では知られてなかった,中性カレント 

相互作用:(1/2!)(/cosθ)2Zμ(μν)(2-M2)-1μ  

~ -(4/2) Zμμ が存在することを予言します。
 

これの存在は,実際,()ニュートリノと電子(陽子)の弾性散乱 

ν~e→ν~, νμ~e→νμ~,νμe→νμ, 

ν~p→ν~, νp→ν..などで観測され,それらの 

データからWeinberg角因子:sin2θが決定されました。
 

最近の値は,sin2θ0.2325±0.0008です。
 

これを用いれば,,Zボソンの質量は, 

77.GeV, 88.3GeVと予言されます。
 

果たして1968,CERNRubbiaらによって,遂に発見 

されたW,Zボソンはその質量の観測値が 

(80.26±0.026)GeV,(91.17±0.02)GeVでした。
 

上述の予言値は,これとよく一致していますが,ループグラフ 

の補正計算では,予言値が23%大きい方に修正されて 

80GeV, 91GeVとなり,理論と実験の一致は驚く 

ほど良いです。
 

※ここまで得た結果と,まだ詳しく考察してない部分を

要約します。 

前回記事では,ゲージ場とHiggs場のLagrangian 

ゲージ場Higgsと書くと, 

ゲージ場=-(1/4){μν-∂νμ-g(μ×ν)}2 

(1/4)(μν-∂νμ)2 

=-(1/4)μνAμν(1/4)μνZμν 

(1/2)(μννμ)(μννμ) 

i(||μν+gcosθZμν)μ+ν 

(2/2){|μμ|2(μμ)2}であり,
 

Higgs|μΦ|2+μ2ΦΦ-(λ/2)(ΦΦ)2, 

μ=∂μ(i/2)μ(i/2)(τAμ) 

であることを見ました。
 

今回,レプトンのDirac運動項: 

kinlepton=Σj=e,μ,τ[~iγμ{μ(i/2)g'Bμ 

(i/2)(τAμ)+R~iγμ(μig'Bμ)], 

の計算から,
 

kinlepton=Σj=e,μ,τ[~iγμμ+R~iγμμ] 

intであってレプトンとゲージ場の相互作用項:int 

,int=-{/(22)}(μμ+Wμμ+) 

-eAμemμ(/cosθ)μμ で与えられる 

こと,そして,
 

また,レプトンのDirac質量項は, 

nmasslepton==-Σj=e,μ,τ{(~ij)+R~ij} 

=Σj=e,μ,τ(-fj){(~Φ)+R~(Φ)} 

で与えられることを見ました。
 

残るHiggs2重項場:ΦのセクターのLagrangian, 

Higgs|μΦ|2+μ2ΦΦ-(λ/2)(ΦΦ)2 ですが, 

Higgs|{μ(i/2)g'Bμ(i/2)(τAμ)}Φ|2 

+μ2ΦΦ-(λ/2)(ΦΦ)2 ,g'→ 0 の極限で 

Higgs-Kibble模型と同じものに帰着する,と書きました。
 

SU(2)Higgs-Kibble模型での考察と同じく, 

Higgs2重項Φは,Φ()[φ1,φ2] 

(1/2){v+ψ()iχ()τ}[0,1] 

(1/2)[-χ2()-iχ1(),v+ψ()iχ3()] 

(ψ,χ[χ1,χ2,χ3]は実スカラー場) 

で与えられる,とします。
 

SU(2)対称性が破れる原因となる真空期待値は, 

0|Φ()|0>=[0,/2]であり, 

0|ψ()|0>=<0|χ()|0>=0 です。
 

明らかに,対称性の破れにより生じた零質量のNG 

ボソンがχ[χ1,χ2 ,χ3]ですが,粒子の電荷Qは, 

Q=T3+Yを満たします。
 

Φの弱超電荷をY=1/2として,Φ()[φ1,φ2] 

(1/2)[-χ2()iχ1(),v+ψ()iχ3()] 

Φの下成分(3=-1/2)の電荷がQ=0となるように 

このYを設定したのでした。
 

したがって,上成分(31/2),電荷Q=+1を持つはず 

です。
 

まず,χ[χ1,χ2 ,χ3],SU(2)のベクトルなので 

T=1であり,ψはスカラーなのでT=0です。 

これらは,3|χ3>=|χ3,|χ3>=χ3|0,3|ψ>=0, 

|ψ>=ψ|0>より,[3,χ3]=χ3,[3,ψ]0 

意味します。
 

故に,[3,φ2][3,ψiχ3]iχ3です。 

そこで, [,φ2][,ψiχ3}[3+Y,ψiχ3] 

0 であれば,[,ψiχ3]=-iχ3 

でなければなりません。
 

そこで,ψについての弱超電荷はY=0 [,ψ]0 

と仮定すれば,[, χ3]=-χ3となることが必要です。
 

それ故,NGボソン:χ[χ1,χ2 ,χ3]の弱超電荷は 

Y=-1,[,χa+]=-χa+(a=1,2,3)であると 

します。
 

こうすれば,Φ()[φ1,φ2]において, 

[,φ2}0,[,φ1}=φ1となり,上述したように 

Φの下成分がQ=0,上成分がQ=+1を持ち,質量mの 

Higgs粒子ψは如何なる量子数も持たない,ということで 

全て辻褄が合います。
 

Higgs-Kibble模型の共変微分は,Weinberg-Salam模型の 

μΦ={μ(i/2)g'Bμ(i/2)(τAμ)}Φ 

において,g'=0としたDμΦ={μ(i/2)(τAμ)}Φ 

です。
 

Higgs-Kibble模型においては, 

|μΦ|2(μΦ)μΦ=(1/2)(μψ)2 

(/2)μ{χ(μψ)-ψ(μχ)χ×(μχ)} 

(1/2)(μχ-Mμ)2(/2)MAμ2ψ 

(2/8)μ2ψ2(2/8)μ2χ2でした。
 

μの獲得する質量はM=gv/2|μ|(2/2λ)1/2 

でした。
 

これはWeinberg-Salam模型では, 

|μΦ|2|{μ(i/2)g'Bμ(i/2)(τAμ)}Φ|2 

であり,このうちゲージ場の質量項は(ゲージ場質量項) 

|(i/2){g'Bμ+g(τμ)}[0,/2]|2 

(22/8){(1μ)2(2μ)2} 

(2/8)(μ-gA3μ)2
 

=M2μμ(1/2) 2μμ 

で与えられることを見ました。
 

Higgs機構により,元々零質量のゲージ場:μ,μが獲得 

する質量M,,2=g22/4,2(2+g'2)2/4 

=M2/cos2θW です。
 

g'に無関係な項は,Higgs-Kibble模型と同じで, 

μ2ΦΦ-(λ/2)(ΦΦ)2  

=-(1/2)2ψ2+V0[/2)] (λ/8)(ψ+χ2)2 

(1/2)m√λ)ψ(ψ+χ2) です。
 

ただし,ψの獲得する質量mは,22μ2,/2(μ2/λ)1/2 

で与えられ,-V0[/2](1/2)μ22(λ/8)4です。
 

今回はここまでにし次回からはハドロン(クォーク)との 

結合等について考察します。
 

(参考文献):九後汰一郎 著「ゲージ場の量子論() 

(培風館)

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2018年4月12日 (木)

対称性の自発的破れと南部-Goldostone粒子(17)

「対称性の自発的破れと南部-Goldostone粒子(16) 

からの続きです。
 

有名な弱・電磁相互誤差用の模型を解説します。
 

§6.7 Weinberg-Salam模型 

対称性の自発的破れたゲージ理論は,弱・電磁相互作用 

(weak-electromagnetic interaction)を記述するのに 

適用され非常な成功を収めました。ここでは,今日, 

Weinberg-Salam模型,あるいは,標準模型(standard-midel) 

と呼ばれる模型の基本的部分を紹介します。
 

※ゲージ群;SU(2)×U(1) 

多くの実験的,理論的研究を経て,1960年代半ばには,弱い 

相互作用に関して,次のことが明らかにされていました。
 

弱い相互作用(の電荷の変化する過程に関する部分), 

Fermi=-(/2)μμ なる4-Fermi相互作用で 

記述できて,荷電(Charged)カレント:μはレプトン部分 

とハドロン部分から成り:μ=Jμ(lepton)+Jμ(hadron),
 

この両者とも,謂わゆる(V-A)型カレント,つまり, 

(ベクトルカレント:μ)-軸性ベクトルカレント:μ) 

で与えられます。
 

例えば,μ(lepton),電子:eと電子ニュートリノ:ν, 

μ粒子;μとμ-ニュートリノ:νν,を用いて, 

μ(lepton)=e~γμ(1-γ5)ν+μ~γμ(1-γ5)νμ 

で与えられます。ここでe, νetc.,対応する粒子の 

Dirac場を示しています。
 

カレントJ μ(lepton),左手型レプトンのSU(2)-2重項: 

[ν.] {(1-γ5)/2}[ν.],および, 

μ[νμ.μ] {(1-γ5)/2}[νμ.μ]T を定義して,
 

それらのSU(2)カレント: μ(a=1,2,3) 

μ=L~γμ(τ/2)+Lμ~γμ(τ/2)μ, 

(τPauli行列)によって導入すれば,  

μ(lepton)2(1μi2μ)2(1i2)μ, 

μ(lepton) 2(1μi2μ)2(1i2)μと書けます。
 

SU(2)カレント:μ;[τ/2,τ/2]iεabc(τ/2) 

より,明らかに, 

∫d3[0(,),μ(,)]iεabcμ() 

のSU(2)代数を満たしており,弱い相互作用に現われる 

荷電レプトンカレント: μ(lepton) ,μ(lepton),その(1±i2) 

成分であるということです。
 

ハドロン部分; μ(hadron) ,μ(hadron)も全く同様で.全体の 

μ=Jμ(lepton)+J μ(hadron) も同じSU(2)代数構造を持つ 

ことが知られています。このSU(2)を「弱アイソスピン」 

(weak isotopic spin)と呼び,SU(2)と記します。
 

Fermi=-(/2)μμ Fermi結合定数:Gの大きさ 

,μ粒子の崩壊(μ→e+ν~+νμ)の確率などから, 

を陽子質量として,G ~ 1.01×105-2  

1.166×105(GeV-2)で与えられることが知られています。
 

以上の現象論的事実から,弱い相互作用を(対称性の自発的に 

破れた)ゲージ理論で記述するには,ゲージ群として少なくとも 

上の弱アイソスピン:SU(2)を含まなければならないことが 

わかります。
 

すなわち, SU(2)のカレント:μに結合する質量がMの 

Yang-Mills場が存在すれば,6.12に示すfeynmanブラフに 

より,低エネルギー領域:2<<M2, 

Fermi=-(/2)μμのカレント・カレント型の 

4-Fermi相互作用が誘起されるからです。
 

このSU(2)の生成子をT(a=1,2,3)とし,その大きさ 

をTとします。
 

ところが,先に,[ν.] {(1-γ5)/2}[ν.], 

μ[νμ.μ] {(1-γ5)/2}[νμ.μ]T で与えた 

レプトンのSU(2)-2重項(=1/2),31/2の主成分: 

νやνμは電荷Qがゼロ,3=-1/2の下成分eやμは, 

電荷Qが(1)であり,SU(2)群が電磁相互作用の群: 

(1)EMと直交していないことを示しています。
 

つまり,もしU(1)EMがSU(2)と直交した群であったら, 

SU(2)2重項:[ν.] ,μ[νμ.μ] , 

上成分も下成分も同じ電荷を持って弱い相互作用と電磁 

相互作用が独立にゲージ化できたのですが,実際にはそう 

ではありません。(※言い換えると.[ν.] , 

μ[νμ.μ] ,SU(2)2重項として, 

exp(iθ)∈SU(2)に対して2次元回転を 

受けますが,EMexp(iQθ)∈U(1)EMに対して, 

[ν.] →UEM[ν.] [EMν. EM]  

[ν.] とはならないのでSU(2)群がU(1)EM 

と直交していないのです。)

ここに,弱・電磁相互作用を同時に絡めて考えざるを得ない 

必然性があります。すなわち,統一せざるを得ないのです。
 

そこで,SU(2)に直交したU(1)群を導入して,(1) 

記し,その電荷(生成子)を弱超電荷(weak-supercharge) 

呼び,Yとします。レプトンSU(2)2重項:,μ, 

弱超電荷:Y=-1/2を付与することにすれば,電磁相互作用 

の電荷Qは.Q=T3+Yで与えられることになります。
 

この関係式:Q=T3+Yでは電磁道後作用U(1)EMの生成子Q 

,(1)の生成子YとSU(2)の第3成分の生成子T3 

与えた代数の間の関係式であり,単に上のレプトン2重項のみ 

ならず,任意の多重項の上で成立すべきものです。
 

したがって,出発点で採用すべきゲージ群Gは, 

G=SU(2)×U(1)であり,電荷Qに結合する電磁場は, 

Q=T3+Yにより,SU(2)のゲージ場の第3成分とU(1) 

のゲージ場の線形結合で与えられることがわかります。
 

このとき,最終的な零質量ゲージ粒子は光子のみでなければ 

ならないので,Q=T3+Yのみを残し,他の対称性は全て 

自発的に破れなければなりません。 

すなわち,G=SU(2)×U(1)から,(1)EMへと破れます。
 

※ゲージ場とHiggs場の部分 

ゲージ群:SU(2)×U(1)に対応して,SU(2)のゲージ場 

:μ=[1μ,2μ,3μ]とU(1)のゲージ場;μを導入します。 

そのLagrangian,次のゲージ場で与えられます。
 

ゲージ場=-(1/4){μν-∂νμ-g(μ×ν)}2 

(1/4)(μν-∂νμ)2です。
 

gはSU(2)の結合定数です。一方,以下で現われるU(1) 

の結合定数はg'とします。(g>0,g'>0)
 

G=SU(2)×U(1)→ U(1).M の自発的破れを起こす 

べく,前のHiggs-Kibble模型と同様なSU(2)-2重項の複素 

スカラー場:Φ(Higgs)を導入し,以前と同じ真空期待値を 

持つようにします。<0|Φ|0>=(1/2)[0,]です。
 

このとき, (1).の対称性:Qを壊さないためには,真空 

期待値を持つ2重項場:Φの下成分(3=-1/2),Q=0の場 

でなければなりません。
 

それ故,Higgs2重項場:Φには,弱超電荷:Y=1/2を付与します。 

それに対応した共変微分を用いて, 

Higgs2重項場:ΦのセクターのLagrangian, 

Higgs|{μ(i/2)g'Bμ(i/2)(τAμ)}Φ|2 

+μ2ΦΦ-(λ/2)(ΦΦ)2 で与えられます。
 

これは,g'→ 0の極限でHiggs-Kibble模型と同じものに 

帰着します。
 

真空期待値:0|Φ|0>=(1/2)[0,]を実現する破れた 

真空の上で,ゲージ場:μ,μの質量項は,treeレベルで 

運動項:|μΦ|2において,Φを[0,/2]なる値に置換 

した項から生じます。

つまり, 

(ゲージ場質量項)|(i/2){g'Bμ+g(τμ)}[0,/2]|2 

(22/8){(1μ)2(2μ)2}(2/8)(g'Bμ-gA3μ)2 

です。
 

したがって,ゲージ場を組みかえて,μ=(1/2)(1μi2μ), 

μ=(1/2)(1μi2μ), 

そして,[μ,μ][gA3μ-g'Bμ,gA3μ+g'Bμ]  

/(2+g'2)1/2exp(iτ3θ)[3μ,μ]T  

と定義し直します。
 

ここに,osθ=g/(2+g'2)1/2 , 

sinθ=g'/(2+g'2)1/2であり,exp(iτ3θ) 

は3軸の回りの角度θの回転を意味します。 

このθWeinberg角と呼ばれます。
 

すると, ゲージ場質量項は,対角化されて 

(ゲージ場質量項)=M2μμ(1/2) 2μμ 

を得ます。ただし.2=g22/4,  

2(2+g'2)2/4=M2os2θです。
 

ゲージ場とHiggs場のLagrangianゲージ場Higgs 

と書くと,これは, 

ゲージ場=-(1/4){μν-∂νμ-g(μ×ν)}2 

(1/4)(μν-∂νμ)2,であり 

Higgs|μΦ|2+μ2ΦΦ-(λ/2)(ΦΦ)2, 

μ=∂μ(i/2)μ(i/2)(τAμ) 

でした。
 

これに,以下の逆変換;を代入してA1μ,2μ,3μ,μ 

を消去します。。すなわち,1μ(1/2)(μ+Wμ), 

2μ(i/2)(μ-Wμ),3μcosθμsinθμ, 

μ=-sinθμcosθμ,および,
 

[μ,μ][gA3μ-g'Bμ,gA3μ+g'Bμ]  

/(2+g'2)1/2exp(iτ3θ)[3μ,μ] 

を代入するわけです。
 

すると, 

ゲージ場=-(1/4)μνAμν(1/4)μνZμν 

(1/2)(μννμ)(μννμ) 

i(||μν+gcosθZμν)μ+ν 

(2/2){|μμ|2(μμ)2} 

となります。
 

ここで,同一の点において,1,2,3,Bは全て交換可能なBoson 

であり,,,,Aもまたそうです。
 

そして,μν,μν,χμν=∂μχν-∂νχμ(χ=A,) 

を意味します。また,2=g22/(2+g'2), 

||=g'cosθ=gsinθW です。
 

νの共変微分μν,gA3μ 

(gg'Aμ+g2μ)/(2+g'2)1/2 

||μ+gcosθμを用いて 

μν(μigA3μ)ν 

=(∂μ+i|e|Aμicosθμ)νで与えられます。
 

電磁相互作用:(1).に関しては,この荷電ベクトル場: 

νに対する共変微分は(μi||μ)(μieAμ) 

となっていて,e<0が電磁相互作用の結合定数を与える 

ことがわかります。
 

(17-1):上の結果を具体的で地道な計算で示します。 

μ1ν-∂ν1μ-g(2μ3ν-A3μ2ν) 

(1/2)(μ1ν-∂ν1μ)(1/2)(μ1ν-∂ν1μ) 

-g(i/2)(μ-Wμ)(cosθνsinθν) 

+g(i/2)(ν-Wν)(cosθμsinθμ) 

(1/2){(μ1ν-∂ν1μ)

i(cosθνsinθν)μ 

i(cosθμsinθμ)ν} 

(1/2){(μ1ν-∂ν1μ)

i(cosθνsinθν)μ 

i(cosθμsinθμ)ν}
 

同様に,μ2ν-∂ν2μ-g(3μ1ν-A1μ3ν) 

(1/2){(μ1ν-∂ν1μ)

i(cosθνsinθν)μ 

i(cosθμsinθμ)ν} 

(1/2){(μ1ν-∂ν1μ)

i(cosθνsinθν)μ 

i(cosθμsinθμ)ν}
 

後は計算結果だけ書きます。 

μ3ν-∂ν3μ-g(1μ2ν-A2μ1ν) 

cosθμνsinθμνi(μν-Wμν),
 

μν-∂νμ=-sinθμνcosθμνです。
 

それ故,これらを

ゲージ場 =-(1/4){μν-∂νμ-g(μ×ν)}2 

(1/4)(μν-∂νμ)2

に代入すれば得られます。 (17-1終わり※)
 

途中ですが,今回はここまでにし,レプトンとゲージ場 

の結合や物質場(Higgs)についての項は次回に回します。
 

(参考文献):九後汰一郎 著「ゲージ場の量子論() 

(培風館)

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2018年4月 1日 (日)

対称性の自発的破れと南部-Goldostone粒子(16)

「対称性の自発的破れと南部-Goldostone粒子(15) 

からの続きです。 

Higgs現象の項の続きです。 

カラー閉じ込めの論議に入ります。
 

※カラー閉じ込め
 

既述のようにQCDにおいて,クォークやグルオンなど全て 

カラーを持った粒子(大局的ゲージ対称性群Gの1重項で 

ないもの)は最終的には物理的粒子として現われないと 

予想されており,これを「カラー閉じ込め」と呼びました。
 

既述のHiggs現象逆定理でおいた条件det(+u)0 

が成立しない場合,つまり,det(+u)0の場合,という 

のは,実は大変重要な場合で.正にこのカラー閉じ込めを 

実現する1つの十分条件を与えます。
 

以下,簡単のため,∝ δの場合のみを考えると, 

次の定理が成立します。 

(※この場合,det(+u)0,=-δと同値)
 

[定理]:u=-,つまり,=-δが成立するならば, 

カラー対称性は自発的に破れておらず,かつ,カラー閉じ込め 

が実現している。
 

すなわち,物理的粒子(BRS1重項)は全てカラー1重項で 

あり,カラーを持つ粒子は全てBRS4重項表現に属する。
 

(証明):ここまでの論議から,大局的カラー対称性変換の 

Noeter保存カレント:μ()について,Maxwell方程式; 

gJμ()=∂ννμ(){,μ~()} 

が成立し, そして,0 → ±∞の極限において 

μ() → vμβ().., 

μ~() (+u)μγ~().., 

ννμ() → wμβ()..  

なる漸近的性質があることがわかっています。
 

ここで.BRS4重項漸近場として, 

{i,γ~()}iβ()が成立するため, 

{,μ~} (+u)μβ()..  

ですから,Maxwell方程式は,gv=w-(+u) 

を意味します。
 

そこで,+u=0なら,gv=wb です。 

b==vδ,=wδと書けば,gv=wです。
 

修正NoetherカレントをJμ()-ω∂ννμ(), 

ω=v/w=g-1という組み合わせで作ると,これは 

危険な零質量1粒子項:μβa()を含まないので 

カラー電荷:=∫d3{0()-g-10()} 

は無矛盾(Well-defined)な演算子となります。
 

よって,カレントが零質量1粒子状態を含まないので, 

カラー対称性は全チャネルで自発的に破れていません。

ところが,gJμ()=∂ννμ(){,μ~()} 

ですから,0()-g-10()=-g-1{,0~} 

より,=-g-1∫d3{,0~()}です。
 

それ故,任意の物理的状態:|f>,|g>∈physに対して,  

|f>=0, |g>=0より,<f||g>=0  

得ます。
 

特に,|f>,|g>∈physをBRS1重項の任意の物理的 

粒子状態:i|0,i|0>に取れば, 

0|ij|0>=0 ですが,これらがカラー対称性の 

生成子:の表現行列:(a)ijの表現空間に属する基底 

を成す粒子状態であれば,[,i](a)jiiです。
 

(※ 何故なら,[,i]=-(a)ijj,であり,カラー電荷 

Hermite(実数)なので,aHermite行列です。 

すなわち,(a)ji(a)ijだからです。)

  ここで,[i,j]=δijを用いれば.  

<0|ij|0>=<0|i[,]|0 

<0|i(a)kj|0>=(a)jiですから,結局,  

(a)ji0 を得ます。

この,全てのaについて表現行列がゼロということは, 

BRS1重項粒子:k|0>は全て,カラー1重項状態 

でもあることを意味します。 (証明終わり) ※)
 

ここで,いくつかのコメントを与えておきます。
 

()u=-1の条件は上述のようにカラー閉じ込めの1つの 

十分条件です。しかし,この条件が必要条件でもある?という 

ことについての論議もいくつかあります。
 

つまり,「カラー対称性が自発的破れを起こしていなければ 

u=-1である。」という命題ですが,これは未だ証明 

されていません。
 

() u=-のとき,もしクォーク場:ψi(),ゲージ場: 

μ()に漸近場が存在したとすると,それらはカラーを持つ 

ので,それらはBRS4重項でなければなりません。
 

例えばψi()のBRS変換は,[iλQ,ψi()] 

=-iλgc()()ijψ()ですが, 

これはクォーク場:ψi()が漸近場:ψasi()を持てば,必ず, 

右辺のクォ-クとFPゴーストの複合Heisenberg:  

()()ijψ(),結合状態(共鳴状態,または 

束縛状態):asψi()が形成されて, 

[iλQ,ψasi()]=-iλCasψi()を満たすBRS 

2重項:(ψasi,asψi)となる必要があることを意味します。
 

ゲージ場の場合も,[iλQ,μ()]=λDμ() 

より,μにベクトル漸近場が存在すれば,右辺の 

μ=∂μ-g(μ×),ゲージ場とFPゴースト 

の結合状態が現われることになります、
 

すなわち,u=-で実現されているカラー閉じ込めは, 

クォークやグルオンの漸近場が現われないこと,を主張するの 

ではなく,むしろ,それらの漸近場がQEDや摂動ゲージ理論の 

縦波・スカラーモードや素FPモードと全く同様に,BRS 

4重項機構によって閉じ込められる,ことを意味します。
 

() u=-の条件は,実は,非物理的セクターで,既に多くの 

結合状態が存在することを意味しています。

まず,前記事でも書いたように, 20182/23 

「ゲージ場の量子論(31)」では,ゲージ理論では 

常にゲージ群の添字aの各々で,必ず,零質量BRS 

4重項=素4重項が存在し,Heisenberg:μ,, 

μ,~の中に,0 → ±∞ において, 

μ() → ∂μχ()..,() → β().., 

μ() → ∂μγ().., 

~() → γ~()..,なる漸近場: 

(χ,β,γ,γ~)が存在する,という形で含まれる 

ことを示しました。
 

この常に存在する素4重項の漸近性を,μ → ∂μχ, 

→ β,μ → ∂μγ,~ → γ~a により 

簡明に表記することにします。
 

ところが,前に注意したように,Landauゲージ:α=0では, 

FP共役変換;FPが存在して,このFP変換から, 

~=-Bi(c×c)→ β~, 

μ~→ ∂μΓ~,→ Γ 

を満たす漸近場:(β~,Γ~, Γ) 

FP(β,γ,-γ~)FP-1 

が存在することもいえます。
 

(16-1):過去記事「ゲージ場の理論(24)」では, 

次のように書いています。
 

※FP共役変換と反BRS対称性 

ゲージ固定条件:∂μμ+αB0Landauゲージ: 

α=0 を採用した場合,μμ 0ですから,FPゴースト 

と反ゴーストの運動方程式:μμ=Dμμ~0 

は同じ形:μμ=∂μμ~0 になります。
 

(※何故なら,μμ 0 なので, 

μ~=∂μ~-gfabcμ~ 

より,μμ~=∂μμ~-gfabcμμ~ 

=Dμμ~となり.μとDμが交換するからです。)
 

そこで,とc~の入れ換えに対する対称性がある 

と予想されます。
 

実際α=0の場合,GFFP  

=-∂μμi(μ~)μa  

=∂μ~μi(μ)μ~a  と書けます。
 

ここで,~,+B~=-i(c×c)で定義 

されます。
 

それ故,LandauゲージのLagrangian, 

FP:→ c~,~→ c,→ B~ 

という変換に対して明らかに不変です。
 

ただし,ゲージ場:μと物質場:φlは変換されない 

とします。この変換をFP共役変換と呼びます。
 

そしてBRS電荷QのFP共役変換:FPFP-1 

をQ~と記し,反BRS電荷と呼びます。
 

~の引き起こす変換を,[iλQ~,Φ]=λδ~Φと 

すると,[iλQ~,μ]FP[iλQ,μ]FP-1 

=λFP(μ)FP-1=λDμ~=λδ~μ 

と書けます。
 

そして,このδ~を反BRS変換と呼びます。 

δ~μ=Dμ~, δ~φi=-igc~()ijφj , 

δ~i~, δ~~(/2)(~×c~)a , 

となります。δ~~0 も明らかです。
 

Landauゲージの場合,この反BRS変換が 

Lagrangian:~の不変性を与えることは明らかです。
 

(16-1終わり※)
 

もちろん,摂動論においては,係数を除いて,-β~=β, 

Γ=γ,Γ~=γ~であり,新たな漸近場ではないとも 

考えられます。
 

しかし,u=-の場合は,行列uの定義でもある 

μ~ (+u)μγ~..,から, 

μ~の中の∂μγ~は無くなってしまいます。それ故, 

Γ~=γ~であれば矛盾するため,Γ~はγ~とは別物 

であり,そのFP変換であるγとΓも別物です。
 

また,γ~はBRS2重項の親粒子でしたが,Γ~は子供粒子 

でなければなりません。すなわち,{,Γ~}0 です。
 

何故なら,WT恒等式: 

0=<0|{,μ~()ν()}|0 

=<0|[{,μ~()}ν()]|0 

+<0|{μ~()ν()}|0,および, 

.. 0|[{,μ~()}ν()]|0 

=-(μν/2)δab{μν(μν/2)}ab(2)
 

より,ab(2)=-δabなら,左辺=-gμνδab 

=-F..0|{μ~()ν()}|0>です。
 

よって,このGrren関数:  

0|[{,μ~()}ν()]|0, 

0|{μ~()ν()}|0>の双方にp20 

極は存在しません。
 

ゲージ場:νはBRS子供演算子ではない一般のベクトル 

演算子ですから,これは{,μ~}が零質量スカラーも 

零質量ベクトルも含まないことを意味します。
 

(※もちろん,全く形式的には,{,μ~}にp20 の極 

があるが,ゲージ場:νを相手にしたときのみ,たまたま 

20 の極の留数がゼロになるという可能性を完全に除外 

することはできませんが,。。。)
 

したがってDμ~の零質量漸近場:Γ~,{,Γ~}0 

を満たすBRS子供粒子であるといえます。
 

このことは,カラー電荷:=-g-1∫d3{,μ~()} 

の無矛盾な存在にとっても,必要なことでした。 

(※つまり,「カラーカレント:μが零質量1粒子状態を 

含まない=カラー対称性が自発的に破れていない。」 

ことを意味しています。)
 

ここでは,これ以上,深入りする余裕はありませんが, 

このような性質を持った漸近場は,BRS変換,反BRS 

変換を含む拡張されたBRS代数を考察することにより 

(最小個数の場合),さらに(×),および,(~×~) 

のチャネルに形成されるFPゴースト数が,2,2の結合 

状態と共に,6.11に描いたような全部で8個から成る 

()BRS多重項となることが示されます。
 

図中の直線矢印:→は,BRS変換,波線矢印は反BRS 

変換を意味します。
 

すなわち,()BRS2重項は4組現われます。 

なお,χ,~→βと同一視されます。
 

今回は短いですが,本節が終わりなので,ここまでに 

します。次回は,対称性の自発的破れ,Higgs現象の具体例 

であるWeinberg-Salam模型の紹介に入る予定です。
 

(参考文献):九後汰一郎 著「ゲージ場の量子論() 

(培風館)

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2018年3月27日 (火)

対称性の自発的破れと南部-Goldostone粒子(15)

「対称性の自発的破れと南部-Goldostone粒子(14) 

からの続きです。 

Higgs現象の項の続きです。
 

§6.6  Higgs現象逆定理とカラー閉じ込め
 

カラー電荷:に対応する大局的ゲージ不変性が自発的 

に破れたときには,現われるNGボソンは非物理的粒子 

となり,かつ,ゲージ場:μは有質量ベクトル粒子: 

μを記述するようになるというのが前節で示した 

Higgs現象のカラーSUU(3)群版です。
 

しかし,この主張の後半部:「有質量ベクトル粒子が 

現われる。」という部分は摂動論の枠内での議論であり, 

また,模型に依存する話です。
 

ところが,この命題の逆に関しては,摂動論にも模型の詳細 

にも依らず,かなり一般的主張をすることができます。
 

すなわち,系の動力学がある「条件」を満たせば,逆命題: 

「ゲージ場:μが有質量になれば,カラー電荷 Q 

大局的不変性は自発的に破れている。」が成立することを 

示せます。
 

しかも,このときの「条件」が満たされない場合という 

のが,「クォークグルオンなどカラーを持った粒子が 

一般に物理的粒子としては現われない。」というカラー 

閉じ込め(color-confinement)が実現している相,に対応 

していることが示せます。
 

Higgs現象の逆定理

ここでは,カラー対称性(大局的ゲージ不変性)を尊重する 

通常の共変ゲージを取ったLagrangian:~を持つような 

一般的非可換ゲージ理論を考察します。
 

~=-(1/4)μνaμνmatter(φ,μφ)GFFP, 

GF=-(μ)μ(α/2), 

FP=-i(μ~)μa  です。
 

このときカラー対称性(大局的G=SU(3)不変性) 

に対応するMoetherカレント:μ 

μ(ν×νμ)+jμ(ν×) 

i(~×Dμ)a  で与えられ,
 

これがMaxwel方程式と呼ばれる方理式: 

gJμ=∂ννμ{,μ~} 

を満たすことが重要です。
 

ただし,μは物質場のカレントで,μ 

-g-1(matter/∂Aaμ)

=-i{matter/(μφi)}(φ) 

です。
 

Maxwell方程式に現われる3つの項は,別々に保存します。 

μμ=∂μ(ννμ)=∂μ{,μ~}0 

これは明らかです。
 

[対称性の自発的破れ」の最初の20178/29の記事: 

「対称性の自発的破れと南部-Goldostone粒子(1)」 

で説明したことから,一般に,保存カレント:μ() 

から,電荷:Q=∫d30()が定義できるか 

どうか?について,次の諸条件が互いに等価である 

ことがわかっています。
 

() Q=∫d30()が無矛盾な演算子として存在する。 

() Qの対称性は自発的に破れていない:|0>=0 

()カレント:μ()は零質量1粒子スペクトルを含まない。 

つまり,任意の|(m=0)(零質量1粒子状態)に対して, 

0|μ()|(m=0)>=0 である。
 

です。
 

このことから問題としているカラー対称性の電荷: 

無矛盾(well defined)なものとして存在するかどうか?は, 

カレント:μが零質量1粒子スペクトルを含むかどうか? 

によって決まることがわかります。
 

実は,ゲージ理論の場合,上述のNoetherカレントJμの表式 

には,ほとんど常に零質量1粒子状態が含まれています。
 

まず,このことを示します。
 

20182/23の「ゲージ場の量子論(31)」では, 

ゲージ理論では常にゲージ群の添字aの各々で, 

必ず,零質量BRS4重項=素4重項が存在し, 

Heisenberg:μ,,μ,~の中に, 

0 → ±∞ において,μ() → ∂μχ().., 

() → β()..,μ() → ∂μγ().. 

~() → γ~()..,なる漸近場: 

(χ,β,γ,γ~)が存在する,という形で含まれる 

ことを示しました。
 

そして,これらのBRS変換性は, 

[i,χ()]=γ(),{i,γ~()}iβ() 

でした。
 

そうすれば,一般にMaxwel方程式: 

gJμ=∂ννμ{,μ~}Heisenferg演算子: 

μ~(),ある重みでBRS4重項メンバー:γ~() 

を含みます。そこで,0 → ±∞において,μ~()  

(1+u){μγ~()}..なる置き換えができます。
 

ここで,1=δ,μ~=∂μ~-g(μ×) 

の第:μ~からの寄与で,行列:は第2項からの 

寄与に対応しています。すなわち, 

-g(μ×)→ u{μγ~()}..,です。
 

行列:は具体的には 

.T <0|{μ()~()}|0>=iδabμ/2 

=F.T <0|{μγ()γ~()}|0 

ですが,これを考慮すれば, 

.T <0|[{μ()(ν×~)()}|0 

=-(μν-pμν/2)(2) であり 

これのp20 の極の留数u(0),それです。
 

このuはカラー対称性が自発的に破れていなければ 

対角的でu=uδの形に書けます。
 

[上の諸式の証明] φ{(ν×~)expi(φ)} 

を考えると,これは,もちろん定数ですから,,これをc~ 

で関数微分してもゼロです。
 

そこで,~→c~’=c~+δc~に対して 

φ'=φを仮定すれば, 

0=∫φ(δ/δc~){(ν×~)expi(φ)} 

=∫φ[{-μμ~()}{(ν×~)() 

+gfabcν()δ4(x-y)]expi(φ)より, 

0|[{μμ()(ν×~)()}|0 

=gfabcδ4(x-y)0|ν()|0>が従います。
 

そこで,Poincare'不変性とPμ|0>=0 により 

0|ν()|0>=<0|ν(0)|0>=C=一定 

ですから,C=0.つまり<0|ν()|0>=0 を得ます。
 

T積はT積を意味するので, 

μ0|[{μ()(ν×~)()}|0>=0
 

これは運動量p空間では, 

.. 0|[{μ()(ν×~)()}|0 

(μν-pμν/2)ab(2) 

と書けることを意味します。 

したがって,ab(2)=-u(2)とすれば 

.T <0|[{μ()(ν×~)()}|0 

=-(μν-pμν/2)(2) となります。 

(証明終わり)
 

 0 → ±∞で, 

μ~() (1+u){μγ~()}.., 

となる,という論議に戻ると, 

[i,χ()]=γ(),{i,γ~()}iβ() 

でしたが,これはγ~()がBRS親粒子であることを 

意味しており, 

{,μ()}(1+u){μβ()}. 

が従います。
 

そこで,Maxwell方程式:  

gJμ=∂ννμ{,μ~} 

{,μ()}には,実際に零質量の粒子: 

β()が重み(1+u)で効いていることが 

わかります。
 

Maxwell方程式が結び付けるHeisemberg演算子: 

μ,ννμ,{,μ~}は皆同じ量子数 

を持つ演算子ですから,{,μ()}に存在 

する零質量1粒子状態:μβ(),一般に 

(特殊な理由がない限り)μにも∂ννμにも 

ゼロでない重みで含まれます。
 

0 → ±∞で, 

μ() → v{μβ()}..,および, 

ννμ() → w{μβ()}..,と書けば 

Maxwell方程式は,係数行列が 

gv=w(1+u)を満たすことに等価です。
 

結局,カラー対称性が自発的に破れていなければ, 

NoetherカレントJμには,たまたま,, 

{,μ()}の寄与:(1+u),ννμ 

の寄与:が相殺しない限り,零質量状態:μβ 

が寄与することが示されました。
 

この事実は,カラー対称性が,ほとんど常に自発的に破れている 

ことを意味するのでしょうか? 

しかし,これは明らかに馬鹿げた結論です。
 

この難題(puzzle)を解く鍵は,既にずっと以前に述べたように 

Noetherカレントの定義の不定性にあります。
 

Noetherの定理で求めた保存カレント:μには常に,任意の局所的 

反対称テンソル:[μν]4次元発散:ν[μν]を付加 

してもよいという不定性が存在し, 

保存則:μ{μ+∂ν[μν]}0,電荷が元の変換 

の生成子になるという性質: 

∫d3i[0()+∂[0](),Φ()]=δΦ() 

も共に,不定項:ν[μν]の存在如何によらず成立する 

ということを思い起こします。
 

実際,上の式では積分:∫d3の前に交換関係を計算する 

形なので,[[0](),Φ()],x=yの近傍にのみ 

台を持つ空間全微分項であるため,∫d3によって寄与は 

ゼロです。
 

しかし,交換関係を取る前に3次元空間積分: 

Q=∫d3{j0()+∂[0]()}が存在して, 

無矛盾なQを与えるかどうか?という今の問題にとって 

∂f[0μν項は全くの不定項というわけではなくなります。
 

むしろ,上記積分値が存在して無矛盾になるようにf[0μν 

選ぶべし.という制限が付くことになります。
 

すなわち,「初めにとったカレントjμ()に零質量1粒子 

状態の寄与がある場合は,その1粒子状態の寄与を∂[μk] 

項が相殺するようなf[0ν]()を選択しなければならない。」 

という制限です。
 

この制限が満たされるf[0ν]であれば,これをどう選んでも 

Qには零質量1粒子状態は効きません。 

それ故,[μk]μ()の零質量1粒子状態を相殺 

できないような場合があれば,それが実際に対称性が 

自発的に破れる場合に相当するわけです。
 

カラー対称性の場合は,先に, 

μ(ν×νμ)+jμ(ν×) 

i(~×Dμ)a  で与えたNoetherカレント:μ 

は一般に,ννμ{,μ~}と同じく素4重項 

メンバーの零質量粒子:β()の寄与を,実際に 

μ → v{μβ}..,の形で含んでいます。
 

そこで,上の一般的議論から,もし,ある添字aのカラー対称性 

が本当に自発的破れを起こしていないのであれば,ある局所的 

反対称テンソル:[μν]()が存在して,ν[μν]()の中 

の零質量粒子:β()の寄与がJμ()の中のそれと相殺する 

はずです。
 

それ故,=∫d3{J0()+∂[0]() 

が無矛盾なカラー電荷演算子を与えることになります。
 

このことは,実際,例えば群Gの全てのカラー対称性が 

破れていない場合には係数行列が全て,=uδ, 

=vδ,=wδのように対角行列で, 

[μν]Yang-Mills場の場の強さ:νμに比例した 

形のf[μν]()=-ωFνμ(),ω=v/uに取って 

おけばいいです。
 

もちろん, これは-ωFνμでなくてもそれと同じ 

量子数を持った∂μν-∂νμ(μ×ν)など 

を使っても∂μβの寄与があるはずなので,適切な係数 

を掛けて相殺できるものなら,それでもいいです。
 

Higgs現象逆定理
 

[定理];det(+u)0の条件が成立する限り,群Gの 

ゲージ場:μ()のうち,その漸近場のベクトル粒子 

がゼロでない質量を得た(あるいは,より一般には零質量 

ベクトル粒子が無くなった)チャネルの分だけカラ-対称性 

は破れている。
 

[証明] ゲージ場:μ()のうち,零質量ベクトル漸近場 

が存在しないチャネルの群の添字をα,β,..存在するチャネル 

のそれをa^,^..でそれぞれ表わすことにします。
 

このとき,添字αのゲージ場:αμ()はx0 → ±∞で 

αμ() → ∂μχα()+Zαμ().. 

(αは係数)となります。
 

ただし,χα(),先に 

Heisenberg:μ,,μ,~の中に 

0 → ±∞ において,μ() → ∂μχ().., 

() → β()..,μ() → ∂μγ().., 

~() → γ~()..,なる漸近場:(χ,β,γ,γ~) 

が存在する。」 

と書いたときの零質量の素4重項メンバーであり, 

μ(),その他に存在するかもしれない有質量の 

ベクトル粒子固有状態のProca場であり,..,さらに 

存在するかもしれない,今の論議では無関係な有質量 

の漸近場を示しています。
 

ここで重要なのは素4重項メンバーχα()(それ故,その 

相棒のβα())スカラー粒子であるということです。
 

スカラー粒子のχα(),βα()から作られる反対称テンソル: 

μ(νχα)-∂ν(μχα)はゼロですから,これはFμν() 

であろうが,μν-∂νμ(μ×ν)であろうが, 

任意の反対称テンソル局所場:[μν]()に対し.決してその 

零質量漸近場として寄与できません。
 

そこで,修正Noetherカレントの不定項:ν[μν]()にも, 

そのようなスカラーのχα(),βα()は現われ得ません。
 

これに反して,もしも零質量のベクトル粒子漸近場が存在する 

チャネル:^μ()ならば,前にも少し述べたように,χ^() 

はスカラー場ではなく,^μ()の零質量ベクトル漸近場: 

^μ()の縦波モードです。 

このとき,^μ()のスカラーモードがβ^()です。 

そして(μ^μ=-αB^ etc.から) 

一般に,μ(ν^ν) ∝ □a^ν ∝ ∂μβ^となります。
 

そこで,^μ,α^μνのような反対称テンソル:α^[μν] 

に対し,0 → ±∞ の極限で, 

α^[μν] → c^(μ^ν-∂ν^μ)... (^は定係数) 

の形での寄与が可能となり,0 → ±∞ の極限で 

να^[μν] → c^{μ(ν^ν)-□a^μ}... 

=c^μβ^...のように,零質量素4重項状態:β^ 

寄与できることになります。
 

すなわち,任意の反対称テンソル場の発散: ν[μν] 

効き得る零質量1粒子β^,零質量ベクトル粒子:μ 

存在するチャネル:a=a^のみとなります。
 

零質量ベクトルが無くなったチャネル:a=αには零質量 

1粒子;βαは出現しません。
 

このことは特に場の強さ:αμνにも当てはまるため, 

α0であって,gvα=-(1+u)αとなり, 

de(1+u)0 の仮定から,α0となる独立な 

チャネルが零質量べクトルの無くなったチャネルの 

個数だけ存在することがわかります。
 

すなわち,このチャネルの個数をnとし,対応する 

NoetherカレントをJαμ(α=1,..)と書けば, 

0 → ±∞において, 

αμ()→vαβμββ()+vα^μβ^().. 

 de(αβ)0 ということです。
 

しかも,零質量の∂μββ(),任意の∂να^[μν]の中 

には現われ得ないので,この不定項でJαμ()の零質量項 

を相殺できません。.
 

そこで,結局,このn個のチャネルではカラー対称性が自発的 

に破れています。  (証明終わり) 

(↑※最後は少しクドかった,ですね。。。)
 

最後に,この定理に関わるコメントを二,三加えておきます。
 

()定理の結論にある対称性の自発的破れに対応するn個の 

チャネルは,0 → ±∞で零質量ベクトルが無くなり,例えば 

有質量ベクトル場が現われるような場合で,そのNGボソンは 

4重項メンバーのχα()です。
 

実際,[χα(),ββ()]iδαβ(x-y)より, 

0|[αμ(),χβ()]|0>=iδαβ(x-y)が従う 

ことからも納得できます。
 

例えば,SU(2)Higgs-Kibblle模型の例では.0 → ±∞で 

μ() → M-1a∂μχas ()+M-2b∂μas() 

+Z31/2asμ() ,χ () → Zπ1/2χas(), 

() → Z1/2as()=β()でした。 

(左辺の添字:HはHeisenberg場の意) 

そこで,χ ()= M-1aχas ()+M-2bBas() 

と同定できて,χ ()は確かにHiggs2重項のNG場成分 

であるχ ()の漸近場χas ()と本質的に同じです。
 

()定理の条件:det(1+u)0 QEDなど,可換群:[(1)] 

に基づくゲージ理論の場合,構造定数がfabc0ですから 

μ×0よりu=0となって恒等的に満たされます。
 

また,=O()=O()ですから,非可換ゲージ理論 

でも摂動論の枠内では常に満足されます。
 

()この定理にとっては,零質量ベクトル粒子の漸近場が 

無くなることだけが重要で,有質量ベクトル粒子の質量が群 

Gの多重項内で縮退していようが,いまいが,大局的ゲージ 

対称性は必ず破れているということを証明しています。
 

途中ですが,今日はここまでにします。
 

(参考文献):九後汰一郎 著「ゲージ場の量子論() 

(培風館)

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2018年3月22日 (木)

対称性の自発的破れと南部-Goldostone粒子(14)

「対称性の自発的破れと南部-Goldostone粒子(13) 

からの続きです。
 

対称性の自発的破れと共に出現する零質量のNGボソンが, 

零質量のゲージ場と共に,Higgs粒子を伴なって有限質量を  

獲得する,というHiggs現象の続きです。

   宇宙ができたとき,1点からビッグバン開始した頃,宇宙を  

構成する全ての粒子は零質量であり,高温で高密度の火の玉, 

あるいはブラックホールのような点,といっても質量がない  

ので質量と等価な巨大なエネルギーの密度という形態です。

膨張と共に温度が下がってゆき、現在のように絶対約3度 

になるまでのいつかの時点で,空間に不均等性ができて, 

対称性が破れます。
 

高温の溶鉄が冷えて,偶然,ある不均等な方向にスピンが 

揃って磁気が生じるような固体金属中の自発的対称性の破れ 

に類似した作用で,宇宙にエントロピー増大に逆らう意味の 

特性が生まれますが。Higgsメカニズムもその一環です。
 

膨張で宇宙が冷えてゆく過程で質量を持つ粒子が出現し, 

宇宙の中に存在する物体質量の起源となったのでしょう。
 

人を含む生命の発生,進化もまた,完全に無秩序で対称な状態 

へと向かおうとする自然なエントロピー増大に逆らう対称性 

の破れ,部分的エントロピーの減少効果です。

  さて,本題です。

※SU(2) Higgs-Kibble模型 

ゲージ群が可換群U(1)の場合でなくとも本質的に同じ 

現象が起こります。ここでは最も簡単な非可換群の場合 

の例としてSU(2) Higgs-Kibble模型を見ておきます。
 

そのLagrangian,元のHiggs模型のφがSU(2)2重項 

の複素場:Φ=[φ1,φ2],電磁場;μがSU(2)3重項 

Yang-Mills:μ=Σ=13aμ(τa/2)(τa:Pauli行列) 

,それぞれ置き換えられたもので与えられます。
 

(1/4)μνaμν(μΦ)μΦ+μ2ΦΦ 

(λ/2)(ΦΦ)2 です。 

ただし,μν=∂μν-∂νμ-gfabcμν 

μΦ={μigAaμ(τa/2)}Φ です。
 

ΦはHiggs2重項と呼ばれます。 

Φ()[φ1,φ2] 

(1/2){v+ψ()iχ()τ}[0,1] 

(1/2)[-χ2()-iχ1(),v+ψ()+iχ3()] 

と置きます。ψ,χ[χ1,χ2,χ3]は実スカラー場とします。 

(※τ[τ1,τ2,τ3]Pauli行列です。 

ττ=δabiεabcτ0でが成立します。)
 

真空期待値は,0|ψ()|0>=<0|χ()|0>=0, 

であり,0|Φ()|0>=[0,/2]です。
 

 ΦΦ=(1/2)[-χ2+iχ1,v+ψ-iχ3] 

×[-χ2-iχ1,v+ψ+iχ3] 

(1/2){χ2+(v+ψ)2}
 

故に,μ2ΦΦ-(λ/2)(ΦΦ)2  

(μ2/2){2+ψ22vψ+χ2}

(λ/8){2+ψ22vψ+χ2}2 

=-(λ/8)(ψ+χ2)2(1/2)m√λ)ψ(ψ+χ2) 

(1/2)2ψ2+V0[/2)]です。
 

ただし,22μ2であり,0|Φ()|0>=[0,/2] 

でv/2(μ2/λ)1/2より,2λ=2μ2=m2なので 

μ2/2(λ/8)220,μ2/2(λ/8)42=-(1/2)2,  

かつ,vλ/2(2λ)1/2/2(1/2)m√λ です。
 

また.-V0[/2](1/2)μ22(λ/8)4 

です。
 

Φ=(1/2)(v+ψ-iχτ)[0,1]より, 

μΦ={μigAaμ(τa/2)}Φ 

(1/2){μψ-i(μχ)τ}[0,1] 

(1/2)(i/2)gτaaμ(v+ψ-iχτ)}[0,1]
 

故に,μΦ 

(1/2)[μψ-i(μχ)τ 

(1/2){gAaμ(v+ψ)τ}(1/2)gAaμχ 

(1/2)gεabcaμχτ][0,1]
 

(μΦ)μΦ=(1/2)(μψ)2(2/8)(μχ)2 

(1/2)(μχ)(μψ) 

(1/2){μχ(/2)μ(v+ψ)}2 

(/2)εabc(μχ)μτ 

(2/8){μ2χ2(μχ)2}
 

つまり,(μΦ)μΦ=(1/2)(μψ)2 

(/2)μ{χ(μψ)-ψ(μχ)χ×(μχ)} 

(1/2)(μχ-Mμ)2(/2)MAμ2ψ 

(2/8)μ2ψ2(2/8)μ2χ2です。
 

故に, 

=-(1/4)μνaμν(1/2)2(μ―M-1μχ)2 

(1/2){(μψ)2-m2ψ2} 

(/2)μ{χ(μψ)-ψ(μχ)χ×(μχ)} 

(1/2)m√λ)ψ(ψ+χ2)(/2)MAμ2ψ 

(2/8)μ2(ψ2χ2)(λ/8)(ψ+χ2)2 

+V0[/2)] です。
 

ただし,M=gv/2|μ|(g2/2λ)1/2 

としています。
 

このの表式は,/2をeと読みかえれば前のHiggs 

模型のそれと,ほぼ完全に類似しています。
 

類似が壊される唯一の項:(/2)μ{χ×(μχ)}, 

χの運動項:(1/2)(μχ)2と一緒にすれば, 

(1/2)(μχ)(μχ-gμ×χ)(1/2)(μχ)(μχ) 

と書けます。
 

この形は下のFPゴースト運動項との対応で興味深いです。
 

すなわち,Φのゲージ変換はδΦ=-igθ(τ/2)Φなので 

Φ=[φ1,φ2] (1/2)[-χ2-iχ1,v+ψ+iχ3] 

より,δΦ=[δφ1,δφ2]  

(1/2)[-δχ2-iδχ1,δψ+iδχ3]です。
 

そこで,δφ1=-(1/2)(δχ2+iδχ1) 

=-(1/2)(/2)[(v+ψ)θ2(χ3θ1-χ1θ3) 

i{(v+ψ)θ1(χ2θ3-χ3θ2)}]
 

δφ2(1/2)(δψ+iδχ3) 

=-(1/2)(/2)[χ1θ1+χ2θ2χ3θ3 

i{(v+ψ)θ3(χ1θ2-χ2θ1)}] となります。
 

つまり, 

δψ=(-g/2)χθ,δχ(/2){(v+ψ)θχ×θ} 

です。
 

ここで,θをθ()とした局所ゲージ変換; 

δΦ=-igθ()(τ/2)Φでθ()をFPゴースト場: 

()に置き換えることにより, 

δψ=[l,ψ](-g/2)χc, 

δχ[l,χ](/2){(v+ψ)χ×}を得ます。
 

そこでHiggs模型のRξゲージに対応するHiggs-Kibble 

模型でのRξゲージのGF+FPのlagrangian, 

RξGF+FP=-iδ[~{μμαχ(1/2)α}] 

(μμχ)(1/2)α2 

i~{μμ+αM2(/2)αMψ} 

i(/2)αM~(χ×) とします。
 

ただし,μ=∂μ-gμ× です。
 

この局所ゲージ固定段階では,大局的SU(2)ゲージ 

対称性を壊さない,普通の共変ゲージのGF+FP, 

上のRξGF+FPでM=0 としたもの: 

GF+FP=-iδ[~{μμ(1/2)α}] 

(μμ)(1/2)α2i~μμ 

となります。
 

共変ゲージのHiggs-Kibble模型では,真空期待値が 

0|Φ|0>=(/2)[0.1]となることで,大局的ゲージ 

変換群:G=SU(2)対称性が完全に破られることになり, 

dimG=3個のNGボソンが出現します。
 

そして,これが零質量のχ(χ1,χ2,χ3)場に対応します。
 

ψ,χのBRS変換性:δψ=[l,ψ](-g/2)χc, 

δχ[l,χ](/2){(v+ψ)χ×} 

はゲージ固定条件に依らず成立します。
 

さらに,δ~[l,~]iBも加えて,0→±∞ 

の極限をとれば, [l,ψas()]0, 

[l,χas()]=Ma-1as(), 

[l,~as()](3~-1)1/2as() 

となります。
 

何故なら,0→±∞で,~() → Z3~1/2~as(), 

() → Z1/2as() です。
 

そこでU(1)Higgs模型と同じく,(χas,as,~as,as) 

(3組の)BRS4重項となり,物理的空間:physでは 

有限確率で観測されない非物理的モードとなります。
 

物理的モードは質量MのProca:μμ-M-1χ-M-2 

の漸近場:asμと質量mのHiggs粒子場:ψasです。 

これらは,先のHiggs模型のケースと形式的に同じです。
 

元の大局的SU(2)不変性が完全に壊れているのに,壊れた後 

Lagrangian,まだゲージ場:AμやBRS4重項: 

(χas,as,~as,as)のそれぞれを,SU(2)3重項.つまり, 

a=1,2,3の3次元ベクトルとするようなSU(2)対称性を 

持つのは疑問に感じるかもしれません。
 

しかし,確かにこの対称性は存在しますが,これは元の大局的 

SU(2)対称性とは別物であることに注意。。。 

例えばχ=[χ1,χ2,χ3]と書いてO(3)=SU(2)のベクトル 

扱いができても,これはの大局的SU(2)不変性とは無関係 

です。
 

SU(2) Higgs-Kibble模型は,この点でかなり特殊で,実は 

元の大局的SU(2)以外に,もう1つの隠れたSU(2)対称性: 

SU(2)'を持っています。
 

まず,SU(2)の2表現は2表現と同値であり,Φ~iτ2Φ 

が元の2重項場:Φと同じSU(2)変換性を持ちます。 

そこで,SU(2)の基本2表現(2重項場):Φに対し,Φ~ 

SU(2)'の基本2表現(2重項場)とみなすことができます。
 

(14-1):Φ → {1igθ(τ/2)}Φ  

⇒ Φ {1igθ(τa*/2)}Φ* より, 

Φ~ iτ2{1igθ(τa*/2)}Φ 

iτ2Φigθ(τ2τa*τ2/2)iτ2Φです。 

結局,Φ~ {1igθ(τ/2)}Φ~ です。
 

何故なら.τ2τ2.1であり,τ1=τ1. 

τ2=-τ2.τ3=τ3より,τ2τa*τ2=-τ, 

であるからです。  (14-1終わり※)
 

この特殊性のため,Φ2×2行列のスカラー場: 

Φ[Φ~,Φ]を定義すれば,元のHiggs-Kibble 

Lagrangian:(1/4)μνaμν(μΦ)μΦ 

+μ2ΦΦ-(λ/2)(ΦΦ)2 は次のように書けます。
 

すなわち, 

=-(1/4)μνμν+Tr{(μΦ)μΦ+μ2ΦΦ} 

(λ/2){(1/2)r(ΦΦ)}2 です。
 

この形では,行列表現の場:Φ(), 

Φ() → Φ'()=UΦ()-1, 

(ただし,U∈SU(2),-1SU(2)') 

のSU(2)×SU(2)'変換に対して不変であること 

が明白です。
 

この隠れた方のSU(2)',custcdial symmetry 

呼ばれています。
 

Φが真空期待値:0|Φ|0>=(/2)[0.1]を持つ 

とき,0|Φ|0>=(/2)1となり,SU(2)もSU(2)' 

も共に自発的に破れますが,両者で等しい角度の変換を 

行うSU(2)対角は破れずに残ります。
 

先に見出した,残っているSU(2)対称性はこのSU(2)対角 

であると考えられます。
 

すなわちこの模型では, 

「大局的対称性は,G=SU(2)×SU(2)’~SO(4). 

そのうちのSU(2)がゲージ化されており,GがSU(2)対角 

へと自発的に破れている。」 

という命題の成立を示しています。
 

※一般の場合 

大局的対称性群がG=G1×G2×..(iは単純群,またはU(1)) 

となる一般の場合,その因子群Giのいくつかの直積で与えられる 

部分群:I=Gi1×Gi2×..だけが,ゲージ化されて(局所対称性を 

持って)いても,それはGの対称性とは矛盾しません。
 

この場合.Gが,ある部分群:Hに自発的に破れた,とすると, 

一般に,その包含関係は図6.10のようになると考えられ 

ます。このとき,今までの話から次のことが明らかです。


  「G-(I∩H)の部分の生成子に対応したNGボソンは 

物理的零質量粒子になり,I-(I∩H)の部分の生成子に 

対応したNGボソンは非物理的粒子となる。また,少なくとも 

摂動論の範囲ではI-(I∩H)のゲージボソンはNGボソン 

を吸収して有質量ベクトル場となり,(I∩H)のゲージボソン 

は零質量に留まる。」 
 (199932日読了)
 

(※ホーキングじゃないが,49歳から1968歳になっても 

ノートをひっくり返さなきゃわからないほど,頭が耄碌 

してないのは有り難いことです。)
 

途中ですが,今日は,ここまでにします。
 

(参考文献):九後汰一郎 著「ゲージ場の量子論() 

(培風館)

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2018年3月17日 (土)

対称性の自発的破れと南部-Goldostone粒子(13)

「対称性の自発的破れと南部-Goldostone粒子(12) 

からの続きです。
 

Higgs現象の共変ゲージでの理解 

まず,GF+FP=-iδ[~(μμ(1/2)αB)]

=B∂μμ(1/2)αB2i~□c 

という普通の共変ゲージの場合を見てみます。
 

(1/4)μν2(1/2)2{μ-M-1(μχ)}2 

(1/2)|(μψ)2-m2ψ2}eμ(χ∂μψ-ψ∂μχ) 

+eMAμ2ψ+(1/2)2μ2(ψ2+χ2) 

(1/2)m√λψ(ψ2+χ2)(λ/8)(ψ2+χ2)2 

-V0[/2]   

+B∂μμ(1/2)αB2i~□c です。
 

これのe~√λでの展開に対する摂動の0 

Lagrangian;0.M=evも0次とみなして, 

0(1/4)μν2(1/2)2{μ-M-1(μχ)}2 

(1/2)|(μψ)2-m2ψ2}  

+B∂μμ(1/2)αB2i~□c です。
 

ここで,μ=Aμ-M-1(μχ)-M-2(μ) 

とおけば,μν=∂μν-∂νμ=∂μν-∂νμ 

であり,(1/2)2μ2+B∂μμ 

(1/2)2|μ-M-1(μχ)}2 

(μ)|μ-M-1(μχ)}(1/2)-2(μ)2 

+B∂μμ ですが,
 

(μ)μ+B∂μμ=-∂μ(BAμ) 

(μ)(μχ)+B□χ=∂μ(B∂μχ) 

 (μ)2+B□B=∂μ(B∂μ).より, 

4次元発散項の寄与はゼロと見なして
 

(μ)μ+B∂μμ0 

-1(μ)(μχ)=-M-1B□χ 

(1/2)-2(μ)2=-(1/2)-2B□B 

とできます。
 

そこで,0(1/4)(μν-∂νμ)2(1/2)2μ2 

(1/2)|(μψ)2-m2ψ2}-M-1B□χ-(1/2)-2B□B 

(1/2)αB2i~□c と書けます。
 

Euler-Lagrange方程式を羅列すると: 

まず,μ{0/(μν)}-∂0/∂Uν0 から, 

-□Uν+∂ν(μμ)-M2ν0を得ますが,この 

両辺に左から∂νを掛けると∂νν0を得るため,
 

μ,(□+M2)μ0,かつ,μμ0を満たす 

モードの,質量MのProca場となります。
 

また,μ{0/(μψ)}-∂0/∂ψ=0 

から,ψは,(□+m2)ψ=0に従う質量:mの実スカラー場 

です。∂μ{0/(μ)}-∂0/∂B=0 からは, 

-1□χ+M-2□B-αB=0, 

μ{0/(μχ)}-∂0/∂χ=0 からは 

-1□B=0 を得ます。
 

同様にして,□c=□c~0 を得ます。
 

よって,Bとχのセクターの運動方程式は, 

□χ-αMB=0,かつ,□B=0 で与えられます。
 

それ故,Landauゲージ:α=0ではχもBも零質量 

スカラー場となります。このχがNG定理で要求される 

1自由度のNGボソンです、
 

これらB,χは自由場なのでそれ自身,くり込み定数を除いて 

漸近場に一致します。つまり,()=Z1/2as() 

χ()=Zπ1/2χas()です。
 

そして,Lagrangian0にM-1B□χの項:非物理的 

スカラー波モード:Bとχの交差項があることは,B粒子 

とχ粒子の計量が反対角であることを示しています。
 

(13-1):0にM-1B□χ=-M-1(μ)(μχ) 

あるので,χの正準共役は,πχ=∂0/(0χ)=M-10 

で与えらます。
 

それ故.[d(,),χ(,)]=Mδ3()であり,故に 

[as(),χas()]0,または,0|{as()χas()}|0 

0 を得ます。これはB,χが反対角計量のBRS2重項である 

ことを意味します。
 

Landauゲージ以外では,□χ≠0,2χ=0より,χは 

零質量のdipole場になります。この場合でも適当にχ 

の粒子モードが定義できて,単なる□χ=0 の粒子モード 

と本質的に変わらないことが示されます。 

(13-1終わり※)
 

また,FPゴースト:,|は零質量です。
 

摂動論においては,これらが漸近場の全てであり, 

高次項を考えてもくり込みの効果があるのみです。
 

すなわち,0→±∞において, 

μ() → Z31/2asμ()+M-1a∂μχas+M-2b∂μas 

ψ() → Z21/2ψas(),()→Z1/2as() 

χ() → Zπ1/2χas(),  

() → cas(),~() → c~as() です。
 

ただし,3,2,πはくり込み定数,,bも適切な定数です。
 

摂動の0次の0におけるM,mの値を予め全Green関数の 

運動量表示の極の位置にとっておき,ゲージパラメータαの値 

も適当なくり込まれたものとしておけば,漸近場:asμ,ψas,as, 

χas,全て,先述の自由場の運動方程式に従う規格化された場 

となります。
 

第5章のゲージ場の量子化で詳述したように,これら漸近場の  

BRS変換則は,Heisenberg場の変換則:[iλQ,Φ()] 

=λδΦ()のx0 → ±∞の極限を取って求めることが  

できます。
 

[i,μ()]=∂μ(), 0 → ±∞で 

[i,31/2asμ()+M-1a∂μχas+M-2b∂μas] 

=∂μas() ですが 

asμは質量MのProca場で,右辺の零質量FPゴーストcas 

とは1粒子極位置が異なるため,[i,asμ()]0 です。
 

また,[i,as()]0 ですから,[i,χas()]0  

が必要です。
 

そして,χasとcasは共に零質量ですから, 

[i,asμ()]0, 

[i,χas()]=Ma-1as(), 

[i,as()]0 と結論されます。
 

この結果,asμはBRS不変な物理的粒子となります。
 

最後の式は,Heisenberg場の段階で∂μ20 により 

()がQと可換だからです。
 

同様に, φ(){v+ψ()iχ()}/2, 

ゲージ変換は,δφ()=-ieθ()φ()より, 

δψ()=-eθ()χ(),δχ()=eθ(){v+ψ()} 

ですが。これのBRS版:θ()→c() ⇔ δ→δから,
 

[i,ψ()]=-ec()χ() [i,ψas()]0,  

そして,[i,χ()]=ec(){v+ψ()} 

[i,χas()](定数)×cas() を得ます。
 

[i,ψas()]0 は,複合場:()χ()のチャネル 

,摂動論の範囲では漸近場(1粒子極)がないからです。 

(※c()χ()は荷電共役偶で,ゴースト数:1という  

量子数を持ちますがそうした粒子は0には存在しません。
 

今の場合,()が自由場で相互作用しないので,これは  

自明です。)

したがって,ψasは物理的粒子であり,(物理的)Higgs粒子 

と呼ばれています。このψas(),前のユニタリゲージ 

ではρ()と記した場の漸近場と同じものです。
 

[i,χas()](定数)×cas() の定数はツリーレベル 

では,ev=Mですがループ効果の補正を受けて,既述の 

[i,χas()]=Ma-1as()のMa-1に一致するものです。
 

最後に. [i,()]0 [i,as()]0, 

 [iλQ,~()]=-iλB() 

 [i,~as()]=-iλZ1/2as()です。
 

以上のBRS変換則により,有質量のUasμ,ψasはBRS1重項 

の物理的粒子で,零質量の(χas,as)(~as,as),それぞれ, 

BRS2重項,合わせてBRS4重項の非物理的モードになる 

ことがわかりました。
 

結局,普通の共変ゲージではNG定理(南部Goldstoneの定理) 

の予言通り,零質量のNGボソン:χasが現われますがBRS 

4重項に属します。そこで,これは,前に一般的に証明した 

4重項機構により,|Phys>=0 で定義される物理的状態 

空間:physには有限な確率で現われることができません。
 

次に,ξゲージの場合を手短かに考察します。
 

この場合のゲージ固定項は,M=evで 

RξGF+FP=-iδ[~(μμ+αMχ+(1/2)αB)] 

=B(μμ+αMχ)(α/2)2 

i~(□+αM2+eαMψ)c です。
 

このとき,運動方程式:/∂B=0 から, 

μμ+αMχ+αB=0 より, 

αB=-(μμ+αMχ)です。
 

この場合,自由項Lagrangian, 

0Rξ(1/4)μν2(1/2)2{μ-M-1(μχ)}2 

(1/2)|(μψ)2-m2ψ2}   

+B(μμ+αMχ)(α/2)2 

i~(□+αM2)+eαMψ)c 
 

(1/4)μν2(1/2)2μ2(1/2)(μχ)2 

-MAμ(μχ)(1/2)|(μψ)2-m2ψ2} 

{1/(2α)}(μμ+αMχ)2i~(□+αM2)cより,
 

0Rξ(1/4)μν2(1/2)2μ2{1/(2α)}(μμ)2 

(1/2){(μχ)2-αM2χ2}(1/2)|(μψ)2-m2ψ2} 

i~(□+αM2)c と書けます。
 

ここで,MAμ(μχ)+M(μμ)=M∂μ(μχ) 

ゼロとして消去しました。また,自由項Lagrangianということ 

から,ゲージ固定項の中の相互作用項:ieαMc~cψを除外 

しました。
 

今度の形では,NGボソン場:χはαM2の2乗質量を持つ 

ようになったことに注意します。
 

つまり,α≠0 では零質量のNGボソンは出現しません。 

しかし,これはNG定理に反しているわけではありません。
 

何故なら,ξゲージはゲージ固定項の中に複素場:φの特定 

成分χをαMχの形で含むため,既に固定項を加えただけの 

段階で(大局的)(1)対称性は破れているからです。
 

そして,このRξゲージの場合の0Rξでも, 

[i,χ()]=ec(){v+ψ()} 

[i,χas()](定数)×cas(), および 

[iλQ,~()]=-iλB() 

 [i,~as()]=-iλZ1/2as()はゲージ 

によらず,前と同じなので,χas,as,~as,as 

共通の2乗質量:αM2を持ったBRS4重項となります。
 

Bを消去した形なのに,asというのは. 

B=-(1/α)(μμ+αMχ)の右辺の含む漸近場 

という意味です。
 

実際,μが2乗質量:αM2のBasやχasを含むことは 

0から決まるAμの伝播関数を計算してみれば,わかります。

 つまり,.T <0|(μν)|0 

[μν(2-M2)-pμν(1-α-1)] -1  

{μν(1-α)μν/(2-αM2)}/(2-M2)  

(μν-pμν/2)/(2-M2) 

(μν/2)/(2-αM2)  

です。

(13-2):0Rξの上でのAμの運動方程式は 

μ{0Rξ/(μν)}-∂0Rξ/∂Aν0 より 

(□+M2)ν(1-α-1)ν(νν)0 です。
 

iΔFμν()=<0|{μ()ν(0)}|0>と置けば2 

Green関数の定義から,これは方程式; 

{(□+M2)gμρ(1-α-1)νρ}ΔFρν()=gμνδ4() 

を満たすべきです。
 

この方程式を運動量p空間にFourier変換すれば 

{(-p2+M2)gμρ(1-α-1)νρ}ΔFρν()=gμν=δμν 

ΔFμν()=-{(2-M2)gμν(1-α-1)νν}-1です。
 

それ故, . i0|(μν)|0>=-ΔFμν() 

{μν(2-M2)-pμν(1-α-1)} -1です。
 

右辺={μν-K(2)μν}/(2-M2)と置けると 

仮定して,こうしてみると 

{μρ(2-M2)-pμρ(1-α-1)} 

[{ρν-K(2)ρν}/(2-M2)] =gμν
 

故に,μν-K(2)μν 

-pμν(1-α-1)/(2-M2) 

+pμν{2(2)(1-α-1)}/(2-M2) 

=gμνです。
 

-K(2)(2-M2)(1-α-1){2(2)(1-α-1)} 

0, 故に,(2-p2α-1)(2)(1-α-1) 

したがって,(2)(1-α)/(2-αM2) です。
 

. i0|(μν)|0 

{μν(2-M2)-pμν(1-α-1)} -1 

{μν-K(2)μν}/(